- 「闇金の借金は過払い金請求で取り返せる?」
- 「闇金被害の解決方法を知りたい」
消費者金融やカードローン会社からの借金は過払い金請求をすれば、払い過ぎた利息を返してもらえることを多くの方がご存知かと思います。それでは闇金からの借金は、過払い金請求で返金できるのでしょうか?
こちらの記事では「闇金の借金は過払い金請求が可能なのか?」という疑問を中心に、闇金と過払い金との関係やケース別の返金の可能性、お金を取り戻す方法などを解説。
さらには闇金からお金を借りたらどうなるかについてや、闇金被害で困ったときの対処法も紹介します。すでに闇金からお金を借りていて返金してもらえないか知りたいという方、借金がどうにも返済できなくて闇金からお金を借りようか考えている方は参考にして、トラブルのない解決方法を探っていきましょう。
闇金の借金は過払い金請求ができる?
過去に闇金からお金を借りたことのある人にとって、闇金の借金に過払い金請求ができるかは気になる所です。ご存知の通り、闇金は通常の貸金業者よりもはるかに高い金利でお金を貸し付けています。もしも闇金に過払い金請求できたら、たくさんの利息が戻ってくるだろうと期待してしまうのも当然でしょう。
法律的には過払い金が発生している
闇金の借金は法外に高い金利が当たり前なので、法律的には過払い金が発生していることになります。
過払い金とは?
そもそも過払い金とは、かつての利息制限法と出資法という二つの法律の隙間にある「グレーゾーン金利」で計算された利息のこと。2010年の6月に出資法が改正されるまで、貸金業者は次のような上限金利で利息を取っていました。
法律の種類 | 10万円未満 | 10万円~100万円 | 100万円以上 |
---|---|---|---|
利息制限法 | 20.0% | 18.0% | 15.0% |
出資法 | 29.2% |
上の表で見ると出資法の上限と利息制限法の上限との間には10万円未満で9.2%、10万円~100万円で11.2%、100万円以上で14.2%の開きがあります。これがいわゆる「グレーゾーン金利」です。グレーゾーン金利は利息制限法に違反しているものの、貸金業法の「みなし弁済制度」が適用されていて貸金業者に行政処分はありませんでした。
少しでも多く利息を取りたい貸金業者は出資法上限の金利を採用していたため、2000年代初めに消費者金融からお金を借りていた人に過払い金が発生していました。そしてグレーゾーン金利で借金を返済していた人には、払い過ぎた利息があるとして過払い金請求ができるという訳です。
闇金業者の金利
それでは闇金の金利は年利に直すとどのくらいになるのでしょうか?以前は10日で1割(トイチ)が基本でしたが、今では10日で3割という「超」高金利が設定されていることもあります。
- 10日で1割(トイチ)
- 年利365%
- 10日で2割(トニ)
- 年利730%
- 10日で3割(トサン)
- 年利1,095%
10日で計算されるとそれほどでもないと感じるかもしれませんが、年利に直すととんでもない数字なのは一目瞭然。もちろんこれらの金利はかつての出資法や利息制限法の上限金利よりもはるかに高く、明らかに法律に違反している状態です。返済時に利息制限法で計算された以上の利息を払っていることから、闇金からの借金に過払い金が発生していることは間違いありません。
ただし請求してもお金が戻ってこない
ただし、残念なことに闇金に過払い金請求をしても、実際にお金が戻ってくるケースはほとんどないでしょう。弁護士など法律の専門家を通じて過払い金請求をすること自体は可能ですが、返還される可能性は限りなくゼロに近いのが現実です。
闇金に過払い金請求ができない理由
それではなぜ闇金に過払い金請求をしてもお金を取り戻すことができないのでしょうか?端的に言えば「相手が闇金だから」という理由に尽きますが、次のような理由があるからと考えられます。
手続きがスムーズに進まない
