- 「銀行からの借り入れが返せないとどうなる?」
- 「融資を返せないときの対処法や解決方法が知りたい」
銀行から借り入れたローンや融資が返済できず、困っている方はいませんか?銀行からの借り入れには個人向けローンや事業者向け融資などがあり、それぞれに返せないときの対処方法が異なります。こちらの記事では銀行からの借り入れが返せないときに起こることや対処方法、借金問題解決方法を詳しく解説。
銀行からの借り入れが返せないという事態は、それほど珍しいことではありません。「恥ずかしい…」「銀行に怒られるのではないか?」などと思わず、返済が遅れそうだと感じたら、早めに行動を起こしましょう。
返済が滞ったときに起こること
銀行からの借り入れが返せなくなり、それを放置していると、どのようなことが起こるのでしょうか。こちらでは時系列に沿って解説してきます。
電話による支払督促
期日までに返済できないと、まず電話による支払督促が行われます。約束した返済日の1週間以内に「お支払いをお忘れではありませんか?○日までに返済してください」などという電話が銀行からかかってきます。たいていの場合はコールセンターのオペレーターによる事務的な連絡です。
ただし電話に出なかったり滞納が続いたりすると、内部で担当部署が変わり、債権回収を専門とする担当部署から電話が来るように。女性による柔らかい口調ではなく、ほとんどの場合は男性の多少威圧的な口調で電話がかかってくることもあるでしょう。
再請求日を案内する書面が届く
借り入れを期日までに返済できないと、再請求日を知らせるハガキや書面が届きます。書面が来るタイミングは銀行によって異なりますが、返済できなかった月の翌月以降に届くケースが多いでしょう。中には再請求の内容(金額・期日)などが記されています。この段階で対応できれば、大きな問題になることはないでしょう。
遅延損害金が発生
銀行からの借り入れの返済が1日でも遅れると、遅延損害金が発生します。遅延損害金とは借金の返済が遅れたことに対する損害賠償金のようなもので、通常の金利よりも高いのが特徴。おおむね年利14~20%までの間で、各金融機関やローンの種類によって変わってきます。遅延損害金は以後の返済日に利息とともに元金に組み入れて請求されます。
遅延損害金が加算されてもなお返済しないままでいると、当初の返済日から1日ごとに遅延損害金が発生。遅延損害金の金額は、以下の計算式で算出できます。
遅延損害金の金額=借り入れ残高×遅延損害金の年利(%)÷365(日)×延滞日数
信用情報にキズが付く
銀行からの借り入れの支払い期限から61日以上経過すると、信用情報機関に登録されている個人信用情報に「遅延情報」として記録されます。いわゆる「ブラックリスト状態」のことで、この情報は5年~10年間各信用情報機関に保管されます。借りては返すことを繰り返していた人は、ここで自転車操業がストップすることに。
ブラックリスト状態のうちは、新たにローンを申し込んでも審査に落ち、クレジットカードを作ろうと思っても新規で作ることはできません。さらに賃貸物件の契約時に保証会社の審査に通りにくくなる、子どもの奨学金の保証人になれないなど、多方面に影響が出てしまうでしょう。
連帯保証人に支払い義務が移る
保証人や連帯保証人を付けた借り入れを滞納し続けていると、2カ月ほどで銀行から保証人に連絡が入ります。過去に何度か滞納したことがある場合は、1カ月ほどで保証人に連絡が行く場合も。さらに滞納から3カ月経過すると、連帯保証に対して借入残高を一括で返済するようにとの通知が届くようになります(一括請求)。
自宅への訪問
書面や電話での督促にも応じないと、自宅に直接に銀行の債権回収担当者がやってきます。銀行によって異なりますが、おおむね滞納から3カ月前後で自宅に来る可能性があるでしょう。ここまでくるとかなり強硬な姿勢となっている場合があるため、居留守などは使わず、しっかりと返済できない理由を説明するなどして真面目に対応してください。
保証会社や保証機関による代位弁済
借り入れ時に保証会社や保証機関とも契約をした場合、滞納が続くと本来の契約者の代わりに保証機関が返済を行います(代位弁済)。日本政策金融公庫の教育ローンを利用した場合は、教育資金金融資補償基金が、銀行であれば系列の消費者金融や信販会社が保証会社となっています。
代位弁済が行われた後は、本来の金融機関に返済の必要がなくなる代わりに、保証会社や保証機関に返済しなければなりません。このタイミングでもなお滞納を続けると、一括請求や財産差し押さえのリスクがかなり高まります。
