- 「彼氏に借金があることが分かった!このまま結婚しても大丈夫?」
- 「相手の借金を理由に親から結婚を反対されている、どうしよう…」
結婚は人生における大変重要なイベントです。しかし結婚を考えている彼氏に借金があることが発覚した、もしくは借金の存在を打ち明けられた場合、不安に感じるのではないでしょうか。
実際に借金が原因で離婚するケースもありますので、相手の抱えている借金の状況を確認し、検討した上で結婚を決めることをお勧めします。この記事では借金がある彼氏と結婚して問題がないケースや結婚を避けたほうがよいケースを紹介します。
また結婚に向け彼氏の借金問題を解決するための具体的な方法も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
彼氏の借金が発覚したときにすべきこと
婚約者の言動などが原因で借金があることが分かったとき、もしくは婚約者から借金があることを明かされた場合は一体どのような行動を取ればよいのでしょうか?
まずは以下の項目を参考にし、今度彼氏との結婚をどうするべきかを判断するための材料にしていきましょう。
冷静な態度を心がける
彼氏に借金があることが分かった場合、大半の方がショックを受けたり気が動転したりするはずです。結婚を考えている場合はなおさらです。しかしまずは冷静になり、感情的にならないように心がけましょう。
詳しくはこの後の項目で解説をしますが、借金の中にはあまり心配の必要がないものもあります。ここで感情的になり相手を追い詰めてしまうと、本来二人で歩むはずだった幸せな未来が閉ざされてしまう恐れも。まずは冷静に彼氏の話を聞くようにしてください。
借金の詳細を把握する
「借金」と一口に言っても種類はさまざまです。利用する人の多い住宅ローンや自動車ローンを「借金」と呼ぶ人も。また借金総額や月々の返済金額、完済までにかかる日数によって結婚後の生活に影響が及ぶかどうかも違ってきます。
相手に何らかの借金があることが分かったら、以下の内容を必ず確認するようにしてください。
- 借金の総額
- 借入先
- 利息
- 借金をした理由
- 毎月の返済額
- 返済が遅れていないか
- 完済までどれくらいか
自分の借金を誰かに明かすことはたいへん勇気が必要な行為です。ここで相手を責めると相手のプライドが傷つき、本当のことを言わなくなったり二人の関係が悪化したりする恐れがあります。できるだけ穏やかな態度を心がけるようにしましょう。
また借金の金額を伝える際に、実際よりも少ない額を申告する人は珍しくありません。可能であれば取引明細書などを見せてもらうことを強くお勧めします。
彼氏の収入を確認する
借金の金額は非常に大切です。しかしさらに重要なことは現在の収入で借金が返済できるかどうかです。例えば100万円の借金でも、年収200万円の人と年収2000万円の人とでは返済の負担が大きく違います。収入と照らし合わせて完済が可能かどうかをチェックしましょう。
住宅ローンや自動車ローン、奨学金などを除き借金の総額が年収の3分の1を超えている場合は危険な状態といえます。貸金業法では年収の3分の1を超えた金額を貸付してはいけないと決められているためです。
この決まりは総量規制と呼ばれ、過剰貸付が問題視されるようになったことをきっかけに2010年から制定されたものです。ただし総量規制の対象となっているのは貸金業者のみのため、銀行のローンは対象外です。そのため実際には法律で規定されているにも関わらず年収の3分の1以上の借金を抱えている方もいます。
彼氏の抱えている借金が危険なのかどうか、どう判断すべきか迷っている方は以下の記事も参考にしましょう。危険な借金について具体的な判断基準を紹介しています。
借金はいくらからやばい?少額でも危険な借金パターン、判断基準や対処法を解説
借金の理由を確認する
次に彼氏に借金の理由を詳しく確認しましょう。「借金」という言葉は負のイメージが強いですが、中には心配しなくてもよい借金もあるためです。相手がどのような理由で借金を抱えているのかを確認してください。
過度に心配しなくてよい借金
借金の理由が以下のいずれかに該当する場合、金額がよほど不相応でなければ心配しすぎる必要はありません。
