- 「個人再生で家計簿の提出が必要ってホント?」
- 「手続きを成功させるための家計簿の書き方を知りたい」
個人再生では、裁判所に家計簿を作成して提出しなければならないということをご存じの方も多いのではないでしょうか?しかしなぜ家計簿の提出が必要なのかや詳しい書き方、提出期限や家計簿をつける期間まで知っている方は少ないはずです。そこでこちらの記事では個人再生で家計簿の提出が必要な理由や手順、提出期限などについて詳しく解説してきます。
さらに家計簿を作成する上での注意点や、個人再生を成功させるためのポイントも紹介。「たかが家計簿」と思われるかもしれませんが、「されど家計簿」です。どのような点が重要視されるかをしっかり確認し、正しい家計簿を作成して行きましょう。
個人再生で家計簿の提出は必要?
個人再生とは、裁判所に申し立てて借金を大幅に減額する債務整理のこと。そのような法律に基づいた手続きの中で、本当に家計簿の提出は必要なのでしょうか。
「家計収支表」の提出が必須
個人再生では、一カ月ごとの収支を記録した「家計収支表」の提出が必須です。家計収支表は家計簿と同じようなもので、毎月の収入と支出を項目ごとに詳細に記した表のこと。これは個人再生を申立てた債務者の収支状況を明らかにするための資料の一つとして必要です。
家計簿が必要な理由
裁判所が家計収支表の提出を求めるのは、主に次のような理由があるからです。
支出の妥当性をチェックするため
個人再生で家計簿の提出が必要な理由の一つ目は、支出の妥当性を裁判所がチェックするため。後で詳しく説明しますが、交際費や娯楽費、嗜好品費といった支出が多すぎると、裁判所からそれらの支出を抑えて借金返済に充てるように見直しを求められます。
個人再生の手続きのため以前に、家計簿をつけることは家計を見直すきっかけになります。とくに浪費やギャンブル、散財などで借金を増やした人にとっては、収支の見直しは借金体質改善のために欠かせません。手続きを依頼する弁護士に相談しながら、しっかりと家計簿をつけるようにしましょう。
継続的な返済が可能か判断するため
裁判所では家計簿を提出させることで、継続的な返済が可能か判断します。個人再生は借金を1/5~1/10と大幅に減額できる手続きですが、手続き後も返済すべき借金は残ります。残った借金は原則3年、最長でも5年かけて返済していきますが、家計簿を見て継続的な返済が可能かチェックするという訳です。
借金総額が100万円~500万円であれば、最低限支払うべき金額(最低弁済額)は100万円です。それを3年間かけて支払うと考えれば、毎月の返済額は約27,800円。裁判所は提出された家計簿を見て、再生計画案通りの返済が可能かを慎重に判断します。
個人再生の最低弁済額について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生の最低弁済額が知りたい!手続き別の計算方法や減額できないケース、滞納後の対処方法」
偏頗弁済・財産隠しをチェックするため
また家計簿を提出する理由の一つに、偏頗弁済や財産隠しがないかチェックするという目的があります。偏頗弁済とは一部の債権者にのみ偏って返済する行為のことで、全ての債権者を平等に扱わなければならない個人再生において禁止されている行為です。
同様に、財産隠しも個人再生では禁止されています。個人再生では、申立人名義の財産を明らかにした「財産目録」を裁判所に提出しなければなりません。手続き開始後は、裁判所による詳細な財産調査が行われます。個人再生では、借金総額に応じて最低弁済額が決められる他に、財産額に応じて返済額を決めるという方法もあります(清算価値基準)。
清算価値基準で返済額が決められるのは、「再生計画による弁済率は、破産した場合の配当率以上でなければならない」というルールがあるため。なるべく返済額を抑えたいからと、高額な財産を手続き直前に売却したり、他の家族名義に変更すると、財産隠しとみなされる恐れがあります。個人再生の手続き前に偏頗弁済や財産隠しを行うと、次のようなペナルティを受ける可能性があるでしょう。
- 個人再生の申し立てが棄却される
- 手続き後の返済額が増える
- 再生計画案が認可されなくなる
- 認可された再生計画案が取り消される
家計簿の提出先・期限
家計簿は個人再生の申し立て時に、他の書類と一緒にお住いの住所地を管轄する地方裁判所に提出します。個人再生を弁護士に依頼している場合は、弁護士経由で裁判所に提出することになります。