保証会社や保証機関から代位弁済の書類が届いたときの対処法については、こちらの記事を参考にしましょう。
「『代位弁済』の書類が届いたときの対処法|放置してはダメな理由とその後起こる事とは?」
債権回収会社からの連絡
銀行からの借り入れの滞納が続くと、ある日突然「債権回収会社」というところから連絡が届くようになります。債権回収会社とは、法務大臣からの営業許可を受けて法律に基づいた債権回収業務を専門に行っている会社のこと。銀行や貸金業者が取り立て不能と判断した債権を安く譲り受け、その債権を回収して収益を上げることを目的としています。
債権回収が専門なため、法律に則って厳正かつ淡々と回収業務を実施。場合によってはいきなり法的手段に訴える場合もあるため、債権回収会社から連絡が来たら、もう後がないと自覚して危機感を持って対応しましょう。
債権回収会社からの手紙が届いた理由を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「債権回収会社からの手紙が届いた…理由とこれから起こること、対処法を詳しく解説」
裁判所から一括請求の書面が届く
滞納してから早いと3カ月前後で、裁判所から「一括請求」の書面が届く恐れがあります。一括請求とは、今まで分割で返済できていた「期限の利益」を借り入れ滞納により喪失したことで、借り入れ残高を全額一括で返済しなければならないというもの。
裁判所からの書面は基本的に受け取り拒否することが不可能なため、これを放置し続けているとそれほど遅く泣いたタイミングで給与や預貯金が差し押さえられてしまうでしょう。
裁判所から訴状が届いたときの対処法と借金解決方法は、こちらの記事を参考にしましょう。
「裁判所から訴状が届いた…どうすればいい?適切な対処法&借金解決方法とは」
銀行口座や給与の差し押さえ
一括請求に応じられない場合は、財産の差し押さえが裁判所によって執行されます。対象となる財産は以下の通りです。
- 給与
- 預貯金
- 家財(骨とう品・貴金属など)
- 有価証券
- 不動産
- 自動車
生活できる最低限の財産は手元に残るものの、換価できる財産はおおむね処分されて債権者への返済にあてられます。会社勤めの方は給与を差し押さえられたことで、借り入れを滞納していたことが会社にバレる可能性があります。
差し押さえを受ける財産について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「借金を滞納すると年金も差し押さえになる?差し押さえられる条件や回避方法を解説します」
会社は倒産する
銀行から事業者用融資を受けていた場合、会社を倒産せざるを得なくなり、個人での事業も継続できなくなるでしょう。倒産とは借り入れ(債務)を弁済できなくなった状態のこと。売り上げが減少したり取引先の倒産で売掛金が回収できなかったりすると、手元に現金がなくなり、銀行融資を返済できなくなります。
事業失敗による借金の返済義務については、こちらの記事を参考にしてください。
「事業失敗による借金|返済義務の有無を知り、最適な借金解消の手段&解決方法を取ろう」
【種類別】借り入れが返済できないときの対処法
では実際に、銀行からの借り入れが返済できないときの対処法を、個人向け・事業者向けそれぞれの借り入れごとに解説していきます。
【個人向け借り入れ】
銀行では、個人向けに住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなど様々な金融商品を展開しています。多くの方が1度は利用したことのある(利用する可能性のある)借り入れのため、どのような対処法があるか知っておきましょう。
住宅ローン
家を購入しようと考えるほとんどの方が利用するのが住宅ローンです。最近は金利も低く、かつてより利用しやすくなっています。それだけに何らかの理由でローン返済を継続できなくなる可能性も出てくるでしょう。
保険適用の有無を確認
ケガや病気が原因で住宅ローンの返済が難しくなったら、保険適用できる可能性がないか確認しましょう。通常住宅ローンを借りる場合、「団体信用生命保険(通称:団信)」という保険に加入しなければなりません。保険料の支払いは各銀行が負担しますが、ローン契約者の死亡や病気もしくはケガによる療養で、住宅ローンが支払えなくなった場合には、団信の保険適用となり、ローン残高全額~50%ほどの保険金が下りて住宅ローンの支払いに充当されます。
