- 「マイナンバーカードを悪用されて勝手に借金されたらどうしよう…」
- 「マイナンバーカードを悪用されないための対策が知りたい」
最近のニュースで増えてきたのが、マイナンバーカードの悪用による詐欺や乗っ取り事件です。マイナンバーカードをお持ちの方は「自分もその被害に遭うのでは?」と心配になってもおかしくありません。そこでこちらの記事では、マイナンバーカードの悪用で借金をさせられるかを中心に、詐欺や乗っ取りの実態について詳しく解説。
さらにマイナンバーカードを紛失・盗難されたときの対処法や、悪用により借金させられたときにどうすればいいかについても紹介していきます。マイナンバーカードの被害に遭わないためには、いくつかのポイントがあります。マイナンバーカードの悪用被害について知ることは、被害を防ぐためにも有効です。
マイナンバーカードの悪用で借金は可能?
そもそもマイナンバーカードの悪用で借金することは可能なのでしょうか。その点について詳しく説明するとともに、実際に悪用被害に遭った事例を紹介していきます。
可能性はゼロではないが低い
マイナンバーカードの悪用で勝手に借金される可能性は、ゼロではないもののそれほど頻繁に起きるわけではありません。マイナンバーカードはマイナンバー(個人番号)が記載された顔写真付きのカードのこと。プラスチック製のICチップが付いていて本人確認書類として使えるほか、次のような用途で使用可能です。
- 民間のオンラインサービス(証券口座開設など)が使える
- コンビニで住民票を取得できるなどの自治体サービス
- e-TAXなどの電子証明書を使用した電子申請
- パスポート申請
健康保険証と紐付けしている場合は、保険証として使用可能です。
銀行や消費者金融などでお金を借りるとき、マイナンバーカードを身分証明書として使用することは可能ですが、マイナンバーカードには顔写真が付いているので、盗難や紛失により第三者が不正に取得した場合は、顔写真から本人でないことがバレてしまうでしょう。
通知カードの悪用は不可能
マイナンバーカードと似たものに、「マイナンバー通知カード」があります。マイナンバー通知カードとは、紙製のカードで個人にマイナンバーを知らせるためのもの。券面には次のような情報が記載されています。
- マイナンバー
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 性別
マイナンバー通知カードはマイナンバーカードと違い、本人確認書類として認められていません。契約時には運転免許証や保険証など、別の本人確認書類が必要です。そのためマイナンバー通知カードを紛失、盗難されただけでは悪用される心配はありません。
マイナンバーカードに登録されている情報
マイナンバーカードには次のような情報が記載されています。
表面(顔写真がある方) |
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裏面 |
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裏面のICチップには、カード面に記載されている住所・氏名・生年月日・性別・個人番号・顔写真といった情報や、公的個人認証のための電子証明書など限られた情報のみが記載されています。
マイナンバーカードで収入や預貯金額は分からない
マイナンバーカードだけでは、収入や預貯金額、納税額や年金額などプライバシー性の高い情報は入っていません。このような個人情報はマイナンバーカードで一元管理している訳でなく、別々の期間で管理しているからです。
それらの情報を見るためにはパスワードが必要で、パスワードを一定回数間違えるとマイナンバーカードがロックされて使用できなくなるなどのセキュリティが備えられています。
マイナンバーカードで借金の情報は分からない
またマイナンバーカードには、借金の情報は入っていません。現時点でそのような情報を登録するシステムになっておらず、マイナンバーカードから個人の借入状況を知られるという心配はありません。
悪用されたときの罰則がある
マイナンバーカードが悪用されたときの罰則があるのも、悪用を防ぐための抑止力の一つと考えていいでしょう。
マイナンバー法による罰則
マイナンバーカードの利用目的は、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(通称:マイナンバー法)」で次のように規定されています。
