家族間の借金で借用書は必要?必要な理由とリスクを知って、正しい内容で借用書を作成しよう

家族間の借金で借用書は必要?必要な理由とリスクを知って、正しい内容で借用書を作成しよう
家族間の借金で借用書は必要?必要な理由とリスクを知って、正しい内容で借用書を作成しよう
  • 「親からお金を借りるのに書面を交わさなくても大丈夫?」
  • 「家族間で借用書を作成するときの注意点が知りたい」

家族間で金銭の貸し借りをする場合、「家族だからいいよね」といった理由で借用書などの書面を作成しない方が少なくありません。しかし税務上、借用書を作成しないと様々なリスクが生じる恐れがあります。また借用書に入れるべき項目もいくつかある点に注意してください。

こちらの記事では、家族間の借金で借用書が必要な理由や作成時の注意点、盛り込むべき内容について解説していきます。さらにケース別の家族間の借金に関する注意点や、家族間の借金が返済できないときの対処法も紹介。これから家族からお金を借りようかと思っている方、すでにお金を貸している方などは参考にしてください。

 

 無料相談

借金のお悩みを無料で弁護士に相談できます!

当サイトでは債務整理や借金問題に強い弁護士のみを掲載! 無料相談・土日祝日・オンライン面談可能など、あなたの希望に合った弁護士事務所を探せます。まずはお気軽にご相談ください。

家族間の借金で借用書は必要?

家族間でお金の貸し借りをしたとき、「借用書までは必要ないのでは?」という方が多いのではないでしょうか。しかし次のような理由で、家族間でも借用書を作成しておいた方がいい場合があります。

返済の意思を示すために必要

誰かからお金を借りるときには、相手が家族でもそうでなくても返済の意思を示すために借用書は必要です。借用書とは借りた人が準備する書類で、借りたお金を返す意思を証明するためのもの。貸した人と借りた人の双方が「このお金は返済の必要がある」と共通認識を持つために、借用書は必要です。

よくある親子間の金銭トラブルについて詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。

「親子間の金銭トラブル|よくある事例と解決のポイントを理解し、状況に応じた解決策を」

贈与扱いされないために必要

借用書は贈与扱いされないためにも必要な書類です。借用書を作成せずに家族からお金を借りると、税務署の調査が入ったときに「贈与」を疑われる可能性があります。贈与だとみなされると、贈与税がかかってしまう恐れが。

贈与税はその年の1月1日~12月31日までの一年間に贈与された財産の合計金額に加算される税金です。年間110万円の基礎控除があり、110万円以下なら原則として贈与税がかかりません。110万円以上の贈与があったと判断された場合は、金額に応じた税率となります。こちらは親から子、兄弟間、夫婦間の贈与で用いられる、一般贈与財産用の税額表です。

基礎控除後の課税金額 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

言った言わないのトラブルを防ぐために必要

家族間でも金銭トラブルは発生します。後になって「あれはもらったお金だ」「そんな大金借りていない」など、言った言わないのトラブルを防ぐためにも、借用書は必須です。借用書がないと貸した相手に言い逃れされてしまったり、水掛け論になってしまうことも。しかし借用書を残しておけば、双方の解釈のズレが生じる心配がありません。

またトラブルが裁判にまで発展したときも、借用書は証拠になります。家族間の貸し借りでも、家庭裁判所での調停申し立てや貸金返済請求訴訟を申立てることは可能です。

相手がお金を返してくれず裁判で回収を目指す事態になった場合には、裁判所に対してお金を貸した事実を証明しなければなりません。このとき、借主の署名や捺印が入った借用書は、金銭の貸し借りの事実を認める証拠となり得ます。

貸した相手に返済のプレッシャーを与えるために必要

貸した相手に返済のプレッシャーを与える意味でも、借用書の作成は有効です。紙に書いて署名捺印する借用書の作成という行為そのものが、「借用書を作った以上、貰ったと言い逃れできない」「約束通り返済しなければ」と貸した相手に心理的責任感を与えます。

