- 「債務整理をすると就職活動に不利になるんじゃ…」
- 「会社に知られずに債務整理をする方法はある?」
債務整理をしたいと考えている人にとって、心配になるのは仕事への影響ではないでしょうか?就職や転職に不利なるのかという点や勤務先に知られてクビになるんじゃないかということが気になって、債務整理に踏み出せないという方もいるかもしれません。
ただ債務整理するにしろ借金を返済するにしろ、生活する上では毎月決まった収入が欠かせません。こちらの記事では債務整理と就職や仕事に及ぼす影響についてケースごとに解説。
勤務先に知られずに債務整理を行うための対処法も紹介していきますので、これから債務整理を考えている方は参考にしましょう。
債務整理の影響が考えられる就職・転職のケース
債務整理の影響が考えられる就職や転職について、ケースごとに紹介していきます。これから就職や転職を考えているの方は、あるかもしれない「リスク」についてキチンと認識していきましょう。
①学生による就職活動
学生が就職活動をする場合、債務整理をしたという事実が不利になって就職が決まらないのでは?と心配になる方も多いと思います。しかし基本的に就職活動に関しては悪影響になるということはありません。一般企業だけでなく公務員になりたい場合でも同様です。
たまに債務整理(特に自己破産)をすると公務員になれないという噂を聞くこともありますが、これは真実ではありません。公務員には要求された資格や素質が欠けているとみなされる「欠格事項」があり、前科がある場合は欠格事項に該当しますが、過去に自己破産をしていたり借金があるということは欠格事項として規定されていません。
ただし自己破産すると人事院の人事官や教育委員の委員といった職に一定時期就けないことがありますが、学生が就職活動をする場合はいきなりこのような職に任命されることはほぼありませんので心配いりません。また自己破産をして免責を受けられた場合は、役所の破産者名簿に載ることもありませんので、これから公務員を目指すという場合でもリスクはないでしょう。
「でも銀行や消費者金融ではブラックリストがあるから見られたらアウトなのでは?」と心配になる人がいるかもしれません。確かに銀行や消費者金融などの金融機関では、借金の返済状況などが個人情報として信用情報機関に登録されています。
債務整理などをすると事故情報として(いわゆるブラックリスト)に登録されますが、金融機関の人間が信用調査以外の目的で個人情報を閲覧することは禁止されていますし、借金や債務整理に関する情報を採用の選考基準とすることは、法律で禁止されています。
ブラックリストについては次の記事で詳しく解説していますので、参考にしましょう。
「債務整理するとブラックリストにのる?気になる「ブラックリスト」についてすべてお答えします!」
②社会人による転職活動
社会人が転職しようと思った時、任意整理をしてブラックリストに載った状態で不利になることはないのでしょうか?転職の際も、基本的には債務整理をしたかどうかで採否が決まることはありません。ブラックリストは借り入れや返済などに関する信用情報であり、公務員や一般企業への転職とは無関係です。
ブラックリストは第三者がちょっと調べようと思って簡単に調べられるものではなく、住民票をはじめとする転職先企業に提出する書類にその事実が記載されることはありません。
多くの会社はこれまでの実績や人柄、能力などを見て採用するかを決めるため、そもそもブラックリストを参考に採否を決めるということは考えられないでしょう。
③無職の人が就職するケース
無職の人が就職する場合も同様、過去の債務整理が就職する際に問題になることはありません。また債務整理の手続き中であっても、何ら制限されることなく自由に就職活動ができます。もちろん就職が決まったら仕事を始めても構いません。
特にアルバイトやパートでの就職は、正社員と違い採用条件がそれほど厳しくありません。過去の無職期間が長くても採用されることも多くありますので、任意整理など返済が残っている場合では継続的な返済がよりしやすくなることもあるでしょう。
④親の債務整理と子どもの就職
親の自分が債務整理をしてしまうと、子どもの就職に悪影響になるのではと心配になる方もいるかもしれません。特に就職活動を控えた学生の子どもがいると自分のせいで不利になるのでは?と思われる人がいますが、親の債務整理が原因で子どもの就職が不利になるということはありません。
