- 「借金の催促電話を無視しても大丈夫?」
- 「催促電話を無視するとどうなる?」
借金の返済を滞納していると早ければ1週間、遅くても1カ月前後で貸金業者から催促電話がかかってきます。「どうせ返済の電話だろ、面倒だな」と無視してしまう人もいるかもしれませんが、果たして本当に無視しても大丈夫なのでしょうか。
今回は借金の催促電話を無視するとどうなるかということを中心に、適切な対処法や電話の内容について解説。
さらに催促電話でしてはいけない禁止行為についてや、違法な催促電話があったときにどうすべきかについても紹介していきます。もうすでに借金の催促電話がかかってきている人や、「電話がかかってきたらどうしよう」と心配な方は参考にして、適切に対処していきましょう。
借金の催促電話は無視してもいい?
まずは「借金の催促電話は無視してもいい?」という疑問についてお答えしていきます。指定の返済日に入金がないと、クレジットカード会社や消費者金融のコールセンターから催促の電話がかかってきます。貸金業者によって異なりますが、催促電話がかかってくるのは返済日を過ぎて1週間~1カ月ほど経ってからです。
催促電話を無視してはいけない
催促電話がかかってきたときは、けっして無視したりせず電話には必ず出るようにしましょう。「どうせ返済の催促だから」と電話を無視したり、「何を言われるのか分からない」と怖がって電話に出ないという行動は避けてください。
催促電話は返済ができれば止みますが、延滞が解消されない限り続きます。「返済できないから」といった理由や「怖くて電話に出られない」といった気持ちでも、貸金業者(債権者)からの催促電話を無視することは絶対に止めましょう。
無視すると様々な不都合が生じる
債権者からの催促電話を無視し続けていると、様々な不都合が生じてしまいます。無視していても何もいいことはありません。次のようなことが起こらないうちに、催促電話に出ることをおすすめします。
貸金業者の心証が悪くなる
貸金業者から何度も催促電話かかかってきているのに無視をしていると、あなたへの心証が悪くなってしまいます。心証が悪くなると、返済の先延ばしをお願いしても了承してくれなかったり、債務整理をするときでも、減額の話し合いに応じてもらえない可能性があるでしょう。
家の固定電話に電話がくる
自分の携帯やスマホにかかってきた催促電話を無視していると、自宅の固定電話に電話がかかってくるようになります。多くの貸金業者が所属している日本貸金業協会の規則では、反復継続した取り立て行為の自主規制として、1日3回までと電話連絡を規制しています。しかしそれでも本人と連絡が取れない場合は、家の固定電話に電話がかかってくることが。
貸金業法ではむやみに借金に関する事実を他人に漏らすことは禁止されているので、家族が電話をとっても会社名や要件を言わないのが一般的です。しかし要件を言わない電話が何度もかかってくると、怪しまれて借金のことがバレるきっかけになってしまいます。もしも家族に借金のことを内緒にしている人は、家電への催促電話に十分注意しましょう。
勤務先に電話をかけてくる
自分の携帯や自宅の固定電話への催促電話を無視し続けていると、働いている勤務先へ電話がかかってくるようになります。貸金業法では勤務先への電話は正当な理由がないと禁止されています。ただし他の電話(携帯電話や自宅の固定電話)で連絡がつかないといった場合は、正当な理由があるとして勤務先に電話をかけてもいいことになってます。
このときも業者名を名乗ったり要件を伝えることはなく、個人名を名乗ることがほとんどです。ただし知らない人が会社の電話に直接かけてきて、会社名も名乗らず「〇〇さんはいらっしゃいますか?」と聞いてくる訳なので、電話を取った窓口の人に不審に思われる可能性があります。
ブラックリストに載る
催促電話を無視し続けて返済が3カ月以上滞ると、信用情報機関にあるあなたの信用情報に「事故情報」として登録されてしまいます。これが一般でいう「ブラックリスト状態」で、この状態になるとクレジットカードなどは強制的に解約させられて、新たにローンやクレジットが組めなくなります。
信用情報機関は加盟業種ごとに3機関あり、それぞれで情報を共有しているので、他のローンやクレジットカードの申し込みもできなくなります。この状態は滞納状態が解消されてから5年前後続くことになります。住宅ローンを組んでマイホームを購入したり、車を買い替えるのに自動車を利用することもできなくなるため、長期的な人生計画が立てづらくなることも。
ブラックリストに載るとどうなるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「債務整理するとブラックリストにのる?気になる『ブラックリスト』についてすべてお答えします!」
一括請求される
