母子家庭の自己破産、子供の将来どうなる?子供への影響と最小限にする方法、困ったときの公的支援制度

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  • 「シングルマザーで自己破産した場合の子供への影響が心配…」
  • 「母子家庭で自己破産すると児童手当が受け取れないってホント?」

自己破産の手続きを考えている方は「借金がゼロになれば生活が楽になるはず」という気持ちをお持ちのはず。確かに自己破産すると、今まで苦しんでいた借金返済がなくなるので、確実に生活は楽になるでしょう。しかし自己破産を検討するときには、それ以外のデメリットや悪い影響についても考える必要があります。

特に母子家庭の場合、子供の将来への影響を心配される方も多いのではないでしょうか。そこでこちらの記事では、母子家庭で自己破産したときの子供への直接的・間接的な影響について詳しく解説。さらにありがちな誤解や影響を最小限にするポイントについても紹介していきます。

自己破産にはいくつかのデメリットがあるものの、母子のこれからの生活にプラスになるであろう手続きです。正しい知識を身に着けて、自分と子供との将来を明るいものにするための助けにしていきましょう。

 

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目次

母子家庭で自己破産した場合の子供への影響

まずは一番気になる母子家庭で自己破産したときの子供への影響についてです。こちらでは直接的な影響と間接的な影響に分けて見ていきます。

子供への影響は限定的

結論からいうと、子供への直接的な影響は限定的です。裁判所が破産を認めてた場合、税金など一部の非免責債権を除いて借金などの債務がすべて免責(支払い義務の免除)されます。免責の効果は自己破産した本人にのみ生じるので、母親が自己破産しても免責の効果は子供には及びません。

つまり母親が自己破産によって免責されても、子供自身の借金には免責の効果が及びません。子供は今まで通り借金を背負ったままということです。また自己破産による効果と同様に、様々な不利益や制限を受けるのも、自己破産した本人のみ。このことから、親の自己破産で子供が影響を直接受けるのは限定的ということが分かります。

子供が連帯保証人になっている場合

例外として、親の自己破産で子供に直接影響が及ぶことがあります。それは親の借金について、子供が連帯保証人になっている場合です。親が自己破産すると親自身の返済義務はなくなるものの、連帯保証人である子供には、残債務の返済義務が残るため。

親が自己破産した後は、連帯保証人に対し金融機関から一括請求が行われるのが通常です。例えば二世帯住宅などを購入するにあたって親子ローン(親と子が双方の保証人になっているローン)を組むと、親の自己破産により子供が親の分の借金を、保証人として返済しなければなりません。

自己破産で連帯保証人がどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産すると連帯保証人はどうなる?借金の前と後&パターン別の対処法」

母子の生活への間接的な影響

子供が連帯保証人になっている場合以外は、親の自己破産によって直接的な影響を受けないものの、多くの場合間接的な影響はあると考えます。というのもとくに未成熟の子供の場合は、親の経済状況に依存しているために、様々な生活面や将来への影響があると考えられます。

手続きに費用がかかる

借金を返済できずに自己破産を検討するわけですが、自己破産をするにも費用がかかります。それによって一時的に家計の経済状況が悪化する可能性があるでしょう。こちらは自己破産の手続きにかかる主な裁判所費用の相場です。

官報広告費 官報に掲載されるとき(2回)にかかる掲載料 同時廃止事件:10,000円~15,000円

管財事件:15,000円~20,000円

予納郵券代 債権者に郵送するための切手代 3,000円~15,000円
申立手数料 破産申し立てにかかる手数料

通常は収入印紙で支払う

1,500円
引継予納金 破産管財人に支払う費用(管財事件のみ) 500,000円~

弁護士に手続きを依頼する場合は、上記にプラスして弁護士費用がかかります。こちらも手続きの方法によって若干相場が変わります。

自己破産の種類 相場費用
同時廃止 20万~35万円
管財事件 30万~50万円
少額管財 30万~50万円

自己破産にかかる費用の相場と内訳は、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産にかかる費用相場・内訳を解説!安く抑えるコツや払えないときの対処法も紹介」

