- 「ペットの治療費が高額でお金が足りない…」
- 「猫の医療費のために借りたローンが支払えないときはどうする?」
ペットの飼育率は全世帯のおよそ20%、5~6世帯に1世帯は何かしらのペットを飼育している計算になります。そこで問題になるのが、ペットがケガや病気になったときの治療費です。ペットの治療費は高額になりがちなため、払うお金がないという方も少なくありません。
そこでこちらの記事では、ペットの治療費がないときの対処法や事前にできる対策について詳しく紹介していきます。またペットにかかるお金をねん出するために借金をした場合の、債務整理の可否や注意点についても解説。ペットは家族同然という人も少なくないはず。そのような家族が十分な治療を受けられるように考えるのが、飼い主の務めといえます。
ペットの治療費、どのくらいかかる?
犬や猫のペットを飼っている人が気になるのは、動物病院にかかったときの治療費や医療費ではないでしょうか。こちらではペットの治療費に関する現状や支払えないリスクなどについて解説してきます。
人間の健康保険が使えない
ご存じの方も多いと思いますが、ペットには人のような公的な医療保険制度がないため、医療費は全額自己負担(飼い主負担)となります。そのため、高額になりがちです。病気やケガによる治療費はもちろん、予防のための措置や定期健診費用も全額自己負担に。
動物病院の診療費は自由診療
さらに動物病院の診療費は、人間の病院と違って国が金額(診療報酬)を決めている訳ではありません。自由診療が基本なので、同じ治療や検査であっても動物病院ごとに金額が異なります。これは独占禁止法により、獣医師会といった獣医師団体が基準料金を決定したり、獣医師同士が協定して料金を決めることが禁じられているため。
同じ治療内容でもある病院では数千円で済むところが、他の病院では1万円以上かかるというケースも少なくありません。このような理由から、ペットを飼う前に想定していた医療費よりも高く感じたという実感を持つ飼い主も多いのが現状です。
これまで経験した一回当たりの医療費の最高額
では実際のアンケート結果から、ペットの医療費がどのくらいかかるのかを見てみましょう。こちらはアイペット損害保険株式会社が行ったアンケートで、犬・猫を飼っている1,000名を対象に、2025年の1年間におけるペットの支出に関する調査を実施した結果です。このアンケートによると、1回あたりの診療費の最高額の割合はこちらです。
| 金額 | 5万円未満 | 5万~10万円未満 | 10万~15万円未満 | 15万~20万円未満 | 20万~30万円未満 | 30万~40万円未満 | 40万円以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 割合 | 66.2% | 15.3% | 6.2% | 3.1% | 3.1% | 2.5% | 3.6% |
こちらによると「5万円未満」と回答したのが66.2%と最多となった一方で、10万円を超えたと回答している飼い主はトータルで18.5%いることが分かります。中には300万円かかったという飼い主もいて、数字上からもペットには高額な治療費がかかると分かるでしょう。
参考:2026年版ペットの支出に関する調査[医療費編]|第一アイペット損害保険株式会社
ペットの医療費にかかる年間支出
1年間にかかるトータルの医療費はどのくらいになるのでしょうか。同アンケートによると、2025年の医療費を犬飼育者と猫飼育者に分けた金額の割合はこちらです。
| 種別/金額 | 2万円未満 | 2万~4万円未満 | 4万~6万円未満 | 6万~10万円未満 | 10万円以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 犬飼育者 | 31.2% | 21.8% | 19.4% | 20.8% | 6.8% |
| 猫飼育者 | 58.6% | 18.8% | 10.0% | 9.0% | 3.6% |
| 全体 | 44.9% | 20.3% | 14.7% | 14.9% | 5.2% |
年間の医療費では、2万円未満と回答した人が44.9%と約半数を占めています。しかし犬と猫でもかかる医療費が異なります。猫飼育者では2万円未満と回答したのが58.6%に対して犬飼育者では31.2%にとどまり、6万円以上と回答した人は27.6%と、犬飼育者の方が年間支出が高いことが分かります。