- 住宅ローン
- 奨学金
- 自動車ローン
- 治療や入院が理由の借金
住宅ローンや自動車ローン、奨学金は多くの人が利用している上に金利も低く、月々の返済も負担のない金額に設定されています。収入が安定していて問題なく返済ができているのであれば、結婚生活への影響は少ないでしょう。
また借金の理由が治療や入院など生活のためやむを得ない事情で発生した借金も同様です。借金の原因となった問題が解決し、順調に返済ができているのであれば心配ありません。
奨学金を受給する大学生は過半数
日本学生支援機構による「令和4年度 学生生活調査」によると、大学(昼間部)に通う生徒の55.0%が何らかの奨学金を受給していることが明らかになっています。つまり一般的な大学生の半分以上が奨学金の返済を抱えるということです。
(参考:独立行政法人日本学生支援機構|令和4年度学生生活調査)
奨学金はカードローンや消費者金融等の借金と比較すると一般的な存在であり、問題のない借金だと判断ができるでしょう。
奨学金を抱えている相手との結婚に不安を抱えている方、どれくらいで返済が終わるのかを知りたい方は以下のページもぜひ参考にしてください。奨学金の返済金額や期間について詳しくまとめています。
奨学金400万円は返済するまで何年かかる?奨学金を延滞した時の流れや対処法、減額方法について調査
29歳以下男性は過半数が自動車ローン利用
また自動車ローンも過度に心配しなくてもよい借金です。日本自動車工業会が2023年に実施した乗用車市場動向調査では、29歳以下の男性で車の購入に際し「一般のローン/クレジット」または「残価設定/据置型ローン」を利用した人はあわせて57%という結果になっています。
つまり29歳以下の男性の過半数は自動車を購入する際にローンを利用しているということです。また30代男性でも約30%の人がローンで車を購入しており、決して低いとは言えない数値です。
(参考:一般社団法人日本自動車工業会|2023年度乗用車市場動向調査)
このことからも、所有している車が収入に不釣り合いでない限りは自動車ローンを問題視する必要はないと言えるでしょう。
今後を慎重に考えるべき借金
借金の理由や状況によっては結婚を考え直したほうがよいケースもあります。借金の理由が以下に該当した場合は相手とのこれからの交際について検討し直すべきでしょう。
- ギャンブルが理由の借金
- 浪費や買い物依存による借金
借金の理由がギャンブルや浪費などの場合、依存症に陥っている可能性が高いです。借金が完済できたとしても、原因となる行動が改善されない限り問題は解決しません。結婚した後も相手のギャンブルや浪費で苦労する恐れがあります。
ギャンブル依存症になりやすい人の傾向や借金との関係、解決方法については以下のページで詳しくまとめています。彼氏がギャンブル依存症なのでは?と悩んでいる方は併せてお読みください。
ギャンブル依存症になりやすい人とは|傾向や特徴を知り、借金問題解決に有効な対策を取ろう
別れるべきかを検討する
借金の詳細を確認したら今後どうするべきかを慎重に判断していきます。まずはあなた自身の気持ちを整理しましょう。
金銭感覚は人それぞれです。そのため「借金が許せない」と思う気持ちは決して悪ではありません。相手と結婚するのは無理だと思ったのであれば、別れるのも選択肢の1つです。
逆に借金を抱えていても一緒に歩んでいきたいと思うのであれば、借金の解決策を考えていくことになります。自分で決断ができない場合や迷いが消えない場合は第三者に相談し意見を聞くのもよいでしょう。
別れたほうがよいケース
相手の態度や借金の理由によっては別れを考えたほうがよいケースもあります。次のいずれかに該当した場合は結婚を考え直すことをお勧めします。
話し合いにならない
相手が借金について話をはぐらかそうとしたり真剣に話そうとしなかったりする場合、結婚について考え直したほうがよいかもしれません。
自分の借金について進んで話をしたい、と思う人はほとんどいないでしょう。しかし結婚後は生活を共にし、困ったときには助け合っていくことになります。それにも関わらず借金のことを隠したままでいる事は誠実さに欠けるのではないでしょうか。
