- 「任意整理するとどんなことが信用情報に載る?」
- 「任意整理後に早く信用情報を回復する方法が知りたい」
任意整理をはじめとする債務整理をすると、個人信用情報に事故情報として掲載されることはご存知かもしれませんが、具体的にどんな内容が載っているのかや掲載期間について知らない方も多いのではないでしょうか。こちらの記事では任意整理のときに気になる信用情報について詳しく解説。
また事故情報として登録されるとできないこととその対処法では、任意整理前のような普段の生活を送れる工夫を紹介。さらに信用情報を回復するためのポイントもお教えするので、これから任意整理をお考えの方は参考にしてなるべく不便の無い生活にしたり、早めに事故情報の掲載を消す努力をしましょう。
任意整理で掲載される信用情報とは
任意整理をすると信用情報に「事故情報」として掲載されますが、そもそも信用情報にはどんなことが載っているのでしょうか。普段皆さんが目にすることのない信用情報は、信用情報機関によってあなたの個人情報が蓄積され、ローンの申し込みのときなどに本人に支払い能力があるかを判断するために活用されます。
掲載される内容・されない内容
信用情報とは簡単に言うと借金の申し込みや取引などを登録した個人情報のこと。クレジットカードの新規作成や割賦払いの申し込みをするときに、カード会社や金融機関がその申し込みを通していいのかチェックするために信用情報機関に個人信用情報を照会します。まずは信用情報として掲載される内容と掲載されない内容について見ていきましょう。
掲載される内容
個人信用情報に掲載される内容は、主に次の5つ。
- 利用者に関する情報
- 契約・申し込みに関する情報
- 借り入れ・支払いに関する情報
- 加盟会社による利用記録
- 事故情報(異動情報)
それぞれどんな内容が掲載されるのか詳しく解説していきます。
利用者に関する情報
信用情報にはクレジットカードやローンの申し込みのときに、申込書に記入する利用者に関する次のような情報が掲載されます。
- 氏名
- 郵便番号
- 住所
- 電話番号
- 免許証など本人確認書類の紛失・盗難
氏名や住所のほか、本人から連絡のあった本人確認書類の紛失・盗難などの情報も載っています。これらは照会された日から6カ月~最長1年間保有されます。
契約・申し込みに関する情報
ローン申し込みやクレジット契約に関する下のような情報も載っています。
- 契約した会社
- 契約の内容
- 商品名
- 申込日
- 契約日
- 契約額
- 請求額
- 入金履歴
- 残高
- 返済状況
- 異動の有無
- 完済日
契約や申し込み内容に関する情報は最長で5年間、すべての信用情報機関に掲載されます。
借り入れ・支払いに関する情報
借り入れの状況や返済状況に関する情報も、信用情報機関に保有されます。
- 商品名
- 借入日
- 借り入れ金額
- 返済予定日
- 入金日
- 残高
- 完済日
- 延滞日
こちらも契約に関する情報と同様、掲載期間は最長5年です。
加盟会社による利用記録
各信用情報機関に加盟している金融機関が、申し込みの審査などに利用するために信用情報を確認した記録も残されています。
- 金融機関名
- 確認日
- 確認の目的
必ずどんな目的で確認したかも、信用情報に残しておく必要があります。
事故情報(異動情報)
返済が滞ったり債務整理したという情報は、ネガティブ(事故)な情報として記録されます。これが事故情報と呼ばれ、「異動情報」という場合もあります。俗にいう「信用に傷がついた」「ブラックリストに載った」という状態です。事故情報には次のような内容が掲載されます。
- 返済を3カ月以上滞納した
- (住宅を)任意売却した
- 裁判をして競売にかけられた
- 代位弁済を行った
- クレジットカードなどが強制解約になった
- 延滞解消
- 債務整理(任意整理・個人再生・特定調停・自己破産)
任意売却とはローンを借りている銀行などの合意を得て不動産を売却できる方法のこと。通常はローンが残っていると売却できませんが、税金やローンの滞納で家が競売にかけられる前に比較的高い値段で売ることができる売却方法です。
