債務整理の流れと必要書類 | 期間や手続きの注意点も解説

債務整理の流れと必要書類 | 期間や手続きの注意点も解説
債務整理の流れと必要書類 | 期間や手続きの注意点も解説
  • 「債務整理を考えているけど、手続きにどのくらい時間がかるの?」
  • 「任意整理に必要な書類は何か知りたい」

債務整理を検討している方にとって、手続きにかかる時間や流れ、どんな書類が必要になるかについては気になるところです。債務整理の手続きをスムーズに進めるためにも事前準備はとても大切。そこで今回は債務整理の手続きに関する流れ・期間・必要書類を詳しく紹介します。

さらに手続きする上で気を付けるべき注意点なども解説していきますので、いざという時に困らないようあらかじめ頭に入れておきましょう。

債務整理の手続きは、その種類によって大きく異なります。検討中の債務整理について十分に勉強して、なるべく早めに次のステップへ足を踏み出せるようにしましょう。

 

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債務整理の流れや手続きにかかる期間を種類別に解説

債務整理の流れや手続きにかかる期間を種類別に解説
債務整理には次の4種類があり、

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産
  • 特定調停

それぞれに手続きの流れや完了までに要する期間が異なります。まずは債務整理の種類別に詳しく解説していきます。

債務整理の特徴やメリット・デメリットについてはこちらの記事でも紹介していますので、参考にしてください。

「借金の元金が減らない!7つの原因の解決法&種類別の減らし方」

【任意整理】の手続きの流れと完了までの期間

任意整理とは借金の利息を減額して完済を目指す手続きのことで、裁判所を通さずにする債務整理の一種です。特定の債権者(借金の相手)を選んで手続きができ、生活に影響を及ぼさない範囲で借金を整理できます。

手続きの流れ

任意整理は個人でも手続きは可能ですが、一般的には

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 法テラス

のいずれかに手続きの援助を依頼することがほとんどです。正式に依頼した後は、債務者(借金した本人)がすべきことはほぼなく、債権者とのやり取りはすべて弁護士や司法書士などが代行してくれます。

任意整理の期間中、何もすることなく不安になるという方もいるかもしれませんが、多くの弁護士事務所などでは定期的に、今どの段階にいるのかについて連絡をくれるのでご安心を。任意整理は主に次のような流れで進んでいきます。

 

1.弁護士・司法書士・法テラスに手続き援助を依頼
電話・メールなどでアポイントを取った後、面談にて相談することも。
依頼することが決まったら、「委任契約書」を交わして正式に手続き代行を依頼。
2.受任通知の発送・取引歴の開示請求
弁護士や司法書士が債権者宛てに、任意整理手続きを行うことを知らせる「受任通知」を発送。
同時に債務者の過去の返済や残高、返済状況などが確認できる「取引履歴」の開示請求を行う。
3.債務額の調査
開示された取引履歴をもとにして借金の総額を調査。
また利息制限法による法定上限金利をもとに借金の減額・過払い金の発生も調べる。
4.引き直し計算を行う
上で調査した内容を精査し、利息の再計算を行う「引き直し計算」を開始。
5.過払い金返還請求
過払い金があることが明らかになった場合は、過払い金返還請求により返金の可能性がある。
6.和解案を作成し債権者と交渉
引き直し計算や過払い金の額に応じて1カ月当たりの返済可能金額を提示して和解案を作成。
この和解案をもとに債権者との交渉に入る。
7.和解契約の終結
交渉で債権者と合意ができれば和解が成立し、合意書(和解契約書)により和解契約を終結。
8.返済再開
和解契約で作成した内容をもとに3年(もしくは5年)かけて借金を返済していく。

任意整理で借金の残高が確定したら、3年の返済期間をかけて返済していきます。もし3年では難しいという場合は最長で5年まで返済期間を延長できます。

完了までの期間

任意整理が完了するまでの期間はおよそ次の通りです。

  • 受任通知の発送…数日
  • 開示請求…数週間~1カ月
  • 引き直し計算…1~2週間
  • 和解案による交渉…1~3カ月

実際に任意整理を弁護士や司法書士に依頼してから手続きがすべて終わるまでは最低でも3カ月、場合によっては6カ月程かかることがあります。ただし債権者の数が多いケースや書類の準備に時間がかかる時は、これよりもさらに延びる可能性も。