団信の種類によっては「ガン特約」や「3大疾病特約」、「8大疾病特約」などを付けることができ、該当の病気で保険が下りるオプションが付いている可能性も。ずいぶん前に住宅ローンを契約したという方は、どのような特約を付けたか忘れていることも。保険適用できる可能性があるため、今一度保険証券を確認しましょう。
病気で借金が返せなくなったという方は、こちらの記事を参考にして借金問題を解決していきましょう。
「病気で借金が返せない!今すぐやるべきことから借金問題解決までを一挙解説」
家を売却する
継続的に住宅ローンを支払うのが難しい場合は、早めに家を売却することを検討しましょう。売却する場合は、信用情報機関にブラックリストとして登録される前までにがポイント。ブラックリストに登録されてしまうと、次に家を購入しようと思っても、住宅ローンが組めなくなってしまうためです。
賃貸物件を借りる場合でも、保証会社の種類によっては、審査に落ちる恐れがあります。そう簡単には決断できないことかもしれませんが、住宅ローンの支払いを続けられそうもない場合には、早めの行動が以後の影響を最小限にします。
任意売却を検討
家を売却する場合、「任意売却」という方法があります。任意売却とは住宅ローンを借りている銀行の合意を得て、住宅を売却する方法。所有者が自分の意志だけで勝手にできる一般売却とは異なります。とくに住宅ローン滞納後に一括返済を迫られたときなどは、任意整理を選択するべきでしょう。
任意売却のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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リースバックの利用
任意売却とは少し異なりますが「リースバック」という方法もあります。リースバックとは、ローン返済中の家に住みながら、その家を第三者(不動産会社)に売却し、家賃を支払いながら住み続けられるという方法。売却によってまとまった現金を手にでき、家賃を支払うことで住み慣れた我が家に引き続き住めます。
また引っ越しをする必要がないので、周囲の人に売却したことを知られずに済むのもメリット。ただし相場の6~8割ほど安く買われる可能性があり、家賃も相場より高いのが通常です。住宅を買い戻したいと思っても、売却価格よりも高くなるため、資金調達が必至です。
自動車ローン
車を持ちたい、買い換えたいという方の中には、銀行の自動車ローンを利用している人もいるでしょう。自動車ローンの支払いが難しいときには、次のような対処方法を取ってください。
売却や乗り換えを検討
一時的な資金不足ではなく、今後も自動車ローンを支払い続けることが難しい方は、車の売却や乗り換えを検討しましょう。ディーラー系列のローン会社を利用している場合は車に「所有権留保」が設定されているため、勝手に売却することができません。
しかし銀行系の自動車ローンの場合は、所有権留保が設定されてないため、自分の好きなタイミングと価格で売却することが可能。車の査定価格は時間の経過とともに値下がりします。もし売却を検討している方は、なるべく早めに実行することをおすすめします。
カーリースの利用
せっかく車を売却できても、通勤や毎日の生活に車が欠かせないときには、次の車の購入を検討する必要があります。そのような場合におすすめなのが、カーリースの利用です。カーリースとは初期費用や頭金なしで、毎月のリース代の支払いのみで好きな新車に乗ることができるサービス。
リース料の中に税金や車検代などの維持費も含まれているため、家計管理がしやすいのがメリット。新車を購入しようと思うと、手元にまとまったお金がない限りは再び自動車ローンの利用を避けられません。選択肢が中古車に絞られてしまうこともあるでしょう。そうしたときに便利なのがカーリースという訳です。
教育ローン
子どもの大学進学のため、教育ローンを利用しているという方もいるでしょう。教育ローンには、銀行や信販会社が取り扱っているものと、政府系金融機関の日本政策金融公庫が取り扱う教育ローンの2種類があります。
利息だけの返済にしてもらう
日本政策金融公庫から教育ローンを借りている方は、子どもが在学中の一定期間、利息だけの返済にしてもらうことが可能です。日本政策金融公庫は公的な金融機関のため、ローン返済が難しくなっても、比較的返済条件の見直しなどの相談に乗ってもらえやすいため。