代位弁済とは銀行で借りた借金の支払いが滞納しているとき、契約時に定めた保証会社が債務者に代わって返済を行うことです。これらの事故情報は3つある信用情報機関のすべてで共有され、どこの金融機関で借り入れしようと思っても申し込みの時点で確認されて借り入れができません。
これらの情報は信用情報機関や内容によって掲載期間が異なります。
掲載されない内容
一方で信用情報に掲載されない内容もあります。
過払い金返還請求
債務整理などと同じように考えられている過払い金返還請求ですが、実際に請求を行い過払い金が発生していれば事故情報として登録されません。過払い金返還請求とは利息制限法と出資法の上限金利の間にあった「グレーゾーン金利」で借金を返済していた方に、払い過ぎた利息を取り戻せる権利のこと。
すでに借金を完済している人も多く、払い過ぎた利息を取り戻すという権利を行使しているだけなので、実際に過払い金が発生していれば信用情報に登録されません。ただし債務整理の手続きに際して過払い金返還請求をしたものの、結果として過払い金が発生しておらず債務が残っていると、債務整理せざるを得ず事故情報として登録されることになります。
他にも次のような内容は信用情報に登録されません。
- 人種
- 思想信念
- 犯罪歴
- 保健医療に関する情報
信用情報を扱う機関について
信用情報を扱う信用情報機関は、加盟しているクレジットカード会社や銀行などから個人信用情報を得て、利用者の契約や返済に関する情報をストックしておく機関です。加盟金融機関の求めに応じてローン申し込み時の審査のときに、申込者の信用情報を照会して審査の判断に活用します。
業種ごとに3社ある
信用情報機関には加盟している金融機関の業種によって3種類あります。日本の銀行や消費者金融、クレジットカード会社のほとんどがいずれかもしくは複数の信用情報機関に加盟しています。
信用情報機関名 | 主な加盟業種 |
---|---|
日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融・リース会社・保証会社・信販会社 |
割賦販売法・貸金業指定信用情報機関CREDIT INFORMATION CENTER(CIC) | 信販会社・クレジットカード会社 |
全日本銀行個人信用情報センター(KSC) | 銀行・信用金庫・労働金庫・農協・銀行系クレジットカード会社 |
上の3つの情報機関は他の情報機関とネットワークで連携し、情報の交流を行っています。
任意整理の取り扱い
債務整理の中でも任意整理の取り扱いは各機関で異なります。
信用情報機関名 | 任意整理の取り扱い |
---|---|
JICC | 異動情報として「異参サ内容」欄に「債務整理」という情報が登録される。 |
CIC | 任意整理したことを直接掲載する仕組みがない。(経過情報欄に「支払条件変更」と登録されることもある) 「約定返済日より61日以上または3カ月以上支払が延滞しているもの」と定義される延滞情報として、任意整理よりも前に事故情報として登録される。 |
KSC | 任意整理について直接掲載する仕組みがない。 延滞や代位弁済などの情報が事故情報として登録される。 |
JICC以外は任意整理のことを直接掲載する仕組みがありませんが、滞納したり代位弁済したという情報は掲載されます。
任意整理での信用情報の掲載期間
任意整理をしたという信用情報はどの位の期間掲載されるのでしょうか。
信用情報機関ごとの掲載期間
3つある信用情報機関ごとの掲載期間は次の通りです。
信用情報機関名 | 登録内容 | 掲載期間 |
---|---|---|
JICC | 任意整理 | 2019年9月30日以前の契約分…登録から5年間 2019年10月1日以降の契約分…契約終了(完済)から5年間 |
CIC | 代位弁済 延滞 |
契約期間中および契約終了後5年以内 延滞解消(完済)の日から5年以内 |
KSC | 代位弁済 延滞 |
登録から5年以内 延滞解消の日から5年以内 |
先ほど説明した通り、CICやKSCでは任意整理を直接掲載する仕組みがありません。しかし借金の延滞や代位弁済という情報は事故情報として掲載されるため、上のような掲載期間となります。
回復したかの確認方法は?
