母子福祉資金が返せない時はまず福祉事務所に相談を!返済通知が届いた時の対処法や減額方法を解説

母子福祉資金が返せない時はまず福祉事務所に相談を!返済通知が届いた時の対処法や減額方法を解説
母子福祉資金が返せない時はまず福祉事務所に相談を!返済通知が届いた時の対処法や減額方法を解説

  • 「身に覚えがない母子福祉資金の返済通知が届いた!どうすればいい?」
  • 「母子福祉資金の返済ができそうになく、困っている」


母子福祉資金(母子父子寡婦福祉資金貸付金制度)とは、母子家庭(父子家庭)の親が、就労や子供の進学等によって資金が必要になったときに自治体から貸付を受けられる制度のこと。一般的な金融機関と比較してはるかに低金利で貸付を受けることができるため、十分な収入を得られない片親家庭の方が多く利用する制度です。

しかし母子福祉資金はあくまでも借金ですので、返済の義務があります。もし返済ができない時はどうすればよいのでしょうか。また自分では母子福祉資金を利用していないにも関わらず突然母子福祉資金の返済通知が届くケースも実際にあります。身に覚えがない母子福祉資金の返済通知が届いた時の対処法についても解説をしています。

 

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母子福祉資金の返済通知が届いた時の対処法

母子福祉資金(母子父子寡婦福祉資金貸付金制度)はその名称の通り、父子家庭・母子家庭を対象に低金利もしくは無利子で貸付を行う制度です。給付ではなくあくまでも借金のため返済の義務があり、当然返済が滞った場合は督促が行われています。

一般的な借金の場合、督促は滞納をした本人にのみ行われるものです。しかし母子福祉資金については借りた本人以外にも返済通知が届くことがあります。

身に覚えがない返済通知が届くケースがある

母子福祉資金を利用する際には連帯借受人(連帯債務者)、連帯保証人を設けなくてはいけない場合があります。もし本人が返済できなかった場合、連帯借受人や連帯保証人に返済を求める通知が届くようになります。

連帯借受人(連帯債務者)
債務者と連帯して債務を負担する
連帯保証人
債務者が返済できない際に代わりに返済の義務を負う人

連帯借受人と連帯保証人は然程違いがないように思えますが、条件が大きく異なります。

連帯保証人は同意が必要

連帯保証人の主な要件は以下の通り。

  • 独立した生計を営み、弁済能力があること
  • 本人と生計が別であること
  • 県内に1年以上居住しており、今後も居住予定があること

上記は神奈川県の母子父子寡婦福祉資金の案内を参考にしていますが、どの都道府県も条件はおおよそ同じです。

連帯保証人を立てる場合はその人の印鑑登録証、収入が分かる書類が必要になるため、連帯保証人になってもらいたい旨を伝えないと手続きが進められません。すなわち本人の同意が不可欠であり、もし母子福祉資金の返済通知が届いても「身に覚えがない」ということはありません。

子は連帯債務者になっている可能性が

母子福祉資金には様々な用途がありますが、修学資金や就学支度資金など子に関する資金を借りる場合、その資金の用途の対象となる子が連帯借受人(連帯債務者)にならなくてはいけません。

修学資金、就学支度資金、修業資金、就職支度資金といった児童(子)に対する資金を借り受ける場合は、この貸付けにより修学又は知識技能を習得する児童(子)も借受人と連帯して債務を負担する義務があります。
引用元:神奈川県|母子父子寡婦福祉資金

申込を行うのは子の親ですので、本人の同意なしで子を連帯借受人にすることが可能です。つまり本人が気づかないうちに連帯借受人になっている可能性があり、親が返済を怠った場合は子に身に覚えがない母子福祉資金の返済通知が届くことになります。

子の進学のために母子福祉資金を利用をしていた親が返済不能になり、10年以上経った後に成人した子に突然返済通知が届くという事例が実際に報告されています。

滞納日数に応じた違約金が加算される

母子福祉資金は無利子もしくは低金利で貸付が受けられる制度ですが、延滞をした場合はその日数に応じて違約金が発生します。違約金の計算に使用する利率は滞納している時期によって異なります。

滞納している期間 違約金(年率)
2015年3月31日まで 10.75%
2015年4月1日~2020年3月31日 5%
2020年4月1日以降 3%

2020年4月以降の延滞であれば加算される違約金は年率3%、50万円貸付を受けていた場合でも単純計算で一年あたり50万円×3%=15,000円の加算です。

しかし連帯借受人である子が返済通知を受け取った場合、10年以上延滞の状態が続いているケースは決して珍しくありません。2015年3月31日以前に延滞をしていた場合、50万円の貸付金に対し一年で加算される違約金は50万円×10.75%=53,750円。長く延滞をしていた場合は違約金だけで膨大な金額になる恐れがあります。

