- 「女性でも債務整理できる?」
- 「女性が債務整理する場合の相談先や注意点が知りたい」
借金を減額したり免責したりできる債務整理は、公的な借金可決方法です。債務整理というと男性の方が多い印象ですが、女性でもしている人はいるのでしょうか?こちらの記事を読んでいる女性の中には「債務整理したいけどなんだか怖い」「借金のことをどこに相談したらいいか分からない」という方も多いのでは?
そのような方のために、女性が借金しがちな理由や債務整理についての現状、主な相談先を詳しく解説。債務整理の種類ごとの向いている人や、債務整理する場合の女性ならではの注意点なども解説してきます。借金がかさんで債務整理をお考えの女性の方は必見です。
女性の債務整理についての現状
まずは女性の債務整理の現状について、裁判所のデータをもとに解説します。さらに女性が借金してしまう理由についても紹介。自分のケースが当てはまるかチェックしてみましょう。
裁判所のデータから見る男女比率
こちらでは日弁連消費者問題対策委員会がまとめた、個人再生と自己破産の裁判所記録の調査報告をもとにした女性の債務整理の現状について見ていきます。個人再生と自己破産は、裁判所を通じて行う手続きのため、申立人の年齢や性別などが公表されます。
個人再生
借金を大幅減額できる個人再生における、2002年~2020年までの男女別の割合はこちらです。
性別 | 2002年 | 2005年 | 2008年 | 2011年 | 2014年 | 2017年 | 2020年 |
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男性 | 55.7% | 77.7% | 77.0% | 79.4% | 79.9% | 82.4% | 82.7% |
女性 | 44.1% | 22.2% | 22.9% | 20.5% | 19.9% | 17.3% | 17.1% |
2002年の調査開始時点では、男性の割合が女性に比べて若干多い程度だったのに対し、年を経るごとに男性の割合が増え、直近の2020年では8割以上が男性という結果に。というのも、個人再生では継続的な収入見込みや弁済計画の履行可能が要件となっているため、女性より収入が多く安定している男性の方が多く手続きしているとみられます。
また個人再生には、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度があり、ローン返済中の住宅を処分せずに債務整理することが可能です。従って、住宅ローンの契約者となることが多い男性がこの制度を利用して個人再生手続きを行っていることも、理由の一つといえるでしょう。
自己破産
財産を処分し換価分配される代わりに、借金の残債をすべて免責(ゼロに)できる自己破産では、男女比はどのようになっているのでしょうか。
性別 | 2002年 | 2005年 | 2008年 | 2011年 | 2014年 | 2017年 | 2020年 |
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男性 | 50.4% | 51.4% | 47.2% | 56.3% | 57.7% | 56.8% | 55.7% |
女性 | 49.6% | 48.6% | 52.7% | 43.6% | 42.3% | 43.1% | 44.1% |
自己破産の男女比は、男性の方が若干多いものの、女性も2002年以降から常時4割以上を占めています。自己破産に関しては、性別でそれほどの違いがある訳でないことが分かります。
参照:2020年破産事件及び個人再生事件記録調査|日弁連消費者問題対策委員会
女性が借金をしてしまう主な理由
では女性が借金をしてしまう理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
収入が少ない
女性が借金する理由の多くに、男性と比べて収入が少ないということがあります。収入が少ないと生活をやりくりするのに十分なお金がなく、不足分をどこからか借金して賄うほかないため。毎月の収入よりも支出が多いという方は、気がつけば借金が膨らんでいたという状況に陥りがちです。
国税庁が行った平成30年の調査によると、民間企業の給与所得者の平均年収は男性が545万円に対し、女性は293万円。実に男女で252万円の差があることが分かります。それは男性に比べて女性の方が、非正規労働者の割合が高いというのが理由の一つ。