滞納して3カ月以上経つと、債権者から内容証明郵便で一括返済を求める督促状や催告状が届きます。一括返済にはこれまでの滞納した返済分に「遅延損害金」がプラスされて金額が表示してあります。遅延損害金とは借金の返済を滞納したときに上乗せされる損害賠償金のこと。返済予定日の翌日から1日ごとに年利20%という高金利で加算されていきます。
「今まで分割で返済できたのにどうして一括で請求?」と思われるかもしれませんが、返済を滞納したことで分割で返済できる権利「期限の利益」が喪失したためです。金銭消費貸借契約書に反して借金を滞納すると、期限の利益が喪失して残金を一括で支払わなければならなくなります。この段階でも無視し続けていると、状況はさらに悪化の一歩をたどります。
一括請求に関してもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「クレジットカード会社からの一括請求を無視するとどうなる?主な流れと解決方法を紹介!」
訴訟になり財産が差し押さえられる
一括請求する旨を通知する督促状には、たいてい「これ以上滞納し続けると法的措置を取ります」ということが記載されています。ここでいう法的措置とはがあなたに対して借金の返済を求める裁判を起こす(訴訟)ということ。訴訟を起こされるとほぼ債権者の訴えが認められ、財産を差し押さえられる「強制執行」がなされます。
この強制執行は裁判所が決めたことなので拒否したり無視することはできません。あなたの預貯金や給与が差し押さえられ、自宅や高額な家財道具などが競売で売り払われてしまうでしょう。家が差し押さえられれば家族に借金滞納のことがバレてしまいますし、給与が差し押さえられるということは会社の人にもバレることを意味します。
このような最悪の事態にならないよう、まずは催促電話を無視しないことが借金問題解決へのファーストステップです。
催促電話がかかってきたときの対処法
催促電話がかかってきたときは、どのように対処すればいいのでしょうか。NG対処法とあわせて参考にしていきましょう。
催促電話には必ず出る
債権者からの催促電話は無視せず、電話に出るようにしましょう。仕事中などで電話に出られなかったときはなるべく早めに折り返しの電話をすることをおすすめします。ここで電話に出ないと「返済する気がないのでは」と思われて、次の手続きに移行される可能性が高まります。
債権者は携帯やスマホで連絡が取れれば、自宅の固定電話や勤務先に電話をしてくることはありません。家族や勤務先の人に借金のことを内緒にしている人は、なおさら催促電話を無視してはいけません。もし電話に出られない時間帯などがあれば、予め債権者に伝えておくと指定の時間帯以外に電話がかかってくることもなくなります。
現状と返済の意思を伝える
催促電話に出たら返済日までに借金が返済できない現状を説明し、それでも返済の意思があることを伝えましょう。債権者は借りた側(債務者)からの返済意思があることを分かれば、それ以上の督促は控えるケースがほとんどです。もし期日までに返済ができそうもない場合は、早めに連絡をしてその旨を伝えると催促電話がかかってくることはなくなります。
債権者は借金を返せなくなった人たちを大勢見ています。ここで嘘をついてもあなたの心証が悪くなるばかりです。返済日に間に合わなかったときは素直に謝り、返済の意思は変わらないことを伝えるようにしましょう。
支払いについて相談する
返済の意思があることを伝えたら、具体的な支払日などについて債権者に相談しましょう。「返済するのに毎月お金を用意するのが難しい」という場合は、毎月の返済額を減額したり利息だけとりあえず返済するなど、支払額の見直しや支払い方法の変更を相談するのもおすすめです。
借金の相手が消費者金融といった貸金業者のケースでは「○日までには先月分の支払いができます」と支払い期日の延長を申し出れば、交渉に応じてもらえる可能性があります。また契約で決められた返済額の一部しか支払えないときは「○○円までなら返済できます」と提案してみることも重要です。
ここで相談した内容通りに返済できれば、それ以上状況が悪化することを防げるでしょう。
催促電話がかかってきたときのNG対処法
催促電話がかかってきたときに、次のような対処をしてしまうと心証が悪くなったり不利になってしまうので気を付けましょう。
返済できる見込みがないのに約束する
債権者からの催促電話に対して、返済できる見込みがないのに簡単に約束するのはNGです。貸金業者から催促電話がかかってきたときや、自分から折り返し電話したときは、電話の内容を録音されていることがほとんど。電話がかかってくるのが面倒だったり、電話が怖くてつい「○日までに払います」と約束するのは大変危険です。