また過払い金があることが明らかになり、過払い金交渉が債権者との間で裁判になった場合は6カ月~12カ月(1年)ほどかかることもあります。

【個人再生】の手続きの流れと完了までの期間

個人再生とは裁判所を通して「民事再生法」のもとで、個人の借金を減額する方法です。ローン支払い中のマイホームを手放さずに済むというメリットがある一方で、収入や借金の総額に条件が課されます。

個人再生には債務者の背景に応じて次の二種類があります。

 

小規模個人再生
個人再生の基本類型で、民事再生法に基づいた基準により借金が減額される
給与所得者等再生
サラリーマンといった毎月安定した収入が見込め、将来にわたって安定した返済ができそうな債務者のうち、無担保債権が5000万円以下であれば再生計画により返済していない借金を免除してもらえるという特則

参考:個人再生手続利用にあたって|仙台地方裁判所

小規模個人再生は個人再生の基本で、毎月安定した収入があるサラリーマンで5000万以下の無担保の借金がある場合は特例的に給与所得者再生が認められます。

手続きの流れ

個人再生の手続きは複雑で、自分で手続きするのは難しいでしょう。個人再生をした方のほとんどが弁護士や司法書士の力を借りていますので、借金問題を早期に解決したいとお考えなら、専門家に依頼することをおすすめします。

個人再生は次のような流れで進んでいきます。

1.弁護士・司法書士などに依頼
弁護士事務所や司法書士事務所にアポイントを取ったら、必要書類を持参して相談。
正式に依頼することに決めたら「個人再生委任契約」を締結する。
2.受任通知の発送・取引歴の開示請求
受任通知が債権者に届くと借金の督促や取り立てがストップし、銀行口座が凍結される。
3.引き直し計算を行う
取引履歴をもとに利息制限法に基づく引き直し計算を行う。
利息を払い過ぎていた場合は過払い金返還請求もここで行う。
4.申立書類の準備
債務者の家計や収支、財産や資産の調査をもとに個人再生申立書類を準備する。
調査により「小規模個人再生」か「給与所得者等再生」のどちらが適しているかを決め、申立書類を作成。
5.個人再生の申立て
債務者の住所地を管轄している地方裁判所に申立書類を提出。
6.個人再生委員の選出・個人再生委員との面談
書類が提出された裁判所では、申立人(債務者)の財産状況をチェックしたり再計画に基づいてアドバイスを行う「個人再生委員」を選出。
選出されてから約1週間で個人再生委員との面談がある。
7.履行テストの開始
申立人の返済能力を確認するため、約6カ月間支払いのテストを行う「履行テスト」を開始。
このテスト期間中に返済が遅れたり滞った場合は個人再生が認められない。
8.再生手続きの開始
個人再生委員との面談で問題が無ければ、裁判所より個人再生手続きを開始する決定を出される。
9.債権届出・債権認否一覧表の提出
裁判所から貸金業者宛てに「再生手続開始決定書」と「債権届出書」が送付される。
貸金業者は内容を確認後、開始決定の6週間後までに債権届出書を裁判所に返送。
同時に申立人は裁判所に債権届出書の金額を認める旨の「債権認否一覧表」を提出。
10.再生計画案を提出
申立人は返済の総額・方法・期間などを記載した「再生計画案」を裁判所に提出。
11.意見聴取・書面による決議
給与所得者再生の場合は意見聴取が行われる。
小規模個人再生では書面による決議が行われ、債権者の過半数もしくは借金総額の1/2以上の不同意があると個人再生できない。
12.再生計画案の認可・不認可決定
裁判所が計画案通りに返済できそうか判断し、再生計画案を認可もしくは不認可するか決定。
13.再生計画案に基づく返済の再開
裁判所が認可した再生計画案通りに借金の返済が再開される。

再生計画案に基づいた返済は、次の3種類のスパンとなります。

  • 毎月返済
  • 二カ月に一度返済
  • 三カ月に一度返済

再生計画案が認可された翌月から返済が再開され、支払期間は任意整理と同様原則3年、最長でも5年までです。

完了までの期間

個人再生が完了するまでの期間は次の通りです。

  • 受任通知の発送から口座の凍結まで…1~3カ月
  • 必要書類の準備…1~2カ月
  • 個人再生委員の選任・面談…2週間前後
  • 履行テスト…原則6カ月間
  • 個人再生手続開始決定…申立から1か月後
  • 再生計画案提出…申立から2~4カ月後
  • 再生計画案の認可・不認可…申立から5カ月後

