- 「FXがやめられないのはどうして?」
- 「FXで作った借金を解決する方法が知りたい」
ネット証券の普及により、FX取引を含む投資が容易になりました。とくに少額で大きな利益を得られるFXは、円安の影響やギャンブル的要素もあり人気の取引です。しかし知識を得ないまま安易に始めてしまうと、「損をしてしまいやめたいのにやめられない」という負のループに陥りがちに。
そこでこちらの記事では、FXがやめられなくなる理由や続けるリスクについて詳しく解説。さらにFXで作ってしまった借金の解決法方法についても紹介していきます。債務整理の種類によっては、注意すべきポイントがあります。こちらを参考にしながら、FX取引のリスクをしっかりと認識しましょう。
FXとは?やめられない理由
まずはFXとはどのような取引なのかについてや、FXがやめられないと言われる理由について解説していきます。
投資の一種
FXとは「Foreign Exchange」の略で、「外国為替証拠金取引」という投資手法のこと。円や米ドルなど2国間の通貨を売買する取引で、為替レートの変動による差益を狙う金融商品。少ない元手で最大25倍までの金額を動かせるため、高い利益を狙えると最近人気の投資です。
FX口座は増加傾向
FX投資は1998年に個人投資家向けに解禁されて以降、取引をする人が増加傾向にあります。直近3年間のFX口座数の推移を見ても、次のように増加しています。
| 項目 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 2026年1月 |
|---|---|---|---|---|
| 口座数 | 584,697 | 608,882 | 635,386 | 909,452 |
| 預り金額(百万円) | 124,956 | 133,916 | 131,770 | 157,347 |
| 取引数量(百万通貨) | 465,666 | 444,090 | 415,197 | 470,219 |
とくに2025年から2026年にかけて大幅に増加していて、これは2022年以降の急激な円安傾向が背景にあるとされています。またスマホアプリでいつでもどこでも簡単に取引でき、千円単位から取引ができる点も初心者が参入しやすい理由の一つです。
FXがやめられない7の理由
ではなぜFX取引をやめられなくなるのでしょうか。こちらでは、7の理由について解説していきます。
少額で大きな利益を得られる
FXは少額でも大きな利益を得られることから、ハマるとやめられなくなる人が多くいます。通常100万円分の株を購入しようと思ったら、100万円の資金が必要になります。しかしFXでは取引金額の全額を準備できなくても、一部を証拠金として納めるだけで、最大で25倍の金額を動かせます。
上の例でいうと100万円で2500万円分の取引ができるという訳です。これを「レバレッジ効果」といいます。動かせる金額が多ければ、少額でも大きな利益を得られるようになります。それがFXがやめられなくなる大きな理由といえます。
損失も大きくなりがち
少額で大きな利益を得られる一方で、損失も大きくなりがちです。レバレッジをきかせられるのがFXの大きなメリットになる代わりに、レバレッジをきかせればきかせるほど負けたときの損失も大きくなります。「いくらマイナスになったら損切り」と機械的にできれば傷口はそれほど大きくならないものの、損切りができないまま取引をやめられないという人も少なくありません。
市場は24時間稼働している
FXは土日や1月1日を除く平日、祝日でも24時間取引ができます。これがFX取引をやめられない大きな理由となります。国内株式であれば東京証券取引所が開いている平日の午前9時~午後3時半までしか売買ができません。
しかしFXは世界中の市場を対象としています。主要各国(オーストラリア・東京・ロンドン・ニューヨーク)がほぼ時差で繋がっているため、1日売り買いが可能です。取引できない時間が持てないため、常に利益や損失のことが頭から離れず、その状態が常時続いてしまいがちです。
負けを取り戻したいと考える
負けた分を取り戻したいと考えると、FXがやめられなくなります。とくに一発逆転を狙おうとするのは大変危険です。大きな損失を出した直後に「早く取り戻したい」という焦りから、根拠のない取引を繰り返したり、仕事や家事に集中できなくなったりします。
しかしFXでは、全ての取引で勝つのは不可能です。FX取引で生計を立てている人でさえ、負けを前提に長期的な利益を積み重ねようとします。負けを取り戻したいという感情でFXがやめられないのは、もはやギャンブル依存症の可能性も考えられます。
