自己破産申請中の生活|制限されること・されないこととやってはいけないこととは?

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  • 「自己破産申請中の生活がどうなるか知りたい」
  • 「自己破産の手続き中にやってはいけないこととは?」

自己破産を申立てる前は借金返済に追われ、一日も早くこのような生活から逃れたいと思っている人が多いでしょう。また自己破産終了後は借金がゼロになるということで、明るい未来を描いている人がほとんどのはず。では自己破産申請中の生活は、一体どのようなものなのでしょうか。

こちらの記事では自己破産申請中の生活にスポットを当て、制限されることやされないこと、やってはいけないことなどを詳しく紹介。最後に自己破産の手続きを成功させるためのポイントについて解説するので、これから自己破産をお考えの方は参考にしましょう。

 

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自己破産に関する基礎知識

自己破産中の生活について知る前に、まずは自己破産についての基礎知識を解説していきます。

自己破産の方法は2種類

自己破産には大きく分けて「同時廃止」と「管財事件」の二つの方法があり、それぞれに制限されることが変わってきます。そのため、自分はどちらの方法で自己破産するのかチェックする必要があります。

種類 概要 費用
同時廃止 破産手続開始決定と同時に破産手続が廃止となる

高額な財産がなく免責不許可事由がない人が行う

弁護士費用:20万~35万円

裁判所費用:2万~3万円

管財事件 破産管財人が選任され、免責事由の調査や財産の換価処分、債権者への分配を行う手続き

高額な財産があったり免責不許可事由がある場合などが行う手続き

弁護士費用:30万~50万円

裁判所費用:50万~60万円

同時廃止は処分する財産がない人が選択する手続きの一方で、管財事件は次のような財産を持っている人が対象の手続きです。

  • 99万円以上の現金
  • 20万円相当の財産

また本来免責が許可されない次のような「免責不許可事由」がある人も、破産管財人が選任されて免責事由の調査が行われます。

  • 財産隠しが疑われる人
  • 破産理由がギャンブルや浪費
  • 偏頗弁済が疑われる人
  • 前回の自己破産から7年経過していない
  • 詐術による信用取引
  • 財産価値を著しく減少させる行為があった

自己破産の流れ

自己破産の手続きの流れも、同時廃止か管財事件かで異なります。

同時廃止 管財事件
  1. 裁判所に自己破産の申し立て
  2. 破産審尋(裁判官との面接)
  3. 破産手続開始決定・同時廃止決定
  4. 免責許可申立
  5. 債権者集会
  6. 免責審尋
  7. 破産手続廃止決定・免責決定確定
  1. 裁判所に自己破産の申し立て
  2. 破産審尋(裁判官との面接)
  3. 破産手続開始決定
  4. 破産管財人の選任
  5. 破産管財人との面談
  6. 財産および負債原因の調査
  7. 財産の売却
  8. 債権者集会・財産の分配
  9. 免責許可申立
  10. 免責審尋
  11. 破産手続廃止決定・免責決定確定

破産手続開始決定までは流れは同じですが、管財事件では破産管財人の選任や財産の調査、負債原因の調査などが行われた後に財産の換価がなされて債権者集会で債権者に分配されます。

自己破産の手続き期間

自己破産の手続き期間は、裁判所に申立てる前までの準備期間は2~3カ月、申立てから免責決定確定までの期間は同時廃止で3~4カ月、管財事件で6カ月~1年程度。準備期間を含めたトータルの期間は同時廃止で5~7カ月、管財事件で8~1年3カ月ほどかかると考えましょう。

自己破産にまつわる期間については、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産にまつわる期間を徹底解説!手続き・制限解除にかかる期間&短くする方法とは?」

自己破産申請中の生活で制限されること

自己破産申請中つまり手続き中の生活で制限されることは、どの手続きを選択するかで異なります。ここでは管財事件と2種類の方法共通の制限事項について見ていきます。

管財事件

管財事件では、主に次のようなことが生活で制限されるでしょう。

財産の処分

管財事件の申請中は、自由に自分の財産を処分できなくなります。というのも手続き中、自分の財産を管理・処分できる「管理処分権」を喪失するため。期間中の管理処分権は破産管財人に移り、破産管財人が本人に代わって財産の換価処分をすすめます。

ただし管理処分権の対象となるのは、破産手続開始決定時点で所有していた本人名義の財産のみ。破産手続開始決定後に新たに取得した財産や家族名義の財産は処分の対象から外れます。また次に紹介する財産は、自由財産として処分の対象外となります。