裁判所により手続きにかかる期間は異なりますが、東京地方裁判所の場合では申立から個人再生の認可・不認可決定までおよそ6カ月程度かかります。ただし個人再生委員の選出がない裁判所では、期間が4~5カ月ほどに短縮されることがあります。

弁護士事務所を探して依頼し、必要書類を集めるなどの準備を含めると、トータルで8カ月から1年前後かかると考えていた方がいいかもしれません。

参考:破産・個人再生申立ての実務|東京三弁護士会研修会より

【自己破産】の手続きの流れと完了までの期間

借金が免責される自己破産ですが、住宅や車などの資産はすべて債権者への支払いに充てられ、職業や資格に制限がかけられるなど何かと不自由を強いられることもあります。とはいえ、借金がかさんだ債務者にとっては債務整理の最後の砦となる手続きです。

自己破産には次の2種類があり、それぞれに手続きの方法や期間が異なります。

同時廃止
債権者に配当できる財産が無い場合にとられる方法。破産管財人による財産の調査や分配の必要がなく短期間で済む。裁判所に支払う手数料や予納金も最低限で済む
管財事件
債務者に財産(33万円以上の現金・20万円以上の価値がある資産)がある場合や、免責不許可事由(借金の理由がギャンブル・株取引・浪費など)がある場合にとられる。破産管財人による調査を行うため時間がかかり、費用も高額になる。

参考:自己破産手続の2つの種類!同時廃止と管財事件って何?それぞれの違いを解説|弁護士法人東京新宿法律事務所

手続きの流れ

自己破産には上のような2種類がありますが、こちらでは同時廃止を中心に流れをご説明します。

1.弁護士に依頼
債務整理に詳しい弁護士に相談し、正式に依頼する際には着手金を支払う。(分割払いも可)
2.受任通知の発送・取引歴の開示請求
弁護士より債権者へ受任通知を発送。
同時に取引履歴の開示請求を行い、これにより債権者からの取り立てが止む。
3.引き直し計算を行う
開示された取引履歴をもとに、利息制限法にのっとって利息を計算。
債務額を確定させる。
4.自己破産申立
準備した書類をもとに弁護士が申立書・陳述書などを作成、住所地がある地方裁判所に書類を提出し自己破産申立を行う。
5.裁判所での面談
裁判官・弁護士・本人の3者面談を行い自己破産に至った経緯を説明。(本人が出席しなくてもよい場合がある)
6.破産手続開始決定・同時廃止決定
内容に問題が無ければ破産手続開始決定・同時廃止決定が出される。
7.免責審尋
裁判所にて裁判官との面接を行うため弁護士と同行。
8.免責許可決定
面接から1週間後に免責許可決定が出される。
9.免責許可決定確定
免責許可決定からおよそ1カ月で法的に免責が確定。

管財事件の場合は、6.破産手続開始決定と8.免責許可決定の間に次の手続きが入ります。

7-1.破産管財人の専任
破産手続開始決定と同時に破産管財人が専任される。
7-2.管財人面接
裁判所での面接から1~2週間後に管財人(弁護士)による面接を行い、
借金の内容・理由・時期・収支・財産の詳細等について聞かれる。
7-3.債権者集会・財産の換価および配当
破産手続開始決定後3カ月で債権者集会が開かれ、破産管財人から配当の見込み等の報告がなされる。
初回の債権者集会まで財産の換価(現金化)や債権者への配当が終わっていれば1度の集会で終了。

上記の流れは弁護士によって多少順序が異なる場合があります。詳しくは依頼先の弁護士事務所までお問い合わせください。

完了までの期間

自己破産の免責許可決定確定までは、おおよそ次のような時間を要します。

  • 弁護士へ相談・契約…2週間前後
  • 受任通知発送から申立の準備まで…2~3カ月
  • 裁判所での面接から開始決定まで…3週間前後
  • 管財人面接から財産の配当まで…3~6カ月
  • 免責許可決定から免責許可決定確定まで…約1カ月

