債権回収会社からの電話・ハガキ、身に覚えがない!連絡が来る理由とそれぞれの対処法とは?

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  • 「債権回収会社からハガキが届いたが身に覚えがない…」
  • 「債権回収会社から連絡が来たときの正しい対処法は?」

ある日突然、債権回収会社というところから電話やハガキが届いたが、全く身に覚えがないという方はいませんか?だからといって直接連絡したり、逆に放置したりすると大変なことになる可能性があります。こちらの記事では、債権回収会社から連絡が来る理由ごとの正しい対処法について詳しく解説。

さらに相談先や借金が払えないときの対処法、時効援用の方法についても紹介していきます。債権回収会社とはどのような会社なのかということを理解し、自分のところに電話やハガキが来た理由についてもしっかりと確認したうえで、適切な対処法を取っていきましょう。

 

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債権回収会社とは

債権回収会社から電話やハガキが来たとき、多くの人がまず思うのは「債権回収会社ってどんな会社?」ということではないでしょうか。こちらでは債権回収会社について詳しく解説していきます。

法律に基づいて債権の回収を専門に行う会社

債権回収会社とは、「債権管理回収業に関する特別措置法」(通称:サービサー法)という法律に基づいて、法務大臣の許可のもとに債権の回収を専門に行う会社です。債権とは特定の相手に特定の給付や行為を請求する権利で、キャッシングの借入など借金をしたときに発生する返済を請求する権利や売掛金の回収を請求する権利などが該当します。

決して闇金などの怪しい会社ではなく、反社会的勢力が絡んでいる組織でもありません。許可を受けた債権回収会社は法務省のHPに「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」としてその名前が公開されているので、知らない債権回収会社から請求が来たときには、まずそちらを確認するようにしましょう。

債権回収会社ができた理由

元々債権回収業務は、弁護士が行う仕事でした。しかし1991年に起こったバブル崩壊により多量の不良債権が発生したため、弁護士だけでは処理しきれなくなり、そこで債権回収を専門で扱う業者が必要となった訳です。

このような背景からいわゆるサービサー法が制定され、条件を満たして法務省の許可を受けた専門業者に限り債権回収を行えるようになりました。債権回収業務は金融機関にとって負担が大きく、督促などを行うことなく処分ができるという理由から、多くの金融機関が債権回収会社に債権回収業務を依頼するようになりました。

「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」とは

サービサー法第5では、次にあげる基準に該当しない場合に、許可しなければないと定めています。

  • 資本金の額が5億円に満たない会社
  • 常務に従事する取締役の中に弁護士がいない会社
  • 暴力団員が事情活動を支配していた李、暴力団員等を業務に従事させている会社
  • 取締役等の中に破産者や一定の前科がある人、暴力団員などを含む会社
  • 債権回収業務を適正に遂行するための人員を確保できない会社

法務大臣から認可を受けるには、暴力団とのかかわりがないことや取締役に弁護士がいることなどが条件となっています。ここからも債権回収会社が怪しい会社でないことが分かります。令和6年9月3日現在では、73社の債権回収会社が許可を受けています。

債権回収会社が扱う債権

債権回収会社が扱うのは、「特定金銭債権」といわれる次のような債権になります。

  • 銀行や消費者金融など金融機関からの借金
  • クレジットカードの分割払いの残債
  • 家賃等保証会社との契約に基づく債権
  • 破産手続き中の人が持つ債権
  • 資産の流動化に関連した債権
  • ファクタリング会社が所有する債権
  • 信用保証会社等が取得する求償権
  • その他法令で定められている債権

一般の人が債権回収会社から連絡を受けるケースで多いのが、銀行のローンや消費者金融からのキャッシング、クレジットカードの分割払いを利用したときに、返済を滞納している場合や分割・リボ払いの残債があるときです。

他には携帯電話の本体分割払いの代金やインターネット通信料、水道光熱費等の集金代行として、債権回収会社が滞納料金を請求する場合があります。

連絡が来るのは長期に渡って滞納していたから

とはいえ、1度や2度返済が遅れたからといってすぐに債権回収会社から連絡が来るわけではありません。多くの場合、滞納が相当長期に渡り、元々の債権者からの督促に応じないというケースに限り債権回収会社からの請求を受けます。

