会社の運転資金がない…不足の理由と取れる対策を知り、事業継続の可否を的確に判断しよう

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  • 「自営業の運転資金が底をつきそう…」
  • 「融資が返済できないときはどうすればいい?」

自営業や会社法人の事業を円滑に継続していくには、経営状況や業種に応じた運転資金が欠かせません。しかし様々な理由で運転資金が不足するケースも。こちらの記事では、会社の運転資金が不足する理由や不足したときの対策について詳しく解説していきます。

また同じような事態に陥らないためには、日々の備えやチェックも欠かせません。しかし中には資金繰りができずに、融資を返済できなくなったという場合も少なくありません。事業継続ができるかの判断をしたうえで、とり得る手段を取っていきましょう。

 

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目次

会社の運転資金が足りなくなる理由

会社や自営業では、ある程度の運転資金が必要な場合が少なくありません。こちらでは運転資金とは?という基礎知識から、運転資金が足りなくなる一般的な理由について解説していきます。

運転資金とは

運転資金は、事業を継続(運転)させるために必要な資金(お金)のこと。一般的には次のような支払いについて、売上を立ててから入金までのタイムラグを埋めるために必要になる現金のことを指します。

  • 材料や商品の仕入れ代金
  • 人件費(給与など)
  • 製造・加工費用
  • 家賃
  • 宣伝広告費
  • 水道光熱費

通常、入金された売上金で上記のような費用を支払っていきますが、売り上げの入金サイト(締め日から実際に現金が入金されるまでの期間)が60日や90日、120日だったりすると、発生した費用の支払いに対しての支払いができなくなります。このタイムラグを埋めるための立替資金が、運転資金です。

運転資金の種類

運転資金には、次のような種類があります。自社が必要な運転資金がどの種類に当たるかを把握して、必要な対策を取っていきましょう。

運転資金の種類 内容
経常(恒常)運転資金 季節や業績を問わず、常時一定額が必要になる資金

一般的に「運転資金」と呼ばれるのはこちら

店舗や事務所の家賃・人件費・仕入原価など

増加運転資金 売上増加や事業拡大に伴って、追加で必要になる資金

十分に資金を確保していないと、帳簿上は黒字でも倒産に追い込まれる場合がある(黒字倒産)

増員による人件費や販路拡大に伴う仕入れ費用の増加など

季節運転資金 特定の季節に必要となる運転資金

賞与(夏・冬)・納税(法人税・消費税)資金・特定の季節商品の先行仕入など

減少運転資金 売上の減少の一方で支払が減らない場合、その不足分を補填するための資金
特殊運転資金 予期せぬ機械の故障に伴う修理費や配当金の支払いなど、突発的な出費のために必要になる資金

運転資金が不足する7の理由

運転資金が足りなくなるのには、いくつかの原因や理由が考えられます。引き返せない程経営状況が悪化する前に、運転資金が足りなくなる原因を突き止めたうえで必要な対策をしていきましょう。

キャッシュフローの把握不足

キャッシュフローを十分に把握していないと、運転資金不足が発生します。キャッシュフローとは会社運営に際して実際に手元に入ってくる現金(インフロー)と、出ていく現金(アウトフロー)の両方の流れのこと。このキャッシュフローをしっかりと把握していないと、売り上げは上がっているのに入金サイトが長くて資金がショートしてしまう、いわゆる「黒字倒産」に陥る可能性が高まります。

利益は発生した時点で計上されますが、支払いは手元に現金がないとできません。売上が計上されても入金が数カ月先というときには、その間の運転資金を別途準備しなければなりません。

売上・仕入のバランスが悪い

売上と仕入れのバランスが悪いと、運転資金が足りなくなる事態に陥ります。極端な例ですが、売り上げが少なくなっているのにこれまで通りの仕入をしている、仕入れを絞り込み過ぎて在庫が不足して売り時を逃がすといったケースです。他にも次のような要因で、売上と仕入れのバランスが悪くなる可能性があります。

  • 仕入のタイミングを誤る
  • 需要予測の誤りによる過剰発注・在庫不足
  • 在庫管理システムの整備不足による在庫の把握ミス

売上と仕入れのバランスを整えるためには、過去の売上と仕入れのデータを見て、その数字をもとに計画を立てるといいでしょう。以前よりも売り上げが下がってきたと感じたら、早めに仕入調整を行ってください。

