- 「借金額300万円だとどの債務整理が適している?」
- 「借金の金額以外の条件が知りたい」
債務整理をしたいと思っていても、自分が抱えている借金額だとどの方法が最も適しているか分からないという方もいるのではないでしょうか?債務整理は主に3つの方法があり、それぞれに金額上の条件や適した借金額が異なります。
こちらの記事では、債務整理した方がいい金額や種類ごとの上限・下限・目安金額について詳しく解説。金額以外に債務整理した方がいいタイミングや、手続き上の条件も紹介していきます。債務整理を検討しているが、どの方法が一番自分に合っているか知りたいという方は、参考にしましょう。
債務整理した方がいい借金金額について
まずは債務整理した方がいい借金の金額について見ていきましょう。また金額以外に適したタイミングについても紹介するので、そもそも債務整理すべきか悩んでいる方は検討の材料にしましょう。
債務整理の種類は主に3つ
債務整理の種類は、任意整理・個人再生・自己破産3種類です。それぞれに借金の減免割合や、手続き方法が次のように異なります。
債務整理の種類 | 借金の減免割合 | 手続き方法 |
---|---|---|
任意整理 | 経過利息・将来利息・遅延損害金の減額
通常3年(最長5年)の分割払い |
債権者と直接交渉することで、減額や返済期間の延長などの取り決めをする |
個人再生 | 100万円~借金総額の1/10まで | 裁判所に申し立て、返済計画を記した再生計画案が認められれば再生計画の認可が決定
小規模個人再生と給与所得者等再生の二種類がある |
自己破産 | 免責(全額免除) | 裁判所に申し立て、返済不能状態だと認めてもらうことで借金の返済義務を免責してもらう手続き
財産の有無や借金理由により、同時破産と管財事件(少額管財)の二種類がある |
任意整理と個人再生は、流れで決まった金額や条件をもとに、手続き後も返済が続きます。個人再生と自己破産は、裁判所に申し立てる必要があり、手続きが複雑です。任意整理も債権者と直接交渉の必要があるため、債務整理をする場合は、弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
債務整理したらどうなるかについては、こちらの記事を参考にしてください。
「債務整理したらどうなる?デメリットや影響を把握して、後悔しない借金解決方法を!」
金額の条件は決まっている訳でない
債務整理をする条件として、法律上「借金額はいくらから」という決まりはありません。借金額が一定の影響を与えるものの、「いくら以上ならこの債務整理」などと機械的に決まっている訳ではないので、したいと思ったら法律的にはどの債務整理方法でも可能です。
目安は「総量規制」
毎月キチンと返済でき、完済の見通しが立っていれば、いくらの借金があっても債務整理する必要はありません。債務整理が必要かの目安は「総量規制」で判断が可能です。総量規制とは貸金業法で定められている、債務者に貸付ができる金額の上限のこと。
貸金業法では、個人が借金できる金額の総額は、年収の1/3までとしています。年収300万の人なら借金できるのは100万円まで、年収600万円の人なら200万円までという具合です。総量規制を超えると、クレジットカード会社や消費者金融など貸金業者からの借金はできなくなります。
総量規制の影響を受けない銀行などからは借り入れが可能な場合がありますが、借金が年収の1/3を超えるようになると、借金返済が難しく破綻のリスクが高いといえます。つまり債務整理を検討した方がいいタイミングという訳です。
金額以外のタイミング
借金の金額以外にも、債務整理を検討した方がいいタイミングがあります。
収入が減った
収入が減ったときは、債務整理を検討する時期かもしれません。借金を完済するには継続して安定した収入が欠かせません。会社を辞めたり病気などで収入が途絶えたりすると、当然のことながら毎月の返済に影響が出ます。十分な蓄えがあればそこから返済も可能ですが、借金がある方はそのような余裕がないことも多いはず。
再就職を目指す場合でも、就職先が決まり最初の給料を手にできるまでも、借金返済は待ったなしです。継続的に収入が減りそうな方や手持ちの資金に余裕がない方、再就職までに時間がかかりそうな方は、債務整理を検討することをおすすめします。
病気で借金返済ができないという方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「病気で借金が返せない!今すぐやるべきことから借金問題解決までを一挙解説」
