- 「債務整理のことで弁護士にセカンドオピニオンを受けることはできる?」
- 「任意整理を依頼した弁護士を変えたいけど、どうしたらいいか分からない」
医療の世界で聞いたことがある人も多い「セカンドオピニオン」ですが、債務整理を依頼する弁護士にセカンドオピニオンを受けることはできるのでしょうか。そこでこちらの記事では、弁護士のセカンドオピニオンについて詳しく解説していきます。
セカンドオピニオンにはメリットばかりではなく、デメリットや注意点もあります。これから債務整理について弁護士に相談に行こうと思っている方はもちろん、すでに手続きを依頼した方も遅くはありません。借金問題を解決するには、セカンドオピニオンについてよく理解し、正しく行うようにしましょう。
弁護士のセカンドオピニオンとは
まずは弁護士のセカンドオピニオンとはどのようなものかについて、解説していきます。
「第二の意見」という意味
英語のセカンドオピニオン(second opinion)を直訳すると、「第二の意見」という意味になります。医療の分野において、主治医以外の医師に病気の症状や今後の治療方針などについて意見を求めることは、すでに一般的となっています。セカンドオピニオンを受けることで、患者がよりよい決断を下す助けになるという点でメリットがある行為です。
このセカンドオピニオンの考え方は、法律の分野にも浸透しつつあります。すでに弁護士に相談している案件について、別の弁護士の意見を求めるという意味で、セカンドオピニオンという言葉が使われます。
債務整理の場合でも有効
債務整理の場合でも、弁護士のセカンドオピニオンは有効です。債務整理には主に、任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、弁護士に手続きを依頼するのが一般的です。しかし専門的な法律の知識が必要な場合や、争点がある案件の場合には、依頼する弁護士によって大きな差が出るケースが。
債務整理では、次のような差が生じる可能性があります。
債務整理の種類 | 選択する方法の違い |
---|---|
任意整理 | 返済期間を3年にするか5年にできるか
過払い金返還請求において、強制執行まで行うかどうか |
個人再生 | 民事再生委員を付けるかどうか(裁判所費用が数十万円違う) |
自己破産 | 管財事件になるか同時廃止事件になるか
裁量免責が認められるかどうか |
任意整理では、手続き後の返済期間が3年になるか5年になるかで毎月の返済額が大きく変わってきます。また個人再生や自己破産では、裁判所が選任する民事再生委員や破産管財人を付けるかで、かかる裁判所費用が変わる場合も。どの弁護士に依頼するかで、依頼者の利益に差が出る可能性があります。
すでに依頼している場合でも可能
すでに債務整理を依頼している場合でも、セカンドオピニオンは可能です。「もう弁護士に依頼した後だから、他の弁護士の意見を聞くことはできないのでは?」という方も安心してください。依頼中の弁護士の方針に納得がいかない、他に選択肢がないのか知りたいという場合に、弁護士のセカンドオピニオンを受けられます。
セカンドオピニオンの費用相場
弁護士のセカンドオピニオンにかかる費用の相場は、その事務所によって異なります。通常の相談料と同額に設定しているところもあれば、やや高めに設定している事務所も。相談料の目安は30分で5,000円~10,000円が相場です。
費用が捻出できないという場合は、初回相談無料の事務所に足を運ぶといいでしょう。ただし依頼中の弁護士に対する不信感がある場合は、初回の無料相談だけでは不十分な可能性も。場合によっては有料でセカンドオピニオンを受けて、依頼の切り替えを検討すべきでしょう。
セカンドオピニオンのメリット・デメリット
こちらでは、弁護士のセカンドオピニオンを受けるメリットとデメリットを紹介します。セカンドオピニオンにはメリットだけでなくデメリットもあります。内容についてよく理解し、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないようにしましょう。
セカンドオピニオンのメリット
セカンドオピニオンのメリットには、次のようなものがあります。
タイミング次第で弁護士を変えられる
