自己破産の債権者漏れとは?起きやすいケースと影響を知り、失敗しない対策をとろう

自己破産の債権者漏れとは?起きやすいケースと影響を知り、失敗しない対策をとろう
自己破産の債権者漏れとは?起きやすいケースと影響を知り、失敗しない対策をとろう
  • 「自己破産で債権者漏れがあるとどうなる?」
  • 「自己破産の債権者漏れを防ぐ対策が知りたい」

自己破産の手続きで、債権者漏れにならないか心配な人はいませんか?うっかりすることは誰にでもあり、早いうちに分かれば対処ができる可能性があります。自己破産の債権者漏れでポイントになることを詳しく解説するとともに、発覚後に起きることも紹介していきます。

自己破産は裁判所に申し立てて「破産法」という法律に基づいて、すべての借金の返済義務を免除する手続きです。後で債権者漏れが発覚することのないよう、しっかり対策を立て専門家の手助けを借りながら、手続きを進めていきましょう。

 

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目次

自己破産の債権者漏れとは

まずは自己破産の債権者漏れについて、起きやすいケースとともに解説していきます。

裁判所に提出する債権者一覧表から漏れること

自己破産の債権者漏れとは、裁判所に破産申立てするときに提出する「債権者一覧表」から債権者の一部が漏れてしまうことです。免責が認められると、その一覧表に載っている債権者からの借金の支払い義務が免除(免責)されます。そのような意味からも、自己破産において債権者一覧表はとても重要な書類だということが分かります。

債権者漏れが起きやすいケース

では一体、どのようなケースで債権者漏れが起きやすいのでしょうか。

借入先が多い

単純に借入先が多いと、債権者漏れが起きやすくなります。人によっては10社を超える金融機関から借入しているケースもあり、全ての借金を把握しきれていなかったことで債権者漏れが起きやすくなるという訳です。

とくに自己破産は、借金をすべて免責できる強力な手続き。借金理由は様々あるものの、自己破産を選択するほとんどの人が5件以上の複数の債権者から借金しています。こちらは、消費者金融を利用した人が自己破産した債務件数の一覧です。

総債務件数 件数(割合)
5件未満 295(2.8%)
5~10件 4,597(43%)
11~15件 3,723(34.8%)
16~19件 1,184(11.1%)
20件以上 892(8.3%)

参照:消費者金融顧客の自己破産|早稲田大学消費者金融サービス研究所

上の表によると総債務件数が5件未満の割合はわずか2.8%。最も多いのが5~10件で、20件以上という人も8.3%います。これだけ債権者の数が多いと、債権者漏れが起きてもおかしくありません。

代位弁済や債権譲渡があった

代位弁済や債権譲渡があった場合も、債権者漏れが起きやすくなります。代位弁済とは、債務者の支払いが滞ったときに代わりに保証会社が債務者の肩代わりをすること。そして債権譲渡とは、債権者が借金を回収する権利を債権回収会社(サービサー)に譲り渡すことです。

代位弁済や債権譲渡があると、債権者が保証会社や債権回収会社に変更されます。変更があった時点で通知が届くようになっているのですが、そもそも通知が届いたことも忘れている可能性があります。通知が届いたことを覚えていたとしても、債権者がどこに変わったかまで把握していないこともあるでしょう。

債権譲渡通知書が届いたときの対処法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「債権譲渡通知書が届いたときの対処法|詐欺の見分け方と注意点とは?」

債権者からの取り立てがなかった

しばらくの期間、債権者からの取り立てがないと、債権者漏れが起こりやすいです。取り立てがあれば「返済しなければならない借金が残っていた」と認識できますが、取り立てがそれも長期間ないと借金の存在すら忘れてしまうことも。借金があったことさえ忘れるような状況では、債権者一覧表から漏れてしまっても仕方がありません。

長期間の滞納

長期間滞納状態が続くと、自己破産で債権者漏れが起きやすいといえます。これはしばらく取り立てがない状況と被る部分があります。とくに返済できず厳しい状況が続くと、自宅に届いた督促状や催告書などを手元に残しておくことも苦痛に感じる人がいるかもしれません。手元に借金があったことを証明する資料がないと、抜け漏れが起きやすくなります。

長期間の滞納でお金を借りた側は忘れていても、債権者が忘れた訳でないというケースもままあります。債権者漏れの状態で自己破産してしまうと、手続き後に借金が発覚するという可能性も。

