複数の金融機関から借金をしていると、返済日を忘れたり、返済資金がなかったりすることがありますよね。中には別のところから借りて返済に充てるという自転車操業になっている人がいるのではないでしょうか。
返済が滞るとブラックリストに登録され、その後の融資にマイナスの影響を受けることがあります。
すでに多重債務になっている人には、借金返済を一本化する方法がおすすめです。
一本化すると複数の借入れ先がひとつになるので、その後の返済が1カ所で済みます。次々とやって来る返済日に頭を悩ませなくてもいいので精神的にも楽になりますよ。
この記事では、複数から借入れがあり返済に悩んでいる方のために、借金返済を一本化する方法や一本化のメリット・デメリットについて解説。また、一本化の審査が通らない人の特徴や、審査に通りやすくなる対策も紹介します。
借金返済の一本化とは?知っておきたい基礎知識
借金返済の一本化とは、A社から10万円、B社から30万円のように複数で借りている返済を1社にまとめることです。
具体的にどういうことをするのか、詳しく見ていきましょう。
一本化の仕組み
一本化をするには、複数の金融機関で借りている借金の残高を、一括で返済できるだけの金額を借りて一旦精算します。
方法は大きく分けると以下の2つがあります。
- 銀行系フリーローン
- 使い道が自由で最大800万円など高額融資が可能
- 消費者金融系のおまとめローン
- 借金返済一本化に特化した内容
下の表に、代表的な銀行系フリーローン、消費者金融系のおまとめローンです。
金融機関(融資限度額) | 使い道 | |
---|---|---|
銀行系フリーローン |
|
借金一本化、生活資金などさまざまな目的に利用可能 |
消費者金融系おまとめローン |
|
消費者金融の借入れ・クレジットカードのキャッシングの返済のみ |
これらを利用して現在の借入れを一括返済し、その後は一本化した金融機関に返済していきます。
一本化と借り換えの違い
一本化とよく似た言い方に「借り換え」があります。
「借り換え」は、今借りているところより金利が低い金融機関を利用して借金を一括返済することで、返済総額を減らすことができます。
借り換えは住宅ローンでよく行われます。例えばA銀行で住宅ローンを組んでいる人が、金利が低いB銀行で借りてA銀行の残額を返済するというものです。
借金の場合も同様で、Y社という消費者金融から金利18.0%で借りていた場合、金利10.0%のX銀行で借りてY社の借金を全額返済することを借り換えと言います。
一本化と債務整理の違い
借金返済の一本化は、複数の借入れ先をひとつの金融機関にまとめることで、利息を含めて返済する必要があります。一方、債務整理は借金の残額の減額や利息分の返済を免責してもらう方法です。返済総額が大幅に減少しますし、自己破産をすると借金の返済が免責されます。
債務整理には次の4つがあります。
債務整理の種類 | 内容 |
---|---|
任意整理 | 今後の利息の支払いの免責や減額、返済期間の延長などを弁護士や司法書士が貸主に交渉すること |
個人再生 | 裁判所に返済できないことを認めてもらい、残額を減らしてもらう方法 |
自己破産 | 裁判所に申立てて、残っている借金の支払いを免責してもらう方法(自分名義の財産があればそれで残額の支払いに充てる) |
特定調停 | 家庭裁判所で調停委員に債務者(借りている人)と債権者(貸している人)の間に入ってもらい和解をめざす方法 |
なお、これら4つの債務整理には、それぞれにメリットデメリットがあります。詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
債務整理の種類は4つ!メリットデメリット・変わること・向いている人を解説
申込みから一本化までの流れ
借金返済を一本化するまでの流れは、通常の借入れと同じです。
- 一本化するおまとめローンやフリーローンを選ぶ
- 申込みをする
- 審査が始まる
- 融資が実行される
- 複数の借金を完済する
- 一本化した借入を返済していく
なお、金融機関によっては、上の④と⑤が通常のローン・キャッシングと異なる場合があります。
