- 「自己破産の免責不許可事由にはどんな行為がある?」
- 「免責が下りなかったときの対処法を知りたい」
自己破産には他の債務整理にはない「免責不許可事由」があることをご存知ですか?こちらの記事では「免責不許可事由」の11項目ある内容について、どんな行為が該当するのか具体例を交えながら詳しく紹介していきます。これから自己破産を考えている方は自分が該当しないかをチェックしましょう。
さらに免責が下りなかったときの対処法や、免責決定後に免責の取り消しができるのかという疑問も解決していきます。自己破産は借金が免責される手続きなので、借金額が多かったり返済が難しい人にとってありがたい手続き。こちらの記事を通して自己破産の仕組みや、どうして免責不許可事由があるかについて学んでいきましょう。
自己破産の「免責不許可事由」とは?
まずは自己破産の「免責不許可事由」の意味や手続きの違い、免責不許可事由に該当しなくても自己破産の手続きができないケースについて解説していきます。
借金の免責が許可されない理由のこと
自己破産の「免責不許可事由」とは、文字通り「免責(借金をゼロにすることを)不許可(許可できない)事由(原因・理由)」のこと。免責不許可事由は自己破産について定めた「破産法」という法律に、その内容が詳しく書かれています。
自己破産の手続き自体は、債務者の持っている財産を換価して債権者に平等に配当するための手続きに過ぎません。財産を手放す代わりに借金の返済義務を免除できるけれど、債権者や裁判所に対してひどい行為を行った場合は例外的に借金を免除しないということを定めたのが「免責不許可事由」です。
「非免責債権」との違い
免責不許可事由と似ている言葉に「非免責債権」というものがあります。それぞれの違いは次の通りです。
- 免責不許可事由
- それがあると免責自体が許可されないというもの
- 非免責債権
- 特定の債権のみが免責されないというもの
非免責債権は免責が許可、不許可に関わらず免責できない債権のこと。よく「非免責債権があるから免責が許可されないのでは?」と誤解される方がいますが、非免責債権があっても免責不許可事由がなければ(もしくは免責不許可事由があっても裁量免責が認められる場合)免責が許可されます。尚、裁量免責とは下で詳しく説明しますが、裁判所の判断によって免責が許可される制度のことです。
免責不許可事由がないと同時廃止になる
自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の二種類があることをご存知ですか?このうち同時廃止になるのは免責不許可事由がないときのみです。自己破産の種類には次のような違いがあります。
同時廃止 | 管財事件 | |
---|---|---|
手続き方法 | 破産手続開始決定と同時に破産手続を終了 | 借金の理由や財産を調査し、破産管財人によって財産を債権者に配当する手続き |
破産管財人の専任 | 必要なし | 必要 |
財産の有無 | 売却できる財産がない |
|
資産調査 | 必要なし | 必要 |
免責不許可事由の有無 | なし | あり |
裁判所費用 | 1万~2万円 | 20万~22万円 |
上の表で分かる通り、財産をほとんど持っていなかったり免責不許可事由がないと、費用や手間がかからない同時廃止で手続きできます。一方で、基準以上の財産を持っていたり会社の代表者の場合、免責不許可事由があるときは管財事件となり、破産管財人が裁判所によって選任されて財産や借金の原因を調査、財産を現金に換えて債権者へ配当することになります。
免責不許可事由の調査では次のようなことを調べられます。
- 免責不許可事由の内容
- 行った動機
- 行った原因
管財事件になると免責不許可事由について調べられるだけでなく、毎月家計簿を付けて管財人と面談したり、生活状況について報告する必要も出てきます。
免責不許可事由以外でも免責できない場合
免責不許可事由に該当しなくても免責されないケースがあります。
①予納金を準備できないケース
自己破産を裁判所に申し立てる場合、手続きにかかる費用として「予納金」を裁判所に納めるのですが、この予納金を準備できないと自己破産申立を裁判所に受理してもらえないため、結果として免責できません。予納金として必要な金額は上の表にもある通り、同時廃止で15,000円前後、管財事件では220,000円ほどです。
どうしても予納金を準備できない方は弁護士に相談して、申立てする時期をずらして予納金のお金を貯めてから自己破産手続をすることになります。
予納金をはじめとする自己破産にかかる費用が気になる方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産にかかる費用相場・内訳を解説!安く抑えるコツや払えないときの対処法も紹介」