借金地獄から抜け出したい方は、こちらで借金の原因別解決方法を知りましょう。

「借金地獄から抜け出したい!借金の原因別・種類別10の解決方法」

契約書がない個人間の借金

金銭貸借契約書を交わしていない個人間の借金も、自己破産で債権者漏れしやすいです。手元に契約書や借用書があれば、いつ誰からいくら借り、いつまでに返済しなければいけないか把握できます。しかし知らない間柄でないからと、このような書類を一切作っていなかったばかりに、お金を借りたことをすっかり忘れ、自己破産後に発覚することがあります。

とくに個人間の借金の場合、信用情報機関に情報が登録されません。言った・言わないのトラブルに発展する可能性が高いです。いくら個人間といえ、お金を貸した相手にとってだけでなく、借りた本人を守るためにもこのような書類を作成するようにしましょう。

保証債務

保証債務も、自己破産で債権者漏れが起こりやすくなります。保証債務とは(連帯)保証人の債務(借金)で、元々の債務者が払えないときに保証人になった人が代わりに保証する債務のこと。誰かに借金の保証人になってもらい、返済できないあなたの代わりに借金を返してもらったことがある方は要注意です。

(連帯)保証人は、主債務者に対して「求償権」があるので、債権者として破産手続に参加できます(破産法第104条)。今まで保証人に対して返済していたわけでなく、保証人から請求書や督促も来ないので見落としがちですが、保証債務も債権者漏れが起きやすいということを覚えておきましょう。

自己破産による保証人への影響は、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産すると連帯保証人はどうなる?借金の前と後&パターン別の対処法」

未払いの病院の治療費

未払いの病院の治療費がある方は、忘れずに債権者一覧表に記載してください。法律上、医療費は「診療報酬債権」として、医師の診察に対する報酬の債権とみなされます。つまり病院から患者側に請求できる債権の一種ということに。患者側からすると、借金と同じ扱いになります。

滞納家賃・光熱費・携帯料金など

借金だけでなく、滞納した家賃や公共料金(電気・ガス・上水道)、NHK受信料や携帯料金なども債権者一覧表に載せる必要があります。自己破産時に滞納していた上記の料金を記載すると、免責が決定した時点で、他の借金と同様に返済義務がなくなります。

水道料金に関して上水道使用料は免責の対象ですが、下水道使用料は免責の対象外となります。また直近1カ月以内の公共料金は、滞納料金とはみなされないため免責されません。

自己破産ができないケースについては、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産ができない9つのケースとは?対処方法や自己破産に適さない人について解説」

わざと隠している借金

借金があることを認識していたのに、わざと隠している借金も、(故意に)債権者漏れしがちです。借金をわざと隠す理由は様々ありますが、故意に一部の債権者を記載していない債権者一覧表を裁判所に提出すると、「免責不許可事由」となり、免責が許可されません。結果として借金がゼロにならないので気を付けてください。

破産法ではあくまで債権者に対して平等に配当を行うことを目的としています。債権者一覧表に記載されていない債権者は、自己破産手続きで配当を受けることができなくなります。これは債権者平等の原則に反するとして、破産法で禁止されています。

自己破産の免責不許可事由について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産の免責不許可事由の11項目を解説!免責が下りなかったときの対処法とは?」

自己破産で債権者漏れが発覚するとどうなる?

では自己破産の手続き中に、債権者漏れが発覚するとどういったことが起きるのでしょうか。

発覚のタイミングによって異なる

債権者漏れ発覚のタイミングによって、どうなるかが変わってきます。こちらでは免責許可決定確定前と、確定後とに分けて解説していきます。

免責許可決定確定前

免責許可決定確定前であれば、債権者漏れが発覚しても債権者一覧表を修正すれば、基本的に大きな問題になりません。適切な書類を提出することで、債権者一覧表の訂正が可能になっています。免責許可決定の確定は、次のような流れとなります。

裁判所が免責許可決定を出す→決定内容を裁判所が官報に掲載→官報に掲載された日から債権者からの不服申し立てがなく2週間が経過→免責許可決定が確定する

免責許可決定確定後

免責許可決定確定後に債権者漏れが発覚した場合、次のような事情によりどうなるかが変わってきます。

  • 申告漏れが故意によるもの
  • 故意でない(過失)ものの借金の存在を認識していた
  • 破産者に過失があった
  • 債権者が破産手続について知らなかった