- 社会保障の分野(年金・保険証など)
- 税金の分野(e-TAXなど)
- 災害対策の分野(被災者台帳作成など)
他人のマイナンバーを取得することはマイナンバー法で原則禁止されています。また他人にマイナンバーを提供する行為も基本的に認められていません。人をだます、盗むといった不正な方法で他人マイナンバーを取得した場合には、3年以下の懲役または150万円以下の罰金に処せられることもマイナンバー法で規定されています。
(特定個人情報の提供の制限)
第19条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはならない。(罰則)
第51条 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(中略))その他の個人番号を保有する者の管理を害する行為により、個人番号を取得した者は、3年以下の懲役又は150万円以下の罰金に処する。
引用:行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律|e-GOV法令検索
詐欺罪に問われる可能性
不正な方法で取得した他人のマイナンバーカードで借金すると、刑法の「詐欺罪」となり、10年以下の懲役に処せられる可能性が高いでしょう。金融機関をだまして、不正に利益を得るとみなされるためです。
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
引用:刑法|e-GOV法令検索
マイナンバーカードを悪用被害の事例
マイナンバーカードには悪用防止のさまざまな対策が施されているものの、過去にはマイナンバーカードを悪用されて被害を受けた事例があります。自分が被害に遭わないためも、どのような詐欺の手口があるか知っておきましょう。
悪用された事例①
自宅でできる副業をお探しの方はご注意ください。インターネットでいい副業がないか探し、仕事の説明を受けるためにあるメッセージアプリに登録。会員になるために住所・氏名・電話番号等を登録し、運転免許証やマイナンバーカード、源泉徴収票などの画像データをアプリに送信しました。
後日業者からFX投資のサポート契約を勧誘され、お金がないからと断ると「ローンで借りて稼げたらすぐ返せばいい」と、指示されるままに遠隔操作アプリをスマホにダウンロード。後日調べてみると、その遠隔操作アプリを使用して消費者金融数社から数百万円借金させられていたことが分かりました。
このような遠隔操作アプリを利用して、勝手に多額の借金を負わせるという悪質な手口が発生しています。金銭のやり取りはもちろんのこと、マイナンバーカードなどの個人情報やクレジットカード情報などは、むやみに他人に教えないようにしましょう。
参考:副業をしようと思ったのに、遠隔操作アプリの悪用で借金させられていた!?|埼玉県
悪用された事例②
マイナンバー制度に便乗し、マイナンバーカードに記載されている情報やその他の個人情報を取得しようとする次のような事例が全国で発生しています。
- 役所の職員を名乗り、マイナンバーの手続きのために至急金融機関の口座番号を教えて欲しいという電話があった
- 「マイナンバー制度の導入に伴い個人情報を調査中」と来訪し、保険の契約状況や資産などを聞かれた
- 知らない業者から「マイナンバーを管理します」という電話があった
- 国の行政機関を騙り、マイナンバーのアンケートとして家族構成や年金受給者かを聞かれた
マイナンバーの通知や利用に関する手続きで、自治体の職員などが電話で個人番号等を聞くことはありません。また2024年6月現在で社会保障や税、災害対策に関する手続きのみで利用することになっているので、市区町村や勤務先、金融機関以外でマイナンバーが必要となる機会は基本的にありません。
参考:マイナンバー制度を悪用した詐欺にご注意ください!|大阪府豊能町
悪用された事例③
マイナンバーカードの情報をもとに、インターネットバンキングで口座を無断で開設され、1400万円をだまし取られるという特殊詐欺事件が発生しています。自宅に「総合通信局」を名乗る人物や警察官を人物から「あなたの口座情報が流出している」という電話がありました。
その電話でスマホの機種変更を指示され、その後スマホのビデオ通話で顔やマイナンバーカードをカメラに示すように命令されました。その後無断で開設したインターネットバンキングの口座に、預金を「口座が凍結される前に」と移し替えるように指示され、被害者は二つの銀行口座からそのネットバンキングの口座に振り込みました。金融機関側も、振込先が本人名義の口座だったため詐欺を疑うことはなかったようです。