元金を据え置いて利息だけの支払いであれば、滞納扱いとはならずブラックリストに載ることもありません。利息だけを支払っている期間に生活を立て直し、子どもが卒業したタイミングで本来の返済金額に戻すことを考えましょう。
公的支援制度の利用
離婚や死別等で配偶者を失い、世帯収入が減少した結果教育ローンを支払えなくなった方は、公的支援制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。国や自治体では、ひとり親家庭向けにさまざまな支援事業や貸付事業を展開しています。
制度の名称 | 内容 |
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児童扶養手当 | ひとり親世帯で養育される子どもの生活安定のために支給される手当 子どもの人数と親の所得によって支給される金額が決まる |
児童育成手当 | 18歳までの児童を扶養する母子家庭が対象 児童1人につき月額13,000を支給 |
特別児童扶養手当 | 20歳未満の精神や身体に障害がある子どもを扶養している世帯に支給 障害の程度(等級)や子供の人数によって支給額が変わる |
母子家庭の遺族年金 | 夫もしくは妻が死亡した場合に受け取れる年金 18歳未満の子どももしくは障害を持つ20未満の子どもと同居している世帯が対象 死亡した親が加入している保険や、片親となった方の所得に応じて金額が変わる |
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度 | 離婚や死別で収入が減少した場合、生活の安定やこどもの福祉のために資金を貸し付ける制度 基本的に保証人は不要、無利子で借りられる |
【事業者向け融資】
多くの銀行では、事業者や会社向けの融資を行っています。
追加融資を受ける
銀行からの融資を返せないときの対処法の一つに、「追加融資」を受ける方法があります。現在借りている融資に加えて、追加で融資を受けられれば、手元の資金を増やすことが可能です。ただし追加融資を受けるには、銀行ごとにいくつかの条件を設けていることがほとんど。
例えば日本政策金融公庫の追加融資を希望する場合は、次のような条件をすべて満たす必要があります。
- 当初の融資の半分又は、最低でも1/3以上は返済済みであること
- 当初の融資額で不足している理由が改善されていること
- 経営破たん寸前による生活資金のための融資ではないこと
- 当初の融資から半年以上経過し、半期分の決算書・資金繰り表に問題がないこと
当初の融資と異なり、追加融資には実績などが重要視されます。そのため決算書などの売り上げの根拠を示す書類の提出が必須です。
融資以外の資金調達を検討
再融資の条件を満たせない場合は、銀行融資以外の資金調達法を検討しましょう。融資以外の資金調達には、主に次のような方法があります。
資金調達方法 | 詳細 |
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ファクタリング | 自社で保有している売掛債権を売却し、現金化するサービス 銀行融資よりも審査が緩く、赤字や債務超過など自社の信用力が不安でも利用可能 |
クラウドファンディング | ネット上の専用サイトに自社のビジネスプランやアイデアを公表し、不特定多数の個人から少額の資金を出資してもらう方法 多くの賛同を集められれば、ある程度まとまった資金を手にできる 返済の義務はないものの、サービスや商品を出資者に提供する必要がある |
投資家からの出資を募る | 国内外の個人投資家に、自社のビジネスをアピールして出資してもらう方法 返済の義務はないものの、株式の一部を譲渡するなど経営権に影響を及ぼす |
公的支援制度の利用
国や各自治体が実施している、事業者向けの公的支援制度を利用するという方法があります。例えば経済産業省が打ち出している「事業再構築補助金」は、事業を再構築しようとしている事業者のための補助金制度。中小企業を公募で募り、審査に合格した企業が支援を受けられます。
また東京都をはじめとする自治体でも、事業者向けの融資や借り換え制度を展開。会社の所在地になっている自治体にこのような公的支援制度がないか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。また日本政策金融公庫では、次のような貸付を行っています。
- セーフティネット貸付