タイミング次第では、依頼する弁護士を変えることができます。弁護士の変更が間に合うタイミングなら、方針に納得できる弁護士に依頼し直すという選択肢が出てきます。タイミング的に弁護士を変えられなくても、セカンドオピニオンによって得られた意見を弁護士に伝え、方針を再考してもらうという働きかけができます。
依頼している弁護士と意見が一致していれば、方針は妥当であると安心できるはず。改めて信頼して、自分の債務整理を任せられるでしょう。
方針の妥当性を検証できる
セカンドオピニオンを聞くことで、方針の妥当性を検証できるというメリットがあります。債務整理は法律に基づいた手続きです。法律の話は専門知識がないと理解しにくく、弁護士の方針の妥当性や債務整理についての知識量を正しく評価するのは、一般人には不可能です。漠然とした不安があっても「弁護士がそういうのなら間違いない」と納得してしまいがち。
しかしセカンドオピニオンを活用することで、法律の知識を持つ第三者の立場から、依頼している弁護士の方針の妥当性を検証できるという訳です。
新たな解決策が見つかる可能性
セカンドオピニオンをすることで、新たな解決策が見つかる可能性があるでしょう。一口に弁護士といっても、得意分野や専門は異なります。債務整理が得意な弁護士もいれば、刑事事件を専門としている弁護士もいます。最初に相談に行った弁護士が債務整理に明るくない場合などには、セカンドオピニオンによって別の解決策を見つけられることも。
とくに依頼中の弁護士との意見が合わない場合には、納得できる形で借金問題を解決するためにも、セカンドオピニオンを検討しましょう。
セカンドオピニオンのデメリット
弁護士のセカンドオピニオンにはメリットばかりでなく、次のようなデメリットもあります。
依頼中の弁護士との関係が悪くなる
他の弁護士にセカンドオピニオンを求めたことが原因で、依頼中の弁護士との信頼関係が崩れる可能性があります。セカンドオピニオンを受けたことを、後から依頼中の弁護士が知れば、決していい気分にはならないでしょう。「自分は信頼されていない」と気分を害した結果、弁護士から依頼を断られる場合も。
依頼中の弁護士の了解を得る前にセカンドオピニオンを求めると、関係が悪くなる可能性があることを覚えておきましょう。
依頼者に忖度する可能性
セカンドオピニオンを利用すると、依頼者の意向に忖度し、債務整理の方針が間違った方向に向かってしまう可能性があります。依頼する弁護士を変えるのであれば、セカンドオピニオンを求めたことを伝えても問題ありませんが、セカンドオピニオン後も引き続き同じ弁護士に依頼するのであれば、他の弁護士から意見を求めたことを伝えない方がよいケースがあります。
着手金は返金されない
依頼中の弁護士との委任契約を解除し、セカンドオピニオンを求めた弁護士に依頼し直す場合、すでに支払った着手金は返金されない可能性があります。そして新たに契約するための弁護士費用が追加でかかります。
そのため、弁護士費用を二重に支払ってでも変更すべきか、慎重に考える必要があるでしょう。それでも変える価値があるか、採算がとれそうかについては、十分に検討したうえで判断するようにしましょう。
相談料がかかる場合がある
初回相談で十分に意見を聞くことができなかった場合、2回目以降の相談は有料になる可能性が高いです。何度も同じ弁護士にセカンドオピニオンを求めようとすると、それなりの費用がかかることを覚悟すべきでしょう。
セカンドオピニオンを受けた方がいいケース
セカンドオピニオンにはデメリットもあるため、セカンドオピニオンを受けるかは慎重に判断すべきですが、次のようなケースに当てはまる場合は、積極的に受けた方がいいでしょう。
弁護士・司法書士に直接会ったことがない
依頼した弁護士や司法書士に直接会ったことがないという方は、セカンドオピニオンを受けた方がいいでしょう。借金問題を解決するためには、借金をした経緯や現在の収入状況、資産についてなどを把握したうえで、最善の方法を見つけなければなりません。
そのために弁護士は、相談者の状況を十分に理解する必要があり、実際に顔を合わせて話を聞くというのが非常に大切です。コミュニケーション方法としては電話やメールという手段もあるものの、実際に会って話をするのがベストです。
最近ではオンライン相談を実施している弁護士事務所があるものの、日本弁護士連合会では面談に該当しないとされています。日本弁護士連合会のルールでは、弁護士は原則として面談せずに債務整理の依頼を受けてはいけないことになっています。直接弁護士等に会ったことがないという場合は、ルールに違反している可能性が高く、その意味でもセカンドオピニオンを受けた方がいいでしょう。