突発的な出費

予期せぬ出費があると、運転資金不足が発生しがちです。例えば次のような出費です。

  • 災害や事故による緊急対応費用
  • 取引先の倒産による貸倒損失
  • クレーム対応による予想外の支出
  • 設備や機械の緊急修理費用

このような予期せぬ事態に多額の資金が必要になると、運転資金がショートしてしまう可能性があります。

急激な事業拡大

急激な事業拡大もまた、運転資金不足の原因に。本来売り上げの増加は喜ばしいことですが、それに伴って次のような費用がかかると、入金までのタイムラグが長い場合は資金ショートに陥りがちです。

  • 新規取引先に対する仕入の増大
  • 人員増加に伴う人件費の上昇
  • 事務所拡張や設備投資に伴うコスト
  • 販売促進費用の増大

これらは単独で発生することもあれば、複数の要因が重なる場合も。うれしい悲鳴が危険信号とならないよう、事前に予測を立てて適切な対策を立てるようにしましょう。

現金取引がない

現金取引がなく売掛金がほとんどの場合も注意が必要です。自社に潤沢な預貯金があれば問題ありませんが、売掛金が現金化されるまでに費用の支払いが発生すると、運転資金が不足しがちに。とくに小規模の会社やスタートアップ企業の場合は、このような事態に陥りがちに。

正常に事業を運営していくためにも、売掛金のバランスを見直し、現金取引を増やすなどの工夫が必要です。

売掛金の割引をしている

現金が手元に欲しいからといって、売掛金の割引をしていると運転資金が足りなくなってしまうでしょう。売掛金の割引とは、通常の入金日以前に現金を手にできる方法のこと。手っ取り早く資金を手にできるものの、手数料を差し引かれると少ない金額しか手元に入ってきません。

1~2回程度の利用であれば問題ありませんが、売掛金の割引が常態化してしまうと、常に運転資金が足りなくなる「自転車操業状態」に陥ってしまうため注意が必要です。

売掛金の回収遅れ

売掛金の回収遅れが発生すると、運転資金が足りなくなります。これは中小企業の資金繰りが困難になる原因の一つ。何らかの事情で期日通りに入金されないと、予定していた支払いができなくなってしまいます。現金の残高があっても、支払いに使った分は減ってしまいます。

売掛金の回収遅れが発生している取引先が大口であればある程、運転資金がショートしてしまう可能性が高まります。

借金でお金が回らない自営業者の方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「個人事業主(自営業)の借金地獄でお金回らない…選択できる回避方法と借金問題解決方法とは?」

運転資金が足りないときの対策

運転資金が足りなくなった場合、次のような対策が取れるでしょう。

金融機関にリスケジュールを交渉

既存の融資返済が難しくなったときは、金融機関に相談して返済条件の見直し交渉を検討してください。リスケジュールができれば、返済額の調整や返済期間の延長によって、毎月の返済負担を軽減できます。リスケジュールの交渉を成功させるには、早めの相談と具体的な経営改善計画の提示がポイント。

日ごろから担当者と良好な関係を保つように努め、全ての金融機関に対して平等に対応するようにしましょう。場合によっては税理士などの専門家を交えて、冷静に交渉を進めていくのがリスケジュール交渉成功のコツです。

銀行融資を受ける

運転資金が足りなくなったときは、新たに銀行から融資を受けるのが最も一般的な資金調達方法です。消費者金融やビジネスローンと比べて金利が低いので、銀行からの追加融資を検討してください。銀行融資には、次の二つの種類があります。

プロパー融資 銀行独自の審査基準で行われる融資

金利が比較的低く、大きな融資を受けられる

担保や保証人が必要になるケースが多い

保証協会付き融資 信用保証協会の保証付きで行われる融資

超過債務や赤字決算の場合、融資の審査に時間がかかる、対応が難しい可能性がある

銀行融資を受ける場合は、一つの銀行だけでなく複数の銀行や信用金庫等に申し込みするのがポイント。

政府系金融機関から融資を受ける

日本政策金融公庫や日本政策投資銀行、商工組合中央金庫(商工中金)など、政府系金融機関から融資を受けるという方法もあります。条件によっては実質無利子・無担保で利用できる貸付制度もあるため、運転資金が足りなくなった場合には真っ先に検討してください。

また民間の銀行よりも有利な条件で融資を受けられ、小規模企業やスタートアップ企業も利用できるのがメリット。一方で融資が実行されるまで時間がかかるため、ある程度時間に余裕を持って利用することをおすすめします。代表的な融資・貸付制度は以下の通りです。