一定以上の財産は処分される

自己破産では、一定以上の財産は処分されて債権者への返済に充てられます。そのため母親名義のマイホームがある場合は、自己破産すると住宅ローンの有無に関係なく、家の所有権を失うことに。この場合は引っ越しを余儀なくされるでしょう。場合によっては子供の学校や保育園などの転校・転園といった影響が出る可能性があります。

自己破産で処分される主な財産の内訳は次の通りです。

  • 99万円以上の現金
  • 20万円以上の価値がある財産

しかしすべての財産を処分されてしまうと、自己破産後の生活ができなくなります。自己破産は生活を再建するための手続きでもあるため、次のような自己破産しても処分されない財産(自由財産)が認められています。

新得財産
  • 破産手続開始後に取得した財産
  • 締め日が破産手続開始決定後の給与
  • 破産手続廃止後に購入した財産
99万円以下の現金
  • 自由財産の拡張による
  • 財布やタンス預金している手持ちの現金
  • 裁判所によっては電子マネーも含まれる
  • 銀行等に預けている預貯金は現金に含まれない
差押禁止財産
  • 生活に必要な家具・家電・寝具・食料・衣料など
  • 給与の3/4・国民年金・健康保険・失業保険など

これを見てわかる通り、99万円以下の現金や普段の生活に必要な物品は没収されることはありません。これまで通り、子供との生活を続けていける可能性が高いのでご安心ください。

自己破産で処分される財産と処分されない財産については、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産すると財産はどうなる?処分される・されない財産と財産隠しについて」

事故情報が掲載される

自己破産をする上で避けられない影響は、信用情報機関に登録されている個人信用情報に事故情報として掲載されること。いわゆる「ブラックリストに載る」という状態のことで、自己破産すると最低でも5年~10年間は、ローンを組んだりクレジットカードの利用ができなくなります。

自己破産後のクレジットカードの利用については、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産すると5年以内はクレジットカードが使えない?解約時の注意点や回復後に作成するときのポイント」

スマホや携帯電話が使えなくなる可能性

また自己破産すると、携帯電話やスマホ本体の分割払いができなくなるというデメリットも。インターネット通信料を滞納している場合は、自己破産により通信契約が解除される可能性があります。子供にスマホを持たせていたり、学校の連絡に携帯電話が必須の方も少なくありませんが、自己破産することで少なからず影響が出ることになるでしょう。

自己破産後もスマホを使い続けるための注意点は、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産後は携帯電話の分割払い・新規契約ができない?破産後もスマホを使い続けるための注意点」

奨学金の保証人になれない

親が自己破産すると、子供が奨学金を利用して進学を希望する場合に、奨学金の保証人になれないというデメリットが生じます。これもブラックリストに載ることによる影響の一つです。奨学金の申し込み時には、保証人の信用情報が調べられます。そこで自己破産したという情報があると、保証人にはふさわしくないとされて奨学金を借りられなくなったり、別の保証人を立てるように要求されるでしょう。

自己破産でブラックリストに載る期間は、最長でも破産手続開始決定等を受けた日から10年を超えない期間と決まっていて、それ以降は奨学金の保証人になれます。とはいえ母親としては子供の教育にはできる限り影響を与えたくないと考えるのは当然。下で紹介する方法を取れば、自己破産していても奨学金を借りることができます。

手続き完了まで就けない職業がある

自己破産の場合には手続き中の一定期間、特定の職業や資格が制限されます。具体的には破産手続開始決定から免責決定確定の間です。同時廃止事件だと約3カ月、管財事件では5カ月前後となります。その間は、次に紹介する資格を使った仕事や職業に就くことができません。

  • 士業(弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士など)
  • 生命保険外交員
  • 警備員
  • 貸金業取扱主任者の登録
  • 宅地建物取引主任者
  • 探偵業
  • 風俗営業許可
  • 産業廃棄物処理業の許可
  • 旅行業務取扱主任者

とくにシングルマザーの場合、仕事ができないと家計への影響は避けられません。自分の仕事への影響がないか事前にチェックして、影響がある場合には、一定期間部署異動や休職ができないか会社の方に確認してみましょう。

自己破産による子供・生活への影響に関するよくある誤解

こちらでは、自己破産による子供や生活への影響に関するよくある誤解や心配事について解説していきます。

公営住宅から追い出されるのでは?