通常のローン・キャッシングでは、カードを使ってATMから引き出したり、自分の銀行口座に借入れ金が振り込まれます。しかし、一本化するときには自分がお金を手にすることなく、直接返済先の金融機関に振り込まれるケースがあるので、事前に説明を聞いておきましょう。
借金返済を一本化するメリットとデメリット
借金返済の一本化には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。一本化を進める前に確認しておきましょう。
一本化するメリット
借金返済を一本化するメリットには、次の4つがあります。
毎月の返済額が減らせる
複数の借入れ先があると、毎月1日にA社に3万円、10日にB社に2万円、25日にC社に3万円・・・とそれぞれに返済するため、1カ月の返済額は高くなってしまいます。
しかし、一本化することで毎月の返済額を抑えることができます。以下で例を紹介します。
現在の借入れ額 | 金利 | 返済日と返済金額 | 一本化後 |
---|---|---|---|
アイフル30万円 | 18.0% | 1日に15,000円 | A銀行100万円 金利6.0% |
プロミス35万円 | 17.8% | 5日に17,000円 | |
モビット25万円 | 18.0% | 10日に13,000円 | |
レイク10万円 | 18.0% | 15日に4,000円 | |
合計100万円 | 1カ月の返済額49,000円 | 1カ月の返済額24,000円 |
消費者金融は24回払いの概算、A銀行は4年払いの概算ですが、一本化することで毎月の返済額を抑えることができます。
金利が低くなる
融資の金利は、借入れ額が多くなるほど低くなる傾向があります。1カ所から10万円、20万円といった額を複数の金融機関から借りていた時より金利が下がる可能性があるため返済が楽になります。
心理的な負担が軽減される
複数の金融機関からお金を借りていると、返済日や返済金額を忘れないようにしなければいけません。借入れ先が増えれば増えるほど返済日と返済金額の管理が大変になり、常に返済に追われるといった状況に陥りがちです。
しかも、うっかり返済を忘れると「滞納」になり、クレジットヒストリーに傷がついてしまいます。クレジットヒストリーとはキャッシングやクレジットカードの利用履歴のことで、契約内容、借りた金額、返済額や返済日、滞納などの情報が信用情報機関に登録されます。
一本化すれば返済日は月1回だけになるので、精神的な負担がかなり軽減されます。
ブラックリストに載らない
「ブラックリスト」と言われるリストは存在しませんが、過去に返済の遅れや滞納がある人、複数の金融機関から借りている多重債務者などの場合は、信用情報機関にその内容が登録されています。このことを俗に「ブラックリストに載る」と言います。
ブラックリストに登録されてしまうと、次に借入れを申し込むときに審査が通らない可能性があります。
しかし、借金の一本化は複数の借入れを1社にまとめることなので、ブラックリスト登録の対象にはなりません。今後、何かのローンを組むときにも不利にならないという点が大きなメリットだと言えます。
一本化するデメリット
一方、借金返済を一本化することはデメリットもあります。
返済期間が長くなる
一本化するときは1社からまとまった金額を借りるため、返済期間が長くなってしまいます。返済期間を長くしないと、1回の返済金額が増えてしまうからです。
ただ、毎月の返済金額は今よりも少なくなるので、浮いたお金を返済に充て、早めに完済をめざすといいでしょう。
支払い総額が増えることがある
一本化すると返済期間が長くなるため、下の表のように支払い総額が増える場合があります。
現在の借入れ額 | 総返済額(24回払いの場合) | 一本化後 |
---|---|---|
アイフル 50万円 | 599,224円 | 三井住友銀行 200万円 (金利10.0% 160回払い) |
プロミス 50万円 | 597,923円 | |
モビット 50万円 | 599,088円 | |
アコム 50万円 | 599,079円 | |
合計200万円 | 2,395,314円 | 3,136,175円 |
(金利はプロミスは17.8%、それ以外は18.0%)
