任意整理で借金どれくらい減る?減額できる仕組みと向いている人、減額割合をシミュレーション

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  • 「任意整理するとどれくらい借金が減るか知りたい」
  • 「任意整理したいけど、自分は向いている?」

任意整理をお考えの方の多くは、手続きをすると借金がどのくらい減るか知りたいはず。そもそもどのような仕組みで借金が減額できるかや目的について知らない方も多いのではないでしょうか。そこでこちらの記事では、任意整理で減額できる理由や任意整理の目的、借金金額ごとの減額割合についてシミュレーションしながら解説していきます。

さらに任意整理以外の債務整理を選択した場合の減免割合や任意整理に向いている人についても詳しく解説。任意整理を成功させるポイントや特徴をよく理解し、任意整理で借金問題を解決していきましょう。

 

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任意整理で減額できる仕組み

任意整理をすると、借金総額を減額できたり、毎月の返済額を減らすことができます。ではなぜそのようなことが可能なのか、任意整理の仕組みについて解説していきます。

債権者と交渉して減額を目指す

そもそも任意整理とは、借金の貸主である債権者と「任意」で直接交渉して双方が納得する条件で和解し、借金を減額するなどして「整理」する手続きです。任意整理で重要なのは、債権者の合意を得ることといえるでしょう。つまりクレジットカード会社や消費者金融、銀行などの合意が得られないと任意整理を行えません。

裁判所を利用せず、あくまで任意で話し合う方法を取ることから「任意整理」と呼ばれています。任意整理を成功させるには、債権者との交渉能力が必須。そのため弁護士や司法書士といった専門家に依頼するのが一般的です。

任意整理の和解までの流れや再和解の方法については、こちらの記事を参考にしてください。

「任意整理の『和解』って?和解までの流れと対処方法、再和解を成功させるコツを解説」

任意整理の目的

任意整理を行うのは、次に紹介する5つの目的があるからです。

経過利息をカットできる可能性

任意整理をすると、「経過利息」を減額できる可能性があります。経過利息とは、任意整理の手続きを開始した後から合意時までに発生する利息のこと。具体的には任意整理を弁護士などの専門家に依頼して、弁護士から債権者に「受任通知」を送った後から、和解契約成立時までということになります。

本来であれば、任意整理を開始した後も合意するまでの間は約定通りの利息が発生します。しかし交渉によって経過利息をカットしてもらえる可能性があるという訳です。ただし債権者によっては経過利息は払うよう要求してくるケースも。必ず減額できるとは限らないので注意しましょう。

将来利息を減額できる

任意整理で「将来利息」を減額できるケースが多いでしょう。将来利息とは債権者との和解が成立した日から、完済日までに発生する利息のこと。借金している以上本来であれば、完済時まで利息を払い続けなければなりませんが、任意整理するとこの将来利息を丸々カットでき、元本のみの返済でよくなります。

借金の利息は債権者によって次のように異なります。

消費者金融 年利18%前後
銀行系カードローン 年利10~15%

また借入額によっても、次のように利息上限が法律(利息制限法)で定められています。

借入額 上限金利(年利)
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

将来利息をカットできるということで、借金の総返済額が大きく減り、毎月の返済額も減額できる人が多数です。

任意整理で将来利息をカットできる条件や金額については、こちらの記事を参考にしましょう。

「任意整理で減額できる『将来利息』とは?カットできる条件や金額、事例を解説」

遅延損害金の減額が可能なことも

債権者によっては、「遅延損害金」の減額が可能な場合があります。遅延損害金とは、借金返済を延滞したときに生じる賠償金のこと。返済期日の次の日から1日経つごとに年利3%~14.6%の遅延損害金が加算されます。本来なら遅延を解消するまでの間、遅延損害金を支払い続けなければなりません。

しかし任意整理すると、約定通りに支払えなくなった分の遅延損害金がカットできるという訳です。その分の返済総額を減額でき、毎月の負担も減らすことができます。こちらも経過利息の減額同様、債権者によってカットできるか未知数です。交渉次第で減額できる可能性があるという程度で考えましょう。

