- 「借金が理由で離婚した夫から確実に養育費を受け取る方法は?」
- 「養育費不払いを予防する対策と受け取れなくなった後にできることを知りたい」
離婚した相手が借金まみれで、離婚時に決めた養育費が受け取れないとお困りの方はいませんか?現実的にお金がないのだから支払えないのも仕方ないと思う一方で、子どものための養育費はどんなことをしてでも払って欲しいと考えるのも当然です。
こちらの記事では、借金を理由に養育費の支払いは免除されるかや減額請求を認めるべきかについて詳しく解説。さらに借金まみれの相手から確実に養育費を受け取るために離婚前にできることや、実際に受け取れなくなったときに取るべき対処法についても紹介していきます。
借金を理由に養育費の支払いは免除される?
借金まみれになると、様々な支払いができなくなってしまうということは想像に難くありません。離婚した相手に多額の借金があれば、それを理由として「養育費を払えるだけのお金がない」と養育費支払を拒否しようとする可能性もあります。そこでこちらでは、離婚した相手の借金を理由に、養育費の支払いを免れられるかについて解説していきます。
離婚後の養育費の支払いは「義務」
親権者でない方の親が離婚後に養育費を支払うのは、親としての義務です。養育費については、民法第766条に「子の監護に要する費用」として定められています。
未成熟の子どもがいる夫婦が離婚する場合、夫婦のどちらかを親権者と定めないと離婚が認められません。親権者とならなかった親は、子どもに養育費を支払うことで子どもの衣食住や教育といった生活を保障する「生活保持義務」を負っているので、借金があったとしてもその義務を履行する必要があります。
借金があっても養育費を請求できる
相手に多額の借金があっても、養育費を請求することに問題はありません。相手に「借金返済で首が回らず養育費を支払えない」と言われても、「借金があっても養育費は支払わないといけないもの」と相手に伝えてください。養育費の支払いを拒まれると、子どもは安心して満足な生活を送ることができなくなります。
また養育費は「親権を持っている側が稼いでいるから支払わなくてもいいもの」でも「面会交流ができないから支払う必要がないもの」でもありません。養育費の請求方法は下で詳しく紹介するので、その手順に沿って請求していきましょう。
口約束でも取り決めは有効
養育費の支払いについては、離婚協議書などの書面を交わしておらず、口約束で取り決めたときでも成立します。ただし口約束だけだと、合意した内容を後で確認できず、証拠として残すことも不可能です。そのため、養育費など離婚時の金銭に関しては、極力離婚協議書などの書面を作成し、公正証書にするようにしましょう。
自己破産しても養育費の支払い義務はなくならない
借金まみれの相手が自己破産した場合でも、養育費の支払い義務はなくなりません。自己破産は借金の返済不能状態を裁判所に認めてもらうことで、返済義務を免除できる手続き。銀行や消費者金融からの借金と同様に、養育費の支払い義務のなくなるのでは?と考えている人がいるかもしれませんが、養育費の支払い義務は自己破産してもなくならないので安心してください。
養育費のように、自己破産しても支払い義務がなくならない債権(借金)のことを「非免責債権」といいます。非免責債権には他に、税金や年金保険料、婚姻費用や悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権(慰謝料)などもあります。
非免責債権については、破産法第253条1項4号ハ・ニに次のように規定されています。
第二百五十三条免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
四 次に掲げる義務に係る請求権
ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
引用:民法|e-GOV法令検索
自己破産における養育費の扱いについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産における養育費の扱い|手続き前後で変わる対応と支払いが難しいときにできることとは」
個人再生でも支払い義務がなくならない
借金まみれの夫が個人再生をした場合でも、養育費の返済義務はなくなりません。個人再生は裁判所を通して借金総額を大幅に減額できる手続き。個人再生の開始決定前に発生していた養育費の請求権は、自己破産時と同様に「非免責債権」として扱われます。
非免責債権の場合、再生計画案通りの弁済期間中は、決められた基準に従って分割払いで支払うのが原則です。再生計画案に沿った支払いが終わった後は、残った分(請求総額-分割で支払った分)を一括で支払わなければなりません。
また再生手続き開始決定後に発生する養育費の請求権は「共益債権」として扱われ、手続き中であっても支払い義務が発生する度に、基本的に全額支払う義務があります。このように、いくら債務整理を行ったとしても、基本的に養育費の支払い義務はなくならないということを覚えておきましょう。
個人再生にかかる期間については、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生にかかる期間はどれくらい?申立から再生手続開始決定、返済までの流れと注意点」
減額請求を認めるべき?
