- 「過払い金が発生する仕組みが知りたい」
- 「過払い金を請求する手順や方法は?」
TVCMやラジオなどで「過払い金が発生している可能性があります」などという文句を耳にすることがあります。では一体どのような借金に過払い金が発生しているかについてや、過払い金が発生する仕組みはご存じですか?こちらの記事では知っているようで知らない、過払い金の仕組みを詳しく解説。
また「もしかして自分の借金に過払い金があるかも?」という方に、過払い金が発生している可能性がある借金についてや、過払い金の請求方法を紹介します。実際に過払い金請求をする場合は、こちらで紹介する注意点を踏まえて、確実に過払い金を手にしましょう。
過払い金とは一体どんなお金?
では「過払い金」とは一体、どのようなお金なのでしょうか。こちらでは過払い金が発生する仕組みについて、詳しく解説していきます。
払い過ぎた利息のこと
過払い金とは、本来支払うべき利息よりも多く支払っていた利息のことをいいます。この利息は本来支払う必要がなかったお金として、返還を請求することが可能だという理屈からです。過払い金が発生するのは、主に貸金業者からの借金です。下で詳しく説明しますが、過払い金が発生する条件として、借金の種類や特定の時期があります。
そして利息というのは、借り入れしたときに元金に対して加算される金利のこと。返済を滞納したときに加算される「遅延損害金」は損害賠償金に該当するため、過払い金返還請求の対象にはなりません。
2つの法律の間に存在したグレーゾーン金利
過払い金が発生する理由は、2つの法律の間に存在していた「グレーゾーン金利」が関係しています。日本には利息に関する法律が「利息制限法」と「出資法」の2種類があります。2010年以前、これら2つの法律の間の上限金利には、次のような開きがありました。
利息に関する法律 | 法律の趣旨 | 2010年以前の上限金利 |
---|---|---|
利息制限法 | 貸金業者が貸付を行う場合の金利の上限を定めた法律 | 100万円以上…15.0%
10万円以上100万円未満…18.0% 10万円未満…20.0% |
出資法 | 貸金業者が貸付を行う場合に金利の上限を設け、上限を超える貸付をした業者には刑事罰(5年以下の懲役・1000万円以下の罰金)を与えるという法律 | 29.2% |
利息制限法では借入金額に応じて15%~20%が上限金利でしたが、出資法では29.2%とそれぞれで上限金利が異なっていました。貸金業者側がどちらの金利を適用すべきかという明確な線引きはされず、この間の金利は「グレーゾーン金利」と呼ばれていました。
みなし弁済によりグレーゾーン金利が認められていた
そして「みなし弁済」という制度があったため、グレーゾーン金利で貸し付けていても貸金業者は処罰されていませんでした。これこそが過払い金が発生したもう一つの理由です。
みなし弁済とは、貸金業規制法(現在の貸金業法)に規定されていた制度で「債務者(お金を借りる側)が任意に(自分の意志で)利息を支払った場合、たとえ利息制限法を超える利息であっても例外的に有効な弁済(返済)として認められる」というもの。貸金業者のほとんどは、最初の貸金契約が成立している時点で、この条件を満たしているとされていました。
また利息制限法は行政処分の対象になっていたものの、刑事罰の対象である出資法に違反しない限りは、実質的に罰則がない状態でした。お金を貸す側からしたら少しでも高い利息を取りたいと思うのは当然のことで、多くの貸金業者は、みなし弁済が認められるグレーゾーン金利の範囲内でお金を貸し付けていました。
2006年のみなし弁済適用に関する裁判
グレーゾーン金利があったことで、借金を返済しきれずに多重債務に陥る債務者が増加しました。自己破産を選択せざるを得ない事例も多く発生して社会問題化に。これを受けて2006年1月の最高裁判所で「みなし弁済の要件が適用される事例はほとんど存在しない(グレーゾーン金利は違法)」との判決が下されました。
この判決により、みなし弁済のもとで支払っていた利息を「過払い金」と呼ぶようになり、貸金業者に過払い金を払い戻すよう請求する「過払い金返還請求」の動きが全国的に広がりました。
その後の貸金業法・出資法改正
みなし弁済を撤廃する法改正は、貸金業者からの強い反発がありなかなか進捗しませんでしたが、2007年に貸金業法が改正され、2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行されることに。また同時に出資法の上限金利も利息制限法と同様の15%~20%に引き下げられ、グレーゾーン金利は撤廃される結果となりました。
これらの法改正によって、2010年6月18日以降には過払い金の発生がなくなったという流れです。
過払い金が発生する取引期間
過払い金が発生している可能性が高い取引期間は、2010年6月の完全施行以前に借り入れを開始した借金です。
