自己破産すると家族はどうなる?影響が出ること・出ないことと迷惑をかけないポイントとは

自己破産すると家族はどうなる?影響が出ること・出ないことと迷惑をかけないポイントとは
自己破産すると家族はどうなる?影響が出ること・出ないことと迷惑をかけないポイントとは
  • 「自己破産で家族に迷惑をかけたくない」
  • 「家族に秘密にして自己破産することはできる?」

自己破産は借金をすべて帳消しにできる債務整理方法ですが、気になるのが家族への影響です。「借金問題を解決したいけど、家族への影響を考えて躊躇している」という方もいるのではないでしょうか。そこでこちらの記事では、自己破産で家族への影響はどうなるかについて詳しく解決。

さらに家族に自己破産のことを秘密にできるのかについてや、家族への影響を最小限にするポイントなども紹介します。家族のことが心配で迷っている人の中には、正確な情報を知らずに「どうなるか分からないから怖い」というケースも。正しい情報を知り、どうすれば家族への影響を少なくできるか対策を講じることが重要です。

 

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自己破産で家族に影響が出ること

まずは自己破産で家族に影響が出ることについて、詳しく見ていきましょう。

持ち家に住めなくなる

持ち家を持っている人が自己破産すると、ほぼすべての割合で持ち家を処分しなければなりません。というのも自己破産は借金(債務)の返済義務を免責できる代わりに、一定以上の財産を処分して換価(現金化)し、債権者の返済に充てられてしまうからです。

住宅ローンが残っている持ち家の場合はローン会社が住宅を引き上げ、ローンが完済している場合は破産管財人により差し押さえられ、売却後債権者に均等に分配されます。持ち家が売却されれば今までのように住むことができないため、同居していた家族も引っ越しを余儀なくされるでしょう。

引っ越しに伴う手間や費用がかかるのはもちろん、新しく住む場所によっては子どもの学校や保育園への影響も出ます。

車や財産が処分される

自己破産する人名義の車や財産は、差し押さえの対象となる可能性が高く、マイカーを処分されると家族にも影響が出るのは必至です。毎日の通学の送り迎えや買い物、休日のレジャーにも支障が出るでしょう。自動車の場合は、査定の評価額が20万円を超える場合、差し押さえの対象となります。

逆に売却価値が20万円を下回るものや、自動車の初年度登録から長期間経過(実務的には登録後6~7年)している自動車であれば、資産価値がないとみなされて、処分を免れる可能性が高いでしょう。

預貯金や現金がなくなる

自己破産を申し立てた人に、預貯金や現金がある場合、一定の金額を除いて差し押さえの対象となります。現金や貯金がなくなることで、家族の生活面で影響が出る可能性が高いでしょう。自己破産では、破産者が自由に管理できる「自由財産」があり、現金では99万円以下まで、預貯金はすべての口座の残高合計が20万円以下の場合です。

例えば給料が現金支給の場合は99万円までであれば手元に残せますが、銀行振り込みだった場合は、破産者名義の銀行口座の合計が20万円以上だと差し押さえの対象となります。また破産手続開始後(裁判所による破産手続開始決定の後)に取得した財産は「新得財産」として、金額にかかわらず自由財産となります。

自己破産すると処分される財産とされない財産については、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産すると財産はどうなる?処分される・されない財産と財産隠しについて」

保険が解約される

自己破産すると、解約返戻金が20万円を超える保険は処分されます。債務者本人名義の生命保険はもちろん、その他積立型の保険の解約返戻金の合計が20万円を超えると処分対象です。子どものために入っていた学資保険などは、債務者本人名義だったり子ども名義でも債務者が積み立てているケースが多いため、財産とみなされます。

家族カードが使えない

破産者名義のクレジットカードの家族カードを配偶者や子どもが持っていると、その家族カードも使えなくなります。破産者名義のクレジットカードは自己破産するとすべて強制解約となってしまうので、そのカードに紐づいている家族カードも使えなくなるという訳です。

クレジットカードや家族カードを引き落とし等に利用している場合は、破産前に変更しておきましょう。自己破産後もクレジットカードを使いたいという場合は、破産者以外の家族名義で新たにクレジットカードを作り直す必要があるでしょう。

自己破産後のクレジットカード利用については、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産すると5年以内はクレジットカードが使えない?解約時の注意点や回復後に作成するときのポイント」