個人再生で車が引きあげられるか確認したい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生すると車は引き上げられる?【ケース別】車の扱いや残す方法、注意点とは」
家計簿をつける期間
家計簿をつける期間は申し立てる裁判所によって運用が異なるものの、直近2カ月~3か月と考えてください。一般的に個人再生の手続きを弁護士に依頼した場合、その準備に2~3カ月かかるので、弁護士に依頼したタイミングで家計簿をつけ始めても間に合います。
家計簿は1カ月ごとの収支を記録するのが基本的で、毎月1日~末日までを区切りとして金額を集計しますが、給与が入った日から作成し始めることも可能です(給料日基準)。その場合は、その後も同じ期間で作成していきます。
例えば毎月25日が給料日の場合、当月25日から翌月24日までを一区切りとします。その後も25日~翌24日の一カ月間で家計簿を作成しましょう。
個人再生の手続きにかかる期間については、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生にかかる期間はどれくらい?申立から再生手続開始決定、返済までの流れと注意点」
申立て後も提出を求められる場合がある
家計簿を作成する期間は、個人再生申立前の2~3カ月が通常ですが、まれに申立後も家計簿の提出を求められる場合があります。東京地方裁判所など一部の裁判所では、再生計画案通りの返済が可能かどうかチェックするため、返済予定額を毎月積み立てるテスト(履行テスト)が行われます。
このテスト期間中に、再生計画案の履行可能性を確認するために、家計簿の追加提出を求められることがあります。
裁判所で書式が決められている
提出する家計収支表は、各裁判所によって書式が決められています。そのため、自分が申立てする予定の裁判所に問い合わせて、どこでひな形を入手すればいいか確認してください。「こちらのホームページに載っています」などと教えられた場合には、書式をダウンロードするなりして入手しましょう。
例えばこちらは、東京地方裁判所で用いられている個人再生手続きの書式(個人再生手続参考書式)です。この中の「家計全体の状況」という書類が家計収支表となります。エクセルで開けるので、このままパソコンで金額を入力することも可能です。
家計簿で重視される4のポイント
個人再生時に家計簿を提出するのは、上で挙げたような3つの理由からですが、裁判所は次のようなポイントを重点的に見ています。
収入が安定しているか
第一は収入が安定しているかどうかです。これは継続的な返済が可能かを判断する上で重要なポイント。裁判所に提出する家計収支表には、収入を記載する欄があります。ここには毎月の給与や自営の収入、年金や児童手当などの公的給付を記載します。これらの収入が毎月安定していないと、再生計画の履行に疑問を持たれる可能性が。
とはいえ、記載し始めた月だけ病欠で休みがちになってしまった、転職をして給与支給のタイミングがずれたというケースもあるでしょう。このように特別な理由があるときには、書面できちんと説明できれば、とくに問題にしない場合も少なくありません。
支出の内容・金額が妥当か
次に支出の内容や金額が妥当かも、重要なポイントです。家計収支表には様々な項目に分かれた支出金額を記入する必要があります。その中で収入に見合わない支出がある場合や、次のような項目の支出が多すぎる場合は、裁判所から家計の見直しを求められる可能性があります。
- 食費
- 被服費
- 交際費
- 娯楽費
- 嗜好品費
余剰金を毎月作れているか
余剰金を毎月作れているかも、裁判所は重要視します。前出の通り家計簿を提出するのは、毎月の返済が確実に履行できるか見定めるため。そのためその人が個人再生後に返済すべき毎月の金額をきちんと余剰金として残せているかがポイントになります。
ただしこの場合も、余剰金が作れていない月があっても合理的な理由を説明できれば、問題視されない可能性が高いでしょう。
生計同一世帯全員の記入があるか
裁判所に提出する家計簿は、生計を同じにする世帯全員の収入と支出を記載するのが原則です。中には家族の協力がどうしても得られずに収入が分からない、一緒の家に住んでいるが家計は全く別というケースもあるでしょう。
このような場合は裁判所や再生委員の判断によって、本人のみの家計簿で構わないとみなされる可能性があります。ただし確実に大丈夫とまでは言い切れないので、履行可能性を判断する場合は家族の収支も考慮されると考えた方がいいでしょう。