結果的に家族間での金銭トラブルを見せんに防ぐ効果があります。親しい間柄だからこそ、互いの安心のために借用書を作成するようにしましょう。

友人からの借金を返さないとどうなるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「友人から借金して返さないとどうなる?踏み倒すリスクと返済できないときの対処法、債務整理時の注意点とは」

少額の場合は必ずしも必要ない

ただし借りるお金が数千円程度だったり、給料が入れば全額返済できるときには、必ずしも借用書を作成する必要はありません。家族間で借用書の作成が必要になるのは、次のような場合です。

  • 一度で返済できない高額な貸し借りをするとき
  • 返済期間が長期間になるとき
  • 相続に関わる可能性があるとき
  • 複雑な条件があるとき

借金の返済額がいくらからやばいか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「借金の返済額、いくらからやばい?危険な借金の判断基準と自力返済・債務整理する場合のポイント」

家族間の借金で作成する借用書の内容

家族間の借金で借用書を作成するときには、次に紹介する内容にするといいでしょう。

借用書の扱い

借用書は借主が単独で作成する書類で、署名や捺印も借主のみでOKです。書面ではお金の貸し借りの事実を認めた上で、返済することを約束する内容をまとめます。基本的に借主が原本部を作成して、お金を借りるときに貸主に渡し、その後は貸主が書面を保管します。

借用書と金銭消費貸借契約書の違い

お金の貸し借りのことを法律上は「消費貸借契約」といいます。借用書と似た目的の書面に「金銭消費貸借契約書」がありますが、それぞれの書面に違いは以下の通りです。

項目 借用書 金銭消費貸借契約書
作成者(名義人) 借主 貸主・借主
書面の内容
  • 借入金額
  • 借用した事実
  • 返済の約束
  • 借主の署名捺印など
  • 借入金額
  • 利息
  • 返済方法
  • 返済期限
  • その他の詳細な契約条件
  • 貸主・借主の署名捺印
法的効力 借主が一方的に貸主に対して義務を負う 貸主と借主の双方が相手に対して義務を負う

借用書は借主が一方的に貸主に対して義務を負うのに対して、金銭消費貸借契約書は貸主と借主の両方が相手に対して義務を負う点で異なります。そのため金銭消費貸借契約書では借主と貸主の両方の署名捺印が必要で、詳細な契約条件が記載されます。

記載する項目

借用書には次のような項目を記載します。いずれも貸したものと証明するのに必要な項目なので、抜けもれがないようにしましょう。

表題 「借用書」と記載する

「借用証書」や「念書」でもOK

貸主の名前 お金を貸す人の氏名を記載する
借りる金額と日時 金額と借りた日にちを明確に記載する

実際にお金が貸主から借主の手元に渡った日付を記載する

借用事実 「上記金額を確かに借り受け、受領いたしました」という一文をいれる
返済期日と返済方法 「令和〇年〇月〇日」と、元金を返済する具体的な期日を明記する

「出世払い」や「余裕があるとき」といった曖昧な表現は避ける

返済方法 「貸主が指定する銀行口座への振込」や「現金手渡し」など、具体的な返済方法を記載する
利息 利息制限法を参考に決める利息を取る場合は、その利率を明記する
返済が遅れた場合の遅延損害金 返済が遅れた場合のペナルティ(遅延損害金)について記載する

遅延損害金の上限も利息制限法を参考にする

借用書を作成した日 書面を作成した日時を記載する
借主の氏名・住所 お金を借りる人の氏名と住所を書く

必ず借主が自筆で署名する

借主の捺印 捺印は認印でもOKだが実印であればより証明力が高まる

その他入れておくと安心な項目

上記の項目だけでも借用書は法的に有効ですが、次のような項目を入れることでより返済に関して安心できます。

期限の利益喪失条項 分割払いによる返済のときに、「約束通りの返済ができないときには、残りの借金を一括で返済しなければならない」というルール
連帯保証人について 借主が返済できないときに、代わりの返済の義務を負う人を決めておく