決められた内容通りの養育費を支払えない相手から、養育費の減額請求をされたら、その請求を認めなければならないのでしょうか。
借金は減額理由にならない
前出の通り、借金が理由だけでは養育費の支払い義務は免除されません。同様に減額請求も認められないのが原則です。というのも、養育費計算のタイミングでは、相手に借金があっても考慮されないのが一般的だからです。
養育費の金額は、支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の収入・働き方(給与所得者・自営業者)・子どもの人数・子どもの年齢によって、裁判所の「養育費算定表」に基づいてある程度自動的に決められます。収入等を評価する場合、借金は一部の例外を除いて考慮されないので、義務者に借金があっても算定表通りに養育費を支払ってもらえます。
減額請求に応じる必要はない
上のような理由から、相手が借金を理由に養育費の減額を求めてきても、それに応じる義務はありません。とくに親権者側に収入が少なく、養育費がなければ親子が暮らしていけないときなどは、「勝手な理由で減額を求めてくるな」と怒りが湧いてくるかもしれません。相手がいくら借金まみれであっても、取り決めた金額を要求するのは問題ありません。
減額請求は支払う意思があることの現れ
しかし一方で、減額請求をしてくるということは相手に養育費を支払う意思があるという現れでもあります。借金返済で自分の生活が苦しいのに、子どものことを考えると「せめて減額してでも」と考えているのに、元妻に拒否され続けたらどう思うでしょうか。
「いっそのこと養育費の支払いそのものをやめてしまおう」と考えてしまうかもしれません。減額してでも養育費をもらえるのと、全くもらえなくなるのでは大きな違い。相手の減額請求をはねのけるのではなく、まずは話し合いに応じてみることをおすすめします。
公正証書や調停証書でも減額請求についての約束がある
離婚時に作成した公正証書や調停調書に、養育費の減額請求についての取り決めがなされている場合があります。強制執行認諾文言付きの公正証書や調停証書は、支払が滞ったときに裁判の手続きなしに強制執行ができる「債権名義」ですが、債権名義を作成していた場合でも条項の中に「事情が変わった場合には、減額や増額について話し合うことを約す」という文言が含まれています。
養育費の金額は双方の事情の変化で変わり得るというのが前提です。相手から減額請求されたからといって、怒りに任せていきなり強制執行手続きをしないようにしましょう。
調停や裁判で減額が認められる可能性
相手が養育費減額を求めて調停や裁判の申立てをした場合、事情によっては減額が認められる可能性があります。養育費減額が認められる基準として、調停などでは次のような事情があると、減額請求が認められてしまう場合があるでしょう。
- 養育費取り決め後に「事情の変更」が生じた
- 事情の変更が重要な変化といえる
- 取り決め当時、権利者・義務者双方が事情の変更を予測できなかった
- 事情の変更が生じたことについて、権利者・義務者に責任がない
事情の変更が認められる理由
具体的には権利者・義務者それぞれに次のような事情の変更があるときに、養育費の減額請求が認められるでしょう。
(義務者)自己都合でない無収入や低収入
養育費を支払う側が、自己都合でない理由でリストラにあったり会社が倒産したりして、収入が減った場合や無収入になった場合には、養育費の減額請求が認められるでしょう。また元夫の突然のケガや病気で入院・休職を余儀なくされて、収入が減った(なくなった)というケースも考えられます。
このようなやむを得ないケースでは、夫自身の生活もままならないため、現実問題として減額を認めなければならないでしょう。裁判所でも養育費の減額を認める可能性が高いです。当面は減額を受け入れ、再就職や復職などで収入が安定した後で、増額を協議するのが賢明でしょう。
(義務者)再婚・扶養家族の増加
養育費を支払う側が再婚し、子どもが生まれた場合など、新たに扶養家族が増えたときには、養育費の減額が認められるでしょう。というのも元夫は、再婚相手やその間にできた子どもに対しても扶養義務を負うため。どちらの子どもにも同程度の生活水準を保つために必要と認められれば、減額請求が通る可能性が高いです。