保証人になっている家族に返済義務が移る

家族が連帯保証人になっている借金を自己破産する場合、自己破産することで今度はその家族に借金の返済義務が移ります。債権者からの取り立てや督促が始まり、元々の債務者が長期間滞納していたことで長期分割できる権利を失います(期限の利益の喪失)。つまり債権者から残金を一括請求されるという訳です。

一括で支払えるだけの財産があればいいのですが、そうでないと保証人も自己破産するしかなくなります。とくに住宅ローンの保証人を配偶者にした場合や、収入合算のペアローンを組んだ場合は、夫がローンを払えなくなると妻も含めて夫婦で自己破産するというケースが多いでしょう。

自己破産と連帯保証人の関係とパターン別の対処法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産すると連帯保証人はどうなる?借金の前と後&パターン別の対処法」

破産者が保証人になれない

自己破産した人は個人信用情報に事故情報が登録されるため、事故情報が消えるまでの5年~10年の間は保証人・連帯保証人になることはできません。子どもの奨学金を借りるのに保証人が必要になっても、保証人になることは難しいでしょう。

保証人とは主債務者(契約者)が返済できなくなったときに、その代わりに返済を保証する人のこと。過去に自己破産の事実があると、信用力が低く代わりに返済できる能力がないと判断されるためです。

破産者がローンを組めない

自己破産すると個人信用情報に事故情報(いわゆるブラックリスト)が登録され、5年~10年はローンを組むことができません。子どもの進学や車の購入などにお金がかかりそうでも、ローンを組めないと現金を準備するしかなくなります。子どもの進学や就職にも影響が出る可能性があります。

自己破産しても影響が出ないこと

一方で、自己破産しても本人や家族に影響が出ないことがあります。

生活に必要な財産

自己破産には「財産がすべて差し押さえられる」というイメージを持つ人もいるでしょうが、生活に必要な財産は手元に残しておくことができます。前項で解説した現金や預貯金もその一つです。自己破産は借金を返せなくなった人の身ぐるみはがすことを目的とした制度ではなく、破産した後でも生活再建を図れることを目的とした制度だからです。

具体的には、次のような財産は自己破産しても処分されません。

  • 食器棚・タンス・食卓などの家具
  • 布団などの寝具
  • 調理器具
  • 暖房器具

また次のような家電は1点までであれば没収されません。

  • 冷蔵庫
  • 電子レンジ
  • 洗濯機
  • 乾燥機
  • テレビ(29インチ以下)
  • ステレオ
  • ラジオ
  • ビデオデッキ
  • 掃除機
  • エアコン

ただし、60インチのテレビ・4Kテレビといった高額家電や、輸入家具のような贅沢品は処分の対象となります。また2点以上ある家電は、高額な方が処分対象となります。

子どもの進学や就職

親の自己破産が、子どもの進学や就職に直接の影響を及ぼすことはありません。進学先や就職先が家族の調査を行うことは基本的になく、そのような理由で進学や就職を断るということは禁止されているため。

自己破産したという事実は、政府の機関誌「官報」に掲載されますが、そもそも日常的にチェックしている人はごく限られた職業の人のみで、一般の人の目に触れることはありません。また官報に載るのは破産者本人の情報にとどまります。官報から子どもの進学先や就職先に知られる心配もほぼないでしょう。

自己破産すると載る官報についてはこちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産すると載る官報について解説!掲載のタイミングや確認方法、バレる可能性とは」

家族の結婚

自己破産が家族の結婚に影響を与える心配もありません。自己破産しても住民票や戸籍に記録されることはなく、これらから結婚相手やその家族に知られる恐れもないはずです。

本拠地のある自治体では「破産者ではないことの身分証明書」を発行することができます。しかしこの証明書は戸籍や住民票とは別の資料(破産者名簿)に基づいて発行され、破産者名簿に記載されるのは免責が不許可になったケースや破産手続が終わっても免責がすぐにできないようなごく限られたケースのみ。普通に免責許可が出た場合は、破産者名簿に記載されることはありません。

相手方が興信所を使って調査を行い、過去のあなたの自己破産を突き止めない限り、自己破産の事実を知られる心配はありませんが、とはいえ何かのきっかけでバレて結婚がダメになったり、結婚後にトラブルになる可能性がゼロではないため、本当に隠しておくべきなのか家族とも相談しながらよく考えて判断しましょう。

賃貸物件の契約

今住んでいる賃貸物件の契約に、自己破産が影響することはありません。家賃を滞納しない限りは、その物件に住み続けられるでしょう。また新たに賃貸物件を契約する場合、間に入っている保証会社にさえ気を付ければ、今まで通り部屋を借りることは可能です。

