妻だけ自己破産できる?夫や家族への影響と後悔しないために手続き前に考えるべきこととは

妻だけ自己破産できる?夫や家族への影響と後悔しないために手続き前に考えるべきこととは
妻だけ自己破産できる?夫や家族への影響と後悔しないために手続き前に考えるべきこととは
  • 「妻だけ自己破産した場合の夫への影響は?」
  • 「妻だけ自己破産する場合の注意点が知りたい」

最近では共働き夫婦が増え、それぞれの財布が別だという夫婦も少なくありません。そのため妻が借金を抱えていることに気が付いたときには、すでに「自己破産以外に解決方法がないのでは」と追い詰められてしまうこともあるでしょう。そのような場合に夫や家族への影響がどう出るのか心配だという方がいるかもしれません。

こちらの記事では妻だけ自己破産ができるのかについてや家族への影響、手続きする前に考えるべきことについて詳しく解説していきます。妻だけ自己破産するときに気になる疑問や質問にもお答えするので、自己破産しかないと思い詰める前に参考にしましょう。

 

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目次

妻だけ自己破産はできる?

まずは一番気になる「妻だけ自己破産できるのか?」という疑問にお答えしていきます。

原則として可能

夫が自己破産しない場合でも、妻だけ自己破産することは可能です。というのもいくら夫婦であっても、借金はあくまで個人の問題として扱われるため。妻の自己破産を裁判所に申し立てても、夫が自己破産をしないことを理由に拒否されることはありません。

夫に収入がある場合

そうはいっても配偶者である夫にしっかりした収入があるのに、妻だけ自己破産できるの?と心配になる方もいるでしょう。債権者からしたら、夫婦なのだから肩代わりすべきでは?と考えてしまってもおかしくありません。しかし自己破産の手続きでは、夫やその他同居家族に収入があるかはそれほど問題になりません。

裁判所では「申立人である妻が本人の収入の範囲内で借金を返済できるか」を問題としています。夫が妻の借金の連帯保証人になっている場合を除いて、妻の借金を肩代わりする義務がなく、妻の収入の範囲内で返済が不可能と判断されると、夫に収入があっても妻だけ自己破産することは可能です。

自己破産時に提出する書類について

自己破産の申し立てをする場合、過去数カ月の家計収支表や収入証明書の提出が必要です。また同居している家族に収入がある人がいれば、家族の収入や支出についても記載しなければなりません。また申立を行う裁判所によっては、配偶者の収入証明の書類を求められることも。

夫の収入が極端に多い場合は、借金返済の協力を得ることはできないか問われることがあるかもしれません。しかし基本的には、夫に収入があるからといって、収入証明の書類を提出したからといって、妻が自己破産できなくなることはありません。

夫に借金の返済義務が移るかどうか

妻だけ自己破産する場合に気になるのは、夫に借金の返済義務が移るかどうかです。この件に関しては気を付けるべきことが3つあります。

連帯保証人になっている借金がある

妻の借金の中に夫が連帯保証人になっている借金がある場合、妻が自己破産した段階で、すべての返済義務が連帯保証人である夫に行きます。これは夫婦だからとは関係なく、連帯保証人の役割として主債務者が金銭を返済しない場合に、主債務者に代わって借金を返済することを約束した人だからです。

妻が自己破産した場合の連帯保証人については、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産すると連帯保証人はどうなる?借金の前と後&パターン別の対処法」

借金の原因が「日常家事債務」である

妻の借金の原因が日常家事債務の場合は、夫に返済義務が生じる可能性があります。日常家事債務とは日常的な生活を送るためにできた借金のことで、次のような費用が該当します。

  • 食費
  • 日用品費
  • 医療費
  • 娯楽費
  • 光熱費(水道・ガス・電気)
  • 子どもの教育費
  • 家賃

民法第761条では、日常家事債務について次のように定めています。

第七百六十一条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。

引用:民法|e-GOV法令検索

つまり妻が食費や子どもの教育費のために貸金業者から借金をした場合、夫はその借金について妻と連帯して返済義務を負うという内容です。

夫婦共有名義の借金がある

夫にも返済義務が生じる可能性があるのは、夫婦共有名義の借金があるときです。例えば夫婦共有で住宅ローンを組んだ場合、妻が自己破産すると妻の共有持分が競売の対象となります。競売を防ぐには夫が妻の共有持分を買い取る必要があるという訳です。

