- 「個人再生の手続きを成功させる秘訣が知りたい」
- 「個人再生でやってはいけないこととは?」
個人再生は借金総額を大きく減額できる手続きですが、手続きの前後においてやってはいけないことがあります。では具体的にどのような行為をやってはいけないのでしょうか。こちらの記事では、個人再生でやってはいけないことを中心に、やってはいけないことをやった場合にどうなるかについて解説。
さらに、個人再生が失敗した場合の対処法や、手続きをスムーズに進めて成功率をあげる秘訣も紹介していきます。個人再生は他の債務整理よりも手続きが複雑で、正しい知識がないと失敗する可能性があります。専門家の力を借りながら手続きを進め、個人再生を成功させましょう。
個人再生でやってはいけない15のこと
まずは個人再生でやってはいけないことを、15の項目に分けて解説。たくさんあるように思えますが、理由を知れば当然のことばかり。手続きを成功させるために、次のようなことはやらないようにしましょう。
弁護士に依頼しない
個人再生の手続きを弁護士に依頼せず、自分一人でやろうとするのは失敗のもと。「弁護士費用がかかるから」などの理由で弁護士に頼むのを躊躇する人がいるでしょうが、個人再生の手続きを専門家に依頼しないのは得策ではありません。
なぜなら個人再生は「民事再生法」という法律に基づいた手続きで、専門的な知識が必要となるからです。また他の債務整理よりも手続きが複雑で、裁判所に提出する書類の作成や債権者との交渉など、一般の人には難しい作業が多く含まれます。
これらを適切に行わないと、再生計画案が認可されない可能性が。認可されなければ借金を減額できません。実際、個人再生の申し立て件数のうち弁護士に手続きを依頼しているのは全体の90%以上。司法書士に依頼したケースも含めれば、98%もの人が専門家に依頼していることになります。
参考:202年破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会
個人再生の成功率が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生の成功率はどのくらい?失敗する理由と成功の秘訣、失敗したときの対処法を解説」
弁護士の指示を無視する
個人再生の手続き中に弁護士の指示を無視すると、手続きの円滑な進行を妨げる原因に。ひいては再生計画が失敗に終わる行為となりかねません。弁護士は法律の専門家であり、あなたの状況を適切に判断し、裁量の結果を得るためのアドバイスや指示を行います。
そのアドバイスや指示を無視していると、手続き自体が無駄に遅延したり、最悪の場合では再生計画の申立てが裁判所に却下される可能性が。
虚偽の再生計画案を作成する
個人再生を成功させるうえで、再生計画案の作成はポイントです。再生計画案を虚偽の内容で作成し、それがバレると再生計画は認可されません。場合によっては不正な申告をしたとして罰則の対象になる可能性が。
個人再生の再生計画案は、あなたの収入や家計収支、財産額や借金額などをもとにして、将来の返済見込みを立てたうえで作成しなければなりません。しかし「返済可能額を多めにしておけば通りやすいだろう」などと考えて虚偽の内容を書くと、それが発覚すれば裁判所は信用性を疑い、申立てを却下するでしょう。
また裁判所に虚偽の内容を申告するのもNGです。次のような行為は、虚偽の申告に該当します。
- 財産を隠す
- 財産の評価額を実際よりも低く申告する
- 親族等からの借金を除外して申し立てる
このように虚偽の内容を申告すると、申立てを棄却(民事再生法第25条4号)されたり、途中で手続きが廃止(同法第237条2項)される結果に。悪質なケースでは「詐欺再生罪(同法第255条1項)」として罪に問われる可能性があるので気を付けましょう。
個人再生の最低弁済額については、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生の最低弁済額が知りたい!手続き別の計算方法や減額できないケース、滞納後の対処方法」
書類の不備・誤りを放置する