家計が苦しい母子家庭の方は、県営住宅や市営(都営)住宅などの公営住宅にお住いのケースが少なくありません。自己破産すると公営住宅から追い出されるのでは?と心配される人がいますが、家賃さえしっかり支払っていれば、自己破産しても追い出される心配はありません。

ただし家賃を3カ月以上滞納していると、強制退去を求められることがあります。また自己破産によって滞納家賃の支払いが免除されると、賃貸借契約の解除を求められる可能性も。すでに滞納家賃があって自己破産をする場合は、あらかじめ家賃の滞納を解消するか引っ越しを検討すべきでしょう。この場合は弁護士に相談しながらタイミング等を決めていきましょう。

自己破産中の引っ越しについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産中の引っ越しは許可が必要?破産手続き中や自己破産前後に引っ越す際の注意点を解説」

児童手当や児童扶養手当などは打ち切られる?

自己破産すると、今まで受け取っていた児童手当や児童扶養手当などが打ち切られるのでは?と心配になる方がいます。しかしこれは間違いです。このような公的手当は、差押えが禁止されている「差押禁止債権」に当たるので、破産手続き中はもちろん破産後もこれまで通り受け取れます。

受け取っている・これから受け取る養育費は没収される?

離婚した元夫から養育費を受け取っている場合、自己破産すると養育費も没収されるのではと考える人がいるかもしれません。すでに受け取った養育費を銀行口座に入金している場合に20万円超えた部分に関しては「破産財団」とみなされて処分の対象に。

また破産手続開始時点で未受領の養育費がある場合も、原則として裁判所に差押えられます。しかしいずれの場合も、子供との生活を送る上で養育費が欠かせないとして「自由財産の拡張」が認められれば、99万円以下の現金は手元に残せます。一方で破産手続開始後に新たに受け取った養育費は、「新得財産」として処分の対象から外れます。

自己破産における養育費の扱いについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産における養育費の扱い|手続き前後で変わる対応と支払いが難しいときにできることとは」

周囲に自己破産のことが知られたらどうしよう…

自身と子供への影響を考える上で心配なのが「周囲に自己破産のことを知られてらどうしよう」という点です。「子供がいじめられないか」「ママ友に変な目で見られたりしないか」など不安は尽きません。確かに自己破産のことを周囲に知られる可能性はゼロでないものの、それほど心配しなくてもいいと考えます。

ブラックリストに載ったことは、周囲にあえて言わない限りバレる心配はそれほどないでしょう。また官報に住所や氏名が掲載されますが、日常的に官報を見ているのは特定の職業の人に限り、一般の人が目にする機会はまずありません。

考えられるケースとしては、引っ越しなどの理由を尋ねられる場合でしょう。このケースでも子供や周囲に自己破産のことを漏らさなければ、それほど心配する必要はありません。

自己破産で掲載される官報については、こちらの記事を参考にしましょう。

「自己破産すると載る官報について解説!掲載のタイミングや確認方法、バレる可能性とは」

子供の就職や結婚に影響することはない?

子供の将来で心配になるのは、就職や結婚に影響が出ないかという点です。自己破産した人が就職する場合は、手続き期間中に一定の職業や資格が制限されるものの、子供の将来の就職には影響を与えません。

子供の結婚に関しても同様です。自己破産したことは戸籍や住民票に記録されず、あえて言わない限り子供の結婚相手やその家族に知られる可能性はないでしょう。相手が興信所等を使って過去の母親の自己破産を突き止めない限り、そのことを知られる恐れはないと考えましょう。

自己破産で家族への影響はどうなるかについては、こちらの記事を参考にしてください。

「自己破産すると家族はどうなる?影響が出ること・出ないことと迷惑をかけないポイントとは」

身元保証人になれない?