このように消費者金融は銀行より金利が高いですが、返済回数が24回の場合、総返済額は2,395,314円になります。一方、銀行のフリーローンは金利は10.0%で消費者金融より低いものの返済回数が長くなり、返済総額は3,136,175円で消費者金融の返済総額より740,861円も高くなります。
ただし、支払い総額はケースバイケースで、借りる金額と金利、返済期間で異なります。実際に返済総額がどれくらいになるのかは、それぞれの金融機関で返済シミュレーションをしてみるといいでしょう。上の表で社名をクリックすると返済シミュレーションのページに移動できます。
計算は各金融機関の公式サイトにある「返済シミュレーション」というコーナーで、次の流れで簡単にできます。
- 借りたい金額を入力する
- 返済回数を入力する
- 金利を入力する
- シミュレーション開始のボタンを押す
金融機関によっては金利や返済回数が自動的に表示されるケースがありますが、希望金額や返済回数などを変えてシミュレーションしてみるといいでしょう。
借金返済の一本化はどこがいい?銀行と消費者金融の違い
借金を一本化するには銀行系のフリーローンと消費者金融系のおまとめローン、2つの方法があります。どちらがいいのか、それぞれの違いを見てみましょう。
銀行系おまとめローンの特徴
銀行では使い道が自由な「フリーローン」という商品を扱っています。借金が消費者金融だけでなく、クレジットカードのショッピングや銀行カードローンなどの返済にも使えるのが特徴です。
また、融資総額は500万円から1000万円近くまで可能なので、借金返済の一本化に使うことができます。
高額融資が可能
消費者金融の融資には「総量規制」というものがあり、年収の3分の1までしか借りられないことになっています。これは貸金業法で定められているものであり、年収が300万円の人は他社を含めて100万円までが限度になります。
第十三条
(過剰貸付け等の禁止)
過剰貸付けとは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約において、個人顧客合算額がその人の年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額の3分の1を超えること
(貸付けは住宅資金貸付契約等及び極度方式貸付けに係る契約を除く)
引用元:貸金業法
しかし、銀行は貸金業者ではないので総量規制の対象外です。そのため、年収よりも多い額を借りることができます。
なお、大手消費者金融のおまとめローンには、総量規制の対象外で年収の3分の1以上借りられるものがありますが、限度額が300万円程度で銀行のフリーローンほど高額ではありません。
キャッシング以外のローンも一本化できる
銀行系のフリーローンは、その名の通り「何に使っても自由」です。趣味の道具を買う、旅行費用に充てるなど自由であり、借金返済を一本化することにも使えます。
借金が100万円あり、他に自動車ローンが200万円、教育ローンが100万円ある人の場合、それらを合わせて400万円借りて一本化することが可能になります。
金利が低い
銀行系のフリーローンは、金利が低いのが大きなメリットです。消費者金融のおまとめローンと金利を比較してみましょう。
金融機関 | 金利 |
---|---|
りそな銀行 りそなカードローン | 年3.5%~13.5% |
三井住友銀行 カードローン | 年1.5%~14.5% |
アコム 貸金業法に基づく借換え専用ローン | 実質年率7.7%~18.0% |
プロミス おまとめローン | 実質年率6.3%~17.8% |
金利は借りる額などによって変わりますが、アコムやプロミスといった消費者金融系よりも銀行系のフリーローンの方が金利が低いことがわかります。
追加融資が可能
銀行系のフリーローンは融資限度額の範囲であれば、何度でも利用可能です。例えば融資限度額が500万円で実際に借金返済に使ったのは300万円という場合、残りの200万円までは自由に使えるということになります。
また、返済をして元金が減っていけば、その分融資限度額が増えるので、その範囲内で利用が可能になります。
審査に時間がかかる
銀行系のローンは審査に時間がかかります。
例えばイオン銀行の場合は、次のような流れで審査が行われます。