過払い金が発生しているか調査できる

任意整理すると、過払い金が発生しているかどうかチェックできます。過払い金とは2006~2007年以前から借金している方に発生している可能性があるもの。2008年以前は利息制限法の上限金利を超える高い金利で貸し付けが行われており、現在の法律に照らすと払う必要のない利息です。

任意整理を含む債務整理では、法律上認められた上限額で利息を計算し直し、過払い金がないか明らかにする「引き直し計算」が行われます。引き直し計算で過払い金があると判明した場合は、返済すべき元本に充当できます。元本よりも過払い金が多い場合は、「過払い金返還請求」によって払い過ぎた利息を取り戻せる可能性があります。

次の2つの条件を満たしている方は、過払い金が発生している可能性があります。

  • 返済中である
  • 最終返済日もしくは完済から10年経過していない
  • 債権者が過払い金返還請求に対応している
  • 2006年頃に取引を開始した

2010年6月の利息制限法の改正によって過払い金が発生するようになりましたが、2006年に最高裁判所において判決が出た以降は、消費者金融やクレジットカード会社がすぐに上限金利を変更しています。多くの金融機関は2007年までに上限金利を変更しているので、少なくとも2006年ころまでに取引を開始した借金に過払い金が発生している可能性があります。

返済期間の延長による減額効果

任意整理の目的の最後は、支払期間の延長によって得られる減額効果です。任意整理すると、減額後の借金を原則3年(36回)最長で5年(60回)で分割返済できるようになります。例えばあと2年で完済予定の100万円の借金がある場合でも、任意整理によって返済期間を3~5年に延長できます。

利息カットも同時に行うと、返済月額は当初よりも大きく減額可能に。毎月の返済額が減額できれば、家計にゆとりが生まれ、貯金もできるようになるはずです。

元金以上の減額は不可

任意整理は将来利息や経過利息、遅延損害金をカットできる可能性があるものの、元金以上の減額は原則としてできません。そのため利息を減額しても返済できない借金が残るという方は、任意整理以外の債務整理を検討した方が良いと考えます。

自分がどの債務整理に向いているか分からないという方は、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめ。現在の借金状況や収入、家計などを総合的に見て、あなたに最適な債務整理方法をアドバイスしてくれるでしょう。

【シミュレーション】任意整理した場合の減額割合と月々の返済額

こちらでは任意整理でどのくらい返済額が減るか知りたい方向けに、減額割合と毎月の返済額をシミュレーションしています。こちらでは年利を15%として計算し、毎月の返済額を3年~5年に設定。任意整理でどのくらい減額できるか知りたい方は、現在の元金がどのくらい残っているかチェックしてください。

【借金100万円】

借入元金が100万円ある方が、任意整理する場合と任意整理しない場合の総返済額や毎月の返済額(3年)は以下の通りです。

任意整理の有無 任意整理する 任意整理しない
借金額 100万円 100万円
利息 0円 247,934円
総返済額 100万円 1,247,934円
毎月の返済額(3年) 約27,800円 約34,700円

任意整理した場合の総返済額は100万円、毎月の返済額は3年で約27,800円です。任意整理しない場合の毎月の返済額は約34,700円で、総返済額は任意整理する場合と比べて約248,000円も多くなります。

【借金200万円】

年利15%の借金が200万円ある方が、任意整理する場合としない場合の詳細は以下の通りです。

任意整理の有無 任意整理する 任意整理しない
借金額 200万円 200万円
利息 0円 495,888 円
総返済額 200万円 2,495,888円
毎月の返済額(3年) 約55,600円 約69,000円

毎月の返済額を見ると、任意整理する場合で約55,600円、しない場合で約69,000円と13,400円も差が生じます。総返済額では約50万円の差が出ることになります。

【借金300万円】

借金300万円ある方が任意整理すると、任意整理しない場合に比べて次のような差が出ます。

任意整理の有無 任意整理する 任意整理しない
借金額 300万円 300万円
利息 0円 743,842円
総返済額 300万円 3,743,842円
毎月の返済額(5年) 50,000円 約62,400円

返済期間を5年に設定すると、毎月の返済額は任意整理する場合で5万円、しない場合で約62,400円です。トータルにすると約744,000もの差が生じることになります。