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

債権者漏れが問題になるケース

債権者漏れが問題になるのは、次のようなケースです。

故意によるもの

破産者が借金の存在を知りながら、故意に債権者一覧に記載しなかった場合は、免責されない非免責債権となるため支払い義務が免除されません。さらに虚偽の債権者一覧表を提出する行為は免責不許可事由に該当するため、全ての借金が免責されなくなります。

ローン返済中の車を手元に残したかった、知り合いからの借金を今まで通り返済していきたいなど、いかなる理由があっても故意に債権者一覧表に記載しないということは許されません。悪質だと判断されるとすべての借金の免責が取り消しになる可能性があります。

借金の存在自体を認識していた場合

債権者漏れが破産者の過失によるものでも、借金の存在自体を認識していた場合は非免責債権となります。そのため、申立前の段階で十分に調査を行い、全ての借金について把握することが大切。わざとではないということですべての借金がゼロにならないという訳でありませんが、漏れていた債権者の分に関しては免責を受けられなくなります。

破産者に過失があった場合

借金の存在自体を忘れていて、破産者の過失により債権者漏れがあった場合でも、免責は許可されず支払い義務が残る可能性があります。過失があるということは「破産者の落ち度」とみなされるため。とはいえ、記載漏れがあった債権者が破産者に請求してくるのか、それとも請求してこないかはその業者の対応にもよります。

債権者も破産手続について知らなかった場合

破産者に過失があり債権者も破産の開始を知らなかった場合、借金の支払い義務は免除されません。破産法第253条では、次のように規定されています。

第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)

参照:破産法|e-GOV法令検索

破産法では、免責されない借金の中に「債権者が破産手続開始決定を知っていた場合を除く」としています。つまり債権者が破産の事実を知っていた場合は、免責の対象となるということ。逆に考えると、債権者が破産について知らなかったときには免責の対象とならないということになります。

 破産者の落ち度の有無による免責結果の判断はとても複雑です。こちらの一覧を参考にして、免責が許可されるかどうか確認しましょう。

破産者の落ち度 具体例 免責結果
故意
  • 債権者に住所変更届を出していなかった
  • 手続きの直前にやり取りしていた
許可されない
過失 借金の存在を認識していたのに、債権者一覧表に書き忘れた 許可されない可能性がある
過失
  • 借金の存在を知らなかった
  • 長年請求がなく、債務者という認識がなかった(個人間の借金など)
許可されない可能性が低い

債権者漏れが問題にならないケース

債権者漏れが破産者にとって、それほど影響を与えないケースもあります。

債権者が破産手続きの開始を知っていた

債権者が破産手続の開始を知っていた場合、たとえ債権者一覧表から漏れていても免責の効力が及びます。というのも免責許可が出されると裁判所が官報に掲載し、そこで破産に納得できない債権者がいれば、不服申し立てをしなければなりません。しかし、破産の事実を知っていながら不服申し立てもせずにいるということは、破産を認めたとみなされるからです。

過失割合が小さい

債権者一覧表への記載漏れに関して破産者の過失割合が小さいと認められれば、記載のない債権にも免責の効力及ぶ可能性があります。過失割合が小さいと判断されやすいのは、借入時期が古く確認書類を紛失していて、債権者から一度も請求されずに数年が経過したようなケースです。

金融機関の場合は免責処理となる可能性

債権者が金融機関の場合、自社の債権が債権者一覧表に記載されておらず、破産手続きの開始を知らなかった場合でも、免責を受け入れる可能性が高いでしょう。というのも、一度破産した人に訴訟や強制執行をしても、現実的に十分なお金を回収できる見込みがないと判断するため。

とはいえ相手が金融機関でも、免責が不当だと判断されれば請求が続きます。いずれにしろ債権者一覧表の作成時は確認を怠らないようにしてください。

自己破産で債権者漏れを防ぐ方法

免責許可決定確定後に債権者漏れが発覚すると、免責を受けられない可能性があります。そこで債権漏れを防ぐために、すべきことがあります。

周囲に自己破産のことを伝える

債権者漏れを防ぐには、なるべく家族や友人等、周囲の人に自己破産のことを伝えてください。借金があることやそれを返済できないことを周りに言うのは、躊躇してしまうかもしれません。しかし貸金業者以外からは絶対お金を借りたことがないという方以外は、身近な人からも借金している可能性が高く、それを忘れたまま自己破産すると債権者漏れになる可能性が。