- インターネットで申込み
- 仮審査を実施
- 銀行からローン契約書が送付される
- ローン契約書と必要書類を返送する
- 本審査を実施
- 電話で契約内容を確認
- 融資が実施
仮審査、書類のやりとり、電話確認などを経るため、申込みから融資が行われるまで数日間がかかります。
参考:イオン銀行フリーローン
消費者金融のおまとめローンの特徴
次に消費者金融系のおまとめローンの特徴を見ていきましょう。
融資額が少ない
上でも少し触れた通り、消費者金融での借入れは貸金業法で「年収の3分の1まで」と定められています。そのため通常の借入れでは年収が300万円の人なら、最大でも100万円までしか借りられません。
ただ、アイフルやアコム、モビットなど大手消費者金融のおまとめローンは総量規制対象外で300万円~500万円までの融資が可能になっています。それでも銀行系のフリーローンと比較すると融資額が少ないのが特徴です。
一本化できない借金がある
複数の借金の中にクレジットカードのショッピングや銀行のカードローンがある人は要注意です。
消費者金融の会社によって多少異なりますが、おまとめローンの対象は、消費者金融から借りた分とクレジットカードのキャッシングのみとなっています。
借換えの対象となる債務は、消費者金融からの借入れ、クレジットカードでのキャッシングに限ります。(銀行のカードローン、クレジットカードのショッピング利用は対象外)
引用元:アコム 貸金業法に基づく借換え専用ローン
せっかく一本化しようと思ったのに、クレジットカードのショッピングの残高はまとめられなかったということが起こります。事前に確認しておきましょう。
金利が高い
銀行系のフリーローンは金利が低いですが、消費者金融系のおまとめローンは金利が高い傾向にあります。せっかく一本化しても、総支払い額が変わらないということになりかねないので事前によく確かめておきましょう。
多くの消費者金融では、公式サイトの中で返済のシミュレーションができるようになっています。実際に借りたい金額を入れて計算するのもいい方法です。
追加融資ができない
消費者金融系のおまとめローンは、審査が通ると自分がお金を手にするのではなく、契約した金融機関が直接他社に支払いをします。
もしあなたがA社、B社、C社の消費者金融から借りている場合、契約したMという消費者金融会社が直接その3社に返済をすることになります。
借金を一本化するのが目的のローンなので、確実に他社を完済するために使われます。そのため、それ以上に借りることはできません。
審査が早い
消費者金融系のおまとめローンは、銀行系のフリーローンと比較すると審査が早い傾向にあり、中には即日融資が可能なところもあります。
借金がふくらんで返済に行き詰まっているという場合は、一刻も早く返済したいもの。そういった人には、消費者金融系の方がおすすめです。
ただ、融資希望額が大きくなると通常の借入れよりも時間がかかる場合があるので、早めに対策を取るようにしましょう。
借金返済一本化の審査が通らない人の4つの特徴
複数の借金が一本化できれば、気分的にもかなり楽になりますが、一本化の審査は決して甘いわけではありません。
審査に通らない人には、次のような特徴があります。自分が該当していないか、チェックしてみましょう。
借金総額に対して収入が少ない
おまとめローンの審査が通らない人の特徴としてまず挙げられるのは、「借金の総額に対して収入が少ない」という点です。
おまとめローンの融資額は100万円以上、多い場合は500万円~800万円と高額融資になります。申込み額に対して収入が少ないと返済能力がないと判断されてしまいます。
返済シミュレーションをやってみて、自分の収入で返済が可能かどうかを判断してみましょう。無理なら少しでも収入を増やすなどの対策が必要です。
フリーランスや自営業など収入が不安定
最近はフリーランスとして働く人が増えていますが、フリーランスや自営業は収入が不安定という傾向があります。
仮に契約しても、金融機関に「返済できない月があるのでは?」と思われると審査は難しくなります。安定した収入があることを示すために、確定申告書などを提示するといいでしょう。