参考:マイナカードの情報もとに1400万円だまし取られる詐欺…「マイナンバー法改正案」に不信感も|YAHOO!ニュース
悪用された事例④
偽のマイナンバーカードを使った、スマホの乗っ取り被害が発生しています。ある日自分のスマホが突然使えなくなり、契約している携帯会社の最寄店に相談したところ、遠く離れた場所の店舗で機種変更していることが判明。その店舗に連絡したところ、本人になりすましたスマホの乗っ取り詐欺の可能性があることが判明。
機種変更のための身分証明書には偽造されたマイナンバーカードが使われ、ネットショッピングで高額な腕時計を購入したことも後で判明しました。被害者は市議会議員だったため、住所や氏名、生年月日や顔写真などの情報を公表していました。これがスマホの乗っ取りを容易にした一因だと考えられます。
ただ一般の人でも偽サイトに誘導して個人情報を入手する、いわゆる「フィッシング詐欺」の手口を使われた場合は、同様の被害に遭う可能性があるでしょう。
参考:偽造マイナカードは「誰でも被害にあう恐れ」 9200万枚突破、トラブル続出でも政府は用途拡大にまい進|東京新聞
カードを紛失・盗難されたときのリスク
こちらではマイナンバーカードを紛失・盗難されたときのリスクについて解説していきます。基本的に個人暗号を知られただけでは、悪用されるリスクはほとんどありません。しかしパスワードも一緒に分かってしまうと、悪用されるリスクが一気に高まります。そのため推測されやすい暗証番号を設定している方は、注意が必要です。
情報が闇金業者や詐欺組織に流失する
マイナンバーカードを紛失・盗難されると、個人情報がヤミ金業者や詐欺業者に流出する恐れがあります。知らない業者から頻繁にDMや勧誘が届くようになったり、詐欺などのターゲットになるなどの可能性があります。
暗証番号を入手してマイナポータルにログインされる
マイナンバーカードの個人認証サービスにはパスワードがあり、4種類のパスワードそれぞれで使用目的が違います。
パスワードの種類 | 目的 | 使える文字 |
---|---|---|
署名用電子証明書パスワード |
|
半角英字と数字が混在した6文字~16文字 |
利用者証明用電子証明書パスワード |
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4桁の数字 |
券面事項入力補助用パスワード | マイナンバーカードに記載されている氏名・住所・生年月日・性別の4情報を読み取り必要か所に転記 | 4桁の数字 |
住民基本台帳用パスワード |
|
4桁の数字 |
このうち利用者証明用電子証明書パスワードを知られると、マイナポータルにログインされ、個人情報を見られてしまったり、本人になりすまして行政手続きをされてしまう恐れがあります。マイナポータルとは、行政手続きのオンライン窓口として、次のような情報を確認できるサイトです。
- 地方税・所得税などの税金情報
- 年金関連情報
- 医療費・薬剤などの健康補器園情報
- 家族構成・世帯主などの世帯情報
- 福祉・介護情報
- 子ども・子育て情報
署名用電子証明書パスワードは5回、他のパスワードは3回間違えるとロックがかかりますが、パスワードを書いた紙などと一緒に盗まれてしまうと、簡単にマイナポータルにアクセスできてしまいます。
本人になりすまして借金・買い物をされる
上の悪用事例で説明したように、マイナンバーカードを紛失・盗難されると、本人になりすまして借金させられたり高額な買い物をされる可能性があります。国も様々な対策を施していますが、詐欺の手口は日々進化しているのも現状。いつ自分が被害に遭うか分からないので、十分注意する必要があります。
投資詐欺による借金の解決方法は、こちらの記事を参考にしましょう。
「投資詐欺による借金は債務整理で解決!詐欺にあわないコツやおすすめ整理方法とは?」
マイナンバーカードの紛失・盗難にあったときの対処法
マイナンバーカードは様々な手続きに便利な反面、悪用のリスクもあります。そこでこちらではマイナンバーカードの紛失や盗難に遭ったときの対処法を紹介。紛失・盗難に遭っても次のような対処をすぐにとることで、被害を最小限に防げます。
マイナンバー総合フリーダイヤルに電話