危機対応後経営安定資金

こちらは日本政策金融公庫が、過去の大規模災害や感染症等の影響を受けた企業・事業者が経営安定を図る目的で利用できる貸付制度。「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の終了後の後継として、物価高対策や人手不足を含めた包括的な経営改善支援として立ち上げられました。主な条件や融資額はこちらです。

対象 新型コロナウイルス感染症特別貸付などを利用したことがあり、貸付残高が残っている方

融資返済の負担が重くなっている方

融資額 7,200万円
返済期間 20年以内(うち据置期間2年以内)
金利(年利) 基準利率(3.40~5.00%)

参考:危機対応後経営安定資金(セーフティネット貸付)|日本政策金融公庫

衛生環境激変特別貸付

日本政策金融公庫の「衛生環境激変特別貸付」は、生活衛生関係の事業者が感染症や食中毒など衛生環境の激変に伴って、すでに売り上げが減少している、かつ今後の売り上げ減少が見込まれるときに利用できる貸付制度。

対象となる事業者の内訳は以下の通りです。

飲食業
  • 食堂
  • レストラン
  • すし店
  • 麺類店
  • 中華料理店
  • 料亭
  • 喫茶店
  • スナック・バーなど
  • その他の飲食店
サービス業
  • 理美容店
  • 映画館
  • クリーニング店
  • 公衆浴場(銭湯)
  • 旅館・ホテル
  • 簡易宿泊所・下宿
販売業
  • 食肉販売店
  • 氷雪販売店

融資限度額や返済期間等はこちらを参考にしてください。

融資額 衛生環境の激変事由ごとに別枠で1,000万円
返済期間 15年以内(うち据置期間3年以内)
金利(年利) 基準利率(3.40~5.00%)

※ただし「振興事業に係る資金証明書」の添付がある場合は、2.50~4.10%

参考:衛生環境激変特別貸付<特別貸付>|日本政策金融公庫

経営環境変化対応貸付

社会的・経済的環境の変化により、一時的に業績が悪化している事業者に対しては、経営基盤の強化を図る目的の「経営環境変化対応貸付」が利用できます。こちらは事業者の規模によって、「国民生活事業」と「中小企業事業」の二種類があり、それぞれで融資額や返済期間等が異なります。

項目 国民生活事業 中小企業事業
対象 個人事業主や従業員数20名以下(サービス業・飲食業は5名以下)の小規模な事業者 従業員数20名以上の製造業や複数店舗を展開する飲食業・サービス業など
融資額 7,200万円 7億2,000万円
返済期間 設備資金:20年以内(うち据置期間3年以内)

運転資金:10年以内(うち据置期間3年以内)

設備資金:20年以内(うち据置期間3年以内)

運転資金:10年以内(うち据置期間3年以内)

金利(年利) 基準利率 基準利率(長期運転資金の場合、上限3.0%)

参考:経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)|日本政策金融公庫

小規模事業者経営改善融資(マル経融)

商工会議所や商工会の経営指導を受けている小規模事業者に限り、経営改善に必要な資金を借りられる制度。無担保・保証人なしで借りられるのが大きなメリットです。

対象 商工会議所や商工会の経営指導を受けている小規模事業者かつ商工会議所や商工会の長の推薦を受けた事業者
融資額 2,000万円
返済期間 10年以内(うち据置期間2年以内)
金利(年利) 2.50%

参考:マル経融資(小規模事業者経営改善資金)|日本政策金融公庫

共済貸付を利用する

小規模企業共済に加入している場合、契約者貸付を受けられる可能性があります。スピーディーに事業資金等の貸付が受けられる「一般貸付」の他、特別な事情がある場合に認められる次のような「特別貸付」もあります。

利率は年利0.9~1.5%。借入の限度額は貸付の種類によって異なります。手続きの流れや窓口については「共済契約者貸付」をご確認ください。

ビジネスローンを利用する

すぐに現金で運転資金が必要な場合には、カード会社や消費者金融が提供しているビジネスローンを利用するという方法があります。個人事業主や会社経営者が利用できるローン商品で、「事業者ローン」とも呼ばれています。設備投資や仕入れ資金といった、事業に必要な資金を幅広く借りられる点がメリット。

