【借金・税金】給料が差し押さえされるまでの流れ|差し押さえの回避・解除方法とは?

NO IMAGE
  • 「借金滞納で給料を差し押さえされるまでの流れが知りたい」
  • 「給料の差し押さえを解除する方法はある?」

借金を滞納し続けていると、最終的には給料などの財産が差し押さえられてしまいます。しかし借金の種類別に差し押さえまでの流れや差し押さえされる金額などが異なります。差し押さえを回避するためにも、手続きの流れをおさえておきたいものです。

そこでこちらの記事では、借金の種類別の差し押さえまでの流れと、差し押さえを回避・解除する方法を解説。給料を差し押さえられると、金銭面だけでなく様々なところに影響が出ます。なるべく影響を少なくするためにも、対処法を覚えておきましょう。

 

 無料相談

借金のお悩みを無料で弁護士に相談できます!

当サイトでは債務整理や借金問題に強い弁護士のみを掲載! 無料相談・土日祝日・オンライン面談可能など、あなたの希望に合った弁護士事務所を探せます。まずはお気軽にご相談ください。

目次

【貸金業者からの借金】給料が差し押さえされるまでの流れ

消費者金融や銀行、クレジットカードのキャッシングを利用した場合、給料が差し押さえられるまでには次のような流れで進んでいきます。

①電話で催促がある・督促状が届く

契約時に決められた支払期限までに返済できないと、まずは電話での催促が行われます。通常は支払期限の翌日から数日後、遅くても1週間以内に本人の携帯電話に入金確認の電話が入るのが一般的です。その電話を無視していると、1カ月程度で自宅に督促状が届きます。

その督促状も無視していると、今度は勤務先に電話がかかってくる場合も。貸金業法の規定で、電話がかかってくるのは午前8時~午後9時の間と決まっていますが、無視し続けると頻繁に電話がかかってくる可能性があります。

②一括請求通知が届く

支払期限を超えて2カ月以上借金を返済しないままでいると、貸金業者から「一括請求通知」という書面が届くようになります。一括請求とは、借金の残額と加算された遅延損害金を一括で支払うように求める内容の書面です。

いままで分割支払いできていたのは、債務者の権利である「期限の利益」条項が契約に含まれていたため。しかし借金を延滞したことで期限の利益が喪失し、一括で返済しなければいけなくなります。

一括請求までの流れや一括請求が届いてからの解決方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

クレジットカード会社からの一括請求を無視するとどうなる?主な流れと解決方法を紹介!

③催告書が届く

催告書とは未払い債務に対して最終的な支払いを求める書面で、一括で残額を支払わないと法的手続きを取るという内容が記載されています。内容証明郵便で送付されるのが通常で、いわば「最後通告」という意味合いがある書面です。

④差押予告通知書が届く

一括請求と同時に、債権者から「差押予告通知書」という書面が届く場合があります。この書面には「期限までに支払いがない場合は、裁判で強制執行手続きをとる」という内容が記載されています。催告書も差押予告通知書も支払いがないと法的手続き(強制執行)を行うという内容が書かれていますが、次のような違いもあります。

特徴 催告書 差押予告通知書
記載内容 支払期限・法的手続きの予告 差押の日時・対象財産の明記
延滞期間 1~3カ月 3カ月以上
送付方法 内容証明郵便 内容証明郵便・普通郵便
緊急度 高い 極めて高い

どちらも「残額を支払わないと法的手続きを取りますよ」という内容ですが、催告書は督促の最終段階に送付されるのに対して、差押予告通知書は差し押さえの直前に送付されるケースが多く、差押さえ日時や対象財産の記載等がより具体的に記載されているため、緊急度は差押予告通知書の方が高いといえます。