また、会社員(派遣社員・パート含む)で勤続年数が短い人も、「まだ収入が少ないのでは?」「すぐに退職して無収入になるのでは?」といった不安を抱かれると審査には不利になります。
勤続1年以上たってから申し込む方が安心です。
借入れ件数が多い
多重債務になっているから一本化を検討するわけですが、それでもあまりに借入れ件数が多いと審査は通りにくくなります。
厳密に○社以上から借りているとダメといった基準はありませんし、貸金業法・銀行業法でも借入れ件数に関する規定は設けられていません。審査基準は各金融機関によって異なりますが、特に銀行系は借入れ件数が多い人は審査が不利になると考えられます。
何度も滞納を繰り返している
過去に何度も滞納を繰り返している人は、審査が通りにくくなります。誰でも1度や2度はうっかり返済日を忘れて滞納してしまうということはありますが、たびたび繰り返している人や連続して2~3カ月返済が遅れたという人は、すでにブラックリストに登録されている可能性があります。
普段から滞納のないように気をつけましょう。
一本化の難易度を審査基準で比較
借金返済の一本化が難しいと感じる人は、少しでも審査に通りやすい金融機関を選ぶことが重要です。
金融機関によって審査基準は異なるので、比較してみましょう。
金融機関 | 金利 | 審査の難易度 |
---|---|---|
労働金庫(ろうきん)・農協 | ・変動金利/年5.825% ・固定金利/年7.0%※ (中央労働金庫 フリーローン) |
★★★★★ |
銀行・信用金庫 | 年1.5%~14.5% (三井住友銀行 カードローン) |
★★★★☆ |
大手消費者金融 | 実質年率6.3%~17.8% (プロミス おまとめローン) |
★★★☆☆ |
中小規模の消費者金融 | 年10.95~13.0% (中央リテール おまとめローン) |
★★☆☆☆ |
※団体会員の場合
このように労働金庫(ろうきん)や農協は金利が低いですが、消費者金融と比べると審査は厳しいです。
なお、労働金庫のフリーローンを利用するには次のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 労働金庫に出資して「団体会員の構成員」になる
- 生協に出資して組合員(または組合員の家族)になる
- 一般労働者
上記の中で「団体会員の構成員」になると低い金利で融資を受けることができます。
また、農協(JAバンク)のフリーローンも変動金利で年6.300%~年9.700%と低いですが、審査が厳しい、地域の農協によって取り扱い商品や金利が異なるという難点があります。
一方、中小規模の消費者金融は大手ほど知名度は高くありませんが、比較的審査が甘い傾向があります。不安な人は審査に通りやすい金融機関で申し込んでみましょう。
職業によって審査は厳しくなる?会社員、専業主婦、派遣社員~職業別にチェック
次に職業別の審査の難易度を見ていきましょう。
会社員の審査
会社員は自営業やフリーランスの人と比較すると収入が安定しているため、審査には通りやすいと言えます。
ただ、会社員だから絶対に安心というわけではありません。中でも勤続年数が短い人や過去に滞納を繰り返している人は審査は厳しくなります。普段から返済が遅れないように気をつけましょう。
公務員の審査
公務員は会社員と違って勤め先が倒産するというリスクがありません。そのため、退職するまで安定した収入が得られるという理由で、審査には通りやすいと言えます。
ただし、公務員でも勤続年数が1年未満の場合や年収の割に借入れ件数や借入れ金額が多い、過去に何度も滞納しているなどの事情があると審査は不利になります。
派遣社員の審査
派遣社員の審査は正社員や公務員と比較すると、やや厳しくなります。
派遣社員は契約期間が3年間の有期雇用契約を締結するため、正社員のように定年時まで雇用が続くというわけではありません。(60歳以上など例外もあります)
そのため、雇用形態としては不安定な状態にあります。
しかし、派遣社員の給料を時給や日給に換算すると正社員よりも高くなるケースが多く、月収・年収ベースでも正社員より高給を得ている人がいます。審査のときに年収を証明する書類を提出すれば通りやすくなると言えるでしょう。