また銀行融資と比べて審査が早く、急な入用にも対応可能です。ただし銀行融資よりも金利が高く設定されていて、借入限度額も少なめです。短期的なつなぎ資金として利用するケースが多く、延滞しないように事前に返済計画をキチンと立ててから申し込むのがポイントです。

不動産担保ローンの利用

自宅や会社の不動産を所有している場合は、不動産担保ローンを利用できます。通常の銀行融資では、決算内容や保証人の信用情報を重要視して審査を行います。しかし不動産担保ローンは、担保となる不動産の資産価値を判断財労として、不動産に抵当権を設定することで融資が受けられるサービスです。

そのため赤字決算や税金の滞納がある場合でも融資を受けられる可能性があり、比較的多額の資金を借りられる点がメリット。しかし抵当権設定のための登録免許税や司法書士費用がかかり、返済不能時には当該不動産を差し押さえられる点がデメリットです。また融資が実行されるまで1週間~1カ月ほどの時間がかかる点にも注意してください。

ファクタリングの利用

入金待ちの売掛金をファクタリング会社に売却して現金化するという方法があります。自社に対する直接の融資でないため、売掛先の信用力が重要視されます。また最長でも数日で現金化でき、売掛先が倒産しても自社に返済の義務は移りません。さらに貸借対照表上の負債が増えない点もメリットです。

ただし売掛金額の~数十%の手数料がかかり、闇金による高金利の貸付被害にあう恐れもあります。ファクタリングを利用するときには、偽造ファクタリングを利用しないように注意してください。

参考:ファクタリングに関する注意喚起|金融庁

公的制度を利用する

国で行っている公的制度を利用して、助成金や給付金を受け取れるかもしれません。こちらは主な公的制度です。条件等を確認した上で、自社で使える制度がないかチェックしましょう。

制度の名称 内容 リンク先・窓口
ものづくり補助金 小規模事業者や中小企業が、革新的な製品およびサービスの開発・設備投資を行う場合に利用できる 中小企業生産性革命推進事業
小規模事業者持続化補助金 従業員数5名以下の商業・サービス業、従業員数20名以下の製造業が対象

販路拡大や生産性向上を目的とした費用に対する支援を受けられる

中小企業生産性革命推進事業
デジタル化・AI導入補助金 小規模事業者や中小企業が生産性向上を目的とするDX化・事業効率化に向けたITツールの導入を支援する補助金制度 中小企業生産性革命推進事業
事業承継・引継ぎ補助金 経営者の交代・M&A・廃業に伴う経費の一部を補助する制度 中小企業生産性革命推進事業
事業主の方のための雇用関係助成金 雇用保険に加入している事業者が、雇用の安定や雇用機会の増大、職場環境の改善や人材育成を目的に、一定の条件を満たす場合に利用できる制度 事業主の方のための雇用関係助成金

なお、上記以外にも様々な公的助成金・補助金制度があります。以下のサイトを利用して、自社が利用できる制度がないか調べてみましょう。

日常的な運転資金不足を防ぐポイント

一時的な運転資金のショートや現金の不足は、上記のような融資・補助金・助成金などで穴埋めが可能です。しかし日常的な運転資金不足には、次に紹介するような継続的な対策が必要です。

業種ごとの必要運転資金

まずは自社の業種ごとに、どのくらいの運転資金が必要かを知ることから始めてください。一般的に運転資金は、月の売り上げの3~6カ月程度が必要と考えられています。しかし業種によっては、運転資金が必要ない場合や、逆に通常よりも多くの運転資金が必要なことも。

運転資金の必要性 業種
低い 飲食業・理美容業・サービス業
高い 製造業・建築業・卸売業

飲食業や理美容業などは、仕入れから提供までのスパンが短く、現金取引が中心のために売上さえあれば運転資金に困る場合は少ないです。しかし製造業や建築業などでは、材料を仕入れてから売上を回収するまでに時間がかかるため運転資金の確保が欠かせません。また卸売業などの在庫を多く抱える業種でも、在庫資金の負担が大きくなりがちです。

資金繰り表の活用

日々の現金の出入りが一目でわかる、資金繰り表の作成も必須です。資金繰り表の作成によって将来の運転資金不足を予測し、対策を講じることができるようになります。1カ月単位ではなく、一日単位でいくら不足するかを計算します。このとき、次のような点にも注意してください。