差押予告通知書が届いたにもかかわらず何のリアクションも取らないでいると、債権者が裁判手続きに入る可能性が高いです。

⑤債権者が法的手続きに入る

催告書や差押予告通知書を無視していると、いよいよ債権者は法的手続きに入ります。金銭の支払いを求める法的手続きには、次のような種類があります。

少額訴訟 60万円以下の金銭の支払い請求ができる法的手続き

原則として1回の期日(審理)で結審し、当日のうちに判決が出る

控訴(不服申し立て)はできないが、同裁判所への異議申し立ては可能

支払督促 債権者の申立てに基づいて、簡易裁判所の書記官が債権者の主張をもとに書類審査のみで金銭の支払いを命じることができる法的手続き

債務者が通知後2週間以内に異議申し立てをしないと、強制執行手続きに進むことができる

債務者が逃亡するなどして住所が不明な場合は、公示送達が利用できないため手続きできない

通常訴訟(貸金返還請求訴訟) 貸金を期限通りに返してもらえない場合に、裁判所を通じて返済を求める民事訴訟

簡易裁判所(請求額140万円以下)もしくは地方裁判所(140万円超)に訴状を提出する

裁判内で双方の主張や証拠を確認し、和解・判決が下される

こちらでは支払督促と通常訴訟の流れについて、具体的に見ていきましょう。

⑤-1支払督促

債権者が裁判所に支払督促の申立てをすると、裁判所が債務者に「支払督促」という書類を送付します。こちらは特別送達という郵便で届くので、届いたら必ず中身を確認するようにしてください。支払督促には借金の内容(金額・利息・遅延損害金)や請求の理由(契約日・契約内容・未払金が発生した経緯)、督促の内容(支払期限)などが記載されています。

内容に不服があるときには、同封されている「異議申立書」に必要事項を記載したうえで、送付元の裁判所に直接または郵送で期限までに提出してください。

裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が届く

支払督促が債務者の自宅に送達されてから2週間以内に異議申立書の提出がないときには、その後30日以内までに債権者が仮執行宣言の申立てを行うと、裁判所が「仮執行宣言付支払督促」を発します。仮執行宣言とは支払督促に執行力を持たせる裁判のこと。

仮執行宣言付支払督促が債務者の元に届いた以降は、債権者は執行文の付与なしに強制執行が可能になります。仮執行宣言付支払督促を止めるには、2週間以内に異議申し立てをする必要があります。また強制執行を止めるには裁判所に新たに「執行停止の申立て」を行わなければなりません。

⑤-2貸金請求訴訟

貸金業者によっては、強制執行を求める民事訴訟を提起する場合もあります。

訴状が送達される

債権者が原告として裁判所に訴状を提出すると、裁判所はその内容をチェックしたうえで、被告である債務者に訴状を送付します。訴状には第一回口頭弁論の期日も記載されているので、内容を確認してください。訴状は契約時に記載した住所に届くので、借金していることを家族に隠している方は、これをきっかけにバレる可能性があります。

答弁書を提出する

訴状が自宅に届いたら、決められた期限までに「答弁書」を作成して裁判所に提出しなければなりません。弁護士に債務整理を依頼している場合には、弁護士が答弁書を作成することも可能です。答弁書には訴状の内容に対する自分の言い分や間違っている個所について詳細に記載します。

和解を希望するときには、具体的な和解案を答弁書に記載してください。答弁書を期限までに提出せず期日にも出席しないままでいると、訴状内容を認めたとみなされて、債権者の訴えをそのまま認める判決が出る可能性があります。答弁書は必ず提出するようにしてください。

なお答弁書の書き方については、裁判所の記載例を参考にしてください。答弁書は同じ内容で3部作成し、1分は控えとして手元に残し、2部を裁判所に提出します。提出方法は、郵送・FAX・持参のいずれかでOKです。

