
- 「ローンが支払えず任意売却を検討しているが、デメリットが知りたい」
- 「任意売却後の残債は一括で返さなきゃいけないの?」
様々な事情により住宅ローンを返済できなくなった方の中には、任意売却を検討している人がいるかもしれません。こちらでは任意売却のメリット・デメリットや手続き方法についてだけでなく、任意売却後の残債の返済方法についても詳しく解説。
様々な理由から任意売却ができない場合には、ローンそのものを減免できる対処法を検討すべきでしょう。債務整理を検討した場合の注意点やポイント、失敗しない秘訣についても紹介していきます。
任意売却とは?メリット・デメリットと手続きの方法
はじめに住宅の「任意売却」とは?という点や任意売却のメリット・デメリット、手続きの方法について見ていきましょう。
任意売却とは
任意売却とは、契約通りに住宅ローンの返済ができなくなったときに、ローンを借りている金融機関の同意を得てマイホームを売却する方法。日本で任意売却が広まったのは、1990年代のバブル崩壊後からといわれています。そして1999年に施行された「サービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)」をきっかけに、制度として定着しました。
通常住宅ローンを3~6カ月連続して延滞すると、抵当権を持つ金融機関は少しでもローン分を回収するために、マイホームを差し押さえて競売にかけます。任意売却はその競売に至る前に行われる売却方法で、様々なメリットがあります。
競売との違い
任意売却と競売には、次のような違いがあります。
| 売却方法 | 任意売却 | 競売 |
|---|---|---|
| 売主の意思 | 反映できる | 反映できない |
| 売却価格の決定 | 売主(債権者の意向が反映される) | 裁判所 |
| 最終売却価格 | 相場価格に近い | 相場価格よりも大幅に安くなる |
| 残債額 | 競売よりも少ない | 任意売却よりも多い |
| 残債の返済方法 | 債権者と交渉が可能 | 一括請求されるのが一般的 |
| 売主のプライバシー | 守られる | 情報公開される |
| 引っ越し費用 | 交渉により受け取れる | 受け取れない可能性が高い |
任意売却と競売の大きな違いは、売主の意思が反映できるかどうかです。任意売却は通常の不動産売却と同じように進められますが、競売は裁判所が管理するため、売主の意向にかかわらず強制的に進められます。また売却価格も、競売は相場よりもはるかに安くなるのに対して、任意売却は相場価格に近い価格で売却できます。
任意売却のメリット
では任意売却にはどのようなメリットがあるのでしょうか?こちらでは5つのメリットについて解説していきます。
市場価格に近い価格で売れる
任意売却は市場価格に近い金額で売れるので、残ったローンの返済の負担を減らせます。競売が相場の半値から7割程安くなる点を考えれば、任意売却の方がよりメリットが大きいことが分かります。任意売却が相場価格に近い金額で売れる理由は、次のような点です。
- 通常の不動産売却の方法で売りに出す
- 購入希望者が家の中を自由に見学できる
- 権利関係や売却に必要な書類が整理されている
- 売主の意思を無視した強制的な退去でないため、購入後のリスクやトラブルが少ない
任意売却は売主の意向を反映できるため、通常の不動産売却と同じような方法で売却できます。家の中を自由に見学できたり、権利関係が複雑になっていないのもメリット。競売のように強制的に退去させられる訳でないため、購入後にトラブルになる可能性も極めて低いでしょう。このような理由から、任意売却は競売よりも高い価格で売れます。
プライバシーが守られる
売主のプライバシーが守られるのも、任意売却の大きなメリットです。競売の場合は、裁判所の掲示板やインターネットなどで情報が公開されるため、「あそこの家は競売にかけられた」と近所の人や知り合いに知られる恐れがあります。
一方で任意売却は、通常の不動産売買の方法で進められます。家を売却中ということは周囲に知られるかもしれませんが、ローン返済を延滞しているのが原因と知られる可能性はほぼありません。また任意売却は不動産会社との媒介契約に基づいているので、公開される情報の範囲を制限できます。このような理由から、プライバシーを確保できるのは任意売却のメリットです。
追加費用や経費がかからない