ちなみに、上で労働金庫(ろうきん)のフリーローンは審査が厳しいと紹介しましたが、申込み条件には次のように書いてあります。
- 申込み時の年齢が満18歳以上、最終返済時の年齢が満76歳未満であること
- 同一勤務先に1年以上勤務していること
- 安定継続した年収(前年税込み年収)が150万円以上あること
- 労働金庫所定の保証協会の保証が受けられる人
これらを含めて労働金庫が定める一定の条件を満たせば、派遣社員やパート、自営業の人でも利用できます。
引用元:ろうきん 無担保フリーローン
審査が厳しい労働金庫でも派遣社員は対象となっています。年収や勤続年数、滞納などがなければ審査に通る可能性があると言えるでしょう。
パート・アルバイトの審査
結論から言うとパートやアルバイトの人がおまとめローンの審査を受けるのは厳しい面があります。パートやアルバイトは正社員と比較すると年収が少ないので、返済能力が低いと判断されがちだからです。
また、雇用が不安定で、特に不景気など雇用側の事情で解雇される可能性があるのも審査が不利になる理由のひとつです。
ただ、パートやアルバイトだから審査に落ちるというわけではなく、本人の状況によって結果が異なります。
多くのおまとめローンでは「継続して安定した収入があること」を利用の条件に挙げています。パートやアルバイトでも安定した収入があれば申込みは可能です。後は滞納がないか、直近で債務整理をしていないか、などの金融事故がないかどうかを見直してみましょう。
専業主婦の審査
おまとめローンは銀行系でも消費者金融系でも、利用条件として「安定した収入があること」を掲げています。そのため、無収入の専業主婦(主夫)が審査に通るのは難しいと言えます。
特に消費者金融では無収入の専業主婦(主夫)の場合、新規の借り入れもできません。どうしても借りたい場合は、アルバイトなどで収入を得るようにしましょう。
なお、銀行カードローンの中には配偶者に収入があれば専業主婦(主夫)でも利用できるところがあります。その場合、融資額は10万円~50万円までと低額なので、他社の借金が多い場合は完済できない可能性があります。
ブラックでも借金返済の一本化はできる?
借金返済の一本化を検討している人の中には、「自分はブラックリストに載っているから無理だろう」とあきらめている人がいるかも知れません。
もちろん絶対に審査に通るというローンはありません。それぞれの金融機関ごとに設けられた審査基準に沿って審査が行われます。
ただ、「過去に1回返済日を忘れて、督促の電話がかかってきた」というだけであきらめているとしたら、それは違います。そもそもブラックリストに載るとはどういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
ブラックリストに載る4つの条件
「ブラックリスト」という名簿のようなリストはありませんが、次の条件に該当すると事故情報が信用情報機関に登録されて、一定期間は審査が通りにくくなります。
滞納が続く
誰でも1回くらいは引き落とし日や返済日を忘れることがあるものです。そのため、1~2度の返済忘れではブラックリストに載ることはありません。
しかし、何度も返済が遅れる、督促の電話がかかってくる・・・ということになると「要注意人物」としてブラックリストに載る可能性があります。
なお、滞納は何回までならOKなのかという基準はありません。判断基準は金融機関によって異なるのですが、返済日をしっかり把握して滞納がないようにしておきましょう。
携帯電話やスマホの分割払いの遅延や滞納がある
ブラックリストに載るのは借金返済の遅れだけではありません。スマホの支払いが遅れた場合も、遅延や滞納の記録が信用情報機関に保存されます。
意外とご存じない方が多いかも知れませんが、スマホの本体代金を毎月の携帯料金(通信料金)と一緒に支払っている場合は「個別信用購入あっせん契約(分割払い)」を結んでいます。購入者を信用して分割で支払いを認められたということなので、支払いが遅れるとブラックリストに載る可能性があります。
短期間に何枚ものクレジットカードやキャッシングを申し込んだ
「A社の審査が通らないと不安だから、B社も申し込んでおこう」と軽い気持ちで複数のクレジットカードや消費者金融に申し込んでいる人はいないでしょうか?