元々借入をした金融機関やカード会社は、自力で回収するのは手間やコストがかかると判断し、債権回収会社に債権を売り渡したり、回収業務を委託したという流れです。

債権回収会社から手紙が届いた理由については、こちらの記事を参考にしましょう。

「債権回収会社からの手紙が届いた…理由とこれから起こること、対処法を詳しく解説」

債権回収会社が取る手段

債権回収会社はいわば借金取り立てのプロ。法律の範囲内で淡々と回収業務を実施します。決して闇金のように脅迫的なことを言ったり、深夜の連絡や悪質な嫌がらせ等の違法行為を行うことはありませんが、ごねればどうにかなるということや泣き落としで返済を待ってもらえるというものでもありません。

最終的には法的措置を取られる

債権回収会社から通知やハガキが来て、何の対処もせず支払いもしないでいると、最終的には法的措置を取られます。具体的には裁判所に訴訟の提起や支払督促を行い、強制執行による財産の差し押えによって債権の回収を図ろうとしてきます。差し押えられる財産は給与や銀行口座にある預金、不動産や自動車などです。

強制執行の段階まで進むと、たとえ弁護士を立てて交渉しようとしても、完済しない限りは差し押さえを取下げてもらえません。債権回収会社から通知やハガキが来たときには、法的措置一歩手前だということを覚えておきましょう。債権回収会社では、次のような流れで強制執行まで手続きをすすめます。

①     債権譲渡の通知・督促が届く 普通郵便や電話、ショートメールなどで支払の督促がなされる

同時に元々の債権者から「債権譲渡通知書」という通知が届く

②     裁判所から「支払督促」や「訴状」が届く 上の通知を無視していたり返済についての折り合いがつかないと、法的措置を取られる

いずれも裁判に対応しないと、敗訴と同様の結果になり遅延損害金を含めた全額を一括で支払う判決が出る

③     強制執行 ②で勝訴判決を得た場合に強制執行の申立てをすると、財産が差し押さえられる

借金を放置して裁判所も無視するとどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「借金放置して裁判所も無視するとどうなる?放置後に起こることを知り、適切な解決方法を選択しよう」

身に覚えのない債権回収会社から連絡が来る三つの理由

では債権回収会社から身に覚えのない電話やハガキが来るのは、どのような理由からなのでしょうか。

①架空請求や詐欺の可能性

近年多いのが、債権回収会社をかたった架空請求詐欺です。実在する債権回収会社と同じもしくは類似した社名を使った悪徳業者が「債権譲渡を受けた」「インターネット料金の滞納により法的措置に移行する」などの内容で、電話やメールで不当に金銭を請求するという手口です。

このような架空の債権を請求するケースについての相談や被害報告が、消費生活センターや法務省などに寄せられています。電話やハガキの内容に全く身に覚えのない場合は、架空請求詐欺の可能性があります。絶対に連絡を取ったり料金を支払わないようにしましょう。

②よく調べたら心当たりがあった

よく内容を確認せずに「心当たりがない」と判断したものの、よく話を聞いたり書面を確認することで、心当たりがあると判明するケースがあります。元々借金した金融機関やカード会社と債権回収会社とは、社名が全く違うため、このような誤解が生じるという訳です。

例えば次のような債権回収会社では、以下の会社の債権を取り扱っています。

債権回収会社 債権を取り扱っている会社
ニッテレ債権回収株式会社
  • ドコモ
  • ソフトバンク
  • クレディセゾン
  • オリックス銀行
  • ビューカードなど
日本債権回収株式会社
  • みずほ銀行
  • 佐賀銀行などの地銀や信用金庫・労働金庫
  • LINE Credit. など
アビリオ債権回収株式会社
  • 三井住友銀行
  • プロミスなど

パルティール債権回収から連絡が来たときの対処方法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「パルティール債権回収って怖い?債権回収会社から連絡が来る理由と流れ、対処方法を徹底解説」

③ずっと昔の借金についてだった

②のケースと似ていますが、ずっと昔の借金について債権回収会社から連絡を受けるケースもあります。もう何年も前のことなので、滞納していたことだけでなく借金をしていたことすら忘れていたという方もいるかもしれません。

何年も前の借金について債権回収会社から連絡が来た場合は、「消滅時効」にかかっている可能性があります。以下で詳しく紹介する時効の確認や時効援用の手段を取ることで、借金の返済義務がなくなる可能性も。