②3年以内に借金を完済できるケース
収入が安定しているなどの理由で、3年以内に残債を完済できるケースも免責が認められません。自己破産ができるのはあくまで「借金が払えない状態であること」という条件に該当する人です。裁判所があなたの現在の収入で借金の完済が可能だと判断した場合は、免責が認めてもらうことができないでしょう。
判断の基準は「利子を含めない元金3年以内に完済できるかどうか」です。例えば100万円の借金があるケースでは、月々3万円を支払いにあてられるのなら自己破産ができません。もしも返済額を減らしたい場合は、自己破産以外の債務整理を検討する必要があるでしょう。
自己破産の免責不許可事由は全部で11項目
自己破産の免責不許可事由は全部で11項目あり、自己破産について定めている「破産法」の252条1項にその内容が掲載されています。ではどのようなことが免責不許可事由に該当するのか詳しく見ていきましょう。
1.債権者を害する目的で財産を処分する行為
債権者に被害を与える目的で財産を隠したり壊したり故意に処分する行為は、債務者の財産を不当に減少させる行為として免責不許可事由に該当します。
債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
例えば預金がたくさん入っている銀行口座の存在をあえて裁判所に報告しない行為や、自己破産手続で解約させられるのを防ぐために生命保険名義を親や兄弟に変えてしまう行為です。他にもお気に入りの車が処分されないように、恋人や友人に破格の値段で売り渡す行為もこれに該当します。
逆に処分の対象とならない財産を処分したり、債務者の不注意で壊してしまうなどしても免責不許可事由に当たりません。あくまで債権者に分配する資金となりうる財産の価値を不当に減少させたときのみです。
2.手続きを遅らせる目的の不当な債務負担行為
破産手続きの開始を遅らせる目的で、法外な金利でお金を借りたり信用取引で購入した商品を相場よりも安い価格で売却してお金に変える行為も免責不許可事由に該当します。
破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
例を挙げると、利息制限法で決められている法定金利よりもはるかに高い金利の闇金からお金を借りる行為や、クレジットカードでゲーム機や新幹線チケットなどを購入して安く換金する行為などです。貸金業者からお金を借りられなくなった人の中には、「どうせ自己破産で借金が無くなるんだから」とこうした行為によってお金を手に入れようとする人がいます。
しかしこれらの行為は著しく不利益な条件で債務を負担したと判断されるため、気を付けましょう。
3.特定の債権者の利益になるような支払いをする行為
特定の債権者にだけ返済したりする行為も、破産法では免責不許可事由としています。
特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
特定の債権者にだけ偏って返済する行為を「偏頗(へんぱ)弁済」といいますが、これは免責不許可事由に該当します。よくあるのが自己破産の手続きをすると借金の返済がストップできるためお金に余裕ができ、友達や親族などから借りた借金の返済にあてたというケースです。
自己破産の手続き中は借金の相手が貸金業者であっても個人であっても、特定の債権者にだけ偏って返済することは禁止されています。これが裁判所に発覚してしまうと、免責が許可されない理由になることもあります。
4.浪費や賭博が原因の借金
収入に見合わない浪費やギャンブルなどの賭博、射幸行為が原因の借金も、免責不許可事由に当たります。
浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
それぞれの行為の詳細はこちらです。
- 浪費
- 収入に見合わない趣味や買い物での散財
- 賭博
- パチンコ・パチスロ・競馬・競艇・競輪
- 射幸行為
- 株取引・先物取引・FX取引・仮想通貨取引
ただしこれらが原因の借金でも、免責不許可事由に該当するかどうかは借金の総額や収入によります。自分が該当するかは自己破産の実績が豊富な弁護士に相談するといいでしょう。
5.詐術による信用取引
破産手続き開始の申立ての一年前から破産手続き決定までの期間に、すでに借金の返済がままならないのに人をだます目的で信用取引によってお金を得る行為は、免責不許可事由になります。
破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
例えば次のような行為です。
