手術費用が払えない…気になる入院・手術費用の相場と払えないときの対処法、利用できる公的制度とは

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  • 「手術を予定しているが、費用が払えるか心配…」
  • 「入院費が払えないときに利用できる公的制度はある?」

入院や手術の必要があるのに、費用を支払えるか分からないと心配な方はいませんか?国民皆保険制度がある日本では、高額な医療費を支払えない方のための様々な制度が充実しています。金銭面で必要な治療を諦めるという選択をしないために、こちらの記事では利用できる公的制度や相談できる窓口を紹介していきます。

また費用が支払えないときの対処法や、入院や休業で借金が返済できないときの解決方法も解説。適切な医療を受けるのは、命に係わる大切なことです。お金の問題を気にせずに治療に専念できるよう、助けになる情報を得ておきましょう。

 

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目次

手術・入院にかかる費用相場と平均日数

手術や入院で心配なのは身体のことはもちろん、金銭面も無視できないという人は少なくありません。こちらでは手術や入院にかかる費用の相場や平均入院日数について紹介していきます。

手術にかかる費用の相場

手術にかかる費用の相場は、手術・地方方法や疾病名、入院日数によっておおきく変動します。こちらは3割負担の場合で計算したときの、診療科・疾病名ごとの手術費用の相場です。

診療科 疾病名 手術名・治療法 入院日数 金額(3割負担)
内科 大腸ポリープ 内視鏡的大腸粘膜切除術 2~4日 約6万円
労作性狭心症
冠攣縮性狭心症
心臓カテーテル検査 2~3日 約6~8万円
総胆管結石 内視鏡的胆道結石除去術 5~7日 約15万円
外科 甲状腺腫瘍 甲状腺腫瘍摘出術(片葉)

甲状腺悪性腫瘍切除術

7日 約15万円

約20万円

乳癌、乳腺腫瘍 乳腺腫瘍摘出術

乳腺悪性腫瘍手術

3日

15日

約7万円

約30万円

ヘルニア 鼠径ヘルニア(開腹) 4~7日 約10~13万円
膵臓癌 膵体尾部腫瘍切除術

膵頭部腫瘍切除術

1ヶ月 約70万円

約80万円

整形外科 腕骨骨折 骨折観血的手術 14日 約25万円
変形性股関節症 人工股関節置換術 30日 約75万円
産婦人科 子宮筋腫 子宮鏡下子宮筋腫摘出術

子宮全摘術(腹腔鏡下)

3~4日

6~8日

約11万円

約35万円

子宮外妊娠 胃所性妊娠手術 5~7日 約23万円

参考:手術費用等概算一覧表|中電病院

なお食事療養費や個室料等の費用は別途かかります。

手術・入院にかかる自己負担金額の平均

手術や入院にかかる自己負担金額の平均は、2022年の調査で19.8万円です。こちらは次のような費用も含みます。

  • 治療費
  • 食事代
  • 差額ベッド代
  • 交通費(見舞いに来る家族分も含む)
  • 衣類
  • 日用品費

後で紹介する高額療養費制度を利用した場合には、利用後の金額となっています。そして費用分布とその割合は以下の通りです。

入院時の自己負担費用 割合
5万円未満 9.4%
5万~10万円 26.5%
10万~20万円 33.7%
20万~30万円 11.5%
30万~50万円 10.1%
50万~100万円 5.8%
100万円以上 3.0%

参考:2022(令和4)年度生活保障に関する調査|公益財団法人生命保険文化センター

こちらを見ると、10万~20万円の自己負担があったと回答している人が33.7%と最も多い結果に。一方で100万円以上と回答した方が3.0%いることが分かります。

平均入院日数はどのくらい?