お金をあなたに貸した相手は債権者として、財産を公平に受け取る権利があります。たとえ過失により債権者漏れがあったとしても、債権者があなたの破産手続きの開始を知っていれば、免責を受けられるでしょう。

事前に開示請求をする

さまざまな理由で債務者本人が借入先を正確に把握できていないケースがあります。このような場合には、信用情報機関に開示請求することで債権者漏れを防げます。日本には加盟金融機関ごとに3つの信用情報機関があります。それぞれの信用情報機関は独自のネットワークで情報を共有しているので、3社すべてに開示請求を行ってください。

開示請求の詳しい方法や手数料は、各信用情報機関のHPをご参照ください。

ただし信用情報機関に登録されているのは、銀行や消費者金融、クレジットカード会社などの金融機関との取引の情報のみ。個人や勤務先、その他企業からの借り入れの情報は登録されていません。

弁護士に依頼する

債権者漏れを防ぐには、自己破産の手続きを弁護士に依頼するようにしましょう。弁護士に依頼できれば、破産申し立ての準備段階で、破産者本人が忘れている債権者がいないかチェックしてもらえるからです。弁護士は具体的に次のような方法で債権者を特定することができます。

  • 信用情報機関に開示請求を行う
  • 税金や公共料金等の未払いの有無を調査する
  • 不動産の登記簿謄本で、抵当権者や根抵当権者を確認する
  • 通帳に記載されている入出金情報から債権者を特定する

自己破産する人のおよそ9割が弁護士に依頼しています。弁護士に依頼することで費用や時間を節約できる制度が整っており、何より自己破産を成功させるには弁護士の存在が欠かせません。債権者漏れなどのトラブルなく借金問題を解決したいなら、弁護士に依頼するのは必須です。

参考:2014年破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会

【ケース別】債権者漏れが分かったときの対処法

裁判所に破産申し立てをした後で債権者漏れが分かった場合、手続きの進み具合によって対処法が変わってきます。こちらでは以下の3つの場面での適切な対処法を紹介していきます。

  • 破産手続開始決定前
  • 破産手続開始決定後
  • 免責許可決定確定後

【ケース①】破産手続開始決定前

破産手続に必要な書類を準備し、裁判所に破産手続の申立てをすると、裁判所では提出された書類などを確認し、「破産手続の開始を許可する」と判断し、破産手続開始決定が下されます。この破産手続開始決定前に債権者漏れが発覚した場合、次のような方法を取るといいでしょう。

速やかに申告する

破産申立て後に債権者漏れに気づいた場合、速やかに裁判所に報告してください。破産手続開始決定前であれば、以下の書類を提出することで、とくに問題なく手続きを進められます。

必要書類を裁判所に提出

破産手続開始決定前に債権者漏れが発覚した場合、次のような書類を裁判所に提出してください。

  • 債権者変更上申書
  • 漏れていた債権者を追加した債権者一覧表

上申書には決まった書式がないケースが多いですが、次のような内容を記載するのが通常です。

  • 債権者名
  • 債権者住所
  • 借入時期
  • 現在の債務残高
  • 借金の原因や使途
  • 保証人・担保・差し押さえの有無

債務整理の必要書類や流れについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「債務整理の流れと必要書類 | 期間や手続きの注意点も解説」

弁護士に相談

裁判所に破産を申し立てた後に債権者漏れが分かったら、速やかに弁護士に相談してください。弁護士はあなたの代理人として自己破産の手続きを進めています。とくに債権者一覧表は、破産手続にとても重要な書類です。ここに不備や漏れがあれば免責を受けられない可能性が出てきます。

また上申書の書式が裁判所によって決まっている場合があるので、すぐに上申書の作成などをすすめられます。「これって債権者に該当するの?」など、疑問に思った場合や不安な点があったときにもすぐに弁護士に相談することをおすすめします。

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【ケース②】破産手続開始決定後

自己破産では、財産がないことや借金が増えたことに大きな問題がないときに受けられる同時廃止と、破産理由や財産を調査する破産管財人が選任される管財事件の二つの方法があります。破産手続開始決定に債権者漏れに気づいた場合、破産手続が同時廃止事件となるか管財事件となるかで対応が変わってきます。