また取引している期間もポイントで、25%前後のグレーゾーン金利で7年~10年前後返済していると、過払い金が発生している場合が多いでしょう。逆にグレーゾーン金利で借り入れした直後に金利を引き下げていると、ほとんど過払い金が発生していないケースもあります。
過払い金を返還できる可能性が高い・低い借金
過払い金が発生する仕組みが分かったところで、実際に過払い金が発生している可能性が高い借金と可能性が低い借金の両方について見ていきましょう。
過払い金発生の可能性が高い借金
過払い金が発生している可能性が高い借金の条件はこちらです。
2010年以前に借入した借金
上で説明した通り、2010年6月にグレーゾーン金利が撤廃された以前に借入した借金に、過払い金が発生している可能性が高いでしょう。とはいえ、2007年の貸金業法改正以降から段階的に金利を引き下げている貸金業者もあるため、個別の調査が必要になります。
貸金業者からの借金
過払い金が発生している可能性が高いのは、貸金業者からの借金です。主な借金の種類はこちらです。
- 消費者金融(街金・サラ金含む)の借り入れ・カードローン
- 信販会社の借り入れ・カードローン
- クレジットカードのキャッシング(一括・リボ・分割払い)
ここでいう貸金業者には、消費者金融だけでなくクレジットカード会社も含みます。ちなみに消費者金融で過払い金が発生している可能性が高いのは、業者ごとに次のような借金です。
貸金業者名 | 借り入れの期間 |
---|---|
アコム | 2007年6月17日まで |
アイフル | 2007年7月31日まで |
レイク | 2007年12月2日まで |
プロミス | 2007年12月18日まで |
のちにアイフルに吸収合併された「ライフ」は、2006年11月30日までの借り入れが過払い金の発生対象です。そして主なクレジットカード会社の過払い金発生条件の期間は、以下の通りです。
貸金業者名 | 借り入れの期間 |
---|---|
イオンカード | 2007年3月10日まで |
エポスカード | 2007年4月15日まで |
セゾンカード | 2007年6月10日まで |
ニコスカード | 2007年まで |
他にもオリコカードやUCカードなどのカード会社でも、20%を超える金利でのキャッシングを行っていました。実質的には2007年以降の借り入れ分でも過払い金の発生対象となっている可能性が高いため、専門家にしっかりと調べてもらってください。
完済してから10年以内の借金
過払い金の請求には時効があるため、借金を完済してから10年以内の借金までが対象です。完済してから10年を経過していると、たとえ過払い金が発生していても返還されないので気を付けましょう。このような時効は「消滅時効」といい、特別な事情がない限りは債権者との取引が終了した日(完済日)が時効の起算日となっています。
ということは2010年以前に借り入れし、つい最近まで長期間借り入れと返済を繰り返していたケースでは、最終返済から10年経っていないので、過払い金の返還請求ができる可能性があります。
請求先の業者が存在する借金
過払い金を返還請求できるのは、会社が存在している貸金業者に限られます。いくら過払い金が発生していても、請求できる相手の貸金業者がすでに倒産している場合は、お金は返してもらえません。2007年以降、過払い金返還請求が増加したことにより、資金繰りがうまくいかずに大手の貸金業者が多数倒産しています。
倒産などにより、過払い金返還請求が不可能な貸金業者の一覧は次の通りです。
- 武富士
- 栄光
- クラヴィス
- 丸和商事
- アエル
- SFコーポレーション
仮に当時の業者がいなくなっている場合でも、他社に吸収合併されているなら、合併先に過払い金を請求することが可能です。ただし破産していなくても、会社更生や民事再生の手続きを取っている貸金業者からは、当初の過払い金の数パーセントほどしか戻ってこない可能性が高いでしょう。
過払い金発生の可能性が低い借金
一方で過払い金が発生している可能性が低い借金の種類もあります。
2010年以降に開始した取引
2010年6月18日以降に取引を開始した借金には、過払い金が発生していません。前項で説明した通り、2010年6月18日には改正貸金業法が完全施行され、グレーゾーン金利が撤廃されたからです。実質的には貸金業法が改正された2007年頃から、多くの貸金業者が過払い金が発生しない金利にまで引き下げています。
ショッピングのリボ払い
クレジットカードのショッピングのリボ払いにも、過払い金は発生しません。というのもクレジットカードのショッピング取引は、過払い金が発生する「貸金取引」ではなく、「立替払取引」に分類されるため。利息制限法の適用対象外ということで、過払い金は発生しません。