令和2年の統計によると、非正規労働者の割合は男性が22.2%、4女性は54.4%と、女性の非正規労働者の割合の方が倍以上も高いことが分かります。育児や介護の負担は女性に偏りやすく、正社員の仕事を辞めざるを得ない現状も。このようなことから女性の方が男性に比べて収入が低く、借金してしまう理由として考えられます。
参照:平成30年分民間給与実態統計調査結果について|国税局企画課・就業をめぐる状況|男女共同参画局
美容やファッションに出費しがち
未婚の女性や若い女性にありがちなのが、美容やファッションに使うためのお金を借金するという理由。もちろん収入の範囲内で楽しむ分には問題ないのですが、収入を超えてショッピングしてしまうと、いつの間にかクレジットの支払いが家計を圧迫することに。
とくに周りの友達と話を合わせるためにや知り合いよりも良い物を手に入れたいという気持ちがある方は要注意です。何も考えず毎月の給料を洋服や化粧品に使っていると、あっという間にお金が手元から消えてしまうでしょう。
買い物がストレス発散法
買い物することがストレス発散という方も、借金地獄に陥りやすいので注意が必要です。買い物依存症にまでなると、必要でないものを何度も買ってしまったり、ストレスを感じると買い物せずにはいられなくなります。病的なほど買い物に依存してしまうと、あっという間に借金を抱えることに。
買い物依存症は精神疾患としてのエビデンスが不足していることから、有効な治療法が見つかっていません。男性に比べて女性の方が買い物依存症になりやすく、手元に現金がなくても買い物できるクレジットカード払いや、キャッシュレス決済がより状況を深刻なものにしています。
夫の収入が少なく家計が厳しい
結婚している女性の中には、夫の収入が少なく、家計の赤字を埋めるためにやむを得ず借金してしまったという人もいるでしょう。自身も働くことができればまだ回避する方法はありますが、病気や子育て、介護などで働けない状況も考えられます。
夫の失業などで急に収入が途絶えた場合、今まで専業主婦だった方はすぐに仕事をしたくても、収入が良い仕事が見つかるとは限りません。結果的にパートや派遣社員にならざるを得ず、生活費が足りない場合に夫と妻それぞれの名義で借金するようなケースがあります。
夫からの経済的DVが理由で借金をした方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「経済的DVが原因の借金を返す方法|弁護士に相談して根本的解決を」
出産や育児にお金がかかる
出産や育児にはお金が借るもの。そのために借金をしてしまう女性がいます。決して無駄遣いという訳でなく、必要な物を買いそろえなければいけないので、責られるべきではありません。しかし収入に対して出費が多かったり、貯金がないのにまとまったお金が必要だったりすると、貸金業者から借金をするしかなくなります。
また十分な収入があるにもかかわらず、「出産や育児は女の仕事だから」とお金を出したがらない夫もいます。このようなケースでは経済的DVが疑われるため、公的機関に相談をしたり、シェルターへの避難を考えた方がいいでしょう。
妊娠中の借金が払えずお悩みの方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「妊娠中の借金が払えない…ケースごとの解決法・注意点・公的補助金を解説!」
浪費やギャンブル
浪費やギャンブルが原因で借金してしまった…という女性もいます。男性がキャバクラや風俗にハマるのと同じように、ホストクラブにハマる女性もいるでしょう。ギャンブルというと男性が多い印象ですが、日中のパチンコ屋をのぞいてみると、思いのほか女性の姿も多く目にします。
こちらも自分の小遣いや家計の範囲内で楽しむ分にはいいのですが、度が過ぎると借金してまでホストクラブやパチンコ屋に通ってしまうケースも。夫にパチンコしていることを内緒にしている方は、借金してまでパチンコで負けたことを相談できません。あっという間に次の返済日が来て、返済に頭を悩ませることになります。
女性におすすめの債務整理は?
借金の額が多くなりすぎて、現在の収入では到底返済することができない…借金から逃れるには夜逃げや風俗で働くしかないのでは?と思い詰めてしまう方がいるかもしれません。しかしそのような極端な思考になる前に、債務整理することを考えてみませんか?