高額な治療費に不安を感じる人も
ペット関連の支出で不安を感じる人にその理由を聞いたアンケートによると、「突然の病気やけがによる高額な治療費」と回答した人が半数近い47.1%と最多に。とくに1~6歳のペットで53.0%と半数を超えています。一方で7歳以上のシニアになると「高齢化に伴う介護費やケア費用」への不安が上昇。ペットの年齢とともに、不安な理由が推移しています。
治療費を支払えないリスク
ペットの治療費や診療代が支払えないと、治療前と治療後では次のような異なるリスクが生じます。
| 治療前 | 希望する治療が受けられない、支払える範囲での対症療法しか選択できないなど、治療の選択肢が減る可能性がある
ペットに必要な治療を受けさせずに放置すると虐待に当たる恐れがある |
| 治療後 | 支払いできないと分かっていて高額な治療を受けさせると、動物病院から訴えられる可能性がある
最悪のケースでは被害届を出されたり、財産を差し押さえられる可能性がある |
費用が理由で受診を躊躇する人も
治療費を支払えないと上記のようなリスクがあるものの、費用が理由で受診を見合わせるという人が少なくありません。同アンケートによると、費用が理由で病院への受診を迷い様子見した経験があると回答した人は34.5%に上ります。つまり3人に1人の割合で、経済的理由で受診をためらっているという訳です。
ペットの医療費負担に対する考え方は「家計に支障のない範囲」という人が52.7%と過半数を占めています。ペットの年齢が1~3歳と若いほど「金額にかかわらず最良と思われる治療を受けさせたい」という思いが強く、年齢が進むにしたがって予算とのバランスを意識する傾向が高いです。
とはいえペットの年齢にかかわらず、出来る限りのことをしてあげたいと思っている飼い主の思いは共通しています。ペットの治療費を考えたとき、家計とのバランスやペットの年齢を考慮しながらできる限りのことをしたいという飼い主が多数を占めています。
お金がなくてどうしたらいいか分からないという方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「お金がない…助けて!原因やNGを知って公的救済制度・状況別対処法で乗り切ろう」
ペットの治療費が払えないときはどうする?
ペットに治療を受けさせたものの、思った以上に高額な費用を請求されて支払えない…という場合にはどのような対処ができるのでしょうか。
動物病院に支払方法を相談する
まずは治療を受けた動物病院に相談し、分割払いや後払いができないか聞いてみましょう。長く利用していて信頼関係がある病院なら、このような要望に応じてくれる可能性があります。支払方法について相談するときには、一括で支払えない理由を正直に説明し、具体的な支払い方法(毎月の支払額・支払い期間など)を提示します。
このような相談をするときには、電話ではなく極力病院に赴いて直接相談するのがおすすめ。ペットの状態を実際に見てもらいながら相談できれば、緊急性が伝わりやすく病院側も協力的になる可能性があります。また以前に同じ病院を利用したことがあれば、その旨も伝えましょう。
クレジットカードで支払う
現金一括で支払えないときには、クレジットカード払いを選択して、後から分割払いやリボ払いに変更する方法があります。今は多くの動物病院で、クレジットカード払いに対応しています。直接の分割払いに対応していない病院でも、このような方法なら問題なく利用できるでしょう。
また後から分割払いやリボ払いに変更できない場合でも、クレジットカード払いにすることで支払い期限を延ばせます。一括払いを選択した場合でも、金額が確定するのはカード会社が設定している締め日から数日後。実際に口座から引き落としになるのは、締め日からさらに1カ月後です。その間に治療費分を準備できれば、問題ありません。
クレジットカードが強制解約になる理由について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「クレジットカードが強制解約になる6の理由|解約までの流れと影響、強制解約通知が届いたときの対処法」
別の動物病院にセカンドオピニオンを求める
ペットの治療法や治療費に疑問を持ったら、別の動物病院を受診してセカンドオピニオンを求めてください。セカンドオピニオンとは、今受診している病院の診断や治療方法に納得がいかないときに、別の病院を受診して意見を求める方法。例えば「手術が必要」と言われた場合でも、他の獣医師の意見を聞いてより広い視点から治療方針を検討できます。