同様に車や家電、携帯電話等の分割払いも立替払取引となるため、利息(分割手数料)が発生していても、過払い金返還請求ができません。ただしクレジットカードのキャッシングを利用してお金を借りていた場合は、過払い金の対象となります。クレジットカードの利用で過払い金が発生しているか調べたい方は、キャッシング枠の利用履歴があるか確認しましょう。
リボ払いの借金が減らないとお困りの方は、こちらの記事を参考にしてください。
「リボ払いの借金が減らない!仕組みと原因を知って残金を効率的に減らしていこう」
住宅ローン・自動車ローンなど
住宅ローンや自動車ローンなど、金利が低めに設定されている借金も過払い金が発生している可能性が低いでしょう。一般的な住宅ローンの金利は年1~8%前後、自動車ローンも1~6%と低く、利息制限法の上限金利を大きく下回っています。
銀行系のカードローン
銀行系のカードローンも、過払い金は発生しないでしょう。銀行ではグレーゾーン金利が存在していた2007年以前から、利息制限法の上限金利を適用していたためです。たとえカードローンを利用していたとしても、銀行や信用金庫、労働金庫など銀行との契約であれば過払い金は発生していない可能性が高いです。
その他奨学金や公的機関からの借り入れ
奨学金や公的機関からの借り入れも、過払い金が発生している可能性は限りなく低いでしょう。奨学金の上限金利は年利3%と決められており、自治体や国が行っている公的な貸付制度の金利は無利息もしくは保証人がつけられない場合でも年1.5~3%前後。過払い金が発生している可能性がある金利からは、大きなひらきがあります。
400万円の奨学金を返済できずに悩んでいる方は、こちらの記事を参考にして対処法や減額方法を学びましょう。
「奨学金400万円は返済するまで何年かかる?奨学金を延滞した時の流れや対処法、減額方法について調査」
債権回収会社からの請求分
債権回収会社(サービサー)からの請求分にも、過払い金は発生しません。債権回収会社とは、金融機関から委託を受けたり借金を買い取ったりして、返済を長期滞納している借金の回収を専門に行う会社のこと。数カ月の借金滞納で、債権回収会社に債権が譲渡される可能性も。
債権回収会社は利息をプラスした金額を請求してきますが、たとえ2010年以前の借金であっても利息制限法の上限金利で計算しなおした金額で請求してくるため、過払い金は発生しません。これは債権回収業について定めた「債権回収業者に関する特別措置法」によって定められています。
債権回収会社から債権譲渡通知書が届いたときの対処法については、こちらの記事を参考にしてください。
「債権譲渡通知書が届いたときの対処法|詐欺の見分け方と注意点とは?」
過払い金返還請求の手順
では実際に過払い金の返還請求を行う手順を紹介します。過払い金の返還請求は、自分で行う方法と弁護士などの専門家に依頼する方法の2種類がありますが、どちらでも手続きの流れは基本的に同じです。
①受任通知の送付
弁護士や司法書士などの専門家に依頼すると、債権者宛てに手続きの開始を知らせる「受任通知」が送付されます。これにより返済途中の借金がある場合は、借金の返済が一時的にストップでき、債権者からの催促もなくなります。
なお、この受任通知を送付できるのは弁護士と司法書士のみです。個人で過払い金返還請求を行う場合は、今まで同様借金返済を続けながらの手続きとなります。
②取引履歴の開示請求
次に貸金業者から、過去の取引履歴を取り寄せる必要があります。取引履歴には、何パーセントの金利でいくら借り、いつからいつまでいくらずつ返済していたかが詳細に記録されています。自分が利用した業者を思い出し、取引履歴の開示を請求してください。
弁護士などに依頼している場合は、受任通知を送るのと同じタイミングで、取引履歴の開示請求も行います。取引履歴を取り寄せるまでには専門家に依頼した場合は1~2週間ほど、個人でする場合は後回しにされる可能性が高いため1~3カ月ほどかかる可能性があるでしょう。
③引き直し計算による過払い金の算出
貸金業者から取り寄せた取引履歴をもとに、グレーゾーン金利に該当する金利の場合は、利息制限法に準じた上限金利(15~20%)で利息の再計算をします。この計算は「引き直し計算」といいます。自分で手続きする場合は、利息計算ソフトなどを使用すれば引き直し計算が可能です。
ただし引き直し計算は非常に複雑な計算で、1円でも計算を間違えると過払い金の返還を断られたり、返還できる過払い金の金額が少なくなってしまうことも。過払い金返還請求における引き直し計算は、裁判になる程難しい計算のため、なるべくなら過払い金請求に精通した弁護士に依頼することをおすすめします。
④内容証明で過払い金の返還を請求
引き直し計算で返還可能な過払い金の額が分かったら、「過払い金返還請求書」を「引き直し計算書」とともに債権者宛てに送ります。基本は郵送ですが、「いつ・誰が・誰に・どのような内容の文書を送ったか」公的に証明できるよう「内容証明郵便」で送るのが一般的。弁護士に依頼した場合は、弁護士事務所から債権者宛てに送付してもらえます。
⑤貸金業者と任意交渉