結婚後にお金以外のことで困難に直面しても、その問題を一緒に乗り越えていける関係にはなれない可能性が高いです。
返済の意思がない
借金について話を聞く中で相手に返済をする意思が見られない場合、または「なんとかなる」といった甘い考えを持っている場合は相手がもともといい加減な性格である可能性が高いです。
このような相手と結婚した場合、金銭面に限らずライフステージのさまざまな場面で苦労する恐れが。そもそもお金に限らず「借りたものは返す」という事は当たり前であるにも関わらず、返す意志が見られないことは倫理的にも問題です。そしてそのような価値観がすぐに改善する見込みは低いでしょう。
お金を貸してくれるよう頼んでくる
相手があなたにお金を貸してくれるよう言ってきたとしても安易に貸してはいけません。一度お金を貸してしまうと「困ったときは助けてくれる」という意識が芽生え、借金問題に向き合おうとしなくなります。
理由は何であれ自分で借りると決めた借金は自分で責任を負うべきです。自らの責任から逃れようとするようでは、結婚後に何らかの問題があった際にあなたに問題を押し付けたり逃げたりする可能性が高いのではないでしょうか。
あまりにしつこくお金を貸すよう要求してくる場合、残念ですがあなたのことを大切に思っていない可能性もあります。場合によっては別れも視野に入れるべきでしょう。
ギャンブルや浪費が原因の借金
あなたがギャンブルなどが原因で借金をしている彼氏と結婚したいのであれば相当の覚悟が必要です。
なぜなら借金をしてまでギャンブルをするということは、お金がなくても止められない、つまり重度の依存症に陥っているという証拠に他なりません。一度「もうやらない」と約束をしたとしても時間が経つと元通りになり、あなたに黙ってまた借金をする恐れがあります。
まずはギャンブルや浪費などの借金の元となっている行動を見直さなくてはいけません。状況によっては依存症治療を行う医療機関の受診も検討すべきでしょう。
別れなくてもよいケース
先にもふれた通り住宅ローンや自動車ローン、奨学金などは過度に心配しなくてもよい借金です。残高や返済金額が収入に不釣合いでなく、現在問題なく返済ができていれば結婚生活への影響も大きくありません。
金銭感覚は人それぞれですので「奨学金がある人とは結婚すべきではない!」と主張する人がいるのも事実です。しかしあなた自信が問題ないと感じるのであれば、安易に別れることは避けたほうがよいでしょう。
判断が分かれるケース
結婚してもよいか別れるべきか一概には判断ができない場合もあります。以下のケースに該当する場合は理由や金額、状況などを考え慎重に判断しましょう。
- 身内の借金を肩代わりしている
- 起業や自己投資のための借金
- 株やFXのための借金
身内の借金を肩代わりしている
彼氏が身内の借金を肩代わりしている、または連帯保証人になっているケースです。もともとは誰の借金なのか、なぜ彼氏が借金を背負っているのかを確認してください。もちろん金額や完済までの期間も確認が必要です。
納得ができない理由で親族の借金を背負っている場合、結婚後もその相手親族との関係に悩まされる恐れがあります。
起業や自己投資のための借金
起業のための借金は金額が高額である傾向があり、数千万になることも珍しくありません。万が一事業が失敗した場合はそれだけの負債を抱えることになります。事業が好調であれば問題はありませんが、金額が金額だけに慎重な確認が必要です。
また起業を目的としたセミナーや教材のために借金をするケースもあります。中にはあまり効果が得られないものや詐欺目的のものもありますので、内容をよく確認をするようにしてください。
株やFXのための借金
株やFXなどの投資はギャンブル的な要素が拭えません。特にFX(外国為替証拠金取引)は少額の元手で大きく儲けるチャンスがあるため、ギャンブルと同様にのめりこんでしまう人もいます。
またFXは儲けやすい分逆に損失も生まれやすいため、一日で膨大な借金を抱えてしまう人も。婚約者が株やFXが原因で借金を抱えている場合は金額を確認するだけでなく、過度にのめりこんで依存症に陥っていないかどうかも注視するようにしてください。
結婚を考えている彼氏の親に借金があったら?