  • 取引先ごとの入金予定日を記録する
  • 毎月の固定費(家賃・給与)を詳細に記録する
  • 季節変動に考慮した売り上げ予測を立てる
  • 予備費を含んだ余裕のある資金計画を立てる

支払に優先順位を付ける

資金繰り表の作成と同じタイミングで、支払先に優先順位を付けるのもおすすめです。例えば次のような順序で支払先を決めていきましょう。

支払う順番 支払先・項目 理由
1 税金・社会保険料 融資審査に影響大

差押の可能性がある

2 人件費 従業員の生活を守るため

事業継続の基盤となる

3 主要な仕入先 原材料の供給やサービスを止めないために重要
4 金融機関 リスケジュールの相談が可能な場合がある

コスト・固定費の削減

コストや固定費の削減も、長期的な健全経営には重要です。とくに毎月一定額かかる家賃や定期サービス、光熱費見直すことで、運転資金不足を防げるようになります。また外部委託費の見直しや業務効率化による人件費の見直しも可能です。

とくに固定費は、一度発生するとゼロにするのが難しい費用です。新しく固定費が発生しそうなときには、慎重に判断してください。

財務管理体制を強化する

財務管理体制の強化も、運転資金不足を防ぐうえで大切です。経営者一人だけで抱え込まず、外部の専門家や信頼できる従業員と協力して管理していきましょう。また入出金の抜けもれを防ぐためにも、複数人によるチェックは必要です。

事前に期日通りに入金がない場合の連絡方法や督促フローを決めておくと、いざというときも安心です。また新規の取引先に対しては、事前審査や取引限度額の設定といった与信管理をしっかりとしていきましょう。

さまざまな資金調達の手段を確保しておく

いざというときに備えて、様々な資金調達の手段を確保することも重要です。日ごろから金融機関の担当者とコミュニケーションを取ることはもちろん、融資制度や補助金制度、ファクタリングなどの情報も事前に集めておきましょう。

企業共済に加入する

連鎖倒産を防ぐために、企業向け共済に入っておくという方法もおすすめです。経営セーフティ共済」では、取引先が倒産した場合でも、無担保・無保証で掛け金の10倍まで融資を受けられます。また「小規模企業共済」にはいっておくと、廃業後の生活や事業再建の資金を積み立てておけます。

また自社で退職金制度を設けることが難しい場合には「中小企業退職金共済」の加入により、従業員への退職金支給ができるようになります。

運転資金がショートして返済が難しいときは…

運転資金がショートして、金融機関への返済や税金・社会保険料の納付、仕入れ費用やその他の費用の支払いが難しいときには、事業継続可能科の判断をしたうえで、必要な手続きを取る必要があります。

事業継続が可能か判断

運転資金が不足して次のような事態に陥っている場合には、事業継続が難しいでしょう。早急に判断した上で、債務整理などの手続きを検討してください。

    • 必要な支払い(給与・家賃・水道光熱費・仕入代金・税金・社会保険料など)ができていない
  • 売上が下がり赤字が続いている
  • 赤字回復の目途が立たない
  • 金融機関から融資を断られた
  • 自分の役員報酬を払えていない
  • 親族や知人から借金している

上記のような状況では、そう長期間続けられません。遅かれ早かれ事業が立ち行かなくなる可能性が高いです。

税金の猶予制度を利用する

税金や社会保険料の支払いがどうにかなれば事業継続が可能という場合には、税金や社会保険料の猶予制度を利用してください。納付先の窓口で必要な申告書を提出することで、一定期間納付の猶予や分割払いを受けられる可能性があります。

また自然災害や盗難など、事業主が原因でない理由で納付が困難な場合に適用される特例制度もあります。事情を説明すれば親身になって相談に応じてくれる場合もあるので、安心して相談に行ってみてください。

自営業者で借金返済が苦しい人の対処法は、こちらの記事を参考にしてください。

「自営業で借金返済が苦しい。会社の事業継続・廃業それぞれに向けたベストな対処法とは」

債務整理を検討する

金融機関からの融資やビジネスローン、消費者金融のカードローンの支払いができないときには、債務整理を検討すべきでしょう。法人の場合と個人事業主の場合では、債務整理の名称や手続きの内容が異なります。こちらでは法人の場合の債務整理の方法について解説していきます。