上記の書面が届いたタイミングで、電話や書面を通じて過払い金の返還金額や返還日についての任意交渉を行います。通常は通知書を見た債権業者から電話がかかってくるので、担当者と口頭で交渉します。交渉の結果、納得できる内容で合意できれば、合意書を取り交わして和解が成立します。
⑥納得できない場合は裁判(過払い金返還請求訴訟)を起こす
交渉が決裂したり、相手の提示した金額に納得がいかない場合は、過払い金返還請求を裁判所に提起することが可能です。裁判を起こすと請求した金額のほぼ100%の返還率で過払い金が戻ってくるのが一般的ですが、裁判となると半年~1年前後の時間がかかるのを覚悟しておきましょう。
またこれまで自分一人で手続きをしていた方でも、裁判を提起するのは不可能なため、弁護士を探して依頼することになります。新たに裁判所費用や弁護士費用などが掛かることも忘れずに。
⑦過払い金の受け取り
債務者と債権者の双方が合意すれば、指定した期日までに過払い金が口座に返還されます。弁護士に依頼した場合は、一度弁護士事務所に送金され、弁護士報酬を差し引いた金額が依頼人の口座に振り込まれます。尚、返還費用を必要経費として申告していた自営業者や会社経営者の場合、返還された過払い金の金額に応じて所得税がかかる可能性があるでしょう。
過払い金返還請求をする場合の注意点
実際に過払い金の返還請求をする場合は、次のような点に注意しましょう。
過払い金自体に利息が発生している可能性
過払い金自体に利息が発生している可能性が高いため、過払い金返還請求を行う場合は、過払い金自体の利息も忘れずに請求しましょう。2006年1月に出たみなし弁済についての最高裁判所の判決以降、貸金業者との様々な裁判が行われてきました。
結果として「過払い金自体にも利息が発生し、年利5%の利息を返還請求できる」ということに落ち着きました。過払い金返還請求する方は、過払い金自体の利息も受け取れる可能性が高いでしょう。
過払い金には時効がある
過払い金返還請求には消滅時効があるため、これから過払い金を請求しようと思っている方は、時効が到来する前に手続きを行ってください。過払い金についての時効は上で説明した通り「借金を完済した日から10年」ですが、2020年4月以降の民法改正により、「過払い金を請求できると知った時点から5年」という条件が新たに加えられました。
従って過払い金を請求できると知った日から5年以上経過すると、過払い金を請求できません。複数の業者から借り入れを行っていた人は、どの借金をいつまで返済したか分からくなっているケースもあるでしょう。実際に過払い金の返還を請求するまでには多くの時間がかかるため、「もしかして過払い金があるかも」と思ったら、早めに専門家に相談してください。
契約書やカードが手元にないときの対処法
完済済みの借金に過払い金の可能性があっても、契約書やキャッシングカードが手元になくて、どこの貸金業者からいくら借りていたか分からないという方もいるでしょう。そのような方は、信用情報機関に自分の個人情報の開示請求をすることで、詳細が確認できます。
信用情報機関は加盟金融機関ごとに3機関ありますが、念のためすべての信用情報機関に開示請求を行うことをおすすめします。信用情報機関の種類ごとの開示請求の方法は、以下の通りです。
信用情報機関 | 開示請求方法 | 開示手数料(税込) |
---|---|---|
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 郵送 | 1,000円 |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | パソコン スマートフォン 郵送窓口※ |
パソコン・スマホ・郵送…1,000円
窓口…500円 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | スマートフォン 郵送窓口※ |
スマホ・郵送…1,000円
窓口…500円 |
※新型コロナウイルス感染症の影響で当面休止(2022年10月現在)
満額を返金できるとは限らない
過払い金返還請求を行っても、請求した満額を返してもらえるとは限りません。というのも多くの貸金業者では、過払い金の請求があったときに返還する過払い金の割合を決めているため。任意交渉時に満額の5割~8割で和解案を提示してくるケースが多いので、いかに満額に近い金額で合意できるかがポイントになります。
また貸金業者の経営状態次第では、返還に応じる金額が変わってくる可能性も。さらに完済によって取引が一時途絶える「取引の分断」のケースでも満額返還は困難になります。
ブラックリストに載る可能性
過払い金返還請求をすると、ブラックリストに載る可能性があります。ブラックリストとは信用情報機関にある個人の信用情報に事故情報として登録されることで、一定期間借り入れができない、新たにクレジットカードが作れないなどのデメリットが生じます。
