住民税の滞納で差し押さえられるまで|滞納リスクと流れを理解し、差し押さえを回避

住民税の滞納で差し押さえられるまで|滞納リスクと流れを理解し、差し押さえを回避
住民税の滞納で差し押さえられるまで|滞納リスクと流れを理解し、差し押さえを回避
  • 「住民税が払えない…いつ差し押さえになる?」
  • 「税金滞納で差し押さえを回避する方法が知りたい」

住民税を納付書で納める場合、お金がなかったりうっかり忘れたりして滞納してしまうこともあるかもしれません。しかしそのまま納めないでいると、最悪の場合、給与や預貯金が差し押さえられる可能性があることをご存じですか?

そこでこちらの記事では、住民税の滞納で差し押さえられるまでの流れや滞納リスクを詳しく解説。また税金の滞納に関する注意点や、差し押さえの回避方法を紹介します。すでに住民税を滞納している方はもちろん、税金の支払いが苦しい方も参考にしましょう。

 

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住民税の滞納で差し押さえされるってホント?

では実際に住民税の滞納によって、財産を差し押さえられることはあるのでしょうか。

悪質な滞納だと差し押さえの可能性

悪質な滞納だと役所が判断すると、差し押さえの可能性があります。例えば再三の催促に何も反応がなかったり、一度だけ納付があった以降は全く連絡が取れなくなったといったケースです。払えそうな生活状況なのに、のらりくらりとした態度で、税金を納付しようとする気持ちが見られない場合も、悪質な滞納だとみなされて差し押さえにあう可能性があります。

差し押さえの法的根拠

住民税をはじめとする地方税の場合、法律上は「督促状を送付してから10日を超えた時点」で納付がなされないと、滞納者の財産を差し押さえることができます。実際の手続き上は、督促状の送付から1カ月程度の時間が必要ですが、法律上は10日を過ぎればいつでも差し押さえを実行してよいという決まりとなっています。

第三百三十一条 市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押さえなければならない。

一 滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。(以下略)

参照:地方税法|e-GOV法令検索

貸金業者や金融機関から借金した場合、滞納から差し押さえまでは最短でも3カ月かかります。これは裁判所に差し押さえを申し立てる必要があるためです。しかし税金の滞納は、裁判所を通さずに財産の差し押さえができるという理由から、滞納から差し押さえまでのスパンが短くなっています。

住民税の基礎知識

では住民税とはいったいどんな税金で、計算方法や納付方法はどうなっているのでしょうか。

住民税とは

住民税とは、住んでいる都道府県や市区町村に納める税金のこと。地方公共団体では徴収した住民税を、公共施設や上下水道の整備、ごみ処理や学校教育などの行政サービスの運用にあてています。つまり住民税によって、その地域の公共サービスの運用費用を、住んでいる人が一人一人分担しているという訳です。

住民税の対象となるのは、1月1日時点で日本に住所があり、一定以上の収入を得ている人。前年の所得に応じて、6月から次年度の5月にかけて支払います。住民税は個人住民税と法人住民税の二種類がありますが、こちらでは個人住民税について解説していきます。

住民税の計算方法

住民税の計算方法には、次の5つの種類があります。

  • 所得割
  • 均等割
  • 利子割
  • 配当割
  • 株式等譲渡所得割

一般的な収入を得ている人は、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と低額で課税される「均等割」の合計した金額を所得税として納付しなければなりません。個人住民税の税率は、市区町村民税が6%、都道府県民税が4%の合計10%です。

年収100万円以下は非課税

住民税は年収が100万円以下だと非課税となります。というのも、次の控除枠と非課税枠があるからです。

給与所得(基礎)控除(55万円)+非課税枠(45万円)=100万円

ただしお住まいの地域によっては、年収が100万円以下であっても住民税が発生する場合があります。詳しくはお住いの市区町村役場までお問い合わせください。また年収にかかわらず、次のような世帯は住民税が非課税になる場合があります。