今回の記事では、結婚を考えている彼氏に借金があった際の対処法を解説しています。しかし中には結婚相手本人ではなく結婚相手の親族が借金を抱えているというケースもあります。
特に彼氏が親の借金を代わりに返済している、もしくは相手の親が彼氏にお金を無心している場合は結婚後も同じことが続くのかと不安になるでしょう。しかし法的には親の借金を子が返済するという義務は一切ありません。
返済義務があるのは契約者本人のみ
お金の貸し借りは債権者(貸す側)と債務者(借りる側)の個人的な契約によって行われる行為です。血族・同居家族であっても個人間の契約に介入はできないため債務者以外に返済の義務は発生しません。日本の法律でも、親の借金は子が返済しなくてはいけないという規定はありません。
しかし親が闇金業者などの悪質な業者からお金を借りている場合、業者側が「子は親を扶養すべき」「親を助けないとかわいそうだ」と強引に子どもへ返済を迫ることがあります。
このように第三者に返済を要求する行為は貸金業法第21条で禁止されており、これは親族も例外ではありません。本人以外に返済を迫る行為は違法ですので、業者からの取り立てに悩んでいる場合は警察への相談も視野に入れましょう。
子に返済義務が生じるケースとは
原則として子には親の借金の返済義務はありません。しかし次のケースのいずれかに該当する場合、子にも返済義務が発生する可能性が高いです。
- 名義貸しに同意している
- 本人の落ち度が原因で名義貸しをされた
- 連帯保証人になっている
名義貸しに同意している
親が子の名前や個人情報を利用して借金をする、いわゆる名義貸しに対して子本人が同意しているケースです。子自身は「頼まれて名義を貸しただけ」と思っているかもしれませんが、法的な返済義務は契約者本人にあります。
特に本人が名義貸しに同意していた場合、返済義務は名義人本人にあると承知した上で名前を貸したと判断されるため返済から逃れることは原則として難しい状況です。
本人の落ち度が原因で名義貸しをされた
親が子の名前を利用して勝手に借金をしていたとしても、名義貸しをされた側に落ち度がある場合は名義人が借金を返済しなくてはいけません。
具体的には親にマイナンバーカードや保険証の身分証明書、印鑑などを預けているといったケースです。もちろん勝手に第三者の名前で契約をする行為は許されるべきではありませんが、契約に必要な身分証明書の管理を怠った側にも責任があるという考えです。
連帯保証人になっている
子どもが親の借金の連帯保証人になっていて、親が返済できない状況になった場合は子どもが返済をしなくてはいけません。
保証人には「連帯保証人」とただの「保証人」の二種類があり、民法452条においてそれぞれ以下のように権利が定められています。
保証人の種類 | 主張できる権利・内容 |
---|---|
保証人 | 催告の抗弁権:債権者に対し、先に主債務者に請求するよう主張できる 検索の抗弁権:債権者に対し、主債務者の財産を差し押さえるよう主張できる 分別の利益:保証人が複数いる場合、頭数で割った金額を返済金額とする |
連帯保証人 | 分別の利益:保証人が複数いる場合、頭数で割った金額を返済金額とする |
彼氏が親の借金の保証人だった場合、親に返済を請求するよう主張したり親の財産を差し押さえたりするよう要求できます。しかし連帯保証人の場合はそれができません。つまり連帯保証人は自分で借金している状態と同じということになります。
連帯保証人になっている際の支払い義務、連帯保証人を解除する具体的な方法については以下の記事で詳しくまとめています。彼氏が親の借金の連帯保証人になっていて悩んでいる方はこちらを参考にしてください。
連帯保証人は支払い拒否できる?種類・状況ごとの対処法を知って差し押さえを回避しよう
亡くなった親の借金を相続した
親が死亡した場合、親が契約した借金は子どもが相続することになります。相続というと土地や建物、お金などのプラスの財産を継承するイメージが強いですが相続の財産には借金も含まれます。
借金を相続したくない場合、相続の開始があったことを知ってから3ヵ月以内に親の全ての遺産相続を放棄する相続放棄、もしくは財産がマイナスにならない範囲内で相続をする限定承認を行わなくてはいけません。
何もしないまま3ヵ月が経過した場合、もしくは相続した財産を葬儀や生前の医療費以外に使った場合は相続の放棄ができなくなり借金の返済義務が発生することになります。
借金を抱えている彼氏と結婚するとどうなる?