過払い金返還請求でブラックリストに載る可能性があるのは、返還請求が失敗したケースや返済途中の借金で過払い金の額よりも借金残高が多くなるケースです。借金の残高を過払い金で返済してもなお、借金が残る場合は債務整理方法の一つ「任意整理」として扱われるためです。
逆にブラックリストに載らずに済むケースは、完済済みの借金の請求と、借金残よりも返還された過払い金の額の方が多くなる場合です。そのため過払い金請求をする前に返済を進めて残額を減らせば、ブラックリストに載らずに過払い金請求ができます。
ブラックリストがいつ消えるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「ブラックリストはいつ消える?消し方は?個人信用情報をきれいにする方法」
ローン審査に影響を与える可能性
過払い金請求に失敗したり借金残額の方が多かったりすると、信用情報に事故情報として掲載されます。したがって過払い金請求後にローンを申し込む場合には、ローン審査に通らない可能性が。信用情報機関に載る期間は5年前後で、それ以降は事故情報が消えてローンに通るようになります。
現在返済中のローンがある方は、途中で過払い金請求をしてもローン返済に影響を与える恐れはありません。もし過払い金請求と同じタイミングでローンを利用したい場合は、先に借金残額を減らして過払い金請求をするか、逆に過払い金請求をして借金をゼロにしてからローンを申し込むようにしましょう。
返還請求した業者からは借り入れできない
過払い金請求をした貸金業者からは、以降借り入れやクレジットカードの利用ができなくなります。請求した貸金業者が合併済みの場合は、その合併先のサービスも利用できなくなる可能性があります。というのも過払い金請求したという情報は、業者が独自に管理している信用情報に登録されるため。
「社内ブラック」と呼ばれるこの情報は、登録期限がないため半永久的に残ります。こちらは登録に条件を設けていないため、完済後の返還請求でも載る可能性があります。また同じグループの別の会社にも情報が回っている可能性があるため、過払い金請求後に借り入れする場合は、貸金業者の情報をよく調べてからにしましょう。
社内ブラックを含むブラックリストについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「債務整理するとブラックリストにのる?気になる『ブラックリスト』についてすべてお答えします!」
自分で請求すると条件が不利になる
いくら弁護士費用を節約したいからといって、自分で過払い金を請求すると条件が不利になる可能性があります。というのも過払い金を請求された債権者側は、相手に弁護士が付いていないと分かると不利な和解案を提示してくる場合があるため。具体的には次のような条件を提示してくるケースがあるでしょう。
- 返済中の借金の利息を免除する代わりとして過払い金請求に応じないケース
- 本来の過払い金よりも返還予定額を少なく提示するケース
- 借金残高よりも過払い金の方が多いのに借金をゼロにするだけのケース
一般の人が直接債権者とやり取りすると、交渉に手間取るだけでなく不利になっていることを分からずに合意してしまう恐れが。よく内容が分からないまま和解書にサインしてしまうと、それを覆すのは難しくなります。また引き直し計算を間違えると変換できる過払い金が少なくなったり、実際よりも多く請求すると返還を断られるケースもあります。
その点弁護士などの専門家に依頼すると、満額近い過払い金を受け取れる可能性が高まるほか、引き直し計算の間違いや和解案の妥当性が分かります。もちろん債権者との交渉も任せられるので安心です。過払い金返還請求を成功させるには、過払い金や債務整理の実績が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
まとめ
過払い金は2010年以前の貸金業者からの借金に発生している可能性が高く、利息制限法と出資法の上限金利の間のグレーゾーン金利のことをいいます。過払い金が発生している可能性あるのは2010年以前に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた方で、現在その業者が存在していること。
逆に過払い金が発生しないのはショッピングのリボ払いや金利の低い住宅ローンや奨学金、公的融資制度など。まずは貸金業者から取引履歴を取り寄せ、引き直し計算で過払い金の金額を明らかにしましょう。その後は内容証明郵便で書類を送付、任意交渉で合意したら過払い金が指定口座に振り込まれます。
業者によっては2007年以降に新しい基準の上限金利に切り替わっている場合があり、過払い金の返還請求には時効があるため、早めに手続きに着手しましょう。過払い金請求を失敗しないためには、弁護士に依頼するのがおすすめ。まずは過去の借金の詳細が分かる書類を持参して、過払い金が発生しているか調べてもらいましょう。