また上で説明した通り、同じ治療内容でも病院によって料金が大きく異なります。セカンドオピニオンを受けることで、提示された治療費が相場通りかも確認できます。
ペット保険の緊急加入制度
ペット保険の緊急加入制度を利用すれば、動物病院への支払いの一部を保険で賄えるかもしれません。通常、ペット保険はいざという時のために健康なときに入るものというイメージがあります。しかし一部の保険会社では、症状が出た後でも利用できる緊急加入制度を設けているところも。
このような緊急加入制度を設けている保険には、既往症対応のもの、高齢ペットに対応した保険、待機期間なしの即日適用など様々な種類があります。緊急加入を検討するときには、待機期間の有無や保険適用開始日、月払い保険料などを事前に確認してください。
ただしすでにペットに症状が出ている場合、保険適用に制限が出る可能性が高いです。緊急加入を利用したいという方は、あらかじめ条件の詳細を確認してからにしましょう。
お金を借りて支払う
動物病院に分割での支払いを断られたときには、お金を借りて治療費を支払ってください。一口に「お金を借りるといっても様々な方法があります。まずはどのような方法があるか紹介していきます。
ペットローン
できるだけ利息の負担を減らしたいという方は、ペットローンの利用がおすすめ。ペットローンには銀行などの金融機関に直接申し込む銀行系ローンと、動物病院やペットショップから申し込みできる信販系ローンの二種類があります。
銀行系ローンは信販系と比べると金利が低めで、幅広い用途(購入費用・用品代・葬儀費用)に利用できるというメリットがあります。一方で審査に時間がかかり、申し込んでもすぐに利用できない点がデメリットです。信販系ローンは手続きが簡単でわざわざ金融機関に行かなくてもいいのが特徴。しかし資金の用途が限定されていて、銀行系と比べると金利が高めに設定されています。こちらは銀行系ローンの主な種類です。
| ペットローンの種類 | 金利 | 限度額 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| イオン銀行ペットローン | 年利3.3~8.8% | 10万~700万円 | 1~8年 |
| スルガ銀行どうぶつ医療ローン | 年利2.5~10.0% | 10万円~800万円 | ~10年 |
| 池田泉州銀行ペットローン(多目的ローン) | 年利4.525% | ~1000万円 | ~15年 |
カードローン・キャッシング
用途を限定していないカードローンやクレジットカードのキャッシングを利用して、治療費を支払うという方法があります。消費者金融系のカードローンなら、短時間で融資を受けられ、一定の期間内であれば無利息で利用できる無利息期間を設けている場合も。
しかし前出のペットローンよりも金利が高めで、期日通りに返済できないと遅延損害金が加算されます。計画的に返済計画を立てないと、利息や遅延損害金が膨らんでローン地獄に陥る可能性があります。
楽天カードが支払えないリスクや対処法は、こちらの記事を参考にしてください。
「楽天カードの滞納1ヶ月は危険?延滞期間別のリスクと支払えない時の対処法」
友人や家族
どこからもお金を借りられずにお困りの方は、家族や友人にお金を借りられないか相談しましょう。身近な人ならペットのことをよく知っているので、病院にかかるためのお金を貸してくれる可能性が高まります。身内からお金を借りる場合は、申し込みや審査の手続きが必要なく、スピーディーに借りられます。場合によっては金利なしで借りられることもあるので、その点が大きなメリットです。
しかしいくら相手が友人や親族とはいえ、約束通りに返済できなかったりあいまいな約束で借りたりしてしまうと、信頼関係にヒビが入る可能性も。相手がだれであれ、貸してくれたことに感謝して、借用書を準備した上で返済の意思があることを伝えてください。
友人から借金するときの注意点が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「友人から借金するときの注意点と上手な借り方|借りたお金を返せないときの対処法とは」
クラウドファンディングで資金を募る