返済が苦しいと感じた
借金総額が総量規制の範囲内であるものの、毎月の返済が苦しいと感じたら、債務整理をすべきタイミングといえます。借金の金額もさることながら、次のような状態だと破綻するのは時間の問題だからです。
- 返済のほとんどが利息にあてられている
- 3社以上から借金している
- 借金返済のための借入を繰り返している
リボ払いなど利息の高い借金の場合、毎月の返済額は少額で済むものの、そのほとんどが利息にあてられるということがよくあります。いつまでたっても元金が減らず、永遠に利息だけを払い続けなければならない状態です。追加でリボ払いを利用してしまうとさらに元金は増え、ますます完済は遠のきます。
3社以上から借金している方や、借金を返すために借金しているという方は、すでに多重債務状態です。返済が追い付かず利息だけが膨れ上がるため、状況は悪化する一方。このような状態により、「返済するのが苦しい」と感じたら、債務整理を検討すべきです。
リボ払いの借金が減らず苦しんでいる方は、こちらの記事を参考にして残金を減らしていきましょう。
「リボ払いの借金が減らない!仕組みと原因を知って残金を効率的に減らしていこう」
新規借入や追加の融資を断られた
新規借り入れや追加融資を断られたときも、債務整理を検討するタイミングです。金融機関から借り入れを断られるということは、次のいずれかに該当している可能性が高いため。
- 総量規制を超えている
- 信用情報機関に遅延情報が事故情報として登録されている
- 金融機関独自のデータ(社内ブラック)に遅延情報が記録されている
新たに借入ができないと返済が続けられない状態の方は、闇金のような違法業者に手を出してしまう前に、なるべく早めに弁護士に債務整理について相談しましょう。
借金の相談をどこにすべきか悩んでいる方は、こちらの記事を参考にしてください。
「借金の相談はどこがいい?無料で相談ができる窓口を紹介します」
債務整理を検討しだした
パソコンやスマホで債務整理について調べ始めたという人は、債務整理するタイミングといえます。その理由として、借金を普通に返済できている人は「債務整理しよう」とは思わないため。少しくらい返済がきつくても、何とかお金を工面して解決できる人がほとんどです。
しかし債務整理について調べるまでいかなくても、頭をよぎったということは、すでに様々な方法を尽くし、どうにも乗り切ることができないという状況にある可能性が高いです。そのタイミングを逸して返済をのばし続けていても、問題を先送りにしているだけ。借金問題は早めに対処するのがポイント。債務整理について考えだしたときには、弁護士などの専門家に相談してください。
債務整理は女性でもできるか心配な方は、こちらの記事を参考にしてください。
「債務整理は女性でもできる?種類ごとに向いている人と女性ならではの注意点、相談先を解説」
【債務整理の種類別】金額の目安と下限・上限金額
法的には借金総額がいくらからでも債務整理が可能です。しかしそれぞれの手続き方法によって、メリットを受けられる下限金額や上限金額があります。こちらでは、目安の借金額とともに解説していきます。
【任意整理】
任意整理は上で説明した通り、直接債権者と交渉することで、利息のカットや返済期間の延長を求める手続き。法的な規制はないものの、返済が難しくなってきた初期のタイミングが適しています。あくまでも元金以上の減額はできないため、借金総額が多い人にはあまり効果がありません。
下限金額
任意整理の下限金額は、弁護士などの専門家に依頼する費用に応じて変わってきます。弁護士に任意整理を依頼する場合、債権者1社当たりの費用が3万円~7万円ほどかかります。1社当たりの借金額がこの費用よりも少ない場合、手続きしてもむしろマイナスになってしまうため、金銭的に見ると任意整理する効果はありません。
また一社当たりの金額が少額すぎると、「普通に返済できるのでは?」と任意整理に応じてもらえないケースも。弁護士費用にもよりますが、1社当たりの債務額10万円が任意整理するべきかの下限金額といえるでしょう。
上限金額
任意整理の上限金額は、手続き後の返済額を支払う能力あるかによって変わります。任意整理は借金の利息や遅延損害金をカットした金額を、基本は3年(36回)、最長でも5年(60回)かけて支払っていきます。そのため、債務額÷36もしくは、債務額÷60で算出できる毎月の返済額が支払えるギリギリの金額が上限額となる訳です。