家計簿の作成手順
では実際に、裁判所に提出する家計簿の作成方法について順を追って説明していきます。
①出費時のレシートを保存
家計簿を作成するとなった場合には、まずは出費時のレシート・領収書類は残さず保存するようにしましょう。レシートが出ないものに関しては、いつどこにいくら何代として支払ったかメモをしておきましょう。生計を一にする同居家族がいる場合には、その家族にもレシートを保管するように忘れずに伝えてください。
②収入を整理する
次に、毎月の収入を整理していきます。収入に関する項目や詳細な内容は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
前月からの繰り越し | 手元にある現金と預貯金の合計を記載する
二カ月目以降は前月で余った余剰金の金額を記載 |
給与・賞与 | 申立人自身と配偶者など生計を同じにしている家族のものをそれぞれ記入する
こちらは総支給額から税金・保険料など控除された後の金額を記入 |
副業収入 | 申立人や同居家族に副業収入がある場合は、それぞれに記入する |
自営収入 | 自営業者の場合は自営収入を記載する |
年金 | 年金受給者の場合は支給された月に支給された年金の金額を記載 |
生活保護 | 生活保護受給者の場合は生活保護の支給額を記載 |
失業保険 | 失業保険を給付中の場合は、失業保険の金額を記載 |
養育費 | 元配偶者から子どもの養育費を受け取っている方は、養育費の金額を記入する |
児童手当等 | 児童手当・児童扶養手当など、国や市区町村から公的手当を受けている場合にはその金額を記載する |
援助 | 親や親戚などから資金援助を受けている場合に記載 |
借入金 | 金融機関や個人から借りた借金の金額を記載 |
その他 | 保険の解約返戻金など、上記以外の収入・入金があった場合は都度記載する |
収入を記載する場合には、その根拠となる資料が必要です。
- 給与明細
- 納税証明書
- 源泉徴収票
- 確定申告書
- 年金の通知書
- 子ども手当の給付決定書
- 失業保険受給資格証
自営業者の場合には、売り上げや報酬の入金がある口座の入出金明細が必要です。年金や児童手当は2カ月に一度、4カ月に一度のペースで支給されますが、この場合には1カ月分に均さずに支給されたタイミングで支給された全額を記載するようにしましょう。
また親や親族からの援助があった場合には、援助してくれた人の名前と金額の双方を記載してください。
個人再生で住宅ローンがどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生で住宅ローンはどうなる?特則適用の条件・巻き戻し・手続き後のローンについて」
③レシートを項目ごとに分類
次に集めたレシートを項目ごとに分類してください。項目を記した封筒を準備し、その封筒にレシートを入れていくという方法だと、分類がそれほど面倒になりません。またレシートの出ないものや口座振替のものは、メモに詳細を記載して封筒に入れるといいでしょう。支出の項目は、以下の内容となります。
- 家賃
- 駐車場代
- 食費
- 光熱費
- 通信費
- 新聞図書費
- ガソリン代
- 医療費
- 教育費
- 交通費
- 被服費
- 日用品費
- 嗜好品費
- 交際費
- 娯楽費
- 保険料
- 税金
- 返済金
項目ごとの詳細や家計簿の記載内容は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
家賃 | 管理費・修繕積立金・地代・住宅ローンなども含む
実家に住んでいて親に一定額を支払っている場合や、同棲相手と折半している場合には自分が実際に支払っている金額を記入し、別紙でその旨を説明する 住宅ローン返済済みの持ち家の場合は0円と記載 |
駐車場代 | 駐車場を契約しているときに記載する |
食費 | 食材にかかった費用と外食費用を合算して記載
(外食費用を分けて記載してもOK) |
光熱費 | 電気・ガス・水道に分けて、端数まで正確に記入する |
通信費 | 電話(固定・携帯)代・インターネット代などを合算して記載する |
新聞図書費 | 新聞のほか、雑誌や書籍の購入費用を記載 |
ガソリン代 | 車やバイクなどで使用するガソリン代を世帯全員分記載する
備考欄には車両の所有者の氏名を記入する |
医療費 | 医療費が発生したときに記載する
診察料だけでなく処方箋料や市販薬を薬局で購入したときも記入する 備考欄には受診者や費用の詳細を記載 |