ただし再婚した相手に子どもがいてその子どもと養子縁組をしない場合は、法律上の扶養義務を負わないとされるため、養育費の減額請求が認められる可能性が低くなります。また再婚相手が専業主婦であっても、健康上の理由等で働けないなどの理由がない限りは、養育費の減額が難しいです。
(権利者)収入の増加
養育費を受け取る側の収入が増えた場合も、養育費の減額請求が認められる可能性があります。また権利者の収入が以前と変わらなくても、再婚した相手の収入によっては、減額請求が認められるケースがあります。
ただし養育費の金額を決めたときに就職や転職を見込んで、その収入を基準として養育費を決めたときには、減額理由として認められません。
(権利者)再婚相手と子どもとの養子縁組
養育費を受け取る側が再婚し、子どもと再婚相手が養子縁組をした場合、再婚相手の週によっては元夫からの養育費減額請求が認められます。というのも義務者である元夫の他に、再婚相手も子どもの養親・親権者として扶養義務を負うことになるため。
ただし再婚相手と子どもが養子縁組しない場合や、再婚相手が働けないなどの事情があるときには、減額請求は認められない可能性が高いでしょう。
減額請求が認められない事情
一方で、次のような事情では原則として減額請求が認められません。
収入が確保できている
やむを得ない事情で収入が激減したり無収入になった場合でも、それ以外に養育費の支払いに足りる収入が確保できている場合には、減額請求が認められないでしょう。例えば本業の他に不動産収入がある場合や、株式・FXなどでコンスタントに稼いでいる場合などです。
元夫側が減額請求を申し立てた場合には、このような理由で収入が確保できているという資料を提示して、養育費の支払いが可能であるということを裁判所で述べましょう。
自己都合による退職
自己都合による退職や転職、リストラであっても義務者の責任である解雇の場合は、減額請求が認められにくいでしょう。また本人の浪費やギャンブルなどで収入が減ったことについてやむを得ないといえない場合にも、養育費の減額は認められません。
親の介護による支出の増額
元夫の親の介護により支出が増加した場合、やむを得ない事情なのだからといっても養育費の減額請求が認められない可能性が高いです。元夫からすれば、「子どもも大切だが親も大事」「順序が決められないから理解して欲しい」と思うかもしれません。
しかし法律では順序が決まっていて、親の介護費用よりも子どもの養育費が優先されます。そのため、元夫が親の介護が理由で減額請求をしてきても、これまでと同額の養育費を請求することができます。
旦那の借金は妻に返済義務があるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「旦那の借金は妻に返済義務がある?ケース別の有無と借金発覚時にすべきこと、最適な借金解決方法」
養育費不払いの防止のために離婚前にできること
離婚時に夫が借金まみれということが分かっているときには、養育費の不払いを予防するためにできる対策をすべきでしょう。実際、離婚時に取り決めをしていても養育費を受け取れていない人の割合は全体の7割にも上るといわれています。離婚後に養育費を確実に受け取るための備えはとても大切です。
取り決めた内容を書面にする
養育費について取り決めた内容は、必ず書面にしましょう。単なる口約束だけでは、後々支払わなくなる可能性が高いからです。養育費の金額はもちろん、支払方法や支払時期などについて、細かく取り決めをした内容を「離婚協議書」や「合意書」などにまとめておきましょう。
公正証書を作成
離婚協議書を作成したときには、公正証書にしておくことをおすすめします。なかでも「強制執行認諾文言付き」の公正証書にしておくと、養育費が支払われなかったときに民事執行法に基づいて裁判手続きを経ずに相手の給与や預貯金を差し押さえできます。
公正証書とは、公証人が公文書として作成する書面のこと。非常に法的信頼性が高く、偽造変造や紛失などの心配もありません。離婚後でも公正証書を作成できますが、元夫の同意や身分証・印鑑証明書の提示、公証役場への同行が必要です。離婚後は連絡が取れない場合も多いため、公正証書は離婚前に作成することをおすすめします。
令和2年には民事執行法が改正され、公正証書や調停調書、裁判の判決書といった公的な書面を残している場合、財産開示請求手続きが行えるようになりました。給与については裁判所を通して年金事務所や市区町村役場に照会でき、預貯金については金融機関に「情報提供命令」を出すことで口座がある支店名や残高が分かるように。