自分の信用情報が回復したかの確認は、本人であれば必要書類を準備してそれぞれの信用情報機関に開示申請するとできます。債務整理をした情報が消えるタイミングは、それぞれの信用情報機関によって異なります。そのうち一つでも事故情報が残っていると「そろそろ事故情報が消えたかな」と思ってローンの申し込みをしても審査に通らない場合も。
審査に通らなかったという情報も事故情報として掲載されてしまうため、さらに半年程度その記録が残ってしまいます。もしも掲載期間明けに新しくクレジットカードを作る場合や、住宅ローンを組みたい場合は3つの機関すべてで開示請求を行った方がいいでしょう。それぞれの開示方法や必要書類は以下の通りです。
信用情報機関名 | 開示方法 | 必要書類 | 手数料(税込) |
---|---|---|---|
JICC | 窓口(2021年9月より当面の間休止) |
|
500円 |
郵送 | 1,000円 | ||
スマートフォン |
|
1,000円 | |
CIC | 窓口 |
|
500円 |
郵送 |
|
1,000円 | |
インターネット |
|
1,000円 | |
KSC | 郵送 |
|
1,000円 |
信用情報が見られる人は?
信用情報が見られるのは、各信用情報機関と提携している金融機関に限られます。また本人も自分の信用情報を確認できますが、基本的に全く関係の無い人や団体、企業などは見ることはできません。よって事故情報があるかどうかは勤務先などの一般の会社や周りの人に知られる心配はないでしょう。
また家族が金融機関に勤めているからといって、申し込み審査以外の目的で個人の信用情報を見ることはできません。「任意整理のことを周りに知られたらどうしよう」と心配する人がいるかもしれませんが、信用情報によって周りの人に知られる恐れはほとんどないので安心しましょう。
任意整理をバレずに手続きしたいという方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「任意整理をバレずに手続きしたい方必見!原因と対処法を知って賢く借金を減額」
事故情報に載るとできないこと&解決方法
信用情報機関に事故情報として掲載されると、次のようなことができなくなります。今まで通りの生活が難しくなるケースもあるでしょうが、解決方法や対処法が見つかる場合もあるので参考にしてください。
住宅ローンなどのローンが組めない
会社員や公務員で勤続年数や収入に問題がなくても、住宅ローンなど「〇〇ローン」と付くものは利用できなくなります。その理由は申込時の審査で信用情報機関に確認され、事故情報があることをチェックされるからです。住宅ローンや車のローンなど、必要に迫られて申し込む人もいるでしょうが、基本的に債務整理後の支払いが終わってから5年待つしか方法がありません。
【解決方法】頭金を貯金しておく
残念ながら住宅ローンや車のローンは5年経たないと利用できませんが、その間でなるべく多く頭金を貯金することをおすすめします。掲載期間が明けてローンが組めるようになっても、頭金を多めに準備できればローン返済が楽になります。また頭金を準備していたということで、その後の審査にプラスに働く可能性があります。
クレジットカードが使えない
任意整理すると5年間は今までのクレジットカードが使えなくなり、新規で作ろうと思ってもクレジットカード会社の審査に通りません。今あるカードは強制解約されないにしろ、カード切り替えのタイミング利用者の信用情報をチェックされ(途上与信)、いずれカードの利用を停止されます。
そうなると買い物での使用はもちろんですが、キャッシングもできないことに。キャッシュレス決済の筆頭でもあるクレジットカードが使えなくなることで、普段の生活に様々な不便が生じるでしょう。
【解決方法】デビットカードを使用
クレジットカードが使えなくなっても「デビットカード」を使うという方法があります。デビットカードとはあらかじめ届けてしていた自分の預金口座と紐づけされていて、カードを使うとその口座からお金が引き落とされる仕組みとなっています。残高がないと引き落としができないというデメリットがあり、分割払いやリボ払いができず一括払いのみでの対応となります。