  • 生活保護受給世帯
  • 未成年・障害者・寡婦・ひとり親世帯で、前年の合計所得が135万円以下(給与所得のみの場合は204万4千円未満)の世帯
  • 前年の合計所得金額が地方自治体の定める金額以下の世帯

こちらも詳しくは、市区町村役場までお問い合わせください。

住民税の徴収方法

住民税の徴収方法は、次の2種類の方法があります。

徴収種類 徴収方法 対象者
特別徴収 毎月の給与から天引き 給与所得者のほとんど
普通徴収 納付書

口座振替

  • 個人事業主
  • サラリーマンで副業をしている人
  • 転職に伴い会社が書類のやり取りをしていない場合
  • 退職後に転職先が決まっていない人

原則として、勤務先では住民税の特別徴収が義務付けられているため、給与所得者のほとんどが特別徴収となります。それ以外の方は普通徴収となり、通常4期(6月・8月・10月・翌年1月)の支払いとなります。口座振替に切り替えることも可能ですが、口座に残高がないと引き落としができないので注意しましょう。

住民税を延滞するリスク

住民税を延滞すると、差し押さえ以外にも次のようなリスクが生じます。

延滞金が課される

住民税を延滞すると、延滞金が課されることになります。延滞金は滞納分を完済するまでずっと加算されます。延滞金の計算方法は以下の通りです。

①納付すべき住民税の金額×延滞税の割合×日数(滞納日から2カ月を経過する日まで)÷365(日)

②納付すべき住民税の金額×延滞税の割合×日数(2カ月を経過する日の翌日から完納まで)÷365(日)

①の金額+② の金額=延滞金の合計(100円未満切り捨て)

尚、上記「延滞金の割合」は以下の通りです。(令和3年1月1日以降/年)

納期限の翌日から2カ月を経過する日まで ・7.3%

・延滞税特例基準割合+1% のどちらか低い方

納期限の翌日から2カ月を経過した日以降 ・14.6%

・延滞税特例基準割合+1% のどちらか低い方

参考:延滞税について|国税庁

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの延滞金特例基準割合は、1.4%で計算します。

社会的信用を失う

住民税を滞納し続け差し押さえとなると、社会的信用を失う恐れがあります。最初に差し押さえ対象となるのは、給与や銀行口座といった財産だからです。給与が差し押さえ対象となると、行政から勤め先に給与を差し押さえる旨の通知が届きます。もちろん会社に税金を滞納していることはバレてしまうでしょう。

税金の未納で給与を差し押さえられたからといって、それだけを理由に会社を解雇される訳ではありません。しかし、社内での自分の立場や関係が悪くなる可能性は十分に考えられます。

事業資金を工面できなくなる

自営業の方が預金口座を差し押さえられると、口座から強制的に預金が引き出されます。状況によっては運転資金を工面できなくなる恐れがあるでしょう。取引先に支払ができなければ、会社としての信用を一気に失います。それにより事業の継続が困難になる可能性も。住民税を滞納し続けると、こうしたリスクがあることも覚えておきましょう。

差し押さえ対象の財産

住民税の滞納により差し押さえの対象になるのは、以下のような財産です。

給与

給与所得者の財産を差し押さえる場合、真っ先に対象となるのは給与債権です。会社を辞めない限りは毎月必ず振り込まれるので、とりっぱぐれがないため。とはいえ、給与の全額がすべて差し押さえられる訳でなく、総支給額から次の5つを差し引いた金額が、差し押さえ可能な金額の上限となります。

  • 所得税・住民税
  • 社会保険料
  • 10万円
  • 同一生計の配偶者や子ども1人につき5万円
  • 総支給額から上の4つを差し引いた金額×20%

同一生計の家族が多ければ多いほど、免除される金額が高くなります。一緒に住んでいなくても、1人暮らしの大学生の子どもがいるなど、生活費を負担する必要がある家族がいる場合は、その点も考慮されます。ローン滞納などで給与が差し押さえられる場合の上限は、手取り額の1/4までですが、税金滞納者の差し押さえの場合は、上記のような金額となります。