闇金に過払い金請求をしても手続きがスムーズに進まないばかりか、こちらの要求に全く応じてくれない可能性があります。通常、消費者金融に対する過払い金返還の手続きは、このような手順で進みます。
- 貸金業者へ取引履歴を請求する
- 取引履歴をもとに過払い金計算を行う
- 過払い金が発生していればFAXか郵便で返還請求する
- 業者からの連絡がきて和解内容を交渉する
- 交渉がまとまれば決められた日にちに過払い金が振り込まれる
闇金に借金の取引履歴を出すよう請求しても、ほとんどの場合まともに出してくれないでしょう。逆に嫌がらせをしてきたり、逆上して脅してくることも考えられます。これは相手が弁護士でも同様です。取引履歴がなければ過払い金の計算もできない訳で、初めから手続きが進まない可能性があります。
会社名などの情報が分からない
過払い金請求を求める裁判を起こす場合、会社名や所在地などの情報が分からないと訴えられません。闇金業者の多くは拠点の情報を明らかにしていないため、裁判で訴えようと思っても訴えることすらできないという訳です。闇金を裁判をするとなると、次のような情報が必須になります。
- 業者名
- 本店の所在地
- 連絡先(固定電話・FAX)
- 代表者の氏名
- 担当者名
闇金業者の中には携帯電話ひとつだけで商売をしている業者もいて、初めから事務所を構えてない可能性も。携帯電話の番号のみが知りうる情報のため、代表者の氏名や所在地なども特定しにくいのが現状です。さらに携帯電話の名義さえ他人の可能性があるので、個人を特定することすら難しいといえます。
闇金に法律を守るメリットがない
闇金にそもそも法律を守るメリットがないので、過払い金請求をしても意味がない可能性も。闇金は法律を守らずに暴利を得ているので、「グレーゾーン金利だから」と過払い金請求をしても相手にされないことがほとんどです。少なくとも闇金は次のような行為から、法律違反を犯しています。
- 貸金業の未登録営業
- 違法な取り立て
- 法定金利以上の利息設定
貸金業として登録している業者なら、過払い金請求に応じないと会社を訴えられたり金融庁から行政処分を受けて看板に傷がつく可能性があります。しかし元からいくつもの法律を犯している闇金には、請求に応じるメリットは何もありません。よって過払い金請求をしても無視される可能性が高いでしょう。
闇金を怒らせる原因になる
むやみに過払い金請求をすると闇金を怒らせる原因になります。せっかく闇金の借金を完済して接触を絶ったにもかかわらず、過払い金請求のためにこちらから連絡をしてしまうと、過払い金請求に怒った闇金が「利息がまだ残っている」などの理由を付けて脅してくる可能性も。
闇金とはできるだけ関わらない方がいいのは当然です。自分の身の安全のためにも、闇金を怒らせる原因になるようなことはしないようしましょう。
引き受けてくれる専門家がほどんどいない
闇金に過払い金請求ができない理由の一つに、引き受けてくれる専門家がほとんどいないことが挙げられます。正規の貸金業者が相手でも、過払い金請求をするときは弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。対闇金となったら専門家に依頼することが必須になるでしょう。
しかし請求相手が闇金だと分かると、引き受けてくれる専門家を探すのが途端に難しくなります。というのも過払い金請求を弁護士や司法書士に依頼した場合、報酬は「取り戻した金額の○%」という契約になっていることがほとんど。闇金に対して過払い金請求をしても、上のような理由で取り戻せる可能性が非常に低いため、成功報酬制で契約する専門家のほとんどは引き受けてくれません。
闇金からお金を借りるとどうなる?
借金の返済を滞納していると、ブラックリストに載って他の貸金業者からお金が借りられなくなります。それでも返済や生活費でお金が必要になると、ブラックリストでもお金を貸してくれる闇金に行きつく人がいます。しかし闇金からお金を借りると、どうなるのかご存知ですか?
