- 「収入がなくなってしまい、次の返済ができない」
- 「借金の残高が取り返しのつかないほど多額になってしまった」
借金の返済ができない状況に直面すると「人生詰んだ」という絶望感に襲われます。どうしようもないと思い悩んだり、夜逃げや自殺などを考えてしまう方もいるかもしれません。
実際に経済・生活問題が原因で自殺した人は毎年3,000人を超えていて、自殺の理由としては1位の「健康問題」に次いで多くなっています。(参考:警察庁統計 自殺者数)
借金が返済できない状況になったとしても、日本においては実際に「人生が詰む」ということはありません。それにも関わらず誰にも相談せず思い悩んでいると、気持ちが塞がっていきさらに状況が悪化してしまうかもしれません。
借金問題は債務整理をすることで解決ができ、人生を立て直すことができます。今回は人生詰んでいると悩んでいる方に向け、具体的な解決方法・立て直し方法をお伝えします。
借金が原因で「人生詰んだ」と思う瞬間
借金が原因で「人生詰んだ」という気持ちに陥るときは、一体どのような時なのでしょうか。借金苦に陥るといっても全ての人が同じ状況ではなく、いくつかのパターンに分けることができます。
巨額な借金を抱えてしまった
借金の残高が大きくなったことを目の当たりにすると、返済までどれくらいかかるのかと途方に暮れます。何らかの事情で大きな借金を一度に抱えてしまう方もいれば、少額の借金を重ねて気づけば金額が大きくなってしまったという方もいます。
住宅ローンや自動車ローンなどは金額が高いですが、返済ができることを前提にローンを組んでいる上、手元にある財産と引き換えに支払をしていますので、後ろ向きな気もちにはならないはずです。
しかし返済の義務だけがのし掛かった場合、返済計画を立てる気にもなれず「詰んだ」という気持ちになるに違いありません。
借金の返済ができなくなった
元々問題なく借金の返済ができていたにもかかわらず収入が減り返済ができなくなった場合も「人生詰んだ」と感じます。返済ができないと借金を延滞することになり、様々なデメリットが生じることが予測できるため、先ほど紹介をした巨額な借金を抱えたパターンよりも危機感が大きくなる傾向があります。
しかも借金の延滞については、借金をテーマにしたドラマや漫画などの影響により以下のようなマイナスなイメージを抱きがちです。
- 家族に督促連絡が行くのではないか
- 自宅が突然差し押さえられるのではないか
もちろん実際にこのようなことは起きないのですがさらに心を追い詰める要因となります。
うつ病などで生きづらさを感じた
借金を抱えた状態の方がうつ病になると将来への考え方が否定的になり、健全な方であれば問題がないはずの借金でも「人生詰んだ」と感じてしまうことがあります。
またうつ病が悪化すると仕事をすることも難しくなり収入が減ります。併せて医療費もかかるため借金問題がどんどん悪化していくことになります。
債務整理をすれば人生は立て直せる
冒頭でもお伝えしたとおり、日本では借金が原因で実際に人生が詰むことはありません。なぜなら借金問題は債務整理で解決を図ることができるためです。
債務整理とは借金を減らす、もしくは免責してもらう手続や制度の総称です。債務整理をすれば借金が減ることはもちろんのこと、督促が止まる、返済から一時的に開放されるなどのメリットもあるため、金銭的な負担だけでなく精神的な負担も大きく軽減されます。
取り立ての連絡が止まる
期日までに返済ができないと、携帯電話に督促の電話がかかってくるようになります。もしくは圧着ハガキや封書で自宅に督促状が届くこともあります。
返済ができないから仕方がないと分かっていたとしても、毎日の督促は精神的な負担になるものです。しかし債務整理の手続きを弁護士などに依頼すると、銀行や消費者金融などからの取り立ての連絡が全てストップします。