不動産売却にかかる不動産会社への仲介手数料や抵当権抹消にかかる司法書士費用、滞納している固定資産税などの費用は売却した代金から支払うため、追加の費用負担がありません。ローン返済がままならない方のほとんどは、売却にかかる費用まで準備するのは難しいはず。
追加費用や経費に関しては、不動産会社が債権者である金融機関に事前に打診した上で認めてもらう流れになるので、安心して売却活動を進められます。
引っ越し費用や時期の相談ができる
引っ越し費用や引っ越し時期の相談ができるのも、任意売却の大きなメリット。家を売却した後の引っ越しには、賃貸契約に伴う費用や引っ越し業者に支払う費用など、少なくない金額が必要です。任意売却の場合は、交渉次第で売却代金から引っ越し費用も出してもらえる可能性があります。
また引っ越し時期に関しても、売主の希望が通る可能性があります。買い手と引き渡しの日にちを調整できれば、引き渡し日までに明け渡せば問題ありません。競売の場合は落札者が代金を納付した日にちが法的な退去期限になることを考えると、強制的に退去させられる心配はないでしょう。
リースバックでそのまま住み続けられる
リースバックを希望すれば、任意売却後も自宅に住み続けられます。リースバックとは、不動産会社や投資家に売却した後で、そちらと新たに賃貸契約を結んで家賃を支払うことで、自宅に住み続けられるというもの。競売では落札者が代金を納入するまでに退去しなければなりませんが、リースバックを利用できれば住み慣れた家に住み続けられるので、引っ越しの手間や費用、精神的負担を大きく減らせます。
任意売却のデメリット
メリットが多い任意売却ですが、次のようなデメリットもあります。
借入先や保証人などの同意が必要
任意売却をするには、ローン借入先の金融機関や連帯保証人、連帯債務者などの同意が必要になります。そもそも任意売却するかどうかの最終決定権は、借入先の金融機関にあります。中には任意売却に消極的な金融機関もあり、同意が得られないと任意売却の手続きを進められません。
住宅ローンに配偶者や親族などの連帯保証人がいるときには、連帯保証人の同意が必須です。また夫婦でペアローンを組んでいるときには、双方がそれぞれのローンに対して連帯債務を負います。この場合も、連帯債務者の同意が不可欠です。
連帯保証人や連帯債務者は、売却後も残債の支払い義務が残ります。主債務者と同じ義務を負うため、売却のための同意は必要となります。
時間的な制限がある
任意売却ではある程度スケジュールに売主の希望を反映できるものの、時間的な制限がある点も注意が必要です。任意売却ができるのは、競売の入札が始まるまでです。入札が始まってしまうと任意売却に間に合わなくなるため、はやめに金融機関や不動産会社に相談する必要があるでしょう。
通常、住宅ローンを延滞してから競売後の退去まで、約一年かかります。それまでの間に任意売却を成立させなければなりません。任意売却で買い手が見つかってからも、売買契約や引き渡しにある程度の時間がかかります。それらの時間を考慮して動かなければならないため、早め早めの準備を進めるのがおすすめです。
任意売却を扱う業者を自分で探さなければならない
任意売却を扱う不動産会社は自分で探し出さなければならない点も、任意売却のデメリットです。任意売却は不動産会社ならどこでもできるという訳ではありません。金融機関との交渉や役所とのやり取りなど、利害関係者との交渉の経験や専門知識が必須です。
自分で探す場合は「○○(お住まいの地域)任意売却」で検索するか、一般社団法人全国任意売却協会に相談するのがおすすめ。懇意にしている不動産会社があるときには、任意売却ができるか、又は任意売却できる同業者を紹介してもらえないか相談するのがいいでしょう。
販売活動に協力しなければならない
任意売却を選択した場合、スムーズに契約までこぎつけるためにはできるだけ販売活動に協力してください。任意売却は、競売の入札が開始されるまでの間の時間との勝負といえます。スムーズに購入希望者と契約を進めるためには、購入希望者の内見申し込みにできるだけ早く対応するのがポイント。
内見には所有者の協力が欠かせません。また契約に結び付けるために、室内を掃除したりきれいに保つなどの工夫も必要に。販売活動は不動産会社にアドバイスをもらいながら、極力協力できるようにしましょう。
任意売却の成功率
任意売却の成功率は、一般的に5~6割程度といわれています。競売の進み具合でいうと、競売申立て前で8~9割、競売申立て後で6割程度という統計も。任意売却を成功させるには、販売活動をできるだけ早く開始した上で、その期間を極力長く確保することがポイントといえるでしょう。
