借金取り立ては違法?合法との違いと困ったときの対処法、迷ったときの解決方法とは

借金取り立ては違法?合法との違いと困ったときの対処法、迷ったときの解決方法とは
借金取り立ては違法?合法との違いと困ったときの対処法、迷ったときの解決方法とは
  • 「借金の取り立てって違法じゃないの?」
  • 「借金の督促が辛いときの対処法が知りたい」

借金を滞納し続けていると、債権者から督促や取り立てを受けることがあります。中には「これって違法じゃないの?」という取り立てをうける場合も。そこでこちらの記事では、借金取り立ての違法性や合法との境界線、取り立てが辛いときの対処法を紹介します。

さらに違法か合法かの判断が難しいケースもあるので、すでに自分が受けている取り立てが合法か判断するときの参考にしましょう。場合によっては相談先を変える必要があるので、こちらの記事を参考にしながら適切な対処法を取っていきましょう。

 

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目次

借金の取り立てとは

借金の取り立てとは、お金を貸した債権者が債務者に対して様々な手段で連絡を入れ、借金の返済を求めることをいいます。こちらの記事を読んでいる人の中には、返済が滞ってすでに債権者から取り立てにあっていたり、これから過酷な取り立てを受けるのではと不安な人もいるはずです。

一口に取り立てといっても、どのような方法でなされるのかの違いや滞納期間に応じた取り立て方法があります。そこでこちらでは、消費者金融や銀行などからお金を借りた場合の一般的な取り立て方法やその手順について解説していきます。この項で紹介する取り立て方法は、基本的に合法だと考えましょう。

一般的な借金の取り立て方法と手順

借金の取り立て方法はいくつかあり、借金の金額や返済が滞っている期間によって変化していきます。

1.電話や書面で請求される

返済期日を過ぎても返済が行われないと、電話や書面で遅れている返済を求められます。初めは書面で「返済が遅れているようなので○日までにご入金をお願いします」といった内容が送られてきます。それでも入金がないと、契約時に登録した連絡先に電話が行くようになります。

この段階ですぐに返済できれば、以降で説明する取り立てを受けることは回避できます。また今後の生活に与えるダメージを最小限にすることも可能。当初の返済期日までに返済するのが難しい場合でも、この段階で対応し、返済日をずらしてもらうなどの対処が必要です。

2.借金の全額を一括請求される

電話や書面による取り立てを受けても無視し続け、なおも返済せずに数カ月経過すると、「催告書」という書面で、残っている借金の全額を一括で返済するように求めてきます。「いきなり一括で返済を求めるなんて違法なのでは?」と思う方がいるかもしれませんが、これは民法第137条に記載されている「期限の利益」が喪失したためです。

期限の利益とは、一定の期日が到来するまでの間は借金を分割して支払うことができるという権利のこと。契約通りの分割返済を続けている限り一括返済を求められることはありませんが、債権者が定めた一定の条件(期限の利益喪失条項)に当てはまると、期限の利益が喪失し、一括請求を求められても法的に拒否できません。

ここまで来てしまうと、たとえ「これからはキチンと分割で支払うから、一括請求は許してほしい」と交渉しても、債権者が納得しない可能性が高いでしょう。尚も返済を行わないと、以降で紹介する支払督促や強制執行手続きに移行する恐れがあります。

3.支払督促を起こされる

一括請求の書面にも応じなかった場合、債権者は裁判所に「支払督促」の申立てをする手続きに入ります。支払督促とは簡単に言うと、裁判所を介して行われる取り立てのこと。債権者が簡易裁判所に支払督促の申立てをし、裁判所が債権者に返済すべきと判断すれば、債務者に対して金銭を支払うよう命令(支払督促)を出します。

支払督促は債務者の自宅に送付されますが、受け取ってから2週間以内に「督促異議」の申立てを行わないと、財産の差し押さえを行う強制執行が可能になります。裁判所から支払督促が届いた場合には、早急に対応することをおすすめします。