その人の署名・捺印をもらっておく

裁判の合意管轄 万が一裁判になったときに「貸主の住所地を管轄する裁判所で行う」といった内容を決めておく

借用書のテンプレート

こちらでは借用書作成時のテンプレートを紹介します。名前や金額、日にちや利率などを決めた内容で変更すれば、法的に有効な借用書になります。

借用書 

○○ ○○(貸主の氏名)殿

借用金 金◯◯◯◯円 也

  1. 上記の金額を本日たしかに借受けし、受領いたしました。
  2. 利息は年◯%とし、毎月◯◯日限り、その月分を貴殿の指定口座に銀行振り込みにより支払います。
  3. 元金を◯回に分割し、毎月◯◯日限り、その月分を貴殿の指定口座に銀行振り込みにより支払います。
  4. 遅延損害金は年◯%とします。
  5. 借主について、次の事由の一つでも生じた場合には、借主は期限の利益を失い、直ちに残金を一括で支払います。

(1) 利息の支払いを一度でも怠ったとき。

(2) 民事再生手続きもしくは破産の申立があったとき。

令和  ○年 ○月 ○日

借主  住所

氏名              印

借用書作成時の注意点

借用書を作成する場合、次のような点に注意してください。

手書きでもOK

家族間の借用書は手書きで作成しても問題ありません。パソコンでの文書作成が苦手な方は、用紙に手書きで前出の必要項目を記載して、借用書としましょう。パソコンで書面を作成する場合でも、署名は直筆で行ってください。

手書きによる借用書を作成するときは、鉛筆やシャープペンシルといった消せる筆記用具を使わないことがポイント。消しゴムなどで消せる筆記用具を使うと、書面の内容を改ざんされる恐れがあるため注意してください。

公正証書にする必要はない

家族間で借用書を作成する場合、借用書を公正証書にする必要まではないと考えます。公正証書とは、公証人が依頼人の求めに応じて公務員である公証人が、その権限に基づいて作成する公文書のこと。遺言書や離婚時の養育費、慰謝料の支払いを約束する文書、金銭消費貸借契約書などを公正証書で作成すると、裁判の判決度同様の強制力を持ちます(強制執行認諾文言付きの場合)。

ただし家族間のお金の貸し借りでは、公正証書にまでする必要はないでしょう。貸した相手に書面を破棄される恐れがある場合は、借用書が存在していることを証明するための「確定日付」の手続きがおすすめ。確定日付とはその日にその文書が存在していたことを証明するもの。1通700円で手続きできるので、費用負担の心配もありません。

漢数字を使用する

借用書に金額を記入するときには、数字や一、二などの漢数字ではなく、壱、弐といった難しい方の漢数字(大字)を使うようにしましょう。大字を使うのは、書面の改ざんを防ぐためです。こちらは大字の一覧です。

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 10 20 30 100 1000 10000
弐拾 参拾 佰・陌 仟・阡

返済期日を設定する

家族間で借用書を作成するときには、必ず返済期日を設定してください。返済期日がないといつまでに返せばいいか明確でないため、贈与を疑われる恐れがあります。返済期日は贈与ではなく借金であることを証明する重要な要素。忘れずに記載するようにしてください。

利息は必要

返済期日と同様に、利息の設定も必要です。利息を設定せずに家族にお金を貸すと、本来取れるはずだった利息分が贈与とみなされる可能性があるからです。家族間の借金では、返済が遅れたときに発生する遅延損害金までは記載する必要がありませんが、贈与を疑われないために利息は設定してください。

利息制限法に基づく利息

家族間の借金で利息を設定するときには、利息制限法に基づく金利を参考にするといいでしょう。利息制限法とは、お金を貸し付けるときに設定する金利の上限を定めている法律。利息制限法では貸付金額別に以下のような上限金利を設定しています。

貸付金額(元本) 上限金利
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

ただしこちらはあくまでも上限の金利です。この金利の範囲内で返す側の負担にならないように設定してください。

法律の上限を超える貸し付けは無効

家族間の借金で金利を設定する場合、前項で紹介した利息制限法の上限金利を超える利息を設定してしまうと、金利の約束そのものが無効になるので気を付けてください。例えば家族に50万円を貸して、金利を20%に設定した場合などです。