結婚相手に借金癖があったと分かっていて周囲が反対していたとしても「どうしても別れたくない!」と思う方もいるでしょう。では実際に借金を抱えている彼氏と結婚した場合はどのようなことが起こるのでしょうか。
結婚生活に支障が出る可能性がある
借金を抱えたまま結婚した場合、生活に支障が出る場合があります。相手の借金の状況によっては車やマイホームなどをローンで購入しようとしても新しくローンが組めないこともあります。
借金の返済が長い間滞ると個人信用情報機関に延滞の事故情報が登録され、クレジットカードやローンを利用できなくなります。いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態になり、返済が完了してから最長で5年経過しないと解除されません。
ブラックリストの状態は配偶者には影響しませんので、あなた名義であればローンを組むことができます。
マイホームや子どもを諦めなくてはいけない
結婚後の生活について色々と考えたり相手と話し合ったりしている方もいるでしょう。しかし夫が借金を抱えているとマイホームや子どもを諦めなくてはいけない可能性もあります。
先にも説明をした通り、相手がブラック状態になっていた場合はマイホームを購入するためのローンの審査に通らなくなります。あなたが審査に通過すれば問題はありませんが、あなたが女性で子どもを持つことを考えている場合、妊娠・出産によって一時的に収入が減ることも考慮しなくてはいけません。
また借金で金銭的に余裕がない状況では、子どもを持つという選択が考えられなくなるかもしれません。
借金を繰り返される恐れがある
奨学金や自動車ローンなどの目的がはっきりしている借金であれば、借金を繰り返す可能性は低いでしょう。結婚後も住宅ローンなどの適切な範囲内でローンに頼り、堅実な生活を送っていけるはずです。
しかしギャンブルや浪費が原因で借金をしていた場合や借金を何に使っていたか覚えていないという場合、一度「もう借金をしない」と約束したとしても借金を繰り返す可能性があります。金銭感覚は今までの生き方や生活を反映するものであり、簡単に変えられるものではないためです。
自分の親から結婚を反対されることも
相手に借金があることを理由に、親が結婚を反対する可能性があります。大切や子どもには結婚後も不自由のない生活を送ってもらいたいと考えるのが親心です。借金のある相手との結婚を反対することは仕方がありません。
もし借金を理由に結婚を反対された場合は親に借金の理由を伝え、毎月返済して完済の目途が経っていること、結婚後の生活に支障がないことを説明しましょう。
夫婦喧嘩の原因になりやすい
金銭的な問題は結婚後の夫婦喧嘩の原因になります。恋人同士であれば、お互いの金銭的な事情はさほど気にならないかもしれません。しかし結婚した場合は共に生活をしていくことになるため金銭感覚のズレが日常のさまざまな場面で表れるようになっていきます。
また結婚生活にはお金がかかります。子を持つことを考えている場合、女性は妊娠や出産、育児をきっかけに収入が減少する上、家庭の生活費も増えるようになります。育児はただでさえストレスがかかるもの。お金に余裕がない状態での育児となると、さらに大きなストレスを抱えることに。
愛があればお金はなくてもよいと考える方もいます。しかし幸せな結婚生活を送るためには、ある程度のお金は不可欠だと思うようにしましょう。
彼氏の借金問題の解決方法
相手が借金を抱えていても結婚をしようと決めた方は、借金の具体的な解決方法を知り、一緒に完済を目指していくようにしましょう。
これはダメ!NG解決法
- 借金を代わりに返済する
- 連帯保証人になる
あなた自身が金銭的に余裕があったとしても相手の借金を立て替えることはお勧めできません。ここであなたが返済をしてしまうと、相手に「また借金をしても助けてもらえる」という意識が芽生え、借金を繰り返す恐れがあります。
理由はなんであれ借金の責任は本人にあります。責任感を持ってもらうためにも、相手だけで返済をしてもらうことが好ましいです。
連帯保証人になるくらいなら大丈夫では?と思う方もいるでしょう。住宅ローンなど結婚後に二人で話し合って決めたローンであれば話は別ですが、相手が自分で作った借金は相手一人で責任を負わせるべきです。
