どこから借金したか分からない…調べる方法は?注意点と詳細が分かった後のケース別対処法を解説

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  • 「債務整理したいのに自分でどこから借金したか分からなくなってしまった…」
  • 「亡くなった家族がどこから借金したか調べる方法は?」

いくつも返済先があってどこから借金したか分からないという人はいませんか?また家族の借金の有無が知りたいという方や、相続のために亡くなった親族の借金の有無を知る必要があるという方もいるかもしれません。そこでこちらの記事では、借入先を特定する7つの方法について紹介していきます。

さらに調査時のポイントや注意点についても解説。どこからいくら借金したのか明らかになった後は、ケース別の対処法や手続きが必要になります。場合によっては手続きに期限が設けられていることもあるため、迅速かつ正確に手続きを進めていきましょう。

 

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借入先の特定が必要になるケース

借入先の特定が必要になるのは、主に次のようなケースです。

過払い金返還請求を考えている

過払い金返還請求とは、過去に払い過ぎていた利息の返還を請求する手続きのこと。借入先から「払い過ぎていた分があるのでお返しします」と連絡が来ることはないので、自分で借入先に請求する必要があります。そのときにどの金融機関にいくら払い過ぎていた利息があるか分からないと請求できません。

過払い金返還請求をお考えの方は、まず借入先の特定と過払い金の有無を調査する必要があります。

過払い金が受け取れる仕組みや注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。

「過払い金が受け取れる仕組みと請求方法|受け取れる可能性が高い・低い借金の種類と注意点とは?」

債務整理を検討している

借金の返済が難しく債務整理を検討している場合も、どこからいくら借金しているか調べる必要があります。債務整理とは、金融機関(債権者)と直接交渉したり、裁判所を介して借金を減額したり免除できる手続き。任意整理・個人再生・自己破産が主な債務整理の種類です。

このうち任意整理は、交渉する相手を選べます。金利の高い借金や毎月の返済負担が重い借金に有効な方法ですが、効果的に借金を減額するには借入先の特定は必須です。また個人再生と自己破産は、原則的にすべての債権者が整理の対象です。債権者の抜け漏れがあると「債権者隠し」とみなされて減免が認められない可能性があります。

借金額ごとに適している債務整理の種類については、こちらの記事を参考にしましょう。

「債務整理は借金いくらから必要?【種類別】借金額の目安と金額以外の条件について」

時効援用の手続きのため

長期間返済していない借金がある方は、借金を帳消しにしようと考えているかもしれません。そのような場合でも、債権者の特定は必須です。借金(債権)には消滅時効があり、一定の期間を経過していれば消滅時効が到来したとして、返済義務がなくなります。

そのときに必要になる手続きが「時効援用」です。時効援用とは債権者に対して内容証明郵便などで「時効が到来したので返済義務はない」と意思表示をすること。時効援用をするためには借入先の特定はもちろん、契約番号や当初借入額などの情報が必要になります。

家族に借金があるか知りたい

配偶者や親、子どもなどの家族が自分に黙って借金しているかもと思ったときには、家族の財産調査をしたいと考えます。夫や妻の金遣いが急に荒くなったり、親が高齢になりいざというときのために財産や負債の状況を把握する必要があるときには、隠れて借金をしていないか確認したほうがいいかもしれません。

親の借金を子どもが肩代わりすべきか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「親の借金、子供が返済すべき?法的な解釈とケース別の返済義務、注意点について解説」

相続財産調査のため

親族が亡くなって、相続財産調査のために借入先を把握したいという人もいます。相続では預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も引き継ぐのが原則です。「借金があると言っていた」「そもそも借金があるかどうかさえ分からない」という場合には、どうにかして借金の有無を調べる必要があります。

相続にはいくつか種類(単純承認・限定承認・相続放棄)があり、亡くなった方(被相続人)に借金があっても相続人への負担を最小限にする方法があります。しかし財産調査を行わずに被相続人の財産を使ってしまうと、そのような手段を取れなくなる恐れが。とくに相続放棄や限定承認では、「相続開始を知った時点から3カ月以内」という期限が設けられているので、早急に調査をする必要があります。