病気やケガで入院したときに気になるのは、どの位の期間入院しなければならないのかという点もあります。とくに費用が気になる方は、長期入院による治療費や差額ベッド代で経済的な負担が重くなる点も心配でしょう。厚生労働省が行った令和5年の調査によると、退院患者の平均入院日数は28.4日という結果に。

こちらは手術が必要な傷病ごとの平均入院日数です。

主な傷病 平均入院日数
胃の悪性新生物  14.7日
結腸及び直腸の悪性新生物  15.3日
肝及び肝内胆管の悪性新生物  13.6日
気管、気管支及び肺の悪性新生物  14.1日
心疾患  18.3日
脳血管疾患  68.9日
骨折  35.4日

参考:令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省

施設の種類別でみると、病院が29.3日、一般診療所が14.2日です。年齢階級別だと65歳以上が最も長くなっています。

1日当たりの入院費用の平均

上で紹介した公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、入院1日当たりの自己負担費用の平均は20,700円です。疾病の種類や入院日数にもよるものの、一回の手術・入院で数十万円の費用が掛かる可能性があります。

怪我や病気に対する不安については、費用や金銭面に係る内容について次のような割合の人が不安を抱えています。

不安の内容 割合(%)
長期の入院で医療費がかさむ 50.1
公的医療保険だけでは不十分 41.4
障害等により就労不能となる 38.9
治療の長期化で収入が途絶える 31.7
保険対象外の先進医療の費用が掛かる 29.2
現在の準備では費用が賄えない 27.6
保険対象外の差額ベッド代がかかる 23.3
家族の見舞いなど付随的費用がかかる 21.5

設定した項目の半数以上が費用や金銭面に係る内容となっています。入院や手術を控えた人にとって、金銭面での悩みは尽きないことが分かります。

手術費用が払えないときに利用できる公的制度

手術費用が払えないときや、現在の準備では不足しそうなときには、まず次のような公的制度が利用できないか検討してください。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、医療機関の窓口や薬局で支払う1カ月の自己負担額が一定以上を超えた場合に、超えた分の医療費が還元される公的制度。年齢や収入ごとに毎月の上限額が設定されているので、自分がどの区分に該当するのかチェックしましょう。

年齢 適用区分(年収) 毎月の上限額(世帯ごと)
70歳以上 年収約1,160万円~

(現標報83万円以上/課税所得690万円以上)

252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770万円~約1,160万円

(標報53万円以上/課税所得380万円以上)

167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370万円~約770万円

(標報28万円以上/課税所得145万円以上)

80,100円+(医療費-267,000)×1%
年収156万~約370万円

(標報26万円以下 課税所得145万円未満等)

57,600円(外来18,000円)
住民税非課税世帯(年金収入80万~155万円) 24,600円(外来8,000円)
住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など) 15,000円(外来8,000円)
69歳以下 年収約1,160万円

(健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超)

252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770~約1,160万円

(健保:標報53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円)

167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370~約770万円

(健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円)

80,100円+(医療費-267,000)×1%
~年収約370万円

(健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下)

57,600円
住民税非課税世帯 35,400円

参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省保健局

こちらは1世帯単位での合算で計算します。複数科での受診や同じ健康保険に加入している同居家族の受診も1カ月単位で合算できます。また令和8年からは年単位の上限額も新設されるので、手術によって長期療養する方の負担をさらに軽減できます。なお入院時の食事や差額ベッド代は対象外となります。

限度額適用認定書

高額療養費制度は、申請後に還付されるまで3カ月程度の時間がかかります。その期間中の支払いが高額で支払えそうもないときにはあらかじめ「限度額適用認定証」の申請をしておきましょう。限度額適用認定証は加入している健康保険組合から交付され、医療機関の窓口に提出すると自己負担額を抑えられます。

マイナ保険証を利用している方は、事前の申請や提示が不要でこちらの制度を受けられます。なお限度額適用認定証の有効期間は、申請書受付日が属する月の1日から1年間。申請受付月よりも以前の月の分は対象から外れるので、入院や手術が決まったら早めに申請しておきましょう。

参考:限度額適用認定証|協会けんぽ

多数該当

直近12カ月のうち3カ月以上で1カ月当たりの自己負担上限額を超えた場合や、高額療養費制度の適用を受けた場合、4カ月目以降は「多数該当」となり、自己負担上限額がさらに引き下げられます。多数回答は同一被保険者の費用に適用されるため、退職などで被保険者から被扶養者に変更した場合は、多数該当の月数には含まれません。