うっかり誤りを書類に記載して、その誤りや不備を訂正せずに放置することもやってはいけません。個人再生を申立てるときは、財産目録や債権者一覧表など多くの書類を裁判所に提出しなければなりません。「よく覚えていないけど大体で書いておこう」と思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし提出書類に不備や誤りがあると、裁判所から「補正命令」が出され、これに応じないと手続きが途中で打ち切られる可能性が。提出書類の作成は、個人再生手続きの中でも特に重要。このような理由から、一つ一つの書類を丁寧に誤りなく作成することが大切です。
手続き中に新たな借金をする
個人再生の手続き中に、新たな借金を作ってはいけません。これは民事再生法に定められている、個人再生を行う人が守るべきルールの一つ。違反すると思い制裁を科される可能性があることを覚えておきましょう。
そもそも再生計画案は申立時の借金を前提に作成されており、手続き中の借金は計画案に織り込まれていません。
「手続き中だけどこのくらいならいいだろう」「今ちょっとお金がないから知り合いに借りるだけなら」と安易な考えで借金すると、返済計画が狂ってしまうだけでなく、再生計画認可の障害となるだけでなく更なる借金の負担が増えることに。
個人再生の手続き中は、経済的な面でも自己管理を徹底し、新たな借入はさえるべきでしょう。
個人再生の手続きにかかる期間や注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生にかかる期間はどれくらい?申立から再生手続開始決定、返済までの流れと注意点」
浪費行為をする
お金を借りる行為と同じように、浪費行為も手続き中にやってはいけないことです。借金返済に充てずに浪費行為を行うと「生活を立て直すつもりがない」と判断されて、個人再生が失敗に終わるからです。ここでいう浪費行為とは、次のような行為です。
- 収入に見合わない過度な買い物や旅行
- 株やFXなどの過度な投資
- パチンコ・スロット・競馬・競艇などのギャンブル
このような浪費行為により財産を減らしてしまうと、認可決定が下りた後の返済を計画的に行えなくなります。そうなると再生計画が取り消しになる可能性が。そもそも浪費行為がひどく返済がままならないのではと判断されると、債権者に手続きを反対されたり、裁判所に減額を認めてもらえない恐れがあります。
退職など収入を減少させる行為
個人再生の手続き中は、退職など収入を減少させる行為は避けるべきでしょう。個人再生では、提出した再生計画案通りに返済しなければならないため、安定した収入が必須です。再生計画を作成した時点では、十分に返済ができるだけの収入があった場合でも、後に退職や転職により収入が減少してしまうと、再生計画が認可されなくなる可能性があります。
また転職で収入が増加する見込みがあっても、転職当初は継続的に収入を得られる見込みが不明瞭と判断され、手続きが失敗に終わる恐れも。そのため個人再生を考えている方は、収入が増える見込みがある場合でも、なるべく転職等は避けた方がいいでしょう。
一部の債権者に優先して返済する
個人再生の申し立て前に一部の債権者にのみ優先して返済することは、「偏頗(へんぱ)弁済」に該当します。個人再生では「債権者平等の原則」が適用されるため、偏頗(へんぱ)弁済をした場合には再生計画案が認められず、個人再生が失敗する可能性が高いでしょう。
また偏頗弁済した金額は、所有財産の総額(清算価値)に加算されます。その影響により返済額が本来よりも高額になる恐れが。偏頗弁済しがちな借金には、身内や友人からの借金、保証人が付いている借金、抵当権や所有権留保といった担保権が付いた借金などがあります。これらの借金を個人再生から除外するために優先的に返済すると、偏頗弁済とみなされることがあるので注意しましょう。
偏頗弁済でやりがちなことや回避術について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「偏頗弁済はバレる?個人再生・自己破産でやりがちな例とバレた後で起こること、回避術とは」
認可前に再生計画案の内容を漏らす