  • 生活必需品(家具、家電、衣類、寝具、日用品など)
  • 99万円以下の現金
  • 20万円以下の価値の財産
  • 年金や生活保護費などの公的受給権
  • 職業上必要な道具など

自己破産前に名義変更できるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産前に名義変更できる?名義変更の可否・注意点と財産を持ち続けたいときの対処法」

居住地の変更

破産手続き中は、勝手に居住地を変更することができません。住む場所を変えるときや引っ越しするときには、事前に裁判所や破産管財人の許可が必要です。というのも自己破産を申立てた破産者は所有する財産の内容などについて、裁判所や破産管財人が求めればいつでも説明できる体制でいなければならないため。

勝手に旅行や引っ越しなどして連絡が取れなくなることは避けなければなりません。許可なく居住地を変更した場合には免責が許可されない「免責不許可事由」に該当する可能性があります。そのため引っ越しが必要なときなどは、事前に依頼している弁護士にどうすればいいか相談しましょう。

自己破産中に引っ越しを行う場合の注意点は、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産中の引っ越しは許可が必要?破産手続き中や自己破産前後に引っ越す際の注意点を解説」

海外旅行など長期の旅行

居住地の変更と同じ理由で、海外旅行などの長期の旅行にも許可が必要です。ただし許可を求めればすべて得られるという訳ではありません。数日程度の帰省といった合理的な理由がある場合は認められるでしょうが、娯楽のための海外旅行などは免責の判断に悪影響が出る可能性が。

どうしても必要や出張や帰省以外は、免責許可が下りてからにするのが無難です。

郵便物の受け取り

管財事件になると、郵便物を自分で受け取ることができなくなります。これは「通信の秘密の制限」といい、破産管財人が財産隠しや偏頗弁済などの免責不許可事由がないか調査するため。破産手続開始決定から終了までの間、破産者宛ての郵便物は破産管財人に転送されます。

転送された郵便物は開封されて中身を確認された後に、まとめて破産者に返却されます。この制限を受けるのは破産者の身で、他の同居家族あての郵便物まで転送される訳ではありません。また宅急便やメール便などは制限の対象外なので、自宅で直接受け取ることができます。

管財事件・同時廃止共通

こちらでは、管財事件と同時廃止に共通する制限について解説していきます。

職業の制限

自己破産の申請中は、次のような資格を使用した職業・仕事が制限されます。

  • 士業(弁護士・司法書士・税理士・行政書士・公認会計士・弁理士・不動産鑑定士・土地家屋調査士など)
  • 役員(日本銀行・地方公共団体金融機構など)
  • 委員長および委員(公正取引委員会・裁判所職員倫理審査会・中央更生保護審査会など)
  • 取締役(銀行・農林中央金庫など)
  • 登録(不動産鑑定士・宅地建物取引主任者・中小企業診断士・特定保険募集人など)
  • 業種・許可(警備業・探偵業・一般建設業・質屋営業・産業廃棄物処理業・貸金業)

これらの資格・職業は、破産法で規定されている訳でなく、弁護士法や宅建業法など、個々の職業や資格に関する法律で資格制限・罷免事由・解任事由等になっています。

なおこれらの制限は自己破産後も続くわけでなく、免責決定確定が出れば制限が解除されます。

ブラックリストに載ることによる制限

個人信用情報に自己破産したという自己情報が登録され、いわゆるブラックリスト状態になることで、次のような手続きやサービスの利用ができなくなります。

  • クレジットカードの新規申し込み・更新・利用
  • ローンの申し込みや新規借り入れ
  • スマホ、携帯電話本体の分割払い
  • 信販系保証会社を利用しての賃貸物件の新規契約
  • 他人の保証人・連帯保証人になる

ブラックリスト状態になる期間は、3つある信用情報機関それぞれで異なります。

信用情報機関 登録期間
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 契約期間中および契約終了後5年間
日本信用情報機構(JICC) 契約継続中および契約終了後5年以内
全国銀行個人情報センター(KSC) 破産手続開始決定等を受けた日から10年を超えない期間

それぞれの機関で事故情報の情報が登録されている期間が異なるものの、独自のネットワークで保有情報を共有しているため、少なくても10年間は新たにクレジットカードを作成したりローン借り入れをしたりするのは難しいと考えましょう。

自己破産後にクレジットカードを作成するときの注意点については、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産すると5年以内はクレジットカードが使えない?解約時の注意点や回復後に作成するときのポイント」