同時廃止の場合は4カ月~5カ月程度、管財事件では7カ月~12カ月以上かかることも。万が一書類に不備が見つかると裁判所から修正を求められ、期間がさらに延びてしまうこともあります。
お住い地域の地方裁判所によっては、弁護士に依頼しているケースに限り、申立からすぐに面接へと進める「即日面接制度」を利用できる場合もありますので、詳しくは担当弁護士までお尋ねください。

【特定調停】の手続きの流れと完了までの期間

特定調停は簡易裁判所が仲裁する形で債権者との和解を目指す方法です。基本的に手続きは債務者本人が行うことになりますが、弁護士を代理人とすることも可能です。任意整理で和解が成立しなかった場合も、特定調停へ移ります。

手続きの流れ

特定調停の流れはこちらです。

1.申立書類作成
債務者本人による申立に必要な書類を作成。
2.特定調停申立
相手方(債権者)の所在地がある簡易裁判所に本人が特定調停の申立をする。
3.債権者へ通知書が送付される
裁判所より各債権者宛てに特定調停が開始された旨の通知が送付される。
4.調停期日通知書が届く
1回目の調停と調停準備日が決定され、その通知書が届く。
都合が悪い場合は裁判所へ電話連絡、日時を変更してもらう。
5.調停準備日に裁判所へ
必要書類を持参して裁判所へ行く。
調停委員による聞き取りや調停の進め方に関する話がある。
6.調停期日
調停当日は調停委員が間に入り債権者と返済条件や期日の交渉を行う。
双方が合意すれば「調停調書」にその内容がまとめられる。
7.返済の再開
裁判所から調停調書が届いたら、その内容通りに返済を再開。

他の債務整理の方法と異なるのは、借金の相手(債権者)の所在地がある簡易裁判所に申立をしなければならないということ。特定調停を希望する債権者が複数ある場合は、まとめて一か所の簡易裁判所へ申立することができます。

また合意後に取りまとめられる調停証書は、確定した裁判の判決と同じ効力があるため、必ず実行しなければなりません。

完了までの期間

特定調停完了までの期間の内訳はこちらです。

  • 申立書類作成から申立まで…数週間~1カ月
  • 申立から調停が終わるまで…3カ月~4カ月

通常が申立から調停が終わるまで、裁判所で行われる月一回の調停にトータルで3~4回出向くことになります。調停は基本的に平日行われますので、仕事がある方はあらかじめスケジュールを調整する必要があります。

債務整理の手続きに必要な書類は?

債務整理の手続きに必要な書類は?
債務整理の種類ごとに流れや期間が分かったところで、申立に必要な書類を解説していきましょう。こちらも任意整理・個人再生・自己破産・特定調停ごとに見ていきます。

【任意整理】に必要な書類一覧

任意整理は裁判所を通さずに行う手続きのため、所定の様式の申請用紙は必要ありません。ただし弁護士や司法書士に依頼する際に最低限必要な書類や持ち物がありますので、忘れずに準備しましょう。

  • 身分証明書(健康保険証・運転免許証・パスポートのいずれか)
  • 印鑑(認印可・シヤチハタ不可)
  • 借り入れしているクレジットカード・キャッシングカード
  • 借り入れの利用明細書・請求書・契約書

また依頼先の弁護士や司法書士によっては、必要に応じて以下のような書類の提出を求められる場合があります。

  • 預金通帳
  • 収入明細(給与明細)
  • 退職金の見込み額が分かる書類
  • 住民票
  • 世帯単位の家計表
  • 債権者(借金の相手)一覧表
  • 不動産登記簿謄本
  • 生命保険証券
  • 車検証

もし法テラスに依頼する際は、依頼を受けられるかどうかの審査に必要な書類があります。次のような書類を準備しておきましょう。

  • 直近2カ月の給与明細
  • 直近の課税証明書
  • 一年分の確定申告書の写し
  • 直近の年金証書・通知書の写し
  • 3カ月以内に発行された生活保護受給証明書
  • その他上記に準ずる書類
  • 資力申告書(生活保護受給者以外)

【個人再生】に必要な書類一覧

個人再生ではそれぞれの裁判所から入手できる個人再生申立書をはじめ、次のような書類の提出が求められます。

  • 個人再生申立書
  • 陳述書(申立人の職業・家族構成・収入などを記載)
  • 債権者一覧表
  • 家計表(申立人の収支の詳細を記載)
  • 源泉徴収票
  • 給与明細
  • 財産目録
  • 戸籍謄本
  • 住民票