手術を伴う長期の入院や通院治療が必要になる方は、こちらの多数該当が適用できる可能性があります。要件を満たす方は、こちらの申請も忘れずに行いましょう。

高額療養費貸付制度

高額医療費貸付制度は、高額療養費制度によって支払った医療費が還元されるまでの2~3カ月の間に、高額な費用を支払う能力ができない被保険者を対象に、無利子で高額療養費支給見込額の8割程度を貸し付ける制度。医療保険の種類によって貸付割合は異なります。

ただし健康保険料の滞納がある場合や、医療機関の承諾が得られない場合は、こちらの貸付制度を利用できない可能性があります。詳しくは加入している健康保険組合にご相談ください。

参考:高額療養費貸付制度|協会けんぽ

高額療養費・高額介護合算療養費制度

一部の健康保険組合では、1年間にかかった健康保険と介護保険の自己負担額を合算し、基準額を超えた場合にその超過分の還元を受けられます。これを「高額療養費・高額介護合算療養費制度」といいます。基準額は世帯の年齢構成や所得額に応じて異なります。健康保険と介護保険の両方を利用している場合は、事前に確認しておきましょう。

対象世帯 医療保険各制度(被用者保険、国保、後期高齢者医療制度)の世帯に介護保険の受給者が存在する場合に、被保険者からの申請に基づき、高額療養費の算定対象となる世帯単位で、医療保険と介護保険の自己負担を合算した額が、新たに設定する自己負担限度額を超えた場合に支給する
限度額 年額56万円を基本とし、医療保険各制度や被保険者の所得・年齢区分ごとの自己負担限度額を踏まえてきめ細かく設定
費用負担 医療保険者、介護保険者の双方が、自己負担額の比率に応じて負担し合う

参考:高額医療・高額介護合算療養費制度について|厚生労働省

付加給付制度

健康保険組合によっては、独自の付加給付制度を準備している場合があります。付加給付制度は「一部負担金払戻金」「療養費付加金」などとも呼ばれています。給付の条件や金額、支給日などは健康保険組合によって異なります。詳しくは加入している健康保険組合にお問い合わせください。

なお国民健康保険や全国健康保険協会(協会けんぽ)には、こちらの付加給付制度はありません。事前に制度があるかについても確認しておきましょう。

所得税の医療費控除

一定以上の医療費を支払った方は、所得税の医療費控除を受けられる可能性があります。控除が受けられるのはその年の1月1日~12月31日の1年間に、同一世帯で支払った医療費が、次の基準を超えた場合です。

  • 支払った医療費が10万円を超えた
  • 支払った医療費が総所得金額の5%を超えたとき、1もしくは2のいずれか低い金額を超えたとき

控除の上限額は200万円で、つぎのような費用が医療費として計上できます。

  • 医療機関に支払った治療費・入院費・薬代
  • 薬局に支払った処方箋薬代・市販薬の購入費用
  • 治療目的のマッサージ・針・指圧などの費用(国家資格を所持している施術者に限る)

参考:医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

傷病手当金

傷病手当金は、国民健康保険以外の健康保険組合に加入している方が、業務外の病気やケガで働けなくなったときに支払われる手当金です。金額は一日当たりの金額で計算され、給与のおよそ2/3に相当する額が支給されます。通算で1年6カ月まで支給されるので、長期療養が必要になった方は、忘れずに申請するようにしましょう。

なお協会けんぽでの傷病手当金の支給条件はこちらです。

  • 業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること
  • 仕事に就くことができないこと
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  • 休業した期間について給与の支払いがないこと

通勤中の災害もしくは業務中の事故によるものは、労災保険の支給対象となります。傷病手当金の対象外となるので気を付けてください。

参考:傷病手当金|協会けんぽ

心身障害者医療費助成制度

精神的・身体的に障害を持つ方は、「心身障害者医療費助成制度」を利用できる可能性があります。こちらは保険適用となる医療費の一部を、お住いの自治体が助成する制度。例えば東京都では、次の条件に該当する方が利用できます。

 