認可前に再生計画案の内容を、一部の債権者に知らせてしまう行為は避けるべきでしょう。というのも、次のようなリスクが生じる可能性があるからです。
- 債権者間の公平性が保てなくなる
- 再生計画案が変更になった場合に、債権者の誤解を招く可能性がある
- 再生計画案に対して不当な要求をされる恐れがある
再生計画案は、依頼した弁護士と相談したうえで慎重に決定していくべきもの。認可前の段階で債権者から問い合わせがあっても詳細は漏らさず、「現在調整中です」などと伝えるべきでしょう。
勝手に債権者に連絡する
再生計画案の内容を漏らさないまでも、勝手に債権者に連絡するのはNGです。債権者に対して不要なプレッシャーを与える原因にもなりかねず、手続きの進行に混乱を及ぼす恐れが。個人再生の手続きが始まった以降は、弁護士などの代理人を通じて適切にコミュニケーションを取るようにしましょう。
費用が工面できないのに申し立てる
費用が工面できないのに、安易に個人再生を申立てることは止めましょう。このようなことをしてしまうと、かえって問題が深刻化する可能性があるからです。個人再生の手続きを始めるには、次のような費用が必要となります。
弁護士への着手金 | 20~30万円 |
裁判所への予納金 | 20~30万円 |
弁護士への着手金は依頼する弁護士事務所によって異なるものの、着手金が30万円程度、成功報酬が20~30万円の計50~60万円ほどかかります。また裁判所への予納金は、財産調査や再生計画案の作成の指示を行う個人再生委員への報酬を含め、20~30万円程度の費用が必要に。
裁判所への予納金は申立て時に一括で支払うのが原則となっています。また着手金は個人再生を依頼するときに弁護に支払う必要があり、着手金を支払えないと弁護士から受任を断られる可能性があります。そのため、これらの費用の工面が難しい場合には、申し立て時期を調整するなどの工夫が必要になるでしょう。
再生計画案の提出期限を守らない
再生計画案は、期限を守って提出してください。1日でも提出が遅れると、その時点で再生手続きが「廃止」となるからです。個人再生は、再生計画案に基づいた返済が必須です。提出期限すら守れない人は、約束通りの返済ができないと判断されても仕方ないと考えるべきでしょう。
過払い金返還請求は慎重に
個人再生の手続き中に過払い金返還請求を行いたいと考える人がいるかもしれませんが、これは慎重にした方がいいでしょう。これまで返済してきた借金の利息を計算し直すため、引き直し計算が行われます。ここで払い過ぎた利息があることが判明することも少なくありません。
個人再生の申し立てが認可された後に過払い金返還請求をすることは違法ではありませんが、手続きが複雑で時間がかかるため、そもそもの個人再生の手続きを遅らせ、結果的に失敗に終わる可能性があるという訳です。
履行テストに失敗する
個人再生の手続き中に行われる「履行可能テスト」は、絶対に失敗しないように気を付けてください。履行可能テストとは、提出した再生計画案通りに返済できるかチェックするもので、通常3カ月~6カ月間行われます。この履行テストに一度でも失敗すると、再生計画が適正と判断されて不認可となる可能性が高いでしょう。
履行テストは1度しか行われないため、失敗すると再度個人再生を申立てなければなりません。二重に手間や時間、費用がかかる恐れがあるので、絶対に失敗しないようにしましょう。
手続き後の返済を放棄する
再生計画認可後に計画的な返済を放棄すると、個人再生は失敗に終わります。法律上は1回でも返済が遅れると、再生計画が取り消され、借金は減額されずに残ります。
再生計画通りの返済は、個人再生手続きの中で最も重要です。これに失敗すると再度の個人再生の申し立ても困難に。再生計画が認可された後は、完済まで絶対に返済を滞らせないように気を付けてください。
個人再生のメリット・デメリットについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生のメリット・デメリットを徹底分析!注意点・利用条件・他の債務整理との違いは?」
やってはいけないことをやるとどうなる?