家族間であれば無効になるだけで済みますが、消費者金融などの貸金業者が同様のことをすると、出資法違反として刑事罰の対象に。相手が個人の場合だけでなく、家族が経営する法人が相手でも利息制限法による規制の対象です。

返済方法を詳細に

家族間の借用書には、返済方法を詳細に記載してください。例えば銀行振込などの支払い方法や、口座番号などの情報です。親子であれば手渡しでも問題ないのでは?と思われるかもしれませんが、これは返済の記録を残すために必要です。贈与と疑われないためにも、記録に残る銀行振込や電子マネーによる返済を選択して、借用書に詳細を記載しましょう。

借金の分割交渉の方法について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「借金の分割交渉のやり方とは?成功させるポイントと自力交渉が難しいときの対処法」

収入印紙を忘れずに

借りる金額によっては、収入印紙を忘れずに貼付してください。必ずしも必要ないという意見もありますが、借用書に返済方法がかかれていない、収入印紙が貼られていない、利息を設定していないなどの不備がいくつもあると、法的な効力を失う可能性も。

税務署の調査が入ったときにそのような法的効力のない書面を見せても、金銭の貸し借りと認められない恐れがあります。収入印紙はコンビニや郵便局などで購入できるので、1万円以上のお金を借りるときには事前に購入して借用書に貼付しておきましょう。こちらは収入税額の一覧表です。

借用金額 収入印紙代
1万円~10万円 200円
10万円~50万円 400円
50万円~100万円 1千円
100万円~500万円 2千円
500万円~1000万円 1万円

テンプレートの利用が便利

借用書を一から作成するのが難しいという方は、テンプレートの利用が便利です。PCなどで「借用書 テンプレート」と検索すると無料で利用できる雛形が出てきます。上で紹介した項目が盛り込まれているテンプレートを探して、活用してみましょう。ダウンロード後は金額や日付などを自分で編集してプリントアウトすればOKです。

完済まで原本は保管する

借用書の原本は完済されるまで保管しておいてください。保管するのはお金を貸した側です。もし紛失してしまうと、貸し借りの事実を証明したくてもできなくなります。なお借主には借用書のコピーを渡しておくといいでしょう。

家族間の借金に関する【ケース別】注意点

家族間であっても、むしろ家族間であるからこそ、様々な金銭トラブルが生じる恐れがあります。こちらでは家族間の借金に関するケース別の注意点や解決方法について解説してきます。

元金すら返済していないケース

たとえ借用書を作成していたとしても、元本すら返済していないと借金であることを証明するのは難しくなります。とくに親や祖父母から借りたお金を「出世払い」「余裕が出たら返す」などで定期的に返済していないと、お金の貸し借りとは認められずに贈与とみなされる可能性が。

税務署は相続税や贈与税の調査の一環で、申告漏れが疑われる場合など正当な理由があるときに個人口座の調査を行います。他にも事業資金と疑われる大金を個人口座に振り込んだ場合も同様です。調査の結果、振り込まれたお金が贈与と判断されれば、金額に応じた贈与税の支払いを命じられます。

金額が大きく返済が難しいケース

借りた金額が大きくて借りた人の収入では返済が難しいようなケースだと、贈与を前提としてみなされてもおかしくありません。例えば年収300万の子どもに対して、親が住宅購入費用や事業資金として3000万円を貸したような場合です。

たとえ借用書を作成していたとしても、年収を見る限り3000万円の借金返済は不可能といえます。このような場合は借金とみなされずに贈与と判断される可能性があるので気を付けましょう。

個人融資の注意点や対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「個人融資の注意点とは?SNSで利用すべきでない8の理由とトラブルにあったときの対処法」

保証人や連帯債務者がいる場合

複数の家族が共同でお金を借りる場合や、連帯保証人を付ける場合には、連帯債務者や連帯保証人についても借用書に記載した上で、彼らの署名捺印をもらってください。これは連帯債務者や連帯保証人に対して貸主が返済を請求する場合に必要になります。

なお連帯債務者や連帯保証人など複数人が関わる取引の場合、借用書ではなく金銭消費貸借契約書を作成するのが望ましいです。

連帯保証人は支払いを拒否できるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「連帯保証人は支払い拒否できる?種類・状況ごとの対処法を知って差し押さえを回避しよう」