任意整理は他の債務整理に比べて、費用がかからずデメリットが少ない手続きです。任意整理で解決できるに越したことはありませんが、借金額が多すぎたり、収入が少ないもしくは不安定な場合は、任意整理しても完済できず失敗に終わってしまいます。
金額の目安
任意整理すべき借金金額の目安は、総額で30万円~300万円です。金額に幅があるのは、借金の種類や本人の収入、借入の時期などで変わってくるため。その他債務者の年齢や裁判の進み具合によって、3年よりも少ない分割回数でしか応じてくれない場合もあります。詳しくは弁護士に相談しましょう。
【個人再生】
個人再生では民事再生法に則って、借金の総額ごとに圧縮できる金額を「最低弁済額」として、次のように定めています。
債務総額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 全額 |
100万円~500万円以下 | 100万円 |
500万円~1500万円以下 | 総額の1/5 |
1500万円~3000万円以下 | 300万円 |
3000万円~5000万円以下 | 総額の1/10 |
下限金額
個人再生は手続きによって最低弁済額が数分の1にまで大幅減額できる手続きです。民事再生法では、100万円以下の借金は減額されないため、制度上の最低金額は100万円となります。しかしそれにプラスして裁判所や弁護士に支払う費用が発生するため、借金総額100万円では実質的なメリットを得られません。
個人再生する場合は、もろもろの費用を考えながら、いくらなら効果が得られるか検討する必要があるでしょう。
上限金額
個人再生の上限金額は、上の表で示した通り住宅ローンを除く借金の総額が5000万円までとなっています。それ以上になってしまうと、個人再生ではなく「民事再生」手続きが適用されるのですが、費用がかかり手続きが厳格なため、個人の債務者にはほとんど利用されていません。
そのため個人で5000万円の借金を抱えている方は、自己破産を選択せざるを得ないでしょう。
金額の目安
個人再生すべき借金の目安は、200万円~3000万円ほどです。日弁連がまとめた個人再生の記録調査によると、実際に個人再生した人の借金総額を見てみると、負債額200万~500万円までに一つ目の山があり、1000万円~3000万円の範囲に二つ目の山があることが分かります。
制度上は100万円以上から可能ですが、費用等を考えたときに200万円から個人再生を選択しているようです。個人再生は任意整理と同様、手続き後も返済が続きます。3000万円の借金なら300万円に圧縮され、3年で返済すると考えると1年で100万円、月にすると毎月83,000までと考える人が多いため、3000万円が一つのラインといえるでしょう。
【自己破産】
自己破産は生活に必要な最低限の財産を手放す代わりに、借金の返済義務をすべて免除(免責)できる手続きです。この制度は、多重債務によって苦しんでいる人を、借金の金額にかかわらず救済し、生活再建できるよう後押しするものです。
下限金額
自己破産には下限金額がありません。100万円に満たない金額でも、返済不能状態と認められれば手続きが可能です。ただし裁判所費用と弁護士費用の合計で、最低でも30万円はかかるので、30万円以下の借金だと持ち出しの方が多くなり、かえって金銭的負担が増えるでしょう。
借金を抱えているものの何らかの事情で働けない人は、生活保護費から個人の借金を返済することは認められていないため、生活保護申請の前に自己破産することを求められます。この場合は法テラスなどに相談し、弁護士費用等を立て替えてもらったり免除してもらうことが可能です。
上限金額
自己破産には上限金額もありません。ただし住宅ローンや保証債務を除外した借金総額が3000万円を超えると、破産管財人が付く管財事件として処理される可能性が高いでしょう。というのも、多額の借金ができるということは、何らかの財産を保有していた可能性が高いとみなされて、破産管財人による財産調査が必要と判断されるため。
管財事件になると、弁護士費用や破産管財人に支払う予納金として、100万円の費用がかかる可能性があります。
金額の目安
自己破産の金額の目安は、200万円以上からとなります。個人再生のように法律で決められた金額はないものの、「2020年破産事件及び個人再生記録調査」によると、過去に自己破産を行った人の借金額の割合をみると、最も多いのが200万~300万円の14.52%です。
つまり、200万~300万円の借金を抱えている人が実際に自己破産を考える水準になっているといえます。
債務整理に関する借金額以外の条件