借金滞納後に裁判に行けないときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。

「借金滞納後に裁判に行けない場合の対処法|状況別8の方法と弁護士に依頼するメリットとは」

準備書面を提出する

答弁書に書ききれない言い分や反論があるときには、答弁書と同じ書式の「準備書面」を提出できます。答弁書と一緒に裁判所に提出するのが原則で、こちらも弁護士が作成できます。ただし正規の貸金業者からの訴訟の場合、債務者の言い分が通る可能性は極めて低いです。

そのため準備書面の提出は裁判に勝つことを目的とせず、書面の提出で時間を稼いでいる間に、債権者と分割払いの交渉を進めて和解に持ち込むという方法がよく取られます。

⑥差し押さえの実行

裁判所からの仮執行宣言付支払督促や判決書に基づいて、債権者が給料差し押さえを求める申立をすると、勤務先に「差押命令」が送られてきて、実際に給料が差し押さえられます。実際に給料が差し押さえられるまでの期間は、債権者からの差押予告通知書が届いてから1~2カ月ほどです。

債権者が債権差押命令を申し立ててから勤務先に差押命令が送られてくるまでの間、債務者には一切通知がなされません。そのため、ある日突然給料が差し押さえられることを勤務先から知らされることになります。勤務先の人にも知られることになり、社会的信用や社内評価に影響が出るのは避けられません。

【税金】給料が差し押さえされるまでの流れ

税金を滞納した場合にも、給料が差し押さえられる可能性があります。貸金業者からの借金とは差し押さえまでの流れが異なるので、税金を滞納している方はこちらもチェックしてください。こちらでは住民税の滞納によって給料が差し押さえまでの流れを紹介していきます。

督促状が届く

住民税を滞納していると、納付期限から20日以内に督促状が届きます。督促状には次のような内容が書かれています。

  • 税金の種類
  • 期別
  • 本来の納付期限
  • 納付すべき税額
  • 延滞金の金額(記載日時点)
  • 納付書の取扱期限

延滞金は督促状の記載日時点での金額です。実際に納付する場合は、これよりも高額になっているので気を付けてください。督促状自体には法的な強制力がないものの、後の給料差し押さえにつながる意味を持つ書類になるため、督促状が届いた段階で速やかに納付するようにしましょう。

訪問や電話による催促がある

お住いの市区町村によっては、電話や自宅への訪問で催促が行われることも。自宅の固定電話にかかってくる場合が多いので、同居家族に税金を滞納していることがバレる可能性があるでしょう。

差押予告書が届く

督促状や電話、訪問での催促があっても納付しないときには、役所から「差押予告書」という書面が届きます。「差押予告通知書」や「差押事前通知書」といった表題で送付される場合も。内容証明郵便で届くケースもあり、間違って捨てられないように赤やピンクなど派手な色の封筒に入れられ、「至急開封」「重要なお知らせ」といった文言が印刷されています。

差押予告書には、次のような内容が記載されています。

  • 差し押さえ対象の資産の種類・数量
  • 納付期限
  • 差し押さえの理由
  • 差し押さえ予定日

財産調査・身辺調査の実施

差し押さえが必要と自治体が判断した場合、財産調査と身辺調査が行われます。調査の目的や内容は以下の通りです。

財産調査 どのような財産を保有しているか調査する

勤務先や金融機関などに聞き取りし、給料・預貯金・不動産などの財産を特定する

身辺調査 就業状況を調査するため、勤務先や取引先への聞き取りが行われる

上記の財産調査で差し押さえ可能な財産が見つからないときには、自宅や勤務先に立ち入って「捜索」が行われます。捜索は予告なしに行われ、刑事事件の家宅捜索に似たやり方で、隠し財産がないか調べられます。

差し押さえが実行される

税金滞納による給料の差し押さえは、督促状の発送から10日以降であればいつでも可能というのが法律で認められています。一般的には、滞納後1~3カ月で差し押さえが実行されます。税金の滞納に関しては、裁判手続きが不要なため、通常の借金よりも早く差し押さえが実行されます。