改正前と比べて、相手の財産の調査が容易にできるようになったので、子どものためにも離婚前に、認諾文言付き公正証書を作成しておきましょう。
調停離婚をする
相手が公正証書の作成に合意しないときや養育費の金額で折り合いがつかないときには、調停離婚をすることをおすすめします。調停では裁判所の調停員が間に入り、養育費の算定基準に従って養育費の金額を決めていきます。
調停が成立すると、裁判所が「調停調書」を作成します。この調停調書も認諾文言付き公正証書と同様に、強制執行が可能なので、相手が離婚後に支払に応じないときには、スムーズに相手の財産を差し押さえられます。
弁護士に対応を依頼
離婚後に確実に養育費を受け取れるようにするには、弁護士に対応を依頼するといいでしょう。法律の専門家である弁護士であれば、公正証書の作成や離婚調停などの煩わしい手続きを任せられます。また相手との交渉も任せられるので、思うように話し合いできないときにも安心です。
養育費が受け取れないときの対処法
離婚後、借金まみれの相手から養育費が受け取れないときには、次のような対処法を取っていきましょう。
相手と直接話し合いする
相手と直接顔を合わせられるときには、養育費の支払いについての話し合いをしましょう。事前に電話やメールなどで連絡を入れ、いつ頃にいくらなら支払えるのかを確認してください。合意できたら養育費の取り決め書を再度作成し、公正証書にしてください。この流れは、離婚時の取り決めと同様です。
養育費請求調停を申し立てる
相手が話し合いに応じなかったり、取り決めに応じないときには、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てる方法があります。調停を申し立てるのは、原則として相手の住所地を管轄している家庭裁判所です。そのため少なくとも相手がどこに住んでいるか把握する必要があります。
申し立てに必要な書類や費用は以下の通りです。
- 養育費請求調停申立書
- 標準的な申立添付書類
- 対象となる子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
- 申立人の収入が分かる資料(給与明細・源泉徴収票・確定申告書・納税証明書など)
- 収入印紙1,200円分(子ども1人につき)
- 連絡用郵便切手(枚数・種類は裁判所に要確認)
調停への参加は強制ではありませんが、欠席すると「不成立」となり、自動的に審判に移行します。調停が「成立」となると、調停調書が作成されます。養育費請求調停について詳しくは、裁判所のHPを参考にしてください。
審判で決める
養育費請求調停が不成立となった場合、審判で養育費の金額を再度決めることになります。この場合も金額の基準となるのは、裁判所の算定表です。相手にやむを得ない事情があるときには、養育費の減額が認められる可能性があります。
審判では、裁判所の審判官が双方の事情に応じた適正な養育費の金額を決めます。そのうえで、相手に支払い命令を出してくれます。審判確定後に作成・送付される「審判書」があると、強制執行が可能になります。
保全処分の利用
養育費が支払われず、子どもを養育するのに支障をきたす経済状況に陥っている場合には、調停・審判を申し立てると同時に「審判前の保全処分」の申立てを検討してください。審判前の保全処分とは、婚姻費用・養育費の請求や子の引き渡しなど、緊急性が高い事件で利用されます。
養育費請求調停(審判)の申立てをしてまだ結果が出る前に、相手の財産の仮差押えや仮処分、その他必要な保全処分を行えます。これらが認められることで、早期に養育費を受け取れる可能性が高まります。
履行勧告・履行命令制度の利用
家庭裁判所の調停や審判調書に養育費の支払いについての記述があるケースに限り、履行勧告や履行命令という制度が利用できます。
履行勧告
履行勧告とは、家庭裁判所が履行状況を調査したうえで相手に合意内容通りに養育費を支払うよう勧告し、督促してもらえる制度。法的な拘束力はないものの、裁判所から直接督促を受けることで、一定の効果が期待できます。また口頭での申立てが可能で、費用がかからないので、誰でも申し立てできるのがメリットです。
履行命令
上記の履行勧告を行っても養育費を支払ってもらえない場合、家庭裁判所が必要と認めると、一定の時期までに支払うように履行命令を出してもらえます。この履行命令に従わない場合は、10万円以下の過料を科すことが可能です。