上で説明した「やってはいけないこと」をやると、次に説明するような状況に陥ります。
借金は減額されない
個人再生の手続きに失敗すると、当然ですが借金は減額されません。そればかりか遅延損害金や利息が追加され、手続き前よりもさらに借金が増える可能性が高いでしょう。さらには一括で返済するように求められるので、個人再生の手続き前よりも状況は悪化してしまうでしょう。
個人再生を申立てる以上は、絶対に途中で手続きが廃止にならないよう、慎重に進めるようにしましょう。
支払った費用は戻ってこない
弁護士に依頼するときに支払った着手金や、個人再生を申立てるときに裁判所に納めた予納金は、手続きに失敗した場合でも手元に戻ってきません。借金が減額されない上に支払った費用が戻ってこないということで、経済的負担はさらに重くなるでしょう。
なお、履行テストで支払ったお金は手続きが途中で失敗しても申立人に返還されますが、再生委員への報酬に不足がある場合はその不足分に充当されることも。全額返ってこない可能性があることを覚えておきましょう。
事故情報が削除されない
個人再生を途中で失敗した場合でも、信用情報機関に登録された事故情報は削除されません。通常、個人再生を弁護士に依頼して受任通知が債権者のところに届くと、信用情報機関に個人再生をした旨の事故情報が登録されます。また手続き期間中は返済がストップするので、返済を滞納したという情報も登録されます。
一度登録された事故情報は、一定期間が経過するまで削除されません。この期間は信用情報機関ごとに次のように異なります。
信用情報機関 | 登録期間 |
---|---|
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 民事再生手続き開始決定の日から7年を超えない期間 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 契約継続中の期間及び契約終了後5年以内 |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | 個人再生についての事故情報は登録されないが、長期の延滞や代位弁済などがあった情報は契約期間中および契約終了から5年間 |
この期間中はいわゆるブラックリスト状態となり、新たにクレジットカードを作ったりローン契約ができません。また端末の分割払いや賃貸物件の契約ができない場合も。少なくないデメリットが生じる点も注意が必要です。
個人再生が失敗した場合の対処法
では個人再生が失敗した場合、どのような対処法が取れるのでしょうか。
即時抗告する
裁判所に借金の減額を認めてもらえないことに不服がある場合は、「即時抗告」を申立てて再度審査をしてもらうことができます。通常個人再生は住所地を管轄する地方裁判所に申立てますが、即時抗告を申立てるのは住所地を管轄する高等裁判所です。そして即時抗告は、再生計画の不認可決定から2週間以内に行う必要があります。
裁判所の審査に不備がある場合は、即時抗告で覆る可能性がありますが、多くの場合は慎重に審査されたうえで不認可決定が出されています。即時抗告で決定が覆る可能性は低いということを覚えておきましょう。
再度個人再生を申立てる
個人再生が失敗しても、再度個人再生を申立てるという方法がとれます。再度の手続きを不備なく進められれば、個人再生によって借金問題を解決できる可能性がまだ残されています。
ただし履行テストや認可後の再生計画案通りの返済で滞納した場合は、そのままの再生計画案を提出しても認可決定が下りない可能性が高いでしょう。この場合は家計の見直しや収支状況の改善が必須で、現実的な再生計画案を作り直して提出しなければなりません。
再生計画案の変更
再生計画認可決定後にやむを得ない事情で返済が難しくなったときには、再生計画案の変更が可能です。民事再生法では、再生計画を変更して最長2年まで返済期間を延長できるとしています。ただし再生計画案の変更が認められるのは、リストラや事故、病気などの不可抗力で返済が困難になったケースに限られます。
新たな借金の返済で苦しくなった、趣味にお金を使い過ぎてしまったなどの理由では、返済計画案の変更は認められません。
ハードシップ免責
再生計画による返済が、全体の3/4を超えているケースに限り「ハードシップ免責」という制度が受けられます。ハードシップ免責とは、民事再生法で定める一定の事由により返済が困難になった場合に、残りの返済義務を免除できるという制度。以下の4つの要件をすべて満たしている場合にのみ適用できます。
- 本人に責任のない事情により、再生計画通りの返済が困難になった場合
- 返済総額の3/4を返済していること
- ハードシップ免責の決定が債権者の一般の利益に反しないこと