債務整理を成功させるには、借金額以外の条件を満たす必要があります。こちらでは、債務整理の種類ごとに、金額以外の条件を詳しく紹介します。
任意整理の条件
任意整理の手続きを成功させるには、以下のような条件があります。
元本を返済する意志があること
任意整理ができる条件の一つ目は、債務者に元本を返済する意志があるということです。というのも、債権者側は利息や遅延損害金を減額したとしても、せめて元本だけは回収したいと考えているため。債務者に元本を支払う気持ちが見られないと、手続き後の返済がストップしてしまう可能性があると考え、減額交渉に応じない場合があるからです。
とはいえ、具体的に厳しい審査が行われるわけでないため、「元本はせめて返済したい」という態度を示せれば、減額に応じる可能性は高いでしょう。
3~5年返済継続が可能であること
任意整理は減額後の借金を3~5年かけて分割払いで返済する手続きのため、返済できる資力があることも条件となっています。債務者はあまりにも長期の返済期間だと、「途中で返済がストップしてしまうのでは」と考えるため、最長でも5年の返済期間で完済できることが必要です。
無職でも任意整理が可能か気になる方は、こちらの記事を参考にしてください。
「無職でも任意整理は可能?任意整理できないと言われた時の対処法を紹介」
手続きに応じてくれる債権者であること
手続きに応じてくれる債権者であることも、任意整理の条件です。任意整理は直接債権者と交渉し、減額を認めてもらう手続きだからです。会社の経営状態が良くない場合や、すでに倒産してしまっている会社の場合は、任意整理に応じない可能性が高いでしょう。
また借金の残りの金額があまりに少額だと、こちらの希望した条件に応じないケースも。この場合は分割回数を短くするなど、相手が応じやすい条件に変更する必要があります。
任意整理で減額されない理由と対処法に関しては、こちらの記事を参考にしましょう。
「任意整理で減額されない原因と理由|減額できないときの対処法とは?」
手続き以前の取引に問題がないこと
任意整理以前の取引に問題がないことも条件です。ここでいう問題というのは、次のような状況です。
- 返済実績がほとんどない(借入してから間もない)
- 一度も返済していない
- 過去の取引で問題(遅延など)があった
このような問題があると、任意整理をしてもまた滞納するかもしれないとの危惧から、債権者が交渉に応じない可能性があります。とくに借入してから3カ月以内だと、1度も返済していないか、支払っていても1~2回ほどというケースがほとんどのため、交渉がまとまらない可能性大です。
このような場合は、数カ月決められた返済を行うなど、実績を作ってから任意整理するといいでしょう。
任意整理しても効果が得られないケースについては、こちらの記事を参考にしてください。
「任意整理をしても意味がない?効果が得られない7つのケースとその他の対処法とは」
個人再生の条件
個人再生を効果的にするには、次のような条件を守ることが必須です。
再生計画案通りの返済ができること
個人再生は借金を大幅に減額できるものの、手続き後も返済の必要な借金が残ります。そのため、再生計画案通りの返済ができることが第一条件です。個人再生では、民事再生法に則った「再生計画案」を作成しなければなりません。そこには減額後の借金の金額や返済期間、毎月の返済額などの具体的な返済条件を記します。
裁判所に再生計画案が認められれば、認可決定が発令され、計画案通りの返済が再開します。ただし途中で返済が遅れてしまうなど、履行できない事情が出てくると債権者から再生計画の取り消しの申し立てがなされたりして、個人再生が失敗してしまいます。
失敗しないためには、まず借金総額から最低弁済額を割り出し、その金額を36回もしくは50回で割った金額を、毎月返済していくことが可能か検討してください。
個人再生の成功率について気になる方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生の成功率はどのくらい?失敗する理由と成功の秘訣、失敗したときの対処法を解説」
清算価値保障基準の原則を守れること
再生価値基準の原則を守れることも、個人再生の条件です。個人再生の最低弁済額を決める場合、上の表で示した「最低弁済基準」と「清算価値保障基準」を比較し、金額の高い方とするという決まりがあります。清算価値保障基準とは、債務者が所有している財産の価値に応じて算出する計算方法。
計上される財産の一例は、以下の通りです。
- 現金
- 預貯金
- 不動産