金銭感覚がおかしくなる
取引を繰り返していると金銭感覚がマヒしやすく、これが取引をやめられない理由になります。数百万、数千万単位の取引に慣れてしまうと、冷静な判断力を失って自己資金の金額に見合わない取引を繰り返すように。少しの損失でも動揺しなくなり、これを「強メンタルになった」と誤解しがちですが、実際は金銭感覚がマヒしているだけだったり資金管理が不十分なだけだったりするケースがほとんどです。
冷静な判断が難しい
冷静な判断が難しい点も、FXがやめられない理由になります。相場は経済指標や国際的なニュースで変動します。しかし経験やリスク管理が十分でない状態で取引を始めてしまうと、冷静な判断が難くなります。とくにFXは少額の変動であっても、レバレッジをきかせると資金が大きく動きます。
それに伴って感情が上下しやすくなり、「利益が出るかも」と期待を抱いたかと思ったら含み損で怒りや不安な気持ちになり、冷静な取引の判断が難しくなります。
気軽に始められる
気軽に取引を始められてしまうのも、FXがやめられない理由の一つ。かつては株取引やFX取引をするためには、証券会社に足を運んで口座開設をするといった手間が必要でした。しかし最近ではインターネットの発達やパソコン、スマホ機能の充実によって、気軽に口座開設や取引ができるようになっています。
今やスマホは一人一台が当たり前。自宅でも出先でもFX取引が気軽にできるということで、やめるのがさらにむずかしくなっているのが現状です。
FXが高リスクな訳とは
FXは気軽に始められて高い利益を確保できるというメリットがある一方で、次のようなリスクもあります。すでにFXをやめられないでいるという方はもちろん、これからFXをはじめようという方も参考にしましょう。
短期間で大きな損失を出す恐れがある
上で触れたように、FXは最大25倍のレバレッジをかけられるということで、高額な利益を得られる可能性がある代わりに、短期間で大きな損失を出す恐れがあります。とくに初心者は為替の知識や取引経験の少なさから、相場の変動に対応しきれず、損失を出してしまう方が少なくありません。
元手以上の損失を抱えてしまった場合には、証拠金がマイナスとなっているため、その分を補填しなければなりません。FXで多額の利益を得られるはずが、失敗して多額の借金を背負う羽目になるという事態に陥ります。
マイナスを補填するのは難しい
FXで多額の損失を出した場合、其の後の取引でマイナスを補填するのはとても難しいです。これがFXが高リスクといわれる理由の一つ。というのもすでに損失を抱えているということは、手元資金もほとんどない状態です。少ない資金を使って損失をプラスにするまでは、長い時間がかかります。そしてその間は勝ち続けなければなりません。
勝ち続けられる可能性はゼロではないものの、きわめて低い確率ということは想像に難くありません。そもそも「一発逆転を狙う」という発想は、FXをギャンブルとして見ているといっていいでしょう。勝てたときの快感が忘れられず借金してまでFXをしてしまうという方は、そもそもFXに向いていない可能性が高いでしょう。
悪質な詐欺の標的となる可能性
FXが高リスクなのは、悪質な詐欺の標的になる可能性があるため。インターネット上の広告やSNSの「必ずもうかる」「短期間で〇円の利益」といった文言に乗ってしまうと、偽アプリをダウウンロードさせられたり個人名義の口座に資金を送金するように指示されたりして、お金をだまし取られるケースが後を絶ちません。
また「必ず勝てる方法を教えます」と高額な情報商材を売りつけられるケースや、金融庁への登録のない業者に入金させるという手口も。FX初心者ほど「確実に勝ちたい」「利益を出したい」という思いから、FX詐欺に騙される可能性があります。そもそも投資やギャンブルにはリスクがつきもの。悪質な詐欺に引っかからないように注意してください。
損切りが難しい
FXが高リスクといわれる理由に、損切りが難しいという点が挙げられます。損切りとは、損が出ている状態で保有している通貨をすべて決済すること。「〇円まで下がったら損切りする」と決め、その金額になったら何の感情も持たずに機械的に決済できない限り、中々損切りできるものではありません。
というのも、過去に「損切りをしないでいたらレートが元に戻って助かった「損切りをした直後に上がりだした」という経験があればあるほど、損切りができなくなるという訳です。
通貨は株式や仮想通貨とは異なり、一定の幅の範囲内で上下するのが通常です。FX取引ではそもそも損切りの必要がないという意見もあります。しかし損切りの必要がないのは長期的に保有するケースに限られ、短期間に売買を繰り返すケースで損失を最小限にするには、損切りは必要です。