【自己破産】に必要な書類一覧

自己破産で最低限必要になる書類は、次のようなものです。

  • 自己破産申立書
  • 陳述書
  • 財産目録
  • 住居に関する書類(賃貸借契約書・不動産登記簿謄本)
  • 収入に関する書類(給与明細・源泉徴収票・課税証明書・確定申告書・年金受給証明書・退職金規定など)
  • 財産に関する書類(生命保険証書・車検証・預金通帳など)
  • 世帯単位の家計表
  • 公共料金領収書
  • 住民票
  • 戸籍謄本
  • 債権者一覧表
  • 税金の滞納額が分かる書類
  • 診断書(病気やケガが自己破産原因の時)

このほかにも申立の直前に遺産相続を受けた場合は相続財産・財産分与の詳細が分かる書類が必要です。また裁判所によっては同居家族の給与明細や車検証、保険証券が必要になる場合も。自己破産手続きでは、とにかく書類の収集および準備が重要になります。

求められる書類が準備できないと申立ができないこともあるため、最優先で進めていきましょう。

【特定調停】に必要な書類一覧

特定調停には次のような書類が必要となります。

  • 特定調停申立書
  • 関係権利者一覧表
  • 財産を状況を示す明細書(その他特定債務者であることを明らかにする書類)
  • 資格証明書(相手方が法人の場合)
  • 予納郵便切手

参考:特定調停申立てQ&A|東京簡易裁判所

申立先の簡易裁判所では、特定調停に必要な書類の一覧やひな形が見られる場合があります。申立を行う裁判所が分かったら、ホームページなどを確認すると確実に準備を進められるでしょう。

債務整理の手続きをする上での注意点

債務整理の手続きをする上での注意点
実際に債務整理の手続きをする上での注意点があります。債務整理の種類ごとにご説明しますので、参考にしましょう。

【任意整理】手続き上の注意点

裁判所を通さない任意整理では、手続きが終了した後の支払いについての注意点があります。

任意整理が終わるまで追加の借金をしない

任意整理した借金の返済が終わるまでは、追加の借金はしないようにしましょう。任意整理後は5年前後、信用情報機関に事故情報として登録されます。これは俗にいう「ブラックリスト」のことで、新たに借り入れやローンを組めない状態になります。

ただ任意整理の場合、一部のクレジットカードを手元に持っておくことが可能ですので、そのカードを使って新たに借り入れできてしまうことも。せっかく任意整理で借金が減ったのに、また借金を重ねると返済が滞ってしまう原因になりかねません。任意整理した借金を完済するまでは、追加で借金をしないのが鉄則です。

支払条件の変更はできない

任意整理により債権者との和解が成立した後は、和解契約書に記載された支払い条件を変更することはできません。たとえやむを得ない事情があって支払いができなくなった場合でも、一度決められた支払い条件を変更してもらうことはほぼ不可能と考えましょう。

任意整理後の支払いが難しくなった場合、借金の負担を解消するには自己破産するしか方法がありません。まずは決められた月々の返済額をキチンと確保できるよう、支出や収入の管理をしっかり行う必要があります。

【個人再生】手続き上の注意点

個人再生を手続きする上での注意点はこちらの二点です。

保証人の借金は減額されない

個人再生を行う借金に保証人が付いている場合、債務者本人が個人再生で借金を減額できても、保証人の借金は減額されません。個人再生を申請してから再生計画案が認可されるまで、借金の支払いはストップされることになります。この間に債権者が保証人に借金の支払いを求めてくる場合もあるため、保証人には事前に個人再生手続きをすることを伝えた方が良いでしょう。

借金の金額などによっては保証人も個人再生手続きした方がいいケースがあります。ただし個人再生ができるのは収入が継続して得られる見込みのある人のみ。現在フリーターや主婦の方が保証人になっている場合は、個人再生を申請できない恐れがあります。詳しくは担当の弁護士などに保証人の債務についても確認しておきましょう。

過失による返済困難では「ハードシップ免責制度」が利用できない

個人再生で借金返済中の方が、何らかのやむを得ない事情で返済が難しくなった場合「ハードシップ免責制度」により、残る借金を全額免除できることがあります。ただしこの制度を利用するには次の一定の要件を満たす必要があります。