貸金業者はお金を貸したり返済を催促するプロで、法律の知識もあります。約束通りに返済できなかったときにその録音した会話を証拠として訴えられてしまうと間違いなく負けることに。また債務手続きを進めている途中での催促電話に返済すると約束すると、その後の手続きがスムーズに行かない可能性もあります。そのため返済できる見込みがないのに嘘をついて約束するのは止めてください。
何年も放置している借金を「払う」と言う
貸金業者から借金をして何年も返済していないという方は、いきなり知らない番号から電話がかかってきて借金の催促だとしても、簡単に「払う」と言ってはいけません。借金には時効があり、貸金業者からの借金の時効は5年です。5年経過していれば「時効援用(じこうえんよう)」という手続きができ、借金が時効を迎えて返済の義務がなくなります。
時効援用を成立させるためには下の3つの条件がそろっている必要があります。
- 債権の消滅時効の期間から(最後の返済から5~10年)経過している
- 上記の期間中に時効の中断事由がない
- 債権者から返済を求める裁判を起こされていない
このうち「時効の中断事由」は次のようなことをいいます。
- 裁判の請求をされていた
- 財産の差し押さえ手続きをされた
- 借金の承認行為(一部返済・払うとの意思表示・確認書の締結など)
ずっと返済していなかった借金の催促電話に「払う」と言ってしまうと時効援用の手続きができななるばかりか、今までの遅延損害金が加算されて膨大な金額になった借金を支払わなければならなくなります。中には時効の中断を狙ってあえて間隔をおいて電話してくるケースもあるため、このような電話には簡単に払うなどと言わないように注意しましょう。
債務整理することを伝える
たとえ債務整理する予定があっても、催促電話でその予定を伝えないようにしましょう。債権者からすると、債務者に債務整理されてしまうと借金を全額回収することは難しくなり、保証会社による代位弁済の手続きに移行したり、他の会社に債権を売却してしまう恐れがあります。
そうなると債務整理の手続きが難しくなるため、債務者にとっては一つもメリットがありません。もし債務整理を検討中の場合は、債務整理する予定だということはあえて伝えず、早めに弁護士などに相談することをおすすめします。
催促電話の内容と禁止行為
貸金業者の電話を無視してしまった人の中には、「どんな内容の話をするか分からなくて怖い」という人も多いのではないでしょうか。そこでこちらでは催促電話で話す内容や、貸金業者が法律で禁止されている督促の行為について解説していきます。
催促電話の内容は?
貸金業者からかかってくる電話では「〇〇様ご本人様でしょうか?」などと、まず電話に出た人が債務者本人か確認されます。本人だと確認できれば借金の滞納金額や入金の期日が伝えられ、「返済はいつ頃になるでしょうか?」と聞かれます。ここで返済が遅れたことを謝罪して、いつまでに返済可能かという具体的な日にちを伝えれば電話を終えられます。
もちろん大声で怒鳴られたり、乱暴な言葉づかいをされることもありません。理由もなく「返済できない」「いつ返せるか分からない」と一方的な会話をしたり、返済方法などの込み入った相談がない限りはごく短い電話で終わることがほとんどです。借金返済の催促電話だからといって何も怖いことはないので、電話が来たら必ず出るようにしましょう。
法律で禁止されている行為
借金の取り立てというと、テレビのドラマや映画などでは電話口で怒鳴ったり、何人もで押しかけて脅迫したり、いやがらせをするなど乱暴なイメージがありますが、このような行為は貸金業法によって禁止されています。法人登録している貸金業者がこのような取り立てをすると、違法行為となります。
貸金業法の第21条には「取立行為の規制」という項目があり、次にあげる9の行為が法律で禁止されています。
- 正当な理由なしに、不適当な時間帯(午後9時~午前8時)に取り立てを行うこと
- 債務者から事前に申出があった時間以外に電話・FAX・訪問すること
- 正当な理由なしに、勤務先などに電話などをすること
- 自宅などから退去するように求められたのに退去しないこと
- 借金やプライベートな情報を債務者以外の人に伝えること
- 第三者からお金を借りて借金を返済するように要求すること
- 債務者以外の人に代わりに借金を返済するように要求すること
- 大声で恫喝したり乱暴な言葉を使って取り立てを行うこと
- 弁護士などの専門家が介入しているのに債務者と直接連絡を取ろうとすること
催促の電話でも上のような行為は禁止されています。貸金業者は貸金業法に違反すると罰則の対象となり、貸金業の登録が抹消されてしまいます。全国規模で展開しているような大手の貸金業者ではコンプライアンス(法令遵守)がしっかりしているので、このような取り立てはほとんどありません。
違法な催促電話があったときは?