4.裁判を起こされる

債権者によっては、支払督促を経ずに裁判を起こしてくる場合もあります。また前出の督促異議の申立てを行った場合でも、自動的に裁判に移行します。裁判を起こされた場合、裁判所から届く「訴状」をもとに、それに反論する「答弁書」を作成して期日までに裁判所に提出しなければなりません。

答弁書を提出せず期日にも出頭しなかった場合には、「欠席裁判」となり裁判所が債権者の主張を全面的に認める判決を下します。遅くないタイミングで差押え等の強制執行が行われ、財産や預貯金、給与などが差し押さえられてしまうでしょう。

5.強制執行(財産の差し押さえ)

借金返済や取り立てを放置し続けると、強制執行により財産が差し押さえられます。給与を差押えられた場合には、勤務先に裁判所から通知が行くので、借金を滞納している事実が職場にバレてしまいます。強制執行によって会社をクビになることはないものの、人事査定や評価に影響するのは避けられません。

合法な取り立て行為

多くの貸金業者は、上で説明したような合法な取り立て行為のみを行います。次に紹介する取り立て行為は、基本的に合法となります。

1日3回程度の電話

督促や取り立ての電話は、1日3回程度なら合法といえます。消費者金融など貸金業に関する法律「貸金業法」では、取り立ての電話の階数に関する規定がありません。しかし日本貸金業協会が独自に定めた自主規制の基本規則では、「反復継続した取り立て行為の規制」として、1日4回以上の電話を規制。

これに基づいて多くの貸金業者では、1日の電話による取り立てを3回までとしているという訳です。

郵便による取り立て

普通郵便による取り立てもまた合法です。返済期日を過ぎた場合、遅延損害金を加算した金額の振込依頼書が普通郵便で送付される場合があります。また督促状なども普通郵便で送付されます。もちろんそれらには債務者を脅すような文言は書かれていません。

内容証明郵便による催告書の送付

借金の延滞が続くと、内容証明郵便で一括返済を求める催告書が送付されます。こちらもまたよくある取り立て方法です。一括返済を無視し続けると最終的には強制執行となる可能性が高まるので、絶対に無視しないようにしましょう。

裁判所への申立て

裁判所への申立てや強制執行もまた、法律に基づいた取り立て行為です。もちろん裁判所を通しているので、違法な取り立てや督促ではありません。貸金業登録を行っている貸金業者であれば、お金を貸すときに「金銭消費貸借契約」を債務者と交わしています。

契約に基づいた内容で借金を返済していない以上、債権者側に有利な裁判結果になることは明らかです。判決や支払督促が確定すると、債務者の給与や預貯金は差し押さえられてしまいます。

借金を放置し裁判所も無視するとどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「借金放置して裁判所も無視するとどうなる?放置後に起こることを知り、適切な解決方法を選択しよう」

違法な取り立てとは?

では違法な借金取り立てとは、どのような行為のことを指すのでしょうか。こちらでは貸金業・個人間・その他で違法になる取り立て行為について解説していきます。

貸金業法で禁止されている取り立て行為

貸金業法では、取り立て行為に関して第21条の中で10項目にわたって規制をしています。これに違反する取り立て行為を行った場合は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性が。

深夜や早朝の時間帯の電話・訪問

貸金業法では、正当な理由がないのにもかかわらず夜間や早朝の時間帯の電話や訪問による取り立てが禁止されています。具体的には、午後9時から午前8時までの間の時間帯です。夜間や早朝に電話や訪問による取り立てがあると、債務者の生活の平穏が守れないためというのがその理由です。

しかし次のような正当な理由がある場合には、必ずしも違法とはなりません。

  • 指定の日時に連絡しても電話に出なかった
  • 返済日に提示された日時に返済がなかった
  • 事前に債務者から指定された時間帯があった

取り立て可能な時間帯や督促を止める方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「借金の取り立ての時間は何時まで?違法な時間帯や督促を止める方法について解説」

希望時間帯以外の電話・訪問

債務者が返済の意思を示したうえで事前に連絡が取れる時間帯を伝えているにもかかわらず、その時間帯以外に電話や訪問で取り立て行為をするのは、貸金業法で認められない行為です。