妻だけ自己破産したときの影響

妻だけ自己破産することは可能だということが分かりましたが、実際に妻だけ自己破産した場合、夫や他の家族、親せきなどにはどのような影響が出るのでしょうか。

直接の影響はない

自己破産の影響は、基本的に申立を行った本人にのみ生じます。夫や子ども、他の家族には直接の影響はありません。妻が自己破産したという情報が夫の勤務先に知られてしまう心配はなく、住民票や戸籍、マイナンバーカードによって他の人に知られる恐れもありません。

子どもが結婚するときに、相手方に自己破産の過去を知られる心配もないでしょう。将来夫婦が受け取る年金などにも妻の自己破産は影響しません。妻が年金を払えず年金の猶予を受けている場合には、将来受け取れる年金の金額が減少する可能性がありますが、自己破産によって年金受給権が差し押さえられる心配もありません。

自己破産した場合の家族への影響に関しては、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産すると家族はどうなる?影響が出ること・出ないことと迷惑をかけないポイントとは」

夫の信用情報

妻が自己破産すると夫の信用情報にも影響が出て、ローンを組んだりクレジットカードを新規で作成できなくなるのでは?と心配する方がいるかもしれません。しかし妻の自己破産で夫の信用情報にキズが付いたり、何か記載されるということはありません。

信用情報はあくまで妻個人のもので、夫婦間で共有されている訳でないからです。もちろん妻が自己破産すると妻の信用情報にその内容が記載されます。いわゆるブラックリスト状態となるのですが、5~10年の間は妻名義のローンを組んだりクレジットカードを作成したりできなくなります。

財産について

妻が自己破産した場合の財産について、夫名義・妻名義・共有名義それぞれの財産について分けて解説していきます。

夫名義の財産

給与や預貯金、不動産など夫名義の財産がある場合、妻が自己破産しても差し押さえの対象となる心配はありません。とはいえ、差し押さえを回避する目的で妻名義から夫名義へ変更するようなことは絶対にやめましょう。このような行為は財産隠しとみなされて、自己破産が許可されない「免責不許可事由」に該当。

自己破産そのものが認められなくなるだけでなく、名義変更した財産も没収されることになります。さらに「破産詐欺罪」とみなされると、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方の刑が科せられます。

どのくらい前だったら財産隠しとみなされないかは裁判所の判断によって分かれますが、破産申立時には過去3年以内に名義変更や贈与を行った財産について、その事実を記載しなければなりません。そのため2年以上前に名義変更することをおすすめします。事情があり2年以内に名義変更した場合は、その旨を正直に記載するようにしましょう。

自己破産で財産隠しがバレるとどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産で財産隠しがバレるとどうなる?主な手口やバレる理由、対処法を教えます」

妻名義の財産

妻名義の財産のうち99万円以上の現金や20万円以上の価値があるとみなされた以下のようなものが没収され、現金に換えられて債権者に分配されます。

  • 預貯金
  • 有価証券
  • 生命保険等の解約返戻金
  • 不動産
  • 貴金属
  • 骨とう品

預貯金や不動産など、名義が明らかになっている財産もちろん没収の対象となりますが、夫名義の財産でも妻の収入で購入し、実質的に妻だけが利用しているような場合には没収の対象となる可能性も。没収の対象となる財産は単に名義人が誰かというだけでなく、実情を見て判断されることを忘れずに。

自己破産前の名義変更の可否や注意点は、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産前に名義変更できる?名義変更の可否・注意点と財産を持ち続けたいときの対処法」

共有名義の財産

共有名義の財産、例えば夫婦共有名義でローンを組んでマイホームを建てた場合には、問題が複雑です。妻名義の持分半分は売却され、債権者への返済に充てられます。持分が競売にかけられて売却されてしまうと、見ず知らずの人との共有名義になる可能性が。