今後もし相手と別れることになったとしても、一度連帯保証人になるとその責任からは逃れられません。債権者から返済を要求された場合はあなたが返済をしなくてはいけませんので、連帯保証人にはならないようにしてください。
新たな借金を作らないようにさせる
現在抱えている借金を解決するだけでなく、新たな借金を作らないよう対策を行いましょう。あなたが完済の向けに力を尽くしていても相手が借金を増やしていては全く意味がありません。
もともと問題のない借金の場合は心配しすぎる必要はありませんが、ギャンブルや浪費などが原因で借金をしている場合は以下のような具体的な対策が有効です。
- 誓約書を作成する
- 貸付自粛制度を申請する
- 専門家、専門機関に相談する
誓約書を作成する
もう借金をしないと誓約書で固く約束させる方法です。お互いが目で見て確認ができる書面に残すことにより、約束を意識して過ごせるようになります。
誓約書は内容が公序良俗に反しておらず、第三者が見ても合理的である内容であれば、個人間で作成したものでも法的な効力を持ちます。裁判や訴訟になった際にも有効な証拠として使用できます。
自分で誓約書を作成する際はパソコンでも手書きでも問題ありません。無料でテンプレートを配布しているサイトもあります。ただし署名部分は本人の手書きとし、押印を忘れないようにしてください。
貸付自粛制度を申請する
彼氏にもう借金ができないようにしたい!という場合は日本貸金業協会が行っている貸付自粛制度の利用をお勧めします。その名称の通り、貸金業者に対して今後貸付をしないように自主的に申告ができる制度のことです。
手続きは日本貸金業協会の支部に直接来訪する方法のほか、Webや郵送でも手続が可能です。効力は5年ですが手続きは本人が行わなくてはいけません。また本人が貸付自粛を撤回することも可能である点に留意してください。
(参考:日本貸金業協会|貸付自粛制度について)
依存症を治療する
ギャンブルやアルコールなど、何らかの依存症が原因で借金をしてしまった場合は元となる依存症を解決しましょう。依存症はれっきとした病気であり、本人や家族の努力だけでは完治が困難です。
依存症の治療を専門に行っている医療機関や精神保健福祉センターへ相談することで、カウンセリングや投薬など適切な治療が受けられます。ギャンブル依存症の治療では、偏った考えを見直して日常生活を変えていく認知行動療法も行っています。治療後の再発が少ないため結婚後も安心して過ごせるでしょう。
またギャンブル依存症の原因がうつ病や不安障害であるケースも。このような場合も適切な治療によって依存症が改善できる可能性があります。
返済計画を一緒に考える
相手の収入と借金額を元に返済計画を立てましょう。まずは借金についての詳細を確認し、ひと月あたりの返済金額に無理がないか、延滞していないかどうかをチェックします。
早く借金を減らしたいのであれば返済金額を増やすことが一番です。しかし家計管理がずさんな状態ではどれくらいの金額を返済に充てられるか分かりません。まずは家計簿をつけ、一ヵ月の収支を把握してください。
手取りの収入から固定費や生活費などを差し引き、毎月どれくらいの金額を返済に充てられるかを算出しましょう。
貯蓄がゼロの場合は毎月数万円が手元に残るようにして残りを返済に充てるようにします。返済金額を毎月家計ギリギリに設定してしまうと、冠婚葬祭などの急な出費に対応ができないためです。
専門家に相談する
家計や借金返済についてどうしたらよいか分からないとき、二人では話し合いが進められないときは、お金や借金に詳しい専門家に相談することをお勧めします。
収支のバランスや家計を改善したい場合はファイナンシャルプランナーへの相談がお勧めです。ファイナンシャルプランナー(FP)は収支や借金、財産などの状況をもとに家計や今後のライフプランへの助言を行う専門家です。
借金が返済できないときは弁護士への相談がお勧めです。中でも借金問題に強い弁護士に相談することで、この後詳しく解説をする債務整理をすべきかどうかの助言を受けられます。
お住まいの地域で、債務整理に強い弁護士を見つける>>
債務整理を検討する