強制ロストカットが間に合わない
FXでは強制ロスカットが間に合わないというリスクがあります。強制ロストカットとは、大きな損失を出すリスクを軽減する仕組みで、一定以上の損失が出た場合に強制的に決済して取引を終了させるというもの。多くのFX会社で、この仕組みが導入されています。
しかし急激に相場が変動すればするほど注文が集中し、FX会社のシステムが追い付かずに強制ロストカットが間に合わない可能性があります。またFX会社が休みの土日には、強制ロストカット自体実行されません。この時に急激な為替の変動があると、強制ロストカットされないまま大きな損失を出してしまう恐れがあります。
依存症になる可能性
24時間絶えず取引のことを考え続けていると、依存症になる可能性があります。とくにFXは少ない元手で大きく利益を出せるということで、他の投資よりもギャンブル的要素が高いです。多額の利益が出た経験が忘れられず、「また勝ちたい」と借金してまで取引をやめられないのはギャンブル依存症といっていいでしょう。
ギャンブル依存症は脳の「報酬系」回路が異常に活性化することで、快楽物質である「ドーパミン」が過剰放出されてしまう病気です。物事の判断や衝動を抑制する前頭葉の機能が低下し、依存症により変化した脳はもとに戻りません。そのため自分の努力だけで依存症を治すことは不可能です。
競馬がやめられずにお困りの方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「競馬がやめられない…自分や家族がやめる効果的な対処法を知り、ギャンブル依存症と借金問題を解決!」
借金をしてしまう
FXにハマると、多額の借金を抱えてしまうというリスクが生じます。一般社団法人金融先物取引業協会が行ったアンケートによると、一年間で損失を計上した人の割合はおよそ40%という結果に。中には1,000万~3,000万円を超える借金を作ってしまったという事例もあります。
そして初心者に限ると、証拠金がマイナスになるなどして1年以内で取引をやめる人の割合は約50%という統計も。短期的な利益獲得を目指してFXを始めたものの、運用資金を大きく失って退場せざるを得ない人が半数近くいるということが分かります。
参考:「外国為替証拠金取引の取引顧客における 金融リテラシーに関する実態調査」の概要|一般社団法人金融先物取引業協会・FXデビュー1年以内でやめる人は49.6%…長く続かない「納得の理由」と継続に欠かせない「あのスキル」とは|資産形成ゴールドオンライン
FXによる借金を重ねるリスク
FXで大きな損失を出してしまうと、証拠金のマイナスを補填するためや追加の証拠金を確保するために借金を重ねる人が少なくありません。とくにFXは最大25倍までの取引ができるので、損失もその分大きくなりがちに。取引をやめたとしても返済すべき借金は残り、決められた期日に返済ができなくなると、次のようなリスクも生じます。
新たな借入ができなくなる
FXのための借金を重ねていると、気が付かないうちに借金総額が膨らんでしまいます。そうなると銀行から借金ができなくなるのはもちろんのこと、クレジットカードのキャッシングや消費者金融のカードローンからも借入ができなくなります。
というのも貸金業者には「総量規制」という制限があり、利用者の年収の1/3を超える借入ができません。これまで通りお金を借りようと思っても、総量規制によって「これ以上はお金を貸せません」と断られてしまいます。そうなると取引ができなくなるのは当然ながら、借金返済や普段の生活も給料などの収入だけで賄わなければなりません。
多重債務から抜け出す方法が知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「多重債務から抜け出す方法が知りたい!自力で解決する方法と専門家に相談・依頼するメリットとは」
ブラックリストに載る
借金総額が増えると、毎月の返済が大きな負担になります。他から借りられなくなるとお金の工面が追い付かずに、借金返済ができなくなる人も珍しくありません。借金の返済を2カ月以上延滞すると、信用情報機関に登録されている個人の信用情報に延滞の情報が登録されてしまいます。これがいわゆる「ブラックリスト状態」です。
ブラックリスト状態になると、次のようなリスクが生じます。
- クレジットカードを新規で作成できない
- 今まで使えていたクレジットカードが更新のタイミングで使えなくなる
- ローンやキャッシングを利用できなくなる
- スマホ本体の分割払いが利用できなくなる
- 保証人になれない
- 保証会社による保証が必須な賃貸物件を借りられなくなる