このような状態を回避するためには、他の家族などに妻名義の不動産を買い取ってもらうことが一般的な対応方法です。もしも資金が準備できないなどの事情があるときには、夫名義の持分も併せて売却した方がいいケースもあります。このようなケースでは、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

ペアローンが組めない

妻が自己破産するとブラックリスト状態となり、夫とのペアローンが組めなくなります。ペアローンとは、住宅など夫婦で持分を決め、それぞれが住宅ローンを組むというもの。これから住宅を購入しようと考えている方は、夫のみで住宅ローンを組むか妻のブラックリスト状態が解消されるまで待つ必要があるでしょう。

保証人になれない

妻がブラックリスト状態となると、夫が住宅ローンを組むときの連帯保証人や、子どもの奨学金の連帯保証人になれなくなります。場合によっては夫の収入のいで住宅ローンを組むことや、他に保証人になってくれる人がいないか探す必要があります。

子どもの奨学金の連帯保証人の場合は、夫に変更するか保証機関が連帯保証をしてくれる「機関保証」を利用するといいでしょう。毎月保証料の支払いがありますが、万が一奨学金を滞納した場合でも、代わりに返済してもらえます。その後保証機関から奨学生に対し、立て替えた分が一括請求されます。

クレジットカードの利用限度額への影響

妻が自己破産すると、夫名義のクレジットカードの利用限度額が引き下げられる可能性があります。これは妻が自己破産していたときの持っていたクレジットカードと、同じカード会社のものを夫も保有しているケースです。クレジットカード会社では、申込時だけでなく更新のタイミングで定期的にチェック(途上与信)しています。

途上与信は信用情報機関の個人情報を確認する方法と、自社にある利用状況や利用履歴を確認する方法の2種類があります。社内に記録されている申込情報から住所や固定電話などが同じだと判明すると、妻のブラックリスト状態が分かってしまうことに。社内の情報は半永久的に残るため、夫の利用限度額引き下げやカード申し込みに影響する可能性があるという訳です。

その他の影響

妻が特定の資格が必要な職業に就いて仕事をしている場合、自己破産の手続きが終わるまで「士業」と呼ばれる下記のような仕事ができなくなります。

  • 弁護士
  • 弁理士
  • 税理士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 公認会計士
  • 社会福祉労務士
  • 土地家屋調査士
  • 不動産鑑定士
  • 土地建物取引士
  • 建築士

また次のような国家資格を用いて行う仕事も、破産開始決定から復権まで制限がかかります。

  • 貸金業
  • 警備員
  • 質屋
  • 生命保険募集人
  • 旅行業の登録

破産開始決定から免責許可確定までの数カ月~1年間、妻はその資格を用いた仕事ができません。この期間は妻の収入がなくなるので、他の仕事をするか夫に支えてもらう必要があるでしょう。

夫が(連帯)保証人になっていることへの影響

夫が妻の借金の連帯保証人になっているケースでは、夫に大きな影響が出てきます。上で説明した通り、妻は自己破産によって借金の返済義務がなくなるものの、その代わり連帯保証人である夫に返済義務が移ります。このとき残額すべてを一括で支払うよう請求されるのでご注意ください。

夫に一括で支払うだけの返済能力がない場合は、妻だけでなく夫も併せて自己破産しなければならない可能性が出てきます。

親せきからの借金がある

妻が親や親族からも借金していた場合、これらの人に迷惑をかけてしまうことは避けられません。自己破産しなければならないほど借金を抱えている人の多くは、貸金業者だけでなく親や家族、親せきや友人など周囲の人からも借金をしているケースがよくあります。

自己破産はすべての借金が手続きの対象となるため、親しい人からの借金も例外ではありません。周りに迷惑をかけたくないからといって親族や友人からの借金だけを返済してしまうと、「偏頗弁済」とみなされて免責許可を受けられない可能性があります。