子供が就職した場合、身元保証人の提出を求められることがあります。身元保証人は連帯保証人のような債務の保証人ではないので、母親が自己破産した場合でも基本的に問題ありません。

また子供が進学・就職により家を離れた場合、賃貸物件を契約するという場面もあるでしょう。家賃保証会社との契約が必須な物件では、注意が必要です。というのも信販系(民間系)といわれる保証会社の場合は、個人信用情報をチェックされるため、ブラックリスト状態だと審査に通らない可能性があります。

一方で協会系(信用系)の家賃保証会社では、独自の審査基準を採用しているため、ブラックリスト状態でも保証人になれる可能性があります。子供が賃貸物件を契約する前には、保証会社の有無やその種類を事前に確認することをおすすめします。

子供への影響を最小限にするためにできる対策

子供の将来への影響を最小限にするために、いくつかのできることがあります。場合によっては専門家や専門機関に相談しながら、できうる対策をとっていきましょう。

奨学金の保証人になれないことについて

上で紹介したように、自己破産後5年~10年の間は奨学金の保証人になれません。とはいえ、それだけで進学を諦める必要はありません。次のような対策を取れれば、問題なく奨学金を借りられるでしょう。

逆に優先される可能性

保護者が自己破産していても、子供の奨学金利用にはそれほど問題がありません。逆にそのような家庭ほど、優先されると考えていいでしょう。奨学金を支給している日本学生支援機構では、家計急変時に申し込める「緊急採用(第一種奨学金)や「応急採用(第二種奨学金)」という制度があります。

対象となる家庭は以下の通りです。

生計維持者の失職、破産、事故、病気、死亡、災害等又は学校の廃止によりやむを得ず他の学校に入学することで修学に要する費用が増加したことにより家計が急変し、家計急変の事由が生じたことによって、その後1年間の家計が第一種奨学金の収入基準額の範囲内になることが見込まれると学校長が認める者。

引用:被災・家計急変時の家計基準(緊急採用・応急採用)|日本学生支援機構

希望する奨学金により、家計基準が異なります。詳しい申し込み方法については、日本学生支援機構のHPを参考にしてください。

離婚した父親に保証人になってもらう

母親が自己破産して奨学金の保証人になれない場合でも、離婚した父親に保証人になってもらうという方法があります。このとき注意するのは次のようなポイントです。

  • 奨学金を受ける本人と連帯保証人が別生計であること
  • 通常の申請書にプラスして「返還保証書」と収入・資産状況を証明する書類を提出すること
  • 申請時の保証人の「あなたとの続柄」を「その他(知人等)」で記入すること

詳しい手続きについては、日本学生支援機構のHPをご参照ください。

機関保証を利用するという方法も

母親が保証人になれず父親も頼れないという場合でも、機関保証を利用すれば保証人を立てなくても奨学金が借りられます。機関保証とは、日本学生支援機構が指定する保証機関の連帯保証を受ける制度で、一定の保証料を支払うことで保証人を立てなくても奨学金を利用できるもの。

卒業後に奨学生が奨学金の返還を一定期間延滞した場合に、本人に代わって保証機関が返済を行います。機関保証の保証料は、貸与月額や貸与月数、貸与利率や返還期間などによって変わってきます。詳しくは、日本学生支援機構のHPを参考にしましょう。

手続き費用に心配があるときの対処法

自己破産の手続き費用に不安がある方は、手続きをスムーズに行うためや弁護士費用を工面する方法を参考にしましょう。

無料相談を利用

自己破産について相談したいが相談料がかかるのが心配という方は、法律事務所や自治体の無料相談を利用してはいかがでしょうか。弁護士事務所の中には、初回の相談を無料で行っております。とくに借金問題で困っている方向けの相談では、多くの事務所で無料相談を実施しています。