給与差押は無視できるのか?については、こちらの記事を参考にしてください。

「給料差し押さえは無視できる?差し押さえまでの流れや期間、回避方法について解説!」

銀行口座

銀行口座を差し押さえられ、口座に入っている預貯金を滞納住民税にあてられる可能性もあります。銀行口座を差し押さえられると口座が凍結され、お金を引き出せなくなったり振込や引き落としができなくなるなど、一切の手続きができません。給与と違い、預貯金には差し押さえの限度額がないため、滞納している住民税分の現金が口座にあれば、全て差し押さえの対象に。

通帳の摘要欄には「サシオサエ」や「ジュウミンゼイサシオサエ」などと書かれます。通帳を誰かに見られてしまうと、差し押さえにあったことがバレる可能性があるでしょう。

銀行口座に差し押さえが周囲にバレるかに関しては、こちらの記事を参考にしましょう。

「銀行口座の差し押さえは会社や家族にバレる?バレないケースや対処方法を詳しく解説」

不動産

滞納者名義の不動産がある場合には、不動産も差し押さえの対象となります。行政が差し押さえの手続きを取ると、登記簿には「差押」と記載され、売却や処分ができなくなります。差し押さえ後に滞納分を納めれば問題ありませんが、差し押さえ後も納付しない場合は、行政が当該不動産を売却し、滞納分にあてられます。

売掛金

個人事業主の場合、売掛金を差し押さえられる可能性があります。売掛金は売上の対価として受け取れる予定の金銭ということで、債権の一種だからです。受け取れるはずの売上金を持っていかれるばかりか、取引先に調査が入れば住民税を滞納していることを知られ、今後の取引に悪影響を及ぼす恐れがあります。

自営業で借金返済が苦しいと感じている方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「自営業で借金返済が苦しい。会社の事業継続・廃業それぞれに向けたベストな対処法とは」

住民税滞納で差し押さえされるまでの流れ

では実際に住民税を滞納した場合、財産が差し押さえられるまではどのような流れでことが進むのでしょうか。

督促状が届く

住民税の納付期限を過ぎると、20日以内に督促状が発行されます。督促状には、次のような内容が記載されています。

  • 税金の種類
  • 期別
  • 本来の納付期限
  • 納付すべき税額
  • 延滞金の金額(記載日時点)
  • 納付書の取扱期限

延滞金の金額は、督促状の記載日時点での金額となります。実際に納付する場合は、延滞金を計算し直す必要があります。督促状自体には法的な強制力がないものの、後の差し押さえにつながる重要な意味を持つもの。督促状が届いたら速やかに開封し、住民税を納めるようにしましょう。

電話や訪問による催促

自治体によっては、電話や訪問による催促が行われることがあります。督促状が届いても一向に納付が行われなかったときなどです。自宅の電話にかかってくるケースが多いので、同居している家族に住民税を滞納していることがバレる可能性があります。

差押予告書が届く

督促状や電話での催促があってもなお納付されないときには、「差押予告書」という文書が届きます。「差押予告通知書」や「差押事前通知書」といった表題で送られてくることもあります。差押予告書は文字通り、債権者(行政)が債務者(滞納者)の資産を差し押さえることを予告するもの。

差押予告書も法的拘束力を持ちませんが、差し押さえ前に納税を促すため、最終通告の意味で送られてきます。内容証明郵便で届くこともあり、目立つよう派手な色の封筒に赤字で「至急開封」などと印刷されています。差押予告書には、次のような内容が記載されています。

  • 差し押さえ対象の資産の種類・数量
  • 納付期限
  • 差し押さえの理由
  • 差し押さえ予定日

財産調査・身辺調査の実施

差し押さえが必要と行政が判断した場合、まず財産調査が実施されます。同時に、身辺調査も行われることがあります。財産調査では、どのような財産を持っているか調べられるのはもちろんのこと、就業状況を調査する目的で勤務先や取引先などへの聞き取り調査も行われることが。