一度の督促状の送付だけで差し押さえられることはまずありませんが、役所から連絡が来たときには「まだ大丈夫」とのんびりせず、早急に納付について窓口で相談するようにしてください。

住民税の滞納で給料を差し押さえられるまでの流れについては、こちらの記事を参考にしてください。

「住民税の滞納で差し押さえられるまで|滞納リスクと流れを理解し、差し押さえを回避」

差し押さえとなる給料について

給料が差し押さえ対象となったとき、いくら差し押さえされ、いつまで差し押さえが続くのかは気になるところです。またボーナス・退職金・年金はどうなるの?という疑問をお持ちの方もいるでしょう。こちらでは差し押さえとなる給料について詳しく見ていきます。

差し押さえの上限金額

差し押さえとなる給料の上限金額は、貸金業者からの借金と税金とで異なります。

【貸金業者からの借金】

いくら借金を延滞したからといえ、給料全額を差し押さえられてしまっては生活ができなくなります。そこで「民事執行法第152条」では、給料差し押さえの上限金額を設けています。貸金業者からの借金を延滞して給料が差し押さえられた場合、差し押さえの上限金額は以下の通りです。

手取り金額が44万円以下 手取り金額の1/4まで
手取り金額44万円超 手取り金額33万円を超える部分の全額

例えば手取り金額が40万円の方の場合、差し押さえ上限金額は1/4の10万円となります。手取り金額が45万円の場合は、33万円を差し引いた12万円が差し押さえの対象です。勤務先では裁判所からの差押命令に基づいて、差し押さえ分を差し引いた金額を給料として振り込みます。

給料等の手取り金額は、総支給額から所得税・住民税・社会保険料を控除した金額です。なお給料には基本給や諸手当を含みますが、通勤手当は含まれません。

【税金】

税金滞納による差し押さえでは、給料の額面(総支給額)から次の項目を差し引いた金額となります。こちらは「国税徴収法第76条」に規定されています。

  • 所得税
  • 住民税
  • 社会保険料
  • 10万円
  • 扶養家族一人につき45,000円
  • 給与額面から1~3を差し引いた金額×2(20%)

上記の方法で計算した場合、貸金業者からの借金による差し押さえよりも範囲が広くなる可能性があります。

差し押さえの期間

給料の差し押さえは、裁判所からの書面や役所からの差押通知書に記載された滞納金額を完済するまで続きます。例えば債権名義に基づいて100万円請求できるというケースでは、手取り30万円の給料から毎月75,000円差し押さえられます。これが100万円完済するまで、14か月続きます。

ボーナス・退職金

給料だけでなくボーナスや退職金も差し押さえの対象となります。ボーナスと給料の両方が支給される月は、ボーナスと給料それぞれから1/4(手取り44万円以下)ずつ、もしくは33万円を差し引いた金額(手取り44万円超)がそれぞれ差し押さえられます。退職金も手取りの1/4が差し押さえ対象です。

自営業者・会社役員

自営業者や会社役員の場合、給与所得者とは違った計算方法になる点に注意が必要です。自営業者の売り上げや会社役員の役員報酬は、基本的に全額が差し押さえ対象になります。また取引先に対する売掛金も、全額が差し押さえとなります。また保険外交員などは、保険会社との契約によっては手取り全額が差し押さえ対象となる可能性があります。

口座に入っている給料

多くの方は給料を銀行(郵便局)振込にしているでしょう。すでに口座に振り込まれた給料は、預貯金とみなされて全額が差し押さえ対象になります。差し押さえ対象になるのは、口座がある金融機関に差押命令が送達された時点の預貯金残高です。差し押さえられた預貯金は別にされて、口座名義人は自由に引き出せなくなります。

このようなときには裁判所に「差押債権の範囲の変更申し立て」を行うことで、総額の1/4を超える差し押さえが解除されます。ただしこの手続きは、差し押さえから1週間以内に行う必要があります。1週間を過ぎてしまうと、差し押さえは解除されないので注意してください。