正当な理由がない自宅以外(勤務先など)への訪問

正当な理由がないのに自宅以外の勤務先などに電話をかけたり訪問したりするのも、貸金業法で禁止されています。とくに勤務先に電話や訪問をすると、周囲に借金があることを知られてしまう可能性があります。ただし債務者と全く連絡が取れない場合や、自宅ではなく勤務先に来て欲しいと依頼された場合はその限りではありません。

退去を求められても居座ること

債務者の自宅や勤務先に訪問したときに、本人やその家族などから「もう帰ってほしい」といわれたにもかかわらずその場所に居座り続けるような行為は、貸金業法で禁止されています。このような行為をされると、近所の人や職場に借金があることを知らせているようなものだからです。

張り紙や看板などによるプライバシーの侵害・暴露

務者の自宅付近や周囲の人の目に付く場所に、「早く返済しろ」「金返せ」といった看板や張り紙を設置する行為もまた、債務者の生活の平穏を乱す行為として貸金業法で禁止されています。これらの行為は、債務者のプライバシーの侵害に該当するため。このように周囲の人に対して債務者が借金を抱えていることを知らせる行為は、貸金業法で規制の対象となります。

他から借金して返済するよう求めること

貸金業法では、債務者に対し「他の金融機関からお金を借りて返済してください」と要求する行為も禁止しています。これは債務者の借金を強制的に増やすように迫る行為だからです。

このような行為を認めてしまうと、債務者の借金状況が悪化するばかりでなく、他の金融機関に対しても返済を受けられる見込みがない貸し付けをすることにつながります。様々な関係者の利益を害することにつながるため、貸金業法では禁止されているという訳です。

債務者以外の家族などに肩代わりを要求すること

債務者の両親や兄弟など、家族に対して借金の肩代わりを要求することも違法です。借金の返済義務はあくまで本人のみ。たとえ配偶者や血縁でも、借金を返済する義務はありません。

ただし家族が借金の連帯保証人になっている場合はその限りではありません。債権者は連帯保証人に対して借金の返済を求めることができるため、注意が必要です。

家族などに債務者の連絡先や居所を聞き出そうとすること

たとえ債務者本人と連絡が取れなくても、債務者の家族や勤務先に本人の連絡先や居所を聞き出すことは禁止されています。このような行為は債務者の周囲の人に恐怖を感じさせてしまう可能性があるためです。

取り立てで本人の自宅を訪ね本人が不在で、その親が対応することもあるでしょう。その場合は「帰られたら会社に連絡をするようにお伝えください」とお願いすることは可能です。しかし伝言するのを拒否した親に対して、しつこく協力をお願いしたりする行為は、事実上返済を迫るのと同様とみなされて禁止されています。

受任通知受け取り後も取り立てを継続すること

受任通知を受け取った後も取り立て行為を継続することは、貸金業法で禁止されています。債務者が借金を債務整理しようと考え弁護士や司法書士に手続きを依頼するケースでは、依頼を受けた専門家は貸金業者や債権回収会社などの債権者に依頼者の代理人に就いたことを知らせる「受任通知」を送付します。

この受任通知を受け取った後で債権者は、原則として債務者に直接連絡したり、取り立て行為を継続することはできません。ただし受任通知と行き違いで督促が届く場合があります。この場合は「弁護士に債務整理を依頼したので、そちらにご確認ください」と伝えたうえで返済する必要はありません。

他人の私生活または業務の平穏を害するような行為

上で紹介したような取り立て行為以外でも、他人の私生活または業務の平穏を害するような行為は禁止されています。貸金業法第21条では、次のように規定されています。

貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。

引用:貸金業法|e-GOV法令検索

個々の取り立て行為が違法かどうかは、それぞれの事実関係を踏まえて判断する必要があります。たとえ上記に当てはまらないような取り立て行為でも、債務者の私生活や業務の平穏を害する行為と認められれば、貸金業法違反となる可能性があります。