架空請求や詐欺の可能性がある場合の対処法

債権回収会社からのハガキや電話が、架空請求や詐欺の可能性が高い場合、次のような対処を取りましょう。

架空請求・詐欺なのかチェック

まずは本当に架空請求詐欺なのかチェックが必要です。こちらでは、連絡方法ごとの見分け方について解説していきます。

ハガキや文書できた場合

ハガキや書面できた場合、まずは届いた内容をしっかり確認することで、架空請求詐欺かを見分けられます。というのも法務大臣の認可を受けた債権回収会社では、次のような方法で督促や請求を行うことはありません。このような内容のハガキや文書が届いたら、詐欺の可能性が高いでしょう。

  • 個人情報や債権の内容のところに目隠しシールで目隠しされていないハガキ
  • 連絡先として多数の電話番号を列挙している
  • 請求書面の担当者の連絡先として、携帯電話番号を指定している
  • 回収金の振込先に個人名義の口座を指定している

また債権回収会社の頭に次のような機関名が表示されている場合も、詐欺の可能性があります。

  • 法務省認可特殊(特別)法人
  • 法務省認定特殊(特別)法人
  • 法務省認可(認定)債権回収業者加盟店
  • 法務局認可(認定)法人
  • 法務局事務センター
  • 法務局管理センター

また債権回収に関して「法務省認定通知書」「法務省認可通知書」「法務局認可通知書」といった表題の書面が送られてきた場合も詐欺の可能性が。さらに本当に許可されている債権回収会社は、「有料番組未納料金」「や「電子消費者契約通信未納利用料金」などと称する料金を請求することもありません。

電話の場合

電話で連絡が来た場合、債権回収会社を名乗る相手の話し方に注意して聞くようにしましょう。話し方がぞんざいであったり、不自然な日本語の場合は詐欺の可能性があります。

正規の債権回収会社の担当者から電話では、なるべくスムーズに債権の回収を行いたいということで丁寧な話し方で債務の状況等の説明があります。担当者の話し方に違和感を持った場合には詐欺を疑ってみましょう。

ショートメッセージの場合

債権回収会社からショートメッセージが届いた場合、折り返しの連絡を求める内容であることがほとんどなので、正式な問い合わせの連絡先が書かれているのが通常です。逆に連絡先の記述がなく、よく分からないリンク先のみがかかれているときには、悪質なフィッシング詐欺の可能性が高いので絶対にそのリンクをクリックしないようにしましょう。

債権回収会社からショートメッセージが届いたときには、必ず別で債権回収会社の問い合わせ窓口を検索し、そちらから連絡して内容を確認するようにしてください。

実在する会社かチェック

次にハガキや電話で名乗っている債権回収会社が、実在する会社かをチェックしてください。債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」をクリックすると、法務大臣が許可した債権回収会社が一覧で見られます。

しかし中には実在する会社名を名乗った詐欺の可能性も。請求された内容に心当たりがない場合には、正しい連絡気に問い合わせてみましょう。また正規の債権回収会社が出会い系サイトやアダルトサイト、ツーショットダイヤル等の利用料を請求することはないので注意しましょう。

債権譲渡通知書が届いたときの対処法と詐欺の見分け方は、こちらの記事を参考にしてください。

「債権譲渡通知書が届いたときの対処法|詐欺の見分け方と注意点とは?」

正しい連絡先に問い合わせる

内容を確認しても身に覚えのない場合には、確認のため法務省のHPに記載されている債権回収会社の正しい連絡先に問い合わせてください。また「もしかしたらあの支払いが遅れているせいで債権回収会社から請求が来たのでは」など判断が難しい場合も同様です。

書面に書いてある連絡先ではなく、法務省のHPに掲載されている連絡先に問い合わせることで、本当にその債権回収会社から請求されているのかを確認できます。

請求には応じない

債権回収会社からの電話やハガキが詐欺だと分かったら、絶対に請求には応じないようにしてください。中には次のような脅し文句を使ってくるケースもあります。

  • このままだと裁判になる
  • 給与や家を差し押さえする
  • 勤務先に集金に行く
  • ブラックリストに登録する

このような脅し文句があったとしても、慌てて支払うことに内容に注意してください。いったん支払ってしまうと、取り戻すのは大変困難です。また一度でも支払ってしまうと「カモ」と認識されて、さらに新たな請求を受けるケースも少なくありません。