年金

年金の差し押さえは、公的年金か私的年金かによって変わってきます。

公的年金

国民年金や厚生年金などの老齢年金、遺族年金や障害年金などの公的年金は、基本的に差し押さえ禁止財産に当たるため、差し押さえの対象とはなりません。年金は最低限度の生活をするために欠かせないものとされているためです。

ただし年金が振り込まれた口座の残高は、全額が差し押さえ対象となる点に注意が必要です。こちらも給料のケースと同様に「差押債権の範囲の変更申し立て」により、変更できます。

私的年金

公的年金とは別に、個人で任意に加入できる私的年金があります。私的年金の中でも次のようなものは、差し押さえ禁止財産として公的年金と同様に扱われます。

  • 国民年金基金
  • 厚生年金基金
  • 確定給付企業年金
  • 確定拠出年金

一方で金融機関や保険会社が提供している個人年金、いわゆる年金保険や養老保険と呼ばれるものに関しては、差し押さえ禁止財産に該当しません。あくまで「保険」の扱いとなり、差し押さえ対象となります。

年金も差し押さえの対象になるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「借金を滞納すると年金も差し押さえになる?差し押さえられる条件や回避方法を解説します」

給与差し押さえを受けると起こること

給料が差し押さえられると、次のようなことが起きる可能性があります。

住宅ローンが強制解約される

給料が差し押さえ対象となると、住宅ローンが強制解約になる可能性があります。というのも差し押さえらえた口座がある金融機関で住宅ローンを組んでいる場合、口座にある預貯金が他の債権者から差し押さえられてしまうと、その口座がある金融機関からの借入も強制解約になってしまうため。

住宅ローンが強制解約になると、期限の利益を喪失し残額の一括返済が求められます。ローン残債が少ない場合にはどうにか工面すれば一括で支払えるかもしれませんが、そうでない場合には最終的に自宅は競売にかけられて強制退去となります。

口座が凍結される

住宅ローンが強制解約になると、ローン残債を相殺するために口座が凍結されます。口座名義人は預貯金が引き出せなくなるだけでなく、入金するのも不可能に。凍結された口座が、給与振り込みや公共料金の振り替えに使われているときには、それらの手続きができなくなります。

銀行口座の差し押さえに関する対処方法は、こちらの記事を参考にしてください。

「銀行口座の差し押さえは会社や家族にバレる?バレないケースや対処方法を詳しく解説」

ブラックリストに登録される

借金延滞が2カ月以上続くと、債権者から信用情報機関に延滞情報として報告されます。これはいわゆる「ブラックリスト状態」です。ブラックリストに登録されると、次のようなことができなくなります。

  • クレジットカードの利用・新規作成ができない
  • ローンやキャッシングができない
  • 住宅ローン審査が通らない
  • スマホ・携帯電話の本体分割払いができない
  • 賃貸物件を契約できないことも
  • 奨学金の保証人になれない

ブラックリストがいつ消えるかやその消し方については、こちらの記事を参考にしましょう。

「ブラックリストはいつ消える?消し方は?個人信用情報をきれいにする方法」

家族への影響

給料が差し押さえられると、手取り額が減少することから家族にバレてしまいます。また税金滞納で金融機関の口座が差し押さえられると、通帳の摘要欄に「サシオサエ」と記載されます。生活費が減ると他の借金支払いができなくなるほか、日常生活にも大きな影響がでます。車のローンが支払えないときには、車を手放さざるを得ません。

また住宅ローンが強制解約になってしまうと、マイホームから出ていかなければなりません。このように給料の差し押さえは、家族にも大きな影響を及ぼします。

勤務先での影響

給料が差し押さえられると、当然ですが勤務先に知られることになります。借金を延滞して給料を差し押さえられるまでに至ったということで、勤務先の人からの信頼を失いかねません。また差し押さえ通知は債務者に通知される前に勤務先に届くため、先回りして退職することも不可能です。