【借金500万円】

では借金500万円の場合はどうでしょうか。

任意整理の有無 任意整理する 任意整理しない
借金額 500万円 500万円
利息 0円 2,136,958円
総返済額 500万円 7,136.958円
毎月の返済額(5年) 83,300円 約119,000円

こちらも5年で返済した場合、任意整理すると毎月の支払額は83,300円、しない場合で199,000円となります。トータルでは約214万円もの利息をカットできる計算に。任意整理するとしないとでは、返済総額・毎月の返済額とも大幅に変わることが分かります。

任意整理以外の債務整理を選択した場合

では、任意整理以外の債務整理を選択した場合、返済総額や毎月の返済額はどのように変わるのでしょうか。債務整理には、任意整理の他に個人再生や自己破産があります。それぞれのケースについて、手続きの特徴や減額割合について見ていきます。

個人再生

個人再生は借金を借りた側に返済不能の恐れがあることを裁判所に申立て、再生計画案の認可を受けることで借金総額を大幅に減額できる手続き。残った借金は任意整理と同様に原則3年、最長で5年かけて完済を目指します。

任意整理では将来利息・経過利息・遅延損害金の減額が可能なものの、元本の減額は不可能です。一方の個人再生では、借金総額ごとの最低弁済額が次のように決められています。

借金総額 最低弁済額
100万円未満 全額(減額なし)
100万円以上500万円以下 100万円
500万円以上1500万円以下 借金額の1/5
1500万円以上3000万円以下 300万円
3000万円以上5000万円以下 借金額の1/10

借金総額が100万円未満の場合、最低弁済額は減額なしの全額ですが、100万円~500万円の場合は、一律で100万円に減額できます。借金総額が高額になる程減額割合は大きく、最大で1/10にまで圧縮可能です。こちらでは借金総額200万円・300万円・500万円の場合の減額後の借金総額と毎月の返済額です。

借金額 200万円 300万円 500万円
減額後の金額 100万円 100万円 110万円
毎月の返済額(3年) 約27,800円 約27,800円 約30,600円

借金額が200万円でも300万円でも、個人再生後の返済額は100万円となります。一方で500万円の借金がある方は、110万円と大幅減額可能です。個人再生は借金総額が大きいほど減額効果が高いということが分かります。

個人再生の最低弁済額については、こちらの記事を参考にしましょう。

「個人再生の最低弁済額が知りたい!手続き別の計算方法や減額できないケース、滞納後の対処方法」

自己破産

自己破産は、裁判所に返済不能状態であることを申立てて「免責許可決定」を得て、借金の返済義務を免除(免責)してもらう手続き。一定以上の財産を処分して債権者への返済に充てる必要があるものの、借金総額も毎月の返済額も0円にできます。

ただし希望すればだれでも手続きができる訳でなく、次の3つの条件に該当しなければなりません。

  • 支払不能状態であること
  • 予納金(裁判所費用)を支払えること
  • 不誠実な申立てでないこと

また次のようなケースでは、自己破産しても問題を解決できない可能性があります。

免責不許可事由がある 破産法で定められている11の免責不許可事由がある場合、自己破産しても原則として借金をゼロにすることができない。
借金の多くが非免責債権である 自己破産で免責が許可されても、税金や罰金、養育費や慰謝料といった非免責債権は免責できない。そのため借金の大部分が非免責債権だと自己破産のメリットがほぼないといえる。
財産を処分されたくない 自己破産すると99万円以上の現金や評価額20万円以上の財産は処分される。

どうしてもこれらの財産を失いたくない場合は、自己破産以外の方法を検討すべき。

保証人に迷惑をかけたくない 保証人付きの借金を自己破産すると、保証人が債権者から借金返済の請求を受けるようになる。

どうしても保証人に迷惑をかけたくない方は、自己破産以外の方法を取るしかない。

自己破産できないケースや適さない人については、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産ができない9つのケースとは?対処方法や自己破産に適さない人について解説」

任意整理が向いている人・借金の特徴

ではどのような人が任意整理に向いているのでしょうか。こちらでは任意整理に向いている人や借金の特徴について解説していきます。

借金総額が300万円以下

借金総額が300万円以下の方は、基本的に任意整理に向いています。収入が少ない方は、残元金が100万円~200万円程度が適しているでしょう。自分が任意整理に向いているかは、残元金を3年の36回払いで完済できそうかチェックするのがベストです。収入から毎月かかる固定費や変動費を差し引いて、シミュレーションした毎月の返済額が返済可能か調べてみましょう。