調査に入られた会社や金融機関では、財産調査に協力する必要があります。このときに周囲に住民税滞納のことが知られてしまう可能性が高いでしょう。

上記の財産調査でも差し押さえ可能な財産が見つからなかったときは、さらに「捜索」が行われます。捜索は刑事事件の家宅捜索に似た方法で、予告なしに自宅や勤務先に立ち入り、隠し財産がないか調べるというものです。

財産の差し押さえ

これまで再三の督促にもかかわらず、滞納住民税を納めてくれない場合は、最終的に給与や銀行口座を差し押さえられます。税金の滞納に関しては、裁判所に申立てる必要がないため、借金の滞納よりも早く差し押さえられる可能性が高いでしょう。

法的には督促状を発行した日から10日以降であれば差し押さえが可能ですが、実際には最短でも1カ月で差し押さえできる権利を得られます。

住民税の滞納と差し押さえに関する注意点

住民税の滞納や差し押さえに関しては、次のような点に気を付けてください。

基本的に完納するまで解除不可

一度給与や銀行口座を差し押さえられると、滞納分の住民税を完納するまで差し押さえを解除できません。給与が差しさえられた場合は、上で説明した計算により算出した返済分を差し引いた額が口座に入金されます。銀行口座を差し押さえられた場合には、全額回収するまで差し押さえが繰り返される可能性も。

どうしても生活が苦しいなどの事情がある場合は、後述する猶予制度や分割納付などができないか相談してみましょう。

税金は債務整理できない

借金を減免する手続きに「債務整理」がありますが、滞納した税金は債務整理しても減免されないので気を付けましょう。債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3種類が主にあり、一番強力な手続きである自己破産では、免責が認められると銀行や消費者金融、クレジットカードなどによる借金がすべてゼロになります。

しかし税金は、手続きしても免責されない「非免責債権」であり、自己破産後も延滞税を含めた全額納付の義務が残ります。自己破産以外の任意整理や個人再生でも同様で、延滞した住民税を整理対象とすることはできません。

時効を待つのはおすすめできない

住民税を含む税金の滞納は、5年で時効となります。法的には時効が来れば納付の義務から逃れられますが、実際には時効で納付しなくても済むケースはほぼありません。というのも住民税の滞納状況は、税務署により厳しく管理されているからです。税金の時効を迎える前に督促状や差し押さえの手続きが取られるため、時効が更新されたり強制的に財産を没収されてしまうでしょう。

引っ越せば住民税の支払いから逃れられるのでは?と考える人がいるかもしれません。しかし引っ越し先は役所にすぐバレ、新しい住所に督促状が届くようになるでしょう。何よりその間も延滞税が加算され続ける一方、住民税の時効を待つよりは、なるべく早く納付する方法を考える方がいいでしょう。

借金の時効援用が失敗するケースや対処法は、こちらの記事を参考にしてください。

「借金の時効援用が失敗するケースを解説|失敗を防ぐ確認方法と失敗したときの対処法」

分納の口約束は要注意

どうしても住民税が収められず、役所の窓口に相談に行くと、担当職員が分納を認めてくれる場合があります。しかしこれは分納の口約束といわれるもので、法的に約束されたものではありません。そのため担当職員や上司が変わると、急に差し押さえの手続きが開始されることもよくあります。

完納の目途が立たないという方は、これから紹介する「納税の猶予」や「換価の猶予」といった制度を利用することをおすすめします。

納付を免除されることはない

収入がなく差し押さえできる財産もないから、どうにか納付を免除して欲しいと思う人もいるでしょう。しかし住民税の納付は、日本に住む国民の義務です。そのため住民税の納付を免除してもらえることはありません。どうしても今払えないという場合には、さまざまな方法により支払い猶予を受けることは可能です。