口座が凍結される可能性がある
お金に困って闇金から借りると、闇金に教えた銀行口座が凍結される可能性があります。それは闇金に教えた銀行口座が、犯罪などに不正利用されている可能性があるからです。不正利用されていることが分かると警察や弁護士などが詳細を確認し、あなたの口座を「犯罪利用預金口座」として認識し、口座が凍結されてしまいます。
これは「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払い等に関する法律(通称:振り込め詐欺救済法)」による措置で、闇金や振り込め詐欺などの被害を最小限に抑えるためと、被害にあった人に口座に入っているお金を分配する目的で行われます。
口座が凍結されてしまうと現金を口座に預け入れたり引き出したりできなくなるのはもちろん、光熱費の引き落とし口座に指定している場合は引き落としができなかったり、給与の振り込み口座なら給与が振り込めなくなってしまいます。
闇金からの借り入れで口座凍結されたらどうなるかについては、こちらの記事を参考にしてください。
「闇金からの借金で口座凍結されたらどうなる?3つの原因と解除方法、再び被害にあわないための対策」
借金を完済させてくれない
闇金からお金を一度でも借りると、何かと理由を付けて完済させてくれません。というのも闇金は元金を完済されることを目的としておらず、永遠に元本を返済させないことで円でも多くの利息をむさぼり取ろうとしているからです。元金を少しでも返済されると取れる利息が減ってしまうため、次のような手口で借金を完済できなくしてきます。
難癖をつけて受け取らない
実際に闇金に借りた元金と利息を耳を揃えて返そうとしても、難癖をつけて受け取らないでしょう。支払いのために連絡しても「もっと早く行ってくれないと返済には応じられない」と断られたり、わざと違う口座を教えて「期日までに返済できなかったから受け付けない」と言われることも。
このように闇金は完済されるのを防ぐため、様々な手口を講じてきます。「闇金からお金を借りてもすぐに返せばいいのでは?」と思っている人がいるかもしれませんが、一度お金を借りてしまうと返したくても返せない蟻地獄にハマってしまうことを覚えておきましょう。
「飛ばし」という手口を使う
闇金の中には完済されるのを阻止するために「飛ばし」という手口を使うことがあります。飛ばしは「ジャンプ」とも呼ばれ、「(元金の返済を)飛ばす」という意味で使われています。期日に借金を返済しても元金に充当せず、「大変だったら利息分だけでいいよ」と利息分だけを受け取ります。
これを返済のたびに続けて、元金を減らさずに利息だけを受け取って大きな利益を得ている闇金特有の手口です。たとえ無理やり借金を全て返済できたとしても、勝手にお金を振り込んできたり、無理やりお金を渡される「押し貸し」という手口を使われることも。そうなるとまた借金返済が始まってしまう訳で、また元金を返せないと闇金に利息を払い続けなければなりません。
犯罪者になる恐れがある
闇金からお金を借りて完済できないと、犯罪者になってしまう恐れがあります。毎月の利息の返済が苦しくなると闇金は、電話やメールなどをひっきりなしに送ってきてプレッシャーをかけてきます。最終的に精神的に追い詰められた利用者は、次のような犯罪行為に加担することを承諾し、やっと「完済」という扱いに。
その他にもしらずしらずのうちに犯罪者になっている可能性があるため、絶対に闇金からはお金を借りないようにしましょう。
客振りによる被害
闇金からお金を借りると「客振り」という手口で、いつの間にか警察や弁護士に犯罪者として見られてしまう可能性があります。客振りは上で説明した口座が凍結される原因にもなります。通常お金を借りる場合、貸金業者の口座からあなたの口座に直接お金が振り込まれます。しかし客振りでは、別の闇金利用者からあなたの口座にお金が振り込まれてきます。
つまり闇金は別の利用者の返済と、あなたへの貸し付けを同時に行っている訳です。お金を振り込んできた別の闇金利用者は、あなたの口座を借金の返済先と知らされています。そのため別の利用者が闇金被害を警察や弁護士に訴えると、あなたの口座が「犯罪利用預金口座」として凍結対象になってしまいます。
犯罪利用預金口座として登録されると警視庁によって「凍結口座名義人リスト」に名前が載り、そのリストは全国銀行協会を通じて各金融機関に情報が行きます。すると闇金に教えた銀行口座が凍結される以外にも、次のようなことが起こってしまいます。