一切の連絡をしない

詐欺だと分かったら、記載されている連絡先や電話で伝えられた番号には絶対に連絡をしないようにしましょう。こちらから連絡をしてしまうと、着信履歴等で電話番号を詐欺業者に知られてしまう恐れがあるためです。

一度名前や住所、電話番号や勤務先といった個人情報を知られてしまうと、詐欺業者や悪徳業者のネットワークに流される可能性があります。内容を確認するためや支払意思がないことを伝える内容であっても、こちらからは一切の連絡をしてはいけません。

最寄りの警察署に相談

悪質な場合には、最寄りの警察署に相談してください。架空債権の請求は犯罪に該当する可能性があります。中には裁判所書記官や国選弁護人を名乗り、訴訟を取り下げる名目で多額の金銭を要求するケースも。悪質な手口が多発しているので、請求の書面等の証拠を持参して最寄りの警察署に行くか、は警察相談専用電話「#9110」に連絡してください。

消費生活センターに相談

債権回収会社を名乗った架空請求詐欺については、国民(消費)生活センター(消費者ホットライン:188)に相談してください。局番なしで最寄りの消費生活センターにつながります。消費生活センターでは過去の事例や手口などを紹介するとともに、対応へのアドバイスを行っています。少しでも不安を感じたら、消費生活センターに相談してみてください。

参考:「利用した覚えのない請求(架空請求)」が横行しています|国民生活センター

弁護士に相談

請求された内容以外に滞納している借金がある場合には、弁護士に債務整理の相談をしてみてはいかがでしょうか。相談の一環で「このようなところからハガキや電話が来ている」と話してみてください。正式な依頼を受けた弁護士はその債権回収会社に連絡するので、請求が架空か本物かを判断してもらえます。

心当たりがある場合の対処法

よく内容を確認したら心当たりがあった場合、次のような対応が必要です。

放置はNG

いくら請求された全額を支払えないからといって、放置してはいけません。このまま債権回収会社からの連絡を無視していると自宅等を訪問されて取り立てを受ける可能性があります。また本来の借入額とは別に利息や遅延損害金が加算されることに。滞納期間が数年に及ぶと、遅延損害金が積み重なり元本をはるかに超える金額になってしまうでしょう。

このまま何もしないでいると法的措置を取られて財産を差し押さえられることは目に見えています。債権回収会社から連絡が来たということはその一歩手前だと認識して、正しい対応をすべきでしょう。

連絡方法ごとの対処法

こちらでは連絡方法ごとに詳しい対処法を紹介していきます。

ハガキや文書

債権譲渡の通知や督促は、ほとんどの場合普通郵便もしくは電話でなされます。債権回収会社から債権譲渡に関するハガキや文書が来た場合は、直接連絡する前に弁護士などの専門家に持参したうえで、今後の対応を検討しましょう。

電話

債権回収会社からの連絡が電話で来ることがあります。電話での通知や請求では、その場で返事が必要なため、ついうっかり自分が不利になる受け答えをしがちです。そうならないためには、慌てて明確な返事をしたりせず日時を指定したうえで折り返しの連絡をするように伝えましょう。

そしてどのような受け答えをしたかメモを取り、その内容を弁護士などの専門家に相談して、債権回収会社への対応に役立ててください。

ショートメッセージ

いくつかの債権回収会社では、SMS(携帯電話番号を宛先としたショートメッセージサービス)を利用して、債務者に連絡をする場合があります。身に覚えのある場合でも、念のためショートメッセージの発信元の電話番号から本物の債権回収会社かという調査をしておきましょう。

弁護士に対応を相談

いずれの手段で連絡が来た場合でも、法律の専門家である弁護士に今後の対応を相談することをおすすめします。弁護士を通して交渉できれば、債権回収会社が分割での支払いや遅延損害金の減額に応じる可能性が高いでしょう。また弁護士に依頼すれば時効が成立しているかの確認ができます。

債権回収会社は債権回収のプロとして、相当の法律の知識があります。そのような相手に対して自分で分割払いや遅延損害金の減額交渉、時効援用の手続きをするのは簡単ではありません。弁護士に依頼することで時間的負担や精神的ストレスが大きく軽減されるだけでなく、最終的により有利な結果を得られる可能性が高まります。