債務整理をしたのが自分であっても周りに知られるということはまずありませんし、親の債務整理なら尚更です。採用する企業側でも学生の親の信用情報まで調査することはほぼないと言っていいでしょう。
ただし自分や他の家族のSNSなどに「自己破産」や「借金」などと書いてアップすると、そこから周囲に知られる可能性がありますので、その点は十分に注意しましょう。
⑤求職中の債務整理
上述でも少し解説しましたが、求職活動中に債務整理することになっても特に活動をストップする必要がなく、採用が決まったら働いても構いません。債務整理の一つ「個人再生」では「再生債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること」が適用の条件となっています。
無職であっても在職中に貯めたお金で返済が可能だという方や、仕事をしていない専業主婦でも夫の給料から返済が可能であれば任意整理や個人再生が可能です。ただしただ単に無職で返済する手持ちのお金がないという場合は、これらの債務整理の方法をとることができず、自己破産しか方法がなくなってしまいます。
もし就職により継続的な返済が可能だと判断されれば自己破産を免れ、より負担が少ない方法がとれるでしょう。個人再生に関しては、申立前2カ月程度の時点で仕事をしていれば個人再生ができる可能性があります。
また求職活動中に弁護士などに債務整理の相談をして、借金の相手(債権者)に手続きを行うことを知らせる「受任通知」を送達、返済状況に関する「債権調査」までを行い、就職の時期や給与の予定額を参考に個人再生として手続きを行うことも可能です。これら手続きに関しては、詳しくは弁護士などの専門家にお問い合わせください。
債務整理の手順や流れに関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
「債務整理の流れ・必要書類・期間とは?気になる注意点も教えます!」
債務整理の種類ごとの就職・仕事への影響
ここでは債務整理の主な3種類、
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
のそれぞれに関する就職や仕事への影響について解説していきます。
【任意整理】就職・仕事への影響
借金の利息を減額して通常3年での完済を目指す「任意整理」ではどのような影響があるのでしょうか。
原則として支障はない
任意整理は裁判所を通さずにする債務整理の方法で、転職や就職活動を行っても原則として支障はありません。もちろん任意整理の手続き中に就職・転職活動も可能で、弁護士や債権者などから希望先の企業に連絡が行くこともなく、企業から調査される心配もないでしょう。
任意整理をする場合は就職に関して悪影響になることはほぼありませんので、それほど神経質にならなくてもいいでしょう。それよりは就職後も返済が続きますので、返済計画の妨げとならない収入が毎月得られるかがポイントになります。
信用情報の提出を求められることがある
任意整理では仕事への影響はほぼありませんが、就職の際に信用情報の提出を求められることがあります。信用情報の提出を求められることがあるのは、このようなお金を扱う業種です。
- 銀行
- 信用金庫・労働金庫
- 保険会社
- 消費者金融
- クレジットカード会社
企業側が個人の信用情報を採用選考目的で勝手に調べるのは違法ですが、この場合はあくまで任意で個人の同意のもと提出しているとみなされるため違法にはなりません。上であげたような大きなお金を日常的に取り扱う業種では、就職時に各自で取り寄せた信用情報の提出が求められることがありますので、企業側に任意整理をしたことが分かってしまうことがあります。
【個人再生】就職・仕事への影響
裁判所を通じて借金を減額する個人再生では、任意整理とは違った仕事への影響が考えられます。
裁判所に行くのに平日休む必要がある
個人再生をしていく上で、申立人の資産状況をチェックしたりアドバイスしてくれる「個人再生委員」との面談は欠かせません。面談は公的機関である裁判所で行われますので、面談日は基本平日の日中です。平日に仕事がある場合は仕事を休んで裁判所に行かなければなりませんので、勤務先へ迷惑がかからないよう、あらかじめ個人再生をすることを伝えた方がいい場合があります。