一部の物件では、賃貸契約を結ぶ際に家賃を保証する保証会社の審査が必須のところがあります。保証会社が信販会社系だと審査の際に個人情報を調べられる可能性が高いため。事故情報が残っていると審査に落ちてしまいます。そのような影響を避けるには保証会社との契約がないか確認したり、保証会社について教えてもらうといいでしょう。

家族の信用情報

自分の自己破産が、家族の信用情報に影響することもありません。今まで通り家族がローンを組んだり、クレジットカードを新規で申し込むことができます。そもそも契約時に本人以外の家族の情報を確認することは、「個人情報保護法」に違反する行為だからです。

ただ専業主婦の場合は配偶者の返済能力も確認されるため、夫が自己破産していると審査に落ちる可能性があるでしょう。また過去に自己破産した金融機関等のローンを契約しようとすると、独自で持っている顧客情報(社内ブラック)をチェックされ、家族の自己破産情報にたどり着き、審査に通らない恐れがあります。

このような場合は、自己破産した本人が借りたことのある金融機関やそのグループ会社を避けるようにしましょう。

一部の加入保険

自己破産してもすべての保険が解約されるわけではありません。掛け捨ての死亡保険や、解約返戻金が20万円以下の生命保険は処分対象外となります。今までのように掛け金を支払っていれば、さまざまな保険サービスを受けることができるでしょう。

またたとえ20万円以上の解約返戻金がある保険でも、契約者貸し付けを利用して解約返戻金を取り崩したり、受取人に解約返戻金相当額を破産管財人に支払ってもらうことで、保険の解約を回避できる可能性があります。また裁判所に「自由財産の拡張」を申し立てることで、保険の差し押さえを回避できる可能性も。

家族名義の財産

家族名義の財産は、自己破産しても差し押さえされる心配はありません。差し押さえの対象となるのは「破産手続開始決定時に、債務者(破産者)が所有している財産」に限定されるからです。とはいえ家にあるすべての物に持ち主の名前が書いてあるわけではなく、破産者の物でないのに差し押さえされてしまう可能性があります。

そのような場合は破産管財人に対して「取戻権」を行使すると、財産を取り戻せます。ただし家族名義の物でも、その財産の実質的な所有者が破産者の場合は、処分の対象となる場合があるでしょう。

その他の財産

本来なら処分対象となる財産でも、必要な理由や事情がある場合は「自由財産の拡張」が認められ、財産を手元に残せる可能性があります。例えば家族の介護に車が欠かせないといったケースや、破産者が病気にかかっていて、生命保険を解約してしまうと今後の治療費に支障が出るようなケースです。

自由財産の拡張が認められるのは、個々の事情やケースによって異なります。詳しくは債務整理を依頼する弁護士に直接確認してください。

自己破産を家族に秘密にできる?

自己破産をなるべく家族に知られたくないという場合は、家族に秘密にすることはできるのでしょうか。

同居家族に秘密にするのは難しい

たとえ家族に内緒にしていたくても、同居家族に自己破産のことを秘密にするのは難しいでしょう。裁判所から家族に手続きについての連絡が来ることはありませんが、裁判所に提出する同居家族の収入や財産に関する書類の準備のためには家族の協力が欠かせません。

また持ち家や車の処分、ブラックリストに載ることによる不都合(クレジットカードを持てない・ローンが組めない)などで、自己破産したことが知られる可能性が高いでしょう。さらに次のようなケースでは、裁判所から家族に自己破産の通知が入るなどの事情から、秘密にするのは難しいでしょう。

  • 家族から借金している
  • 家族が連帯保証人になっている
  • 申立人が未婚の未成年
  • 家族に扶養されている

配偶者がいる場合は、夫婦の収入を考えても支払い不能かという判断がなされます。また破産後の生活でも配偶者の協力は欠かせません。そのため、自己破産を検討する場合は最低でも配偶者には伝えるべきと考えます。

自己破産すると家族にバレるか?については、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産すると家族にバレる?バレる8つのケースと対処法を紹介!」

家族に秘密にできるケース

ただし、次のようなケースでは家族に秘密にできる可能性があります。

一人暮らし

同居家族がいない一人暮らしの方は、実家の親や兄弟、親族などに知られずに手続きできる可能性は高いでしょう。別居の家族には裁判所から手続きに関する連絡が行くことはなく、提出書類も本人のみのもので済むからです。ただし家族にお金を借りているようなときは、家族も債権者の一人となるので注意が必要です。