見た目はクレジットカードとほぼ同じなので、お店で使っても周囲にデビットカードだとバレず違和感がありません。またVISA・Mastercard・JCBなど多くの加盟店で使えるので、クレジットカードと同じように利用できるのもメリットです。
【解決方法】電子マネーを使う
最近著しく普及している電子マネーを使うという方法もおすすめです。あらかじめそのサービスに入金しておくと、その範囲内で利用できるプリペイド型の電子決済サービスです。事前入金するタイプなら事故情報が残っている人でも問題なく使えます。プリペイド型の電子マネーには次のような種類があります。
- Paypay
- 楽天Pay
- LINE Pay
- au Pay
- nanaco
- WAON
- suica
- Edy
- d払い
- Visaのタッチ決済
多くのコンビニ、スーパー、飲食店ではこのような電子マネーを取り入れています。また今後も使えるお店が増えるので、こうしたサービスを便利に取り入れてみてはいかがでしょうか。
【解決方法】家族カードを利用
配偶者や家族がいる場合は、家族が契約しているクレジットカードに追加して、家族カードを発行してもらう方法があります。この場合の審査は元々の契約者の信用情報のみが確認されるため、家族カードを使う人物の信用情報が問われることはありません。家族カードも普通のクレジットカードと同じように使えるので、家族カードが1枚あればそれほど不便を感じないでしょう。
キャッシングなどの借り入れができない
消費者金融からのキャッシングや銀行系のカードローンなど、借り入れもできなくなります。任意整理にまつわる滞納や代位弁済などの情報は信用情報機関に加盟しているすべての金融機関に共有されるからです。
【解決方法】公的貸付制度を利用
病気や失業などでどうしても現金が必要になったときは、国や市区町村で行っている公的な貸付制度を利用しましょう。公的な貸付制度はお住いの場所や条件などにより様々な種類があります。ここに個人で使える代表的な貸付制度を紹介するので、申し込む際の参考にしましょう。
貸付制度の種類 | 条件等 | 上限額・利子 | 利用目的 | 申請窓口 |
---|---|---|---|---|
生活福祉資金貸付制度 | 低所得者世帯 障害者世帯 高齢者世帯 |
連帯保証人あり…無利子 連帯保証人なし…年1.5% |
総合生活支援 福祉資金 教育支援資金 |
地方自治体窓口 |
求職者支援資金融資制度 | ハローワークで確認書の交付を受けた人 職業訓練受講給付金の支給決定を受けた人 |
配偶者や子がいる場合…月10万円まで それ以外…月5万円まで 年利…0.03% |
職業訓練受講費 生活費 |
ハローワーク |
母子父子寡婦福祉資金貸付金 | 20歳未満の児童を扶養している配偶者のない人 | 【生活資金の場合】 一般…月105,000円 技能…月141,000円 |
修学資金 生活資金 住宅資金 医療介護資金 |
地方自治体福祉担当窓口 |
緊急小口貸付金制度 | 住民税非課税世帯 | 20万円以内 | 生活資金 | 地方自治体窓口 |
これらの貸付制度を申し込んでから実際にお金が振り込まれるまでの期間は緊急小口貸付金で10日前後、その他の制度で1カ月程度です。とはいえ貸金業者から借りるよりもはるかに低金利で借りられるので、どうしてもお金が必要になった方は活用してはいかがでしょうか。
スマホなどの分割払いができない
任意整理の事実が信用情報機関に登録されると、携帯電話やスマホの分割払いができなくなります。携帯電話会社も信用情報機関に加盟していて、スマホの分割払いをする場合は申し込んだ人の信用情報を照会するからです。
また格安SIMサービスの利用もできません。多くの格安SIMサービス会社ではクレジットカード決済が基本となっているためです。事故情報が掲載されている人は新しく契約できないので気を付けてください。
【解決方法】家族名義で契約