借金の総額が大きすぎると、任意整理しても完済は難しいです。逆に借金総額が数十万円と少なすぎても、専門家に支払う費用を考えると、それほどメリットは得られません。一般的に任意整理の下限額は30万円程度といわれていますが、100万円~300万円の借金がある方は、任意整理が向いていると考えられます。

借金総額が収入の1/3を超えている

借金総額が収入の1/3を超えている方は、任意整理を考えた方がいいでしょう。年収の1/3という基準は「総量規制」といい、貸金業法で定められている貸金業者に対する規制のこと。年収の1/3を超える貸し付けは、原則として禁止されています。

背景には、返済しきれないほどの借金を抱えた「多重債務者」の増加が社会問題になっていることがあげられます。この多重債務問題を解決するために、過度な借入から消費者を守る目的に総量規制が導入されました。これは借金が返済可能かを判断する基準となり、収入の1/3を超える借金がある方は、完済が困難だと考えられるため、任意整理した方がいいといえます。

自転車操業状態になっている

借金総額が年収の1/3を超えていなくても、返済のために別のところから借金するいわゆる「自転車操業」状態になっている方は、早急に債務整理すべきでしょう。3社以上の複数社から借金している方が自転車操業状態に陥りやすく、すでに家計が破綻している可能性が高いです。

収入の1/3を超えると正規の貸金業者からは借金できなくなるため、返済が滞ることが目に見えています。一方で総量規制の制限を受けない貸金業者のほとんどは闇金業者です。今までよりもはるかに高い金利を取られたり、違法な取り立てや悪質な督促を受ける可能性が高いでしょう。

このようにどうしようもなくなる前に、任意整理をして効果的に借金を減額することで、生活の再設計がしやすくなります。

利息の高い借金が多い

利息の高い借金が多い方も、任意整理に向いています。任意整理の主な目的は利息のカットだからです。そのため、とくに年利10%以上と利息の高い消費者金融からのキャッシングやカードローン、クレジットカードのリボ払いなどを利用している場合は、有効な解決方法となります。

また任意整理前の返済回数が少ない方も、毎月の返済額が大きいので、任意整理による減額効果が得られやすいでしょう。

自動車ローン・住宅ローンを利用している

自動車ローンや住宅ローンを利用していて、ローン返済中の車や家を処分したくない方は、任意整理が向いています。任意整理は手続きする債権者を選べるので、これらの債権者を手続きの対象から外すことで車や家を手元に残しておけます。

一般的に自動車ローンや住宅ローンを任意整理すると、車をローン会社に引き上げられたり、住宅を売却されてしまいます。個人再生を選択すると財産を処分する必要がないものの、その分返済額が大きくなってしまいます。また自己破産では、ローン会社に財産を処分されてしまうでしょう。

そのため手放したくないローン返済中の財産がある方は、手続きする債権者を選べる任意整理が適しています。

最低限の支払い能力がある

任意整理できる条件に、最低限の支払い能力があることがあげられます。上で説明したように、任意整理は手続き後も返済が続きます。毎月継続した収入がないと、債権者が任意整理の交渉に合意しない可能性があるからです。

とはいえ正社員に匹敵する収入が求められる訳ではありません。パートやアルバイト程度の収入でも大丈夫です。現在無職でも、就職予定がある方なら債権者が合意に応じる可能性が高いでしょう。さらに専業主婦でも、夫の収入から返済できるようであれば問題ありません。

ただし交渉時に夫の給与明細などを提示して、返済能力を示す必要が出てきます。そのため夫に内緒で手続きを進めるのは難しいケースがあります。

保証人に迷惑をかけたくない

保証人に迷惑をかけたくない人は、任意整理に向いています。前出の通り任意整理は手続きを行う債権者を選べます。保証人が付いている借金を手続きから除外すれば、保証人に迷惑をかける心配がありません。

その点、個人再生や自己破産はすべての借金が手続きの対象になります。保証人付きの借金だけを除外して手続きすることはできなないので、個人再生で減額した分や自己破産で免責になった金額が保証人に一括請求されます。そのため保証人に迷惑をかけることは避けられないでしょう。