兄弟や友人との同居

同居する人がいても、兄弟や友人とのルームシェアの場合は、自己破産を秘密にできるかもしれません。裁判所に提出する書類は家計を共にする家族のものが必要ですが、家計が別なら同居人の資料は必要ありません。たとえ資料の提出を求められても「相手に知られたくないから」と理由を言えば、提出を強要されることはまずありません。

生計が別な同居

親と同居していても、双方に収入があり生計を別にしているのであれば、裁判所に提出するのは本人のみのもので済みます。親の収入に関する書類は必要ないでしょう。ただし同居している場合は裁判所からの郵便物や、弁護士からの連絡などでバレる可能性が。絶対にバレたくないという方は注意が必要です。

秘密にするのはリスクがある

自己破産のことを家族にバレたくない、心配をかけたくないという気持ちは分かりますが、だからといって家族に秘密で手続きすると、それが何かの拍子にバレたときに信頼関係にヒビが入る恐れがあります。また家や車を手放す場合に嘘をついたとしても、不信感を抱かれる理由になるでしょう。

少なくとも同居家族には自己破産することを明らかにし、影響が出る部分や影響が出ない部分について丁寧に説明することをおすすめします。もしも自分でうまく説明できないという方は、手続きを依頼する弁護士のところに一緒に行き、弁護士から説明してもらうという方法も。

自己破産は破産者本人だけでなく、その家族にも少なからず影響を及ぼします。家族の絆まで失わないよう、弁護士と相談しながら家族への説明についても考えていきましょう。

官報により家族以外の周囲に知られる?

家族以外の近所や勤務先、子どもの保護者などに知られてしまうことを心配する人がいます。しかし上で説明した通り、自己破産したことは一般の人に知られる恐れはほとんどなく、自己破産を理由に会社をクビになることもありません。自己破産を理由に解雇を言い渡されても不当解雇に該当するため、しかるべきところに訴えれば解雇も免れるでしょう。

家族への影響を極力少なくするには…

自己破産は同居家族に何らかの形で影響を与えます。しかしその影響を最小限に抑えられれば。迷惑をかける範囲が少なくて済みます。こちらでは自己破産による家族への影響を、最小限にするためのポイントについて紹介します。

「免責不許可事由」に該当する行為は行わない

自己破産による影響を最小限にするには、「免責不許可事由」に該当する行為は行わないようにしましょう。免責不許可事由があると自己破産を申し立てても借金を免責できず、また元の借金生活に戻るしかなくなります。債権者からの取り立てが再開し、裁判を起こされれば家や給与が差し押さえられてしまうでしょう。

免責不許可事由は全部で11項目あります。知らずに行っていた行為や、家族へ迷惑をかけたくないと取っていた行動が免責不許可事由に該当する可能性があるので、十分に注意が必要です。

直前の名義変更

自己破産を申し立てる直前に、自分名義の不動産や車を家族名義に変更するのはNGです。「家族名義の財産なら処分されないのでは」「財産分与だと主張すればバレないのでは」と考える人がいるかもしれません。しかし自己破産の直前の財産の名義変更は「財産隠し」とみなされ、免責不許可事由となります。

免責が許可されないばかりか、悪質だと破断されると最悪の場合、「詐欺破産罪」として刑事罰を科せられる恐れも。名義変更がバレた後は、破産管財人によって元の名義に戻され、換価された後に債権者に分配されるでしょう。

財産隠しの手口やバレる理由、対処法が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産で財産隠しがバレるとどうなる?主な手口やバレる理由、対処法を教えます」

財産隠し

故意に現金を隠したり財産を正しく申告しない行為は、「財産隠し」として免責不許可事由になります。自己破産は債権者に公平・平等に借金を清算する手続きでもあります。破産者は借金がゼロになる代わりに、できる限りの返済をする義務があります。

その意味でも所有している財産を正しく申告しない行為は、重大な背信行為に当たるとみなされても仕方がありません。たとえ家族のため財産を残したいと思っても、財産隠しをすることは絶対にやめましょう。

破産管財人の役割や調査内容については、こちらの記事を参考にしてください。

「破産管財人はどこまで調べる?自己破産の管財事件での調査内容・方法と財産隠しについて」

その他の免責不許可事由

財産隠しや手続き直前の名義変更以外にも、次のようなことをすると免責不許可事由になる可能性があります。

  • 提出書類の隠蔽や偽造
  • 裁判所へのうその説明、説明の拒否
  • 破産手続の妨害行為
  • 虚偽の債権者名簿の提出
  • クレジットカードのショッピング枠を利用した現金化
  • 破産開始申立1年以内から破産開始手続開始決定までの間の詐術による信用取引