教育費 | 子どもの学費や教材費、習い事の費用などを記載 |
交通費 | バスや電車など、交通費として支払った費用を記載 |
被服費 | 衣料品を購入したときに記入する |
日用品費 | 洗剤やトイレットペーパーなど、普段使う消耗品や日用品を購入したときに記載 |
嗜好品費 | 煙草や酒類を購入したときは、食費や日用品に含めず嗜好品費という項目を設けて別に記載する |
交際費 | 冠婚葬祭でかかった費用や友人との食事、プレゼントの購入費用などを記載 |
娯楽費 | 飲み代や趣味にかかった費用を記載する
ギャンブルなどで使用した費用が多くあり、借金の原因がギャンブルだったりすると、再生計画案の認可のためにギャンブルを止める必要がある |
保険料 | 生命保険や自動車保険料医療保険、国民健康保険などの保険料として支払った金額を記載 |
税金 | 滞納している税金や国民年金(健康)保険料を支払った金額を記入 |
返済金 | 履行テストの積立金の金額を記載する |
同じ外食費用でも、家族で外食した分は食費に、友人や知人との食事は交際費に記載します。また光熱費の金額は裁判所に提出する通帳や使用明細書から正確な金額が分かるので、1円単位で正確な金額を記載しましょう。自治体によっては水道代が2カ月に一度というところもあります。その場合には実際に支払った月に2か月分を記載し、支払がなかった月は0円にしてください。
日用品費は1円単位で正確に記載するのは難しいため、多少の誤差があっても指摘されるケースは少ないでしょう。一方で、交際費・娯楽費・嗜好品費などは必要最低限に抑えるのがポイント。収入に見合わない支出があると、「もっと返済に回せるはずでは」と指摘される可能性があるからです。
④一週間単位で合計金額を出す
一週間分のレシートが集まったら、それらをホッチキスなどで止めて項目の合計金額を一番上のレシートに記載します。毎日記載するのが理想的ですが、時間がない場合には一週間分をまとめて合計しても構いません。
⑤1カ月の合計を出す
一カ月分のレシートが集まったら、各週の合計額を足して各項目の一カ月の金額を計算します。
⑥算出した金額を家計簿に記入
⑤で算出した金額を家計簿に転記していきます。これまで家計簿を作成していた方は、そのままの方法で家計簿を作成しても構いません。個人再生のために家計簿をつけ始めたという方は、裁判所ごとの書式に従って記入していきます。
個人再生全体の流れや必要書類については、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生の流れと必要書類とは?手続きにかかる期間と書類の入手方法も解説!」
家計簿をつけるときの注意点と手続きを成功させるポイント
家計簿をつける場合には次に説明する点に注意して、個人再生の手続きを成功させましょう。
世帯収支を記載する
前出の通り、家計簿をつけるときには世帯全員の収支を記載する必要があります。というのも裁判所では、申立人を含む家計全体の状況を見て支払い能力の有無を調査するため。たとえ住民票上の世帯が分離されていても、生計を一にしている場合は世帯全体の収支の記載が必要です。
なお夫婦でも別居しており家計が完全に別になっているときには、申立人本人のみの家計簿でも問題ない場合があります。「自分のケースはどうなの?」と疑問がある方は、弁護士などの専門家に相談してください。
嘘を書かない
家計簿のみならず裁判所に提出する書類には、絶対に嘘やいい加減な内容を書かないようにしましょう。個人再生では虚偽の内容で申請すると、申し立てが認可されない可能性があります。またいい加減な内容を書くのもNGです。
自己破産や個人再生といった裁判所を通す手続きでは、家計簿だけでなく銀行の通帳や世帯全員分の給与明細等の提出が必須です。また再生委員や裁判所との面談でも確認されます。そのため、嘘の申告をすると、ほとんどの場合でバレると考えていいでしょう。
個人再生の成功率について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生の成功率はどのくらい?失敗する理由と成功の秘訣、失敗したときの対処法を解説」
同居の収支の見直しが必要な場合も
申立人本人の収支は問題なくても、同居家族の収支の見直しが必要になるケースがあります。裁判所に提出する家計収支表には、収入・支出ともに同居家族のものと合算して計算します。そのため家族の娯楽費や交際費、被服費や嗜好品費などが家計を圧迫して、返済に支障を生じる恐れがあるときには、家計収支表の作成以前に家族の支出を見直す必要が出てきます。