自己破産申請中でもできること

一方で、自己破産申請中でも生活の中でこれまでと変わらずできることがあります。

資格制限のない仕事の継続

前出の通り、数ある職業の中でも他社の財産を扱うような仕事や資格は一定期間制限されます。しかし資格制限のない仕事の多くは、今まで通り申請中も続けることができます。資格制限のない仕事で自己破産を理由とした解雇は不当解雇に該当するため、労働基準監督署などしかるべきところに相談すべきでしょう。

今住んでいる賃貸物件の継続利用

今現在住んでいる賃貸物件は、たとえ自己破産の手続き期間中であっても、継続的に住み続けることができます。現在では自己破産のみを理由とした退去命令は違法となります。ただし家賃を滞納している場合はこの限りではありません。家賃を滞納している場合は、自己破産を理由に退去を命じられる可能性があります。

賃貸物件の新規申し込み

自己破産申請中でも、賃貸物件を新規で申し込んで入居することは可能です。ブラックリスト状態になることによる制限で、信販系の家賃保証会社を付けるのが条件の賃貸物件に申し込むのは難しいものの、その他の家賃保証会社の場合や、連帯保証人を付けることで申し込みができるケースでは、これまで通り審査に通る可能性が高いでしょう。

なお、管財事件で手続きする場合は、事前に住所が変わることなどを破産管財人に許可を得るようにしましょう。

デビットカード・家族カードの使用

自己破産により本人名義のクレジットカードは更新のタイミングで使えなくなり、新たに作成することができなくなりますが、本人以外が契約している家族カードを使って買い物するのは制限されません。また銀行口座と紐づけて残高の範囲内で利用できるデビットカードも問題なく使用可能です。

ブラックリスト状態になると様々な制限が出ますが、デビットカードや家族カードなど制限がかからない方法を選択すると、それほど不便なく日常生活を送れるでしょう。

携帯・スマホの利用

携帯電話やスマートフォンの利用は、次の条件に当てはまる場合に限り、これまで通り利用可能です。

  • 利用料金の滞納がない
  • 本体価格が20万円以下

なお利用料金の支払いをクレジットカード払いにしている方は、銀行口座振替やコンビニ払いに変更することをおすすめします。

保険の加入・継続

各種保険の加入や継続もとくに制限がありません。これまで通り保険を利用できるのはもちろんのこと、自己破産を理由に解約を強制される心配はないでしょう。また新しい保険にも問題なく入れます。ただし解約返戻金が20万円をこえる場合は、財産とみなされて自己破産の申請後に解約が必要です。

年金の受け取り

国民年金や厚生年金、共済年金などの公的年金は、自己破産しても原則差し押さえが禁止されています。そのため自己破産申請中でも、今まで通り受け取ることができます。また自己破産が理由で給付額が減額されることもありません。

ただし個人で契約している個人年金は、差し押さえの対象となる可能性があります。年金の種類ごとに差押えの対象になるかどうかは以下の通りです。

分類 種類 差し押さえ対象になるか
国民年金
  • 老齢基礎年金
  • 障害基礎年金
  • 遺族基礎年金
ならない
厚生年金
  • 老齢基礎年金
  • 障害基礎年金
  • 遺族基礎年金
ならない
企業年金
  • 退職年金
  • 確定給付企業年金
ならない
個人年金
  • 個人年金保険による年金
  • 確定年金
  • 終身年金
なる

生活保護の受給

生活保護の受給権もまた差し押さえ禁止債権に該当するため、自己破産申請中や自己破産後もこれまで通り受け取ることができます。とくに生活保護受給者が自己破産を検討する場合、次のようなメリットがあります。

  • 弁護士費用の自己負担なし
  • 裁判所費用の自己負担なし
  • 自己破産が認められやすくなる

法テラス(日本司法支援センター)の「法律扶助(費用の立て替え制度)」を利用すれば、弁護士費用を立て替えてもらったり、立て替えた費用の返済を免除できる可能性が。また生活保護を受けているということで、自己破産が認められやすいというメリットもあります。

選挙権・パスポート取得

選挙権やパスポート取得に関しても、今まで通り制限を受けることはありません。ネットの噂レベルでは「自己破産すると選挙権がなくなる」などのデマが流れていますが、決してそのような事実はありません。またパスポート取得への影響や失効などということもありません。

自己破産は犯罪行為ではありません。こうした日常の制限に関してはデマが多いと認識しましょう。

自己破産申請中にやってはいけないこと

自己破産申請中に「制限されること」以外に、「やってはいけないこと」があります。多くの場合自己破産で免責が許可されない「免責不許可事由」に該当する行為ですが、次に紹介するようなことを行うと免責が許可されず借金がゼロになりません。