東京都内に住所を有する方で、1、2又は3に該当する方

1身体障害者手帳1級・2級の方(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む。)

2 愛の手帳1度・2度の方

3 精神障害者保健福祉手帳1級の方

また次のような方は、当該制度を申請できません。

  • 定めている所得制限基準額を超える方
  • 生活保護や中国残留邦人等支援給付を受けている方
  • 65歳以上になってはじめて上記対象者の1、2又は3に該当することになった方
  • 65歳に達する日の前日までにマル障の申請を行わなかった方
  • 後期高齢者医療の被保険者で、かつ住民税が課税されている方

参考:心身障害者医療費助成制度(マル障)|東京都福祉局

国民健康保険の一部負担金減免制度

国民健康保険、後期高齢者医療制度に加入している被保険者並びに被扶養者の方は、「一部負担金減免制度」により、医療費の負担減免や徴収猶予が受けられる可能性があります。こちらは次のような事情で生活が一時的に苦しくなり、医療費の自己負担分が支払えなくなった場合に利用できます。

  1. 震災、風水害、火災、その他これらに類する災害により死亡し、または障がい者となったとき、または資産に重大な損害を受けたとき
  2. 干ばつ、冷害、凍霜害などによる農作物の不作、不漁、その他これらに類する理由により収入が減少したとき
  3. 事業、または業務の休廃止、失業などにより収入が著しく減少したとき
  4. 世帯主または主たる生計維持者が、重篤な疾病または負傷により死亡し、心身に重大な障害を受け、または91日以上の入院をしたとき(被保険者のみの世帯である場合を除く)
  5. その他、1~3に類する事由があったとき

この制度を利用できるのは、収入や預貯金が一定の基準以下の場合に限られます。詳しくはお住いの自治体の国民健康保険担当窓口までお問い合わせください。

参考:一部負担金の徴収猶予及び減免|厚生労働省

手術費用が支払えないときの主な相談先

手術費用や入院費用が支払えるか心配なときは、次のような窓口に相談してください。利用可能な公的制度を案内してくれるはずです。またすでに請求済みの医療費の支払いが難しい場合にも相談できます。

医療機関の窓口

入院や手術による収入減などで、医療費の支払いが難しくなりそうなときには、事前に入院する医療機関の窓口に「入院や手術費用が払えないかもしれない」と相談しましょう。前もって話しておくことで、医療機関側の受け入れ方が変わってきます。場合によっては自己負担分の分割払いや支払い期日の延長を認めてもらえるかもしれません。

医療費を支払えないかもしれないという相談は、出来るだけ早い方がいいでしょう。入院前に「費用はいくらぐらいになりそうか」「支払えないときはどうしたらいいか」を窓口に相談し、利用できる公的制度の案内や支払い方法の変更などについて確認してください。

医療機関のソーシャルワーカー

ある程度の規模の医療機関には、「医療ソーシャルワーカー」という専門職がいます。医療ソーシャルワーカーとは、社会福祉士などの有資格者が専門家の立場から患者やその家族が持つ不安や療養上の課題についてともに考え、より良い解決ができるように支援する福祉の専門職です。

医療費の支払いに対する不安はもちろん、退院後の生活に関する不安や公的制度についての相談にも乗ってくれます。相談は無料で、守秘義務があるので他人に相談内容を知られる心配もありません。医療機関によっては「地域連携室」「患者相談センター」といった名称となっている場合もあります。相談を希望する方は、医療機関の窓口にお問い合わせください。

役所の福祉担当窓口

お住いの自治体役場の福祉担当窓口でも、医療費の支払いの不安に関する相談に応じています。上で説明した公的制度は主に国や健康保険組合ごとの支援制度です。それ以外に自治体独自で医療費の減免を行う制度を設けているところも少なくありません。

また国民健康保険に加入している方は、役所の福祉担当窓口は国民健康保険窓口に相談するといいでしょう。利用可能な支援制度を紹介してくれるほか、制度が利用可能な医療機関の紹介もしています。