取り立ての連絡が止まる理由
債務整理を始めると取り立てが止まる理由は、債務整理を弁護士などに委託した場合は本人に連絡してはいけないという規定があるためです。
第二十一条
(禁止事項)
債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
引用元:e-Gov法令検索 貸金業法
この貸金業法は貸金業を営む業者は必ず守らなくてはならず、破った場合は罰則があります。そのため消費者金融や銀行はもちろんのこと、中小消費者金融・街金業者もこの規定に従って督促の連絡をストップします。
債務整理をすることを決定すると、依頼を受けた弁護士や認定司法書士は委任通知(介入通知)を債権者に郵送します。金融機関はそれを確認して督促を止めますので、手続開始の翌日~数日以内には取り立てから解放されることになります。
督促で精神的に追い込まれていた方は、これだけで人生が詰んだ状況から脱却できるきっかけになります。
返済から一時的に開放される
債務整理を開始して受任通知が発送されると、督促が止まるだけでなく返済も一時的にストップします。つまり返済日を気にしない生活ができるということです。
金融機関と交渉を行い借金を減額する任意整理の場合、返済が再開するのは和解成立後です。和解成立までは3カ月~6カ月程度かかり、その間は返済がありません。
個人再生の場合、返済が再開するまでは早くても6カ月、長いと1年近くかかります。その間は督促や返済から解放された生活を送ることができます。また自己破産は借金を免責してもらう手続きですので、破産手続き完了後も返済の義務がなくなります。
手続きによって返済が無い期間は異なりますが、ストレスから解放されることで人生が詰んでいる状況から脱却できる可能性が高いです。
人生を立て直すための債務整理3つ
借金が原因で人生が詰んだと感じている場合は借金問題を直接解決することが一番です。借金を減らす、もしくは免責する手続きには3種類あり、収入の状況や借金の金額・会社数によってどれがベストなのかは異なります。
自分で「自己破産しかない」と思っていても、実際にはデメリットが少ない任意整理で借金問題を解決できることもあります。自分にはどの手続きが向いているのかについては弁護士事務所の無料相談で診断してもらうことができます。
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任意整理
任意整理とは弁護士や認定司法書士を通して金融機関と交渉を行い、借金の減額をしてもらう手続きのことです。金融機関ごとに手続きが行えますので、自動車ローンや住宅ローンなどそのままにしたいローンがある方にお勧めです。
減額対象となるのは利息部分ですが、消費者金融やカードローンなど高めの利率で借りている場合は将来の負担を大きく軽減できます。
任意整理についてメリット・デメリットを詳しく知りたい方、具体的にどれくらいの金額が減額できるのかを知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
任意整理のメリット・デメリット|整理後の生活への影響を最小限にする方法とは?
個人再生
個人再生とは裁判所に申し立てを行い、再生計画を立てて借金を5分の1程度にまで減額してもらう手続きのことです。減額した借金は3年をかけて分割で返済をしていきます。任意整理とは違い元金そのものを大きく減らせますので、借金の総額が大きい方に向いています。
住宅ローンを支払っている場合、個人再生の住宅ローン特則を利用することで自宅を手放さずに借金を減額できます。個人再生の手順、メリットやデメリットなどについては以下の記事で詳しくまとめています。
個人再生のメリット・デメリットを徹底分析!注意点・利用条件・他の債務整理との違いは?