私的整理

私的整理は金融機関などの債権者と交渉して、返済期間の延長や利息の減額を求める手続き。個人の場合は「任意整理」といいます。私的整理を希望するときには、主要な債権者と個別に交渉するのが一般的。他にも一般社団法人事業再生実務家協会が行っている「事業再生ADR」や、中小企業活性化協議会の「再生支援手続」を利用しながら、複数の債権者とまとめて私的整理するという方法も。

柔軟に借金問題を解決できるというメリットがある一方で、債権者の合意が得られなければ借金問題を解決するのは難しいでしょう。

民事再生

民事再生とは、民事再生法という法律に基づいて借金の大半を減額できる手続きです。個人事業主の場合は個人版の民事再生(個人再生)が利用できます。裁判所に申し立てる方法で手続きをして、債権者の決議と裁判所の認可を得た「再生計画」に基づいて、借金を大幅に減額できます。

担保権が設定されている財産はそのままだと引きあげられますが、事業の継続に欠かせない財産については、裁判所に価額相当の金銭を納付することで、担保権消滅の許可を申立てられます。破産とは異なり、手続きを受けた後も事業を継続できる点が大きな特徴です。

個人再生で家計簿を提出する時のポイントについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「個人再生で家計簿の提出が必要?理由と重視ポイントを知って手続きを成功させよう」

法人破産

法人破産は裁判所を通じて会社の借金を整理した後で、法人格を消滅させる手続き。裁判所に申し立てた後は破産管財人が選任され、会社の財産を処分して得られた資金を債権者に配当します。配当完了後は、会社の法人格が消滅します。金融機関からの融資やローンだけでなく、会社名義の税金や社会保険料の支払いも免除されます。

代表個人が会社の借金の保証人になっている場合は、法人破産と同じタイミングで個人の破産も申し立てるのが一般的。すべての借金や税金の返済義務から逃れられる点が大きなメリットですが、法人格が消滅するので同じ会社名で事業を続けることはできません。

また代表者個人名義の不動産を担保にしていた場合には、法人破産によって担保権が実行されて差し押さえられる点にも注意が必要です。

自己破産の状況別デメリットは、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産のデメリットを状況別に解説!誤解や嘘を解決して最適な選択へ」

準則型私的整理(ガイドライン)

上記3種類の債務整理の他に、「準則型私的整理(ガイドライン)」という方法もあります。これは個人事業主も利用できる手続きで、通常の破産手続とは次のような点が異なります。

  • 個人事業主も利用可能
  • インセンティブ資産として、一定の財産を手元に残せる
  • 手続きしても信用情報機関に登録されない
  • 自然災害や新型コロナウイルス感染症による減収の場合には、「自然災害ガイドライン」が利用できる

「自然災害ガイドライン」を利用できると、登録支援専門家(弁護士など)の費用が無料になるほか、預貯金を最大で500万円まで手元に残せます。

弁護士に相談する

会社の運転資金が足りず事業失敗の可能性があり借金が返せなくなったときには、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。個人事業主であっても会社の代表者でも、借金問題を弁護士に相談すれば、次のようなメリットを得られます。

  • 状況に応じた最適な債務整理の方法がわかる
  • 債権者からの督促をストップできる
  • 債権者との交渉や裁判手続きを任せられる
  • 生活再建や経営再建のアドバイスを受けられる

事業失敗が原因の借金問題を放置していると、代表者本人とその家族はもちろんのこと、従業員や取引先にも多大な影響を与えてしまいます。影響を最小限にするためにも、早い段階で弁護士に相談するようにしましょう。

債務整理を依頼する弁護士の選び方は、こちらの記事を参考にしてください。

「【相談前・相談時】債務整理を依頼する弁護士の選び方を解説!失敗しない6つの注意点も紹介」

事業失敗による債務整理に関する注意点

事業失敗による債務整理を選択した場合、次のような注意点があります。

保証人になっている場合は返済義務を負う

代表者が会社の借金の保証人になっている場合、法人破産しても返済する義務はなくなりません。会社の破産手続にかかわらず保証人に対する義務は残ります。そのような場合を見越して、法人破産と同時に代表者も自己破産するのが一般的です。

また保証人になっていないケースでも、破産した会社の借金を返済する義務を負うことがあります。

返済義務を負う 返済義務を負わない
合名会社の社員

合資会社の無限責任社員

合資会社の有限責任社員

合同会社の社員

株式会社の株主・役員

事業失敗による借金の返済義務の有無は、こちらの記事を参考にしましょう。

「事業失敗による借金|返済義務の有無を知り、最適な借金解消の手段&解決方法を取ろう」

事業の借金と個人の借金を区別できない

自営業者や個人事業主が自己破産するケースでは、事業の借金と個人の借金を区別できないという点に注意が必要です。通常の会社と代表者、役員といった個人は企保天気に別人格とみなされます。そのため法人破産しても個人の資産から返済する義務を負いません。