債務整理とは国が認めた「借金救済制度」です。主に任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。上で説明したように、個人再生で4割強、自己破産で半数近い女性が手続きを行っています。
借金の理由にかかわらず債務整理は可能
前提として、借金の理由がギャンブルでもホスト通いでも、債務整理することは可能です。裁判所を通さずに直接債権者と交渉する「任意整理」や裁判所を通す手続きの「個人再生」でも、そもそも借金の種類は要件に含まれません。
借金を免責できる「自己破産」は、浪費やギャンブルで作った借金は免責が認められない「免責不許可事由」とみなされます。しかし債務者の反省の態度や手続きに対する真摯な態度が見られれば、裁判所の判断で免責不許可事由であっても免責を認めてもらえる可能性があります(裁量免責)。どのような理由の借金であってもあきらめず、まずは債務整理ができないか専門家に相談してみましょう。
債務整理って本当に信頼できる?という方は、こちらの記事を参考にして特徴や手順を知りましょう。
「国の『借金救済制度』は信頼できる?債務整理の特徴と依頼手順、その他の解決方法を解説」
女性におすすめ3つの債務整理方法
債務整理には3つの種類(任意整理・個人再生・自己破産)があり、減免できる割合やメリット・デメリット、向いている人が異なります。自分はどの債務整理が適しているか、確認しながら見ていきましょう。
任意整理
任意整理とは、債権者と直接交渉することで借金を減額できる手続きです。減額後に残った借金は、通常3年、最長で5年かけて返済していきます。ちなみに任意整理で減額できるのは、次のような利息です。
- 経過利息
- 最終返済日から任意整理の和解成立日までにかかる利息
- 将来利息
- 和解成立日から完済までにかかる予定の利息
- 遅延損害金
- 返済日に返済できなかったときに賠償として支払うお金
あくまで任意の手続きのため、整理する対象の業者を選べます。また任意整理の手続きの途中で過払い金が発生していることが分かれば、過払い金の返還請求も可能です。
メリット・デメリット
任意整理のメリットとデメリットはこちらです。
メリット | デメリット |
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裁判所を通さない手続きのため、手間や費用が最小限で済み、周囲に知られる可能性も低いでしょう。一方であくまで利息や遅延損害金の減額にとどまるため、高額過ぎる借金には効き目がありません。
また任意整理したことはブラックリストに載る(個人信用情報に事故情報として掲載)ため、5年~10年は新たにローンを契約したり、クレジットカードを作成したりすることができません。減額に応じた業者は独自のブラックリスト(社内ブラック)を持っているため、ブラックリスト掲載期間が明けても、借入申し込み審査に落ちる可能性が高いです。
任意整理のメリット・デメリットについては、こちらの記事を参考にしてください。
「任意整理のメリット・デメリット|整理後の生活への影響を最小限にする方法とは?」
向いている人
任意整理に向いているのは、こちらのような人です。
- 借金総額が年収の1/3にとどまっている
- 複数社からの借金がある
- 数回は返済している
- いくら返済しても残高が減らない(リボ払い)借金がある
- 債務整理していることを周囲にバレたくない
- 毎月安定した収入がある
任意整理は手続き後も返済が残るため、毎月安定した収入がない人には向きません。逆にパートやアルバイト程度の収入でも、安定した収入があれば任意整理は可能です。
任意性をしない方がいいケースについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「任意整理をしない方がいい14のケースとありがち誤解とは?悩んだときの解決方法も解説」
個人再生
個人再生は100万円以上の借金を大幅減額できる債務整理方法です。借金の総額に応じて「最低弁済額」が決まっていて、5000万円までの借金を最大で1/10にまで減額できます。決められた弁済額は3年もしくは5年かけて返済します。
借金の総額 | 最低弁済額 |