この影響は延滞が解消されてから5年程度続きます。借金を債務整理した場合は、完済もしくは自己破産後から5~10年間登録されます。相当長期にわたって影響がでるため、様々な場面で不都合が生じるでしょう。
ブラックリストがいつ消えるのか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「ブラックリストはいつ消える?消し方は?個人信用情報をきれいにする方法」
闇金に手を出してしまう
正規の消費者金融などの貸金業者から新たに借金ができなくなると、闇金に手を出してしまう人もいます。闇金とは貸金業者としての登録がない違法な業者のこと。違法な高金利で貸し付けを行ったり、暴力的かつ違法な方法で取り立てをされるケースが少なくありません。
完済しようと思っても様々な理由を付けて完済させてくれず、家族や勤務先を巻き込んで延々とお金を取り続けられます。最近では個人間融資をうたった手口で、気が付かないうちに闇金から借りてしまっていることも。個人情報をネット上に拡散される、口座の売却を要求されるといった被害にあう可能性もあるため、闇金には絶対に近づかないようにしてください。
闇金の取り立てを止めさせる方法については、こちらの記事を参考にしてください。
「闇金の取り立てをやめさせる方法|最適な相談先や対処法を知ってトラブルを解決!」
財産を差し押さえられる
借金を返済できなくなると、最終的に財産を裁判所に差し押さえられます。差し押さえられる可能性のある財産は給与や預貯金、不動産や価値のある車・貴金属・宝飾品など。給与が差し押さえにあうと勤務先に裁判所から通知が届くため、借金を延滞していることが知られてしまいます。
預貯金が差し押さえの対象になると入出金ができなくなるだけでなく、口座振替や引き落としも不可能に。自宅が競売にかけられると、最終的に退去せざるを得ません。借金を延滞することで、自分や家族の生活まで脅かされる恐れがあることを覚えておきましょう。
裁判所から訴状が届いた場合の対処法は、こちらの記事を参考にしましょう。
「裁判所から訴状が届いた…どうすればいい?適切な対処法&借金解決方法とは」
FXによる借金が返済できないときは…
FXによって多額の借金を抱えた結果、返済ができないときには、次のような対処法を取っていきましょう。
依存症治療を始める
FXがやめられずギャンブル依存症の可能性があるときには、依存症治療が必要です。どこで治療できるのか分からない方は、お住まいの地域の精神保健福祉センターや保健所などにお問い合わせください。ギャンブル依存症の治療を専門で行っている医療機関では、認知行動療法や薬物療法、カウンセリングなどにより再発を防ぐ治療を行っています。
またギャンブル依存症の当事者が参加する「自助グループ」も依存症克服の助けになります。同じ経験をした人同士が自分の経験を語り合うことで、「二度とギャンブルをしない」という意思を支え合えます。ギャンブル依存症では「ギャンブラーズ・アノニマス(GA)」という自助グループがあり、無料で参加できるミーティングを全国各地で開催しています。
ギャンブル依存症になりやすい人とその治療方法について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「ギャンブル依存症になりやすい人とは|傾向や特徴を知り、借金問題解決に有効な対策を取ろう」
個人再生を検討する
FXが原因で多額の借金を抱えてしまった方は、個人再生を検討してはいかがでしょうか。個人再生とは裁判所の許可を得たうえで、借金総額を最大で1/10にまで減額できる手続き。減額後は3~5年の分割払いで完済を目指します。
一定の条件を満たしていれば、住宅ローンを返済しながら自宅を手放さずに済む「住宅ローン特則」を利用できます。さらに個人再生は借金の原因を問題にしないため、FXが原因の借金でも手続き可能です。
ただし個人再生では手続き後も返済の必要がある借金が残るので、一定以上の安定した収入が無いと認められません。裁判所を通す手続きのため、国が発行する「官報」に住所や氏名が掲載されます。連帯保証人のいる借金については、減額された分の返済義務が保証人に移る点もデメリットです。
FX口座に残金があると返済額が増える
FX口座に残高があるままの状態で個人再生を申し立てると、手続き後の返済額が増える可能性があります。個人再生には「清算価値保障の原則」があり、債権者保護のために自己破産の場合よりも多くの金額を債権者に返済しなければならないという決まりがあります。