また自治体が実施する法律相談も、基本的に無料で利用できます。ただし利用時間が限られていた李、必ずしも借金問題や債務整理に詳しい弁護士に相談できるとは限りません。そのため、あくまでもいくつかの相談先の一つとして考えた方がいいでしょう。

借金相談ができる窓口については、こちらの記事を参考にしてください。

「借金相談は市役所でできる?相談の方法やメリット・デメリット、その他の相談窓口一覧」

分割払い対応の法律事務所に依頼

弁護士費用を一括で支払う余裕がないという方は、分割払い対応の法律事務所に依頼することをおすすめします。分割払いに対応しているかどうかは事務所によって異なるので、初回相談の予約をする前に確認するといいでしょう。

分割払いの回数はまちまちですが、最大で12回までを上限としているところが多いです。ただし状況に応じてそれ以上の回数の分割払いに対応してくれるところもあります。弁護士を依頼すると、債権者に「受任通知」を送付したタイミングで、返済をストップできます。今まで返済に充てていた分を、弁護士費用の支払いに充てることも可能です。

法テラスに相談

分割払い対応の弁護士事務所に依頼できないときには、法テラスに相談して「民事法律扶助制度」を利用してはいかがでしょうか。民事法律扶助制度の内容は以下の通りです。

  • 弁護士・司法書士による無料の法律相談
  • 弁護士費用・実費の立て替え制度(代理援助)

このうち代理援助を利用すると、生活保護を受給している場合は一定期間立替金の返還が猶予されます。それ以外の人でも毎月の返済額は5,000円~10,000円程度。法テラスが返済月額を決定して、事件終了後3年以内に支払が終わるように返済していきます。

法テラスの代理援助を利用するには、収入や資産にいくつかの条件があります。詳しくは法テラスの「民事法律扶助のしおり」を参考にしてください。

法テラスの審査基準や審査に落ちたときの対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。

「法テラスの審査は落ちることもある!審査基準や落ちた時の対処法を解説」

他の債務整理を検討

自己破産による子供への影響が避けられない場合には、他の債務整理を検討する方法があります。とくに持ち家を手放したくない方や、保証人に迷惑をかけられないという方は、自己破産以外の方法で借金問題を解決した方がいいでしょう。

任意整理

借金すべてを自力で返済するのは難しいものの、利息をカットできれば3年以内で分割返済が可能だという方は、任意整理を検討してはいかがでしょうか。任意整理とは裁判所を通さずに債権者と直接交渉することで、利息や遅延損害金を減額できる手続きです。

手続きが自己破産と比べて簡易的で、費用がかからないのがメリット。対象とする債務を選べるので、保証人がいる借金や住宅ローンを外して手続きが可能です。ただし自己破産と比較して効果が限定的で、返済すべき借金が残るのもデメリットです。

無職でも任意整理が可能か知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

「無職でも任意整理は可能?任意整理できないと言われた時の対処法を紹介」

個人再生

利息の減額程度では完済が難しい、ローン返済中の持ち家を残したいという方は個人再生がおすすめ。個人再生は裁判所を通す手続きで、借金総額を最大で1/10まで減額できる手続き。減額後の借金は3~5年かけて返済していきます。

個人再生には「住宅ローン特則」という制度があり、住宅ローンを返済し続けることで、今まで通り住み続けられます。ただし裁判所に提出する再生計画案が認められるには、継続して返済できるだけの安定した収入が必要。会社員でも自営業者でも構いませんが、一定以上の収入が無いと認められません。

個人再生で住宅ローンはどうなるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。

「個人再生で住宅ローンはどうなる?特則適用の条件・巻き戻し・手続き後のローンについて」

弁護士に相談

自己破産による影響を最小限にしたい方や、他の債務整理を検討したい方は、弁護士に相談しましょう。弁護士に自己破産を依頼すると、手続きを代わりに行ってもらえたり、裁判所から免責が認められる可能性が高まります。