手間や時間がかかりますが、クラウドファンディングで資金を集めるという方法があります。クラウドファンディングとは何らかの目的を達するために、ネット上で不特定多数から資金提供を募る手段です。ビジネスシーンでよく利用される印象が強いですが、ペットの高額医療費をクラウドファンディングで数十万円~百万円単位の資金を集めている人もいます。
クラウドファンディングで資金提供を受けるには、ペットの写真を多数掲載する、獣医師の診断書を添付する、具体的な治療内容と費用を明示するといった工夫が必要に。またこれまでのペットとのエピソードを紹介し、飼い主の人柄をアピールしたり、治療経過を随時更新するなども重要なポイントです。
通常は30~60日程度のプロジェクト期間を設定しますが、緊急性が高いときなどはSNSの拡散力を使って短期間で目標を達成できるケースもあります。
動物愛護団体・NPO法人に支援を求める
動物愛護団体やNPO法人に支援を求めるという方法もあります。このような団体では、ペットの医療費助成制度や医療費貸付制度、緊急医療支援などの制度を設けているところがあります。
このような支援を受けられるのは主に生活保護受給者や高齢者、障害者がいる世帯です。世帯年収に条件を設けている場合があり、申請には住民票や所得証明書等の提出が必要です。
自治体の動物医療費助成制度を利用する
お住いの自治体が独自に動物医療費助成制度を設けている場合があります。高齢世帯や障害者世帯、低所得世帯への医療費支援や、去勢・避妊手術費用の助成などです。自治体によって異なるものの、緊急性があるときには1~2週間程度で対応してもらえるケースも。
住んでいる地域にこのような助成制度があるか調べるには、役所の窓口(福祉課)に問い合わせたり、自治体のホームページをチェックしてみましょう。気軽に探せる方法として、全国の助成金についての情報がある「全国助成金・補助金サポートセンター」を確認してみてください。
借金相談は市役所でできるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「借金相談は市役所でできる?相談の方法やメリット・デメリット、その他の相談窓口一覧」
治療費が支払えなくなる前にできる対策
「ペットは家族同然」という方も多いのではないでしょうか。そのような家族の治療費が支払えなくなる前に、出来ることは事前に対策しておきましょう。
こまめに定期健診を受ける
家族であるペットの健康を守るためはもちろん、治療費を抑える上でも大切なのが、こまめに定期健診を受けること。病気の早期発見につながり、病気が深刻化する前に治療を始められます。何か初期症状があった場合でも速やかに対応可能です。
定期健診は半年から1年に一度受けるのが一般的。とくに食欲が急に落ちている、寝ていることが増えたなどの不調が見られる場合には、早めに受診してください。
治療費の目安を理解する
ペットの治療にかかる費用の目安を理解しておくと、いざというときにも焦らずに対応できます。こちらは日本中医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査・調査結果(令和5年9月)」による、地方ごとの診療の中央値です。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 初診料 | 1,500円 |
| 再診料 | 750円 |
| 入院料(犬) | 4,000円~6,250円 |
| 入院料(猫) | 2,500円~4,000円 |
| 創傷処置 | 2,500円~ |
| 歯石除去 | 11,250円 |
| 全身麻酔 | 11,250円 |
| 不妊手術 | 12,500円~27,500円 |
| 白内障(麻酔料除く) | 7,500円~12,500円 |
| 気管虚脱 | 45,000円 |
| 帝王切開 | 45,000円 |
| 骨折 | 62,500円~175,000円 |
手術や長期入院がからむと、費用が格段に跳ね上がります。ペットの治療費が高額になりやすいのは、そもそも薬品や医療設備が高額で、それらを治療費に反映させるしかないという理由や、とくに高齢猫の病気は重症化しやすく治療に時間がかかるという点が挙げられます。
健康的な生活を心がける
ペットの治療費を払えないとなる前に、普段の生活を健康的にするよう心がけましょう。ストレスは犬や猫にとって大敵です。また健康的な生活を続けることで、病気になるリスクを減らせます。次のような点に注意して、ペットが極力健康的に過ごせるようにしましょう。
- 年齢と体調に応じて適切な分量を与える