法的に回収する方法

借用書を作成したにもかかわらず家族が返済してくれないときには、次のような法的に回収する方法があります。

民事調停
  • 相手の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立て、借金の返済方法について話し合いによる解決を目指す手続き
  • 費用が安く弁護士を付けずに手続きできるが、相手が裁判所に来ないと調停ができない
  • 相手が払わないといって話し合いが進まないときには調停は不成立に終わる
  • 話し合いがまとまると裁判の判決と同じ効力を持つ「調停調書」が作成され、強制執行が可能になる
支払督促
  • 相手の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立て、裁判所を通じて返済を求める手続き
  • 書類審査のみで迅速に申し立てができ、相手方に支払督促が送達される
  • 2週間以内に相手からの異議申し立てがなければ、強制執行が可能になる
民事訴訟
  • 自分または相手方の住所地を管轄する裁判所(140万円以下の場合:簡易裁判所・140万円超の場合:地方裁判所)に申し立てる
  • 弁護士に依頼するのが一般的で、判決が出るまで時間がかかることも
  • 話し合いで解決できそうなときには裁判の途中で和解が可能

借用書がないお金を返してもらうには?

借用書を交わさずに家族にお金を貸して返して欲しいという場合でも、諦める必要はありません。金銭の貸し借りにおいては、たとえ借用書や金銭消費貸借契約書などの書面がなかったとしても相手の返済義務があります。まずは貸したお金を支払うように説得してみてください。

ただし相手が「貰ったものだ」「返すとは言っていない」と拒否したときには、貸している側がお金を貸した事実や相手が返すと約束した事実について証明していかなければなりません。具体的には貸したお金を振り込んだ銀行の取引履歴や、振込明細書などです。とはいえ相手が拒否している状態で、借用書がないお金を返してもらおうとするのはハードルが高めです。早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします

家族間の借金が支払えないときには…

家族間の借金を返済できないときには、どのような対処法が取れるのでしょうか。返済できない借金問題の解決方法には、債務整理という方法があります。債権者との交渉や裁判所手続きで、借金の減免を目指す手続きです。こちらでは家族間の借金を債務整理する場合のポイントや注意点を解説していきます。

任意整理は意味がない

債務整理には「任意整理」という方法がありますが、家族間の借金を手続きしてもあまり意味がありません。そもそも任意整理は、お金を貸している債権者と直接交渉して、手続き後の利息や遅延損害金を減額する手続き。金利の高い消費者金融のカードローンやクレジットカードのキャッシングなどに有効です。

しかし家族間の借金では、そもそも遅延損害金を設定していなかったり、利息を設定していたとしても低めの年利で取り決めしているケースが多いです。このような借金では、債務整理しても減額効果は期待できません。任意整理をするのであれば、家族間の借金を除いた金利の高い貸金業者からの借金を手続きするようにしましょう。

任意整理しても意味がないケースについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「任意整理をしても意味がない?効果が得られない7つのケースとその他の対処法とは」

他の借金を債務整理する

家族間の借金の他にも貸金業者からの借金を抱えている方は、他の借金を含めて債務整理を検討してください。債務整理には任意整理の他に、個人再生と自己破産があります。それぞれの手続き方法やメリッ・デメリットは以下の通りです。

債務整理の種類 特徴・減免割合
任意整理
  • 債権者と直接交渉し、将来利息や遅延損害金の減額を求める手続き
  • 残った借金は3~5年かけて完済を目指す
  • 交渉する債権者を選べる
  • 安定した収入がないと合意が難しい
  • 費用や時間がかからず、周囲にも知られる可能性が低い
個人再生
  • 民事再生法に基づき、裁判所に申し立てて借金を大幅に減額(1/5~1/10)できる手続き
  • 再生計画に基づいて原則3年、最長でも5年で返済するのが原則
  • 住宅ローンを返済し続けることでマイホームを手放さずに済む「住宅ローン督促」がある
  • 減額割合が多い分、任意整理よりも収入や債権者の同意に関する条件が厳しい
  • 減額された分は連帯保証人に請求される
自己破産
  • 借金が返済不能状態であることを裁判所に認めてもらうことで、全ての借金の返済義務を免除(免責)できる手続き
  • 免責が認められない「免責不許可事由」がある
  • 一定期間職業や資格、移動などに制限がある
  • 一定上の財産は処分されて債権者への返済に充てられる
  • 破産管財人が選任される管財事件になると、費用と時間がかかる
  • 連帯保証人に借金の返済義務が移る