また他の債務整理を検討する場合でも、あなたの収入や経済状況を見て、最適な方法を提案してもらえます。お住まいの地域で借金問題や債務整理に強い弁護士に依頼できれば、不安に思っていることを解消できたり、子供への影響を最小限にすることも可能です。

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シングルマザー向けの相談機関に相談

自己破産後の生活再建に向けた就職相談や、子供の子育て支援については、シングルマザー向けの相談機関に相談してみましょう。より良い就職先を見つけられたり、子育てに関する公的サポートを受けられたりします。

相談先 支援内容
各自治体にある福祉事務所
  • 各自治体にある福祉事務所では、母子自立支援員による相談・支援を実施
  • 生活全般や職業能力の向上および求職活動等就業についての相談支援を行っている
  • その他自立に向けて必要な相談支援や母子寡婦福祉資金の貸し付けに関する相談も受け付けている
母子家庭就業・自立支援センター
  • ひとり親家庭の自立支援のために、就業に関する相談や情報の提供、講習会の開催といった就業サポートを行っている
  • また弁護士などによる養育費に関する相談や、借金返済に関する無料の法律相談なども実施
NPO法人
  • 民間のNPO法人でもシングルマザー向け支援が受けられる
  • ひとり親家庭での病児保育や一時預かり、学習支援や放課後等デイサービスなどを実施

公的支援の内容や相談先については、厚生労働省「ひとり親家庭の支援について」を参考にしてください。またNPO法人の支援については、それぞれの法人によって支援内容が異なります。お住いの地域に該当するNPO法人がないか調べてみましょう。

母子家庭のための各種支援制度

自己破産後も母子家庭で生活が苦しいときには、次のような公的支援制度を活用していきましょう。

生活保護

生活保護は憲法に保障されている「健康で文化的な最低限度の生活」を行うために支給されるもの。世帯の収入だけでは国が定める保護基準(最低生活費)に満たないときに受けられます。収入は給与などの他に養育費や児童手当等の公的手当も含みます。

生活保護で受けられる保護の種類は以下の8種類です

  • 生活扶助(衣・食・光熱費など日常の生活に必要な費用)
  • 住宅扶助(家賃や地代など住むために必要な費用)
  • 教育扶助(義務教育を受ける上で必要な費用)
  • 医療扶助(ケガや病気の治療、療養のために医療機関に支払う費用)
  • 介護扶助(介護保険サービスを利用するために必要な費用)
  • 出産扶助(分娩等にかかる費用)
  • 生業扶助(生計を維持するための事業に筆王な費用や技能取得のための費用)
  • 葬祭扶助(葬式などの費用)

支給される保護費は、お住いの都道府県や市区町村、世帯人数やその年齢などによって変動します。障害者や母子世帯に該当する場合は、生活扶助が加算されます。相談や申請の窓口はお住まいの地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当です。

参考:生活保護制度|厚生労働省

児童手当

児童手当は子供を養育している人に支給される手当です。子供の年齢によって月額支給額が異なり、子供の人数によっても変わってきます。児童手当には所得制限があり、制限以上の所得がある場合には、子供の年齢にかかわらず1人につき5,000の支給となります(令和6年10月~所得制限の撤廃)。

支給条件に該当する方は、認定請求書などの必要書類を持参のうえ、自治体役場に提出します。内容を審査して問題なければ申請の翌月分から4か月分ずつまとめて振込となります(令和6年10月~2カ月ごとの振込)。今まで受給者となっていた夫と離婚して母子で生活する方は、受給者変更の手続きが必要です。

また受給者の住所や氏名、振込口座などが変更になった場合は、その都度変更届を自治体の窓口まで提出してください。

参考:児童手当|こども家庭庁

児童扶養手当

児童扶養手当は、離婚や死別によりひとり親家庭になった場合や、親に障害がある場合に支給される公的手当です。支給の対象となるのは、18歳の誕生日以降の最初の3月31日までの子供を監護するひとり親です。手当の額は、子供の人数や所得制限の有無によって変わってきます。