- 再生計画を変更しても支払いの継続が困難である、または再生計画の変更自体が困難であること
自己破産への切り替えを検討
上で説明した方法で解決できない場合には、自己破産への切り替えを検討すべきでしょう。個人再生を申立てるほどの借金を抱えているのであれば任意整理での解決は難しく、個人再生手続きが失敗した後でも自己破産を申立てるのに支障はないからです。
一方で自己破産では、一定以上の財産は処分しなければならず、免責が許可されない「免責不許可事由」があるというデメリットも。また手続き期間中は特定の職業や資格が制限される可能性があり、税金や養育費などの支払い義務はなくなりません。
とはいえ、多くの借金の支払い義務がなくなる点は大きなメリットです。自己破産をする場合のデメリットをよく把握することで、後悔せずに借金問題を解決できるでしょう。
自己破産への切り替え方法や条件について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生と自己破産の違いとは?手続き・条件の比較や切り替え方法を教えます!」
手続きをスムーズに進め成功率を高めるポイント
個人再生手続きをスムーズに進め最終的に成功させるには、次のようなポイントに注意しましょう。
債務整理に強い弁護士に手続きを依頼
個人再生手続きを進める場合、債務整理に強い弁護士に依頼するのが必須です。個人再生では手続きの流れや必要書類の準備はもちろんのこと、再生計画案の作成など専門的な知識が求められるため。まずはお住いの地域で、債務整理や個人再生の実績がある弁護士事務所を探して無料相談を受けましょう。
そのうえで、次のようなことを確認しておくといいでしょう。
- 弁護士の個人再生取扱件数
- 弁護士費用の目安や支払い方法、支払時期
- 今後のスケジュールと必要な書類
- 再生計画案の作成方針
- 債権者との交渉方針
過去事例を交えながら丁寧に説明してくれる弁護士なら、安心して依頼できるはずです。
必要書類は早めに準備
個人再生を申立てるには、様々な書類の提出が必要です。弁護士に準備してくださいといわれた書類は、早めに準備するようにしましょう。面倒だからと準備をしないと、裁判所から補正命令が出されて手続きが大幅に遅れてしまう可能性があります。
また適当に済ませると、後で取り返しのつかないことになりかねません。これも借金問題を解決するために必要なことと考え、一つ一つ丁寧に取り組むようにしましょう。
借金について正確に把握
個人再生の手続きをスムーズに進めるには、あなた自身が借金について正確に把握する必要があります。すべての借金が明らかにならないと、そもそも個人再生が向いているかの判断ができず、債権者一覧表や再生計画案の作成にも必須だからです。具体的には次のような内容について債権者ごとに詳細にまとめてください。
- 債権者の氏名(会社名)
- 債権者の住所
- 借入の始期・終期
- 現在の残高
- 借入の理由
- 最終返済日
- 保証人の有無
- 担保の有無
- 受任通知の日付
- その他(担保の有無・債権名義の有無・差し押さえもしくは仮差し押さえの有無など)
弁護士に嘘をつかない
手続きをスムーズに進め個人再生を成功させるには、弁護士に嘘をつかないようにしましょう。「こんなこと言ったら怒られるかな」というような心配をする必要はありません。弁護士は依頼人の利益を第一に考えるので、正直に事情を話せば、最良の解決策を一緒に見つけてくれるはずです。
弁護士への相談や打ち合わせでは、次のような内容に関して嘘をつかずに正直に伝えてください。
- 安定した収入の有無
- ボーナスなど臨時収入の見込み
- 生活費などの支出状況
- 家や車などの資産状況
- 離婚調停中などの事情
- 自己破産の有無
財産を隠したり嘘の内容を申告したりすると、個人再生の申立てが認められないばかりでなく、弁護士が辞任する恐れも。最悪のケースでは、詐欺罪など刑事罰の対象となってしまう可能性があります。
再生計画案は弁護士と話し合って作成
再生計画案は、弁護士とよく話し合った上で作成していきましょう。そのためにはありのままの家計状況を申告するのが必須。自分の収入や支出についてよく精査したうえで、無理のない返済内容にしてください。
再生計画案を実現可能なものにするために…
再生計画案を実現可能なものにするためには、次のようなステップを踏まえて作成していきましょう。
①家計の見直し
再生計画案を作成する上で大切なのが、毎月の返済を無理なくすること。弁護士と一緒に家計簿を見直して、節約できるところはないか考えましょう。またこれまで外食や嗜好品、趣味などにお金をかけていたお金を減らすなど、ライフスタイルの変更も視野に入れて見直すことが重要です。
②財産の処分を検討
