自己破産ではどこまで調べられる?破産管財人の調査内容と財産隠しのリスクを解説

自己破産ではどこまで調べられる?破産管財人の調査内容と財産隠しのリスクを解説
自己破産ではどこまで調べられる?破産管財人の調査内容と財産隠しのリスクを解説
  • 自己破産をした場合、自分のことはどこまで調べられるのか不安…
  • できるだけ財産を残したい、どこかに隠せばバレない?

自己破産は自分で手続きを行うことができますが、手続きには時間と手間がかかる上専門的知識が必要になるため、弁護士に依頼する方が多いです。しかし破産手続きの種類によっては、依頼した弁護士とは別に裁判所から選任された弁護士が破産管理人として破産手続きに関わってきます。

破産管財人は破産者の財産をチェックし、差し押さえする財産はどれくらいなのかを厳しくチェックします。また借金の理由を確認して免責を認めていいかを確認する役割も果たしています。

破産にあたり破産管財人はどれくらい調査を行うのでしょう?この記事では破産のときに財産や借金がどこまで調べられるのかについて解説します。また財産を隠したらバレるのか財産隠しがバレたときのリスクについてもまとめました。

 

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調査を行う「破産管財人」とは?

破産管財人とは破産者の財産を調査・管理して処分する人のこと。どれくらい債権があるのかを確認したり、免責を認めてよいかどうかを調査したりもします。破産法においては以下のように規定されています。

破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者
引用元:e-Gov法令検索 破産法2条12項

ある程度財産がある人、免責不許可事由がある人が破産申立を行うと、裁判所は地域を管轄している弁護士会が推薦する弁護士から破産管財人を指名します。

破産管財人を置く目的

破産管財人は財産の管理や処分を行うと定義されています。その目的は主に以下の二つ。

  • 財産隠しを防ぎ債権者を保護する
  • 免責を認めてよいか監査する

財産隠しを防ぎ債権者を保護する

破産をすると借金が全て免責される代わりに、不動産や評価額が20万円を超えるものはお金に換えられて債権者への配当に充てられます。生活や仕事に不可欠なものは没収されないとはいえ、できるだけ財産を多く残したいと思うのは当然の事です。

そこで財産を見つからないように隠そうとしたり、名義を他の人に変えようとする財産隠しという行為をする人がいます。財産隠しによって差し押さえできる財産が減るとその分債権者への配当が減ります。

免責される借金はそのまま債権者の損失になります。配当はその損失を補う役目を果たすため、配当が減ると債権者の破綻に繋がる恐れが。そのような事態を防ぐため、破産管財人が財産隠しがないかを厳しく監査する必要があります。

免責を認めてよいか監査する

また破産手続きにおいては免責不許可事由というものが設けられており、借金の理由によっては免責が認められないことがあります。例えばギャンブルや浪費などが原因で大きな借金を抱えた場合、免責は許可されません。

ギャンブルや浪費には株取引・FX取引なども含まれます。例えば投資が原因で一瞬で1000万円の負債を抱えたから破産するという状況になった場合、その損失は債権者に巡って来ることになり、あまりに不公平です。

そこで破産管財人は破産の原因が免責不許可事由に当てはまらないかどうかを確認し、債務者だけでなく債権者の財産も守る役目を果たしています。

免責不許可事由について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてお読みください。免責が下りないときの対処法についてもまとめています。
自己破産の免責不許可事由の11項目を解説!免責が下りなかったときの対処法とは?

破産管財人が選任される条件とは

破産管財人は自己破産の際に必ず選任されるわけではありません。破産管財人の役目は財産を管理し、免責不許可事由に該当しないかを確認すること。つまり財産が少なく免責不許可事由に当てはまらない場合は必要ありません。破産管財人が選定されるか否かは、破産手続きがどのように扱われるかによって決まります。

自己破産は所持している財産や状況によって同時廃止事件管財事件に分けられます。自己破産の際に財産が少ない場合、同時廃止事件として扱われるため破産管財人は選任されません。しかし管財事件になった場合は破産管財人が選定されることになります。

同時廃止と管財事件の振り分け基準

同時廃止とは、自己破産手続きの開始が決定したと同時に破産手続きが完了することを指します。どのような基準で同時廃止になるかは裁判所によって異なりますが、東京地裁の場合は以下の両方に当てはまる場合同時廃止事件として扱われます。