- 嘘をついて借金の借り入れをする
- 今まで取引の無かったカード会社で借金の有無などの嘘をついてクレジットカードを作り、ショッピングに利用する
こちらの行為は破産手続開始の申立てから1年前までにさかのぼって判断されます。すでに借金が膨らみ過ぎて返済ができなかったり、返済するのを止めていることを分かっていながらあたかも借金がないかのように嘘をついてお金を借りる行為です。また書類を偽造してまでクレジットカードを作って買い物をする行為は、悪質な場合だと詐欺罪が成立する可能性があるため絶対に止めましょう。
6.帳簿や書類の隠滅、偽造など
業務や財産の状況に関する帳簿もしくは書類を隠したり偽造もしくは変造することは、免責不許可事由に該当します。
業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
隠したり偽造することが禁止されている帳簿・書類には次のような種類があります。
- 出納帳
- 仕訳帳
- 貸借対照表
- 決算書
- 確定申告書
- その他財産の状況に関する書類
上のような帳簿や書類の改ざんは、単に免責不許可事由に当たるだけでなく、自分に作成の権限がない帳簿を偽造すると「文書偽造罪」に該当する可能性があります。
7.虚偽の債権者名簿の提出
嘘の債権者名簿や債権者一覧表を裁判所に提出することも免責不許可事由に当たります。
虚偽の債権者名簿を提出したこと。
自己破産の手続きでは、申立てのタイミングで債権者名簿や債権者一覧表として、債権者の情報を全て裁判所に提出しなければなりません。しかし一部の債権者に嫌がらせをする目的などでわざとその債権者の名前だけ名簿に載せなかったり、実際には存在しない債権者を一覧表に載せたりすると免責不許可事由となります。
8.裁判所へ嘘の説明をしたり拒絶する行為
破産手続きの最中に行う裁判所による調査で、説明するのを拒んだり、嘘の説明をすることも該当します。
破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
免責不許可事由は全部で11項目あるのですが、こちらは中でも免責が許可されないリスクが非常に高い項目です。破産手続では裁判所による面接「破産審尋」や破産管財人による聞き取り調査が行われます。
このような調査に対して説明するのを拒否したり、嘘の説明をすると適切に手続きが進まないため免責不許可事由となることも。調査には真摯な姿勢で協力し、このような行為は絶対に止めましょう。
9.管財業務の妨害行為
不正の手段で破産管財人や保全管理人などの仕事を妨害すると、免責が許可されない可能性があります。
不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
管財事件による破産手続では、債務者の財産を調査・管理・処分・配当を行う破産管財人と、主に法人の財産の保全を行う保全管理人とがいます。彼らは自己破産の手続きをスムーズに進めるための職務に当たりますが、それを不正の手段で妨害する行為は免責不許可事由に当たるという訳です。ちなみに不正の手段とは暴行や脅迫、相手を欺く欺罔(ぎもう)行為などです。
10.過去7年以内に免責を受けたことがある場合
過去7年以内に免責許可の申立てがあった場合も、免責不許可事由になります。
次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
前に自己破産をしていたり、免責と同じような法律上の仕組みを利用したことがある人は、7年以内に2度目の免責は認めてもらえないことになります。ちなみにいつからいつまでを7年に数えるのかというと、以前の免責許可決定確定の日から今回の免責許可申立ての日までです。
もし2回目の自己破産をお考えの方は、こちらの記事を参考にして免責できるポイントを押さえましょう。
「2回目の自己破産を考えている方へ!免責できるポイントや1回目との違いを解説」
11.破産法上の義務違反行為
破産法上の義務違反行為があったときも、免責が許可されません。
第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。
破産法で定められている破産者の義務とは、以下の3つのことをいいます。
- 説明義務(破産法40条1項1号)
- 債権者集会などで破産に関する説明の義務
- 重要財産開示義務(破産法41条)
- 裁判所に財産に関する書類などを提出する義務
- 免責調査協力義務(破産法250条2項)
- 裁判所や破産管財人の調査に協力する義務
これらの義務について違反行為があったときは免責不許可事由となり、借金が免責されません。
不許可事由があっても免責できる?