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100万円未満 | 全額 |
100万円~500万円未満 | 100万円 |
500万円~1500万円未満 | 借金総額の1/5 |
1500万円~3000万円未満 | 300万円 |
3000万円~5000万円未満 | 借金総額の1/10 |
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の二種類があり、住宅ローン返済中の持ち家を残せる「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」が設けられているのも特徴。
メリット・デメリット
個人再生の主なメリットとデメリットはこちらです。
メリット | デメリット |
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個人再生は裁判所を通した手続きのため、裁判所が広く一般に公告する「官報」に申立人の氏名や住所が掲載されます。また個人再生は手続きする業者を選べないので、連帯保証人を設定している借金を減額すると、その減額分の返済義務が連帯保証人に移ります。
個人再生のメリット・デメリットをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生のメリット・デメリットを徹底分析!注意点・利用条件・他の債務整理との違いは?」
向いている人
個人再生に向いている人は、次のような条件に当てはまる人です。
- 借金総額が400万円以上、5000万円以下
- マイホームや車を残したい
- 毎月安定した収入がある
- ギャンブルや浪費が原因の借金
- 制限のかかる資格や職業に就いている
個人再生は大幅減額が可能な一方で、手続き後も返済義務が残る借金の額が大きいため、正社員程度の収入が安定して得られないと申し立てが許可されません。また任意整理と同様に、借金の理由が問われないので、ギャンブルや浪費でできた借金も減額可能です。
個人再生の成功率や失敗したときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生の成功率はどのくらい?失敗する理由と成功の秘訣、失敗したときの対処法を解説」
自己破産
自己破産とは、一定以上の財産を処分する代わりに、借金の支払い義務が免除される(免責)手続きです。裁判所に申し立てて免責を受けられれば、借金は一部の非免責債権を除いてすべてなくなります。自己破産には免責不許可事由があり、該当する場合は基本的に免責が受けられません。
免責不許可事由や財産があり調査の必要がある人は、破産管財人が選任される「管財事件」となります。一方で財産も免責不許可事由もない方は、費用も時間もかからない「同時廃止」で手続き可能です。東京地方裁判所など一部の裁判所では、より簡易な手続きで管財事件が受けられる「少額管財」という制度があります。
メリット・デメリット
自己破産のメリットとデメリットは、次のような内容です。
メリット | デメリット |
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自己破産に手続きが開始されてから免責が決定するまでの3カ月~6カ月間は、士業と呼ばれる弁護士や司法書士、生命保険募集人や警備員など特定の資格や職業に制限がかかります。また生活費最低限必要な「自由財産(の拡張)」を除いて、不動産や車などは処分され債権者への返済にあてられます。
自己破産のデメリットについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産のデメリットを状況別に解説!誤解や嘘を解決して最適な選択へ」
向いている人
自己破産に向いているのは次のような人です。
- 減額しても借金を返済できない
- 安定した収入がない・無職
- 価値の高い財産がない
- 新規の借り入れができない
- 免責不許可事由がない
例えば浪費が原因の借金があっても、その割合が50%以下で浪費の金額や生活状況などを破産管財人が調査し、裁判所が認めれば裁量免責によって借金を免責できます。
自己破産ができないときの対処法や解決方法については、こちらの記事を参考にしてください。