- 栄養バランスを考えた食事
- 人間の食べ物は与えない
- 体重をこまめにチェックして肥満にならないようにする
- いつでもきれいな水が飲めるようにする
- 散歩や遊びを通して適度に運動させる
- ブラッシングやマッサージを通してスキンシップを図る
- 毎日の歯磨きなどの口腔ケア
- 静かでストレスのない安心できる居場所作り
- 動物に適した室温設定
- 皮膚や被毛、爪のケア
ペットが健康的で長生きするためにとくに重要なのが食事と運動、環境です。日常的なケアの多くは、飼い主自身でもできます。ケアを通してペットの身体の異常を見つけることもできるので、積極的にペットのケアを行いましょう。
ペット保険に加入する
ペットが健康で若いうちにペット保険に加入しておくと、いざというときにも安心です。例えば治療費の7割をカバーできるペット保険に加入していれば、手術代に25万円かかったとしても、自己負担額は7.5万円になります。
ペット保険によって保障の内容や免責金額、保険金の受け取り方法などが異なります。保険を選ぶときには、対象となるペットの種類や年齢、保証対象や補償率についてよく検討しましょう。こちらは代表的なペット保険の一例です。適用となる日数や回数に関しても、事前に確認するようにしてください。
| 保険会社 | 補償率 | 入院 | 手術 | 通院 |
|---|---|---|---|---|
| PS保険 | 50〜100% | 年間30日まで | 年間2回まで | 年間20日まで |
| エイチ・エス損保ペット保険 | 50〜70% | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
| アニコム損害保険 | 50〜70% | 年間20日まで | 年間2回まで | 年間20日まで |
貯金をする
ペットの年齢や健康状態によっては、ペット保険に加入するのが難しい場合があります。そのようなときは、せめて今から貯金をしておきましょう。毎月1万円からでも決まった金額を積み立てておくのは、誰にでもできることです。
いざというときのための金銭的な余裕が持てれば、ちょっとした体調の変化でも病院に行けるので、重症化する前に対処できます。給与振り込み用口座や生活費引き落とし口座とは別に口座を作成し、給与振込日の翌日に振替するよう手続きしておけば、手間なく毎月一定額を貯金できます。
分割払いやローンを支払えないとどうなる?
ペットの治療費を支払うために借りたローンや、動物病院に相談して分割払いにしてもらった治療費を支払えないとどうなるのでしょうか。
借金総額が増える
貸金業者からの借金を返済できないでいると、時間の経過とともに借金総額が増えます。とくに金利が高いクレジットカードのリボ払い(年利15~18%)や消費者金融のカードローン(年利18~20%)の返済を放置していると、あっという間に利息が元金を上回ってしまいます。
さらに返済しないまま期限を過ぎてしまうと、期限の翌日から1日単位で年利20.0%ほどの遅延損害金も加算されます。遅延損害金は約束通りに返済できなかったときに支払う損害賠償金で、「遅延利息」「延滞利息」とも呼ばれます。利息よりも年利が高く、さらに借金総額が膨れ上がってしまうでしょう。
ブラックリス状態になる
金融機関から借りた借金を返済せずに3カ月以上放置すると、延滞したという情報が信用情報機関に登録されます。いわゆる「ブラックリスト状態」となり、金融機関からの信用が失われてしまうために次のようなリスクが生じます。
- クレジットカードを新規作成できない
- 今まで使えていたクレジットカードは更新のタイミングで使えなくなる
- 新たな借入やローン契約ができない
- 携帯電話などを分割払いで購入できない
- 奨学金などの保証人になれない
- 保証会社との契約が必須な賃貸物件を借りられない場合がある
延滞によるブラックリスト状態は、延滞の解消から5年程度は残り続けます。ブラックリスト状態になったときには、早期の延滞解消がポイントになります。
ブラックリストがいつ消えるのか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「ブラックリストはいつ消える?消し方は?個人信用情報をきれいにする方法」
動物病院から法的措置を取られる