自己破産
任意整理・個人再生は、手続き完了後も3年程度の返済を行うことが前提の手続きです。しかし収入が全くない、もしくは支払能力が全くない方の場合は自己破産をすることで借金を全額免責してもらうことができます。
借金で人生詰んだと思っている方の中には「自己破産は人生の終わり」「自己破産だけは避けたい」と思っている方も少なくないはずです。自己破産は借金が免責される代わりに財産の多くを失いますので、どうしても負のイメージが強い手続きです。
しかし自己破産は本来、借金が増えて人生に行き詰まった方に向けて作られた制度です。実際には手元に残せる財産も少なくありません。また自己破産をすると5年~10年はブラックリストになりますが、その期間を乗り越えれば元のようにローンを組むことができるようになります。つまり自己破産は人生の終わりではなく再出発であると言えます。
実際に自己破産で手元に残せる財産を知りたい方、デメリットを知りたい方は以下の記事もご覧ください。
自己破産のデメリットを状況別に解説!誤解や嘘を解決して最適な選択へ
お金がなくても債務整理はできる
債務整理のメリットは分かっていても弁護士費用がかかるから踏み出せないという方もいると思います。自力で債務整理を行えば確かに弁護士費用はかかりませんが、自力でできる手続きには限度があるのが実情です。
債務整理の中で一番デメリットが少ない任意整理は金融機関との交渉ですので専門家を通さないと手続きができません。自己破産は自分で手続きを行う方もいますが、準備・作成が必要な書類が多い上に手間がかかります。
そのため大半の方が弁護士に依頼をして債務整理を行っています。そもそも債務整理はお金がない方が行う手続きであり、弁護士側も当然それを理解していますので、費用の支払いについては融通を利かせてくれる事務所が大半です。また法テラスなどの制度を利用する方もいます。
相談だけなら無料
自分に向いている債務整理はどれなのか、そして実際にはどれくらいのお金がかかるのかについては法律事務所の無料相談を利用することで確認ができます。昔は対面や電話で相談を行うことが多かったですが、今はインターネットやメールでの相談が主流となっていますので、電話が苦手だという方でも気軽に問い合わせができます。
借金問題は誰かに話しにくい問題ですので一人で抱え込むことになり、実際にはそこまで切羽詰まっていなくても「人生が詰んだ」という気持ちに陥りやすい性質があります。誰かに話すだけでも気持ちが楽になるかもしれません。
費用は分割払い・後払いができる
弁護士費用は依頼をしたらすぐに支払わなくてはいけない、というわけではありません。債務整理を請け負う弁護士の多くは費用の後払いや分割払いに対応してくれます。
前の項目で解説をした通り、債務整理を行うと一時的に返済から解放されます。そのため本来であれば返済に充てるはずだった分のお金を弁護士費用にする方も多いです。
法テラスで立て替えてもらえる
費用が全く払えない場合、法テラスの民事法律扶助制度を利用できます。法テラスが規定している収入基準と資産基準を両方満たしていれば、債務整理に必要な費用を立て替えてもらうことができます。
収入基準は家族の手取り金額によって規定され、例えば一人の場合は手取18万2,000円以下、二人の場合は25万1,000円以下が目安です。資産要件は不動産や有価証券などの資産の合計額を基準にしたもので、家族が一人の場合は180万円以下、二人なら250万円以下が条件です。
ただ法テラスの民事法律扶助制度には以下のようなデメリットも。
- 弁護士を選べない
- 手続開始までに日数がかかる
- 法人や在留資格のない外国人は利用できない
またあくまでも費用の立て替えですのでいずれ支払をしないといけません。一時的なものと考えたほうがよいでしょう。
参考:日本司法支援センター法テラス 民事法律扶助
公的支援に頼るのも手
「人生詰んだ」と感じるほど借金問題に悩んでいる場合は公的支援の利用条件を満たしているかもしれません。利用できそうなものは積極的に利用しましょう。
生活福祉資金貸付制度
低所得者や障害者、高齢者など、金融機関からお金を借りられない方に対し、生活のサポートをすることを目的として貸付を行う制度です。貸付なので返済の義務がありますが、返済を開始する時期を先延ばしできる据置期間がある上に利息も極めて低いことが特長です。お金を工面できない方はぜひ活用しましょう。