福祉事務所

手術費用や入院費の支払いだけでなく、退院後の生活が苦しくなると予想されるときには、福祉事務所に相談したうえで生活保護の利用を検討した方がいいでしょう。生活保護を受給できれば、その後の医療費は原則無料となります。加えて普段の生活に対する扶助も受けられます。

生活保護の受給窓口では、ケースワーカーと呼ばれる専門家が相談に応じてくれます。生活の状況や困窮具合、借金の有無などを聞き取りした後で、受給できるかどうかが分かります。申請書を提出した後は、家庭訪問や資産調査、親族への聞き取りが実施され、調査結果が書面で通知されます。

健康保険組合の相談窓口

自分が加入している健康保険組合の窓口に問い合わせると、利用できる様々な制度を案内してもらえます。どの保険組合に加入しているか分からないという方は、次のような方法で確認してみましょう。

  • マイナポータルにログインして「健康保険証」の項目から確認
  • 入社時にもらった「健康保険資格取得等通知書」「資格確認書」で確認
  • 会社の総務・人事担当に聞く
  • 病院の受付で確認する
  • 従来のカード型健康保険証で確認する

民医連の支援窓口

全国1800か所の医療機関・診療所が加盟している「全国民主医療機関連合会(民医連)」の支援窓口でも、医療費の支払いに関する相談か可能です。民医連では経済的に困窮している方向けの医療提供にも力を入れています。相談すると無料や低額で診療を実施している医療機関を紹介してもらえるでしょう。

手術費用が支払えないときは借金するという方法も

手術費用や入院費が支払えないときには、ローンや借入をするという方法もあります。こちらでは、医療費支払いに使えるローンや借入の種類を紹介していきます。

医療ローン

高額療養費制度などを利用しても、また医療費の支払いができないという方は、医療ローンを利用するという選択肢があります。医療ローンとは保険適用・適用外を問わず、次のような医療行為にかかる費用の支払いに利用できる目的別ローンの一種。目的を特定しない多目的ローンよりも比較的金利が低く、担保や保証人は基本的に不要です。

  • 高額な先進医療や長期の入院費
  • 歯科治療(インプラント・歯科矯正など)
  • 美容整形・不妊治療・AGA治療などの自由診療

医療ローンには、借入先の違いで銀行系と信販系に分類できます。それぞれの特長はこちらです。

銀行系医療ローン

銀行系医療ローンは銀行や信用金庫などの金融機関が提供するローン商品。金利は低めに設定され、医療機関による利息負担サポートなどはありません。また審査に数日~1週間程度の時間がかかるので、余裕を持って申し込みするようにしましょう。

信販系医療ローン

信販系医療ローンは、クリニックや診療所と提携している信販会社によるローン商品です。審査は柔軟に行われ、審査結果も1時間以内で出るなどスピーディーなのが特徴。ただしこちらのローンは、最初に受診した医療機関との契約になるので、後から転院やセカンドオピニオンを受けたいという場合には、途中でローンをキャンセルするのは難しいでしょう。転院するときには、借入全額を一括請求される可能性があります。

一般のカードローン・キャッシング

一般のカードローンやキャッシングで、足りない分の医療費を賄うという方法もあります。目的を限定していないローンになるので、審査に通れば即日現金を手にできます。また無利息期間を設けている消費者金融を利用すれば、金利の負担を軽減できます。

しかしこのような借入は、利息が年利3.0%~18.0%と高めに設定されています。また限度額内であれば繰り返し利用できるので、返済が長期化しやすいというデメリットも。計画的な利用やこまめな返済管理が重要になります。

病気で借金が返せない方の解決方法については、こちらの記事を参考にしましょう。

「病気で借金が返せない!今すぐやるべきことから借金問題解決までを一挙解説」

生活福祉資金貸付制度

国が行っている「生活福祉資金貸付制度」を利用すれば、手術費用や入院費を低金利で借りられる可能性があります。制度の対象者や貸付上限額などはこちらです。

対象者 低所得世帯(市町村民税非課税程度など)・障害者世帯・高齢者世帯
貸付上限額 50万円以内
対象となる費用 医療保険が適用される医療費・入院費の自己負担分および食事療養費
対象外の費用 差額ベッド代、入院中の生活用品費などの保険外費用
金利 連帯保証人を立てる場合は無利子