  • 現金が33万未満、かつ20万円以上の価値がある財産がないこと
  • 免責不許可事由に当てはまらない場合

逆に以下のいすれかに該当する場合は管財事件となり、破産管財人による調査を受けることになります。

  • 33万円以上の現金、もしくは売価20万円以上の財産がある
  • 不動産を所有している
  • 資産の調査が必要である
  • 法人・個人事業主
  • 免責不許可事由に該当する可能性がある
  • 7年以内に免責許可を受けている

破産者が土地や住宅などの不動産を所持している場合、売却することで配当に充てられるため管財事件になります。また直前に預金口座から高額の引き出しがある等、財産隠しに関する調査が必要だとみなされた場合、免責不許可事由に該当する可能性がある場合は破産管財人の調査が必要になるため、財産が少なくても管財事件として扱われます。

自己破産ではどこまで調べられる?

自己破産で調べられる内容は大きく分けて以下の3つです。

  • 財産
  • 債務
  • 免責不許可事由

自己破産とは破産者の財産を債権者に分配し、借金を免責する手続きです。そのためまずは財産をどれくらい所持しているかを正確に確認しなくてはいけません。また現在の借金すなわち債務についても確認を行い、免責をしてよい借金かどうかもチェックします。

財産

自己破産の申し立ての際には、所持している財産が分かる書類(財産目録)預金通帳のコピーを提出します。ここで申告された財産については、破産管財人がチェックを行い、ミスや虚偽の報告がないかを確認します。

チェックの対象となる財産は以下のものが当てはまります。

  • 不動産
  • 預貯金口座
  • 自動車やバイク
  • 売価20万円以上のもの(貴金属など)
  • 有価証券(株式、ゴルフ会員権、社債など)
  • 保険(医療保険、個人年金など)

調査の対象となるものは破産者本人名義のものですので、家族の財産が調査されるわけではありません。

自己破産で処分の対象となる財産については、以下の記事でさらに詳しくまとめています。
自己破産すると財産はどうなる?処分される・されない財産と財産隠しについて

債務

差し押さえした財産を債権者に公平に配当するためには、借金をしている相手の人数と金額を正確に把握しなくてはいけません。破産申し立ての際には債権者一覧表を提出しますので、それに基づいて調査を開始します。なおここで調査される債務は金融機関だけでなく、個人間でのお金の貸し借りも対象です。

破産手続を開始すると、裁判所は債務者一覧表に記載された債権者に破産債権届出書を提出するよう依頼します。そして債権者から届いた破産債権届出書を元に借金の金額を調査します。

免責不許可事由

破産手続きをすればどのような借金でも免責されるわけではありません。先に例を挙げたとおり、ギャンブルや投資でできた借金を免責するとあまりに不公平なため、免責の許可が下りません。

世の中には「破産できるから大丈夫」と考えて無計画な借金をする人もいます。そのような事を防止するために破産法第252条において免責不許可事由が定められています。免責不許可事由に当てはまる主なケースは以下の通り。

  • 財産を隠す、財産を減らそうとする行為
  • 特定の借金を優先的に返済する行為
  • 浪費、ギャンブル、株式投資が原因の借金
  • 破産の一年以内に、嘘の申告をして借金をしている
  • 財産に関する書類、提出書類の偽造
  • 裁判所や破産管財人に虚偽の説明をする、説明を拒む
  • 前回の自己破産から7年以内である

破産管財人は破産者が免責不許可事由に該当していないかどうか確認をする役目も果たします。債権者から届いた破産債権届出書や債務者の提出書類をチェックし、借金・返済の状況に不自然な点はないか、書類の偽造や財産隠しがないかなどを確認します。

破産管財人の実際の調査内容

破産者は破産管財人から調査協力の依頼をされた場合、指示に従って協力をしなくてはいけません。具体的に破産管財人はどのような調査をするのかを確認していきましょう。

提出した資料のチェック

破産管財人は破産者・債権者が提出した書類を細かく確認し、現金がどのように動いているか、借金や預金の状況に不自然な点がないかをチェックします。

破産手続きにおいてタンス貯金であればバレないだろうと考え、破産時に現金を自宅に隠す方は多いです。しかし今はあらゆる金銭のやりとりが銀行口座を通して行われるため、タンス貯金の出所も口座を介しているものが大半。現金を隠そうと思っていても、口座の出金と出費のバランスが不自然なことをきっかけにタンス預金が判明します。