周囲に知られたくない

借金があることや債務整理したことを周囲に知られたくない人も、任意整理に向いています。裁判所を利用する個人再生や自己破産では、最低でも2回は国の機関誌である「官報」に住所や氏名が掲載されます。官報を日常的に見ているのは一部の職業の人に限られますが、それによって周囲にバレるリスクはあります。また裁判所からの書類や電話が届くため、家族に知られてしまう可能性が。

一方で任意整理の場合は裁判所から電話や書類が届く心配はありません。また弁護士などの専門家に手続きを依頼すると、借入先からの取り立てを即時ストップでき、債権者からの連絡や交渉をすべて任せられます。自分の代わりに対応してもらえるので、勤務先や近所にバレる可能性は限りなく低いでしょう。

あらかじめ弁護士に「家族にもバレたくない」と伝えることで、弁護士事務所からの郵便について配慮してもらえたり、自分の携帯電話のみに連絡をくれるようにしてもらえます。

周囲にバレずに手続きしたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「任意整理をバレずに手続きしたい方必見!原因と対処法を知って賢く借金を減額」

任意整理を成功させるためのポイント

任意整理を成功させるには、任意整理ならではの注意点や特徴をよく理解し、適切に手続きを進める必要があります。次に紹介するポイントを把握して、手続きを成功させましょう。

毎月の返済額を減らすには返済回数が重要

任意整理後の毎月の返済額を減らすには、返済回数を多くする必要があるでしょう。任意整理で将来利息を減額できても、現在よりも少ない返済回数で和解してしまうと、毎月の返済額が以前より増加する可能性があるからです。

返済回数については債権者側の合意を得る必要があるものの、事前に何回以上なら毎月の返済額を減らせるか確認したうえで交渉をしなければなりません。業者によって違いがあるものの、一般的な消費者金融や審判会社であれば3年(36回)の分割払いで合意に応じないというケースはほとんどなく、4年(48回)や5年(60回)で分割払いに応じてくれるところも多くあります。

このあたりの返済回数を目安にして、任意整理で毎月の返済が楽になるかどうかを検討してみましょう。

毎月の返済額には余裕を持たせる

任意整理後の毎月の返済額は、ある程度余裕を持たせるといいでしょう。あまりにもギリギリの金額に設定すると、何か突発的な出費があったときに返済できなくなります。そのため「頑張ればもう少し返済に回せるが、何かあっても大丈夫」といった返済額に収めるのがポイント。余裕を持たせた返済額にした方が、借金を確実ん位完済できる可能性が高まります。

債権者が合意しやすいケースを把握

任意整理を行うときには、債権者が合意しやすい事情を把握するのが失敗しないポイントです。というのも、債務者側の事情によっては、債権者が任意整理に合意しない可能性があるからです。具体的に次のような事情があると、任意整理の話し合いにすら応じてくれない場合があります。

  • 借りてから一度も返済していない
  • 取引期間が極端に短い
  • 過去に何度も返済の延滞・遅延を繰り返している

このような事情がある場合は、そもそも減額に応じるだけの根拠がない、応じてもまた延滞される可能性が高いと判断され、任意整理に応じない可能性が高いでしょう。取引してから間もない人は、もう少し実績を作ってから任意整理の手続きに入る方がいいでしょう。

任意整理しない方がいいケースについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「任意整理をしない方がいい14のケースとありがち誤解とは?悩んだときの解決方法も解説」

デメリットを把握する

利息や遅延損害金をカットできるというメリットがある任意整理ですが、一方で次のようなデメリットもあります。手続きした後に「こんなはずでは」と後悔しないために、デメリットについてもしっかりと把握して、影響を最小限にできる方法を取りましょう。

事故情報が登録される

任意整理をすると、その情報が個人信用情報の事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録されます。事故情報が登録されると、完済後5年は次のような影響を受けます。

  • クレジットカードを新規で申し込めない
  • 今まで使えていたクレジットカードが使えなくなる
  • ローンや分割払いが利用できない
  • 保証人になれない
  • 賃貸物件を借りられない場合がある