財産隠し

財産隠しに該当する行為は、自己破産申請中はもちろん申請前もやってはいけません。財産隠しは免責不許可事由に該当するため、発覚すると免責が認められません。そればかりか「詐欺破産罪(破産法第265条)」で起訴される恐れも。破産法では免責不許可事由として、財産隠しを次のように規定しています。

債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。

引用:破産法|e-GOV法令検索

自己破産では、一定額以上の財産が没収されて債権者への返済に充てられます。財産隠しはその没収される自分の財産を意図的に隠す行為。具体提起には次のような行為が財産隠しに当たります。

  • 一部の預金口座を申告しない
  • 預金口座から現金を引き出して隠し持つ
  • 現金や財産を親族や知人に預ける
  • 不動産や車、保険の名義を親族に変更する
  • 離婚や贈与、売買等によって、財産を譲渡したかのように偽造する

自己破産は債権者に借金を返さなくてもよくなる手続きですが、そのためには債権者に対して誠実に対応する必要が。全額は難しくても返済できる財産があれば債権者に平等に分配して、残りの借金を免責するのが原則です。持っている財産を意図的に隠すことは、債権者を害する行為です。財産隠しは絶対にやめましょう。

自己破産で財産隠しがバレるとどうなるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産で財産隠しがバレるとどうなる?主な手口やバレる理由、対処法を教えます」

クレジットカードの現金化

自己破産申請前や申請中に、クレジットカードの現金化をしてはいけません。クレジットカードの現金化とは、クレジットカードで財産価値の高いブランド品やギフトカードなどを購入し、すぐに売って現金をえる行為。このような行為は、クレジットカード会社に損害を与える結果に。

またクレジットカードの現金化は、免責不許可事由に該当するため、意図的にすると免責を受けられなくなります。

破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。

偏頗弁済

偏頗弁済(へんぱべんさい)もまた、自己破産申請前や申請中にやってはいけない行為です。偏頗弁済とは、債務者が特定の債権者に対して借金を返済したり、担保を提供したりする行為。自己破産する人の中には家族や友人からも借金していて、自己破産すると迷惑がかかるからと申請前もしくは申請中に勝手に返済する人がいます。

しかしこのような行為は、債権者平等の原則に反し、免責不許可事由に該当します。債権者の一人が親族や友人であっても、彼らだけに返済するのは止めましょう。

特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。

偏頗弁済はなぜバレるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「偏頗弁済はバレる?個人再生・自己破産でやりがちな例とバレた後で起こること、回避術とは」

離婚

自己破産の申請中は、特別な理由がある場合を除いて離婚することは避けた方がいいでしょう。というのも離婚に伴う財産分与の内容によっては、財産隠しの目的で離婚したのではと裁判所や破産管財人に疑われる可能性があるため。

たとえ財産隠しが目的でなかったとしても、悪質な財産隠しと判断されれば免責が受けられないのはもとより、詐欺破産罪で起訴される恐れがあります。

自己破産した場合の離婚慰謝料がどうなるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産したら離婚慰謝料はどうなる?請求する方法や判断のポイントを解説!」

浪費やギャンブル

自己破産申請中はもちろん弁護士に自己破産を依頼した以降、破産手続が終わるまではギャンブルや浪費は控えてください。とくに自己破産の原因が浪費やギャンブルだった場合、反省の態度が見えないと判断されて免責が受けられない可能性があります。

浪費やギャンブルによる借金は本来免責不許可事由に該当しますが、裁判所の判断により多くの場合「裁量免責」が受けられます。しかし裁量免責を受けるには、裁判所への協力的な態度や反省の気持ちを示す必要があります。場合によっては反省文の提出も求められます。そのような中で申請中に浪費やギャンブルをすることは避けるべきでしょう。

浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

嘘をついて借金する

もう返済できないと分かっていながら、新たにお金を借り続けることもやってはいけません。自己破産するのは借金の返済能力が限界を超えているからです。すでに返済できないと分かっていながら、返済できますと嘘をついて借金を増やすことはNG。このような行為は過大な債務負担として、免責不許可事由に該当する行為です。

破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。

ここで問題になるのは、いつからの借金がダメなのかということ。破産法では破産手続開始の申立て日の1年前からとしています。少なくとも弁護士に自己破産を相談した後は、借金を増やさないようにしましょう。

嘘の内容がある書類を裁判所に提出する

嘘の内容の書類を裁判所に提出することも、やってはいけません。例えば債権者がもっといるにもかかわらず、自己破産申請中に一部の債権者に全額返したいと思い、その債権者を除いた債権者一覧表を作成して提出するなど。また保有財産に関する書類や家計の収支に関する資料などに嘘の記載をすることも許されません。