差し押さえを回避するための方法と対処法

差し押さえにあうと財産を失うほか、社会的信用をなくしたり自営業を廃業せざるを得なくなる可能性があります。このような事態に陥る前に、差し押さえを回避する方法や適切な対処法を取っていきましょう。

手持ちがあればすぐに納付

滞納額を納められるだけのお金があるなら、すぐに納付するのが最善の方法です。上で説明した通り、税金はどんな手段を使っても納付を免除されることはありません。であれば、なるべく早めに納めてしまった方が、より最小限の影響で済みます。

納付しても反映に時間がかかることがあるので、納付後は必ず役所に連絡してください。また納付書による支払を忘れる可能性があるという方は、口座引き落としや給料天引きにするという方法も。今後の滞納を防ぐ対策も取っていきましょう。

支払えないときには窓口に連絡

すぐに納付できないときには、必ず役所の担当窓口に連絡してください。すでに督促状が届いている状況なら、10日以内に相談に行くのが望ましいでしょう。役所に行く時間が取れないときには、電話でも構いません。今すぐ納付できない理由を話し、支払の意思があることを誠実に伝えてください。

減免制度を利用

住民税には一定の要件を満たしている方を対象に、減免が受けられる制度があります。住民税の減免とは、通常1年間住民税の納付額をゼロにしたり減らしたりできる制度。主に次のような理由があれば減免を受けられる可能性があるでしょう。

  • 生活保護を受給することになった場合
  • 災害により住宅や家財が損害を受けた場合
  • 災害により死亡又は障害者になった場合
  • 前年の所得が一定以下で、失業などにより長期間その状態が続くと認められた場合
  • 前年の所得が一定以下で、前年の所得と比較して一定割合以上所得が減少した場合

ただし納付期限が過ぎてしまうと、住民税の減免の対象とはなりません。必ず納付期限前までに申請してください。上記の条件に該当する方は、納税通知書と申請理由を証明できる書類を準備して、担当窓口に持参してください。

納税の猶予で期日を延長

納税の猶予が認められると、納税までの期間を1年間延ばすことができます。延滞税に関しては、最大で1年分が全額免除となります。納税の猶予が認められるのは、次のような条件に当てはまる方です。

  • 納税者本人または同一生計の家族が病気になり、入院等で多額の費用を要した場合
  • 納税者が災害を受けて財産を失くしたり盗難に遭った場合
  • 納税者の営む事業で、著しい損失が生じた場合
  • 納税者の営む事業が、廃止または休止した場合

まずは役所に相談に行き、支払の意思があることと、理由があり今すぐ納付できないことを伝えましょう。

分割納付できないか相談

一括で住民税を支払うことが難しい場合は、分割納付できないか相談してください。普通徴収の場合、住民税は年4回の支払ですが、毎月1回の最長12回まで分割納付が認められる場合があります。また著しく収入が減少したなどの理由次第では、1年を超える長期の分割納付が認められる場合もあります。

条件は上の納税の猶予とほぼ同じですが、これにプラスして産休や育休で収入が減少した場合にも認められる可能性が。長期の分割を希望する方は、納税相談シートなどの資料が必要です。詳しくはお住いの役所の担当窓口にお問い合わせください。

【新型コロナウイルス関連】徴収猶予の特例

会社員以外の個人で住民税を納めている人は、新形コロナウイルス関連の政策として、住民税の徴収猶予の特例があります。申請が認められれば、住民税の納付期限を最大1年間猶予してもらえます。またこの間は延滞金も発生しません。こちらの特例を申請できるのは、「新型コロナウイルスの影響で、前年の同時期と比べて事業等の収入が20%以上下がった人」が対象。

住民税以外の地方税にも、猶予や減免措置が受けられる可能性があります。詳しくは総務省の「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方税における対応について」を参考にしましょう。

換価の猶予

換価の猶予によって、すでに差し押さえられている財産や、これから差し押さえの対象となる財産の処分を待ってもらい分納が認められる可能性があります。換価の猶予は、すでに督促状や差押予告書が届いている方が対象。上で紹介した納税の猶予との併用も可能で、最大4年間の猶予が認められる可能性があります。