生活福祉資金貸付制度にはいくつかの種類があります。
- 総合支援資金
- 生活再建に必要な費用の貸付
- 福祉資金
- 福祉関連の資金、その他生計の維持が困難になった際の貸付
- 教育支援資金
- 高校、大学や専門学校への進学費用の貸付
- 不動産担保型生活資金
- 不動産を担保にした貸付
債務整理の費用は総合支援資金の「一時生活再建費」に該当し、貸付条件の用途にも明示されています。
生活を再建するために一時的に必要か日常生活費で賄うことが困難である費用
就職・転職を前提とした技能習得に要する経費
滞納している公共料金等の立て替え費用
債務整理をするために必要な経費 等引用元:全国社会福祉協議会 福祉の資金
一時生活再建費は最大60万円以内を年率1.5%、連帯保証人が付く場合は無利子で借りることができ、貸付日から6カ月まで据置期間を設けることができます。
生活福祉資金の特例貸付
上記の生活福祉資金貸付制度は低所得者が対象ですが、これとは別にコロナウイルスが原因で収入が減少した方を対象に緊急小口資金と総合支援資金の貸付も行っています。
- 緊急小口資金
- 新型コロナウイルスの影響で収入が減少した世帯が対象
- 総合支援資金
- 新型コロナウイルスの影響で日常生活の維持が困難な世帯が対象
申請は住んでいる地域を管轄する市区町村社会福祉協議会で行うことができます。詳しい条件や申込手順については以下の厚生労働省のページも併せて参照してください。
参考:厚生労働省 生活福祉資金貸付制度
借金の原因を根本的に解決しよう
債務整理を行うと借金を減額することができますが、それだけで必ず生活を立て直せるとは言い切れません。借金が増える原因を根本から解決しないと、債務整理後にまた人生が詰んだという状況になってしまう恐れもあります。
ギャンブル依存症などが原因で借金が増えた場合、治療を行うことで改善する可能性があります。うつ病で仕事ができない時は公的支援を受けながら治療に専念しましょう。医療費が高額になる場合も支援制度を積極的に活用し、生活の立て直しに力を注いでください。
ギャンブル依存症の場合
借金をしている方全員に当てはまるわけではありませんが、ギャンブルが原因で借金を抱える方は少なくありません。ギャンブルは胴元の儲けの関係上必ず負ける確率のほうが高くなっているにも関わらず、勝つことで射幸心が強まるため、一度のめり込むとなかなか抜け出せません。
借金をしてまでギャンブルを続けていた方は、ギャンブル依存症(正式にはギャンブル障害)と呼ばれる精神疾患に罹っている状態です。そのため債務整理をした後でもギャンブルから抜け出せない可能性があります。
参考:消費者庁 ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ
ギャンブル障害には直接的な治療薬はありませんが、カウンセリングや専用プログラムで治療ができる専門外来を設けている医療機関もあります。また同じような依存症を抱える方で相互理解・支援をし合うことも治療に有効とされていて、ギャンブル依存の自助グループも増えつつあります。
専用の機関や相談先については、ギャンブルだけでなくアルコールなどさまざまな依存症患者を支援する依存症対策全国センターのページにまとめられています。
参考:依存症対策全国センター
そもそも借金癖がある場合
ギャンブルをしていなくても、借金に依存した生活を送り借金から抜け出せない状態の方もいます。借金癖もしくは借金依存症と呼ばれる状態です。そのような方は信用情報がブラックになる、もしくは貸付自粛制度で借金を強制的に絶つことができる可能性が。専用機関でカウンセリングを受けることも効果的です。
強制的に借金を絶つ
債務整理を行うと信用情報に異動情報が登録され、最長で5年(自己破産の際は10年)の間記録が残ります。金融機関は審査の際に信用情報を確認しますので、その間は新しいローンを組んだりお金を借りたりすることが不可能になります。いわゆるブラックと呼ばれる状態です。
債務整理を行い借金を減らすだけでなく、ブラックとなり借金ができない状態にすることで生活が立て直せる可能性があります。債務整理の手段ごとの登録年数などブラックリストについての詳細は以下のページで詳しくまとめています。
債務整理するとブラックリストにのる?気になる「ブラックリスト」についてすべてお答えします!