また親族や知人などの個人から借金をしている方の場合、破産が相手に知られることや借金が返せなくなることを恐れ、破産手続き前に相手に借金を返済しようとする方が多いです。このように特定の債権者に優先的に返済をする行為は偏頗(へんぱ)弁済と呼ばれ、免責不許可事由に該当します。

破産管財人はそのような実例が多いことをあらかじめ把握していますので、現金の動きについては非常に念入りに確認しています。

破産者に届く郵便物のチェック

破産手続開始決定後は、破産者宛に届く郵便物は全て破産管財人に転送されるようになります。破産前に財産を隠す目的で株式や保険の手続きを行った場合、郵便物をきっかけにバレるケースが大半です。

破産者との面談

破産管財人は破産者とも面談を行い、借金をした理由やなぜ借金が増えたのかについて確認を行います。破産者に免責不許可事由がある場合は家計収支表の提出を求められ、ギャンブルや浪費をしていないか、不審な点がないかを確認されることもあります。

また不動産がある場合、どれくらいの価値があるかを確認するため現地調査も行います。破産管財人の面談や調査に応じない場合や協力しない場合、そのことが免責不許可事由になるため注意してください。

破産者に関する情報照会

破産管財人が破産者に関する調査を行う上で「詳しい調査が必要である」と判断した場合、破産管財人の権限のもと保険会社金融機関自治体などに情報を照会することがあります。実際の照会事例は以下の通り。

預貯金

破産者は普段使用していない口座も含め、原則として1~2年分の通帳の写しを提出することになっています。しかし他の書類と照らし合わせ、申告されていない口座があることが推測された場合、本人に説明を求めたり金融機関に口座情報の照会を求めたりします。貸金庫に財産を保管する人もいるため、貸金庫契約の有無を確認することもあります。

不動産

本人名義もしくは破産前に名義変更をした不動産については、破産申請時に提出した源泉徴収票などから存在が発覚します。本人が申告していない不動産があると考えられる場合、自治体役場で名寄帳(人物が市町村に所持している不動産をまとめた書類)を取得することがあります。

有価証券

株式などの有価証券については、郵送物や配当金の記録で存在が知られるケースが大半です。有価証券の存在が疑われた場合、破産管財人の権限で証券会社に照会をすることが可能です。上場株式については証券保管振替機構に開示請求を行うこともあります。

保険

保険も破産の差し押さえの対象になっているため、破産手続きの前に保険を解約し、払戻金を自宅に隠しておこうと考えている方は少なくありません。郵便物や通帳の記録で保険を解約した疑いが見られた場合、破産管財人の権限で保険会社に照会を行うことができます。

財産隠し・免責不許可事由がバレたら

自己破産において財産隠しを試みること、免責不許可事由を隠すことは決して珍しいことではなく、破産管財人もそのことを前提にして入念な調査を行っています。そのため財産隠し等の不正行為は確実にバレると考えましょう。

破産申請における不正がバレた場合、免責許可が下りなくなったり、担当している弁護士が辞任したりする可能性が高いです。また悪質とみなされた場合は刑事罰に問われることもあります。

免責許可が下りない

破産手続きにおいて虚偽の報告をすることは免責不許可事由に該当するため、免責が認められなくなります。

もし破産において免責不許可になった場合、裁判所の告知から1週間以内に即時抗告をすることで決定が覆ることがあります。即時抗告とは、地方裁判所の決定が納得できないときに高等裁判所に再審査を請求する手続きのことを指します。

ただ実際は破産で免責不許可になること自体が稀ですので、免責不許可になった時点で大きな問題があるとみなされ、不許可が覆される可能性は極めて低いです。免責許可が下りなかった場合は個人再生に切り替えることになります。

担当弁護士が辞任する

自己破産手続きを弁護士に依頼する場合は報酬を相手に支払います。つまり弁護士側はお金を得る側なので、途中で契約を破棄したり辞めたりすることはないと考えている方は非常に多いです。

しかし弁護士も人間です。債務者が悪質な嘘をついていた場合は自分では対処しきれないと判断し、弁護士側から契約を解除して辞任することがあります。弁護士が辞任するとそのまま個人再生への切替はできなくなりますので、新しく弁護士に依頼し直す必要が。

弁護士の辞任によるデメリット、免責不許可以外で弁護士が辞任するケースについては以下の記事で詳しくまとめています。
弁護士に任意整理中に辞任されたら?辞任の理由・対処法を知ってスムーズな手続きを