短い期間に何社もの借入れを申し込むと、多重債務者とみなされて審査ではマイナス評価を受けるので気をつけましょう。
過去数年間で債務整理をした
自己破産や任意整理、個人再生といった債務整理をした場合は、「事故情報」として数年間その事実が信用情報機関に登録されます。
年数は内容や信用情報機関によって異なりますが、その間におまとめローンのような高額借入れを検討する場合は審査に通るのが難しいと言えます。
信用情報機関 | 保有される情報 | 保有期間 |
---|---|---|
CIC (主にクレジットカード会社が加盟) |
・契約内容(商品名・契約日・契約金額・返済回数など) ・入金履歴 ・事故情報(延滞・任意整理や自己破産など) |
契約終了後5年以内 |
JICC(株式会社日本信用情報機構) (主に消費者金融会社が加盟) |
・契約内容(商品名・契約日・契約金額・返済回数など) ・入金履歴 ・事故情報(延滞・任意整理や自己破産など) |
契約終了後5年以内 (延滞に関する情報は発生から1年) |
全国銀行個人信用情報センター (銀行が加盟) |
・契約内容(商品名・契約日・契約金額・返済回数など) ・入金履歴 ・事故情報(延滞・任意整理や自己破産など) |
5年以内 (自己破産は10年以内) |
一本化の審査に通りやすくなる対策
あきらかにブラックリストに載っている状態であれば審査に通るのは難しくなります。審査に通りやすくするために、できることをやっておきましょう。
少しでも返済して残高を減らしておく
ムダ使いを減らす、ボーナスや臨時収入があれば多めに返済に回すなどして残高を減らすようにしましょう。
借入れ総額が減れば、おまとめローンで借りる金額も抑えられる上に審査にも通りやすくなります。
滞納が続いたときは返済履歴を作ってから申し込む
滞納が続いた直後におまとめローンに申し込んでも、信用情報機関にその情報が残っているので審査はかなり不利になります。1年間はきちんと返済してから申し込むといいでしょう。
残高が少ない借入れ先は完済して借入れ件数を減らしておく
借入れ件数が多いことも審査にはマイナスの影響があります。残債が10万円以下で払えそうなところは完済して、借入れ件数を減らしておきましょう。
完済実績は審査でもプラス評価に繋がります。
勤続年数が少ない場合は一定期間が経過してから申し込む
転職して1年未満の人は「また辞めるかも知れない」と判断されがちです。また、転職直後は給料が低い、ボーナスが出ないなどの理由で年収が少ないとみなされる可能性があります。
絶対必要な条件ではありませんが、少しでもプラスの要素を増やすためにも、勤続1年ほどしてから申し込むと安心です。
まとめ
借金が増えると返済のことで頭がいっぱいになってしまいますよね。特に金利が高い消費者金融やカード会社のキャッシングは返しても元金がなかなか減らず、自転車操業になりがち。
そんなときは借金を一本化するおまとめローンがおすすめです。おまとめローンは銀行系と消費者金融系があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。自分に合った方法はどちらなのか、よく検討してみましょう。
ただ、おまとめローンは一般の借入れよりも高額になるため、審査が厳しい傾向があります。
もし一本化できなかった人には債務整理という方法も!債務整理は無理なく返済できるため精神的な負担がかなり軽減されますよ。手続きは専門家に相談するとスムーズに進むので、ぜひ利用してみましょう。