事情がある場合は違約金免除の申請ができる

災害や病気、失業などやむを得ない事情があった場合は加算された違約金の徴収を免除してもらえる可能性があります。

母子福祉資金を管轄する自治体ごとに指定の書式が用意されていますので、違約金の免除を受けたい期間と理由を記載し、理由を証明できる書類と一緒に福祉資金の担当部署に提出をしましょう。理由を証明できる書類がない場合は福祉資金担当者の調査を受け、免除の可否を決定することになります。

ただ違約金免除の申請方法については自治体によって対応が異なる点に注意してください。神奈川県と東京都を例に説明すると、神奈川県の場合は違約金免除については県の母子福祉資金、父子福祉資金及び寡婦福祉資金の貸付けに関する規則で以下のように定められています。

第14条 令第17条ただし書の規定により違約金の徴収免除を受けようとする者は、母子(父子・寡婦)福祉資金違約金徴収免除申請書(第23号様式)に災害その他やむを得ない理由により支払わなかったことを証明する書類を添えて市長に提出しなければならない。
引用元:神奈川県|母子福祉資金、父子福祉資金及び寡婦福祉資金の貸付けに関する規則

一方東京都の場合は違約金免除については明確に規定されておらず、書式も存在していません。違約金を免除してもらいたい場合は個別に問い合わせをする必要があります。このように地域によって差があるため、申請したい方はまず福祉事務所等に問い合わせを行うようにしてください。

返済できない時は支払猶予や免除の申請が可能

何らかの事情によって母子福祉資金の返済ができないときは支払猶予や免除の申請を行うことも可能です。猶予・免除については母子及び父子並びに寡婦福祉法によって明文化されているため、全国どの都道府県の福祉資金でも適用されます。

免除が受けられるケース

母子福祉資金の返済を免除してもらえるケースは以下の通り。

  • 貸付金を受けた人が死亡したとき
  • 貸付金を受けた人が精神・身体に重い障害を負い返済ができなくなった時

    免除が受けられるケースは本人が完全に返済不能になった時のみですので、それ以外の事由では免除は受けられません。ただし所得が著しく減った場合は、母子福祉資金の返済の一部を免除してもらえる可能性があります。

    猶予が受けられるケース

    何らかの事情で返済ができなくなった場合、申請をすることで猶予を受けることができます。具体的には以下のようなケースに当てはまった時です。

    • 災害や盗難、疾病や負傷などのやむを得ない事情で支払いができなくなった時
    • 返済期日に子が就学しているとき

    支払免除・猶予の申請をしたい場合、都道府県ごとに規定されている償還金支払猶予申請書に必要事項を記入し、証拠書類と一緒に提出をします。申請書を提出すると住んでいる自治体の市区長によって審査が行われ、免除・猶予の可否が決定します。

    免除等が受けられない場合は弁護士へ相談を

    母子福祉資金が免除されるケースは本人に返還の見込みがない場合に限ります。特段な事由があれば返済の猶予をしてもらえる可能性がありますが、自治体によって対応が異なるため必ずしも猶予が受けられるとは限りません。

    もし母子福祉資金の免除・猶予の申請を行ったにも関わらず認可されなかった場合は弁護士や司法書士へ相談をすることを強くお勧めします。母子福祉資金は自治体から貸付を受ける制度ですが、金融期間の借金と同様に債務整理の対象となります。弁護士に依頼をすることにより利子や違約金の減額交渉をしてもらうことが可能です。

    また自己破産を検討している場合、借金と同様に免責の対象とすることもできます。税金や健康保険料は非免責債権と呼ばれ、自己破産をしても返済の義務はなくなりませんが、母子福祉資金は該当しません。そのため自己破産をすることで返済の義務がなくなります。

    返済できる見込みがない方、他に借金を抱えていて苦しい方は債務整理に強い弁護士に相談をしてみましょう。

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    母子福祉資金を滞納するとどうなる?