また個人再生も任意整理と同様、3年もしくは5年にわたって返済を続けていくことになります。途中で思うような収入が得られないと返済計画通りに返済できず「再生計画の取り消しの申立」により、減額された借金が元の金額に戻ってしまうことも。就職先を選ぶ際は、将来にわたって安定的な収入が得られるかも判断して決めていきましょう。
官報を調べられる可能性
個人再生や自己破産の場合、国が毎日発行している機関紙「官報」に氏名や住所といった情報が記載されます。官報は基本的に誰でも閲覧や購読が可能なため、官報を調べられるという可能性もゼロではありません。ただし官報を定期的に購読している一般人はほぼおらず、周りの人に知られるということはほぼないでしょう。官報を調べているのはこれらの団体や企業に限られます。
- 銀行
- 消費者金融
- 保険会社
- 不動産会社
- 役所など公的機関
上のような企業や団体には官報を日常的にチェックする部署を置いている場合があります。個人再生していることがバレて採用を取り消しになるという最悪の事態になる可能性も無くはないですが、毎日発行される官報に掲載されてる膨大なデータの中から、就職希望者名をピンポイントで見つけ出し、個人を特定するという作業は並大抵のことではありません。
よって官報に掲載されたことで就職が不利になるのはごく「まれ」だと言えるのではないでしょうか。
【自己破産】就職・仕事への影響
裁判所で認められると借金が免責される自己破産では、一定期間職業や資格が制限されるという決まりがあります。
一定期間就職制限がある
自己破産では破産手続き中の一定期間、特定の職に就けないという制限がかけられます。制限の期間は自己破産の種類によって次のように異なります。
自己破産の種類 | 概要 | 就職制限の期間 (破産手続開始決定~免責許可決定の確定まで) |
---|---|---|
同時廃止 | 債務者に財産がない時にとられる方法 支払う手数料や決定までの期間が最低限で済む |
2カ月~3カ月 |
管財事件 | 債務者に一定の財産がある時や免責不許可事項がある時にとられる方法 破産管財人に支払う費用がかかり、手続き期間も長くなる |
3カ月~6カ月 |
上の表で分かる通り、職業が制限されるのは破産手続開始決定から免責許可決定の確定までの間、短いと2カ月、長くても半年程度です。自己破産で制限される職業には、以下のようなものがあります。
- 弁護士
- 弁理士
- 公認会計士
- 税理士
- 司法書士
- 行政書士
- 土地家屋調査士
- 社会保険労務士
- 不動産鑑定士
- 中小企業診断士
- 遺言執行人
- マンション管理業務主任者の登録
- 賃金業務取扱主任者の登録
- 風俗営業の営業所の管理者
- 警備員
弁護士や行政書士といった「士業」では、自己破産によって一度資格の登録が削除され、復権するには改めて資格の再登録が必要になります。とはいえ試験で合格して得た資格がなくなるという訳ではありませんので、手続きさえ怠らなければそれほど心配ありません。
自己破産の手続き中は、上であげたような仕事に就くことはできません。もし隠して仕事をしていた場合、会社にバレると解雇される可能性があります。よって自己破産手続き中は休職したり別の部署に異動するといった対応が必要となります。いずれにしろ会社に事実を隠したままでは難しいので、事前に相談することをおすすめします。
資格に関する制限がある
自己破産では職業制限と同様に資格に関する制限もあります。ただし資格に関しては、許認可を得て仕事をしている会社の経営者や、役所発行の「破産者でないことの証明」を提出して登録している各種登録者等に限定されます。主に次のような資格に制限がかけられます。
- 警備業
- 探偵業
- 建設業許可
- 古物商許可
- 風俗営業許可
- 銀行等代理業許可
- 酒類の製造・販売免許
- 宅地建物取引業の免許
- 産業廃棄物処理業の許可
- 貸金業の登録
- 特定保険募集人の登録
- 証券取引外務員の登録
国から許認可を受けて仕事をしている経営者などは、自己破産前に許可がはく奪される可能性がありますので気を付けましょう。また登録者をそのままにしておくと許認可自体が抹消される恐れがありますので、手続き前に役員などから外したり他の登録者で登録し直すなどの対応が求められます。
債務整理を知られる可能性とその対処法
自分が債務整理したことについてはなるべく職場の人や上司に知られたくありません。そこでこちらでは自分が勤めている会社で債務整理について知られる可能性とその対処方法を解説。どうしても知られたくないという方は参考にしましょう。