返済が難しいときは債務整理を検討

債権回収会社から通知が届いた時点で、返済が難しいときには弁護士に相談したうえで債務整理を検討すべきでしょう。債務整理には主に次の3つの方法があり、それぞれに借金の減免割合や手続きの方法が異なります。

任意整理

任意整理は裁判所を通さずに債権者と直接交渉することで、将来支払う利息や遅延損害金を減額できる手続き。債権回収会社に債権譲渡された後でも任意整理が可能で、合意後は原則3年、最長でも5年以内に減額した借金を分割で支払っていきます。

債権回収会社によっては60回(5年)の分割払いで合意できるケースも少なくありません。任意整理を成功させるには、毎月の分割払いが可能な安定した収入が必要です。家計を見直したうえで返済を継続できる余剰金が出るのであれば、任意整理で解決できる可能性が高いでしょう。

周囲にバレずに任意整理の手続きをしたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「任意整理をバレずに手続きしたい方必見!原因と対処法を知って賢く借金を減額」

個人再生

個人再生は裁判所に申し立てて、借金を1/5~1/10にまで減額できる手続きです。3年~5年の分割払いで支払っていくという再生計画案が認可されれば、大幅減額後の借金を分割払いできるようになります。またすでに債権回収会社が法的措置を取っている場合でも、裁判所が個人再生手続開始決定の通知を出せば、強制執行をストップできます。

すでに差し押さえが実行されている財産についても、差し押さえの効力が停止できるのもメリットです。債務者が個人再生の手続きを進めていると知ると、債権回収会社は訴訟を起こす意味がなくなります。そのため多くの場合は裁判を取下げるでしょう。

個人再生ができるのは、次のような条件を満たしている人です。

  • 自営業者や給与所得者などの個人であること
  • 将来的に継続してまたは反復して収入を得る見込みがあること
  • 住宅ローンを除く借金総額が5000万円を超えないこと

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があり、それぞれで条件が異なります。

小規模個人再生 給与所得者等再生
再生計画案通りに分割返済できる見込みがあること

計画弁済額が最低弁済額を下回っていないこと

再生計画案に反対した債権者が、全体の半数以上または借金総額の1/2を超えないこと

左記条件にプラスして、

給与等の定期収入があり、かつその変動幅が小さいと見込まれること

最低弁済額・財産の清算価値・2年分の可処分所得のいずれか高い金額が再生後の弁済額となる

個人再生の注意点や利用条件については、こちらの記事を参考にしてください。

「個人再生のメリット・デメリットを徹底分析!注意点・利用条件・他の債務整理との違いは?」

自己破産

自己破産は返済不能状態であることを裁判所に認めてもらうことで、借金の返済義務を免除(免責)できる手続き。免責が許可されれば、借金すべてを返済する必要がなくなります。すでに債権回収会社に法的措置を取られた後でも自己破産が可能。裁判所が破産手続開始決定をすると、すでに開始されている強制執行手続きであっても効力を失います。

ただし自己破産には、次のようなデメリットや生活への影響があります。

  • 一定上の財産を処分される
  • 個人信用情報に事故情報として掲載される
  • 官報に公告される
  • 資格や職業の制限がある
  • 免責不許可事由がある
  • 非免責債権がある
  • 保証人に返済義務が移る
  • 郵便物が制限される
  • 引っ越しや海外旅行などの移動が制限される

自己破産のデメリットについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産のデメリットを状況別に解説!誤解や嘘を解決して最適な選択へ」

ずっと昔の借金についての対処法

ずっと昔に滞納していた借金について、債権回収会社から連絡が来た場合には、時効が成立している可能性があります。時効が成立する条件を理解したうえで、時効援用の手続きが必要です。

時効援用ができる可能性

5年以上、一切の返済をしていない場合には、消滅時効を援用することで借金の返済から逃れられる可能性があります。時効援用とは、「この借金はすでに時効にかかっているので返済しません」と債務者に伝える手続き。時効援用の手続きを適切に行わないと、本当の意味で借金がなくなったことになりません。