法的には、企業は給料差し押さえを理由として従業員を解雇することはできません(労働契約法第16条)。しかし給料を差し押さえが勤務先にバレてしまえば、社内での信頼関係に悪影響を及ぼすことは避けられないでしょう。

給与差し押さえは無視できるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「給料差し押さえは無視できる?差し押さえまでの流れや期間、回避方法について解説!」

給与差し押さえを回避・解除する方法

給料の差し押さえを事前に回避したり、差し押さえ後に解除する方法はいくつかあります。こちらでは貸金業者からの借金と税金とに分けて、それぞれの方法を紹介していきます。

【貸金業者からの借金】差し押さえを回避する方法

給料差し押さえを事前に回避するには、次のような方法があります。

債権者に分割払い交渉する

法的手続きに入る前に債権者に交渉して、分割払いを認めてもらえれば、給料差し押さえが回避できます。交渉時には支払う意思があることを誠実に伝え、月いくらだったら支払えるかといった具体的な金額を提示したうえで相談しましょう。

債権者としても、裁判所に申し立てて差し押さえを実行するには、時間や費用がかかります。それ以前に返済してくれるのであれば、分割払いに応じてくれる可能性があります。

借金の分割交渉の方法やコツについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「借金の分割交渉のやり方とは?成功させるポイントと自力交渉が難しいときの対処法」

債務整理する

債務整理の手続きを進めることで、給料差し押さえを回避できます。債務整理には主に次の3種類があり、それぞれで手続きの特徴が異なります。

債務整理 手続きの内容
任意整理 これから発生する利息や過去の遅延損害金をカットできる手続きで返済期間の延長も可能
裁判所を通さず債権者と直接交渉する手続きで、整理対象を選べるのが特徴
減額された借金は3年~5年かけて返済していく
個人再生 裁判所に申し立てて再生計画が認められれば返済総額を大幅に減額できる
減額された借金は返済の義務が残るため、安定した収入があることなどが条件
自営業者でも可能な「小規模個人再生」とサラリーマンなどが対象の「給与所得者再生」の2種類ある
自己破産 一定以上の財産を処分する代わりに裁判所に申し立てて借金を免責できる手続き
財産や免責不許可事由のない場合の「同時廃止」と、破産管財人によって財産や借金の理由を調査される「管財事件」があり、破産までの期間や費用が異なる

収入や借金の状況によって最適な債務整理の方法が異なります。詳しくは弁護士など法律の専門家に相談してください。

債務整理の種類ごとのデメリットについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「債務整理したらどうなる?デメリットや影響を把握して、後悔しない借金解決方法を!」

弁護士に相談

給料差し押さえを回避するために債務整理を検討している方は、弁護士に相談することをおすすめします。自分に適した債務整理の方法が分かるだけでなく、債権者との交渉や裁判手続きを任せられます。また弁護士から債権者に「受任通知」が送付されると督促がストップします。以降は債権者からの取り立てから解放されるので、精神的な負担を軽減できるでしょう。

すでに債権者から差押予告通知書が届いている方は、差し押さえまでの猶予がわずかです。すぐに一括で返済できない状況なら、早めに弁護士に相談してください。

お住いの地域で、借金問題に強い弁護士を見つける>>

【税金】差し押さえを回避する方法

税金滞納による給料差し押さえを回避するには、こちらの方法を参考にしましょう。税金の滞納分は、債務整理をしても基本的に減免できません。これは税金が「非免責債権」となっているためです。強制執行されないまでも滞納している税金がある方は、以下の方法で差し押さえを回避してください。

役所に相談

税金を滞納しているときは、まずは役所の窓口で支払い方法について相談してください。役所では相談に来てくれた人に対して、ほとんどのケースで相談に応じてくれます。役所に行けないときには、電話での相談でも構いません。今すぐに納められない理由を説明して、支払う意思があることを真摯に伝えてください。