個人間の取り立てで違法になるケース

消費者金融や銀行などは貸金業法によって違法な取り立て行為が規制されていますが、個人間の借金では違法となる取り立て行為はあるのでしょうか。

脅迫や恐喝による督促行為

個人間の借金の取り立てでは、貸金業法が適用されません。その代わり脅迫や恐喝による過度な取り立て行為は、刑法上の犯罪が成立する可能性があります。刑法では、脅迫罪(刑法第249条)や恐喝罪(刑法第222条)として、次のような行為を規定しています。

脅迫罪(刑法第249条)

人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

たとえば借金を返さない債務者を大声で脅して、恐怖を与えるかのように返済を迫った場合は、脅迫罪に当たる恐れがあります。

恐喝罪(刑法第222条)

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

引用:刑法|e-GOV法令検索

「今すぐ返済しないと本人(家族)に危害を加える」のような内容で相手を恐喝してお金を出させたようなケースでは、恐喝罪が成立する可能性も。お金を借りた相手にこのような行為をされた場合は、警察に相談するようにしましょう。

その他違法になる行為

上記以外にも、借金や取り立てに関して違法になる行為があります。

闇金からの借入

借金の取り立てで深夜や早朝の訪問、居座り、家族への強要があるケースでは、闇金が関係している可能性が高いでしょう。闇金とは法律を無視した金利を取り、取り立てを行う違法な貸金業者のことをいいます。闇金の多くは貸金業者として国や都道府県に登録を行っておらず、登録をしている場合でも出資法に反する高金利を取っています。

闇金からの借入はそもそも違法で、原則として返済の義務はありません。しかしながら闇金から一度でもお金を借りてしまうと、恐喝まがいの取り立てや嫌がらせされる恐れがあります。もしも闇金からお金を借りてしまったときには、早急に警察や弁護士などに相談するようにしましょう。

高利貸し

貸金業登録のあるほとんどの貸金業者は、利息制限法出資法に基づいた次のような上限金利の範囲内で利息を設定しています。

法律 上限金利
出資法 年利20%
利息制限法
  • 元本10万円未満:年利20%
  • 元本10万円~100万円未満:年利18%
  • 元本100万円以上:年利15%

貸金業者はお金を貸し付け、利息を受け取って利益を上げる訳ですが、その利息が高すぎると借入した人の生活に支障をきたすことがあります。そのため、上限金利を超えるような利率で金銭を貸し付けることは違法となります。

しかし違法な貸金業者(闇金)は、これらの法律を無視した高利を設定しています。よく聞く「トイチ」や「トゴ」というのは、「10日で〇割」という意味で闇金が設定している利息のこと。闇金では次のような高利で貸し付けています。

闇金が設定する利息 年利
トイチ(10日で1割) 365%
トニ(10日で2割) 730%
トサン(10日で3割) 1095%
トゴ(10日で5割) 1825%
トロク(10日で6割) 2190%
トナナ(10日で7割) 2255%

トイチの場合、10万円借りただけでも10日ごとに1万円利息を取られ、年間では利息だけで36万5千円支払うことになります。闇金は審査がほとんどなくすぐに借りられますが、一度借りてしまうと完済するのは非常に困難。絶対に闇金からはお金を借りないようにしましょう。

刑法上の違反行為

上記以外でも、刑法上の違反行為となる取り立てがあります。こちらは刑法上の犯罪が成立する可能性がある行為です。

取り立て行為 刑法上の罪名
相手の家に勝手に上がり、お金になりそうなものを引きあげる行為 窃盗罪
相手に暴行を加えて抵抗できないようにし、お金になりそうなものを持ち帰る行為

上記の行為が原因で相手にケガを負わせた(死亡した)場合

強盗罪

 

強盗致傷(致死)罪

返済できないことを理由として土下座などを強要する行為 強要罪
職場や自宅周辺で債務者の借金の内容を言いふらしたりする行為 名誉棄損罪(第230条)
職場で返済を求めて騒ぐなど、業務を妨害するような行為 威力業務妨害罪(第234条)
「近所迷惑なので帰ってほしい」といわれても、その場に居座り続ける行為 不退去罪(第130条)