- 名義が同じ他銀行の口座も凍結される
- 新規口座の開設ができなくなる
- 警察に闇金の共犯者だと疑われる
銀行口座の売却
闇金からの借金を完済とする代わりに、すでに持っている銀行口座や新規に作った銀行口座を譲るように求められることがあります。「別にお金が入っていない口座だからいいのでは?」と思うかもしれませんが、たとえ口座にお金が全く入っていなくても銀行口座を他人へ売却したり譲渡することは法律で禁止されています。
また他人に売却する目的で新たに銀行口座を作ることは、利用目的を偽って口座を開設することになり、銀行に対する詐欺罪に該当します。闇金が口座を買うのは振り込め詐欺などの犯罪に利用したり、反社会的組織の資金洗浄に利用するため。知らないうちに犯罪に使われる可能性が高いため、「闇金からの借金が無くなるから」と安易に銀行口座を売ったり譲り渡すことは絶対に止めましょう。
詐欺行為への関与
闇金は振り込め詐欺などの犯罪集団とつながっている場合が多く、借金を完済できない人に詐欺行為の片棒を担ぐように要求することがあります。詐欺集団にとって一番怖いのは警察に捕まること。被害者と直接顔を合わせる場面や、ATMからお金を引き出すような場面では警察に捕まる可能性があるため、中の人物は絶対に顔を出さず利用者にその役割をさせようとします。
振り込め詐欺では、主に次のような役割をさせられる可能性があります。
- 出し子
- 被害者が振り込んだお金を銀行やATMに行って引き出す役割
- 受け子
- 現金でお金の受け渡しをする時に、現場まで行ってお金を受け取る役割
- かけ子
- 振り込め詐欺などで実際に被害者に接触してだます役割
とくに返済が滞っている利用者に対して「今月分は払わなくていいから」と、詐欺行為に関与するように仕向けます。たとえ自分が何をしているか知らされなくても、犯罪者の手先となったことに違いありません。もしも警察に捕まってしまうと窃盗罪になり、10年以下の懲役や50万円以下の罰金に処せられる恐れがあります。
薬物の運び屋
中には闇金からお金を借りて返せなくなって、借金をチャラにしてもらう代わりに違法薬物の運び屋をしたという人がいます。暴力団や密売組織の指示で、海外から日本に覚せい剤などの薬物を密輸するように言われます。もちろん薬物を密輸したり密売することは違法行為で、見つかると警察に捕まります。
闇金からお金を借りたばかりに、自分の人生を台無しにしてしまっては仕方ありません。犯罪者にならないためには絶対に闇金からお金を借りないようにしましょう。
どうしてもお金を取り戻したいと思ったら
過去に闇金被害にあった人の中には、どうしてもお金を取り戻したいという人もいるでしょう。そんな方のために、闇金業者からお金を取り戻せるかもしれない方法について紹介していきます。
訴訟を起こして全額取り戻し請求する
闇金に対して訴訟を起こして、全額返還請求を求めることができます。上で説明した通り闇金の金利は法律違反のため、実際に貸し付けたお金は「不法原因給付」にあたります。不法原因給付とは不法の原因(法律違反など)に基づいてなされた給付のこと。
不法原因給付の被害者は法的に返済する義務を負わないだけでなく、すでに返済したお金について元本も含めて全額返還を求める権利があるのですが、実際に返還に応じる可能性は極めて低いでしょう。実店舗があって闇金の情報が分かっている場合は、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を起こして全額請求を求められます。
ただし裁判所から支払いを命じる決定が出ても支払いを無視する可能性があり、強制執行により財産を押さえようと思っても、闇金の銀行口座が判明できずに預金を差し押さえられないことも。とはいえ実際に闇金に返還請求を求めてお金が返ってきた事例もあるので、弁護士に相談するなど試してみる価値はあります。
「振り込め詐欺救済法」による分配金
通称「振り込め詐欺救済法」による被害回復分配金の支払いが受けられると、闇金に支払ったお金を取り戻せる可能性があります。上で解説した通り、この法律は振り込め詐欺や闇金による被害者を救済するための法律で、犯罪利用預金口座として不正に利用していた口座は凍結されて、その残高から返金を受けることができます。