時効の更新がないか確認

はるか昔に支払が滞っている借金に心当たりがあった場合には、すぐに債権回収会社に連絡したりせず、まずは時効の成立条件を満たしているか確認してください。

  • 法律に定められた消滅時効期間が経過している
  • 時効の更新(中断事項)がない
  • 時効援用の手続きをしている

銀行・貸金業者からの借金やクレジットカード分割払いなどの時効は、基本的に「債権者が権利を行使することができることを知った時点から5年間、その権利を行使しないとき」を経過した場合に時効が完成します(民法第166条)

時効までの期間について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「借金の時効に関する基礎知識|時効までの期間と時効援用の方法、失敗しないためのポイントとは」

時効の更新がないか確認

時効が成立するのは、5年の間に、時効の更新がないかも条件になっています。時効の更新とは法律用語ですが、分かりやすくいうと中断事項のこと。5年の間に次のような中断事項があると、時効のカウントはまた1からのやり直しになります。時効を援用する場合は、時効の更新がないか慎重に確認する必要があるでしょう。

  • 債務を認める発言や行為をする(債務の承認)
  • 債権者に法的措置(訴訟・支払督促)を取られる
  • 裁判所によって財産の差押・仮差押・仮処分が行われる

時効の更新で最も多いのが債務の承認です。次のような言動をすると債務を承認したとみなされます。

  • 利息など借金の一部を支払った
  • 「○日なら返済できる」といった
  • 「返済を待って欲しい」と頼んだ
  • 借金を減額できないか交渉した

債権者に法的措置を取られた場合や、裁判所によって差押などの手続きが行われた場合でも、時効が中断します。裁判所からの通知を受け取っておらず裁判したと知らなかった場合でも、裁判所の掲示板に一定期間掲示される「公示送達」によって訴状などが届いたと同じ意味合いになるので注意が必要です。

借金の時効援用が失敗するケースについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「借金の時効援用が失敗するケースを解説|失敗を防ぐ確認方法と失敗したときの対処法」

時効援用の方法

時効援用は通常、「時効援用通知書」という書面を債権者に送付する方法を取ります。時効援用通知書には時効が成立したということだけでなく、時効を援用したいという意思表示が必要。そのほかに次のような情報を記載します。

  • 債務者の住所・氏名・連絡先
  • 送付する日付
  • 債務に関する情報(会社名・借入日・借入金額)

通知の送付は内容証明郵便で行うのが一般的です。内容証明郵便とは文書の内容や差出人、宛先や差出日など証明する郵便のこと。裁判上の証拠にもなる郵便で、書き方等に様々な決まりがあります。万が一書類に不備があると、相手に時効を援用しようとしていることが知られ、債権者に時効更新の手続きを取られる恐れがあります。

時効援用について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「10年放置した借金は時効で返済義務がなくなる?時効の実態と援用について解説」

自分で対応せず弁護士に相談

はるか昔の借金について債権回収会社から連絡が来て、時効を援用したいと思ったら、自分でどうにかしようと思わずに弁護士に対応を依頼してください。うっかり借金の存在を認める発言をすると、時効が中断されてしまいます。また内容証明郵便を正確に送付するにも、知識や経験が必要です。

とくに法律の知識がない人では、消滅時効が成立しているかを正確に判断するのは難しいでしょう。確実に時効援用の手続きをするには、必ず弁護士などの専門家に相談しましょう。

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まとめ

債権回収会社から電話やハガキが来て、その内容に身に覚えがないときには、まずはその債権回収会社が実在するか調べてください。そして内容に心当たりがないかもチェックが必要です。架空請求詐欺の可能性が高い場合は絶対に支払ったりせず、連絡もしないでください。心配な方は専門の相談機関や弁護士に相談するといいでしょう。

過去に滞納していた借金についてだということが分かった方は、債権回収会社からの連絡を放置しないようにしてください。請求額を一括で支払えない方は、債権回収会社に連絡する前に借金問題に詳しい弁護士に相談してください。相手との交渉を任せられたり、他の借金と併せて債務整理を検討した方がいいことも。

はるか昔に滞納していた借金があったと思い出した方は、時効援用の手続きで返済の必要がなくなる可能性があります。この場合も弁護士に相談するのがベストです。うっかり自分で対応しようとすると、時効援用に失敗する可能性があるため。確実に時効を成立させたい場合は、必ず弁護士に依頼するようにしましょう。

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