これらの行為もまた、免責不許可事由に該当します。

業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。

虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。

自己破産の免責不許可事由11項目については、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産の免責不許可事由の11項目を解説!免責が下りなかったときの対処法とは?」

手続きを成功させるためのポイント

自己破産の手続きを成功させるためには、次のようなポイントに注意していきましょう。

裁判所・破産管財人の指示に従う

自己破産は裁判所を通す手続きなので、裁判所や裁判所が選任する破産管財人の指示には従ってください。破産者は裁判所や破産管財人の指示に従う義務があると破産法に定められています。これに従わないときは免責不許可という相応のペナルティが科せられます。

裁判所から書類の提出を求められたときや呼び出しがあったときなどは、期日を守って迅速に対応するようにしましょう。どうしても間に合わない場合などは、正当な理由があれば期限の延長を認められることがありますが、破産管財人の業務を妨害したり指示されたことに従わないときは、免責を認めてもらえなくなります。

破産管財人がどこまで調べるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「破産管財人はどこまで調べる?自己破産の管財事件での調査内容・方法と財産隠しについて」

財産・債権者漏れが分かったら速やかに対処

財産や一部の債権者を意図して隠す行為は免責不許可事由になりますが、うっかり記載するのを忘れた場合には速やかに対処するようにしてください。財産に関しては、申立後に未申告の財産が出てきたらすぐに裁判所に報告してください。

債権者漏れに関しては、破産手続開始決定前・決定後と免責許可決定確定後とで対処法が異なります。

破産手続開始決定前 速やかに裁判所に申告し、「債権者変更上申書」と「漏れていた債権者を追加した債権者一覧表」を提出し直せば、特に問題なく手続きをすすめられる。
破産手続開始決定後 同時廃止:裁判所に「債権者変更上申書」と「漏れていた債権者を追加した債権者一覧表」、債権者に「破産手続開始決定通知書」を出す。

管財事件:裁判所に「債権者変更上申書」と「漏れていた債権者を追加した債権者一覧表」を提出。破産管財人に漏れていた債権者への破産手続開始決定通知書の発送と、裁判所に発送報告書を提出することを依頼する。

免責許可決定確定後 債権者に「免責許可確定通知書」か「免責許可決定通知書」のいずれかを送付する。

いずれの場合も、記載漏れが発覚したら速やかに弁護士に報告して、この後どうすべきかの指示を受けてください。

自己破産の債権者漏れが発覚した場合の対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産の債権者漏れとは?起きやすいケースと影響を知り、失敗しない対策をとろう」

弁護士のアドバイスに沿った行動を心がける

自己破産を成功させるには、手続きを依頼した弁護士のアドバイスや指示に沿った行動を心がけましょう。裁判所に提出すべき書類の準備や打ち合わせ等、弁護士から連絡があっても無視したり準備しないでいると、期日までに手続きを進めことができなくなります。

結果として自己破産の申し立てができずに借金をゼロにできなくなる可能性が。またあまりにもひどいと、弁護士に代理人を辞任されてしまう恐れがあります。支払った着手金は返金されず、新たに弁護士を依頼しなければならなくなるため、くれぐれも弁護士の指示には従うようにしてください。

弁護士に途中で辞任されたときの対処法については、こちらの記事を参考にしてください。

「弁護士に任意整理中に辞任されたら?辞任の理由・対処法を知ってスムーズな手続きを」

まとめ

自己破産の申請中の生活で制限を受けるのは、管財事件では財産の処分と居住地の変更、長期旅行や郵便物の受け取りなど。同時廃止を含む手続きで制限を受けるのは、特定の資格・職業による仕事やブラックリスト状態になることによる制限です。

一方で、資格制限のない仕事や賃貸物件の申し込み、スマホの利用や年金・生活保護の受給は、これまで通り制限なく行えます。また自己破産では、免責不許可事由に該当する財産隠しや偏頗弁済、クレジットカードの現金化や嘘をついて借金するといった行為をしてはいけません。

自己破産を成功させるには、裁判所や破産管財人の指示に従って抜け漏れのない書類を作成し、期日に裁判所に出頭してください。もし申請中に財産漏れや債権者漏れに気が付いたときには、弁護士に速やかに報告し、適切な対処法を取りましょう。弁護士は、依頼人であるあなたの利益を一番に考えています。弁護士の指示やアドバイスに従って、自己破産を成功させて新しい生活への第一歩を踏み出しましょう。

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