完済後5年経った後は事故情報が消えるため、これまで通りクレジットカードを利用できたりローンを申し込むことができます。ただし任意整理した金融機関からは、事故情報が消えた後も借金することができません。これは金融機関が独自で信用情報を管理している(社内ブラック)からです。

事故情報が消えた後にクレジットカードを作成したりローンに申し込むときには、任意整理した金融機関やそのグループ会社は避けるようにしましょう。

任意整理のデメリットについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「任意整理のメリット・デメリット|整理後の生活への影響を最小限にする方法とは?」

口座が凍結されるリスクがある

任意整理すると、口座が凍結される恐れがあります。これは銀行カードローンを利用している場合などが該当します。銀行カードローンを任意整理の対象にすると、手続き開始を知らせる受任通知を受け取ったときから口座が凍結され、保証会社が債務者に代わって残債を返済し終えるまで解除されません。口座の凍結は銀行が確実に債権を回収するため。

口座が凍結されている間は、口座からの現金の引き出しはもちろん、口座引き落としや口座振り込みができなくなります。場合によっては口座が凍結されたまま強制的に解約となる可能性があるため、手続きの対象から外すか給与振り込みや口座振替を別の銀行口座に変えるといった対処が必要です。

任意整理を後悔しないために知っておくべき現実と対策については、こちらの記事を参考にしましょう。

「『任意整理しなければよかった』と後悔しないためには?知っておきたい任意整理の現実と対策」

任意整理後の繰り上げ返済は意味がない

任意整理後の繰り上げ返済は、あまり意味がありません。任意整理前の利息がある状態の借金を返済する場合、繰り上げ返済は返済総額の減額や支払い期間の短縮に有効です。しかし任意整理によって利息分を減額してもらっているので、その時点での繰り上げ返済のメリットは半減しているといえます。

もちろん早期に完済できれば、考えていたよりも早めに事故情報が消える可能性があります。無理をしてまで繰り上げ返済する必要はありませんが、一日も早く無借金の状態になりたいという方にとっては繰り上げ返済は意味のある事です。

減額できない借金がある

任意整理しても減額されない借金がある点も注意が必要です。自己破産で非免責債権があると解説しましたが、任意整理をしても次のような借金は減額できません。

  • 税金
  • 国民年金・国民健康保険・介護保険
  • 公共料金(電気・ガス・上下水道料金)
  • 養育費
  • 婚姻費用
  • 罰金・科料・過料
  • 故意や悪意、重過失による損害賠償金
  • 従業員に支払う給与

このような借金がある場合は、支払先の機関や支払う相手に滞納前に相談することをおすすめします。

債務整理に詳しい弁護士に相談

任意整理を成功させるには、債務整理に詳しい弁護士に相談し手続きを依頼しましょう。弁護士に借金問題を相談すると、借金の状況や収入、家計の状況を見て条件にあった最適な借金解決方法を提案してくれます。そのまま手続きを依頼することも可能で、任意整理では引き直し計算や債権者との交渉などを任せられます。

何より弁護士に手続きを依頼すると、受任通知により借金を返済しなくてもよくなり、債権者からの取り立てがストップされます。返済の心配や督促によるストレスを受けることなく、任意整理の準備を進められるでしょう。多くの弁護士事務所では、初回相談を無料で行っています。まずは自分が任意整理に向いているかどうかを相談してみましょう。

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まとめ

任意整理は債権者と直接交渉して、将来利息や遅延損害金を減額する手続き。返済期間を延長することで、毎月の返済額を減らせるという効果もあります。任意整理でどのくらい減額できるかは、借金の金額や年利によって異なるものの、借金総額100万円~300万円ある人に適しています。

他にも利息が高い借金をしている方や自転車操業状態に陥っている方、処分されたくない財産がある方や保証人に迷惑をかけたくない方が任意整理に適しています。任意整理を成功させるには、残元金を参考に返済回数がどうなるかチェックしましょう。また毎月の返済額に余裕を持たせるのもポイント。

任意整理には完済後5年間ブラックリストに登録されるというデメリットや口座が凍結されるというデメリットがあります。手続きを成功させるには、借金問題に詳しい弁護士に相談するのがベスト。まずは自分が任意整理に向いている相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

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