こちらの方法は闇金と直接対峙する必要がないので危険性が少なく、闇金に過払い金請求をしたり損害賠償請求訴訟よりは返金される可能性が高いでしょう。分配金を請求するには、「被害回復分配金支払請求書」に必要事項を記入し、必要書類を添付して振込先の金融機関に提出します。申請手数料はかからず、被害者本人が手続きできるので、代理人を立てる必要もありません。
【ケース別】闇金による返金の可能性
こちらでは闇金の種類や専門家に依頼した場合など、ケース別の返金の可能性について見ていきます。自分のケースはどこに当てはまるのか参考にしましょう。
店舗実態がある場合
闇金について調査した結果として店舗を構えて営業していたり事務所の場所が分かった場合は、闇金の事務所に直接弁護士などが訪問して、返還請求したり交渉することが可能です。闇金の中には貴金属や絵画などの売買を装って、購入した人から分割代金ということで高い金利を徴収する手口があります。こうした手口の闇金が店舗や事務所を持っていることが多く見られます。
また自宅を事務所代わりにして個人で闇金業を営む者もいます。様々ある闇金の種類の中では最も返金につながりやすく、店舗があれば摘発もできるはずです。業者の中には刑事告発を恐れ、弁護士の介入が分かると返金に応じるケースも。もしも返金を求めている闇金に店舗や事務所がある場合は、弁護士に相談すれば交渉を引き受けてくれる可能性があるでしょう。
対面取引の場合
駅や路上などの場所を指定して、対面でお金のやり取りをするタイプの闇金は、うまく接触ができれば返金につなげられることも。しかし店舗や事務所を持つ闇金と異なり、弁護士などが接触しようとすると逃げられてしまう恐れがあります。そのため実際にはあまり返金につながらないのが現状です。
上手く待ち合わせ場所におびき出して闇金と接触できたとしても、返金に応じさせられる確率は五分五分というところでしょう。
090闇金の場合
携帯電話しか連絡先がない、いわゆる「090闇金」の場合は事務所や固定電話がないので、その存在を特定して返金を請求すること自体が非常に困難です。多くの090闇金はグループ単位で行動していますが、ある程度の利益が確保出来たら一度バラバラになり、また新しい携帯番号を手に入れられたら活動を再開するのが定番パターンです。
闇金からお金を借りたのであれば、すでにその闇金自体存在していない可能性があり、携帯電話にかけてもつながらなかったり、全くの他人の番号になっていることも。このように闇金への過払い金返還請求や返済したお金の損害賠償請求自体が困難で、たとえ請求できたとしても、実際にお金を取り戻せる可能性は非常に低いでしょう。
専門家に依頼した場合
「司法書士や弁護士に依頼すればどうにかなるのでは?」と思われるかもしれませんが、闇金相手だと回収できる可能性は低いままでしょう。返金額が5万円未満なら口座凍結などによるリスクよりも返金に応じた方がましだと考えて、返金に応じるケースがあります。ただしそれ以上の金額になると、たとえ弁護士に相談したとしても返金に応じてもらえる確率は低いのが現実です。
闇金被害で困ったときの対処法
闇金被害にあったら、自分だけの力で解決するのは現実的にほぼ不可能でしょう。多くの被害者は闇金からの執拗な取り立てや嫌がらせ行為などで精神的に追い詰められていることがほとんど。冷静な判断ができなくなっているだけでなく、「自分がお金を借りてしまったから…」という負い目から闇金に対して強い態度に出られません。
そういった方に闇金で困ったときの対処法をご紹介。すでに闇金被害にあっているという方は、適切な対処法を取るようにしましょう。
そもそも返済する必要がない
闇金からの借金はそもそも返済する必要がありません。いま闇金に返済途中の方はすぐにでも返済を止めることをおすすめします。闇金からの借金の金利は利息制限法や出資法よりもはるかに高い年利のため、貸付をすること自体が違法です。違法な貸付は不法原因給付に該当するため、金利はもちろん元金もすべて返済する必要はありません。
闇金側は「借りたんだから返すのが当然だろう」などと脅してきますが、それは法律の範囲内の金利で貸し付けている借金に限ります。このまま返済を続けていても借金は膨らむ一方でさらに追い込まれることに。闇金との契約自体無効で、いくら脅されても返済に応じなくてもいいということを頭に入れておきましょう。
ただし借り逃げ目的で闇金から借金すると、自分だけでなく周りの人にも多大な迷惑がかかります。
闇金からの借金を借り逃げしたらどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「闇金の借金を借り逃げするとどうなる?取り立てと闇金被害への対処法とは」