動物病院から分割払いでの支払いでいいと言われていたにもかかわらず約束通りに返済できないと、次のような法的措置を取られる可能性があります。とくに契約書等を交わしていた場合には、裁判所を通して次のような方法で法的に抗議される恐れが極めて高いです。
| 法的措置の方法 | 内容 |
|---|---|
| 民事調停 | 簡易裁判所に申し立てて、裁判所の仲介により話し合いでの問題解決を図る方法
解決方法について合意できれば、その内容は「調停調書」として書面化され、確定は欠と同じ法的拘束力を持つ あくまで話し合いによる解決を目指す手続きなので、合意できない場合には他の法的手段を取ることになる |
| 支払督促 | 簡易裁判所を通じて、相手方に支払いを求める法的手続き
督促を受けた相手方が一定期間内に異議を唱えなければ、請求通り内容が確定して強制執行が可能になる 相手方から異議申し立てがあれば、通常訴訟に移行する |
| 通常訴訟 | 調停や支払督促をしても効果がないときには、通常訴訟で裁判所に判断してもらう
請求額が60万円以下の場合は「少額訴訟」という手続きを選択できる |
| 強制執行 | 上記のような法的手続きで、権利の存在を確定する「債権名義」が取得できれば、これに基づいて強制執行が可能になる
差し押さえの対象になるのは、給与・預貯金・不動産・価値のある動産など |
裁判所から訴状が届いた場合の対処法は、こちらの記事を参考にしてください。
「裁判所から訴状が届いた…どうすればいい?適切な対処法&借金解決方法とは」
債務整理でペットの治療費が原因の借金を解決!
ペットの治療費のために借りたキャッシングやカードローンの支払いが難しいというときには、債務整理という選択肢があります。債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、それぞれで特徴や注意点が異なります。債務整理する場合は、ペットを手元に残しておけるかもポイントになります。併せて見ていきましょう。
任意整理
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉して借金の返済条件を見直す手続き。手続き後に発生する将来利息や遅延損害金をカットできるほか、元金の返済期間を3~5年に延長して返済負担を軽減することで、完済を目指します。
毎月安定した収入が必要ですが、自己破産のように財産を処分せずに済むので、ペットと離れることなく借金問題を解決できます。また周囲に知られにくい手続きのため、勤務先や家族に黙ったままで手続き可能。ただし借金総額が多すぎる場合や、安定した収入がない方は任意整理に向いていません。
任意整理するとクレジットカードはどうなるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「任意整理をするとクレジットカードはどうなる?代替できるカード決済や新規発行方法を解説」
個人再生
個人再生は裁判所の手続きを通じて、借金を大幅に減額できる手続きです。減額後の借金は、原則3年、最長でも5年かけて返済していきます。「住宅ローン特則」を利用すれば、ローン返済を継続しながら自宅に住み続けられます。個人再生も財産を処分する必要がないので、ペットや財産を守りながら生活を再建できます。
ただし一定以上の安定した収入があり、減額後の借金を完済する能力があることが情念となります。また原則としてすべての借金が手続き対象となるため、保証人がいる借金の場合、減額された分は保証人に支払い義務が移ります。裁判手続きを介するため「官報」に住所や氏名が掲載される点もデメリットといえます。
個人再生のメリット・デメリットについては、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生のメリット・デメリットを徹底分析!注意点・利用条件・他の債務整理との違いは?」
自己破産
自己破産は、裁判所に借金が返済不能状態であると認めてもらうことで、原則としてすべての借金の返済義務を免除(免責)できる手続き。一定以上の財産がある場合は、処分して債権者への返済に充てなければなりません。また手続き期間中は、特定の資格や職業が制限されるため、その期間は仕事に就けません。
ペットが理由の借金で自己破産する場合には、次のようなポイントに気を付けなければなりません。
ペットがいることは正直に申告する
自己破産する場合、依頼した弁護士や申立てする裁判所にはペットがいることを正直に申告してください。自己破産では、破産する債務者が所有するすべての財産について裁判所に申告しなければならないという決まりがあります。財産には現金や不動産などの他、ペットも含まれます。