債務整理をネット完結できないの?という方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「債務整理はネット完結できる?ネット利用のメリット・デメリットと手間をかけずに手続きする方法を解説」
相性が合わないと感じる
弁護士と相性が合わないと感じるときは、セカンドオピニオンを受けることを検討しましょう。弁護士といえども一人の人間です。相性が合う人もいればそうでない人もいます。依頼の内容にもよりますが、弁護士との付き合いは短期間で済まないケースが多く、信頼できる相手でなければ安心して任せることはできません。
具体的に次のような状況にある方は、弁護士との相性が良くないといえるでしょう。
- 会話がかみ合っていない
- 会話していて落ち着かない
- 親身に相談に乗ってくれていないと感じる
- 聞きたいことが思うように聞けない
相性が悪いと感じたら、他の弁護士のセカンドオピニオンを受けてみましょう。あなたの不安が一気に解消できることも少なくありません。
債務整理を依頼する弁護士の選び方については、こちらの記事を参考にしてください。
「【相談前・相談時】債務整理を依頼する弁護士の選び方を解説!失敗しない6つの注意点も紹介」
他の解決策や方針がないか知りたい
他の解決方法や方針がないか知りたい方も、セカンドオピニオンを受けた方がいいでしょう。弁護士は法律の専門家であるものの、全ての弁護士がいつでもベストな回答をできるとは限らないからです。医者にも内科や外科といった専門分野があると同様に、弁護士にも専門分野があります。
依頼内容によってはその弁護士の経験が少ない場合も。依頼中の弁護士の説明や方針に不安を感じた場合には、セカンドオピニオンを受けるべきでしょう。
希望と違う方法を勧められた
複数の選択肢がある中で納得できる方法を取りたい人は、1人の弁護士の意見のみを鵜呑みにせず、複数の弁護士の意見を取り入れた方がいいでしょう。例えばローン返済中のマイホームや車があり、家や車を残したいと思っているのに財産を処分する必要がある自己破産をすすめられた場合などです。
借金の状況や収入など背景事情によっては、希望の手続きが最適でない可能性があります。その点について弁護士から丁寧な説明があり、疑問が解消できたのであれば問題ないものの、「どうして希望通りに手続きできないのだろう」という疑問が残る場合には、他の弁護士にセカンドオピニオンを求めた方がいいでしょう。
債務整理の種類ごとに向いている人や相談先については、こちらの記事を参考にしましょう。
「債務整理は女性でもできる?種類ごとに向いている人と女性ならではの注意点、相談先を解説」
債務整理の方針が適切でない
債務整理の方針が適切でないときも、セカンドオピニオンを受けた方がいいでしょう。具体的には次のような状況が該当します。
支払困難な任意整理
依頼者の収入に比べて過大な借金があるときでも無理に任意整理を選択しているような場合、債務整理の方針が適切でありません。中には自己破産ができない状況でもないのに、任意整理を行っているケースも。裁判所を通さずに債権者との交渉で解決できる任意整理は事務負担が少ないので、より多数の案件を処理したい専門家にとっては好都合な手続きだからです。
しかしいくら利息がカットできたからといえ、毎月の収入から考えても返済が困難なほど毎月の返済額が高額で、長期的な返済が難しい場合には、任意整理は適切ではありません。個人再生や自己破産を選択すべきケースでしょう。支払困難な任意整理をすすめるということは、依頼者の利益を第一に考えていない表れで、非常に問題があると言わざるを得ません。
任意整理をしない方がいいケースについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「任意整理をしない方がいい14のケースとありがち誤解とは?悩んだときの解決方法も解説」
一部の借金しか整理できていない
一部の借金しか整理できない任意整理も、また問題です。例えば10の貸金業者から借金をしているにもかかわらず、3か所分の借金しか任意整理していないケースです。他の7か所の借金が野放しになっているので、全体的な借金問題は何も改善していないことになります。