違法か合法かの判断が難しいケース

上で紹介したような行為ほどではないものの、「これって違法な取り立てでは?」と判断が難しいケースがあります。ケースごとの対処法と併せて解説していきます。

電話による取り立て

電話による取り立ては時間帯による規制があるものの、回数についての法的な規制がありません。そのため、一日何十回もの取り立ての電話があっても、それだけで貸金業法や刑法の違反と主張するのは難しいでしょう。しかし、荒い口調で脅迫めいた言葉を投げかけてくる場合には、違法な取り立てとして警察に通報できる可能性も。

電話による取り立てが「違法じゃないの?」と思った場合には、次のような対処を取るといいでしょう。

  • 刑事事件として立件できる可能性がある…警察に相談
  • 闇金が明らかに異常な回数の電話をかけてくる…弁護士に相談
  • 借金問題を根本から解決したい…弁護士に債務整理を依頼
  • 今すぐに電話をかけてくるのを止めさせたい…裁判所に架電禁止の仮処分の申し立て

電話による取り立て行為が合法か違法かの判断が難しい場合、それぞれのケースに応じて1~3の対応を取るようにしましょう。

それにプラスして、異常な回数の電話をストップしたいときには、裁判所に「架電禁止の仮処分」を申し立てることをおすすめします。裁判所に申立てが認められると、債権者からの取り立ての電話をストップすることができます。

電話による在籍確認

貸金業者と最初に金銭消費貸借契約をするときに、勤務先に電話がかかってくることがあります。この電話は「在籍確認」と呼ばれており、契約時に提出した勤務先の情報が真実かどうかを確認するために行われます。在籍確認の電話は違法ではありません。

在籍確認では、担当者の個人名で勤務先に電話をし、申込者本人に取次ぎを依頼。本人が出れば、契約についての在籍確認であることを伝えて電話は終了します。もちろん勤務先や上司にこれから借金を伝える電話ではなく、返済が滞ったからといって職場に電話をかけてくることも原則としてありません。在籍確認が理由で勤務先に借金のことを知られる心配はないので、安心してください。

ただし住所等で虚偽の内容を申告し、本人と連絡が取れない場合には、勤務先に連絡が行くことがあります。また長期間滞納していた場合には、裁判をして給与の差し押さえを行うので、勤務先に知られるのは避けられないでしょう。

自宅や勤務先での待ち伏せ

自宅や勤務先での待ち伏せも、合法か違法かの判断が分かれるケースです。自宅の敷地内に勝手に入ってきた場合には「住居侵入罪」、退去の申し出に応じなければ「不退去罪」が該当します。そして待ち伏せの時間帯が午後9時~午前8時なら、貸金業法違反となるので違法です。

しかし自宅から少し離れた公道で待ち伏せされた場合や、とくに声をかけられることもなくただあとをついてくる場合などは、どの犯罪にも該当しない可能性が。このような場合には、合法・違法いずれの取り立て行為にも対応できる弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士なら違法行為と認められれば警察に通報してくれ、合法であっても裁判所に面会強要禁止の仮処分を申し立ててくれます。

生活保護受給者への取り立て

生活保護受給者への取り立ては、基本的に違法になりません。しかし生活保護法では、受け取った保護費からの借金返済を禁止しています。そのため、生活保護受給者への取り立ては実質的に不可能ということになります。このようなケースでは、自己破産が最善策になる可能性が高いです。なるべく早めに借金問題に詳しい弁護士に相談しましょう。

借金の取り立てで困ったときの対処法

「いつ借金の取り立て電話があるか不安だ」「毎日のように取り立てを受ける生活から脱出したい」という方は、こちらで紹介する対処法を実践してみてください。適切な対処法は借金の相手によって次のように異なります。

貸金業者

貸金業者からお金を借りて返済できず、取り立てに困っているという方は、こちらで紹介する順で対策を取っていきましょう。

まずは債権者に連絡

今後取り立てされるかも…と不安な方は、まずはこちらから債権者に連絡を取りましょう。なるべく早めに連絡をし、期日までの返済が難しいことを説明したうえで、支払期限を延ばせないか交渉しましょう。