連帯保証人を立てない場合は年1.5%

審査には1カ月程度の時間がかかるので、まずは高額療養費制度や限度額適用認定証の手続きを行った上で、申し込みしてください。生活福祉資金貸付制度の申し込みは、お住いの社会福祉協議会が窓口です。

参考:生活福祉資金貸付制度|厚生労働省

クレジットカードで支払う

手術費用や入院費をクレジットカードで支払うことができれば、実質的な支払い期限を1カ月程度遅らせることができます。大規模な医療機関なら、ほとんどのところでクレジットカード払いに対応しています。現金が必要な場合には、クレジットカードのキャッシング機能を利用すれば、まとまった金額を手にできるでしょう。

ただしクレジットカードを利用するときには、後払いという特性上、計画的な利用が大切に。支払日の口座残高の確認やリボ払い・分割払いの手数料(利息)をしっかり把握した上で、利用明細をこまめにチェックするなどして使いすぎに気を付けてください。

家族や友人から借りる

医療費が足りないときには、家族や友人から借りるという方法もあります。場合によっては利息なしで借りられ、返済も柔軟に対応してくれるかもしれません。ただしお金の貸し借りが原因で、トラブルに発展したり、人間関係が悪化してしまう可能性があります。借りられたとしても、返済方法や返済期日についてはきちんと取り決めしておきましょう。

手術や入院で借金返済が難しいときには…債務整理を検討

手術や入院で収入が減少し、借金返済が難しいときには債務整理を検討してください。債務整理とは債権者(金融機関)との交渉や裁判所手続きによって、返済の負担を減らしたり、借金全てをゼロにする手続き。主に任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。

債務整理のデメリット

債務整理に共通するデメリットとして、信用情報機関に事故情報として登録されるという点があります。いわゆる「ブラックリスト状態」のことです。登録される期間は、手続開始決定日や借金の完済日から5~7年程度。この期間は、次のようなリスクが発生します。

  • クレジットカードの新規作成ができない
  • 今まで使えていたクレジットカードは更新のタイミングで使えなくなる
  • 住宅ローンや自動車ローン、カードローンなどの審査に通らない
  • スマホや携帯電話の分割払いができない
  • 奨学金などの保証人になれない
  • 賃貸物件の契約ができない可能性がある

ただし借金返済を2カ月以上延滞した場合にも、事故情報として登録されてしまいます。病気やケガの影響で返済を継続できないような場合には、債務整理を選択した方がいいでしょう。

任意整理は安定した収入が必要

任意整理とは債権者と直接交渉して、利息や遅延損害金の減額や支払期間の延長を求める手続きです。手続き後に残った元金は、3~5年で完済を目指します。任意整理のメリット・デメリットはこちらです。

メリット デメリット
  • 過払い金があれば借金返済に充てられる
  • 周囲の人に知られずに手続きを進められる
  • 交渉対象を選べるため、ローン返済中の家や車を手放さずに済み、保証人に迷惑がかからない
  • どんな借金理由でも利用できる
  • 借金の減額幅が小さい
  • 債権者が交渉に応じないと効果がない
  • 毎月の返済が残るため、安定した収入が必要

任意整理に向いているのは、金利の高い消費者金融のカードローンやキャッシング、リボ払いの借金などです。手術費用などの医療費には利息や遅延損害金が加算されないケースが多いので、任意整理による効果は限定的でしょう。

任意整理に向いている人について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「任意整理と債務整理の違いは何?メリット・デメリット、任意整理に向いてる人を解説」

個人再生は大幅減額が可能

個人再生は裁判所に申し立てて再生計画案が認められれば、借金総額を1/5~1/10に減額できる手続き。減額された借金は原則3年、最長で5年かけて返済していきます。個人再生のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
  • 債権者からの督促や取り立てが止む
  • 借金を大幅に減額できる
  • ローン返済中のマイホームを残せる
  • 借金の原因を問われない
  • 資格や職業に制限がかからない
  • 返済しなければならない借金が残る
  • 収入などに条件がある
  • 官報に公告される
  • ブラックリストに載る
  • 費用や時間がかかる
  • 連帯保証人に返済の義務が移る