同時廃止の場合

同時廃止で破産手続をすすめる場合、申立人は裁判所と漏れていた債権者宛てに次のような書類を出す必要があります。

提出先・送付先 必要書類
裁判所 債権者変更上申書

漏れていた債権者を追加した債権者一覧表

債権者 破産手続開始決定通知書

同時廃止は手続きの開始と終了が同時になるので、早めに破産手続開始決定通知書を送る必要があります。

自己破産にかかる期間に関して知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産にまつわる期間を徹底解説!手続き・制限解除にかかる期間&短くする方法とは?」

管財事件の場合

管財事件で手続きする場合、申立人は以下の書類を裁判所および破産管財人に提出します。

  • 債権者変更上申書
  • 漏れていた債権者を追加した債権者一覧表

また破産管財人に対して、次の事項を依頼してください。

  • 漏れていた債権者への破産手続開始決定通知書の発送
  • 上記発送報告書を裁判所に提出すること

なお管財事件では、返済義務の免除について債権者が意見を申述べする期間(申述期間)が設けられています。この期間が終わる前までなら、漏れていた債権者の追加が認められています。

管財事件でどこまで調べられるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産ではどこまで調べられる?破産管財人の調査内容と財産隠しのリスクを解説」

【ケース③】免責許可決定確定後

免責許可決定確定後に債権者からの請求によって、債権者漏れに気づく場合があります。自己破産の手続きは免責許可決定の確定により既に終わっているため、この時点で債権者漏れに気が付いても債権者一覧表を訂正することはできません。

債権者に書類を送付

この場合は、債権者に次のいずれかの書類を送付する必要があります。

送付書類 内容
免責許可確定通知書 免責許可確定が決定したときに裁判所から送られる書面

「免責許可決定正本」「免責決定書」と呼ばれることもある

免責許可決定通知書 免責が許可されたときに裁判所から送られてくる書面

裁判所に申請することで手に入る「免責許可決定確定証明書」でも代用可

債権者一覧表に記載した債権者には、裁判所から上記書類が送付されますが、一覧表から漏れている債権者には申立人本人から通知しなければなりません。免責許可の確定を知らせた以降どうするかは債権者によります。

金融機関が債権者の場合は、わざわざ争うことなく免責処理をしてくれることも多いでしょう。しかし債権者が個人の場合は、債務者の過失の有無を争点に裁判で争うケースもあります。

困ったときは弁護士に相談

免責許可決定確定後に債権者漏れが分かったときは、すぐに手続きを依頼した弁護士に相談してください。上で説明した通り債権者が個人だと、免責が不当だとして借金の返済を求めてくるケースが考えられます。そのようなときには、次のような対策を取れないか考える必要があるでしょう。

  • 債権者漏れの過失が債務者にあったかを争点として裁判で争う
  • 借金に消滅時効が成立している可能性があるときには、時効援用の手続きを行う
  • 返済不能になったときには2回目の自己破産を検討する

債権者に送る免責許可確定通知書を紛失したときなども、弁護士に相談するとコピーを送付してくれる可能性があります。

2回目の自己破産が可能かについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「2回目の自己破産を考えている方へ!免責できるポイントや1回目との違いを解説」

まとめ

自己破産の債権者漏れは、発覚したタイミングや債務者の故意や過失の有無、債権者が破産開始を知っていたかどうかでその後の対応や影響の大きさが変わってきます。とくに借入先が多かったり代位弁済や債権譲渡があった場合、個人間の借金や長期間取り立てがない借金は債権者漏れになりやすいので気を付けましょう。

債権者漏れを防ぐには、周囲に自己破産することを伝え、信用情報機関に開示請求を行ってください。手続きを弁護士に依頼することも忘れずに。

免責許可決定確定後に債権者漏れが発覚した場合、速やかに弁護士に相談し、以後の対応についてアドバイスを求めましょう。場合によっては裁判や時効援用の手続き、2回目の自己破産が必要になる可能性も。債権者漏れは免責が受けられなくなるかもしれないリスクがあります。万全の対応で債権者漏れがないように努め、万が一発覚したときには専門家の助けを借りながら適切に対処していきましょう。

 

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