自分の名義で購入できないときは、家族名義で購入するという方法があります。とはいえ名義だけを借りられたとしても、分割払いで返すのに代わりがありません。他にもキャンペーンなどを利用するか型落ちの安い機種を選んで一括購入するという方法も。債務整理後の返済が残っているうちはなるべく返済を最優先にして、余計なものにお金をかけないようにしましょう。
奨学金などの保証人になれない
事故情報が掲載されている機関は子どもの奨学金の保証人になれません。奨学金の契約をする場合、子ども本人の審査だけでなく、保証人になっている親の審査も行います。保証人は万が一本人の返済が滞ったときに、子どもに代わって返済する義務を負うことになるからです。
【解決方法】機関保証制度を利用
奨学金の保証人になれない問題の解決法としては、「機関保証制度」を利用しましょう。日本で一番多くの学生に奨学金を貸与している日本学生支援機構では、保証人の代わりに保証機関が連帯保証を行う制度があります。この制度を利用できれば、保証人を立てなくても奨学金を借りることができます。
賃貸物件の審査に通らない
事故情報として掲載されている5年間は、賃貸物件の契約時の審査に通らない可能性があります。賃貸物件を借りるときに家賃保証会社との契約が義務になっている場合があり、保証会社との契約時に信用情報が確認されるためです。家賃保証会社は契約者が家賃を滞納したときに、契約者の代わりに大家さんに対して家賃を立て替える必要があります。
保証会社を通さない入居審査で信用情報が問題になることはありませんが、保証会社の中には信販系の金融機関があり、その場合はクレジットカードが持てるかということが判断基準になるため、間違いなく信用情報が調べられるでしょう。
【解決方法】契約前に確認
賃貸物件の審査ではねられないためには、申し込むときに「家賃保証会社との契約は必須ですか?」と不動産会社に確認しましょう。保証人を立てれば保証会社との契約が必要ないケースも多く、保証人の信用情報に問題なければすんなり契約できるので、まずは入居条件を確認するのを忘れずに。
任意整理後に信用情報を回復するポイント
任意整理後に信用情報をいち早く回復するには、いくつかのポイントがあります。
返済を延滞しない
任意整理後の返済は絶対に延滞しないようにしましょう。任意整理した後は債権者との合意内容に従って、3年から5年かけて返済を続けていきます。この間に返済を滞納してしまうと、その情報が信用情報機関に掲載されて、解消されるまでの期間がさらに延びる可能性があります。また任意整理そのものも振り出しに戻ってしまう恐れがあるため気を付けましょう。
もし何らかの理由から返済できない場合は、返済できないと分かった時点でなるべく早めに担当の弁護士へ相談してください。
早期の完済を目指す
任意整理後に信用情報を回復させるにはなるべく早期の完済を目指しましょう。任意整理が適用になるには、3年で返済を終わらせる必要があります。そのため完済が早ければ早いほど信用情報の回復が早まります。逆に任意整理した後の返済がいつまでも終わっていないと、事故情報は抹消されないので気を付けましょう。
新たな借り入れをしない
信用情報回復のためには、新たな借り入れをしないのが大切。貸金業者からの借り入れはもちろんですが、親族や友人などからも借金しないようにしてください。新たな借金を増やしてしまうと返済しなければいけない額が増えるだけでなく、新たな借り入れがあったことが分かれば信用情報に傷がついてしまいます。
安定した収入を得る
信用情報を回復させるには、安定した収入を得ることもポイントです。特にキャッシングやカードローンなど、毎月一定額を返済していくような借り入れでは、安定した収入があることが判断基準になることも。もし今の収入が少なかったり安定していない人は、スキルアップや転職によって安定した収入を得られる努力をしましょう。
非正規のアルバイトやパートの方は正社員になる、すでに正社員の方は収入が増える仕事に転職するなどの方法があります。いずれも簡単には実行に移せないかもしれませんが、まずは情報を集めたり自分なりによく考えてみることから始めてはいかがでしょうか。
任意整理と信用情報に関するよくある質問
任意整理と信用情報に関して、多くの人が気になるであろう疑問や質問にお答えしていきます。
信用情報は削除依頼できる?