刑事罰に問われる

財産隠しは詐欺破産罪とされており、発覚した場合は破産手続きの前後に関わらず10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、または両方が科せられます。

1.債務者の財産を隠匿し、又は損壊する行為
2.債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
3.債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
4.債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為
引用元:e-Gov法令検索 破産法265条

これ以外にも免責不許可事由に該当する行為は刑事罰の対象となっていることに要注意。以下の罪状はそれぞれ3年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または両方が科せられます。

破産管財人に虚偽の説明を行う
説明及び検査の拒絶等の罪
指示された書類の提出を拒む
重要財産開示拒絶の罪
破産管財人の協力依頼を拒む
説明及び検査の拒絶等の罪、破産管財人等に対する職務妨害の罪

「財産を奪われたくない」という気持ちがきっかけで人生を棒に振る恐れがあります。財産隠しは絶対にやめましょう。

自己破産申請の前には弁護士に相談を

自己破産手続きにおいては、財産を多く残したいという気持ちで行った些細な行動が免責不許可事由に該当してしまう恐れがあります。

破産申請は自力でも行える手続きではありますが、スムーズに手続きを進めつつより多くの財産を残すためには破産問題に強い弁護士に手続きを依頼しましょう。弁護士は認定司法書士と違い法的代理権があるため、平日に裁判所に行けない方は代わりに手続きを進めてもらうこともできます。

弁護士に依頼するとその分費用はかかりますが、

  • 少額管財事件を選択できる
  • 財産をできるだけ多く残す手段を教えてもらえる

というメリットがあるため、結果として弁護士に依頼をしたほうがコストを抑えられることが多いです。
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少額管財事件を選択できる

破産には同時廃止事件管財事件の2種類があります。財産がある債務者の破産は管財事件として扱われることになっていますが、裁判所によっては管財事件をさらに「少額管財事件」「通常管財事件」に分けていることがあります。

少額管財事件とは、本来裁判所に支払うべき予納金を大きく抑えた手続きのこと。通常管財を行う際の予納金は最低でも50万円以上ですが、少額管財になると20万円程度にまで抑えることができます。

また手続きのスピードにも違いがあり、通常管財が半年~1年以上かかるのに対し、少額管財は3カ月程度で終わります。破産管財人との面接債権者集会への出席の回数も少なく済ませることができます。

期間 裁判所への予納金
通常管財 6カ月~1年以上 50万円以上
少額管財 3カ月程度 20万円程度

以上のように金額面を含めメリットが多い少額管財ですが、弁護士に依頼をしないと少額管財を選択できません。

弁護士を介さずに本人が申し立てをする場合はすべての手続きを破産者本人が行うことになりますが、専門的知識がない分速やかな対応ができないことがあります。その分破産管財人の負担が重くなり、少額管財の低い予納金ではバランスが取れなくなります。そのため本人申し立ての場合は通常管財のみの適用となります。

一方弁護士を介した破産手続きの場合、専門知識のある弁護士が事前に破産者の家計状況や免責不許可事由の有無をチェックできるため、破産管財人の負担が大きく軽減できます。そのため費用が低い少額管財を選択できます。

財産をできるだけ多く残す手段を教えてもらえる

借金問題に強い弁護士はどのような行為が免責不許可事由に該当するか、逆にどのような行為なら咎められないかを知り尽くしています。破産をする前にそのような弁護士に相談することにより、免責不許可事由に抵触しない範囲で財産を多く残す方法を教えてもらうことができます。

例えば退職金やボーナスの場合、破産手続きを開始するタイミングによっては差し押さえの対象になりますが、弁護士と相談し破産申請やボーナス受取の日程を調整することで多くのお金を手元に残せるようになります。また破産後に手元に残せる財産(自由財産)を裁判所との交渉で広げてもらうことも可能です。

より多くの財産を手元に残して新たなスタートを切れるよう、自己破産を検討している方は早い段階から弁護士に相談をすることをオススメします。

まとめ

自己破産で調べられることは、「財産」「債務」「免責不許可事由」の3つです。調査を行う破産管財人は提出書類や破産者に届く郵便物、照会した情報などを元に徹底的に調査を行いますので、何かを隠す、偽ることはほぼ不可能です。

もし財産隠しなどが発覚した場合、免責が許可されないだけでなく破産詐欺罪などの重い刑事罰を科されることになります。自分の財産や借金の理由を偽ることは絶対にやめましょう。

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