個人再生に向いているのは、100万以上5000万円以下の借金がある方。将来的に継続して安定した収入があり、再生計画案に基づいた返済ができる人です。そのため手術直後や入院中で仕事ができない方、無職の方や生活保護を受給している方は、個人再生が認められない可能性が高いです。

安定した収入があったとしても、家計にゆとりがないなどで減額後の借金を返済し続けるのが難しいと判断されると、個人再生を利用できません。

個人再生のメリット・デメリットについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「個人再生のメリット・デメリットを徹底分析!注意点・利用条件・他の債務整理との違いは?」

自己破産は休業中でも手続きできる

他の債務整理と違い、自己破産なら収入が不安定でも生活保護受給中でも手続き可能です。そもそも自己破産は、裁判所に申し立てて、返済不能状態であることを認めてもらいすべての借金の返済義務を免除(免責)してもらう手続きです。金融機関からの借金はもちろん、支払えないでたまっている医療費も手続きの対象に。

むしろ手術や入院などやむを得ない事情による借金と認められれば、裁判所でも事情を理解しやすく、スムーズに手続きを進められるでしょう。

うつ病で借金が返せない方の解決方法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「うつ病で借金が返せない…病気、借金の解決方法&うつ病で利用できる支援制度とは」

自己破産にかかる費用相場

自己破産を考えたとき、気になるのが費用のこと。自己破産では裁判所費用と弁護士費用が必要です。裁判所費用は、自己破産の種類(同時廃止事件・管財事件)によって変わります。

同時廃止事件
  • 破産者に処分できる一定以上の財産がなく免責不許可事由にも該当しないときに選択される
  • 破産管財人を選任せず、破産手続開始決定と同時に廃止(終了)される手続き
  • 費用な手続き期間(約3カ月)を抑えられる
管財事件
  • 処分できる財産や免責不許可事由があるときに選択される手続き
  • 破産管財人が選任され、財産の調査・換価・分配を行ったり、免責不許可事由の調査が行われる
  • 手続き期間は半年から1年程度で、破産管財人に支払う費用がかかる

東京地方裁判所など一部の裁判所では、弁護士に依頼することを条件に費用や期間を抑えられる「少額管財」が利用できます。自己破産の種類別の裁判所費用の相場は、以下の通りです。

裁判所費用の種類 費用相場
予納金 同時廃止事件 約1〜3万円
管財事件 約30〜50万円
少額管財 約20~30万円
申立手数料 1,500円
予納郵券 3,000円~15,000円

続いて、弁護士費用の相場についても見ていきましょう。

自己破産の種類 相場費用(税込)
同時廃止 20万~35万円
管財事件 30万~50万円
少額管財 30万~50万円

自己破産費用が支払えないときの相談先

手術費用や入院費を支払えないのに自己破産の費用まではとても…という方は、「法テラス(日本司法支援センター)」に相談してください。法テラスは法的トラブルを解決する目的で設立された国の機関で、次のような条件を満たせば、無料で弁護士相談が受けられたり、弁護士費用を立て替えてもらえたりします。

  • 収入が一定額以下である
  • 保有資産が一定額以下(単身者で180万円以下など)である
  • 一定程度勝訴の見込みがある
  • 民事法律扶助の趣旨に適している(報復目的の利用ではないなど)

弁護士費用の立替制度を利用した場合は、毎月5,000円もしくは10,000円の分割返済が可能です。ただし自己破産後も生活保護を受給している方などは、弁護士費用の支払い自体が免除される可能性があります。法テラスの利用方法や詳しい条件については、以下でお問い合わせください。

法テラス・サポートダイヤル:0570-078374
受付時間:9時~21時、土曜日は17時まで(日・祝日・年末年始を除く)
※弁護士や司法書士が解決策をアドバイスする窓口ではありません
※通話料がかかります