- 新型コロナウイルス感染症特別貸付
- 生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
第三者機関からの借り入れ
公的機関以外にも、次のような第三者機関からの借り入れを利用できます。
第三者機関の名称 | 融資の種類 |
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商工組合中央金庫 |
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小規模企業共済 |
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税金や保険料の免除申請
経営難により融資の返済はもちろんのこと、税金や保険料の納付が難しい場合には、免除申請をすることで納付を猶予してもらえる可能性があります。
税金・保険料の種類 | 猶予・免除の内容 | 申請窓口 |
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国税 | 原則として1年間の納税が猶予 猶予中の延滞税が軽減(通常年8.7%が年0.9%に) 財産の差し押さえおよび換価(売却)の猶予 |
最寄りの税務署 |
市県民税 | 各自治体による | 自治体の税金担当課 |
国民年金保険料 | 申請が受理された月から2年1カ月前まで免除 一定以上の所得や収入の減少が条件 |
自治体役場または年金事務所 |
それぞれ「事業に著しい損失を受けた」などの条件があるものの、事業収入の悪化が深刻な事業者の場合、これらの猶予・免除制度が利用できる可能性が高いでしょう。
困ったときの相談先と借金解決方法
銀行からの借り入れが返せなくて困ったときは、次のようなところに相談し、借金問題を解決するための方法を取りましょう。
なるべく早めに金融機関に連絡
個人向けローン、事業者用融資のいずれの場合も、次に来る支払いが難しい場合には、早めに銀行に連絡を入れてください。状況によっては、詳しい事情を説明して支払い期限を延長できたり、支払額を利息だけにできる可能性があるからです。
銀行にとって直近の支払いを約束通りしてもらうよりは、今後の支払いができなくなる方が痛手です。それならば利用者が支払い可能なスケジュールに合わせて、無理のないように支払いを継続してもらおうと考えます。次回支払日が到来するまでの連絡がベストですが、遅くとも督促の電話があったときには、支払が難しいことを伝えるようにしましょう。
リスケジュールの相談
銀行に支払いできない旨の連絡をしたときには、「リスケジュールの相談です」と伝えると話が早いでしょう。リスケジュールとは、借り入れの返済が厳しいときに、銀行に返済日の変更や金額の見直しをしてもらうこと。一時的に返済を猶予してもらったり、大幅に減額してもらうことで返済の負担を軽くできます。
ただしリスケジュールした履歴は銀行に残るため、今後再融資を受けることは難しくなります。また滞納後しばらく経つと督促が始まり、リスケジュールが難しくなります。そのため、返済期日に間に合わないと分かった時点で、早めに銀行に相談するようにしましょう。
専門機関への相談
銀行以外にも、次のような専門機関へ借り入れや融資の相談が可能です。これらの相談機関は中立的な立場なので、客観的な視点からの適切なアドバイスをもらえるでしょう。主な相談機関は以下の通りです。
相談先 | 詳細 |
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金融サービス利用者相談室/金融庁 | 預金・融資・保険商品・投資商品・証券・貸金業・暗号資産などお金に関してのアドバイスを受けられる |
中小企業向け融資に関する相談窓口/全国銀行協会 | 銀行からの融資や返済に関する相談や苦情 |
相談予約/日本政策金融公庫 | 事業資金・創業資金・教育資金に関する借り入れ又は返済に関する相談 |
消費者ホットライン/消費生活センター | 商品や金融サービスなど、消費生活全般に関する苦情や相談 |
経営相談/商工会議所 | 中小企業や個人事業者の資金調達に関する相談 |
下請けかけこみ寺/日本商工会議所 | 全国48か所に設置されている個人事業者や中小企業など、下請けの取引上の問題解決をアドバイス |
借金相談が無料でできる窓口については、こちらの記事を参考にしましょう。
「借金の相談はどこがいい?無料で相談ができる窓口を紹介します」