また任意売却の実績が豊富な不動産会社に依頼できるかも、成功率を左右する要素の一つです。迅速な対応が可能で交渉力が高い不動産会社に依頼できれば、任意売却の成功率はアップするでしょう。
任意売却の流れ
こちらでは任意売却の流れを簡単に紹介していきます。
ローンを借りている金融機関に相談
任意売却を進めるには、まずはローンを借りている金融機関に相談することから始めてください。ローン返済が延滞している事情を説明し、返済計画の見直しなどで返済を継続できる方法があるか聞いてみましょう。どうしても返済のめどが立たずに返済を継続できないときには、任意売却について相談します。
任意売却を相談するときには、あらかじめローン残債の金額と大体の売却見込額を把握しておくようにしましょう。売却見込額については、ネットでできる査定や近隣の中古物件の売却価格を調べる程度で問題ありません。
不動産会社に査定と売却の依頼
金融機関と相談したうえで任意売却することが決まったら、売却を助けてくれる不動産会社を探して査定を受けます。査定を申し込むときには、任意売却を希望していることやローン残債額などを隠さず伝えてください。また次のような内容も個別の面談で聞かれる可能性があります。
- ローン延滞の状況や理由(仕事状況・収支バランスなど)
- 家族構成や家族の状況(子どもの希望学区・介護の有無など)
- ローンの借入状況(残債額・期間・金利など)
- 税金滞納の有無
- 任意売却に関する希望(リースバック・親子間売買・売却希望時期など)
通常の不動産売却では、複数の不動産会社に査定や販売活動を依頼するのが一般的。しかし任意売却の場合は、金融機関との打ち合わせなどに対応してもらわなければならないので、専属専任媒介契約もしくは一社のみと契約する専任媒介契約を結びます。
金融機関に売却の許可を受ける
不動産会社から査定額が出たら、売り出し価格を金融機関に提示した上で、最終的な売却の許可を得ます。金融機関との交渉は、不動産会社が間に入るので安心してください。併せて売却にかかる費用や引っ越し代金の負担についても相談しておきましょう。
金融機関には諸費用や滞納している管理費、引っ越し代金などを売却代金から差し引けるよう、お願いしておきましょう。
売却活動の開始
金融機関から任意売却の許可が出て売り出し価格が決まったら、不動産会社は売却活動を開始します。通常の中古物件売買の仲介のように、物件情報をポータルサイトや自社のHPに掲載します。購入希望者が現れたときには、物件を見に来る内覧に対応してください。
ただし購入希望者から価格交渉があったときや、思うように売れずに値下げを検討するときには、事前に金融機関への相談が必要です。任意売却において売価設定の決定権はあくまでも金融機関にあることを忘れずに。
買主と売買契約を交わす
買主が決まったら、金融機関の許可を得て不動産売買契約を結びます。任意売却の契約書には、次のような特約を盛り込む場合が少なくありません。
| 債権者の同意条件 | 金融機関が売却と抵当権抹消に同意することを前提とし、同意が得られないときには契約は白紙撤回される |
| 契約不適合責任の免責 | 家の瑕疵について売主は修理や補修の責任を負わない |
| 手付金なしの一括決済 | トラブル防止のため契約時の手付金は受け取らず、引き渡し日に代金の全額をまとめて受け取る |
決済・引き渡しの実行
買主の住宅ローン手続きの進捗をみて、決済と引き渡しを実行します。売主はこの日までに引っ越しを済ませておきます。決済日には売却代金を受け取り、物件のカギを買主に渡します。その後司法書士によって、抵当権抹消登記や所有権移転登記の手続きを行います。
受け取った売却代金は、費用として取り決めた金額を手元に残して、残りはローン返済に充てるのが通常です。ここでローンが完済にならなかった場合は、残債の完済に向けて金融機関と新たにローン契約を結び直します。
残債の返済を継続する
売却後にローン残債があるときには、引き続き返済をしていきます。事前に無理のない範囲内で返済できるように交渉し、引っ越し先の新居で新しい生活をスタートさせた後も、延滞することなく残債の返済をしていきましょう。
任意売却ができないケース
任意売却は希望した人すべてができるという訳ではありません。こちらでは、任意売却ができないケースについて解説していきます。
売却しなくても完済が可能