自己破産を検討している方は、弁護士に相談

手術費用や入院費、そのための借金が支払えずに自己破産を検討している方は、前もって弁護士に相談してください。他の債務整理が利用できないのか、家族への影響を最小限にする方法などのアドバイスが受けられます。実際の手続きを弁護士に依頼できれば、次のようなメリットが得られます。

  • 弁護士から債権者(金融機関)に送られる「受任通知」によって取り立てや督促がストップする
  • 裁判所に提出する書類の作成や収集を任せられる
  • 法的手続きや裁判所とのやり取りをすべて任せられる

生活再建を最優先に考えるなら、心身の健康は欠かせません。自己破産の手続きは専門家に任せ、あなたは体調の回復に注力してください。

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退院後・債務整理後も生活が苦しいときは

退院後や債務整理後も生活が苦しく改善されないときには、次のような公的制度の受給を検討してください。

障害年金を受給する

病気やケガで日常生活や仕事に大きな支障が出るようになったときには、障害年金が受給できるかもしれません。障害年金には主に次のような種類があります。

障害年金の種類 年金の種類 対象 支給額の目安(年額)
障害基礎年金 国民年金 自営業者・フリーランス・学生など 1級:1,059,125円

2級:847,300円

障害厚生年金 厚生年金 会社員・公務員など 1・2級:障害基礎年金+報酬比例の年金額

3級:報酬比例の年金額(最低保証額:635,500円)

障害手当金 厚生年金 会社員・公務員など

(障害等級に持たない軽度の障害が残った場合)

最低保証額:1,247,600円(ただし1回限りの支給)

参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」

障害等級1級または2級の子どもがいる場合は、人数に応じた加算があります。障害年金の申請申し込みや相談は、お住いの地域の年金事務所・年金相談センター・市区町村役場です。

母子家庭で生活が苦しいとお感じの方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「母子家庭で借金苦しい。シングルマザーが借金から抜け出す方法や支援制度を紹介」

生活保護の受給を検討

退院後も働けず自立した生活が難しい方は、生活保護の受給を検討してください。日常生活を送る上での必要な費用を支給してもらえます。また借金があっても、債務整理の手続き後でも受給可能です。生活保護で支給されるのは、次のような費用です。

生活扶助 日常生活に必要な食費・被服費・光熱費などの費用
住宅扶助 アパート等の家賃
教育扶助 義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助 医療サービスの費用
介護扶助 介護サービスの費用
出産扶助 出産費用
生業扶助 就労に必要な技能の習得等にかかる費用
葬祭扶助 葬儀等にかかる費用

生活保護は世帯単位で支給され、受給要件は生活保護法によって次のように規定されています。

  • 生活に困窮する世帯員全員が
  • その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを
  • その最低限度の生活の維持のために活用すること

働いていても最低生活費以下の収入しか得られない場合は、不足分を保護費で補うという形になります。なお借金があっても生活保護の受給に影響しませんが、保護費から借金を返済することは禁止されています。できれば自己破産で借金問題を解決してから、生活保護の申請をしてください。

生活保護受給中の借金の可否については、こちらの記事を参考にしましょう。

「生活保護受給中に借金しても良いか知りたい!バレるリスク&お金に困ったときの対処法とは

まとめ

手術費用が払えないときには、高額療養費制度や国民健康保険の一部負担金減免制度などの公的制度を利用するのがおすすめ。前もって病院の窓口や医療ソーシャルワーカーに相談すると、利用可能な制度を紹介してもらえます。医療費だけでなく生活費も足りずに借金している方は、返済計画を立てたうえで、借り過ぎに注意してください。

医療費やその他の借金の返済が苦しいときには、債務整理を検討しましょう。任意整理・個人再生・自己破産それぞれで借金の減免割合が異なり、向いている人や借金の種類も違います。どのような手続きがあるかをよく知った上で、自分に合った方法を選択するのが成功の秘訣です。

どのような方法が適しているか分からないという方は、債務整理に詳しい弁護士に相談するのがおすすめ。手続き後の生活再建についてもアドバイスを受けられ、実際に手続きを依頼できれば、あなたは心身の回復に注力できます。

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