ただブラックの期間はあくまでも最長で5年ですので、これよりも短い年数で情報が消えてブラックでなくなる可能性も。信用情報がブラックでない方が強制的に借金を絶つ手段としては貸付自粛制度がお勧めです。
貸付自粛制度とは日本貸金業協会に申請を行い5年間貸付を受けられなくする制度のこと。webもしくは郵送、もしくは各都道府県にある協会の受付で申請ができます。ただ申請から3カ月が経過すると自分で解除できてしまうため注意してください。
参考:日本貸金業協会 貸付自粛制度について
専門機関に相談する
信用情報がブラックになる、もしくは貸付自粛を行ったとしても借金が全くできなくなるとは限りません。依存症の度合いが強かった場合、身近な人や街金などあらゆる手段を使って借金をしようとするかもしれません。
借金癖がどうしても治らない場合、専用の相談窓口や依存症専門の機関でカウンセリングを受けることをお勧めします。借金依存は借金問題同様、誰かに話しにくいため一人で抱え込む方が多く、悪化しやすい傾向があるためです。
ギャンブル依存症同様に直接的な治療法はないのですが、カウンセリング等で改善することが分かっています。借金を止められるか不安な方は早めに相談をすることをお勧めします。
借金依存の相談は依存症を専門に扱う医療機関はもちろんのこと、日本クレジットカウンセリング協会でも受付をしています。日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)とは内閣の許可を得て設立された公益財団法人で、借金に関する問題を抱えた方へカウンセリングを行っています。
弁護士から推薦を受けた弁護士カウンセラー、所定の資格を持ったアドバイザーカウンセラーが所属しており、借金依存を解消するためのカウンセリングや家計カウンセリングを受けることができます。
参考:日本クレジットカウンセリング協会
うつ病などで仕事ができない場合
うつ病や適応障害などの精神疾患が原因で仕事に就けない場合、心療内科や精神科などにかかり治療を優先させてください。世の中には精神疾患に理解がない人も居ますので、うつ病くらいで仕事を休むわけにはいかないと思う方もいるかもしれません。
しかしうつ病は病気ですので無理をすると悪化します。まずは治療に専念しましょう。精神疾患に悩んでいる方に向けて受けられそうな助成・手当を紹介します。まだ受け取っていないものがあれば申請を行いましょう。
傷病手当金を受け取れるケース
精神疾患を含む病気が原因で仕事を休んでいて、その間給与が支払われていなかった場合は傷病手当金を受け取れます。申請は加入している健康保険に対し行えます。休んだ分が有給休暇扱いになっている場合は受け取れないので注意しましょう。
退職したあとでも以下の条件を満たしていれば申請ができます。
- 継続して1年以上健康保険に加入していた
- 連続3日、合計4日以上仕事に就けなかった
- 退職日時点で仕事に就いていない
うつ病は障害年金を申請できる
うつ病によって日常生活に困難をきたしている場合、障害認定を受けることができます。対象となる精神疾患はうつ病だけでなく統合失調症やパニック障害、双極性障害なども該当し、日常生活に支障があれば病名に関係なく申請ができます。
障害等級は1級から3級の3段階あり、以下のように認定基準が定まっています。
等級 | 障害の度合の目安 |
---|---|
1級 | 他人の介助がないと日常生活を送れない |
2級 | 介助が必要とは言い切れないが、病気が原因で働けない |
3級 | 病気により、労働に制限を受ける |
障害年金を受給できるのは1級・2級のみで、3級は対象ではありません。2級に認定されるのはうつ病が原因で勤労に就けないことが条件ですので、該当する方は申請を検討してみてください。なおうつ病に罹患していても働いている場合は3級に該当し、障害年金の受給対象にはなりません。
障害年金の申請は市町村役場、もしくは年金事務所や年金相談センターで行えます。
参考:日本年金機構 障害基礎年金を受けられるとき
生活保護は人生詰んだ状態ではない
病気などが原因で働くことができず、収入がない場合は生活保護も検討しましょう。生活保護を受給することに抵抗がある方は決して少なくありません。しかし生活保護は日本国憲法で定められている国民の権利を守るためにあるものです。生活保護が必要になる可能性は誰にでもあるため、遠慮なく申請するよう厚生労働省にも記載されています。