公共料金が支払えないときの対処法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「公共料金が払えない!借金・公共料金が払えないときの対処法と利用できる公的支援制度を紹介」

分割納付できないか相談する

一括で税金を納められないときには、分割納付できないか相談しましょう。普通徴収の住民税の場合、毎月1回の最長12回まで分割納付が認められる可能性があるためです。税金の種類によって異なるものの、次のような事情があるときには、分割納付が認められます。

  • 災害
  • 盗難
  • 本人や家族の病気・負傷
  • 事業の損失・休業・廃業
  • 産休・育休

長期の分割納付を希望する場合は、別途資料の提出が求められることも。詳しくは自治体の担当窓口にお問い合わせください。

住民税を滞納するとどうなるかについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「住民税を滞納するとどうなる?滞納のリスクと適切な対処法、借金問題解決方法を徹底解説」

減免制度を申請する

住民税では一定の要件を満たしている場合にかぎり、減免制度が受けられる可能性があります。通常1年間の住民税の納付額を減額したり免除できる制度です。減免制度が受けられる要件は以下の通りです。

  • 生活保護を受給することになった場合
  • 災害により住宅や家財が損害を受けた場合
  • 災害により死亡又は障害者になった場合
  • 前年の所得が一定以下で、失業などにより長期間その状態が続くと認められた場合
  • 前年の所得が一定以下で、前年の所得と比較して一定割合以上所得が減少した場合

ただしこの減免制度は、住民税の納付期限が過ぎると申請できません。必ず納付期限前までに手続きするようにしましょう。

猶予制度を利用する

納税の猶予制度を利用することで、納付期限を1年、当初の猶予期間中に申請することで最長2年まで延ばすことができます。また延滞税は最大1年分が全額免除されます。納税の猶予制度が認められるのは、次のような条件に当てはまる場合です。

  • 納税者本人または同一生計の家族が病気になり、入院等で多額の費用を要した場合
  • 納税者が災害を受けて財産を失くしたり盗難に遭った場合
  • 納税者の営む事業で、著しい損失が生じた場合
  • 納税者の営む事業が、廃止または休止した場合

滞納処分の停止

給料の差し押さえを回避できる最終手段が「滞納処分の停止」です。差し押さえによって生活が著しく困窮するときなどに、地方団体の長もしくは税務署長の認定があれば認められます。ただしこちらは滞納者が自分で申し立てる手続きではないため、注意が必要です。

また差し押さえ可能な財産があるときには、滞納処分の停止は難しいでしょう。給料が差し押さえられると生活できないというときには、ダメ元で相談してみるのも一つの手です。

【貸金業者からの借金】差し押さえを解除する方法

貸金業者からの借金を延滞してすでに差し押さえが実行されている場合、差し押さえを解除するには次のような方法があります。

一括返済

すでに差し押さえがなされていても、残債を一括で返済できるのであれば、それ以降の差し押さえは解除できます。一括払いによって、全ての債権がなくなるためです。親や親族に借りられるのであれば、支援をお願いして一括返済してください。

ただしたとえ親族であっても、個人間のお金のやり取りはトラブルになりやすいです。返済条件を伝えたうえで、借用書を交わすなどしてトラブルを避けましょう。

個人再生をする

債務整理の中でも個人再生の手続きをした場合には、給料の差し押さえが解除できます。個人再生の申立て時に、当該裁判所に対して給料差し押さえの中止命令を出してもらえるように申立てを行えば、裁判所の判断次第で中止命令が出されます。

中止命令が出されたら強制執行停止の上申書を、執行裁判所に提出してください。執行裁判所がこれを受けて強制執行を停止すると、給料の差し押さえがストップします。その後再生計画の認可決定が確定した後で、執行裁判所に強制執行手続きの取り消しを申し立てます。