通常自己破産をする場合、一定以上の財産は処分されて債権者への返済に充てられます。自己破産で処分する財産が300万円分あるとすると、個人再生の清算価値保障の原則に基づいて個人再生でも300万円は手続き後も返済しなければなりません。
FX口座も資産として扱われるため、個人再生申立時点で口座に残高があると、その分最終的な返済額が増える可能性があります。
個人再生の最低弁済額が知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「個人再生の最低弁済額が知りたい!手続き別の計算方法や減額できないケース、滞納後の対処方法」
FX口座を隠すのはNG
何らかの理由でFX口座の存在を隠したまま、個人再生を申立てようとする人がいるかもしれません。しかしこのような行為は財産隠しとみなされてしまい、次のようなペナルティを課せられる可能性が高いです。
- 再生計画の不認可・取り消しにより借金が減額されない
- 清算価値に計上され最終的な返済額が増える
- 裁判所の信頼を失い、自己破産に移行した場合でも免責が認められない
個人再生を申立てるときには、過去1~2年分の通帳履歴を提出しなければなりません。裁判所や再生委員はそこからお金の流れを洗い出し、使途不明金や隠し口座がないか調査します。また弁護士法に基づいて銀行口座の調査が可能なため、口座を隠そうと思ってもほぼ確実に見つかるでしょう。
個人再生に失敗すると、手続きにかかった費用や手間がすべて無駄になります。そればかりか借金は減額できず、自己破産もできないとなると、取れる手立てはなくなります。軽い気持ちであっても、口座隠しは絶対にしないようにしましょう。
個人再生の成功率について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「個人再生の成功率はどのくらい?失敗する理由と成功の秘訣、失敗したときの対処法を解説
手続き後はFX取引をしない
個人再生をしようと考えたら、それ以降は取引をやめてください。個人再生は借金を大幅に減額したうえで、裁判所が認めた再生計画案に基づいて完済を目指す手続き。多くの人が利用する「小規模個人再生」では、次のような条件があります。
- 借金総額が100万円~5,000万円
- 将来的に継続して一定の収入があること
- 債権者の過半数以上の反対がないこと(債権者数・債権総額の過半数)
法律で「個人再生の手続き中は投資をしてはならない」と決められているわけではありませんが、裁判所に与える印象が悪化したり、債権者の同意が得られなくなる可能性があります。また手続き後の返済が計画通りできなくなると、債権者からの申立てによって再生計画が取り消される可能性も。
FXで作った借金をせっかく減額できたのに、FXがやめられないことにより手続きが失敗に終わってしまっては本末転倒です。少なくとも減額後の借金を完済するまでは、FXはやめるのが賢明です。
自己破産で借金をすべて免責
減額しても自力では返済できない程の借金がある方は、自己破産を申立ててください。自己破産は一定以上の財産を処分して債権者への返済に充てる代わりに、すべての借金の返済義務を免除(免責)できる手続き。生活保護受給中の方や無職の方でも手続きができるので、借金問題解決方法の最終手段といえます。
「免責不許可事由」に当たる可能性
しかしFXが原因で借金を作ってしまった場合、「免責不許可事由」に該当して免責が認められない可能性があります。自己破産について定めた破産法第252条には、自己破産しても免責が認められない「免責不許可事由」として11項目を規定しています。
その中に「浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」という項目があり、FXが「その他の射幸行為」に該当する可能性があるため。株式やFX取引は投資という意見がある一方で、偶然の利益を目的としたハイリスクな投資は免責不許可事由に該当する恐れがあります。
オンラインカジノによる借金が自己破産できるかについては、こちらの記事を参考にしましょう。
「オンラインカジノによる破産|自己破産での免責不許可事由の扱いと裁量免責を受けるポイントとは」
裁量免責を目指す
FXによる借金が免責不許可事由に該当する場合でも、破産に至った経緯や反省度合いなどを考慮した上で、裁判所が免責を認めることがあります。これを「裁量免責」といい、破産法でも次のように規定しています。
前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
裁量免責の判断基準
裁判所では裁量免責を認めるかどうかについて、次のような基準を用いて判断しています。
- 借金が増えた経緯