借換えを検討
銀行からの借り入れが返済できない場合には、借り換えという方法があります。借り換えとは新しくローンや融資審査を受けて借り入れ、今まで支払っていた分を完済するという方法です。金利が低いなど、今までよりも良い条件で借り入れすることも可能ですが、その場合は審査がより厳しくなることが考えられます。
また返済期間を延長できても、その分の金利負担が増えるため、トータルで支払総額が多くなってしまうケースも。すでに滞納している場合は借り換えが難しく、借り換えるメリットも限定的。そのため、本当に借り換えが最適な対処法なのかよく考えてから実行しましょう。
複数の借金を一つにまとめるおまとめローンに関しては、こちらの記事を参考にしてください。
「借金一本化で返済が楽になる!おまとめローンの申込みから完済までの不安をすべて解消」
弁護士に相談
すでにローン返済が難しい場合は、借金問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談するのは、銀行にリスケジュールや再融資を相談してもダメだったときの最終手段。このまま延滞し続けていると、財産を強制的に差し押さえられる可能性があるときなどです。
借金問題を扱っている弁護士事務所の多くでは、初回の相談を無料で行っています。裁判所から訴状が届く前に、弁護士に相談して、債務整理などを検討していきましょう。
債務整理を検討
弁護士に相談した結果、法的に借金問題を解決する方法がとられます。国が認めた借金解決方法は「債務整理」といい、任意整理・個人再生・自己破産の3種類が主流。それぞれに適した人や手続き可能な借金額が異なるため、どのような方法が最も適しているのか、弁護士に確認しましょう。
債務整理の種類 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
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減免割合 | (経過・将来)利息と遅延損害金の減額 | 100万円~借金総額の1/10にまで減額 | すべての借金の返済義務を免除(免責) |
手続きの方法 | 債権者と直接交渉 | 裁判所に申し立てる | 裁判所に申し立る |
向いている人 |
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向いている借金 |
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債務整理のうち任意整理と個人再生は、手続き後に残った借金を3~5年かけて返済していきます。そのため安定した収入がある人が適していて、借金の返済期間を延ばすことで、毎月の返済額を減らせる手続きです。個人再生には、ローン返済を継続しながら住宅を手放さずに済む「住宅ローン特則」があるのも特徴。
自己破産は一定以上の財産を処分する代わりに、全ての借金の返済義務を免除できる手続き。無職や安定した収入がなくても手続き可能で、事業用融資など借金総額が高額になりがちな借金に向いています。また返済期間が長い借金を自己破産することで、いち早く生活再建へと舵を切れるのもメリット。ただし手続き期間中は特定の職業・資格が制限され、官報に個人情報が載るなどのデメリットもあります。
債務整理が適している借金額の目安や条件については、こちらの記事を参考にしてください。
「債務整理は借金いくらから必要?【種類別】借金額の目安と金額以外の条件について」
まとめ
銀行からの借り入れが返せなくなると、時間が経つにつれて督促が厳しくなります。また保証会社や債権回収会社から督促を受けることも。これを放置し続けていると一括請求の通知が裁判所から届き、裁判所の通知も無視していると、最終的には給与や預貯金が差し押さえられてしまうでしょう。
差し押さえを阻止するためには、ローンや融資の種類別の対処法を取るべきです。またなるべく早いタイミングで銀行に連絡し、リスケジュールができないか相談しましょう。公的制度や税金の減免制度を利用するのも一つの手です。
借金の相談窓口は、銀行以外にも様々あります。手を尽くしてみてもどうしようもないときは、弁護士に相談して債務整理を検討しましょう。3つある債務整理は、それぞれ適している人や適した借金の種類が異なります。弁護士事務所の無料相談を利用しながら、自分に最も適した債務整理方法を知りましょう。