不動産を売却しなくてもローンの完済が可能な方は、任意売却ができません。例えば他に売却できる不動産をお持ちの方や、まだローンの延滞が始まっていないという場合です。このようなケースでは、当該不動産を売却しなくても完済が可能だとみなされて、任意売却が認められないでしょう。
連帯保証人や共同名義人の同意が得られない
連帯保証人や連帯債務者、共同名義人の同意が得られない場合も、任意売却は不可能です。任意売却の場合、売却後も残債が残るケースが多く、連帯保証人や連帯債務者に求められる支払い義務は残ります。「同意が得られない」「連絡が取れない」といったことがないよう、気を付けてください。
また不動産が共有名義になっている場合、共有者全員の同意が不可欠です。借地権付きの建物を売却するときには、底地を所有する地主の許諾がないと任意売却を進めることができません。このように任意売却には、関係するすべての人の同意が必要になるという訳です。
税金・保険料を滞納して差し押さえを受けている
税金や保険料を滞納していて行政から差し押さえを受けているときには、差し押さえを解除しない限り任意売却ができません。とくに滞納額が高額だったり長期に及んだりしていると、不動産に「差し押さえ(差押え)」の登記がなされている場合が。
任意売却を成立させるためには、売却代金の一部を滞納分に充てるなどしたうえで、行政と交渉して差し押さえを解除してもらわなければなりません。
差し押えは家に来るのか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「差し押さえは家に来る?家に来る理由・対象財産・差し押さえ回避法を解説」
マンションの管理費用や修繕積立金を延滞している
マンション売却時には、管理費や修繕積立金の滞納がないかもチェックしてください。滞納分が多額になっていると、買主はその分を差し引いた金額でしか購入に応じないでしょう。結果的に売却価格を大幅に下げざるを得なくなり、金融機関からの合意が得られなくなる恐れがあります。
競売の開札日まで時間がない
競売の開札日が間近に迫っていて、時間的に任意売却が難しいという場合があります。任意売却ができるのは競売の開札期日の前日まで。任意売却を成立させるためには、金融機関との交渉や販売活動、買主のローン審査などに一定期間を要します。これを考えると、競売の開設期日まで1~2カ月を切っていると、任意売却はできなくなります。
違法建築や事故物件などで買い手がつかない
任意売却を希望していたとしても、様々な理由から買い手がつかないと売買は成立しません。とくに次のような物件は、不動産市場での需要が低いため、売却活動が思うように進まない可能性が高いです。
| 違法建築物 | 建ぺい率・容積率オーバー、再建築不可、構造基準違反など法律や条例に違反している建物 |
| 事故物件 | 自殺や孤独死など心理的瑕疵のある物件 |
| 立地条件 | 自然災害のリスクが高い地域や接道義務を満たしていない物件 |
所有している不動産が違法建築物であったとしてもただちに罰せられるという訳ではありません。また売買自体も認められています。しかし建て替えが必要だったりローン審査に通らないなどで、市場価値が著しく低くる傾向に。結果として買い手がつかない事態になりがちです。
債権者の同意が得られない
債権者である金融機関の同意が得られないと、任意売却はできません。同意が得られないのは主に次のような理由からです。
ローンを借りてから時間が経っていない
ローンを借りてから間もないと、債権者が任意売却に応じない可能性が高いです。そもそも住宅ローンを貸す側は、借りる人とその不動産を評価して融資するもの。簡単に言うと「信用して貸すからには約束通り返してね」というのが本音です。
しかしローンを借りてすぐに返済できなくなったとなると、債権者側の心証がかなり悪くなり、任意売却に応じてもらえなくなることも。あくまでも目安ですが、最低でも2年間は返済していないと、任意売却を認めてもらえない可能性が高いでしょう。
嘘をついてローンを借りた
ローン申し込み時に嘘をついていると、任意売却に応じてもらえない恐れがあります。ひと頃「ローン詐欺」は社会問題化し、多くの逮捕者を出しています。そのため金融機関でも、虚偽の申告については従来以上に厳しくなっています。例えば次のような行為が該当します。
- 架空の源泉徴収票などを作成して収入を多く申告する
- 預貯金通帳の偽造で手持ち資金を多く見せる
- 不動産会社とグルになって物件価格を吊り上げる
任意売却で残った残債はどうなる?