給与が差し押さえされる→債務整理後の返済は滞納しない
たとえ任意整理をして借金が減額されても、和解契約で作成した内容通りに支払いをしないと裁判を起こされ、裁判の対応を何もしないままいると判決により給料が全額差し押さえられる可能性があります。せっかく会社にバレない任意整理を選んでも給与が差し押さえられてしまっては、借金があったことや債務整理をしたことが明らかに。
他にも依頼した弁護士費用を滞納した場合や、任意整理に非協力的な債権者がいる場合なども差し押さえになることがあります。債権者から裁判を起こされると家や土地などの不動産、株券などの財産が差し押さえられますが、これらの財産が無い場合には給与が財産として差し押さえの対象に。
給与の差し押さえは裁判所からの差押命令の通知が勤務先の会社に届き、会社はこの命令により直接従業員に支払うことができなくなります。給与が差し押さえられないためには、和解契約で決められた内容の返済をきちんと行い、万が一遅れそうな場合は相手先に前もって伝えることが重要。さらに債権者からの連絡を無視したり、裁判の書類受取を忘れたりしないよう気を付けましょう。
会社や共済に借り入れをしている→任意整理で対象から外す
勤務している会社から借り入れしている場合や、公務員の共済で貸付制度を利用している場合も債務整理していることを知られる可能性があります。債務整理の際にはすべての借り入れ先に関する借金の調査が行われます。会社の借り入れや共済の貸付制度もその対象で、個人再生や自己破産ではもれなく弁護士から受任通知が送付されるため、あなたが債務整理していることが分かってしまいます。
もしどうしても債務整理のことを会社にバレたくない場合は、任意整理を選ぶと良いでしょう。任意整理では借金を整理する債権者をあなたが選べます。会社からの借り入れは今まで通り返済し、そのほかの借金を整理することにすれば会社に迷惑もかかりません。
任意整理では対処できないような借金がある場合は個人再生や自己破産を選択せざるを得ませんが、手続きをする前に会社の借り入れを完済してしまえば債務整理のことは会社にバレません。ただその時に気を付けたいのは「偏頗(へんぱ)返済」にならないこと。偏頗返済とは特定の債権者にのみ偏って返済を行うことで、申立後に明らかになると債務整理手続きが継続できなくなってしまいます。
もし会社からの借り入れを完済したいなら、何らかの方法でお金を準備して、他の借金もまんべんなく返済する必要があります。
自社および提携会社のカード作成時→クレジット機能を外してもらう
会社の福利厚生の一環として、従業員にメリットがある自社のカードや提携会社のカードを作る時、クレジットの機能が付いていると信用情報がチェックされ、債務整理をしたことが分かってしまうことがあります。もし可能であればクレジット機能を外してもらうことで、信用情報を見られる可能性がなくなります。
ただし勤め先が銀行の場合、必ずその銀行発行のキャッシュカードやクレジットカードを作るよう求められるケースがあります。また自社のローンを申し込む際も間違いなく信用情報をチェックされるでしょう。金融業界への就職をお考えの方は、そういったきっかけから債務整理がバレることがあると覚えておきましょう。
退職金見込み額の証明書を依頼する時→理由を工夫する
個人再生や自己破産の手続きをするには、資産や負債の調査の際に勤務先に、「退職金証明書」を依頼することになります。退職金証明書はもし今の時点で退職したら、どの位の退職金がもらえるのか明らかにするための書類です。
退職金証明書は通常、会社の総務担当に必要な理由を伝えて出してもらいますが、このとき「自己破産手続きに必要なため」「裁判所に提出を求められたため」との理由にすると、債務整理をすることがバレてしまいます。よって「住宅ローンの借り入れ審査に必要なため」など、理由を工夫するようにするといいでしょう。
また退職金証明書は就業規則の中に記載してある退職金規定の内容で代用できる場合があります。自由に就業規則を閲覧できる状況なら、退職金規定をコピーして提出すれば問題ありません。
就職・就業時のポイントや注意点
最後に就職や転職、仕事を続けていく上でのポイントや注意点を解説していきます。
面接・履歴書で申告する必要はない