- 自動車
- 退職金
- 保険解約返戻金
- 宝飾品
- 家財道具
- その他差し押さえ禁止以外の財産
一般的に20万円以上の価値があるとされる財産は計上されますが、裁判所によっては20万円以下でも計上される場合が。所有財産が多い方は、清算価値保障基準の方が高くなる可能性があるので、気を付けましょう。
個人再生の最低弁済額の計算方法について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生の最低弁済額が知りたい!手続き別の計算方法や減額できないケース、滞納後の対処方法」
自己破産の条件
自己破産は借金をすべて免責できますが、その分厳しい条件が課されます。
返済不能状態であること
自己破産の第一条件として、「返済不能状態」であることを裁判所に認められなければなりません。返済不能状態とは、債務者の収入や財産、社会的信用をもってしても借金を支払える見込みがない、またはすでに借金を支払えない状態のこと。
例えば1000万円の借金があっても、それを完済できるほどの収入や財産がある場合は、返済不能状態とはいえません。逆に借金額が100万円以下でも、それを支払えるだけの収入や財産がない人は、裁判所に返済不能状態を認めてもらえる可能性があります。
返済不能状態が認められるには、次のような要件に当てはまる必要があります。
支払い不能状態の要件 | 詳細 |
---|---|
支払い能力の欠乏 | 債務者に完済できるだけの支払い能力がない |
履行期にある債務 | 借金の支払い期限がすでに到来していること |
一般的かつ継続的に弁済不能である | 借金を支払えない状態が継続しているか、その状態が今後も継続する見込みがあること |
客観的な支払い不能状態である | 第三者の視点から見ても支払い不能状態であること |
減免されない債権でないこと
自己破産できるのは、手続きしても減免されない「非免責債権」でないことが条件です。個人再生でも同様ですが、次のような債権は非免責債権として減免の対象外です。
- 税金
- 国民年金
- 国民健康保険料
- 罰金・科料・追徴金・過料
- 不法行為に基づく損害賠償請求権(慰謝料)
- 子どもの養育費
- 別居時の婚姻費用
このような非免責債権が借金のほとんどだと、自己破産しても借金がゼロになりません。費用を考えるとマイナスになる恐れがあるため、慎重に手続きすべきか検討しましょう。
自己破産できない9のケースについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産ができない9つのケースとは?対処方法や自己破産に適さない人について解説」
免責不許可事由がない
自己破産では「免責不許可事由」がないことも条件です。自己破産について定めた破産法では、11の免責不許可事由あると、免責が許可されないとしています。つまり自己破産を申し立てても免責が認められず、借金がゼロにならなないという訳です。具体的には次のような行為が、免責不許可事由に当たります。
- ギャンブルや浪費による借金
- 不当な手段によって財産を減少させる行為
- 不当な借金および換金行為(クレジットカードの現金化など)
- 特定の債権者に偏った返済(偏頗弁済)
- 裁判所への虚偽の説明や説明拒否
- 裁判所への虚偽の債権者名簿の提出
- 管財業務の妨害行為
- 7年以内の自己破産
上のような免責不許可事由があると、裁判所は自己破産を認めるのにふさわしくないとして、免責を認めません。
免責不許可事由11項目について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
「自己破産の免責不許可事由の11項目を解説!免責が下りなかったときの対処法とは?」
予納金をおさめられること
予納金をおさめられることも、自己破産の条件の一つです。予納金とは裁判所に支払う費用のことで、自己破産の手続きを進めるために必要なお金。例えば東京地方裁判所では、予納金を同時廃止では約3万円、管財事件では50万円、少額管財では約20万円と決めています。これら予納金を支払えないと、自己破産手続きを始めることができず、借金をゼロにできないという訳です。
借金を返済できるお金がないから自己破産を選択したものの、最低限予納金を支払える資力がないと手続きできないことに。もし予納金を支払うお金もないという方は、申立てまで貯金したり、法テラスに建て替えてもらうといった方法があります。また裁判所によっては予納金の分割払いに応じるところもあるので、弁護士に相談しましょう。