「自己破産できないと言われた!その具体的原因と対処法・解決方法とは」
女性が債務整理する場合の注意点・ポイント
では女性が債務整理するときの注意すべき点や、ポイントはあるのでしょうか。
妻の債務整理が夫の信用情報に影響しない
債務整理すると心配なことはいくつかありますが、中でもブラックリストに載ってしまうことではないでしょうか。確かに債務整理した本人の個人信用情報には、「異動情報」として登録され、一定期間新たな借り入れができません。しかしたとえ配偶者でも、妻の債務整理が夫の信用情報に影響することはありません。
その理由は信用情報は個人に紐づいているものだからです。そのため、現在契約中の夫のクレジットカードやカーローンに影響しないのはもちろん、将来の夫名義の住宅ローンも問題なく契約できます。自分が債務整理したら夫に迷惑がかかるのでは?と躊躇している方はご安心ください。
過払い金が発生していると個人情報に傷がつかない
基本的に債務整理をすると、債務者の個人情報に傷がつきます。しかし債務整理の手続きの途中で過払い金があることが分かり、過払い金で現在の借金を完済できるような場合には、ブラックリストに載ることはありません。そればかりか借金の残額よりも過払い金の方が多い場合は、手元にお金が戻ってくることも。
過払い金が発生している可能性が高いのは、2010年頃までに作った消費者金融やカードローン、クレジットカードのキャッシングによる借金です。その中でも利息制限法の上限(15~20%)を超える金利で支払っていた借金に発生している可能性が高いでしょう。
債務整理を考え中の女性の中には、なるべく夫や家族にバレたくないという方も多いのでは?3種類ある債務整理方法で、家族に秘密にできる可能性が高いのは任意整理です。連帯保証人に家族がなっていない限りは連絡が行くこともなく、弁護士に依頼すれば債権者からの連絡が直接本人に行くこともありません。
さらに弁護士に依頼すれば、家族に知られないように細心の注意を払って手続きや連絡をしてくれるはずです。一方で個人再生や自己破産では、裁判所を通した手続きということや財産の処分、提出書類などで同居家族に知られる可能性が高いでしょう。
債務整理が仕事や転職にどう影響するか心配な方は、こちらの記事を参考にしてください。
「債務整理が及ぼす就職・転職・仕事への影響とは?会社に知られないための対処方法も解説」
奨学金の連帯保証人に要注意
返済できない借金の中に奨学金が含まれている方は、債務整理をすると連帯保証人に影響が出る可能性があります。任意整理を希望する場合は、そもそも金利が低く長期間の返済が可能な奨学金を整理対象とするメリットはありません。
個人再生や自己破産では奨学金を減免することが有効ですが、これらの債務整理では手続きする債権者を選べません。奨学金の申し込み時に連帯保証人を立てていた場合、債務整理で減免された借金の返済義務は、今度は連帯保証人に移ります。連帯保証人が返済を受け入れてくれるのならいいのですが、どうしても迷惑をかけられない場合には、任意整理を選択するようにしましょう。
連帯保証人の義務や支払い拒否の可否については、こちらの記事を参考にしましょう。
「連帯保証人は支払い拒否できる?種類・状況ごとの対処法を知って差し押さえを回避しよう」
クレジットで購入した物の取り扱い
買い物や浪費が借金の原因だった方は、クレジットで購入した物の取り扱いに注意が必要です。「債務整理する前にリサイクルショップに売ってお金にしよう」という考えは大変危険。というのも分割払いやリボ払いなどでその品物の支払いが終わっていないケースでは、その支払いが終わるまでは信販会社である債権者の物でもあるからです。
債務整理した時点で債権者がその品物を引き上げて、商品を換価して少しでも債権を減少させる可能性があります。リボ払いで購入した洋服などは引き上げられる可能性が低いですが、車やパソコンなど購入時に分割払いの契約書にサインした品物に関しては引き上げられる恐れが高いでしょう。
また自己破産前に勝手に財産を処分したりすると、手続き中に調査が入る可能性があります。財産隠しと疑われて借金が免責されない場合もあるので、購入した物や価値がある物の処分は慎重に行いましょう。
ホストクラブのツケ払いは債務整理できる?