警察に通報する
闇金から暴力的な取り立てを受けたり、脅迫するような言葉で返済を迫られたときは、警察に通報しましょう。こちらは平成30年に警察庁がまとめたヤミ金融事犯の検挙状況です。
検挙事件数 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
無登録・高金利事犯 | 398 | 369 | 307 | 254 | 190 | 168 | 151 | 140 | 139 | 135 |
ヤミ金融関連事犯 | 35 | 73 | 86 | 112 | 135 | 173 | 271 | 302 | 389 | 608 |
貸金業の無登録営業や高金利による出資法違反の検挙件数は減少傾向ですが、貸金業に関連した詐欺や携帯電話不正利用防止法違反といった事件の検挙は右肩上がりです。もしこのような被害にあわれた方は、最寄りの警察署に相談することをおすすめします。
警察に捜査してもらうためには証拠集めが必須です。脅されたときの動画や音声などを取っておくほか、次のような情報を一覧にしてまとめておくといいでしょう。
- 闇金の名前
- 電話番号
- 振り込み先の口座番号
- お金を受け取った日
- 受け取った金額
- 返済した日にちと金額
他にも振り込み明細書や闇金からの着信履歴などがあれば、警察に持って行くことをおすすめします。
闇金問題に詳しい弁護士に相談
「闇金からの取り立てが厳しい…」「闇金から何とかお金を取り戻したい」という方は、闇金問題に詳しい弁護士に相談しましょう。弁護士があなたと闇金との間に入ることで、闇金に関する悩みや苦しみから解放される可能性があります。
取り立て行為が収まる
弁護士はあなたからの依頼を受けると、弁護士が代理人となったことを知らせる「受任通知」を闇金に送ります。090闇金のような電話番号しか分からない闇金には、弁護士が直接電話して介入したことを知らせます。同時に取り立て行為を辞めるように要求するため、闇金側は弁護士が付いたことを知っただけで取り立てを止める可能性があります。
理由としては、闇金側が弁護士が付いたことでこれ以上お金を取ることが難しいと判断するため。弁護士が付くことで刑事告発や口座が凍結される恐れがあることから、闇金側のデメリットが大きいため穏便に済まそうという心理が働くからです。
闇金からの返金
もしも闇金からお金を返してほしいと思うなら闇金問題に詳しく、返金実績のある弁護士を探しましょう。中には闇金専属の対策チームを組織している弁護士事務所もあり、闇金問題の解決方法をアドバイスしてくれます。また振り込め詐欺救済法による分配金を受け取りたい場合は、手続きのタイミングや方法についても教えてくれるでしょう。
警察に被害届を提出
自分ひとりだけで警察に行っても、証拠が不十分だと「事件性がないから」と取り合ってくれなかったり、刑事責任がなさそうと判断すると「民事不介入だから」といって動いてくれない場合があります。そのようなときでも、弁護士がいれば警察もスムーズに動いてくれる可能性が高いでしょう。
弁護士は依頼者の利益を守る責任があります。闇金問題に対してどのような解決方法を望むのか、あなたの希望や個別のケースに照らし合わせてベストな選択肢へ導いてくれるでしょう。
まとめ
闇金の借金には法律的に過払い金が発生していますが、会社情報が分からなかったり闇金側に返金する意思がないことから、たとえ請求しても戻ってこないことがほとんど。もしどうしても返金を希望するなら、店舗がある闇金に対しては損害賠償請求の訴訟を起こすことが可能です。また「振り込め詐欺救済法」の分配金の申請を出せば、凍結された口座の残高から返金されるケースもあります。
とはいえ闇金からお金を借りただけでも口座が凍結されてしまったり、いつまでも元金を返済させてもらえずズルズルと返済する羽目になったりする恐れがあります。また詐欺の片棒を担ぐように脅迫される、薬物の運び屋をさせられるなど、自分が犯罪者になってしまうことも。
闇金からの借金はそもそも返済の必要がありません。返済はすぐにストップして、返済を強要する暴言暴力や犯罪行為を要求されることがあったらすぐに警察に通報したり、弁護士に相談するのがおすすめ。闇金問題に強い弁護士なら、取り立て行為を止められるだけでなく、闇金からの返金を手助けしてくれたり警察に出す被害届が受理されやすくなるでしょう。