もしも上で紹介したような違法な取り立てや催促電話があったときは、次のような対処法が有効です。
業者に「通報します」と伝える
まずは業者に「違法な取り立てをしていることを警察や金融庁に通報しますよ」と伝えるだけで、取り立てや催促電話が止む場合があります。金融庁は貸金業者を束ねている監督官庁なので、「登録が取り消されるかも」と恐れた業者が違法な取り立てを止める可能性が高いです。
実際通報するかどうかは、そのあとの業者の対応を見て判断しても問題ありません。まずは毅然とした態度で通報する意思があることをしっかり伝えましょう。
証拠を確保
違法な取り立てをする業者に限って、通報することを伝えると「そんなことはしていない」とシラをきる可能性があります。そこで日ごろから接触があったときの証拠を集めておくのが重要。客観的な証拠があった方が警察なども動きやすくなるためです。具体的には次のような証拠が確保するといいでしょう。
- 業者の住所・氏名・連絡先
- やり取りした契約書などの書類
- 着信履歴やメール履歴
- 留守電のメッセージ
- 防犯カメラ映像
- 電話や会話でのやり取りを録音したもの
- 張り紙の現物や貼られた日時、現場の写真
- 違法な取り立ての内容や日時
警察に通報
もしも身の危険を感じるような取り立てがあったときは、迷わずに警察に通報してください。「これって警察に通報するほどのこと?」と思うような内容でも、早く通報しないと取り立てがエスカレートすることも。とくに次のような行為は犯罪行為に当たります。違法な取り立てに当てはまったり、以下のことをされたら警察に通報しましょう。
- 暴行罪
- 胸ぐらを掴んだり殴ったりして人に物理的な力を加えること。大声で怒鳴るなどの行為も暴行罪に当たることがある
- 脅迫罪
- 「家族が痛い目を見るぞ」「勤務先にバラすぞ」など人を脅かすようなことをいう
- 恐喝罪
- 暴行や脅迫によって人を怖がらせて金品を出すように求めてそれを受け取る行為
- 住居侵入罪
- 住居や共同住宅に住人や管理人に無断で立ち入ること
- 不退去罪
- 住居や勤務先などから退去するように求めたにもかかわらず居座る行為
- 名誉棄損罪
- 勤務先などで借金滞納を言いふらすなどで社会的信用を失わせる行為
- 業務妨害罪
- 何度も勤務先を訪れるなどして会社業務に迷惑になる行為をする
警察で上のような行為があったことが認められると刑事罰として「2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその両方」が科され、行政罰として業務停止処分や貸金業者登録の取り消しがなされます。
弁護士に相談
弁護士に相談した場合、証拠が足りないと警察で取り扱ってくれないケースでも、依頼者のために積極的に動いてくれることがあります。弁護士に相談すると次のようなメリットがあります。
- 借金の取り立て行為が法律違反かどうか判断してくれる
- 情報や証拠が少なくても、債権者に対してアクションを起こしてくれる
- 闇金の取り立てに関する被害届の提出や刑事告発のサポートをしてくれる
- 闇金や個人間の借金問題で代理人として相手と交渉してくれる
とくに刑事罰に問えない借金の取り立てについては警察が間に入って解決できません。これは「民事不介入の原則」があるためですが、このような場合でも弁護士なら依頼者のために動いてくれるでしょう。ただ注意したいのは弁護士に相談すると、お金がかかるケースがあるということ。無料で相談を希望される方は弁護士事務所のHPなどを見て、相談無料かを忘れずにチェックしましょう。
法テラス・消費生活センターに相談
法テラスや消費生活センターに相談するという方法もあります。「いきなり警察や弁護士に相談するのはちょっと…」という方は、このような機関に相談してみては?法テラスは国で設立した法的トラブルを解決する目的の機関。無料で適切な相談窓口を紹介したり、必要に応じた無料の法律相談を行っています。要件を満たせば弁護士を消化してもらったり費用を立て替えてもらうこともできます。
消費生活センターでは、闇金による強引な取り立ての相談を受け付けています。その相談をもとに適切な対策をアドバイスしてもらえたり、新たな相談先を案内してくれることも。もしも違法な取り立てで困ったときは、法テラスや消費生活センターなどに相談してみましょう。
催促電話がつらいときの対処法
催促の電話がかかってくるのがつらいけど、どうにも借金の返済ができないときは、次のような対処方法が有効です。
借金問題に詳しい弁護士に相談