    母子福祉資金は借金という形式ではありますが、生活に困って金融機関を頼れない片親家庭を助けるための公的支援の一つです。そのため滞納にも寛容なのでは?と思う方は少なくありません。しかし実際に母子福祉資金の返済を滞納すると金融機関の借金を滞納した時と同様に督促が行われます。

    顧客が支払う利子を利益として経営を行っている金融機関とは異なり営利目的ではないため、母子福祉資金の督促は金融機関よりは厳しくないとされています。しかし延滞を放置してよいとは言えず、実際に支払を放置していると金融機関の延滞と同様に法的措置を取られ、財産や給与を差し押さえられることもあります。

    では実際に母子福祉資金を滞納するとどのような対応を取られるのかを解説します。なお督促を行うのは各自治体のため、督促の方法や流れ、法的措置を取られるまでの期間は自治体によって違いがあるため注意してください。

    督促状が届く

    母子福祉資金の毎月の返済は、大半の自治体が口座引き落としによって行なわれています。そこで引き落としができない場合は郵便で督促状が届きます。督促状の中に支払用紙が封入されているケースもあります。

    違約金は延滞日の翌日より加算され始めますが、この時点での請求はされず、全額返還後に請求されます。

    電話や自宅への訪問での督促が行われる

    督促状が届いているのにも関わらず入金がない場合、督促の連絡がかかってくることもあります。連絡が取れない場合は訪問による督促が行われることがあります。

    また全ての自治体ではありませんが、携帯電話・自宅で連絡が取れない場合は勤務先に電話がかかってくることもあります。

    債権回収業者に委託されることも

    債権回収業者とは、返済されない債権(借金)の回収を専門にする業者のこと。母子福祉資金の貸付を管理しているのは各自治体ですが、業務削減のため督促を債権回収業者に依頼している自治体が近年増加しつつあります。

    債権回収業者の多くは成功報酬制で利益を得ており、延滞されている借金を回収すればするほど報酬が増える仕組みです。そのため債権回収業者に委託された場合、一般的な金融機関からの督促と同等、もしくはそれ以上の厳しい督促を受ける可能性が高いです。

    最終的には法的措置を取られる

    督促を行っても長い期間返済がされない場合、金融機関からの借金を延滞した時と同様に法的措置を取られる可能性があります。裁判を起こされ、銀行や不動産、給与などが差し押さえられます。

    母子福祉資金は公的支援の一つであり、利用する方は生活に困窮している方が多いことが特徴です。そのため金融機関の督促と比較すると、債権回収業者に委託されない限りは督促が厳しくないケースが多いです。しかし返済された母子福祉資金は他の家庭の母子福祉資金の資金源となるため、延滞がずっと放置されるということはありません。早めの返済を心がけましょう。

    母子福祉資金にも時効がある

    母子福祉資金の返済通知を受け取った方の中には「何年も延滞している母子福祉資金の通知が届いた」という方も多いはずです。子が連帯借受人になっていた場合、年月が経過してから返済通知が届くということもあり得ます。

    ここまででお伝えしている通り母子福祉資金は借金ですので、年月が長く経過していた場合、金融機関からの借金同様に時効が援用できる可能性があります。借金について時効が成立した場合、借金が最初から存在しなかった事になるため返済義務は一切なくなります。

    もし何年もの前の母子福祉資金の返済通知が届いた場合、長い間返済せず放置している場合はまず時効が成立しているかどうかを確認しましょう。

    時効成立の年数は貸付の時期により異なる

    母子福祉資金の時効は、民法が改正される前までは10年でしたが、民法改正により2020年4月以降の貸付については時効が5年になりました。そのため時効に該当するかを考える場合、まずはいつ貸付を受けたかを必ず確認するようにしましょう。

    貸付を受けた日 時効までの期間
    貸付日が2020年3月31日まで 10年
    貸付日が2020年4月1日以降 5年

    時効成立の条件

    時効という言葉で刑事事件を想起する方は多いはずです。刑事事件の時効は年数が経過すれば自動的に成立するようになっていますが、借金の場合は年数が経過しただけでは時効は成立しません。借金において時効が成立する条件は以下の2つ。

    • 時効の中断事由がない
    • 時効援用の手続きを行う

    時効の中断事由がない

    時効の中断事由は、時効までの期間がリセットされる事由のことを指します。借金について以下に該当する事柄があった場合は時効までの年数がゼロとなり、また1年目から数えていくことになります。

    • 借金を認める発言をしている
    • 借金の返済をしている
    • 債権者が裁判を起こしている
    • 債権者から差押えをされている

    1つ目の借金を認める発言とは「支払いを待ってほしい」「分割で支払いをしたい」等、借金があることを前提に行う発言全般を指します。1、2番目のように借金の存在を認める発言は債務の承認と呼ばれ、時効が中断される主な理由となります。

    例えば身に覚えがない支払い通知が届いた時、記載されている連絡先に一切連絡を取っていなければ時効は中断されませんが、連絡をして「減額はしてもらえないのか」と伝えると借金を認めているとみなされ、時効は中断します。

    時効援用の手続きを行う

    所定の年月が経過し、時効の中断事由がなければ自然に時効が成立するわけではなく、債権者に対して時効援用の手続きを行わないと時効にはなりません。時効援用とは債権者に時効が成立していることを主張すること。