ライフプランを設計するため

将来のライフプランを設計するために、改めて借入の詳細を把握しておきたいという場合もあります。また今後住宅や車をローンで購入しようとお考えの場合には、ローン審査に備えて自分の信用情報を確認しておくのがおすすめです。新規で事業を立ち上げたいという方も、自身の借入状況を把握しておくと安心でしょう。

借金の詳細を調べる7の方法

こちらでは、借金の詳細を調べる方法を7つご紹介します。

手元にある資料を確認する

まずは自分の手元にある資料を確認することから始めましょう。自宅に届いた金融機関からの書面や契約時の資料、支払時に使ったものなどから、借入先や残額などが分かります。次のような資料がないか探してみましょう。

  • 金銭消費貸借契約書
  • 借用書
  • 返済予定表
  • 領収書
  • 督促状・催告書
  • 通帳・振込明細書(返済を銀行振込で行っていた場合)
  • 借入時に作ったカード

借入先のHP・ATM・問い合わせ窓口で確認

返済期日や借金の残高は、借入先の会員専用ページや専用アプリ、問い合わせ窓口などから確認できます。またコンビニなどに設置してある金融機関のATMからも、借金の詳細がわかります。確認時には本人確認が行われるため、契約書や申し込み時に発行されたカードなどをあらかじめ準備しておきましょう。

ただしこの方法は、借入先が分かっている場合の調べ方です。どこから借金したかすら覚えていないという方は、他の方法で調べる必要があります。

取引履歴を取得する

借入先が分かっているときには、金融機関に連絡して「取引履歴」「返済予定表」を取り寄せるという方法があります。取引履歴には、過去の貸付履歴・支払った元本と利息の内訳などが記載されています。また返済予定表には、将来支払う予定の元本と利息の内訳が載っています。これらを入手することで、借金についての正確な情報を得られます。

借金の管理ができない方の相談先と借金問題解決方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「借金の管理できない人必見!適切な相談先と借金管理の手順とは?返済不能になった借金解決方法も解説」

信用情報機関に開示請求する

どこから借金したか分からない、いくら借金が残っているか想像もつかないという場合には、信用情報機関に対象者の信用情報の開示請求をすることをおすすめします。信用情報とは、個人のクレジットやローンに関する情報や事故情報が過去から現在まで記録されている情報です。主な登録内容は以下の通りです。

契約に関する情報
  • 契約の種類(本人契約・保証人としての契約)
  • 契約の内容(カード・リース・住宅ローンなど)
  • 契約年月日
  • 契約終了予定日
  • 契約額
  • 限度額
  • 商品名・サービス名
支払に関する情報
  • 報告日
  • 請求額
  • 入金額
  • 残債額
  • 返済状況・経過状況(3カ月以上の支払い遅れがあった場合)
  • 終了状況(完了・移管終了・本人以外弁済・法定免責など)
申し込み情報
  • 氏名
  • 生年月日
  • 郵便番号・電話番号
  • 勤務先名・勤務先電話

日本には株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター・KSC)という3つの信用情報機関があるので、これら3か所すべてに開示請求をしてください。以下では、3か所ある信用情報機関への開示請求の方法を紹介していきます。

株式会社シー・アイ・シー(CIC)

キャッシングやローンなどの貸金業を営む貸金業者と、クレジットカード会社が主な加盟業者です。CICでは電話番号または運転免許番号が一致した情報が開示されるので、昔使っていた電話番号も調べたうえで申し込むようにしましょう。

申込方法 必要書類・情報 費用・支払い方法
インターネット(スマートフォン)
  • メールアドレス
  • 受付番号が取得可能な電話番号
  • マイナンバーカード
  • 専用アプリ(マイナPocketアプリ)のダウンロード
  • Adobe Readerのダウンロード
500円(税込)

※初回開示から96時間以内の再開示の場合は手数料は無料

※PayPay、楽天ペイ、クレジットカード、デビットカード、キャリア決済

郵送
  • 信用情報開示申込書
  • A本人確認書類(住民票、印鑑登録証明書、戸籍の附票の原本のいずれか1点)
  • B本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、健康保険の資格確認証、各種年金手帳などいずれか1点)
  • 1,500円分の定額小為替証書(ゆうちょ銀行)、または開示利用券(コンビニチケット)
1,500円(税込)

※速達による送付などを希望する場合は、追加分の費用が必要

※定額小為替証書、開示利用券の発行には別途手数料がかかる

株式会社日本信用情報機構(JICC)