家庭裁判所に履行命令を出してもらうには、書面による履行命令の申立てが必要です。申立て手数料は500円で、裁判所が元夫から聴取したうえで、履行命令を出すかの判断を下します。
債権名義があるときは強制執行
下記のような債権名義があるときには、地方裁判所に強制執行の申立てをすることで、元夫の財産から強制的に養育費を受け取ることができます。
- 認諾文言付き公正証書
- 調停調書
- 審判調書
- 和解調書
- 確定判決
差押え可能な財産の内訳は、次の通りです。
- 給与・賞与(手取り額の1/2まで)
- 自営業の収入(税金や国民保険料等を差し引いた額の1/2)
- 預貯金
- 生命保険など
給与は毎月新たに申立てをしなくても、継続的に取り立てが可能なため手間がかかりません。また借金滞納による強制執行で給与を差し押さえの場合、源泉徴収額を差し引いた額の1/4までしか差し押さえることができませんが、養育費の未払いで強制執行する場合には、1/2まで差し押さえが可能です。
相手が自己破産した場合の注意点
強制執行の前に相手が自己破産してしまうと、手続きが開始されたタイミングで相手の財産(生活に必要な最低限を超えるもの)はほとんど処分されてしまいます。養育費として受け取れる資産が失われるリスクがあるため、相手に多額の借金があるのであれば、早めに強制執行の手続きをした方がいいでしょう。
また自己破産前に給与などの強制執行をしていた場合には、破産手続開始決定によってその強制執行が停止もしくは失効してしまいます。それにより給与からの養育費支払いが一時的にストップしてしまうでしょう。
しかし養育費は非免責債権になるので、自己破産しても支払い義務はなくなりません。手続き中に受け取ることができなかった分は、後日改めて取り立てができます。
破産手続き中の収入がどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産手続き中の収入は差し押さえられる?財産を手元に残すための注意点を徹底解説」
弁護士に相談
借金まみれの相手から養育費が受け取れないときには、弁護士に相談するのがベストです。法的措置をする前でも弁護士から連絡が入るだけで、相手は差し押さえが現実的なものと感じて誠実な対応を見せるケースが少なくありません。また状況に応じて、どのような対応が適しているかを判断してもらえます。
実際に調停や審判、保全命令や履行勧告(命令)を行う場合でも、スムーズに手続きを進められます。実際に強制執行する場合には、相手の財産を特定する必要があります。そのようなときでも弁護士の職権によって調査が可能で、相手方の財産をスピーディーに特定できるでしょう。
相手に債務整理をすすめる
離婚相手が借金まみれで養育費を支払えないようなときには、今後のためにも債務整理をすすめましょう。収入や財産がない状況なら、強制執行してもお金が取れません。そこで自己破産や個人再生などの債務整理により借金を減免したうえで、養育費を支払ってもらうという方法があります。
上で説明した通り、養育費の支払い義務は債務整理しても免除されません。一時期支払われなくなったとしても、債務整理後に家計が安定すれば、今まで通りの養育費を受け取ることができるようになるでしょう。
債務整理の種類ごとのデメリットについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「債務整理したらどうなる?デメリットや影響を把握して、後悔しない借金解決方法を!」
まとめ
離婚相手が借金まみれで養育費が支払えない状況であっても、法的に養育費を支払わなくていいことになりません。また借金を理由に、養育費を減額できるという訳でもありません。やむを得ない事情による収入の減少や再婚、再婚相手と子どもとの養子縁組など「事情の変更」が生じない限りは、今まで通りの養育費を請求できます。
離婚後に確実に養育費を受け取れるようにするには、取り決めた内容を書面にし、認諾文言付き公正証書にするという方法があります。また調停離婚をするのも一案です。離婚後に養育費が受け取れないときには、養育費請求調停や審判、強制執行という方法がとれます。
いずれの場合も法律の知識や法的措置の経験が欠かせません。よりスピーディーに、よりスムーズに養育費を受け取れるようにするには、弁護士に相談するのがベストです。できれば離婚前から弁護士に依頼して、養育費が受け取れないという事態が生じないような準備をしていきましょう。