ちなみに所得制限がない場合の支給額は次の通りです。

子供の人数 支給額
1人 45,500円
2人 45,500円+(2人目加算)10,750円
3人 45,500円+(2人目加算)10,750円+(3人目加算)6,250円

なお、令和6年11月分から、所得制限限度額や月額手当加算額が変更となります。

参考:児童扶養手当について|こども家庭庁

児童育成手当

児童育成手当は、東京都内をはじめとする一部の市区町村が実施しているひとり親家庭向けの手当てです。支給の条件は児童扶養手当と同様に規定されている場合が多いですが、お住いの自治体によって異なります。詳しくは自治体の担当窓口までお問い合わせください。

母子父子寡婦福祉資金貸付金

母子父子寡婦福祉資金貸付金は、20歳未満の子供を扶養している配偶者のいないひとり親が対象の制度。事業を始めるための運転資金や子供の就学資金、就職等に必要な知識技能を取得するための資金を貸し付けています。資金の種類は以下の通りです。

  • 事業開始資金
  • 事業継続資金
  • 修学資金
  • 技能習得資金
  • 修業資金
  • 就職支度資金
  • 医療介護資金
  • 生活資金
  • 住宅資金
  • 転宅資金
  • 就学支度資金
  • 結婚資金

貸付限度額は、利用目的などによって変わってきます。保証人ありの場合は無利子になるケースが多く、一定の据置期間ののちに決められた償還期間内に返済の必要があります。

参考:母子父子寡婦福祉資金貸付金制度|男女共同参画局

母子父子寡婦福祉資金が返せないときの対応方法は、こちらの記事を参考にしてください。

「母子福祉資金が返せない時はまず福祉事務所に相談を!返済通知が届いた時の対処法や減額方法を解説」

住宅手当

ひとり親家庭向けに住宅手当を支給している自治体があります。支給の条件や所得制限の有無はそれぞれ異なりますが、月額5,000円~10,000円ほどの補助を受けられます。住宅手当の有無を含めて、お住いの自治体にお問い合わせください。

医療費助成制度

こちらも自治体独自の制度ですが、ひとり親家庭の親と子供の医療費の自己負担分のうち、一部を負担してくれるというもの。高校卒業時期までの親と子が対象になっているところが多く、所得制限を設けていない自治体もあります。

控除や減免制度

所得が一定以下のひとり親家庭では、次のような税金や料金の控除、減免制度があります。こちらも自治体によって異なるので、担当窓口までお問い合わせください。

  • 所得税控除(寡婦控除)
  • 住民税控除
  • 国民年金の免除
  • 国民健康保険料の免除
  • 下水道料金の割引
  • 交通機関の割引
  • 粗大ごみの手数料免除
  • 保育料の免除

母子家庭で生活が苦しい方は、こちらの記事を参考にして支援制度について知りましょう。

「母子家庭で借金苦しい。シングルマザーが借金から抜け出す方法や支援制度を紹介」

まとめ

母子家庭で自己破産を検討する場合、子供の将来がどうなるかや生活への影響について不安を感じる人も少なくありません。直接的な影響は限定的なものの、子供が経済的に依存している場合には、財産処分やブラックリストに載ること、職業制限による間接的な影響は避けられません。

一方で、児童手当や養育費の受け取りに影響が出る可能性は低いでしょう。また子供の就職や結婚などに直接の悪影響を与えることも限定的です。子供の奨学金への懸念がある方は、父親に保証人を依頼する、機関保証を利用するなどの方法がおすすめです。

自己破産による子供への影響を最小限にするためには、他の債務整理を検討したり、専門の相談機関を利用しましょう。また弁護士に相談するのもいいでしょう。場合によっては分割払いに対応してもらえたり、自己破産より適した方法を提案してもらえます。また手続きをスムーズに進めることで、子供への影響を最小限することも可能です。

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