    時効援用は口頭もしくは郵送で行うことができますが、口頭で債権者と話す場合は些細な一言が債務の承認と受け取られる可能性があるため気をつけてください。

    また、時効援用ができると思っていても実際には時効が中断しているというケースもあります。十分な年数が経過していないにも関わらず時効援用を行うと、債権者がこの先の時効成立を阻止するために法的措置を取る可能性がありますので、時効の援用をしたい場合は専門家に相談をしましょう。

    借金の時効については、以下の記事で詳しく解説をしています。時効援用を検討している方はぜひお読みください。
    借金の時効援用が失敗するケースを解説|失敗を防ぐ確認方法と失敗したときの対処法

    片親家庭が受けられる他の助成制度

    最後に、母子福祉資金の返済ができずに困っている方に向け片親家庭の方が受けられる助成制度について紹介します。もしまた利用していない制度があればぜひ積極的に利用しましょう。

    児童扶養手当

    児童扶養手当は子が18歳になる日以降の最初の3月31日まで(障害児の場合20歳まで)、つまり高校卒業までの子を養育しているひとり親に支給される手当です。片親でなくても支給を受けられる児童手当とは異なります。

    児童扶養手当を受けるためには所得制限があり、収入が規定より高い場合は受け取れる金額が削減、もしくは制度自体が受けられないため注意してください。申請は各自治体の住民課で行えます。

    参考:厚生労働省|児童扶養手当について

    住宅手当

    自治体によってはひとり親の家庭に対し家賃補助、住宅手当の支給を行っている場合があります。人口の多い自治体で助成・手当を行っているケースを簡単に紹介します。

    市区町村 支援・助成の内容
    東京都千代田区 条件に該当するひとり親家庭の家賃を一部補助
    埼玉県さいたま市 対象物件の家賃の一部を補助
    兵庫県神戸市 ひとり親の家賃を最大1万5千円まで補助

    あくまでも自治体独自の制度のため、住宅に関する制度自体を設けていない所もあります。またひとり親に限らず、子育て世代に対して家賃助成を行っている自治体もありますので、お住まいの市町村区役場に問い合わせをして確認をしましょう。

    ひとり親家庭等医療費助成制度

    ひとり親家庭等医療費助成制度とは、ひとり親家庭の子や親、もしくは養育者が医療機関にかかった時に医療費の一部、もしくは全額を助成する制度のこと。健康保険証を使用して医療機関にかかった時のみ適用され、生活保護受給世帯は対象外となります。

    申請は自治体の子育て関連を担当する窓口で行えます。自治体によって申請に必要な書類や条件が異なりますので、詳しくは自治体に確認をしてください。

    参考:東京都福祉保健局|ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親) 

    自立支援給付金事業

    自立支援給付金事業とは、ひとり親の母もしくは父の経済的な自立を支援するための事業のこと。看護師や介護福祉士など、就業のための資格取得を目的とした講座を受講することで給付金を受けることができます。

    対象となる資格は都道府県によって規定されています。前もってお住まいの市区(町村の場合は県)に問い合わせをして確認をしてください。

    参考:厚生労働省|母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について

    生活サポート基金(首都圏)

    生活サポート基金とは、ひとり親家庭に限らず生活が困窮している人に対し、生活の立て直しをサポートしている一般社団法人です。首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に住んでいる方が対象ですが、生活資金の貸付を受けることが可能です。

    生活サポート基金で貸付を受けられる「生活再生ローン」は生活費だけでなく税金の支払い、借金の返済に充てることができます。

    参考:生活サポート基金

    まとめ

    母子福祉資金は、金銭的に余裕がなく民間の金融機関からお金を借りられない母子(父子)家庭が低金利もしくは無利子で貸付を受けられる制度です。自治体が管轄する支援制度の一つではありますが、あくまでも借金という扱いのため、金融機関と同様に延滞をした場合は督促が行われます。

    収入減などが理由で返済が難しくなった場合には早めに最寄りの福祉事務所に相談し、支払を猶予してもらえるかを確認しましょう。

    また母子福祉資金の一部は子を連帯借受人として申告するという性質上、親が滞納した母子福祉資金が子に請求されるということがあります。その場合は違約金が加算され続けるため、膨大な金額に膨れ上がります。

    何年もの前の母子福祉資金の請求が届いた場合、状況によっては時効の援用が可能な可能性があります。時効の援用が困難でも、専門家を通した交渉により支払金額を大幅に減少することもできます。支払いができない母子福祉資金にお悩みの方は弁護士に相談をすることで解決の糸口が掴めますので、積極的に活用をしてください。

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