任意整理で効果が得られないケースについては、こちらの記事を参考にしてください。
「任意整理をしても意味がない?効果が得られない7つのケースとその他の対処法とは」
破産ができるはずなのにできないとの説明をされた
自己破産ができるはずなのにできないと説明をされたときも、セカンドオピニオンを受けるべきでしょう。自己破産は大きな財産を持たない方にとっては、借金の返済義務をすべて免除でき、経済的な立て直しが最短で行える債務整理の方法です。
しかし相談した弁護士に「浪費が原因の借金だから自己破産できない」「家族に知られたくないなら任意整理しかない」などといわれ、自己破産ができないケースがあります。しかし裁判所に裁量免責を求めたり、事前に対策を取ることでクリアできる場合が多いです。間違った債務整理を行わないためにも、セカンドオピニオンは重要です。
自己破産できないと言われた場合の対処法については、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産できないと言われた!その具体的原因と対処法・解決方法とは」
個人再生できるのに任意整理をすすめられた
個人再生できるのに任意整理をすすめられた場合、債務整理の方針が適切ではない可能性が高いです。何らかの事情があり自己破産できない場合でも、個人再生なら解決できることがあるのですが、個人再生を検討せずに任意整理をすすめられたというケースです。
一般的に個人再生は他の債務整理に比べて、選択されることが少ない方法です。債務整理の経験が少ない弁護士の中には、個人再生をやったことがないという場合も。個人再生に躊躇がある弁護士に依頼すると、検討した形跡もなく比較的手続きがしやすい任意整理だけをすすめてくるケースも少なくありません。
個人再生の成功率については、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生の成功率はどのくらい?失敗する理由と成功の秘訣、失敗したときの対処法を解説」
依頼した弁護士に問題があった
依頼した弁護士に何らかの問題があり、適正に債務整理をしてもらえそうもないときはセカンドオピニオンを検討すべきでしょう。例えば次のようなケースです。
- 不祥事を起こして辞任されてしまった
- 何らかの事情で事務所が解散した
- 弁護士が高齢や病気などで業務を継続できなくなった
事情によっては仕方のないことといえますが、依頼者にとっては困るケースです。なるべく早めにセカンドオピニオンを受けて、依頼できる弁護士を探しましょう。
依頼を断られた
様々な事情で依頼を断られた場合や辞任されてしまった場合は、セカンドオピニオンを受けてください。例えば次のような場合です。
- 司法書士に140万円以上の借金の債務整理を依頼した
- 費用の分割払いを滞納して辞任されてしまった
- 提出を求められた資料を期限までに提出できなくて辞任された
司法書士に借金問題を相談した場合、法律(司法書士法第3条)によって140万円を超える借金は代理人として債務整理の手続きを出来ないことになっています。また弁護士に支払う費用を滞納したり、約束を守らなかったりすると辞任される恐れがあります。
このように依頼を断られたり辞任された場合は、他の弁護士を探して相談する必要が出てきます。
弁護士に手続き中に辞任されたときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。
「弁護士に任意整理中に辞任されたら?辞任の理由・対処法を知ってスムーズな手続きを」
手続きが進まない・連絡が取れない
専門家に債務整理を依頼したものの、一向に手続きが進まなかったり連絡が取れずに不安を感じるケースがあります。このような場合には、まず依頼した弁護士などに進捗状況の説明や、対応の改善を求めるようにしましょう。それでもなお対応が改善されないときには、他の弁護士にセカンドオピニオンを求めるべきでしょう。
セカンドオピニオンを受ける手順
こちらでは、セカンドオピニオンを受ける手順について紹介していきます。
まずは疑問や不明点をぶつけてみる
セカンドオピニオンを受ける前に、まずは最初に相談・依頼した弁護士に疑問点や不明点を聞いてみましょう。一見すると自分に不利に見えるような方針でも、現状や裁判の手続きなど全体を考えると、依頼者の最善の結果を得られるように考えて提案されている場合があります。