任意売却で売れたあと、金融機関に返済してもローンが残った場合、残債はどのように返していけばいいのでしょうか。
主な返済方法
任意売却後の残債は、3つの方法で返済していきます。基本的に任意売却が終わった後の残債については、新たにローンを組むということはありません。金融機関と相談したうえで、次の3つの方法から選びます。
- 一括で支払う
- 分割で支払う
- 支払える範囲で支払う
一括で支払う
どうにか残債分を工面して、もしくは親族に援助してもらうなどして一括で支払えるときには、残債分をすべて支払ってしまいましょう。月々の返済負担がなくなり、新しい場所で新しい生活を始められます。
分割で支払う
あらかじめ毎月返済に充てられる分が確保できるという方は、「毎月○○円を返済する」というように、金融機関と分割支払いについて取決めしましょう。とはいえ金融機関側も、無理のない範囲で返済してくれればいいというスタンスです。そのため、毎月5,000~3万円ほどの分割返済でまとまるケースが多いでしょう。
支払える範囲で返済する
とくに毎月いくらと決めずに、支払える範囲で返済するという方法もあります。任意売却が終了すると、債権者である金融機関からは「返済計画書」の提出を求められます。返済計画書には売却後の収入や支出などの生活状況を記入します。その計画書をもとに、毎月余力が出た分から支払うという方法です。
債権者と交渉する
任意売却後の残債の支払い方法については、債権者と交渉した上で決めていきます。次のような書類を準備した上で、毎月の返済額や返済方法はもちろん、一括返済が難しいことや一部免除して欲しいことなどの要望を提示します。
- 収入が分かる書類
- 家計管理表
- 資産一覧表
- 返済計画書
いくら無理のない範囲で返済すればいいというスタンスでも、合意した約束通りに支払わないときには、給料等の財産が差し押えられる可能性があります。もし何らかの事情で収入が得られずに、返済が難しいだけでなく日々の生活が回らないという方は、自己破産や生活保護の受給を検討した方がいいでしょう。
売却後の残債にかかる利息
任意売却後の残債にも利息がかかる可能性があります。とはいえ住宅ローンのように「年利○%」とあらかじめ決まっている訳ではありません。残債の金額や生活状況を考えながら、金融機関との交渉で決定していきます。
アパート経営の失敗でできた借金の解決方法は、こちらの記事を参考にしてください。
「アパート経営の失敗でできた借金が返せない…投資の現状と失敗する理由を踏まえ適切な対処方法を知ろう」
連帯保証人の扱い
任意売却後の残債については、連帯保証人にも支払いの義務が残ります。もしもローン契約者が返済不能となったときには、連帯保証人に督促がなされます。住宅ローンで設定される連帯保証人の場合は、催告の抗弁権(主債務者に先に請求して欲しいと要求する権利)や検索の抗弁権(主債務者に返済できるだけの財産があることを証明して保証人による返済を断る権利)がありません。
金融機関から残債の返済を請求されたときには、真っ先に肩代わりする義務が発生します。連帯保証人になってくれた家族や親族とのトラブルを避けるためにも、きちんと返済計画を固めたうえで残債を返済していきましょう。
連帯保証人は支払いを拒否できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「連帯保証人は支払い拒否できる?種類・状況ごとの対処法を知って差し押さえを回避しよう」
残債以外の借金もチェック
任意売却後の残債の支払い方法を検討するときには、残債以外の借金もチェックしてください。住宅ローン以外にいくつもの借金を抱えている方は、残債を無理のない支払方法にできたとしても、その他の借金返済の負担が家計を圧迫してしまう可能性があるため。
とくに返済するための資金を他からの借金で賄っているという場合は、すでに自転車操業状態に陥っています。利息の負担が重くなり、遅かれ早かれ返済が不可能になります。生活が立ち行かなくなるまえに、法的整理や分割交渉を視野に入れ、早めに専門家に相談しましょう。
借金がいくらからやばいか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「借金はいくらからやばい?少額でも危険な借金パターン、判断基準や対処法を解説」
住宅ローン・任意売却の残債が支払えないときには債務整理を検討
住宅ローンの残債や他の借金の支払いが難しいときには、債務整理を検討しましょう。債務整理には主に任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、それぞれ手続き方法や借金の減免割合が異なります。まずはどのような方法があるか知ることから始めましょう。
任意整理
任意整理とは、債権者と直接交渉して利息や遅延損害金の減額、借金の支払い期間を延ばしてもらう手続き。手続き期間中や手続き後に発生する予定の経過利息・将来利息のカットや、すでに発生している遅延損害金の減額を目指します。