偏頗弁済がバレたときに起こることや回避術については、こちらの記事を参考にしてください。

「偏頗弁済はバレる?個人再生・自己破産でやりがちな例とバレた後で起こること、回避術とは」

妻だけが自己破産する前に考えること

妻だけが自己破産する前に、次のようなことを考えるべきでしょう。

他の債務整理で解決できないか

自己破産はすべての借金の返済義務がなくなるという大きなメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。

  • 一定以上の財産を処分される
  • 5年~10年ブラックリスト状態になる
  • 官報に公告される
  • 資格や職業に制限がかかる
  • 保証人に迷惑がかかる
  • 免責不許可事由がある
  • 手続きに費用や時間がかかる恐れがある
  • 周囲に知られる可能性がある

とくに手続きに費用や時間がかかれば負担が増え、周囲に知られる可能性もあります。そのような場合には自己破産以外の債務整理で解決できないか検討すべきでしょう。債務整理には自己破産以外に任意整理や個人再生という方法があります。

任意整理は裁判所を通さずに手続きできるので、周囲に知られる可能性が低くなります。また個人再生ならローン返済中のマイホームを残せる「住宅ローン特則」という制度が利用可能。とくに借金総額が少ない主婦の場合、任意整理で解決するのがおすすめ。借金状況や収入など、状況に応じて適した債務整理方法が異なります。自分にはどの債務整理方法が最適なのか知りたい方は、借金問題に詳しい弁護士に相談しましょう。

個人再生と自己破産の違いについては、こちらの記事を参考にしてください。

「個人再生と自己破産の違いとは?手続き・条件の比較や切り替え方法を教えます!」

同時廃止で手続きできるか

自己破産には「同時廃止」と「管財事件(少額管財)」の二種類の方法があり、このうち同時廃止で手続きできるかがポイントになります。同時廃止と管財事件の違いは以下の通りです。

自己破産の種類 同時廃止 管財事件
財産 換価できる財産がない(現金33三万以下・評価額20万円以下) 換価できる財産がある
手続き費用 5万円~20万円 50万円~100万円
手続き期間 3カ月~4カ月 6カ月~1年
申立人の職業 無職・パート・正社員 自営業・個人事業主
免責不許可事由の有無

一定以上の財産がある、免責不許可事由がある、申立人が個人事業主や自営業の場合、管財事件となることがほとんどです。管財事件では裁判所が選任した破産管財人が財産や破産理由の調査を行います。管財事件になると破産管財人に支払う報酬が発生するため費用が高額に。また財産を処分して分配するなどの時間がかかるのも管財事件の特徴です。

管財事件における調査内容については、こちらの記事を参考にしてください。

「破産管財人はどこまで調べる?自己破産の管財事件での調査内容・方法と財産隠しについて」

夫婦2人で自己破産した方がいい場合も

妻だけ自己破産することは不可能ではありませんが、場合によっては夫婦で自己破産した方がよいケースも。妻が自己破産を考えるような経済状況では、夫の方にも借金がある可能性は大いに考えられます。また妻の連帯保証人に夫が鳴っている場合も、夫婦2人で自己破産した方がいいことも。

もしこのような状況で妻だけが先に自己破産した後で夫も自己破産すると、費用が2倍かかってしまいます。「夫婦で自己破産した方がいいのでは?」とお考えの方は、夫婦一緒に弁護士に相談することをおすすめします。

ローン返済中のマイホームがある場合

妻が自己破産する場合に問題になりやすいのが、ローン返済中のマイホームがある場合。夫単独でローンを組んでいる場合は問題ないのですが、次のようなケースでは複雑な状況となります。

  • 夫婦の片方が主たる債務者で、もう片方が連帯保証人
  • 夫婦双方が債務者(連帯債務者)
  • ペアローン(夫婦それぞれが単独でローンを組む)

それぞれのケースで対処法が異なるので注意しましょう。

夫婦の片方が主たる債務者で、もう片方が連帯保証人

この場合は住宅の名義は、主債務者の単独になります。主債務者が妻の場合、自己破産すると連帯保証人に請求が行きます。住宅ローンのような高額な借金の場合、連帯保証人が一括で払えないので、保証人もまた自己破産することになるでしょう。