JICCの加盟業者は、消費者金融、クレジットカード会社、信販会社、保証会社、リース会社などです。JICCへの開示請求の申し込み方法は以下の通りです。

申し込み方法 必要書類・情報 費用・支払い方法
スマートフォンアプリ
  • 専用アプリのダウンロード
  • メールアドレス
  • 本人確認書類(スマホ受取:マイナンバーカード、郵送受取:運転免許証など2点)
データで受け取る場合1,000円(税込)

郵送で受け取る場合1,300円(税込)

※クレジットカード、コンビニ、ATM、ネットバンキング、キャリア決済

※決済手数料除く

※郵送で受取る場合、「速達」も追加可能(+300円)

郵送
  • 信用情報開示申込書
  • 本人確認書類2点
  • 手数料(コンビニの郵送開示利用券)
1,300円

※速達を希望する場合(+300円)

※開示利用券の発行に別途手数料(10%)がかかる

全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター・KSC)

KSCは銀行、信用金庫、信用組合、農協、保証協会などが加盟している信用情報機関です。ネット銀行や銀行系カード会社なども含みます。KSCへの開示請求方法は以下の通りです。

申し込み方法 必要書類・情報 費用・支払い方法
インターネット(パソコン、スマートフォン)
  • 専用アプリのインストール
  • メールアドレス
  • マイナンバーカード
1,000円(税込)

※クレジットカード、デビットカード、PayPay、キャリア決済

郵送
  • 登録情報開示申込書
  • 本人確認書類2点
  • 手数料(本人開示・申告手続利用券)
1,500円(税込)

※本人開示・申告手続利用券の発行に別途手数料がかかる(利用のコンビニによって異なる)

※郵送で受取る場合、「速達」も追加可能(+300円)

郵送での開示の場合、報告書は本人の現住所に送られます。なおゆうちょ銀行発行の定額小為替証書での支払いは利用できないので注意してください。

借入先に直接開示請求をする

信用情報機関に開示請求しても、借金の記録がない場合があります。例えば次のような借金です。

  • 税金の未納分
  • 公共料金の未納分
  • 国や自治体からの借入金(生活福祉資金・母子父子寡婦福祉資金貸付金など)
  • 個人からの借金

このような借金がある場合、借入先に直接開示請求をするという方法があります。詳しくは借入先の機関に直接お尋ねください。

調査会社に依頼する

家族や恋人に内緒で借金の調査を行いたいときには、調査会社に依頼するという方法があります。興信所や探偵事務所などでは独自のルートを用いて調査をするので、ある程度の情報が分かるかもしれません。しかし調査会社が個人の借金額を調べるのは違法となっているため、具体的な借金の詳細までは確認できないでしょう。

弁護士に調査を依頼

弁護士に依頼して借金を調べてもらうこともできます。これを「債務調査」といいます。債務調査は債務整理や過払い金返還請求、相続を前提とした調査で、自分や被相続人の借金がどこにどのくらいあるのかを調査して集計する手続き。

債務調査だけを依頼することも可能ですが、その場合には別途調査費用がかかります。弁護士に債務調査を依頼するときには、後の手続きまで含めて依頼するといいでしょう。

どこから借金したか調べるときのポイント・注意点

借金調査をするときには、次のような点に注意して調べるようにしてください。

手当たり次第に電話しない

どこから借金したか分からないといって、手あたり次第に金融機関に電話をかけて聞くのはおすすめできません。消滅時効が到来していた場合には、電話をかけて聞いたことが「債務の承認」とみなされて時効のカウントがリセットされてしまうため。

時効のカウントが一時停止(時効の完成猶予)したり、カウントがリセット(時効の更新)されるケースは以下の通りです。

時効の完成猶予
  • 催告(裁判外での請求)
  • 協議を行う旨の書面による合意
  • 裁判上の請求等(訴訟・支払督促・起訴前の和解・調停・破産手続参加)
  • 仮差押え・仮処分
  • 強制執行
時効の更新
  • 債務の承認(借金の存在や返済の意思があることを認めること)
  • 裁判上の請求等(訴訟・支払督促・起訴前の和解・調停・破産手続参加)
  • 強制執行