就職試験や面接、応募に必要な履歴書でそもそも債務整理をしたことを申告する必要はありません。履歴書には「賞罰」を記載する欄があり、ここには表彰歴や受賞歴、刑事罰の有無などを書きますが、個人再生や自己破産は刑事罰でなく、法律で認められた手続きなのでそもそも記入しなくても問題ないでしょう。
面接の際にも借金の有無や債務整理について聞かれないかぎり、こちらから申告する必要がなく、後で債務整理したことが知られてもクビになる可能性はないのでご安心を。
ただし自己破産で職業制限や資格制限を受けている期間中はその業務に就けないため、免責許可決定を受けてから就職活動を再開したり、採用日を免責許可決定以降にするなどして、仕事に支障がないように気を付けましょう。
任意整理をしても就職や転職に影響はない
普通の民間会社の場合は、任意整理をしても就職活動や転職後に影響はありません。そもそも金融以外の会社では個人の信用情報を調べる手段がありませんし、信用情報を採否の判断基準にしてはいけないと法律で決められています。もしも債務整理をお考えなら、就職に関して一番ハードルが低い任意整理から検討してみてはいかがでしょうか。
ただし銀行や消費者金融では、就職時に信用情報や破産者でないことの証明を提出する必要がある場合が。また入社してから自行のクレジットカードを作るよう求められることがあり、その際に任意整理したことが会社にバレてしまう可能性もあることを覚えておきましょう。
個人再生・自己破産をする前に会社へ相談
もし個人再生や自己破産をお考えなら、今勤めている会社に事前に相談することをおすすめします。会社から借り入れがある場合は弁護士から通知が届いてバレてしまいますし、平日裁判所に行くのに休みをもらう都合があるためです。中にはいつも仕事を頑張ってくれているからと、必要な弁護士費用を用立ててくれるような会社もあるかもしれません。
また自己破産で職業制限に該当する場合は、一定期間その業務に従事できなくなることをあらかじめ会社に伝え、その間だけ違う部署に異動させてもらう必要があります。とはいえ会社にバレると必ず不都合になるという訳ではないので、債務整理をすると決めた以上はなるべく周囲に迷惑をかけない方法で手続きを進めていくことをおすすめします。
就職後にバレても解雇されることはほぼない
就職活動や転職活動を経て、無事に就職できた後に万が一債務整理をしたことがバレても、それが理由で解雇されることはありません。もし債務整理が理由で不当な配置転換や降格、減給などがあった場合はその処分を無効として裁判を起こすことも可能です。
労働者は労働契約法という法律で守られており、解雇に関しても次のような条項があります。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(労働契約法第16条)
労働契約法によると、自己破産などの債務整理による解雇は「客観的に合理的な理由」とみなされず、法的に会社内での立場が悪くなることもありません。
ただし債務整理がバレたことで社内的な立場が危うくなったり、会社に居づらくなってしまう可能性は否定できません。特に金融機関など日常的に大金を扱う業種では、多額の借金があることや債務整理をしたことが周囲に知られると、今まで同様職場にいられずに自ら退職せざるを得なくなるというケースがあります。
まとめ
債務整理をしたからといって就職活動や転職の際に採用先の会社にバレたり、就職に不利になるということはほとんどありません。また親の債務整理が子どもの就職に悪影響になることもありませんのでご安心を。特に任意整理では整理する債権者を選べたり、裁判所を通さずに手続きするため会社バレや就職の際に問題になる心配もありません。
個人再生や自己破産では官報に掲載されたり、職業や資格に一定の制限がかかります。金融機関の調査でバレる可能性を否定できず、特定の職業に就けないので注意が必要です。
就職や転職をお考えなら、まずは自分の借金問題を早期に解決し、自分の現状に合った就職先を選ぶ必要があります。もしすでに金融機関などにお勤めの場合は、なるべく職場に知られないように任意整理の手続きを進めるようにしましょう。
自分だけではどうしても就職と債務整理の問題を解決できないという場合は、弁護士などの専門家に相談するのも一つの方法です。債務整理のタイミングや会社にバレずに手続きを進める方法、借金の状況に見合った債務整理のやり方などを具体的にアドバイスしてくれるでしょう。