自己破産にかかる費用相場については、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産にかかる費用相場・内訳を解説!安く抑えるコツや払えないときの対処法も紹介」
効率的に債務整理するポイント
効率的に債務整理するには、いくつかのポイントがあります。こちらで債務整理を成功させるコツを知りましょう。
費用を考えマイナスにならないように
再三申し上げているように、債務整理をするには費用がかかります。任意整理なら弁護士費用だけですが、個人再生や自己破産では、弁護士費用にプラスして裁判所費用も必要です。トータルでかかる費用の一般的な相場は以下の通りです。
債務整理の種類 | トータル費用の相場 |
---|---|
任意整理 | 5万~10万円 |
個人再生 | 47万~87万円 |
自己破産 | 50万~100万円 |
債務整理を失敗しないためには、上の費用がかかることを頭に入れ、減免できる借金の金額との比較がポイント。たとえ借金を減免できても、トータルの収支で赤字になると、債務整理をした意味がなくなります。まずは借金の総額を算出し、専門家に相談したうえで、そもそも債務整理をすべきなのか、どの債務整理を選ぶべきか検討しましょう。
少額でも任意整理した方がいいケースがある
任意整理は借金が少額だと、思うような効果が得られないと解説しましたが、少額でも手続きした方がいいケースがあります。それは、過払い金が発生している可能性があるケースと、すでに滞納して一括請求が来ているケースです。
過払い金が発生している可能性があると、今ある借金残高から過払い金を減額することができます。過払い金は2008年(平成20年)より前に、消費者金融やクレジットカードのキャッシングの取引を利用した場合に発生している可能性があります。まずは弁護士に相談し、過払い金が発せしているか無料でチェックしてもらいましょう。
すでに借金を滞納し、債権者から一括請求が来ている場合も、金額の多寡にかかわらず任意整理した方がいいでしょう。交渉により、一括請求を分割払いに戻せる可能性があるためです。
弁護士に相談する
債務整理を成功させたいなら、借金と法律の専門家である弁護士に相談するのがベストです。弁護士に依頼すると、弁護士費用がかかりますが、費用負担を上回るメリットが得られます。債務整理を弁護士に依頼するメリットは次の通りです。
- 最適な債務整理方法が分かる
- 書類作成や裁判所への申し立てを代行してもらえる
- 心理的な負担を軽減できる
- 過払い金の発生有無が分かる
- 債権者からの督促がストップできる
そして、債務整理の種類ごとのメリットはこちらです。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|
債権所跡の交渉を任せられる
家族や会社にバレずに手続きできる |
予納金が安くなる可能性がある
裁判所での面談に同席してもらえる 裁判所とのやり取りの窓口を任せられる 再生計画案の作成について適切なサポートが受けられる |
免責が認められやすい
少額管財で手続きできる 裁量免責を受けられやすい 裁判官や管財人との面談に同席してもらえる |
とくに裁判所に申し立てることで借金の減免を求める個人再生や自己破産では、法律にも続いた手続きや膨大な必要書類の作成があります。それらすべてを弁護士に任せられれば、心理的・肉体的負担を大幅に減らせ、手続き後の生活のために行動をいち早く取れるでしょう。
まとめ
債務整理すべき借金金額の条件は法律で決まっている訳でないものの、任意整理では30万~300万円、個人再生では200万~3000万円、自己破産では200万円からが目安の金額となっています。金額以外の条件は、債務整理の種類ごとにいくつかあります。まずは自分がどのケースに引っかかるかチェックしてみましょう。
金額以外では、収入が減少した、返済が苦しいと感じたときが債務整理すべきタイミングです。また追加の借入を断られたときは、総量規制に引っかかっている可能性があります。債務整理を真剣に検討した方がいい時期に来ています。
債務整理を成功させるには、手続きにかかる費用をしっかり算出し、費用倒れにならないように適切な債務整理方法を選ぶのがポイントです。そのためには弁護士に相談するのがおすすめ。最適な債務整理方法を知れるだけでなく、手続きを任せられたり、より有利な制度を利用できたりします。まずは借金について自分なりにまとめ、無料相談を利用して債務整理について相談してみましょう。