どうしても借金の返済が難しいという人は、借金問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。借金の具体的な解決方法を法律に照らし合わせてアドバイスしてくれます。下で紹介する債務整理を検討している人も、まずは弁護士に相談してみましょう。
相談者一人一人に借金の内容や収入、財産の有無などが異なります。その相談者に最も合った債務整理方法が何かを判断してくれるのも借金問題に詳しい弁護士です。また「債務整理をしたいけどローン返済中のマイホームを残したい」「家族が保証人になっているが知られずに債務整理したい」という債務者の希望に合った債務整理方法を提案してくれるはずです。
債務整理を検討する
借金の返済ができないが、財産を差し押さえされたくない方は債務整理を検討しましょう。債務整理とは借金を減額したり、免責できる法律で認められた手続きのことです。債務整理には次の3つの種類があり、それぞれに減額割合や手続き方法が異なります。
- 任意整理
- 裁判所を通さずに債権者と直接交渉して利息の減額や遅延損害金のカットを求める手続き
- 個人再生
- 裁判所に申立てて借金を1/5~1/10と大幅に減額する手続き。残った借金は3年から5年かけて返済
- 自己破産
- 裁判所への申立てが認められれば借金を免責できるが免責不許可事由があったり財産が没収される
債務整理の種類によって上のように異なりますが、弁護士に債務整理を依頼することで催促電話や取り立てに関して次のようなメリットがあります。
催促電話がストップできる
弁護士に債務整理を依頼すると、債権者からの催促電話がストップできます。これは債務者の代理人として債務整理を行うことを知らせる「受任通知」が弁護士から債権者に対して送付されるためです。債権者が弁護士から受任通知を受け取った場合、取り立て行為をストップしなければならないと法律で定められています。(貸金業法第21条9号)
通常弁護士に債務整理を依頼すると、数日以内に受任通知を送付します。これにより返済の催促電話だけでなく、はがきや封書での督促や訪問による取り立てから解放されることに。取り立てがストップすることで精神的にも楽になり、前向きな気持ちにもいち早くなれるでしょう。
返済も手続き中は止められる
受任通知が債権者の元に届くと、取り立てだけでなく借金の返済も一時的に止められます。債務整理の手続きに入ると、複数の債権者の間で不公平にならないようどの債権者への返済もしてはいけないという決まりがあるためです。借金返済がストップできるということは、返済のプレッシャーから解放される以外にも、生活再建に向けての準備ができるというメリットも。
もちろん債務整理手続き後は任意整理や個人再生では返済が再開されますが、以前よりも減額された金額を無理のない期間で返済することになるので、債務整理後の返済に関してはそれほど心配する必要はありません。
弁護士に債権者との交渉を依頼できる
弁護士に債務整理を依頼した後は、債権者との交渉は弁護士にすべて任せられます。債務者本人は書類を準備するなどだけで、手続きに関する手間や時間がほとんどかからなくなります。債権者の方から電話があるときも、すべて弁護士の元に連絡がいきます。いつ業者から電話がかかってくるかと心配することもなくなるでしょう。
債務整理後の返済や貸金業者からの連絡を引き続き弁護士に依頼したい場合は、手続き中にその旨を弁護士にお伝えください。弁護士事務所によっては債務整理後の返済や債権者への対応を代行してくれるところがあります。なるべく直接債権者とやり取りしたくないという方は、債務整理を依頼する弁護士を探すときに整理後の対応についても確認するといいでしょう。
まとめ
借金の催促電話を無視すると心証が悪くなるばかりか自宅の固定電話や勤務先に電話があって、周囲の人に借金滞納のことがバレてしまいます。またそれ以降も連絡を無視し続けているとブラックリストに載ったり一括請求を受けることに。裁判所からの呼出し命令にも応じずに無視し続けていると、最後には強制執行によって財産が差し押さえられてしまうでしょう。
催促電話がかかってきたら必ず電話に出て、返済できない現状を話して返済する意思があることを伝えるのがポイント。その上で返済の相談をすると、その後の催促電話はなくなります。返済の見込みがないのに約束したり、債務整理の予定があることをうっかり漏らすと、後々不利になる恐れがあります。また違法な取り立てには警察に通報したり、弁護士に相談する対処法が有効です。
もしも催促電話がかかってくるのがどうしてもつらく、借金返済もできないようなら、弁護士に債務整理を依頼しましょう。受任通知が送付されると取り立てや借金返済がストップできます。さらには手続き中の債権者とのやり取りも代行してもらえるので、精神的負担がグッと減らせるでしょう。