支払期限に遅れたときは、債権者としても今後の状況確認のために債務者に連絡を入れざるを得ません。しかし事前に連絡があり支払いの目途が付いていれば、そう何度も連絡を入れる必要がないと判断し、とくに取り立ての連絡をせずに待ってもらえる可能性が高いです。

返済日前なら支払い方法を変更

支払期日の前であれば、支払方法を変更できるかもしれません。今月の支払いが難しいときには、支払方法を分割払いやリボ払いに変更可能な場合があります。クレジットカードのキャッシングなら、クレジットカード会社のサイトからマイページを開き、支払方法を変更できるようになっています。

ただし支払い方法が変更できるのは、支払日の〇営業日前までなどと規定により決まっています。変更手続きの方法や期間については、事前に必ず確認するようにしましょう。

返済日が過ぎた場合は支払期限の再設定

返済日を過ぎた場合でも、早めに相談すれば支払期限の再設定に応じてもらえる可能性があります。貸金業者側も、このまま全く支払いをしてくれず連絡も取れなくなると、貸し付けた資金を回収できずにマイナスとなります。

このような理由から、支払期限が過ぎていても交渉に応じる可能性はゼロではありません。ただし交渉する場合には、次のような点に注意しましょう。

  • 支払期限を過ぎたと気が付いたら、なるべく早めに連絡を入れる
  • 支払の意思があることをはっきりと伝える
  • 支払できない理由や状況を率直に伝えて誠意ある対応を心がける

訪問してきたら用件を聞いて帰ってもらう

借金の取り立てで自宅に訪問してきたときには、まずは要件を聞いて帰ってもらうようにしましょう。とくに注意が必要なのは、返済が滞ってから長い期間取り立てもせずに放置されていたケースです。このとき「後で払います」「もう少し待ってください」など、借金の存在を認めるようなことを言うと、「消滅時効」成立の妨げになるため。

このような場合で自宅に取り立てに来るのは、借金の返済義務に関する消滅時効のカウントをストップさせることを目的としています。債務者が借金があることを認める言動をすると、時効のカウントがリセットされます。このようなときは「専門家に相談するので、今回はお帰りください」と伝えて帰ってもらうようにしましょう。

借金の時効に関する注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。

「借金の時効に関する基礎知識|時効までの期間と時効援用の方法、失敗しないためのポイントとは」

取り立てに関する相談をする

「違法な取り立てかも?」と思ったら、日本貸金業協会の「貸金業相談・紛争解決センター」に相談してみましょう。日本貸金業協会は、内閣総理大臣の認可により設立された貸金業法に基づく自主規制機関。貸金業の適切な運営のためにある機関です。

こちらでは業務の一環として、貸金業者の取り立てなど貸金業法についてのトラブルが起こった場合の苦情を受け付けています。解決しないときには「裁判外紛争解決手続き(ADR)」の申立ても可能です。申立て方法や申立書類について詳しくは、日本貸金業協会のHPを参考にしましょう。

借金相談ができる窓口については、こちらの記事を参考にしましょう。

「借金相談は市役所でできる?相談の方法やメリット・デメリット、その他の相談窓口一覧」

債務整理を検討

電話や訪問での取り立ては辛いが、借金を返済できる充てがないという方は、債務整理を検討しましょう。債務整理とは国が認めた借金解決方法。債権者との交渉や裁判所への申立てにより、借金を減額・免除してもらう手続きです。債務整理には主に次の3種類があります。