「ペットを処分されたくないから」「家族の一員だから」と裁判所に報告しないでいると、破産法上の財産隠しとみなされて、免責が認められない「免責不許可事由」に該当する可能性があります。免責が認められないと、借金はゼロにならず、自己破産しても無駄になります。
ペットの存在を申告しないだけでなく、手続き直前で知人などに譲り渡す行為も財産隠しになる恐れがあります。ペットがいることは正直に申告し、手続きが円滑に進むように注意しましょう。
財産隠しがバレるとどうなるかに関しては、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産で財産隠しがバレるとどうなる?主な手口やバレる理由、対処法を教えます」
免責不許可事由に該当するか
ペットの治療費のために借金した場合、その行為が免責不許可事由になるのでは?と気になる人がいるかもしれません。確かに浪費やギャンブルのための借金があると免責不許可事由に該当して、裁量免責を受けられない限りは免責が認められません。
しかしペットのために何十万もかけて治療した場合や、過剰な飼育費用が原因で破産に至ったとしても、自己破産が認められない訳ではありません。裁判官や破産管財人に対して、治療の経緯や借金が増えてしまった状況を正直に話し誠実な態度で理解を求めていけば、裁量免責が認められるでしょう。
自己破産の免責不許可事由について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産の免責不許可事由の11項目を解説!免責が下りなかったときの対処法とは?」
ペットは財産として扱われるか
自己破産する場合に気になるのは、「ペットが財産として扱われるか」という点です。今や「ペットは家族」という認識でいる人が多い一方で、民法上はペットは「物(動産)」として扱われます。動産も財産の一種なので、20万円以上の価値がある動産については、破産手続上は処分の対象となります。
ただしペットの場合、売却しても市場で高値で売れるほどの客観的な換価価値はほとんどないです。例えば20万円で購入した血統書付きのペットを10万円に値下げしても買い手を見つけるのは難しいケースがほとんど。そのため自己破産手続では、手間や時間をかけてもわずかな金額にしかならない財産については、処分の対象としないのが一般的です。自己破産してもペットが処分されるケースはほとんどないので安心してください。
手放さなければならない可能性があるケース
ペットは財産の一部とみられるものの、ほとんどのケースでは手放す必要はありません。ただし例外的に、債務整理の手続きで飼っている動物を手放さなければならない場合があります。こちらでは5つのケースを紹介するので、自分の状況に当てはまるかをチェックしましょう。
ペットの市場価値が20万円を超える
ほとんどのペットは20万円以上の市場価値があるとみなされないため、自己破産手続きで処分を求められることはありません。しかし希少な犬種・猫種や特殊な「エキゾチックアニマル」など市場での売却価値が20万円を超えるようなペットは財産として扱われ、処分対象となる可能性があります。
もし自分が飼っているペットが希少種だったり、購入後間もないなどで市場価値が気になる方は、自己破産を依頼した弁護士に相談して、処分の有無を確認してみましょう。
ペットローンの「所有権留保」が付いている
ペットショップなどからローンを利用してペットを購入した場合、ペットを手放さなければならない可能性があります。このようなケースに該当するのが、ローン契約に「所有権留保特約」が付いている場合です。この特約が付いているということは、ローンを完済するまでペットの所有権はローン会社やペットショップにあるという意味です。
このような状況で自己破産すると、ローン会社は未払いのローンを回収するために、所有権留保特約に基づいてペットの引き上げを要求してくる可能性があります。引き上げられるかどうかはローン会社の裁量に基づいて、売却した場合の市場価値で判断されます。成長したペットの場合は売却が難しいとの判断で、引きあげられる可能性が低いです。
ただし購入して間もない場合や、希少価値が高いペットの場合は、自己破産手続とは別にローン会社との間で、ペットをどうするかについて交渉が必要になります。ローン契約書を確認し、特約が付いていれば早めに弁護士に相談したうえで、今後の対応についてのアドバイスを受けてください。