時効を援用するには、確実な時効を確認する必要があります。時効の援用をお考えの方は、事前に弁護士などの専門家に相談してください。

本人に内緒での調査は難しい

たとえ家族といえども、本人に内緒で借金の調査をするのは難しいです。調査会社に依頼しても借金の有無まではわかるかもしれませんが、借金額や借入先の詳細までは調査してもらえません。これらを知りたい場合には、やはり本人の了承を得たうえで調査するのがベストです。

子どもに借金があることが分かった方の対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「子供の借金が発覚…どうすれば?親の支払い義務の有無と【ケース別】借金問題解決方法とは」

開示請求ができるのは原則本人のみ

信用情報機関の開示請求も、原則として本人でないと取得できません。代理人請求という方法もありますが、開示された情報の送り先は本人の自宅になります。たとえ弁護士などの専門家に依頼した場合でも、本人からの委任状がないと対応してもらえません。

配偶者や同居家族でも、本人に内緒で信用情報機関に開示請求をするのは難しいと覚えておきましょう。

婚約者に借金があることが発覚した場合の対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「結婚予定の彼氏に借金が発覚!別れるかどうかの判断基準や対処法は?」

相続目的なら開示可能

ただし借金をした本人が死亡して、その相続手続きのために借金を調べたいというのであれば、法定相続人に限り故人の開示請求が可能です。その場合は、自分が法定相続人であることを証明する戸籍謄本などの書類を添付して信用情報の開示を請求します。

例えばCICでは、次のような書類等があれば郵送での開示請求ができるとしています。

  • 個人情報開示申込書(法定相続人)
  • 法定相続人の本人確認書類2点(住民票・印鑑登録証明書・戸籍の附票の原本いずれか1点+その他の本人確認書類)
  • 申込者が法定相続人であることが確認できる書類(原本)
  • 開示対象者が亡くなったことが確認できる書類
  • 開示手数料(1,500円)

信用情報機関によって必要書類等が異なります。詳しくは個別にご確認ください。

開示請求したことは登録されない

信用情報を開示請求するとブラックリスト(事故情報)に登録されるのでは?と心配される方がいるかもしれません。しかし開示請求しても、信用情報に事故情報が登録されることはありません。同様に過払い金返還請求を行った事実も、事故情報として登録されません。

事故情報として登録されるのは、主に次のようなケースです。

長期延滞 返済期日から2~3カ月以上の延滞
債務整理 任意整理・個人再生・自己破産をした場合
代位弁済 保証人・保証会社が代わりに返済した事実
強制解約 クレジットカードが強制的に解約された場合、その理由も登録される
多重申し込み 短いスパンで複数の金融機関に申し込むとその情報が登録される

つまり過払い金返還請求をしただけでは登録されませんが、過払い金を返還してもらった後も借金が残る場合は、任意整理などと同じように事故情報として登録されるので注意が必要です。

信用情報機関に情報がない場合もある

 金融機関からの借金であっても、次のようなケースでは信用情報機関に情報が登録されていない可能性があります。

  • 金融機関が倒産して別の会社や債権回収会社に債権が売却(債権譲渡)された
  • 貸金業を廃業して加盟会員でなくなった
  • 開示申込書の情報と登録の情報が一致せず開示から漏れている
  • 信用情報機関に加盟していない個人や闇金から借金した
  • 一定の保有期間が経過して信用情報が削除された

このような場合は借入先に直接開示請求を行う、過去の資料を探す、古い電話番号を調べて信用情報を再取得するという方法があります。それでも見つけられない場合には、債権者から直接督促状などが送られてくるのを待つしかないでしょう。

信用情報が削除されても借金は残る

前出の通り、貸金業者からの借金であっても信用情報機関に登録されていない可能性があります。しかし信用情報から削除された場合でも、借金そのものは残ることを忘れずに。このようなケースでは債権者からの連絡を待つ以外に方法はありませんが、放置していると裁判を起こされて差し押さえを受ける可能性があります。

連絡や書面がきたら、その内容をよく確認したうえで、今後の対応等を弁護士に相談するようにしましょう。

どこから借金したか分かった後はどうする?