任意整理は手続きする対象を選べるので家族間の借金を除外できますが、個人再生と自己破産は原則としてすべての借金が対象です。家族間の借金に連帯保証人がいるときは、減免された借金の返済義務が連帯保証人に移る点に注意してください。

債務整理が及ぼす影響について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「債務整理が及ぼす就職・転職・仕事への影響とは?会社に知られないための対処方法も解説」

取り立てがストップしない

通常、弁護士に債務整理を依頼すると、債権者宛てに弁護士から「受任通知」が送付されます。貸金業者は貸金業法によって、受任通知到着後の督促や取り立てが禁止されています。そのため貸金業者からの取り立ては弁護士依頼後にストップできるというメリットがあります。

しかし相手が個人の場合、貸金業法の規制対象外となるため、弁護士に依頼した後も家族からの取り立てをストップできない可能性が高いです。

手続依頼後は返済しない

債務整理の手続きを弁護士に依頼した後は、家族からの借金の返済はストップしてください。とくに裁判所手続きを行う個人再生や自己破産では全ての債権者を平等に扱わなければならないとされているため、たとえ相手が家族でも特定の債権者にだけ返済してしまうと、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」とみなされて、債務整理が認められなくなります。

貸金業者からの借金は解決したいが家族からの借金返済はこれまで通り続けたいという方は、任意整理を選択するか手続き後に任意で返済を再開するようにしましょう。

偏頗弁済について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。

「偏頗弁済はバレる?個人再生・自己破産でやりがちな例とバレた後で起こること、回避術とは」

債務整理を検討したら、弁護士に相談

借金返済ができずに債務整理を検討している方は、なるべく早めに弁護士などの専門家に相談してください。借金の種類や金額、収入や財産の有無によって最適な債務整理方法が異なります。適した方法を選択しないと、手続きが失敗したり思うような減免効果が得られなくなります。

その点、債務整理に詳しい弁護士に相談すると、自分に最も合った方法が分かります。そのまま弁護士に手続きを依頼できれば、次のようなメリットが得られるでしょう。

  • 受任通知の送付により債権者からの取り立てが止まる
  • 手続に必要な書類の作成や収集を任せられる
  • 債権者との交渉や裁判手続きを任せられる
  • 生活再建のためのアドバイスが受けられる
  • 債務整理の成功率が高まる
  • 弁護士依頼時にのみ利用できる制度が使える

お住まいの地域で、債務整理に強い弁護士を見つける>>

まとめ

家族間の借金であっても、返済の意思を示すためや贈与とみなされないために借用書を作成した方がいいでしょう。借用書では法律に設定した利息や支払い方法について明記し、借りた人の氏名は自筆で記載して捺印も忘れずに。作成した借用書は貸主が、完済までの期間保管しておきます。

家族間の金銭トラブルは意外に多く、近い関係だからこそこじれてしまう可能性も。元本すら返済されていないケースや収入と比較して金額が大きすぎるケースは、たとえ借用書を作成していたとしても、贈与と判断される可能性があると覚えておきましょう。

家族の借金だけでなく貸金業者からの借金返済も難しいときには、弁護士に相談したうえで債務整理を検討してください。相談するのが早いほど選択肢が増えます。また手続き後の生活再建もスムーズに進みます。お近くの弁護士事務所の無料相談を利用して、どのような方法が取れるかアドバイスをもらいましょう。

債務整理の相談なら専門家にお任せください!

  • 借金で首が回らない
  • 人生を一からやり直したい
  • 自己破産のメリット、デメリットが知りたい
人生はいつからでもやり直せます。弁護士はあなたの味方です。

借金解決の基礎知識カテゴリの最新記事

PAGE TOP