掲載された事故情報などを削除して欲しいと思っている方も多いでしょうが、信用情報を削除できるのは登録されている情報が間違っている場合だけです。ごくまれに間違った情報が信用情報機関に登録されていることがあるからです。返済の滞納もしておらず債務整理もしていないのになぜか申し込んでも審査に落とされるという場合は、自分の信用情報を確認する必要があります。
もし間違って登録されているなら、その情報の削除や訂正を求められます。たまに「信用情報をキレイにします」などというネット広告を見ることがありますが、詐欺の可能性が高いので騙されないよう注意しましょう。
手続きをキャンセルしても載る?
任意整理の手続きを途中でキャンセルした場合、事故情報として掲載されてしまうのでしょうか。結論からいうと手続きをキャンセルすると次のような流れで事故情報も取り消されます。
- 弁護士などの代理人から債権者に「辞任通知」が送られる
- 任意整理が取り下げられた情報が、債権者から信用情報機関に連絡がいく
- 信用情報機関が事故情報を取り消す
もし本当に任意整理の情報が消えているか確認したい場合は、信用情報機関に開示請求を行うことをおすすめします。
信用情報が回復すれば以前のように取引できる?
「信用情報が回復したら、前のようにローンを組んだりクレジットカードが作れるんでしょ?」と思われる方がいるかもしれませんが、全く以前のようにできない可能性があります。それは信用情報とは別に金融機関独自の「社内ブラック」が存在するためです。社内ブラックとは、それぞれの会社やその系列グループ内で保有している信用情報のようなもの。
過去に返済を滞納したり残債がある状態で任意整理すると、金融機関ではその情報が残されます。信用情報とは異なり保存期間に期限がなく、どのように活用するかはその会社の自由です。信用情報がキレイになったからと以前と同じところに申し込んでも、社内ブラック状態ということで再び利用できるのは難しいことを覚えておきましょう。
任意整理すると家族の信用情報に影響する?
任意整理して事故情報として掲載されても、配偶者や家族の信用情報に影響しません。またローンやクレジットカードが使えなくなるのも任意整理した本人のみです。たとえ同居している夫や妻であっても、本人の信用情報に問題がなければ住宅ローンを組めますし、クレジットカードを発行してもらうことも可能です。
ただし家族が借金の保証人になっている場合は、債務整理するとその返済義務が保証人に移ります。任意整理では整理する対象を選べるため、家族が保証人になっている借金を整理対象から外すと、引き続き借金を返済し続けられ保証人に債務の返済義務が移ることもありません。
任意整理について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「任意整理と債務整理の違いは何?メリット・デメリット、任意整理に向いてる人を解説」
まとめ
任意整理すると信用情報に掲載される内容は契約や支払い情報の他、債務整理や延滞といった事故情報です。逆に過払い金が発生した過払い金返還請求の情報などは掲載されません。掲載の期間は3つある信用情報機関それぞれで多少異なりますが、おおむね任意整理後の支払い延滞が解消(完済)されてから5年以内です。
事故情報として掲載されている間は、ローンやクレジットカードが使えなかったり保証人になれない等のできないことが発生します。その場合はなるべく貯金をして頭金をためたりデビットカードを代わりに使う、機関保証制度を利用するなどの工夫をしましょう。
任意整理後の信用情報を早く回復するには、返済を延滞しないのはもちろん早期の完済を目指して新たな借り入れをしないのが重要。信用情報は間違った情報以外は削除できず、回復しても「社内ブラック」によって以前のように借り入れできない可能性があります。もし任意整理について分からないことや困ったことがあれば、手続きに詳しい弁護士に相談することをおすすめします。