マイナンバーカードの紛失・盗難に遭ったら、すぐにマイナンバー総合フリーダイヤルに電話して、マイナンバーカードの一時利用停止の手続きを行ってください。電話番号は次の通りです。
0120-95-0718(通話無料)050-3818-1250(通話有料)
いずれの電話番号も、カードの一時利用停止に関しては24時間365日対応しています。第三者がマイナンバーカードを拾って上記電話番号に電話をかけた場合でも一時利用停止できます。
警察に遺失届・盗難届を提出
次に最寄りの警察署に行き、紛失した場合は「遺失届」、盗まれた場合は「盗難届」を提出します。そのとき「受理番号」の控えをもらいますが、再発行の申請時に提出しなければならないので、なくさないようにしましょう。一部の都道府県では、インターネットによる遺失届の提出も可能です。
緊急時は110番通報をして、盗まれたものを申告してください。警察に盗難届を出す場合には、身分証明書と印鑑が必要です。盗難届を提出後に盗難された品が見つかったときには、連絡元の警察署に受け取りに行きます。拾った第三者が警察に届けた場合は、警察庁・警視庁を通じて本人またはカードを発行した市区町村役場に連絡が行きます。
マイナンバーカードの再発行
紛失したり盗難されたマイナンバーカードが見つからないときには、カードの再発行が可能です。次のような手順で、再発行を行いましょう。
- 市区町村役場に「紛失・廃止届」を提出(届出をしたマイナンバーカードは失効)
- マイナンバーカードの「再交付申請書」を提出(オンライン申請・郵送申請も可)
申請から受け取りまで、1カ月半程度かかります。尚、マイナンバーカードの再交付申請時には、次のものが必要です。
- マイナンバーカード再交付申請書
- 顔写真(縦4.5cm×横3.5cm)
- 本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
- 遺失届・盗難届の受理番号の控え
- 再交付手数料800円(電子証明書も再発行する場合はプラス200円)
盗難の場合は再交付手数料が無料になる場合があります。詳しくは申請書を提出した市区町村役場にお問い合わせください。
マイナンバーを変更する
悪用される恐れがある場合には、マイナンバー(個人番号)自体を変更する手続きを取りましょう。マイナンバーは原則として変更はできませんが、紛失・盗難によって悪用の恐れがあるときには特例として変更が認められています。マイナンバーを変更する手順は以下の通りです。
- マイナンバーカードを発行した市区町村役場に「マイナンバー変更申請書」を提出
- 個人番号通知書を受領する
- 個人番号通知書にあるQRコードまたは申請書IDを使い、インターネット上で新しいマイナンバーを申請
マイナンバーの変更申請には、次のような書類が必要です。
- 本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
- 紛失・盗難の事実を証明するもの(警察への遺失届・盗難届の受理証・受理番号等)
尚、マイナンバーを変更すると、以前のマイナンバーカードは失効して利用できなくなります。
マイナンバーカードの悪用で借金されたときの対処法
マイナンバーカードの悪用により第三者に勝手に借金されてしまった場合は、次のような対処法を取りましょう。
借金をされても返済義務は生じない
基本的に第三者の悪用により、マイナンバーカードの所有者本人になりすまして借金した場合、その借金の返済義務は所有者にはありません。というのも金融機関と本人との間には消費賃借契約が成立していないとみなされるため。消費賃借契約は、申込と承諾という二つの意思表示が合致して初めて成立します。
しかし所有者本人は消費賃借契約の申し込みをしていないので、本人と金融機関との間の消費賃借契約は成立していないとして、借金の返済義務は生じません。
自分が作った借金でないことを主張
マイナンバーカードを悪用されて借金させられた場合、まずは債権者である金融機関に連絡して、自分が契約した借金でないことを主張しましょう。尚、金融機関のお客様専用窓口などに電話連絡したうえで、配達証明付きの内容証明郵便で、次のような内容の文書を郵送することをおすすめします。
- 本人が借入していないという主張
- マイナンバーカードを紛失した、盗まれた日時
- 借金する必要がない経済状況にあるとの説明
- 遺失届・盗難届のコピー
架空請求の可能性をチェック