借金が元金程度に減額された後は、原則3年、最長でも5年かけて完済を目指すので、毎月の返済負担を減らせる可能性があります。任意売却前であれば、住宅ローン以外の借金を任意整理することで、そのまま住宅ローンを支払い続けられる可能性があります。
住宅ローン以外に金利の高い借金を抱えている方は、ぜひ任意売却前に検討してみましょう。
任意整理で賃貸の契約や更新にどう影響するかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「任意整理で賃貸の更新・契約に影響は?影響を最小限にする方法とよくある疑問・質問」
個人再生
個人再生は、裁判所に申し立てて借金総額を大幅に減額できる手続きです。基本的にすべての借金が手続きの対象となりますが、個人再生の「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」を利用することで、住宅を手放さずに済む可能性があります。住宅ローン特則とは、次のような一定の条件を満たした場合に利用できる制度です。
- 本人の居住のための住宅であること
- 申立てする本人所有(又は共有名義)の住宅であること
- 住宅ローン以外に担保や抵当権がないこと
- 代位弁済から6カ月以内であること
住宅ローンに限って従来通り支払い続けることで、自宅に住みながら生活再建を目指せます。一方で任意売却を行った後でも、個人再生は可能です。住宅ローン特則は利用できないものの、その他の借金が総額に応じて1/5~1/10に減額できます。
ただし個人再生を利用するには、借金総額が100万円以上5,000万円以下と決められています。また減額後の返済を継続するために安定した収入が必要に。また他の方法と比べて費用や時間がかかる傾向にあるため、専門家に相談したうえで慎重に判断してください。
個人再生で住宅ローンがどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生で住宅ローンはどうなる?特則適用の条件・巻き戻し・手続き後のローンについて」
自己破産
自己破産は裁判所に申し立てて、返済不能と認めてもらうことで、基本的にすべての借金の返済義務を免除(免責)できる手続き。ただし換価して返済に充てられる財産があるときには、財産が処分されます。そのため自宅は任意売却や競売を行った後、必要最低限の財産を残して現金化していきます。
自宅を所有した状態で自己破産する場合は、財産の調査・換価・管理のために破産管財人が選任される管財事件で手続きします。すでに自宅を処分した後は、手続きに費用や時間がかからない同時廃止で手続きできます。自己破産には、すべての借金の返済から解放されるという大きなメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
- 一定金額の財産が処分される
- 理由によっては免責されない
- 手続き期間中は職業・資格制限がある
- ブラックリストに載る
- 官報に掲載される
自己破産前後の引っ越しに関する注意点は、こちらの記事を参考にしてください。
「自己破産中の引っ越しは許可が必要?破産手続き中や自己破産前後に引っ越す際の注意点を解説」
弁護士に相談
住宅ローンや任意売却後の残債、その他の借金が支払えずに債務整理を検討している方は、なるべく早めに債務整理に強い弁護士に相談してください。任意売却せずに自宅を残したまま借金問題を解決できるかもしれません。さらに弁護士に依頼すると、次のようなメリットがあります。
- 自分に一番適した借金問題解決方法が分かる
- 個々の手続きのデメリットや不安な点について教えてもらえる
- 弁護士から債権者に送付する「受任通知」により、取り立てや督促をストップできる
- 債権者との直接交渉を任せられる
- 裁判手続きや書類の作成を依頼できる
- 債務整理が成功する確率が高まる
- 弁護士がいる場合にのみ利用できる制度(少額管財・即日面接制度)がある
まとめ
任意売却はローン返済を継続できなくなった場合でも、より市場価格に近い値段で住宅を売却できる制度です。債権者や連帯保証人の同意が必要で時間的制限があり、販売活動に協力しなければならないというデメリットがありながら、引っ越しについての相談ができ追加で費用がかからない、プライバシーが守られるといったメリットも。
ただし競売の開札まで日にちがない場合や債権者の同意が得られない場合、税金や管理料などの延滞が多額の場合には任意売却ができない可能性が高いです。任意売却後の残債は、債権者と交渉した上で無理のない範囲で返済を続けていきましょう。
任意売却後の残債やその他の借金が返済できなくなったときには、弁護士に相談したうえで債務整理を検討してください。売却後であれば自宅を手放さずに済む方法が見つかるかもしれません。まずはお近くで借金問題や債務整理に強い弁護士を探して、無料相談を利用してどのような方法があるかアドバイスをもらいましょう。