借金の返済ができない状況の場合や完済が難しい場合は債務整理も視野に入れましょう。債務整理とは法律に基づき借金を減額したり、返済義務を免除してもらう手続のことです。
手続きの種類は主に任意整理・個人再生・自己破産の3つです。自分でも手続きができないわけではありませんが、多くの場合は弁護士など専門家への依頼が必要です。借金が結婚への大きなハードルになっているのであれば選択肢の1つとして相手に提案をしてみてください。
債務整理の特徴と具体的な流れ、依頼の方法については以下のページで詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
国の「借金救済制度」は信頼できる?債務整理の特徴と依頼手順、その他の解決方法を解説
債務整理をする際の注意点
債務整理を行うと返済の負担が減る、もしくは返済が全額免除される可能性があります。しかし債務整理にはデメリットもあります。結婚後に「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、注意点を理解しておきましょう。
しばらく本人名義のローンが組めなくなる
債務整理を行うと、信用情報機関が管理する個人信用情報に異動情報が登録されます。いわゆるブラックリストです。信用情報機関は日本に3カ所あり、以下のようにそれぞれ登録される期間が異なります。
信用情報機関 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|---|
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | (最長5年)※ | 最長5年 | 最長5年 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 最長5年 | 最長10年 | 最長10年 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 最長5年 | 最長5年 | 最長5年 |
(※任意整理は記録されませんが、任意整理に伴い代位弁済などが行われると異動情報が最長5年間記録されます。)
ここで記載している年数は借金の完済から換算した年数です。任意整理や個人再生を行い減額した借金を返済する場合、その返済が完了した日から換算するという点に注意してください。
また各信用情報期間では、異動情報登録の期間を「〇年を超えない期間」等と表現しているため、実際にはこれより早く記録が消えることもあります。
異動情報が登録されている間は以下のことができなくなります。
- クレジットカードの使用・発行
- 住宅ローンなど各種ローンの契約
- 奨学金などの保証人になる
- スマートフォン本体の分割払い
配偶者はブラックリストの影響を受けない
債務整理をすると、本人は完済から最長で5年もしくは10年もの間ブラックリストの影響を受けることになります。しかし本人以外の家族はその影響を一切受けません。
そのためローンを組みたいときや保証人が必要になったときなどはあなたの名前で申し込みができます。またクレジットカードもあなた名義であれば利用ができるため、あなたが家族カードを発行して配偶者に持たせることもできます。
借金を完済しただけでは解決にならない
ここまでで何度かお伝えしている通り、借金を完済しただけでは根本的な問題の解決にはなりません。借金の原因がギャンブルや浪費だった場合はまた同じことを繰り返す可能性が高いです。
相手と結婚することを決めたのであれば、借金を返済し終えたら終わりと考えるのではなく相手がギャンブルなどの依存症から脱することができるように寄り添う姿勢が大切です。
まとめ
婚約者に借金があった場合、結婚をするかどうかは慎重な判断が必要です。まず借金の総額や理由を確認し、相手の態度も含めて見極めましょう。返済が順調そうなら家計管理を協力し、完済を目指すことが大切です。
しかし相手の態度が誠実でない場合や借金の内容が深刻な場合は結婚や交際自体を見直すことも視野に入れてください。また借金は完済すれば解決というわけではなく、借金の原因をなくし、共に努力していく姿勢が大切です。必要に応じて専門機関を利用しながらよりよい未来を目指していってください。