しかし実際には免責不許可事由があっても免責が許可されるケースがあります。
裁量免責により許可が下りる場合も
上で少し説明しましたが、たとえ免責が許可されない理由があっても裁判所の判断で免責が許可される制度があります。これを「裁量免責」といい、破産法252条2項に定められています。実際にはほとんどのケースで裁量免責が行われているため、免責不許可事由があったとしても諦める必要はありません。
まずは弁護士など専門家に相談して、自分のケースが裁量免責になるかについてアドバイスを受けましょう。裁判所では裁量免責を、申立人・債権者・中立的立場の3つの視点で総合的に考慮したうえで判断します。
- 免責不許可事由の内容や借金が膨らんだ経緯、本人の更生意欲など申立人側の事情
- 債権の内容や免責に関する意見など債権者側の事情
- 免責以外の救済措置の有無など第三者的視点
それでも免責が不許可になるのは、次のようなケースに限定されます。
- 犯罪に当たる行為などきわめて悪質な場合
- 裁判所に対して虚偽の説明を繰り返し行う
- 破産手続開始後も借金の原因となった賭博や浪費を続ける
- 前回と同じ理由で2度目の破産を申立てた場合
このように故意に自分の立場が悪くなるようなことをしなければ、おおむね裁量免責により免責が許可されるでしょう。
免責観察型の管財手続きで借金を免責
大阪地方裁判所など一部の裁判所では、「免責観察型」の管財手続を運用しています。免責観察型というのは、免責できるかどうかをある程度の期間観察して決定を下すという仕組みです。大阪地方裁判所では免責不許可事由に該当するような行為があり、その内容が重大でこのままでは免責を許可するのが困難なケースでのみ、免責観察型の管財手続を行っています。
免責観察型の手続きは次のような手順で進められます。
- 破産者は毎日家計簿をつけて月に一度破産管財人のところに持参する
- 破産者が持参した家計簿をもとに破産管財人が確認し、問題がある場合は破産者を指導する
- 破産管財人による借金の経緯や財産の有無の調査
- 破産管財人により生活の立て直しが可能だと判断が出れば、意見書を裁判所に提出して免責の判断を下す
ただし破産者が事実と異なることを破産申立書に記載していたり、ギャンブルによる散財など生活態度を改善しなかった場合は、免責観察型でも免責が許可されない可能性があります。
免責にならない債権がある
上で紹介したように、免責の許可が出ても免責にならない「非免責債権」には次のようなものがあります。
- 税金
- 国民健康保険料
- 社会保険料
- 罰金
- 過料
- 損害賠償請求権
- 婚姻費用
- 養育費
- 意図的に債権者一覧表から除いた債権
ただし例外として、上で紹介した債権でも免責されるものがあります。
- 一般的な過失の交通事故損害賠償請求
- 浮気した配偶者に対して求める慰謝料
一般的な交通事故の損害賠償請求や不貞行為による配偶者への慰謝料は、自己破産手続きをすると免責されます。非免責債権である税金は税務署や自治体窓口に申し出れば分納や支払いの猶予ができる可能性も。猶予申請が認められれば延滞税を支払う必要がありません。
また国民年金には税金と同じような免除制度があり、国民健康保険にも減免できる制度があります。非免責債権が残ってしまっても諦めずに当該窓口に相談してみましょう。
免責が下りなかったときの対処方法
もしも免責が下りなかった場合は、次の二つの対処法があります。ただしどちらの方法をとるにしろ、前もって担当の弁護士に相談することをおすすめします。