そのため不明な点や不安に思っていることがある場合には、まず弁護士に対して自分の希望を率直にぶつけたうえで、なぜ希望の方法と異なる提案をしてくるのか、その理由も含めて説明するように頼んでみましょう。
方針が合わないと感じたら検討
説明を聞いても納得できなかったり、方針が合わないと感じたらセカンドオピニオンを受けることを検討しましょう。ベストなタイミングは正式に弁護士に依頼する前の段階です。複数の弁護士から意見を聞くことができれば、より自分に適した解決策を選択できる可能性が高まります。
さらに弁護士との相性や弁護士費用なども比較でき、より自分に合った弁護士を見つけられます。弁護士に依頼した後でもセカンドオピニオンを受けることは可能ですが、手続きが遅れたり依頼した弁護士との信頼関係が崩れるリスクがあるため、タイミングは見極める必要があるでしょう。
セカンドオピニオンを受ける弁護士を探す
セカンドオピニオンを受けると決めたら、相談する弁護士を探します。具体的には次のような方法でセカンドオピニオンを受ける弁護士を探せます。
法テラス | 弁護士費用立て替え制度があるので、収入や資産が少なく経済的に余裕がない方でも安心して弁護士を探せる
収入等が一定の基準以下で民事法律扶助の趣旨に適しているという2つの条件を満たせば利用可能 |
弁護士会 | お住まいの地域にある弁護士会では、原則として30分当たり5,000円で法律相談を行っている
また弁護士の紹介も実施しているので、探し方が分からないという人におすすめ |
インターネット検索 | 「債務整理 ○○(お住いの市区町村)弁護士事務所」で検索すると、債務整理に詳しい弁護士事務所を見つけられる
多くの法律事務所では初回相談を無料で行っている セカンドオピニオンを受け付けていないところもあるので、セカンドオピニオンの可否を問い合わせる必要がある |
どちらに依頼するか見極める
実際にセカンドオピニオンを受けた後は、どちらに依頼するか見極める必要があります。次の質問に「イエス」と回答できる状況であれば、その弁護士に依頼しても問題ないでしょう。
- あなたの話を親身に聞いてくれたか
- 提案する方針に納得できたか
- 弁護士の説明は分かりやすかったか
- 希望する手続きを選ぶことは可能か不可能か納得できる説明を受けられたか
セカンドオピニオンを求める場合の注意点
セカンドオピニオンを受ける場合、次のような点に気を付けましょう。
セカンドオピニオンを受け付けない事務所がある
そもそも、セカンドオピニオンを受け付けない弁護士事務所があります。そのため事務所のサイトを確認したり、電話で問い合わせて、現在依頼中の事案についてのセカンドオピニオンが可能なのか、事前に確認するようにしましょう。
セカンドオピニオンであることを隠すのはNG
セカンドオピニオンを受けるときには、セカンドオピニオンであることを隠さないようにしてください。そのうえで、現在依頼中の弁護士の方針やセカンドオピニオンで知りたいことについて伝えましょう。明確に自分の希望を伝えることで、的確なアドバイスを受けられるでしょう。
弁護士事務所によっては、依頼中の事案に関する相談を受け付けていないところがあります。そうでなくてもセカンドオピニオンと伝えないと、新しい弁護士からの具体的で有効な提案を得られない可能性があります。
提示情報を同じにする
セカンドオピニオンを受けるときには、弁護士に提示する情報を同じにしましょう。弁護士は提示された情報を確認して法的判断を行います。提示された情報の内容が違うと、方針や見解にずれが生じてしまうため。提示する情報が一つ違うだけで、方針が全く違うものになることも珍しくありません。
それぞれで違う意見になってしまっても、そもそもの前提が異なるので、どちらかが正しい意見なのか正確に判断できなくなります。もちろん資料や情報を同じにしても、相談者が依頼中の弁護士に話した内容や時期を全く同じに再現することは不可能です。とはいえ裁判所に提出した資料や交渉に関する資料などは、残さず提示するようにしましょう。
目的をはき違えない
セカンドオピニオンを受けるときには、その目的をはき違えないように気を付けてください。セカンドオピニオンを求める相談者の中には、依頼中の弁護士に不満や不安を感じているケースが少なくありません。そのため、セカンドオピニオンに次のようなことを求める人がいます。