身に覚えのない金銭の請求は、「架空請求」の可能性があります。他人のマイナンバーカードを入手した者が、銀行や消費者金融を装って返済請求するという手口です。
- 実在する事業者名で「コンテンツ利用料金」を請求
- 「消費料金に関する訴訟最終告知」などの請求はがきが届く
- 「自宅へ行く」「勤務先を調査」「執行官立ち合いのもと財産の差し押さえ」など、不安をあおるような脅し文句が書いてある
参照:「利用した覚えのない請求(架空請求)」が横行しています|国民生活センター
架空請求の場合は、請求通知書等に書いてある連絡先には絶対に連絡しないように注意しましょう。
支払督促詐欺の可能性
支払督促詐欺の可能性もあります。支払督促詐欺とは、裁判所の通知を装った詐欺のことで、本当の裁判所の支払督促を悪用した事例もあります。本当の裁判所からの書面でないことを確認したら無視しても構いませんが、本当の裁判所の支払督促が届いた場合は、「督促異議申し立て」をしないと不利益を被る可能性があります。
本当の裁判所からの書類かどうかわからないときには、消費生活センターや裁判所、弁護士などに相談してアドバイスをもらってください。
返済はしない
身に覚えのない借金の返済を請求されたときには、一切返済をしないようにしてください。というのも1円でも返済をしてしまうと、借金の存在を認めた(追認)ということになり、借金全額の返済義務が生じる可能性があるためです。
たとえマイナンバーカードを悪用されて知らないうちに契約させられていた借金(消費賃借契約)でも、本人が追認すれば返済義務が生じると民法第113条に規定されています。
借金の実態を確認する
第三者が自分のマイナンバーカードを使って勝手に借金している可能性があると感じたら、信用情報機関に開示請求して、自分名義の借金がどこから、いくらあるのかを確認しましょう。3つある信用情報機関すべてに開示請求を行えば、なりすましによる借金が他にもないか確かめられます。
信用情報機関への開示請求の方法は、以下の通りです。
信用情報機関 | 加盟金融機関 | 開示請求方法 |
---|---|---|
株式会社シー・アイ・シー(CIC) |
|
インターネット・窓口・郵送 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) |
|
スマートフォン・窓口・郵送 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) |
|
インターネット・郵送 |
ブラックリストがいつ消えるかについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「ブラックリストはいつ消える?消し方は?個人信用情報をきれいにする方法」
債務不存在確認訴訟を起こす
身に覚えのない借金の返済を迫られたら、裁判所に「債務不存在確認訴訟」を起こすという方法があります。債務不存在確認訴訟とは、債権者に対して債務(借金)が存在していないことを裁判所に認めてもらうための法的手続き。裁判に勝訴すれば、借金返済義務がなくなります。
ただし金融機関を相手に裁判で勝訴するためには、法律の専門知識や裁判の経験が必要です。債務不存在確認訴訟を起こす場合には、弁護士に相談するようにしましょう。
相談機関に相談
身に覚えのない借金の返済を迫られたら、次のような機関に相談するのも有効です。
国民生活センター
国民生活センター・消費生活センターは、消費者庁管轄の機関。消費者基本法に基づいて、お金や物の消費に関する様々なトラブルについての相談を受け付けています。また裁判外紛争解決手続など、トラブル解決に向けた和解の仲介や仲裁も行っています。消費者ホットライン(局番なし)188に電話すると、お近くの消費生活相談窓口につながります。
貸金業相談・紛争解決センター
貸金業相談・紛争解決センターは日本貸金業協会が運営する相談機関で、借金に関するアドバイスやカウンセリングを実施しています。また貸金業に関するトラブルや苦情を受け付けている窓口もあるので、身に覚えのない借金の返済を迫られたと気は下記の相談窓口に連絡してください。
警察相談ダイヤル(#9110)
犯罪に当たるか分からない場合でも警察に相談したい場合は、警察相談専用電話(#9110)に電話してみましょう。お住まいの地域の、警察本部相談窓口につながります。
弁護士
法律の専門家の立場から、マイナンバーカードの悪用や借金問題について相談に応じています。「マイナンバーカードを悪用されているかも」という方や借金の返済義務があるか知りたいという方、債務不存在確認訴訟を起こしたいという場合や支払督促に対する異議申し立てをする場合でも適切なアドバイスが受けられます