これらの行為が発覚すると、免責不許可事由と判断され免責が受けられなくなります。結果的に家族にも大きな影響が出るため、絶対にしないようにしましょう。

自己破産の免責不許可事由については、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産の免責不許可事由の11項目を解説!免責が下りなかったときの対処法とは?」

家族からの借金を優先して返済

自己破産で財産が処分される前にと、家族からの借金を優先して返済すると、免責不許可事由に該当します。また家族からの借金を裁判所に申告しない行為もNGです。ある特定の債権者に偏って返済(弁済)する行為は「偏頗弁済」といって、免責不許可事由の3番目に含まれます。

たとえ相手が家族でも、ある特定の債権者にだけ偏って返済してしまうと、他の債権者が本来受け取ることができる配当が減少してしまいます。債権者に公平・平等に分配すべきという自己破産の制度を否定する行為として、免責が許可されない可能性が高いでしょう。

破産直前の離婚

配偶者がいる方は、破産手続直前に離婚することは絶対避けましょう。自己破産すると持ち家や車など本人名義の財産が処分されてしまうため、家族や財産を守るためにそれらを財産分与したのちに離婚するという方法が良く取られます。

しかしこのような行為は「財産隠し」とみなされて免責が許可されない恐れがあります。たとえ財産隠しを目的としていない離婚でも、自己破産前の離婚はおすすめできません。自己破産と離婚、どちらを先にすべきかや離婚のタイミングについては、必ず弁護士に相談してください。

自己破産後は借金をつくらない

自己破産後は、再び返済できないほどの借金を作らないように注意しましょう。というのも自己破産について定めた破産法では、原則として7年間は再び免責許可の決定を受けることができないため。いくら自己破産して借金がなくなったからといって、気が大きくなり散財して借金を作っても、今度は自己破産という方法が取れません。

結果的にまた家族に多大な迷惑をかけることになってしまいます。最低でも自己破産後7年間は、自分の生活を見つめなおし、収入以上の支出をしないように心がけましょう。

自己破産後の生活の仕方や周囲への影響についてはこちらの記事を参考にしてください。

「自己破産後の人生は真っ暗?できること・できないことと周囲への影響について」

自己破産以外の債務整理を検討

どうしても家族に迷惑をかけたくないという場合は、自己破産以外の債務整理を検討してみてはいかがでしょうか。自己破産以外の債務整理には、任意整理や個人再生という方法があります。家族が連帯保証人になっている場合は、手続きする債権者を選べる任意整理がおすすめ。

またローン返済中の持ち家を残したい場合は「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」がある、個人再生を検討してみては?ただしどちらのも自己破産と違い、手続き後に返済すべき借金が残ります。3年~5年かけて完済できるような安定した収入が必要です。

債務整理に詳しい弁護士に相談

自己破産してもなるべく家族に影響を与えたくない方は、早い段階で債務整理に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。家族への影響を最小限にする方法をアドバイスしてもらえるでしょう。他にも自分には自己破産しか方法がないのか、他の債務整理で対処できないかについても弁護士に聞いてみてください。

借金の総額や財産の種類、家族との関係や本人の状況に応じて、一番適した債務整理方法があります。借金問題や債務整理に詳しい弁護士なら、いち早く借金問題を解決できます。まずは無料相談を利用して不安なことや疑問点を解消。自分に一番合っている弁護士に債務整理を依頼しましょう。

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まとめ

自己破産すると家族には様々な影響があります。持ち家などの財産の処分やブラックリストに載ることによるデメリット、保証人になっている家族に返済義務が移ることなどです。一方で生活に必要な一定の財産は残すことができ、家族の信用情報や就職、結婚への影響は限定的でしょう。

家族がいても一人暮らしだったり生計を別とする同居人がいるケース、同居でも生計が別な場合は自己破産のことを内緒にできる可能性が高いでしょう。また家族以外の周囲の人や勤務先にもバレる心配はそれほどありません。ただし配偶者をはじめとする自己破産による影響が大きそうな家族には、極力内緒にせず、誠意をもって伝えることをおすすめします。

家族への影響を最小限にするには、財産隠しをはじめとする免責不許可事由に気を付けること。破産後は借金を作らない努力も必要でしょう。また自己破産以外の債務整理ができないか、検討するのも有効です。そのためには、債務整理に詳しい弁護士に相談するのがベスト。最も家族への影響が少ない方法をアドバイスしてくれます。

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