どこから借金したか明らかになった後は、具体的な手続きに入ります。

時効援用の手続きを進める

借入時期がかなり昔の場合は、時効援用の手続きにより返済義務を消滅させられるかもしれません。具体的な消滅時効の期間は以下の通りです。

借入時期 借金の種類 消滅時効の期間
「消費賃借契約」の締結時期が2020年3月31日以前
  • 消費者金融
  • サラ金
  • クレジットカード会社
  • 銀行
  • 携帯電話の利用料金
  • 債権回収会社(債権譲渡した借金)
  • 保証会社(代位弁済した借金)
  • 信用金庫・信用組合・農協・商工中金・労働組合など(個人事業主の借金)
5年
  • 個人間の借金
  • 信用金庫・信用組合・農協・商工中金・労働組合(個人の借金)
  • 住宅金融支援機構
  • 信用保証協会
  • 奨学金
10年
「消費賃借契約」の締結時期が2020年4月1日~ すべての借金 5年

この間、時効の完成猶予や時効の更新がないことが条件です。時効援用を行う場合は「時効援用通知書」を作成して、債権者に内容証明郵便で郵送する方法が取られます。自分ですべて手続きすることも可能ですが、時効が成立しているかを含めて専門家に依頼した方が確実でしょう。

時効援用について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「10年放置した借金は時効で返済義務がなくなる?時効の実態と援用について解説」

過払い金返還請求の手続きをする

過払い金がありそうなことが分かったら、債権者に対して過払い金返還請求をしていきます。こちらも自分で行うことはできますが、引き直し計算等の専門知識が必要で、計算ミスがあると相手に不利な条件を提示されるなどのリスクがあるため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのがおすすめです。

過払い金返還請求がローン審査に影響するか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「過払い金請求は住宅ローン審査に影響する?確認方法や注意点を解説」

相続すべきか検討する

亡くなった親族に借金があることが明らかになったら、相続すべきか検討する必要があります。相続方法にはつぎの3つの方法があります。

単純承認
  • プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する方法
  • 一般的には借金よりもプラスの財産の方が多い場合に選択する
限定承認
  • プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も相続する方法
  • 借金が多い場合でも、相続したプラスの財産と同じ額だけ相続して返済すればいい
  • 相続人全員の同意が必要で、それぞれが家庭裁判所に申し立てる必要がある
  • 相続開始を知った時点から3カ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判に申し立てる
相続放棄
  • プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続しない方法
  • 借金の方が明らかに多い場合に選択される
  • 後になって撤回することはできず、一部でも相続財産を消費・処分した場合は単純承認とみなされて相続放棄できない
  • 相続開始を知った時点から3カ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判に申し立てる
  • 相続人全員の同意は必要ない

それぞれの方法でメリット・デメリットは異なります。個人の財産の詳細や他の相続人の意向を確認しながら、期限内に手続きを済ませるようにしましょう。

借金の全体像を把握する

自分の借金の詳細が分かったら、まずは借金の全体像を把握するために一覧表を作成しましょう。自分で調べた情報や信用情報機関から取り寄せた情報をもとにして、次のような内容を借入先別にまとめます。

  • 借入先
  • 借入先の住所・連絡先
  • 借入総額
  • 借入残高
  • 契約日・借入日
  • 借金の種類
  • 返済完了予定日
  • 最終返済日
  • 適用金利
  • 連帯保証人の有無

こちらは返済可能かシミュレーションする上での資料になります。エクセルなどの表計算ソフトを利用すると、簡単に作成できます。

シミュレーションして返済可能か検討する

借金の詳細が明らかになったら、シミュレーションして返済可能か検討する必要があります。まずは自分の毎月の収入と支出を計算し、借金返済にいくら充てられるかシミュレーションしてください。支出を見直す方法と返済方法の見直しのポイントは以下の通りです。

支出の見直し方法 返済の見直し方法
  • 固定費(家賃・光熱費・保険料・携帯料金・インターネット料金・車両関係費の見直し)
  • 食費の節約(外食を控える・弁当を持参する)
  • コンビニ利用を控える
  • 毎月の返済額を増やす
  • 繰り上げ返済を活用する
  • 利息の高い借金から返済する
  • おまとめローンを利用する
  • リボ払いは止める