しかし自営業者や個人事業主の場合は、自己破産すると個人の財産を没収されて、債権者への返済に充てられるのが一般的。自宅は競売にかけられ、最終的には手放さざるを得なくなります。

手続き後の収入を確保する手段を考える

債務整理後に借金が減免できた場合でも、その後の生活は続いていきます。あらかじめどのような手段で収入を得られるのか検討すべきでしょう。とくに自営業者や個人事業主が行う任意整理や個人再生では、手続き後も返済すべき借金が残ります。借金を返済しながら自分や家族の生活を成り立たせる必要も。前もって就職活動をするなどして、毎月必要になるお金を確保しましょう

ブラックリストによる影響を最小限にする

個人で任意整理した場合や、法人の連帯保証人になっている場合には、信用情報機関に登録されている信用情報に事故情報が登録されます。これがいわゆる「ブラックリスト状態」です。ブラックリスト状態になっている期間は、5年~10年です。この期間は次のようなデメリットが生じます。

  • クレジットカードを新規で作成できない
  • 今まで使えていたクレジットカードが更新のタイミングで使えなくなる
  • ローンやキャッシングを利用できなくなる
  • スマホ本体の分割払いが利用できなくなる
  • 保証人になれない
  • 保証会社による保証が必須な賃貸物件を借りられなくなる

事故情報は完済日から一定期間経過するまで消去されません。かなり長期にわたって上記のようなデメリットを受け入れなければならないため、影響を最小限する工夫が必須です。

クレジットカードが強制解約になる理由が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「クレジットカードが強制解約になる6の理由|解約までの流れと影響、強制解約通知が届いたときの対処法」

税金・保険料・従業員への給与支払いは免除されない

個人で個人再生や自己破産した場合、税金や社会保険料、従業員への給与支払いは免除できないので注意してください。個人再生や自己破産で減免できるのは、銀行や貸金業者からの借金のみです。次のような「非免責債権」は、裁判諸手続きを経てもなくなりません。

  • 租税公課
  • 社会保険料(国民年金・健康保険料)
  • 下水道料金
  • 悪意で加えた不法行為に対する損害賠償
  • 故意または重大な過失で与えた人の生命・身体を害する不法行為に対する損害賠償
  • 親族関係に関係する費用(婚姻費用・養育費など)
  • 雇用している従業員への賃金

このような場合には、他の借金を債務整理することで資金を確保する、役所と交渉して納付猶予を認めてもらうという方法が有効です。

住民税の滞納で財産が差し押さえられるまでの経緯は、こちらの記事を参考にしてください。

「住民税の滞納で差し押さえられるまで|滞納リスクと流れを理解し、差し押さえを回避」

事業口座は凍結される

融資を受けている銀行口座は、債務整理の手続きの過程で凍結されるので気を付けてください。凍結されるタイミングは、手続きを依頼した弁護士が債権者に対して受任通知を送付した時点です。凍結自体は数カ月で解除されますが、その間は預貯金の入出金はもちろん、口座振替や振込なども一切できません。

凍結されると困るという方は、事前に預金を別口座に移す、取引口座の変更手続きをするなどしておきましょう。

まとめ

会社の運転資金がなくなるのは、キャッシュフローの把握不足や売上と仕入れのバランスが悪い、売掛金の回収遅れや急激な事業拡大などが理由です。政府系金融機関や銀行の融資を受ける、ビジネスローンを利用する、公的制度を利用するなどして、この難局を乗り切りましょう。

日常的に運転資金が足りなくなるときには、資金繰り表の活用や財務管理体制の強化、固定費の削減などが有効です。それでも返済が間に合わないときには、事業継続の可能性を見極め、債務整理の手続きを検討してください。債務整理には個人で行う場合と法人が行う場合では、手続きの方法やメリット・デメリットが異なります。借金問題に詳しい弁護士に相談したうえで、どのような方法が取れるのかアドバイスを受けましょう。相談した弁護士にそのまま手続きを依頼できれば、債権者との交渉や裁判手続きなどを任せられます。

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