- 自己破産申立に至った経緯
- FXに使った金額
- FXをしていた期間
- 誠実に自己破産の手続きを進めているか
- FXで借金を作ったことに反省しているか
- 生活再建の見込みがあるか
- 生活再建のために真摯な態度で努力をしているか
- その他免責の必要が認められるか
たとえFXで多額の借金を抱えてしまった方でも、取引をきっぱりやめて真摯な態度で臨み、心から反省している態度が認められれば裁量免責を受けられる可能性が高いでしょう。
裁量免責を受けられる条件や注意点は、こちらの記事を参考にしてください。
「ギャンブルが理由の借金は自己破産できない?裁量免責を受けられる条件・注意点を解説」
裁量免責を受けるポイント
裁量免責を受けるには、上で紹介したようなポイントをおさえるのはもちろんのこと、手続きは必ず弁護士に依頼しましょう。免責不許可事由に該当するケースで裁量免責を受けるには、慎重な対応が必要です。また裁判所に提出する書類や資料は多岐に渡り、手続きも複雑です。
自分ですべて対応しようとすると、書類に不備が生じたり、適切な対応が取れずに裁判所の心証を悪くする可能性も。また各裁判所で裁量免責の運用が異なる場合もあり、弁護士に依頼することで裁量免責を受けられる可能性が高まります。
東京地方裁判所など一部の裁判所では、管財事件にかかる費用や期間を節約できる「少額管財」という手続きがあります。こちらは弁護士を代理人にするという条件があるため、少しでも自己破産にかかる費用を抑えたい方は、弁護士に依頼してください。
仮想通貨の損失は債務整理できるのか知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
「仮想通貨の損失は債務整理できる?暗号資産で借金が増える原因を知り、かしこく借金問題を解決しよう」
費用がかかる・手続き期間が長くなる可能性
免責不許可事由がある場合の自己破産では、裁判所から選任された破産管財人による調査が必要になり、「管財事件」として扱われます。財産も免責不許可事由もない場合の「同時廃止」と比べると、手続きにかかる期間が長くなり、かかる費用も高額に。
同時廃止では、破産申立から破産手続廃止決定まで3カ月~5カ月ほどですが、管財事件では6カ月~1年ほどの期間がかかります。また手続きにかかる費用の面でも、次のような差があります。
| 自己破産の種類 | 同時廃止 | 管財事件 |
|---|---|---|
| 裁判所費用 | 2万~3万円 | 50万円~ |
| 弁護士費用(着手金+成功報酬) | 20万~35万円 | 30万~50万円 |
| 合計 | 22万~38万円 | 80万~100万円 |
前項で触れた少額管財では、裁判所費用が20万円~と通常の管財事件の半額以下で手続きが可能です。
自己破産にかかる費用について詳しくは、こちらの記事を参考にしましょう。
「自己破産にかかる費用相場・内訳を解説!安く抑えるコツや払えないときの対処法も紹介」
弁護士に相談する
FXがやめられずに借金が増え、気が付いたら返済できない程になっていたという方は、早急に弁護士に相談してください。弁護士に相談すると、次のようなメリットを得られます。
- 自分に適した債務整理の方法が分かる
- 債務整理の手続きを依頼できる
- 債権者からの督促をストップできる
- 借金に関する悩みが解消し、依存症治療に注力できる
- 法律の専門家に相談することで安心できる
- 家族や周囲の人に借金問題で迷惑をかけずに済む
借金問題を扱う多くの弁護士事務所では、初回の相談を無料で行っています。まずはお住いの地域に借金問題や債務整理に強い弁護士がいるか探し、電話等で相談の予約を取ってください。
まとめ
FXがやめられないのは、気軽に始められる一方で24時間取引可能で少額で大きな利益を得られるため。一方で多額の損失をだし、その損失を穴埋めしようと頭に血が上った結果、冷静な判断ができなくなります。最終的にはマイナスの証拠金の穴埋めのために、貸金業者から借金を重ねるように。
またFXには損切りが難しい、強制ロストカットができない、ギャンブル依存に陥るというリスクも。借金を繰り返していると正規の貸金業者からは借りられなくなり、ブラックリスト状態になります。闇金から借りてしまうと、今度は闇金地獄に陥る羽目に。
FXで返済できない程の借金を抱えてしまったら、弁護士に相談したうえで個人再生や自己破産を検討しましょう。弁護士に手続きを依頼できれば、精神的負担が軽減されて依存症治療にも専念できます。債務整理をすると決めたらFXからはキッパリと手を引き、弁護士の助けを借りながら一日も早い生活再建のための努力をしていきましょう。