また同居家族に一定の収入があるにもかかわらず、家計の支出全てを本人のみが負担している用の場合も、同居家族の支出を見直すように指導が入る可能性があります。
援助は贈与かどうかがポイント
親族や親から援助してもらったお金は収入の欄に記載すると説明しましたが、貰った(贈与)お金ではなく借りたお金の場合は、相手が債権者となるため、裁判所に提出する「債権者一覧表」に記載する必要が出てきます。この場合は他の債権者と同様に、再生手続き上の処理をしなければならなくなるので注意しましょう。
支払月基準で記入する
裁判所に提出する家計収支表を作成するときには、支払月基準で記入する必要があります。例えば通信料や光熱費などは前月分に使用した分を翌月に支払う形になっています。その場合「当月の利用料」をその月の支出に記入しないように注意してください。
例えば7月に支払った料金は、6月の利用料金であっても7月の支出として記入します。手元にお金がなくて支払えなかったときや口座振替できなかったときには、その月の支払金額を0円とします。翌月にまとめて支払った場合には、翌月の支出の欄に合計額を記載してください。
また偶数月に2か月分入金される年金や、2か月分の利用料金を一度に請求される水道料金などでも、実際に入金もしくは支払いがあった月に2か月分の金額を記入するのが正しいやり方です。
詳細な金額が必要な項目がある
家計簿を作成する場合、1円単位で詳細な金額を記載しなければならない項目があります。例えば根拠となる書類の提出が必須な収入や給与、借入金や返済額などです。また明細書が出る光熱費や通信費、契約書がある家賃なども正確に記載しましょう。
逆に食費や日用品など、金額が細かい項目などは概算でよい場合があります。しかし基本的にはレシート等を確認し、極力正確な金額を記載するようにしましょう。
繰越金は合算して記入
繰越金については、手持ちの現金と口座にある預貯金額の合算を記入して構いません。逆にこの繰越金がないと、裁判所に返済の履行可能性を疑われる恐れがあります。できれば毎月3~5万円の繰越金が出るよう、収支のバランスを考えましょう。
このとき繰越金の金額に間違いやズレがあると、不正を疑われる可能性があります。詳細な金額を確認し、正確に記入してください。尚2か月目以降からは「前月からの繰越金+収入合計額-支出合計額」が前月からの繰越金額となります。
事前準備が重要
個人再生を成功させるには、家計簿の作成だけでなく事前準備がポイントになります。個人再生では家計簿の他に次のような書類の作成・準備が必要です。
- 再生手続開始申立書
- 収入一覧及び財産一覧
- 債権者一覧表
- 財産目録(一覧・細目)
- 可処分所得額算出シート
- 確定申告書・源泉徴収票・課税証明書・所得証明書・給与明細書など
- 不動産の登記事項証明書・住宅ローン契約書など(住宅ローン特則利用の場合)
これら書類の準備が整わないと、裁判所に申立てすることができません。とくに個人再生は任意整理と比べると複雑な債務整理手続きです。一方で自己破産のデメリットを回避しながらも任意整理以上の減額が期待できる手続きでもあります。
個人再生手続きを成功するためには、債務整理に詳しい弁護士に依頼するのがポイント。上記の書類の作成や入手はもちろん、家計簿の記載方法など細かい点についても確認できます。
まとめ
個人再生の申立て時には、裁判所に家計簿を提出する必要があります。それは継続的な返済可能性や支出の妥当性を確認したり、偏頗弁済や財産隠しがないかチェックするため。申立直前の2~3カ月間の収支を詳細に記載し、世帯全員の収支を確認しながら余剰金が問題なく作れているかが重要視されます。
家計簿を作成する場合、まずはレシートを集めることから始めましょう。一週間分貯まったらその合計金額を記載し、最終的に1か月分の金額を計算します。項目ごとの注意点や記載事項が異なるので、詳しい書き方など不明な点は弁護士に確認してください。
個人再生を成功させるには、同居家族を含めた支出の見直しが必要だったり、詳細な金額が必要な項目があります。また嘘を書かないのはもちろんのこと、いい加減な金額を書かないようにしましょう。そのためには早い段階で弁護士に依頼し、事前準備をしっかり進めるのがポイント。手続きが終わった後も家計簿をつけ続ければ、家計の収支は改善されて借金に苦しむ心配がなくなるはずです。