自宅や自動車などの財産がある方は、財産を売却して返済に原資に充てることも検討しましょう。もちろん生活のために欠くことのできないものであれば手放す訳に行きませんが、それも含めて所有する財産の見直しが必要です。
個人再生で車が引きあげられるか気になる方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生すると車は引き上げられる?【ケース別】車の扱いや残す方法、注意点とは」
③何度も返済シミュレーションする
家計の見直しや財産の処分を踏まえて返済プランを作成したら、何度も返済シミュレーションをしてみましょう。毎月の返済額や返済期間を変えてシミュレーションを実施し、最も現実的なプランを再生計画案とすることが求められます。
手続きの流れを把握する
個人再生を成功させるには、弁護士任せにせず自身も手続きの流れを把握することがポイント。個人再生の手続きは、複雑な流れで進んでいきます。再生計画案が認可されるまで、どのようなスケジュールで進んでいくか、あらかじめ知っておくと、個人再生へのモチベーションも保ちやすくなるはずです。
個人再生の流れや必要書類は、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生の流れと必要書類とは?手続きにかかる期間と書類の入手方法も解説!」
決められた弁済金は必ず納付する
再々申し上げていることですが、再生計画案で決められた金額は遅延なく納めるようにしましょう。弁済金の支払いは、いかなる事情があっても最優先で行わなければなりません。「今月は厳しいから」と支払いを怠ると、即座に不認可になる可能性が高いです。
そもそも再生計画案は、本人の収入や生活状況を考慮した上で無理なく返済できる計画になっているはずです。「本当に支払いを継続できるか心配」と不安になる方もいるでしょうが、「きっと大丈夫」という気持ちを持って返済を継続していきましょう。
再生計画に基づいた生活を心がける
再生計画案通りの返済を続けている間は、次のようなポイントに気を付けた生活を心がけましょう。一方でこのような生活を続けるのは、慣れない人にとって苦痛かもしれません。ストレスを感じでかつての浪費癖やギャンブル癖が出そうになるときもあるでしょう。
そのようなときは、再生計画の認可を受けた日のことを思い出してください。再生計画に基づいた生活は、新たな人生をスタートさせる第一歩。今の苦労が将来の自分を助けると信じて、地道に取り組んでいきましょう。
個人再生で住宅ローンはどうなるかについては、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生で住宅ローンはどうなる?特則適用の条件・巻き戻し・手続き後のローンについて」
出費は最小限に
返済を継続しながら生活の質を保つには、むやみに贅沢をしないことが重要です。毎日の生活で必要な物だけを買いように心がけ、衝動買いや浪費は控えめに。
計画的な出費を心がける
1カ月の生活費をあらかじめ計算しておき、その範囲内で計画的に出費しましょう。ボーナスなどの臨時収入は貯蓄に回し、いざというときの返済に充てるのが賢明です。
ギャンブルは止める
パチンコや競馬などのギャンブルは、再生計画を狂わせる危険があります。「今日だけ」「この台だけ」と思っていても、気が付けば習慣化して取り返しのつかないことに。とくにギャンブルが原因の借金で個人再生をした方は、ギャンブルからキッパリと手を引きましょう。
変更があれば速やかに届け出る
事情に変更があったときには、速やかに弁護士や裁判所に届け出してください。再生計画は申立て時の債権者の状況を考慮して個々に作成されたものです。そのため次のような変更が生じた場合には、速やかに連絡するようにしましょう。
- 引っ越しして住所が変わった
- 家賃の金額が変わった
- 結婚や出産で家族構成に変化があった
- 世帯収入が増加・減少した
- 必要経費の目安が変わった
まとめ
個人再生の手続きでは、虚偽の内容を申告したり、再生計画案の不備を訂正しないのはNGです。また一部の債権者に優先的に返済したり、再生計画案の内容を認可前に知らせるのも止めましょう。もちろん履行テストや認可後の返済を延滞する行為は、絶対にやってはいけません。
このようなことをすると借金が減額されないばかりか、余計な費用がかかったり事故情報が削除されないので気を付けてください。個人再生が失敗したときには、再生計画案の変更やハードシップ免責が受けられないか弁護士に確認しましょう。自己破産への切り替えも検討すべきです。
個人再生の手続きをスムーズに行い成功させるためには、手続きの経験が豊富な弁護士に依頼し、早めの準備が肝要。手続きの流れを把握して、再生計画案通りの返済や生活を送る努力も忘れずに。そして変更が生じたときには速やかに弁護士や裁判所に報告してください。