そして差押命令取り消しの決定が出されたあとで、ようやく預けられていた分の給料が、本人のもとに返還されるという流れです。預けられていた給料が受け取れるまでの期間は、個人再生の申立てをしてから半年~8カ月前後です。

個人再生でやってはいけないことについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「個人再生でやってはいけない15のこと|スムーズに進めるコツを知って、手続きを成功させよう」

自己破産をする

自己破産手続をすると、給料の差し押さえが解除できます。一方で差し押さえ解除後に、差し押さえ前と同様の給料を受け取れるようになるまでの時間は、自己破産の種類に応じて次のように変わってきます。

同時廃止 給与差し押さえ手続きの中止を求める上申書を執行裁判所に提出する、もしくは破産手続開始決定と同時に強制執行が中止となる

それ以降の差し押さえられた給料は、勤務先に留保または供託される

免責決定が出た時点で、留保または供託されていた給料が手元に戻る

管財事件 破産手続開始決定と同時に、差し押さえが中止される

差し押さえられた給料を含めて全額を、債務者がすぐに受け取れるようになる

管財事件は破産手続開始決定と同時に、差し押さえられた分を受け取れるのに対して、同時廃止では免責決定が出ないと給料が手元に戻ってこない点に注意してください。

自己破産手続中の収入はどうなるか心配な方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産手続き中の収入は差し押さえられる?財産を手元に残すための注意点を徹底解説」

【税金】差し押さえを解除する方法

税金の滞納によって差し押さえられた場合は、次のような手続きで解除が可能です。

換価の猶予

督促状や差押予告書が届いている場合や、すでに給料が差し押さえられている場合には、「換価の猶予」という手続きで差し押さえ解除ができます。これは上で紹介した猶予制度のことで、一定の要件が認められる場合に1年間の猶予が認められます。

生活保護の申請

住民税の納付ができないばかりか毎日の生活に困るほど苦しいときには、生活保護の受給を検討してください。すでに差し押さえが開始されていても、生活保護の受給と同時に差し押さえは停止されます。これを「滞納処分の執行停止」といいます(地方税法第15条)。

一方で生活保護の受給には、次の要件を満たす必要があります。

  • 預貯金や不動産など生活費に充てられる財産がない
  • 働けず収入を得られない
  • 年金や手当など他の制度の給付を受けられない
  • 親族等からの援助を受けられない

収入がある場合でも、単身世帯で10~13万円(年収156万以下)であれば、その差額が生活保護として受給できます。また生活保護受給世帯は原則として住民税が非課税になります。受給以降の住民税は支払わなくてもよいということに。収入がゼロ、もしくは少なくて生活に困っているときには、生活保護の手続きを検討しましょう。

生活保護受給中に借金できるかについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「生活保護受給中に借金しても良いか知りたい!バレるリスク&お金に困ったときの対処法とは」

まとめ

給料が差し押さえられるまでの流れは、貸金業者からの借金と税金とでは異なります。貸金業者からの借金の場合は、裁判所から支払督促や訴状が届いてから約3カ月程度。税金の場合はそれよりも早く、滞納開始から最短で1カ月程度で差し押さえが可能になります。

給料の差し押さえを受けると、住宅ローンが強制解約になり口座が凍結されます。家族や勤務先への影響も大きく、他の借金が返済できなくなることも。差し押さえられる給料の上限は、細かく規定がありますが、基本的に債権名義にある金額に到達するまで続きます。

差し押さえを回避するには、債務整理や役所への分納相談、減免や猶予制度の申請が有効です。すでに差し押さえされている場合は、個人再生や自己破産手続を行うほか、税金の場合は換価の猶予や生活保護の申請で差し押さえをストップできます。

債務整理の相談なら専門家にお任せください!

  • 借金で首が回らない
  • 人生を一からやり直したい
  • 自己破産のメリット、デメリットが知りたい
人生はいつからでもやり直せます。弁護士はあなたの味方です。

借金解決の基礎知識カテゴリの最新記事

PAGE TOP