  • 確定している弁済(返済)額の3/4以上の弁済が終わっている
  • 免責の決定が債権者の一般の利益に反しないこと
  • 再生計画を変更・延長しても支払いが困難なこと
  • 支払えなくなった理由が本人の責任によるものでないこと

つまりハードシップ免責制度を利用するには、事故や病気、失業や災害といった不慮の事由(理由)によって返済が困難になった場合に限られます。散在して返済が遅れたり、ギャンブルにハマって返済するお金を使ってしまったなど、自己の過失による返済困難では適用されません。

計画通りに返済できないと「再生計画の取り消しの申立」が行われ、せっかく減額できた借金はもとの金額に戻ってしまうことに。事情があり返済ができそうもない時には、決して放っておかずなるべく早めに弁護士に相談して、今後の対処方法について確認しましょう。

【自己破産】手続き上の注意点

自己破産を手続きする上で注意すべきなのは、手続きに必要な経費や免責されない債権についてです。

ケースによっては「予納金」が必要

自己破産の事案によって、手続きを開始するため裁判所に「予納金」と呼ばれる手続き費用を納めなければならない場合があります。予納金の金額は個々の事案によって異なり、破産に至る状況や資産に応じて裁判所が決定します。予納金の内訳とおおよその金額は以下の通りです。

予納金の種類 内訳 おおよその金額
郵便切手 申立人・破産債権者に送る通知に必要 1,000円~4,000円
官報掲載費用 国が毎日発行している官報に掲載するための費用 同時廃止:1.2万円~

管財事件:1.5万円~

管財費用 破産管財人を担当する弁護士へ支払う費用 20万円~

税金・養育費は免責されない

たとえ自己破産できても税金や養育費の支払いなど、一部の債権は免責されません。これを「非免責債権」といい、次のようなものがあてはまります。

  • 租税等の請求権(税金・健康保険税・年金・水道料金など)
  • 罰金
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権
  • 扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権(養育費・婚姻費用)

これらはたとえ自己破産しても免責されませんので気を付けましょう。

【特定調停】手続き上の注意点

特定調停では次のような手続き上の注意点があります。

調停が不調に終わる場合もある

債務者自らが手続きすることが多い特定調停では、調停を申し立てたとしても合意に至らず調停が不調に終わる可能性があります。全ての債権者が調停に協力的な訳ではありませんし、強制力がないためそもそも話し合いに応じなかったり、話し合いができても合意できないことも。

特定調停が不調に終わった場合は、他の債務整理の方法を考えなければなりませんので、裁判所の調停委員や担当の書記官とよく相談して決めましょう。

もしくは弁護士や司法書士に依頼し直すという方法もあります。専門家が間に入ると、交渉に応じない債権者はほとんどいません。依頼にはお金がかかりますが、手続きをスムーズに行うための必要経費だと考えて依頼するのも一つの手です。

過払い金の返還は別途手続きが必要

特定調停では、過払い金があることが分かっても別途手続きが必要となります。特定調停でも他の債務整理と同様、利息制限法の法定上限金利に従って引き直し計算を行います。引き直し計算の結果で払い過ぎた利息があっても、特定調停の場では過払い金を請求できません。

特定調停はあくまで残った借金をどのように返済するかを話し合いで合意するという制度です。調停委員は返済についての交渉はしてくれますが、過払い金返還交渉は行ってくれません。

過払い金返還を受けたいなら、過払い金返還請求訴訟を起こすか、個別に債権者と交渉する必要があることを覚えておきましょう。

まとめ

債務整理は種類ごとに手続きの流れや手続きに要する期間が異なります。また必要書類もどのタイミングでどんな書類がいるのか個々のケースや内容によって違ってきます。

特に裁判所に申立する債務整理では、書類の書き間違いや添付忘れをすると決定までの期間がさらに延びることに。なるべくなら弁護士などの専門家のサポートを受けながら、書類に不備がないよう準備をしていきましょう。

債務整理の手続きに関しては、様々な注意点があります。自分ですべて手続きしようとすると思いもよらぬトラブルが発生する場合も。ここでも法律の知識がある弁護士の助けが必要になりますので、無理に自分で進めようとせずプロの力を借りて手続きをすることをおすすめします。

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