借金返済の先が見えないときの対処法は、こちらの記事を

「借金返済の先見えない…5つの原因と見通しを立てる手順・解決方法を詳しく解説」

債務整理を検討する

支出を見直し返済方法を工夫してもなお返済できない借金が残るときには、債務整理を検討してください。債務整理には次の3つの方法があり、それぞれに手続き方法や特徴が異なります。

任意整理

任意整理は、債権者との直接交渉によって以降の利息や遅延損害金を減額できる手続き。残った借金は3年(最長で5年)かけて完済を目指します。手続きの過程で過払い金が発生していることが分かれば、過払い金を今後の返済分に充てられます。任意整理のメリット・デメリットはこちらです。

メリット デメリット
  • 整理対象の債権者を選べる
  • 裁判所を介さないので周囲に知られる可能性が低い
  • 財産を処分せずに手続きできる
  • 過払い金がある場合は返済に充当できる
  • 債権者からの取り立てをストップできる
  • 手続き後も返済すべき借金が残る
  • 大幅減額は難しい
  • ブラックリストに登録される
  • 債権者によっては交渉に応じてもらえない

返済実績が乏しかったり、収入が安定していないと減額交渉に応じてもらえない可能性があります。また減額できるのは将来利息と遅延損害金程度なので、毎月の収入で返済できない多額の借金があるときには、他の方法を選択した方がいいでしょう。

任意整理で信用情報に載る内容について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「任意整理で信用情報に載る内容・期間を解説!ポイントを知って効率的に信用情報を回復」

個人再生

個人再生は裁判所を介して、借金を最大1/10に減額できる手続きです。こちらも3年~5年かけて返済していきます。住宅ローン特則があるので、ローンを返済し続けることを条件にマイホームを手放さずに済みます。個人再生のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
  • 借金を大幅に減額できる
  • 住宅ローン特則を利用できる
  • 借金の原因を問わない
  • 視覚や職業に制限がかからない
  • 債権者からの取り立てをストップできる
  • 返済しなければならない借金が残る
  • 収入等に条件がある
  • 手続きに費用や時間がかかる
  • 連帯保証人に返済義務が移る
  • 官報に公告される
  • ブラックリストに登録される

個人再生は手続きが複雑で費用も他の債務整理よりもかかります。事前の調査で債権者漏れとみなされると、申立てが却下されたり、再生計画が認められない可能性があります。どこから借金したか分からない場合には、しっかりとした調査が必要です。

個人再生の成功率について知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「個人再生の成功率はどのくらい?失敗する理由と成功の秘訣、失敗したときの対処法を解説」

自己破産

自己破産は返済不能状態を裁判所に認めてもらうことで、すべての借金の返済義務を免除できる手続きとなります。早期の生活再建が可能で、法律でも認められた手続きです。こちらもすべての債権者を対象とする必要があるため、債権者の抜けもれがないように注意してください。自己破産のメリット・デメリットはこちらです。

メリット デメリット
  • すべての借金の返済義務がなくなる
  • 債権者からの取り立てをストップできる
  • 最低限の生活に必要な財産は残しておける
  • 住宅や車など一定以上の価値がある財産は処分される
  • 税金や健康保険料などの非免責債権は免責できない
  • 財産隠しなど免責不許可事由に該当すると免責が認められない
  • 手続き期間中は一定の職業・資格に制限がかかる
  • 連帯保証人に返済義務が移る
  • 官報に公告される
  • ブラックリストに登録される

自己破産の手続きを自分でできるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産は自分でできる?手順と注意点、弁護士に依頼しないときのデメリットとは」

まとめ

どこから借金したか分からないという場合でも、債務整理や過払い金返還請求、時効援用や相続手続きをする場合には、借金調査が必要になります。手元にある資料や金融機関のマイページ、信用情報機関へ開示請求するなどして、借金の調査を行ってください。

ただし本人に内緒で家族が調査するには限界があります。なるべく本人の同意の上で調べるようにしてください。一方で被相続人による開示請求は認められています。金融機関以外からの借金やすでに廃業した業者からの借金などは調査が難しいのが現状です。

どこから借金したか明らかになったら、必要な手続きに着手しましょう。多くは法的な専門知識や借金に関する知識が欠かせません。借金問題に詳しい弁護士に相談したうえで、正確かつ迅速な手続きを進めてもらうのがベスト。まずは無料相談を利用して、手続き方法やかかる費用について確認してください。

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