自己破産すると財産はどうなるのか詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「自己破産すると財産はどうなる?処分される・されない財産と財産隠しについて」
転居後の住居がペットNG
自己破産で自宅が処分の対象となった場合、転居後の住居がペットNGの物件だと、ペットを手放さなければならなくなります。これは自己破産による財産処分の問題ではなく、物理的な飼育環境の変化の問題です。このような事態を避けるためには、早い段階でペット可の物件情報や新しい預け先を探すなどの対策が必要です。
自己破産前後に引っ越す場合の注意点は、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産中の引っ越しは許可が必要?破産手続き中や自己破産前後に引っ越す際の注意点を解説」
家畜として飼育している
ペットとしてではなく、家畜として動物を飼育している場合、財産として評価されて処分の対象となります。牛や豚など家畜の飼育を生業としている畜産業がこれに該当します。家畜として育てた後は商品として売却するのが一般的で、家畜は動産として扱われます。
家畜は破産手続開始後に破産管財によって売却され、現金化されるのが通常の流れです。犬や猫などの愛玩動物とは扱いが異なる点に注意が必要です。
ブリーダー業を営んでいる
自己破産する人がブリーダー業を営んでいる場合も、飼育している動物を手放さなければなりません。飼育している動物は商品(営業用資産)として扱われるため、自己破産手続の中で売却などの換価処分が行われます。また高齢などの理由で売却できない動物であっても自己破産した本人が飼い続けることはできないので、他のブリーダーに譲渡するか動物愛護団体などに引き取ってもらう必要があります。
破産手続き中は士業などの特定の資格・職業に制限がかかります。ブリーダー業を営むのに必要な「動物取扱責任者」や「第一種動物取扱業」も制限の対象となり、動物愛護管理法に基づいて「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」はその要件を失います。つまり自分でブリーダー業を営めないのはもちろん、他の人のところで責任者として働くこともできません。
ただし自己破産手続が完了して裁判所から免責許可決定の確定が出れば、復権となります。復権後は、再度要件を満たせば第一種動物取扱業を再登録したのちにブリーダー業を再開できます。
債務整理を検討したら弁護士に相談
ペットの治療費のために借金して返済できず、債務整理を検討したら弁護士に相談してください。債務整理は法的手続きになるため、法律の専門家である弁護士の協力が欠かせません。また債権者との交渉や裁判所とのやり取りが欠かせないため、弁護士が間に入ることで手続きがスムーズに進められます。
どのような債務整理が適しているかは、借金の総額や収入・資産の内容やペットとの今後の希望によって変わってきます。その点でも弁護士に相談すれば、ペットを手放さずに済む方法を一緒に考えてくれたり、経済的負担を最小限にする具体的なアドバイスが受けられるでしょう。
弁護士に依頼した後は、債権者に送付する「受任通知」によって、債権者からの取り立てや督促がストップします、精神的なプレッシャーやストレスから解放され、落ち着いてペットと暮らす今後の生活について考えられるようになるでしょう。
まとめ
ペットには人間のように健康保険制度がなく、自由診療となるため治療費が高額になりがち。治療費が支払えないときには、病院に相談して分割払いにしてもらう、クレジットカードで支払う、様々なところからお金を借りて支払うという方法があります。
ペットの治療費を抑えるには、普段の健康管理や定期的な定期健診、ペット保険への加入やいざという時の貯金といった対策が有効です。借金や病院の分割払いを支払えないでいると、ブラックリスト状態になったり法的手続きを取られるなど様々な影響が出てきます。
ローンなどの借金が支払えないときには、弁護士に相談したうえで債務整理を検討してください。法律の専門家に依頼することで、債務整理の手続きをスムーズに進められ、ペットとの生活を引き続き送れるような方法を考えてくれます。ペットは家族も同然です。これからもずっと一緒に暮らせるように、早め早めの対策をしていきましょう。