家族や第三者に生活保護がバレるのが怖いという方もいるでしょう。生活保護は申請者に扶養ができそうな親族がいた場合「○○さんから生活保護の申請がありましたが、扶養はできませんか」と連絡する扶養照会があり、それが嫌で生活保護を躊躇する方も非常に多いです。
しかし近年は不要な扶養照会を行わないよう支援団体から働きかけが行われており、自治体によっては親族への扶養照会を拒否できるようになってきたため、親族にバレずに生活保護を受けられる方も増えています。また普通に生活をしていれば第三者に生活保護を受けていることはまずバレません。
生活保護の申請は住んでいる地域を管轄している福祉事務所で行えますので、まずは自分が申請の対象になっているかを確認してください。
参考:厚生労働省 福祉事務所
医療費が払えないときは
依存症や精神疾患は治療ができるということをお話しましたが、医療費が払えないから治療を受けられないという方も少なくないはずです。医療費は決して安くありません。そのような方は医療費の助成制度を活用しましょう。
助成制度には様々な種類があり条件も多様です。独自で制度を設けている自治体もありますので、お住まいの市町村役場に確認をしてみてください。
自立支援医療
自立支援医療とは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、統合失調などを始めとした精神疾患がある方の継続的な通院をサポートする制度です。病状が無くなり、軽快状態を保ち再発を予防するための通院も対象となります。
医療費が一割負担になることに加え、一カ月当たりの自己負担の上限が設けられ、上限を超えた分については別途支給を受けられます。申請はお住まいの市町村役場の福祉担当の窓口で行えます。
参考:厚生労働省 自立支援医療(精神通院医療)の概要
高額療養費制度
高額医療費制度とは、医療機関で支払った一カ月あたりの金額が上限を超えた場合、その超えた金額を支給してもらえる制度です。入院をした場合は一カ月の医療費が何十万になることもあります。そのような時はこの制度に頼りましょう。
69歳以下の場合、一カ月あたりの上限額は以下の通り。
年収 | 上限額 |
---|---|
住民税非課税 | 35,400円 |
約370万円以下 | 57,600円 |
約370万円~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
約770万円~約1160万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
約1160万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
申請は加入している健康保険に行います。国民健康保険の場合は市町村役場に確認をしましょう。
参考:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
無料低額診療事業
無料低額診療事業とは社会福祉法に基づき経済的に困窮している方、低所得者などに対し無料もしくは低額な料金で診療を行う事業のこと。医療費が払えない方、そもそも保険料自体が支払えず保険を利用できないという方はこの制度を利用してみてはいかがでしょうか。
ただ無料低額診療事業は医療機関ごとに行っており、実施している病院は限られています。対象の医療機関は全日本民医連のホームページで確認ができます。
参考:全日本民医連 医療費でお困りの方
まとめ
膨れ上がった借金の残高を目の当たりにしたり、返済日が近づいているにも関わらず返済ができなかったりすると、これからどうしていけばいいのか目の前が真っ暗になり「人生詰んだ」という気持ちになります。
しかし借金問題で人生が詰む、ということは実際にはありません。借金問題は債務整理をすることで解決できるためです。債務整理を行うと信用情報がブラックになるなどのデメリットはありますが、督促や返済が止まるため精神的に開放され、新たな生活のスタートを切るよいきっかけとなります。
収入が減って返済ができないという方で、まだ公的支援を利用していない方は利用できる制度をどんどん活用していきましょう。低所得者向けの支援を受けるのは恥ずかしいと思う方もいるかもしれませんが、支援を受ける権利は誰にでもあります。
今までは余裕をもって生活ができていた方でも急に貧困に陥り、支援に頼らざるを得なくなるというケースも珍しくありません。様々な制度の力を借りながら、前向きに明日を切り開いていきましょう。