即時抗告する
免責不許可の決定が不服の場合、破産法252条5項では即時抗告によって異議の申し立てができると定めています。異議申し立ての期限は、免責不許可の決定が官報に公告された翌日から2週間以内です。破産手続は住所地の地方裁判所で行いますが、即時抗告は地方裁判所よりも上の高等裁判所に申立てます。
ただし明らかに免責不許可事由に当たる行為があった場合は、即時抗告しても不許可の決定が覆ることはないでしょう。
他の債務整理を検討する
免責不許可事由により免責が許可されなかったときや、即時抗告しても棄却されたときは、自己破産以外の債務整理を検討しましょう。中でも個人再生は免責不許可事由の規定がないので、自己破産できなかった人でも債務整理できる可能性があります。
ただ個人再生は借金の金額によって1/5~1/10に減額された借金を3年から5年かけて返済していくので、安定した収入がないフリーターや無職の方、生活保護受給者は借金を減額できない恐れも。まずは弁護士に、今後どのような方法で借金問題を解決すべきか確認しましょう。
免責決定後の取り消しについて
こちらでは免責決定後の取り消しについて解説していきます。
自分で取り消すことは可能?
免責が許可されてから、例えば就職が決まるなどして収入源が確保できたとき、自分から取り消すことは可能なのでしょうか?結論からいうと、裁判所から自己破産手続き開始決定が出された後は申立てを取り下げることはできません。自分から取り消しができるのは、自己破産の手続き開始決定が出される前までです。
手続開始決定は裁判所に申立書などを提出して申立てを行った当日に決定されることもあれば、次の月まで決定が出されないこともあります。とはいえ申立てから決定まではそれほど時間がかからないことがほとんどなので、申立てを行う前までに本当に自己破産すべきかを慎重に検討する必要があります。
決定後に免責を取り消されることがある
免責許可決定が出たにもかかわらず、免責が取り消されることがあります。免責が取り消される原因は次の2つです。
- 不正行為により免責が許可されたものの債権者が免責取り消しの申立てを行った
- 詐欺破産罪により有罪の判決が出た
事実を偽って申立てし、免責が許可された後に債権者が取り消しの申立てを行った場合、免責が取り消される可能性があります。また詐欺破産罪によって有罪の判決が出た場合も、免責が取り消されます。差し押さえとなる財産を隠したり、返済するつもりがないのに自己破産前に借金を作ると詐欺破産罪に該当するので、このような不正行為は絶対に行わないようにしましょう。
まとめ
自己破産しても借金の免責が許可されない免責不許可事由には、ギャンブルや浪費の他にも故意に財産を処分したり、裁判所に嘘の説明をするなど様々な行為が該当します。ただし免責不許可事由があっても、裁量免責によって許可が下りる場合もあるので安心してください。一部の裁判所では免責観察型の手続きで許可が下りる可能性も。
また免責不許可事由がなくても予納金を準備できなかったり、3年以内に借金返済が可能だと判断された場合は免責が許可されません。免責不許可事由とは別に、免責できない税金や罰金、国民年金などの非免責債権もあるので混同しないように気を付けましょう。
もし免責許可が下りなかった場合は、即時抗告したり他の債務整理を検討するなどの方法があります。免責を自分で取り消せるのは自己破産手続き開始決定が出される前までです。いずれの場合も不明な点があったときは、担当の弁護士に相談して適切なアドバイスを受けることをおすすめします。