- 依頼中の弁護士が間違っていると言って欲しい
- 弁護士を変えれば状況が良くなると安心させてほしい
- 自分の気持ちに共感・同意して欲しい
セカンドオピニオンを求める場では、依頼中の弁護士の不満や愚痴をつい言いたくなる気持ちも分からないではないですが、セカンドオピニオンの目的はあくまで他の弁護士の客観的な意見を聞くことです。目的をはき違えることなく、あくまでもフラットな気持ちで意見を求めるようにしましょう。
依頼中の弁護士の承諾が必要なことも
セカンドオピニオンを受ける場合、依頼中の弁護士の承諾が必要なことがあります。セカンドオピニオンを求めることは相談者の権利の一つと考えられているので、承諾が必要な事務所はそう多くありません。ただ仮に必要な事務所だった場合には承諾なしにセカンドオピニオンを求めることはできないので注意しましょう。
セカンドオピニオンの可否については、弁護士事務所のHPに掲載されていることが多いので、事前に確認するのがベストです。内緒でセカンドオピニオンを受けても相談した弁護士から連絡が行くことは原則としてありませんが、セカンドオピニオンを効果的に活用するには、現在ある書類や証拠などが必要になります。必要に応じて依頼中の弁護士に相談し、管理している資料を預かる方が望ましいでしょう。
意見を聞いた後は冷静に判断
セカンドオピニオンを聞いた後は、どうすべきか冷静に判断しましょう。方針や回答が異なる場合でも、依頼中の弁護士に文句を言ったり疑ったりするのはNGです。同じ情報を提示したつもりでも、2人目の弁護士にはより詳細な情報を提供してしまっていることも。落ち着いて行動するようにしましょう。
また事後的に他の弁護士の仕事を批評するのは簡単です。どんな仕事でも同じですが、リアルタイムで判断して処理するのと、事後的に検証するのでは状況が異なります。つまりセカンドオピニオンを求められる弁護士の方が、より良い意見を言いやすいという訳です。2人目の弁護士の方が良く見たとしても、「状況が違うから」と冷静に判断することをおすすめします。
解任するタイミングを見極める
最初に依頼した弁護士を断る場合、そのタイミングを見極める必要があります。上で説明した通り、最初に支払った着手金は返金されません。次にどこまで依頼された仕事をしたかによっては、仕事をした分の請求を受ける可能性があるからです。解任するのは依頼する前、依頼した後でも仕事に手を付ける前がいいでしょう。
また単に弁護士を解任しただけでは、弁護士は債権者に辞任したことを通知(辞任通知)します。辞任通知によって一旦はストップしていた借金の督促が、一斉に再開することを忘れずに。これを防ぐには、別の弁護士に相談を済ませ、依頼することを決めてから解任の連絡をするようにしましょう。
任意整理を途中解約できるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「任意整理は途中解約できる!払った費用や信用情報について徹底解説」
解決後のセカンドオピニオンは難しい
案件が解決した後にセカンドオピニオンを求めることは難しいでしょう。すでに示談が成立したり、判決が確定した後では撤回を求められないからです。任意整理で債権者の合意を得た後や、個人再生・自己破産で裁判所の判断が出た後でも同様です。基本的に、問題解決後にセカンドオピニオンを求めることはできません。
まとめ
弁護士のセカンドオピニオンとは、すでに相談・依頼済みの案件について、他の弁護士の意見を聞くことを指します。任意整理でも弁護士にセカンドオピニオンを求める場合があり、方針が適切でない場合や弁護士と相性が悪い場合、希望と異なる方法をすすめられた場合や弁護士が辞任したときに有効です。
新たに依頼する弁護士を見つけられたり、方針の妥当性を検証できるというメリットがある一方で、依頼した弁護士との関係が悪化する可能性や追加で費用がかかるといったデメリットも。事前にセカンドオピニオンを受けることを報告しなければならない事務所もあるため、慎重に検討しましょう。
セカンドオピニオンを受けるときには、セカンドオピニオンであることを明らかにして前の相談と同じ情報を提示するようにしましょう。セカンドオピニオンの目的をはき違えることなく、相談を受けた後は冷静に判断してください。セカンドオピニオンを効果的に利用することで、より良い解決方法が見つけられるでしょう。