このような場合は主債務者である妻が個人再生をして「住宅ローン特則」を利用するという方法があります。成功すれば今まで通り住宅ローンを支払い続ける代わりに、住宅ローン以外の借金を大幅に減額できます。

連帯保証人になっている妻が自己破産した場合、主債務者である夫に大きな影響はありません。今まで通りローン返済を続けていれば、家に住み続けられます。ただし自己破産した妻は、弁済する資力がないとみなされて連帯保証人を続けることができなくなります。新しい連帯保証人を準備する必要があり、もし準備できなければ契約違反とみなされてローン残額の一括請求を受けるケースもあります。

夫婦がそれぞれ債務者(連帯債務者)

連帯債務者として夫婦それぞれが住宅ローンの債務者になっている場合、同じ返済義務を負うものの夫婦のどちらかが主債務者、もう片方が連帯債務者となります。あくまで住宅ローンを組むのは主債務者で、連帯債務者都の収入を合算して融資を受けることが可能に。

二人分の住宅ローン控除が受けられるなどのメリットがある一方で、夫婦の片方が自己破産すると毎月のローン返済が難しくなり共倒れになって家を失う可能性があります。このようなケースでは、金融機関と交渉して支払いスケジュールや毎月の返済金額を調整する、夫婦それぞれが個人再生の住宅ローン特則を利用するという方法で住宅を残せる場合があります。

ペアローンの場合

ペアローンとは夫婦がそれぞれで住宅ローンを組むという方法です。例えば3000万円の住宅ローンでは、夫が2000万円、妻が1000万円のローンを組むといった状況です。一般的には夫婦が互いに連帯保証人となります。ペアローンでも妻が自己破産してしまうと、夫も連鎖的に自己破産せざるを得なくなります。

住宅を維持するためには、上で紹介した連帯債務の場合と同じ手段を取る必要があるでしょう。

弁護士に相談する

妻だけ自己破産する前には、必ず弁護士に相談しましょう。多額の借金を背負い返済できなくなると、正常な判断が難しくなります。適切な借金解決方法を選ぶには、法律の専門家である弁護士に相談するのがベスト。どの手続きを選ぶべきかのアドバイスがもらえるだけでなく、手続き自体のほとんどを代理でやってもらえます。

夫婦そろって自己破産すべきか判断がつかない場合も、弁護士に聞くのが一番です。借金問題に詳しい弁護士なら、裁判所に対して「自由財産拡張の申立」を行ったり、特定の財産を処分対象から除外するよう破産管財人と交渉できます。結果として手元に残る財産を増やせる可能性も。

自己破産を弁護士に依頼しないデメリットについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産は自分でできる?手順と注意点、弁護士に依頼しないときのデメリットとは」

妻だけの自己破産に関するQ&A

妻だけ自己破産する場合の、よくある疑問や質問にお答えしていきます。

夫に内緒で手続きできる?

夫に内緒でお金を借りて返済できなくなった場合、夫に内緒で自己破産したいと考える人もいるでしょう。しかし同居家族に内緒で自己破産するのは、ほぼ不可能と思われます。夫が連帯保証人になっている場合は言わずもがなですが、そうでなくても夫の収入を証明する書類が必要になります。

また家計収支表を裁判所に提出するのに、光熱費や保険料の金額を確認するために、夫名義の通帳の写しが必要になる場合も。さらに今までクレジットカードを利用していたのに、急に現金払いのみになるのも違和感があるでしょう。

妻の借金問題は妻だけの問題ではありません。夫婦や家族全体の収支を見直す必要があるので、しっかりと家族全員で話し合って取り組んでいくべき問題です。

自己破産を理由に離婚請求されないか心配

夫に自己破産のことがバレると、離婚されないか心配だという人もいます。夫から離婚を請求された場合、妻も離婚に合意すれば夫婦はいつでも離婚可能(協議離婚)です。しかし双方の合意が得られない場合、妻が自己破産したことを理由に夫が裁判で離婚を請求するということはできません。

もっとも妻が借金を重ねた原因がギャンブルや浪費癖で、全く家庭を顧みないというケースでは「婚姻を継続しがたい事由」があるとして離婚が認められる可能性があります。

自己破産したときの離婚慰謝料については、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産したら離婚慰謝料はどうなる?請求する方法や判断のポイントを解説!」

離婚したら借金の肩代わりをしなくても済む?