近のホストクラブでは客の飲食代を「ツケ」として、ツケ払いを認めている店があります。しかしホストクラブのツケは債務整理をしても効果が期待できないので気を付けましょう。任意整理で減額できるのはあくまで利息部分です。ホストクラブのツケは貸金業者の借金と違い、利息が付いている訳ではなく任意整理する意味がありません。
また個人再生では、借金の減額を認めない債権者が一定以上いると大幅減額が認められません。ホストクラブのツケが借金の大部分という場合、減額することに同意しなければ個人再生(小規模個人再生)することはできないでしょう。
自己破産では免責が認められない免責不許可事由があり、ホストクラブの借金はその中の「浪費」に当たるとされています。裁量免責で免責が認められる可能性が高いですが、破産管財人が必要な管財事件で手続きするほかなく、時間や費用が他の債務整理に比べて格段にかかることを覚えておきましょう。
ホストへのツケを返済する方法や払えないときの対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。
「ホストへの借金・ツケを返済する方法が知りたい!払えないときの対処法とは?」
女性が債務整理について相談できる窓口
女性が借金返済や債務整理で困ったとき、どのようなところに相談することができるのでしょうか。こちらでは女性でも相談しやすい窓口各種を紹介していきます。
法テラス
法テラスは正式名称を「日本司法支援センター」といい、経済的な理由などで法律の支援を受けられない人をサポートする国の機関です。弁護士に依頼する費用がなくて債務整理できないという方は、ぜひ法テラスに相談してみましょう。
一定の収入を下回っていれば、弁護士への相談は3回まで無料で受けられます。弁護士に債務整理を依頼する場合も、弁護士費用の立て替え制度を利用すれば、毎月数千円の返済で済みます。また法テラスと契約している弁護士事務所でもこの扶助制度が受けられるので、先に弁護士に相談してから法テラスに申し込むことも可能です。
弁護士会・司法書士会の相談センター
法テラス以外にも、全国各地の弁護士会の法律相談センターや、日本司法書士連合会の各相談センターで相談を受け付けています。基本的に相談料は無料ですが、事前に予約が必要だったり、相談時間に制限を設けている場合もあります。まずは最寄りの相談センターがどこか確認し、電話で問い合わせてみましょう。
女性のための法律相談会
女性弁護士に相談を希望するという方は、「女性のための法律相談会」を通して弁護士を見つけるという方法があります。ただし弁護士会が行っている相談会は、女性ならではのストーカー被害やDVなどの法律相談が主となっています。各自治体でも女性を対象とした相談会を開催している場合があるので、まずはお住いの自治体に確認してください。
女性専門の相談窓口
法律事務所や司法書士事務所の中には、女性専門の相談窓口を設けているところがあります。可能な限り女性スタッフや女性弁護士が対応しているので、男性の専門家に相談しにくいという方は利用してみては?インターネットで「債務整理 女性専用 弁護士事務所 地名」で検索すると、女性弁護士が対応してくれる弁護士事務所がヒットします。
女性弁護士がいる弁護士事務所
債務整理を専門としている弁護士事務所の中にも、女性弁護士が対応してくれるところが数多くあります。こちらもインターネットで地名や女性弁護士などと検索すると、お住まいの地域で女性弁護士がいる弁護士事務所がヒットします。その中でも借金問題や債務整理に強いところを選んで無料相談に行くといいでしょう。
「司法書士と弁護士、どちらに依頼すればいいの?」という疑問をお持ちの方がいるかもしれません。確かに司法書士でも債務整理を取り扱うことができるのですが、個別の債権額が140万円以下の案件しか取り扱えず、債権者との話し合いがこじれて地方裁判所に提訴したいと思っても、管轄事件の代理人になることができません。
その点弁護士なら、債権額がいくらであっても債権者との交渉や訴訟が可能で、申立てから裁判のやり取りまですべてポートしてもらえます。また弁護士が代理になることで、債務整理にかかる裁判所費用が安く済むケースも。債務整理の手続きが必ずしもスムーズに進むとは限りません。いざトラブルになったときに備え、ありとあらゆる対処が可能な弁護士に依頼することをおすすめします。
まとめ
女性は男性に比べて収入が低かったり、ストレス発散方法が買い物やギャンブルだったりと、女性ならではの理由から借金をしがちです。実際半数近い女性が、個人再生や自己破産といった債務整理を行っています。債務整理には3つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットや向いている人が異なります。
妻が債務整理しても夫の個人情報に影響はなく、任意整理であれば家族にバレずに手続きすることも可能です。ただし債務整理の方法によっては連帯保証人に迷惑がかかるケースや、クレジットで購入した物の取り扱いには注意が必要。
女性の借金問題で困ったときは、法テラスや専門家の相談センター、女性専用の相談窓口に相談してみましょう。男性専門家に相談するのは怖い…という方は、女性弁護士がいる弁護士事務所がおすすめ。まずはインターネットなどでお近くの弁護士事務所を探し、無料相談を利用して借金や債務整理についてのアドバイスを受けましょう。