債務整理の種類 特徴・減免割合
任意整理
  • 債権者と直接交渉し、将来利息や遅延損害金の減額を求める手続き
  • 残った借金は3~5年かけて完済を目指す
  • 交渉する債権者を選べる
  • 安定した収入がないと合意が難しい
  • 費用や時間がかからず、周囲にも知られる可能性が低い
個人再生
  • 民事再生法に基づき、裁判所に申し立てて借金を大幅に減額(1/5~1/10)できる手続き
  • 再生計画に基づいて原則3年、最長でも5年で返済するのが原則
  • 住宅ローンを返済し続けることでマイホームを手放さずに済む「住宅ローン督促」がある
  •  減額割合が多い分、任意整理よりも収入や債権者の同意に関する条件が厳しい
自己破産
  • 借金が返済不能状態であることを裁判所に認めてもらうことで、全ての借金の返済義務を免除(免責)できる手続き
  • 免責が認められない「免責不許可事由」がある
  • 一定期間職業や資格、移動などに制限がある
  • 破産管財人が選任される管財事件になると、費用と時間がかかる

借金の金額別の目安と債務整理の条件については、こちらの記事を参考にしてください。

「債務整理は借金いくらから必要?【種類別】借金額の目安と金額以外の条件について」

闇金

借金をした相手が闇金の場合、通常の貸金業者とは取り立てに困ったときの対応が変わってきます。

悪質な場合は警察に相談

闇金からの取り立てが悪質だったり違法性が疑われるようなときには、警察に相談することをおすすめします。例えば人や物に直接危害を加える、恐怖を与えるような言葉や暴言で脅す、許可していないのに敷地内に立ち入るなどです。

明らかに生活に支障が出ている場合や、命の危険を感じるようなときには、躊躇せず警察に通報しましょう。このとき注意したいのは、警察に捜査してもらうには証拠が必要だということ。ただのお金の貸し借りのトラブルとみなされると、民事不介入として警察が動けません。自宅に訪問されたときの録画データや脅し文句が記された書類を取っておきましょう。

闇金の取り立てを警察に相談するときの注意点については、こちらの記事を参考にしましょう。

「闇金は警察に相談できる!相談する時の注意点と民事不介入で対応してくれないときの対処法」

弁護士に相談

相手が闇金の場合には、闇金問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。また警察に相談したものの、証拠が少なくて積極的に動いてもらえないというときにも有効です。闇金の住所が分かっている場合には、弁護士が受任通知を送付しただけで取り立てをストップできることも。また闇金からの取り立てが止まらないときの対策や対応をプロの視点から教えてもらえます。

闇金からの電話がしつこいときの対処法は、こちらの記事を参考にしてください。

「闇金からの電話しつこいときの対処法!間違った方法や電話がくる理由も紹介」

個人間の借金

借金した相手が個人の場合、貸金業法で禁止されている取り立てを行っていても違法にはなりません。しかし名誉棄損やプライバシーの侵害に当たる過度な取り立ては、刑法上の罪に問われる可能性があります。そのような場合には、弁護士などの専門家に相談するといいでしょう。

他の借金を債務整理する場合でも、個人からの借金には注意が必要。申し訳ないからと、個人であっても特定の債権者にだけ借金を返済すると「偏頗(へんぱ)弁済」とみなされて個人再生や自己破産ができなくなります。

偏頗弁済はどうしてバレるのかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「偏頗弁済はバレる?個人再生・自己破産でやりがちな例とバレた後で起こること、回避術とは」

まとめ

借金の取り立てが違法かどうかは、借金の相手によります。貸金業者が相手なら、貸金業法で禁止されている取り立てを行うと違法です。個人間の借金では、脅迫や強要があると刑法上の罪に問われる可能性があります。相手が闇金の場合は、そもそも返済の義務がないので注意しましょう。

違法かどうかの判断が難しいときには、まずは一般的な取り立ての流れを理解しましょう。そのうえで、違法だと思う証拠を確保し、警察や弁護士に相談することをおすすめします。

これ以上取り立てや借金返済でストレスを貯めたくないという方は、弁護士に相談して債務整理を検討しましょう。弁護士から受任通知が送付されれば、すぐに取り立てをストップできます。借金の状況や収入などから最適な債務整理方法をアドバイスしてもらえます。もちろん手続きも任せられるので安心。まずはお近くの弁護士事務所に行き、無料相談を利用して債務整理について相談して借金問題の根本的な解決を目指しましょう。

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