自分が夫の立場の場合、自己破産した妻の借金を肩代わりしないために離婚を考える人がいるかもしれません。妻が自己破産するときに夫にも返済義務が生じるケースとして、連帯保証人・日常家事債務・共有名義の借金の3つがありますが、このうちいずれの場合でも離婚しても夫の返済義務はなくなりません。

離婚前の生活のための日常家事債務は、夫にも返済の義務があります。また不動産を共有名義のままで離婚すると、住宅ローンの契約違反とみなされて相続時にトラブルが発生する恐れも。連帯保証人は夫婦でなくなったからといって肩代わりの責任から逃れられるものではありません。

夫名義の借金も自己破産できる?

妻が夫の金銭管理をしている場合でも、夫名義の借金を妻の自己破産でゼロにすることはできません。夫名義の借金は夫の債務整理でなければ解決できないという訳です。もし夫名義のカードを使ってキャッシングをしている場合には、早急に夫に打ち明ける必要があるでしょう。

妻だけ自己破産するときの条件は?

妻だけ自己破産する場合でも夫婦そろって自己破産する場合でも、免責が許可される条件は以下の2つです。

  • 破産手続開始時点で返済不能状態であること
  • 免責不許可事由がないこと

借金をした経緯やお金の使い道によっては免責不許可事由に該当する可能性があります。また財産隠しや特定の債権者の実に返済する行為も免責不許可事由です。

その他11項目ある免責不許可事由については、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産の免責不許可事由の11項目を解説!免責が下りなかったときの対処法とは?」

免責不許可事由があるときはどうする?

もし借金の原因が浪費やギャンブルなど、免責不許可事由の場合は絶対に免責が許可されないのでしょうか。実は破産法第252条では「裁量免責」という制度があり、次のような点を見て免責が許可される可能性もあります。

  • 免責不許可事由の悪質性
  • 自己破産申立に至った経緯や事情
  • 申立人の態度や協力姿勢
  • 債権者の事情
  • 申立人の経済的な再生の可能性

たとえ免責不許可事由があっても、収入に見合った生活を心がけ、ギャンブルや浪費は止め、家計を増やす努力をする姿勢を見せれば裁判所が裁量免責を認める可能性は大いにあります。

専業主婦が自己破産するときのポイントは?

今まで専業主婦だった方が自己破産する場合、裁判所にいい印象を抱いてもらうために次のようなポイントをアピールするといいでしょう。

  • 仕事をしていなかった方は、仕事を見つけて家計収入を増やす努力をしている
  • 小遣いの範囲内で生活を送っていることをアピールできる家計簿や領収書を準備する
  • 今後は夫にも協力してもらいながら生活を立て直す姿勢を示す

とくに収入のない専業主婦の場合、夫の協力なしには手続きをスムーズに進められません。相手に借金があることを説明し、夫婦協力して生活を立て直すように努力しましょう。

まとめ

妻だけ自己破産することは、原則として可能です。夫に収入があったとしても、妻の収入で借金返済ができないとみなされれば破産が認められます。ただし夫が妻の借金の連帯保証人になっている場合やペアローンを組んでいる場合などには、同じように自己破産した方がいいケースがあります。

妻が自己破産しても、夫の信用情報や財産には影響を及ぼしません。妻名義の一定以上の財産は処分され、ブラックリスト状態にあることによるデメリットが生じます。また自己破産直前に名義を変更することや、親からの借金を優先的に返済する行為は、免責不許可事由になるので絶対にやめましょう。

妻だけ自己破産すると決める前には、同時廃止で手続きできるかや他の債務整理を利用できないか検討しましょう。また共有財産がある場合や連帯保証人になっている場合には、早めに弁護士に相談し、どのような対策がとれるかアドバイスを受けることをおすすめします。

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