また通常は年率8.8%で計算される延滞税が、1.0%にまで引き下げられます。換価の猶予が認められるのは、一括納税により事業の継続または生活の維持が難しくなる恐れのある方換価の猶予を受けるには、税務署への申請が必要です。すでに差し押さえが目前に迫っている方は、早急に税務署に相談に行ってください。

差し押さえの解除

差押を回避するための最終手段が「差し押さえの解除」です。財産の差し押さえによって、生活を著しく困窮させる恐れがあるときに、「滞納処分の停止(国税徴収法第153条)」により、差し押さえの解除が受けられる場合が。ただしこの手続きは税務署長の職権で行うもので、納税者が申立てる手続きではありません。

また差し押さえ可能な財産がある場合には、差し押さえの解除は難しいでしょう。給与が差し押さえられると生活ができないという方は、ダメ元で税務署に相談してみるという方法があります。

生活保護の受給を検討

生活が苦しくて住民税を納められない場合には、生活保護を受給することを検討しましょう。生活保護の受給者は、原則として住民税が非課税になるからです。すでに差し押さえが始まっていても、生活保護の需給が開始されると、差し押さえは停止されます。これを「滞納処分の執行停止(地方税法第15条)」といいます。

生活保護は日本国憲法の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するセイフティネットですが、受給するには次のような要件を満たす必要があります。

  • 預貯金や不動産など生活費に充てられる財産がない
  • 働けず収入を得られない
  • 年金や手当など他の制度の給付を受けられない
  • 親族等からの援助を受けられない

上記の要件を満たしたうえで、世帯収入と厚生労働大臣が定める基準の最低生活費を比較し、収入が最低生活費に満たない場合に適用となります。ただし生活保護を受給して3年経っても経済状況が改善されなければ、処分が停止されていた滞納分が取り消し止となります。

他に借金がある人は債務整理を検討

住民税の他に金融機関からの借金がある方は、そちらの借金を債務整理することを検討してみてはいかがでしょう。税金は債務整理しても減免できませんが、その他の借金の負担を債務整理によって減らすことができれば、住民税を納付できる余裕が生じる可能性が高いからです。

すでに督促状や差押通知書が届いている場合は、まずは役所の窓口に相談し、分割納付や猶予の申請をしてください。そのときに「他の借金を債務整理する予定があり、余裕が出たら納付できるようになる」と伝えると、納付の意思や支払い能力があることを証明できます。

住民税の対応と同時進行または差し押さえの差し心配がなくなってから、借金問題に強い弁護士の無料相談を受けましょう。借金や収入等の状況を見て、あなたに最適な債務整理方法を提案してくれます。そのまま債務整理の手続きを依頼することも可能です。

債務整理の種類ごとの向いている人については、こちらの記事を参考にしましょう

「債務整理の種類は4つ!メリットデメリット・変わること・向いている人を解説」

まとめ

住民税を滞納し続けると、最終的には給与や銀行口座といった財産を差し押さえされます。普通の借金とは違い、最短1カ月で差し押さえになる可能性があるので、督促状が届いたらすぐに役所の担当窓口に相談してください。

何も行動を起こさずに放置し続けていると、納付すべき住民税の他に延滞金が加算されます。また差し押さえにより社会的信用を失ったり、事業継続が難しくなる恐れも。税金は基本的に免除されず、時効を待つことも期待できません。いったん差し押さえとなると、完納するまで解除できません。

差し押さえを回避するにはすぐに全額納めるのがベスト。どうしても支払えないときには窓口に行き、減免制度や納税の猶予、分割納付や換価の猶予が受けられないか相談しましょう。他に借金がある人は、債務整理も有効です。多くの弁護士事務所では初回相談を無料にしています。場合によっては法テラスの利用や弁護士費用の分割払いも可能です。お金がないからと躊躇せず、まずは債務整理できないか相談に行ってみましょう。

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