お近くの法律事務所で相談できるほか、全国の弁護士会の法律相談センターでも、法律相談を行っています。
マイナンバーカード被害に遭わないためのポイント
マイナンバーカード悪用による被害に遭わないためには、次のようなことに気を付けてください。
身分証明書として使うときは番号を隠す
マイナンバーカードを身分証明書として使うときには、マイナンバー(個人番号)は隠して使用しましょう。マイナンバーカード交付時に一緒に渡されたケース(個人番号部分を隠す仕様になっている)に入れたままにするか、自分でテープを貼っておくなどの対策が有効です。
尚、裏面のQRコードも隠すことをおすすめします。QRコードを読み取ると、個人番号が割ってしまうためです。金融機関のローン審査や携帯電話を契約するときなど、マイナンバーカードの提示を求められるケースがありますが、いずれの契約でも個人番号は不要な情報です。本人確認には顔写真・氏名・住所・生年月日で十分なので、裏目を見せて欲しいと言われても応じる必要はありません。
SNSに投稿しない
マイナンバーカードの画像は、SNSなどに投稿しないようにしましょう。そもそもインターネット上にQRコードが見られる状態で掲載することは、マイナンバー法第19条の「提供制限」に違反している可能性が高いです。またアップされているQRコードをスマートフォンで読み取ることで、第三者に簡単に個人番号を知られてしまいます。これはマイナンバー法第20条の「収集制限」に違反する可能性があります。
(特定個人情報の提供の制限)
第十九条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはならない。
(中略)
(収集等の制限)
第二十条 何人も、前条各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報(他人の個人番号を含むものに限る。)を収集し、又は保管してはならない。
引用:行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律|e-GOV法令検索
パスワードは他人に教えない
マイナンバーカードのパスワードは、むやみに第三者に教えてはいけません。前出の通り、マイナンバーカードのパスワードは4種類あり、それぞれ使い道や利用方法が異なります。また第三者に知られた場合のリスクは以下の通りです。
パスワードの種類 | 使い道や利用例 | 知られた場合のリスク |
---|---|---|
署名用電子証明書パスワード | 実印に当たる
e-Taxの申請 児童手当の現況届 |
勝手に確定申告される
収入・家族構成を知られる |
利用者証明用電子証明書パスワード | 本人証明に当たる
マイナポータルへのログイン コンビニでの住民票交付 |
住民票を取得される
マイナポータルにログインされ所得を知られる |
住民基本台帳用パスワード | 本人特定情報の変更
転居による住所変更 婚姻による氏の変更 |
住所や氏を勝手に変えられる |
券面事項入力補助用パスワード | 氏名・住所・生年月日・性別を読み取る ・新型コロナワクチン接種証明書の電子申請 |
住所・氏名・生年月日・性別を転記される |
基本的に自治体の職員や金融機関の職員が、マイナンバーカードのパスワードを尋ねることはありません。パスワードを聞き出そうとする電話・メールなどが来ても、絶対に教えないようにしましょう。
まとめ
マイナンバーカードの悪用によって勝手に借金させられるケースは、ゼロではありませんがかなり数は少ないです。マイナンバーカードには様々な情報が入っているものの、個人の収入や預貯金額、借金の有無といった情報は入っていません。
マイナンバーカードを紛失したり盗難の被害に遭うと、個人情報を抜き取られたり、本人になりすまして行政手続きを行う、借金や買い物をされてしまうというリスクが生じます。そうならないために、マイナンバーカードをSNSにアップしない、提示するときには個人番号を隠すなどの対策が必要です。
もしも紛失や盗難の被害に遭ったときには、一時利用停止の手続きを行った後で警察署に所定の届出をしてください。場合によっては個人番号そのものの変更も必要です。悪用されて借金させられたときには、警察や弁護士に相談し、適切な対処を行うようにしましょう。